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「ロマーノ。」
呼ばれて、嫌な予感がした。寝ころんでいたベッドの上でうつぶせになり、体を起こして、スペインに背を向けて逃げようとする。
「何で逃げんの?」
ぐい、と腰を引き戻された。
じたばたするのに逃げられなくて、こら、スペイン!と声を荒げるのに彼は聞いてなくて。
「ロマーノ、…三人目、欲しくない?」
「あっ、このやろ…っ」
くちゅ、と音を立てて耳をなめられる。この感覚には昔から弱いのに…ロマーノ、優しく呼ばれて、吐息が耳に当たって、腕から力が抜けて、上体がベッドに崩れ落ちた。
「あ…っや、あ…!」
「嫌なん?なぁ。」
「と、なりであいつら寝てるのに…っ」
そう。でなきゃ、別にいい。でも今日は、隣の俺の部屋で遊んでいた子供らが、眠ってしまったから、そのままにしてきたのだ。
「大丈夫やって。起きへん起きへん」
そんなのわかんねーじゃねーか馬鹿!
でも、与えられる刺激にもう耐えられなくて、体は反応し始めていて。
いつもどおり下着しか着ていない体を、つつつ、手が這う。
シャツの中に潜り込んでくるそれは、的確に胸に触れてきて、もう無理で、スペイン、と呼んだ。
「ん?」
「…顔、見てしたい…」
小さく呟くと、彼はうれしそうに笑った(見えないから、気がした)。

とろかされるのはいつものこと。
「あ…や…っなめるな、ちくしょー…っ」
快楽に流されながらの小さな抵抗では、逃れられなくて、弱いところを舌で刺激されたら、呆気なくイってしまった。
「…かわええ。」
楽しそうにスペインが笑った。それが悔しくて、にらみつけるけれど、体はもうすでに、次の快楽を期待して震え始めている。

「ロマーノ、力抜いて。」
言われて、深呼吸する。あてがわれる熱源に、思わずのどを鳴らして。

押し広げられる感覚は、何度経験したって慣れられるものじゃない。ぞくぞくと走る快楽を受け流すのに必死で、ロマーノ、もーちょい、緩めて、なんて言われても、そんなことに気を回している余裕がない。
けれど、何度もそれを経験してきた体が、勝手に動く。緩んだそこに、ず、と奥まで押し込まれて、声を上げた。

「は…っスペイン…っ」
大きすぎる快楽が怖くて、名前を呼ぶと、抱きしめられた。
「ここにおる。」
その背中に腕を回してしがみついて、だんだん早くなっていく律動に、それと共にやってくる波に、翻弄される。

我慢することなく声を上げると、ロマーノ、と呼ばれた。吐息混じりの熱い声。ぞくっとしてしまって、思い切り締め付けてしまった。

低い声がして、強く何度も奥を突き上げられて、頭が真っ白になった。



目を開けると、じいい、と見ているオリーブ色の視線があって、何だよスペイン、とぼやくと、母さん寝ぼけてる。と言われた。
その一言で一気に目が覚めて、体を起こす。
「おはよ、母さん。…もう昼やで?」
「ルキーノ!」
ぱっと外を見ると、確かに。太陽がさんさんと降り注いでいた。
「あ、お兄ちゃん!お母さん起こしちゃダメって言われてたのに!」
開いたドアの向こうから、イザベルの声。
「約束してたんやもん!トマトの収穫するって!」
わいわいと騒がしい声に、やっと落ち着いてきて、ため息をついた。

「悪かった、すぐ準備する。…スペインは?」
「昼御飯の用意してる〜昨日ロマーノに無茶させたから好きなもん作ったらなあかんな〜って。」
無茶って、何してたんだ?と無邪気に聞かれて、かっと頬が火照った。
飛び起きて、ばたばた階段を下りて、お、起きたか〜なんて呑気に笑ったスペインに頭突き!
「子供になんてこと言ってるんだこのやろーっ!」
「ちょ、痛い、ロマーノ、痛いから!」

今日もスペイン邸はにぎやかだ。


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ドイツ、と呼んだら、抱きしめられた。
暖かい体。ドイツのムキムキあったかい、と笑うと、おまえだって、と笑われた。
目が合えば、唇が降りてくる。
舌を絡めるのは、最近負けそう。ていうか、ドイツだって思った時点で感じ始めちゃう俺の方が、圧倒的に不利!
力が抜けてへな、とする体を、ドイツの白くて大きな手が撫でる。
胸とか、優しく撫でられるだけじゃ足りないのに!わかってるくせに、ゆっくり、優しく撫でるだけ。
ドイツ、と急かすと。まだダメだ、と笑われた。まだ、って、いつまでがまだなの?

ドイツはこうやって、何かを確かめるように体に触れてくることがよくある。俺のこと気遣ってくれてるのは知ってるけど、ダメ、もう我慢できない。
決定的な刺激がほしくて、もう一度名前を呼んだ。

どいつぅ、と甘えるような声がした。いつものものとは違う、妖しく淫らな声。…少し焦らしただけでこれだ。イタリアは、自分がどんなに扇状的な顔をしているかわかっているんだろうか?
もう少し焦らして、求めさせるのも楽しいが、今日は甘やかしたい。そういう気分だ。キスを交わして、避けていた胸に手を伸ばした。


あ、あっと声を上げてすぐに達してしまうイタリアの体を、何度も引き戻して、また指を動かして、体を高める。
「や、だよ、ドイツ…っ」
肩に足を担ぎ上げ、舌を這わせる。甘く噛んで、指で弱いところをつつけば、それこそ何度でも声が上擦っていって。
「あ、また、イっちゃ…!」
きゅう、と中が締まった。指を締め付けるように。

イタリアが達するときの色香は、何度見ても美しい。その上何度でも見たくなるから、イタリアには少し無理を強いてしまっているようだけれど。

「ど、いつぅ、もう…!」
頂戴。手を伸ばされて、抱き寄せる。あてがうと、イタリアの方から腰を落としてくる。飲み込まれる感覚に笑ってしまった。一気に奥まで入れて、深呼吸。
「は…」
「ドイツ、キス、して、」
声に、唇を重ねた。
舌を絡めるとくちゅり、と中が締まった。低く上げた声は、イタリアに飲み込まれて、余計に締め付けられた。
その直接的な快楽に耐えられるはずもなくて、腰をゆっくり動かし出す。
「ん、ぅ…!」
反応を見せる弱い部分を何度も攻め立てれば、すぐに跳ね上がる声のトーン。
唇を離して、それを聞きながら、頂点に向かって動いた。
数回、深くを突けば、高い声が絶頂を告げる。遅れて、目の前が真っ白に染まった。


イタリアは、うれしそうに笑う。
「えへへ〜ドイツ俺の〜」
「はいはい。」
首に抱きつかれて、まあ、まんざらでもなく。
そのままベッドに倒れると、もう寝るの?と残念そうな声。
「明日も早いだろ。」
「でも〜…」
せっかく独り占めなのに、としゅんとしたイタリアに、仕方がないな、と苦笑する。
うちで一番手がかかる子供は、絶対にこいつだ。

「またデートしよう」
「ほんと!?」
「ああ。」
「えっと、じゃあ次のお休み!…は、ダメだ、みんなでピクニックだ。じゃあ、えーと…」
悩んでいるうちに、眠たくなってきたのか、イタリアは目をこすりだして。
頭をなでてやると、まだ寝ないもん、と声。まったく…。
それでも、何度か撫でてやれば、船を漕ぎだして、そのうち、眠ってしまうだろう。

自分の体にかかってくる体重に小さく笑って、呟く。
「独り占めしたいのは、俺だって一緒だ。『母さん』。」
子供達と遊びだしたら、俺のことなんか忘れて全力で遊ぶくせに。こいつは。まるで自分ばっかり構ってくれない、みたいに振る舞うのだ。そう言いたいのはこっちだというのに!
苦笑して、ただ、確実に今だけは自分だけのものである、眠るイタリアを、優しく抱き寄せた。


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