2000年度の活動報告


 2000年度も1999年度と同じく、本研究会の主な活動は、会報4号の編集発行と、年度も半ばを過ぎてから活発化した意味論研究部会の開催に尽きる。

意味論部会

 ここ2年ばかり本研究会では、ただひとつの研究部会が、対象分野を様々に変えながら存続する、というスタイルが定着してきている。2000年の冬から発足した意味論部会も、新入会員を加えた以外は、1999年度まで活動していた動詞部会と構成人員は変わっていない。
 統語論の研究と称して、いわば言語の外面ばかりを見てきた筆者もそうであるが、言語研究の様々な分野に触れていくと、手に取りやすくはっきりした形を取らない「意味」というものについても、しっかりした考えを持つことの重要さが、いやでも認識されてくるのである。意味を考えない統語論など、レストランの店先に並べてある、実際は何の味もしないロウ製の料理のようなものかも知れないのだ(ただしあのロウ製料理は日本が世界に誇る技術らしいが)。
 本部会では、まずKöller, Wilhelm (1988): Philosophie der Grammatik. Vom Sinn grammatischen Wissens. Stuttgart: J. B. Metzlerから、第5章「Semantik und Grammatik」を読んだ。続いて現在は、Langacker, Ronald W. (1990): Concept, image, and symbol. The congnitive basis of grammar. Berlin: Mouton de Gruyterから、第1章「Introduction」を読んでいる。
 まだ読了した文献も少なく、本部会はまだ始まったばかりなのであるが、すでに参加者の間では、いかに意味というものを科学的に分析し、また記述することが難しいか、認識されてきたといえよう。今後はそうした認識を元に、その難しさゆえに磨き上げられてきた意味論の精緻な発想に親しむことを目指したい。(文責 甲斐崎)




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