「ちょっと、イギリスさん!」 慌ててのばした手を、とられる。指先にキスひとつ落とされて、どきっと、してしまう。いやいや。いやいやいや。今はダメだからダメ。 「日本、」 「ダメですってば…!」 じたばたして逃げようとするのに、ああもう動きづらい、しっかり腰に回された手で固定、されてしまったらもう逃げられそうになくて。 なんでこの人十二単見てやばい、キた、とか言い出すんでしょうね!? 「ふざけないでくださいっ!」 「ふざけてない。本気だ。抱きたい、日本。」 「だっ…!!せめてこれ脱いでからに…!」 「安心しろ、俺が脱がせてやる。」 「それが嫌だから言ってるんじゃないですかあ!」 声を上げても、抗議はもう聞かない、とばかりにキスで口を塞がれてしまえばもう、逃げ場はなくなるわけで。 「これのどこがいいってさ。」 脱がすのに時間かかるとこがいいよなあ。だって日本、恥ずかしがるだろ、服脱がされるの。ほら。そうやって顔真っ赤にして隠そうとするの、すっげそそる。 にやにや笑いながら語られる言葉に、き、とにらみすえて、胸元を隠していた手を伸ばし、彼の首に巻き付け、引き寄せた。 ごつん、とぶつかる額。 「痛」 「い、い加減に、してください…っ!」 訴える。もうほんとに。 どれだけ焦らしたら気が済むんですかあなたは! 着物を一枚一枚剥ぐみたいに脱がして、指と唇で追いつめるくせに、決定的な刺激はくれなくて。 ひどい、と言ったら、欲しいか?と尋ねられた。 「知ってるくせに、」 「知ってるから、聞きたいんだろう?」 なあ日本。緩くあがった口の端がこの上なく憎たらしい! 「うう…」 「な、日本。」 言ってくれたら、何でもしてやるぞ。甘い、悪魔のささやき。 わかっていても、すでに罠に落ちた身では、従うしかなくて。 「…ほしい、です」 「何が?」 「あなたが、」 かすれて消えそうな声を出したら、にい、とうれしそうに、笑った。 「はやく、」 「待てって。」 最後の一枚をやっと、脱がせて。彼に抱き寄せられる。 触れる素肌。汗ばむ体に、息をのんで。 「入れて、いいか?」 低く、熱い声。我慢できなかったのは、本当はどちらなんだか。苦笑しながら、こくんとうなずいた。 「あ、あ!あ…っ!」 「…っ、にほ、ん、」 がくん、と崩れ落ちると、ちゅ、ちゅ、と頬にキス。日本、呼ぶ声。視線だけのろのろと、上げる。 「悪い。もうちょっと。」 悪いとは微塵にも思っていなさそうな表情で彼は言い、がっちりと腰を掴んでまた、動き始めて。 「っ!あ、やっ、ああっ!」 強過ぎる快楽に逃げようともがく手を捕まれる。落とされるキス。愛してる。囁かれる言葉に、思わず締め付けてしまった。反則だ、そんな声。 「っ、ぎりす、さ、イギリスさんっ」 「もっと呼べ。声、聞かせろ」 「あ、や、あ、ああっ!い、ぎりす、さん…!」 「日本っ」 焦ったような熱い声で呼ばれた名前に、とりあえず今だけは、彼に降伏することにして、その唇にキスをせがんだ。 戻る |