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「んん…。」
寝返りをうって、ゆっくり目を、開ける。

ふああ、とあくびを一回。まだ眠い。…でもなんか、いい夢を見てた気が、する。

「…今なんじ…。」
「九時半ですよ。」
時計に手を伸ばしながらの言葉に返事があったことに、硬直。
慌てて飛び起きると、そこには椅子に腰掛けた彼の姿!

「え、あ、えっ!?」
「言っておきますが、私はただ、毛布をかけなおしたら出て行くつもりだったんですよ。
なのに、離してくれなかったのは貴女ですから。」
言われて、手のさきを見ると、がっちりと彼の手をつかんだ、ままで。

「!!すすすすみません!」
離すと、いいえ。とそう一言。
「そんなに長い時間じゃありませんから。」
あまり気にしないでくださいと言われても気にしますよ〜!!
しゅん、としていたら、では。
と彼が顔を近づけてきた。
近い距離に思わず逃げようとしたら、シーツの上で手をすべらせて、ぼすん、とベッドに倒れこんで。
それを追うようにオーストリアさんのどアップが近づいてきて、思わずひ。と声が出た。


「…な、何ですか…?」
「私にも言ってください。」
夢の中だけでなく。現実の私にも。
そう言われても、何?何だっけ?…そういえばオーストリアさんが出てくる夢、見てた気がするけど。
「な、何を、ですか?」
「そうですね…どちらがいいでしょう。」
どちら、って。何。何の話。


「覚えてないんですか?貴女、寝言で言ってましたよ。」

『オーストリアさん、私のことお嫁さんにしてください!』
『…あなたが好き、です。』


告げられた内容に、うわわわわと大パニックに陥って。
「え、ええ!?そんな寝言言いました!?」
「はい。しっかりとそう言いました。…そうですね、お嫁さん、の方にしましょうか。」
ハンガリー。呼ばれたって言えるわけがないのに!!

「…い、言わなきゃ、だめですか…?」
おそるおそる尋ねると、なんだかこの状況が楽しいのか、そうですねえ、と彼は笑いながら言って。
「…そうですね。言わなければこのままキスします。というのはいかがですか?」
「……それ意味ないですよ。」

だって、キスしてほしいですもん。



『眠り姫の起こし方』End!


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