下着姿で、彼の部屋で待っていたら、がちゃ、とドアをあけたオーストリアさんは、額に手を当ててため息。 クリスマスのとき、意外と好印象だったから、いけるかなって思ったんだけど…ダメ、か。 ベッドサイドの明かりだけをつけた部屋では、廊下からの光で、逆光になって、表情は、よく見えなくて。 「ハンガリー…」 「えへへ、…悪ふざけが、過ぎましたよね」 笑ってみせる。と、彼はまた、ため息。 「本当に。」 固い声に、あ、怒られる。とうつむいた。かつかつ、と近づいてくる足音。 膝の上でぎゅ、と手を握りしめて体を固くしていたら、肩を押された。 「へ。」 いきなりなことにどうしようもなく、ぼすん、とベッドに倒れ込んで、彼を見上げる。 休日だといいのにしっかりしめられたネクタイの結び目に指を入れて、緩めて。 「お、オーストリア、さん…?」 顔の隣に下ろされる手。顔の上に落ちる影に、おろおろと見上げた。 「…私も男なんですから。そんなことをされたら、我慢できなくなります。」 しゅる、とネクタイをはずして、熱のこもった視線を送られて、かああ、と真っ赤になって目を閉じてしまった。 「…ほら。」 目を閉じてると、少し寂しげな声が聞こえた。 目を開けると、あなたは、誘いにくるくせに、私がこうして乗ると、怯えるでしょう。とそう言われた。寂しげに。 「…おびえてる訳じゃ、ないんですよ。」 そう呟いて、彼を見上げる。 「…そう、なんですか?」 「…どきどき、しちゃって。」 だって。オーストリアさんかっこいいから…。 小さく呟くと、頬を撫でられた。ありがとうございます。そう言われた。少し赤い頬。 「あなたも、美しいですよ。」 こういう格好をしなくても、いつもですけど。そんな風に言われて、体温が上がる。 唇に、落ちてくるキス。手が、つつ、と体を這うのを、直に感じてしまうのが、ほんとに恥ずかしくて。今更ながらに、なんてことをしたんだろうと後悔する。 顔を手で覆ったら、呼ばれた。優しくて、でもいつもと違う、求めるような、熱いような声色に、それだけでなんだか体の奥がきゅう、として。 「顔、見せてください」 言われて、恐る恐る、手をどけた。 優しい笑み。胸が、満ちる。 「…ハンガリー。」 もう一度重ねられた唇は甘くて、柔らかかった。 ベビードールをたくしあげられて、胸に吸い付かれて、声が出そうになった。 舌で転がすように、なんてそんな。反対の胸を手で撫でられて、我慢できずに声が漏れる。 「…もっと聞かせてください…」 くちゅくちゅ、と音を立てられた。びりびりと走る快楽に、体が跳ねる。 「あ、ん…!」 「…こんな扇状的な格好、私以外の前ではしないでくださいね。」 妬くどころではないので。 そう言われて、小さくうなずく。…当たり前だ。彼以外に見せる必要もないのに。 しゅる、と彼の手で脱がされる、という事実が、何よりの媚薬だ。肌がさらされて、少し寒い。けれど、それより気になるのは、下がまずいことになっている。気づかないで、と 思いながら足を擦り寄せて。 胸の突起に歯を立てられて、あ、と声を上げた。 反対側も爪を立てられて、ぞくぞくと背中が反り返る。 「や、あ!あ、ん、ダメ…!」 「痛いですか?」 首を横に振る。痛くはない。 そうですか、と呟いて、また噛まれて、震えた。そっちに意識が集中していたら、突然太股を撫でられて。 「あ…!」 大丈夫ですよ、と額にキス。する、と腰のリボンを外す手。 きつく目を閉じて顔を逸らす。 やわ、と足の隙間に入り込む手。濡れた音が、した。 「…っも、やだ、恥ずかしい…っ」 耐えきれなくて顔を手で覆うと、手の上に、キス。 「ハンガリー」 わかりますか、と腰に何か押し当てられた。固いそれは、オーストリアさんの…! 「私も興奮してます。」 だから、同じですよ、と苦笑混じりの声を聞いて、おそるおそる、手を外す。 すぐ近くに、熱のこもった瞳。思わず息を飲んだ。 「…おーすとりあ、さん…」 呟いたら、口付けが降りてきた。 自身に深くぐちゅ、と中をかき回される感覚に、シーツをきつく握りしめて耐える。すぐにでも達してしまいそう! 「ハンガリー。」 私にしがみついていいんですよ、と言われて、首を横に振る。 「や、です…!」 絶対爪を立ててしまう。嫌だ。オーストリアさんの体に傷を付けたくない。 「ハンガリー」 目を閉じていやいやと首を横に振る。そうしたら、ぐ、と抱き寄せられた。中を抉られて、声を上げる。 「ハンガリー」 「や、やだ…っ傷が、」 「つけてください。」 あなただけにその権利があるんです。そう囁かれて、思わずぞくんとして、き、とにらみ上げた。涙目じゃ、効果はないだろうけど。 「ずるいですよ…っ!」 「はい。」 苦笑されて、シーツを離して、彼の背中に手を回す。綺麗な体に、傷を付けるのは本当に気が引けるんだけど。 「…ハンガリー」 ず、と奥まで突き上げられて、声を上げた。強くしがみついてしまって、あ、と力を弱めようとしたら、連続して体を揺さぶられる。 「あ、ああ、んぅ、や、あ…っ!」 「…く、」 もう傷つけるとかそんなの気にできなくなって、とにかくしがみついた。でないと見失ってしまいそうで。 「あ、あ!おー、すとりあさん…っ!」 「…愛しています」 かすれた声で囁かれて、きゅうと締め上げて達してしまった。 「あけましておめでとうございます。」 「…おめでとうございます。」 髪を撫でて言われて、なんとか返す。 服、と呟いたら、もう少しこのままで、と裸のまま抱きしめられた。 「お、オーストリアさん…!」 「去年はあまりあなたと触れ合えなかったので、今年は、もう少しイタリアを見習おうと思いますので」 よろしくお願いしますね、と言われて、えーとそれはつまりもうちょっと大胆に愛情表現とかそう言う意味だろうかと変換して、かあ、と顔が熱くなった。 「…も、今のままで十分です…」 心臓に悪い…と呟いたら、楽しそうに笑った。 戻る . ぎし、と満面の笑みで押し倒されて、ロマーノは頬をひきつらせた。 「じゃあまあ、ロマーノ。昼間の続きといこか。」 忘れてた。覚えていたら、逃げたのに。しっかりと押さえ込まれた体は、動かない。 「これだけ『おあずけ』しといてこれ以上焦らせんといて?」 さ、と青くなった。まずい。『おあずけ』は、まずいワードだ。別に俺悪くないとか言って制止しようとするが、聞いてない。まったく都合悪いことはすぐきこえなかったふりしやがって…! 「往生際が悪い。覚悟しい」 できるわけないだろ!と怒鳴ろうとした唇は、ふさがれて。 「…くそ…!馬鹿スペイン…っ!」 泣きそうになりながらにらんでも、彼はどこ吹く風。 「さっきから言うてるやろ?ロマーノが脱いだらええって」 下着の上からしか触ってくれないスペインの腕をバンバン叩く。 「痛くないで?」 当たり前だ。力が入らない。ちゅ、と下着の上から胸を吸われてびくり、と震える。 つつ、と手が腰のあたりを撫で、下に降りていく。突起を刺激されて体が跳ねる。それでも、布一枚が邪魔で。 「ほらほら、濡れとるで?」 「う、う〜…」 狂いそうなくらい焦らされて、どうしようもなくて。 肩紐に手をかけたら、にや、と笑って触れていた手を離した。 「…見るな、ちくしょー」 体をよじろうとしたら、あかん。と体を縫い止められた。 「見せて。」 「…っ」 恥ずかしい。この上なく。だけど、どうにもできなくて、目を閉じた。 それでも、視線を感じる。見られてる。それが、体の温度を上げて。 は、と荒い息を吐きながら、服を脱いでいく。手が震えて、うまくつかめなくてやっとのことで脱ぎ終わった。 視線が、肌の上を、這う。 「〜っ」 腕で隠そうとしたら、両手をひとまとめにして押さえつけられた。 「赤くておいしそうな肌。」 耳元で言われて首を横に振る。 手が、肩あたりに触れた手が、下に伸びていく。 腰まで降りた手に、体が期待で震えて。 つぷ、と中に入ってくる指。 「あ…っ」 甘い吐息が、溢れる。 「すごいなぁ…」 言われるまでもなくぐちゃぐちゃとたつ音でわかる状況に、いやいやと首を振った。入り口付近をかき回すような動きの、指。欲しいのはもっと奥なのに。 「ロマーノ、」 なあ、どうしてほしい?なんて、意地悪く聞かれて、固く閉じていた目を開いた。 目の縁に溜まっていた涙が、流れる。 「スペイン…」 スペインの喉が、動いたのが見えた。 あとは、組み敷かれて飲まれた快楽の中。 「…スペインの馬鹿!鬼畜!」 ぎゃいぎゃい騒がれてスペインは困った表情を浮かべた。 「けどなぁそんなひどいことしてないと思うんやけど…まだ。」 「まだってなんだー!」 がす、と頭突きが決まった。 痛い、と呟くと、馬鹿、とまた言われた。 「…もー…ええよー、ロマーノには勝たれへんもん…」 ぎゃいぎゃいと言いながら、それでも抱きしめるとおとなしくなる。かわいい。ぎゅううと抱きしめて、一生かないそうにないなあと呟いた。 戻る |