翻訳 井上雅夫 1999.06.22; 8.01   ↑UP 

Diamond MP3プレーヤー事件判決

    目  次
意見
 I 〔バックグラウンド〕
 II 〔デジタル録音装置、デジタル音楽録音物の定義〕
 III 〔デジタル音楽録音物の直接的な複製〕
 IV 〔デジタル音楽録音物の伝送からの複製〕
 V 〔結論〕
 脚注
 訳注

第9巡回区合衆国控訴裁判所

原告−控訴人
米国レコード産業協会、a New York not for profit corporation;
アーティスト・レコード会社連盟、a Pennsylvania not for profit corporation,

被告−被控訴人
DIAMOND MULTIMEDIA SYSTEMS INC., a California corporation,

カリフォルニア中央地区合衆国地方裁判所(Audrey B. Collins地裁裁判官)からの控訴
1999.4.15弁論及び提出−−Pasadena, California
1999.6.15判決登録
Diarmuid F. O'Scannlain 及び A. Wallace Tashima 巡回裁判官、及び Edward C. Reed, Jr.地裁裁判官
O'Scannlain裁判官による意見執筆

原告−控訴人代理人
Hadrian R. Katz (argued), Lawrence J. Hutt, Arnold & Porter, Washington, D.C.
被告−被控訴人代理人
Andrew P. Bridges (argued), Wilson Sonsini Goodrich & Rosati, Palo Alto, California
法廷助言者民生用エレクトロニクス製造協会代理人
John B. Wyss, Wiley, Rein & Fielding, Washington, D.C.

意      見

O'SCANNLAIN巡回裁判官:

 コンピュータ技術、インターネット、及び音楽鑑賞を含む本件において、我々はRioポータブル・ミュージック・プレーヤーが1992年家庭録音法(IIL)の制限に従うデジタル録音装置であるかどうかを決定しなければならない。
  

I 〔バックグラウンド〕

 本控訴は米国レコード産業協会、及び、アーティスト・レコード会社連盟(あわせて「RIAA」)がDiamond Multimedia Systems(「Diamond」)のRioポータブル・ミュージック・プレーヤーの製造及び販売の禁止を求めたことにより生じたものである。RioはユーザーがMP3オーディオファイルをコンピュータからダウンロードし、他の場所でそれらを聞くことができるヘッドホーン付きの小さな装置(ほぼオーディオカセットのサイズ)である。Rioの設計及び機能に関する論争はデジタル録音及びインターネットによって可能とされた革命的な新しい音楽の配布方法の理解なしには、理解することが困難である;したがって、インターネットの音楽配布のすばらしい新世界について、いくぶん詳しく説明しよう。


 1980年代の民生用エレクトロニクス・マーケットへのデジタル録音の導入が本訴訟の根っことなっている。それ以前は、オリジナル音楽録音物をコピーしたい者、例えば、レコード又はCDのカセットテープを作りたい者は、デジタルよりも、アナログ録音技術に限定されていた。アナログ録音においては、コピーするごとに音質の劣化が増大する。例えば、レコード又はCDのアナログ・カセットのコピーがアナログ技術によるコピーであるとき、オリジナルの「第2世代」のコピーは、古いレコーディングの特徴であるヒスや明瞭さの欠如に悩まされる。これとは対照的に、デジタル録音においては、どれだけ多くの世代のコピーが行われたとしても、音質の劣化はほとんど生じない。したがって、デジタル・コピーは一つのオリジナルな録音物から完全又はほぼ完全なコピー(及びコピーのコピー)を作ることを可能とする。音楽「海賊」はデジタル録音技術を使用し、商業的録音物のほぼ完全なコピーを著作権のライセンスなしに行い配布している。

 最近まで、インターネットは音楽の配布にはほとんど使用されなかった。単に平均的な音楽のコンピュータファイルが大きすぎたからである:一枚の音楽CDのデジタル情報を記憶するためには数百枚のフロッピーディスクが必要であり、一曲をインターネットからダウンロードするのに数時間がかかるからである。しかしながら、現在では、(オーディオファイルをオーディオのバンド幅を制限することにより「より小さく」する)さまざまな圧縮アルゴリズムによって、より早く移転<transfer>でき、より効率的に記憶できるようになっている。MPEG-1 Audio Layer 3(通常「MP3」として知られている)はインターネット上で使用される最も人気のあるデジタルオーディオ圧縮アルゴリズムであり、それが提供する圧縮はほとんど音質の劣化なしにオーディオファイルを1/12だけ「小さく」する。MP3の人気は、それが標準であり、誰によっても無料で使用できる非所有の圧縮アルゴリズムであり、さまざまな所有(著作権保護)競合アルゴリズムと異なっているという事実にかなりの程度依存している。ケーブル・モデムの使用と結びついて、MP3のような圧縮アルゴリズムは1時間の音楽を数分でインターネットからパソコンにダウンロードすることを可能としている。[訳4]

 これらの技術的進歩によって、少なくともある程度、従来の音楽産業が不利な立場に置かれることになった。圧縮された音源が著作権で保護されているかどうかを確認するコードをMP3ファイルが含んでいないことにより、MP3の有力な使い道は不法録音の取引となっていると、ほとんどの者が言っている。数々の海賊ウエブサイトが著作物の無料ダウンロードを提供し、インターネット上のある一つの海賊サイトは数千の海賊オーディオ・コンピュータファイルを含んでいるかもしれない。

 RIAAはおおよそ半ダースの主要なレコード会社(及びそのレーベルのアーティスト)を代表しており、合衆国における録音された音楽の配布の約90%を支配している。RIAAは、海賊された著作物の連続デジタルコピーのインターネットでの配布は合法的な録音物を購入する気を失わせると主張し、デジタル・インターネット海賊行為による損失額は伝統的な海賊行為による年間の損失額といわれている3億ドルをすぐに超えるだろうと予想している。[1] RIAAはほとんど絶え間なくインターネット海賊行為に対する戦いを行っており、毎日インターネットをモニターし、中止−断念状の送付及び提訴によって海賊ウエブサイトを日常的に閉鎖させている。RIAAが成功したかどうかについて異なった見方がある−−RIAAは海賊取引にかろうじてついていっているだけであると主張しているのに対して、他の者は、合衆国内で、あるとしても、僅かな海賊サイトが活動中であるにすぎず、不法ファイルを見つけオンラインででダウンロードするのは困難であると主張している。[訳5]

 海賊行為とは対照的に、インターネットは合法的なオーディオファイル取引の萌芽をも支えている。独立系の及び完全にインターネットのレコード・レーベルがオンラインで日常的にアーティストの作品の販売及び無料サンプルの提供を行っており、一方、多くの無署名のアーティストが彼らの作品を彼ら自身のウエブサイトで配布している。いくつかの無料サンプルはマーケティング目的又は単なる露出のために提供されており、一方、他のものは、通信販売あるいは(アルバムの表紙、歌詞、及びアーティストの経歴と一緒に)直接ダウンロードするかのどちらかの方法で、リスナーに購入させることを意図した広告である。DiamondはJupiter Communicationsによる1998年の「Music Industry and the Internet」レポートを引用しており、それによるとレコード化の前の音楽のオンライン販売は合衆国だけで2002年までに14億ドルを超えるだろうと予測されている。

 Rioのような装置の発明の前は、MP3ユーザーは彼らがダウンロードしたオーディオファイルを彼らのコンピュータのハードディスクからヘッドホン又はスピーカーをとおして聞くこと以外のオプションをほとんど持っていなかった。Rioは彼らのファイルを持ち運びできるようにした。より正確に言うと、一度、オーディオファイルをインターネット又は(CDプレーヤー又はデジタルオーディオテープ装置のような)他のソースからコンピュータのハードディスクにダウンロードすると、Rioと共に提供されるコンピュータソフトウエア(「Rio Manager」と呼ばれる)によって、ユーザーはRioとコンピュータをつなぐパラレルケーブルを介してRio自体にファイルをダウンロードすることができる。Rio装置はRio Managerを備えたパソコン以外のものからはそのような移転<a transfer>をすることはできず、オーディオファイルを受けることはできない。

 一般に、Rioは約1時間の音楽、又は16時間の話(例えばダウンロードされたニュース放送又はテープに録音された本)を記憶できる。フラッシュメモリカードを加えると、Rioは更に30分又は1時間の音楽を記憶できる。Rioの唯一のアウトプットはヘッドホンをとおしてユーザーに送られるアナログオーディオ信号である。Rioはそれが記憶するデジタルオーディオファイルを複製することができず、コンピュータ、他の装置、又はインターネットに、そのようなファイルを移転又はアップロードすることもできない。しかしながら、デジタルオーディオファイルがダウンロードされたフラッシュメモリカードを一つのRioから外し、他のRioでプレイすることができる。


 RIAAは、Rioがファイルの世代及び著作権状況に関する情報に基づいて送り、受け、及び作動する連続著作権管理システム(「SCMS」)を備えていないから、1992年家庭録音法(「本法」)、著作権法1001条以降[訳1]、のデジタル録音装置の要件を満たさないと主張して、Rioの製造販売の差止を求めて提訴した。同1002(a)(2)条(CRIC)参照。[2] また、RIAAはデジタル録音装置の製造販売業者としてDiamondが支払うべきロイヤリティの支払いも求めている。同1003条参照。

 地裁はRIAAの仮差止申立を却下し、RIAAの本案訴訟における勝訴の可能性ははっきりせず、困難性の天秤はRIAAの側に傾いていないと判示した。Recording Indus. Ass'n of America, Inc. v. Diamond Multimedia Sys., Inc., 29 F. Supp. 2d 624 (C.D. Cal. 1998) (「RIAA I」)を全体的に参照。RIAAは本控訴を行った。

II 〔デジタル録音装置、デジタル音楽録音物の定義〕

【1】最初の争点はRioが本法の範囲内にあるかどうかである。本法は著作権で保護された録音物のデジタル連続コピーを広範に禁止してはいない。その代わりに、本法は特別なタイプの録音装置にだけ制限を課している。本件に関連しては、本法は「いかなる者も連続コピー管理システム[「SCMS」][又は]同様な機能的特徴を有するシステムに適合しない・・・デジタル録音装置を輸入、製造、又は販売をしてはならない」と規定している。著作権法1002(a)(1),(2)条。更に、本法は「いかなる者も、その者が本セクションに明記された通知を行い、計算書及び適切なロイヤリティの支払いを供託しない限り、・・・デジタル録音装置の輸入販売、又は製造販売をしてはならない」と規定している。同1003(a)条(CRIC)。したがって、SCMS及びロイヤリティ要件を問題とするためには、Rioが本法が一連の入れ子になった定義によって定義している「デジタル録音装置」でなければならない。

 本法は、「デジタル録音装置」<a "digital audio recording device ">を次のものと定義している:

他の機械又は装置の一部に含まれるか否かによらず、そのデジタル録音機能が、私的使用のためのデジタル複製録音物を作成することを主要な目的として設計又は販売され、すなわちそれができる、個人による使用のための一般に個人に対して配布される種類の機械又は装置・・・
同1001(3)条(CRIC)。

 「デジタル複製録音物」<a "digital audio copied recording">は次のものと定義されている:

その複製が、他のデジタル音楽録音物から直接的に<directly from another digital musical recording>又は伝送から間接的に<indirectly from a transmission>作成されたデジタル音楽録音物のデジタル録音フォーマットの複製物。
同1001(1)条。

 「デジタル音楽録音物」<a "digital musical recording">は次のものと定義されている:

(i)その中に、デジタル録音フォーマットで、音だけ、及び、もしあれば、その固定された音に付随するもの、陳述、又は説明が固定され、かつ
(ii)それから、直接的又は機械若しくは装置の助けにより、音及び〔付随する〕ものが知覚され、複製され、又は他の方法で伝達される<communicated>
有形物<a material object>。
同1001(5)(A)条。

【2】要するに、デジタル録音装置であるためには、Rioは「直接的に」又は「伝送により<from a transmission>」、「デジタル音楽録音物」を複製することができなければならない。

III 〔デジタル音楽録音物の直接的な複製〕

 最初に、我々はRioが直接的にデジタル音楽録音物−−音だけ(又はその音に付随するもの、又は説明)が固定された特定の物−−を複製できるかどうかを検討する。同参照。


【3】コンピュータのハードドライブからRioは直接的に録音するが、典型的なコンピュータのハードドライブは、もちろん、有形物である。しかしながら、ハードドライブは通常「音だけ、及び、その固定された音に付随するもの、陳述、又は説明」以上のものを含んでいる。同。実際、ほとんど全部のハードドライブは、ハードドライブに記憶され得る音のファイルに付随しない、(例えば、ワードプロセッサ、スケジュール予約等のための)膨大なプログラム及びデータベースを含んでいる。したがって、Rioはデジタル音楽録音物からコピーを作成しているようにはみえず、それゆえ、伝送からコピーを作成しない限り、本法に基づくデジタル録音装置ではないであろう。

【4】さらに、本法は明瞭に「デジタル音楽録音物」の用語には次のものは含まないと規定している:

(i)その中に固定された音が話された言葉の録音物からもっぱらなる、又は
(ii)その中に、固定された音及び付随するものを構成する陳述又は説明、及び固定された音及び付随するものの知覚、複製、又は伝達をもたらすために直接的又は間接的に使用される陳述又は説明をデジタル録音物が含でいる場合を除き、一つ又はより多くのコンピュータプログラムが固定された
有形物
同1001(5)(B)。前述したように、ハードドライブはその中に一つまたはより多くのプログラムが固定されたものである;したがって、ハードドライブはデジタル音楽録音物の定義から除かれている。これによって、Rioが「デジタル音楽録音物」から「直接的に」録音しないこと、及びそれゆえ「伝送から」コピーを作成しない限りデジタル録音装置ではあり得ないことの確証が与えられる。


 地裁は制定法の明瞭な文言[3]に基づくデジタル音楽録音物の定義からコンピュータのハードドライブを除外することを拒絶した。なぜなら、地裁は、そのような除外は「立法経緯によって最終的に支持されず、[本法]の精神及び目的とは対照的である」と結論づけたからである。RIAA I, 29 F. Supp. 2d at 629。我々は、制定法の文言が明確であるから、立法経緯に頼る必要はない。City of Auburn v. United States, 154 F.3d 1025, 1030 (9th Cir. 1998)(「制定法の規定が率直な場合は、『立法経緯に頼る理由はない』」(United States v. Gonzales, 520 U.S. 1, 6 (1997)を引用している))参照。それにもかかわらず、我々はここで立法経緯を扱うこととする。なぜならば、それは制定法の明瞭な意味と一致しており、また、両当事者がそれを極めて広範囲に準備書面に記載しているからである。[4]


【5】上院のレポートは、「もし、有形物が固定された音に付随しないコンピュータプログラム又はデータベースを含んでいるとすると、その有形物は、デジタル音楽録音物の基本的定義に基づいた資格を有しないであろう」と述べている。[5]S. Rep. 102-294 (1992), reprinted at 1992 WL 133198, at *118-19。更に、上院のレポートは、「この定義は音の録音及びそれらの基礎にある作品を具体化するように普通に理解されるものをカバーすることを意図されている」述べている。同at *97。脚注は、この定義が歌が通常に固定されたものにのみ及ぶことを明示している:「録音されたCD、デジタルオーディオテープ、オーディオカセット、アルバム、デジタルコンパクトカセット、及びミニディスクである」。同at n.36。明瞭な定義の文言あるいは立法経緯のどちらによっても、「デジタル音楽録音物」の用語の解釈において、コンピュータのハードドライブ上に固定された歌を含む理由はまったくない。

【6】RIAAは、Rioが「その中に一つ又はより多くのコンピュータプログラムが固定されている有形物」というデジタル音楽録音物の定義の特殊な免除には入らないことを立法経緯が明らかにしていると主張する。著作権法1001(5)(B)(ii)条。下院のレポートは、その免除を「しゃべる本及びコンピュータプログラムの免除を反映した改訂」として記述している。H.R. Rep. 102-873(I) (1992), reprinted at 1992 WL 232935, at *35;同at *44(「『デジタル音楽録音物の定義におけるコンピュータプログラムの明文の除外を含んでいることに加えて、・・・』」)も参照。最初に、我々はコンピュータプログラムの免除を制限することは免除の明瞭な意味に反すると特に言及する。Diamondが指摘するように、コンピュータプログラムは有形物ではなく、むしろ、文字の著作物である、例えば、Apple Computer, Inc. v. Franklin Computer Corp., 714 F.2d 1240, 1249 (3d Cir. 1983)(「コンピュータプログラムは・・・『文字の著作物』である)参照、それはさまざまな物の中に固定されることができる、著作権法101条(「『文字の著作物』は・・・その中に具体化された本・・・テープ、ディスク、又はカードのような有形物の性質にかかわらず、数字、又は他の数字の記号若しくは印で表現された作品である。」)参照。したがって、免除の明瞭な文言は本法の範囲からプログラムのコピーを除外せず、その代わりに、さまざまな有形物からのコピーを除外している。これらの〔有形〕物はハードドライブを含んでおり、プログラムのコピーを除外する望ましい結果を間接的に達成している。しかし、その明瞭な文言により、免除はプログラムのコピーに制限されず、その代わりに、コンピュータハードドライブからのあらゆるコピーが免除されている。

 更に、コンピュータハードドライブは免除に入らないというRIAAの主張は妥当ではない。なぜなら、デジタル音楽録音物の定義の免除を扱う立法経緯の部分に関係なしに、同1001(5)(B)(ii)条参照、Rioはデジタル音楽録音物の基本的定義の明瞭な文言内にあるものからファイルを複製しないからである、同1001(5)(A)条。


 地裁は、デジタル音楽録音物からのハードドライブの免除、及び本法の範囲からの一般的なコンピュータプログラムの免除は、いかなる録音装置でも単に音楽をコンピュータにとおして、一時的にMP3ファイルをハードドライブ上に置くことを確保することによって、規制を[ ]免れることができるから、「[本法]を事実上骨抜きにするであろう。」と結論した。RIAA I, 29 F. Supp. 2d at 630。これは真実かもしれないとはいえ、本法はこの抜け道を作るように明瞭に立案されたようにみえる。


【7】デジタル録音装置の本法の定義の明瞭な意味に基づいて、コンピュータ(及びそのハードドライブ)は、その「主要な目的」がデジタル複製録音物を作成することではないから、デジタル録音装置ではない。著作権法1001(3)条参照。例えば、その主要な目的がデジタル複製録音物を作成することであるデジタルオーディオテープ装置とは違い、コンピュータの主張な目的はさまざまなプログラムを走らせることであり、それらのプログラムを走らせさまざまな仕事を実行するのに必要なデータを記録することである。立法経緯は「典型的なパソコンは『デジタル録音装置』の定義の範囲にはないであろう」という本法の条文のこの解釈と一致している、S. Rep. 102-294, at *122、なぜならば、パソコンの「記録機能は主にデータとコンピュータプログラムの記録のために設計され販売されている」、同at *121。上院のレポートの他の部分は、「記録機能の『主要な目的』がデジタル複製録音物よりも他のものを作るためであるなら、その機械又は装置が技術的にそのような録音物を作ることができるとしても、その機械又は装置は『デジタル録音装置』ではない。」同。したがって、立法経緯はコンピュータ(及び他の装置)がデジタル音楽録音物を録音できるようにする録音機能を有していることを明瞭に認識しおり、したがって、立法経緯は家庭録音及び海賊行為を本法が答を示す関係に関係づけている。それでもなお、立法経緯は本法の明瞭な文言−−コンピュータはデジタル録音装置ではない−−と一致している。[6]


【8】同様に、コンピュータはデジタル録音装置ではないから、SCMS要件に従う必要はなく、したがって、著作権及び世代状況に関する情報に基づいて送り、受け、又は作動する必要はない。著作権法1002(a)(2)条参照。そして、地裁が認定したように、MP3ファイルは一般に著作権及び世代状況に関する情報を提供するコードを伝えさえしない。RIAA I, 29 F. Supp. 2d. at 632参照。したがって、コピーを防ぐコードは無いであろうという単純な理由のために、SCMSを有する装置でさえSCMSコードを欠くMP3ファイルをコンピュータのハードドライブからダウンロードできるであろうから、本法はファイルがコンピュータをとおる通路によってロンダーリングすることを許容するよう立案されているようにみえる。

【9】重ねて、立法経緯は本法の明瞭な意味と一致している。SCMSシステムについて記述した技術参照文献には、「著作権及び/又は世代状況に関する情報を有さないデジタルオーディオ信号は・・・そのデジタルコピーが、主張される著作権及びオリジナル世代状況であるように[デジタル録音]装置によって録音される」と説明されている。Technical Reference Document for the Audio Home Recording Act of 1992, II-A, P 10, reprinted in H.R. Rep. 102-780(I), 32, 43 (1992) 。したがって、SCMSをRioへ組み込んだとすれば、Rioは、コピーされたファイルに「オリジナルな世代状況」としての印をつける限り、SCMSコードを欠いたMP3ファイルをコピーすることできるであろう。そして、そのような印は他のSCMS装置にそのような「オリジナル世代状況」の無制限の更なるコピーを作成することを許容するであろう[訳2]、例えば、H.R. Rep. 102-873(I), at *47 (「SCMSの元では消費者はデジタル音楽録音物から無制限の数のコピーを作ることができるだろう。」)参照、しかしながら、Rioは、記憶したファイルを他の装置にダウンロード又は伝送することができないことから、更なるコピーを作成することはできないのである。したがって、SCMSなしのRioはSCMSが許容するコピーよりも本質的に少ないコピーを許容しているのである。


【10】事実、Rioの作動は本法の主要な目的−−私的使用の便利化と完全に一致している。上院のレポートは、「[本法]の目的は著作権で保護された音楽を消費者が私的な非商業的使用のためにアナログ又はデジタル録音できる権利を保証するためのものである。」と説明している。S. Rep. 102-294, at *86。本法は家庭での録音の免除をとおしてそれを行っており、著作権法1008条(CRIC)参照、「消費者によるデジタル及びアナログ音楽録音物のあらゆる非商業的コピーを保護している。」H.R. Rep. 102-873(I), at *59。Rioはすでにユーザーのハードドライブ上に存在するファイルをポータブルにするために、又は「空間シフト」するために、コピーを作成しているにすぎない。Cf. Sony Corp. of America v. Universal City Studios, 464 U.S. 417, 455 (1984)(著作権で保護されたテレビショーのビデオによる「時間シフト」は著作権法に基づくフェアユースを構成し、侵害はないと判示している)と比較せよ。そのようなコピーは本法の目的と完全に一致する典型的な非商業的私的使用である。

IV 〔デジタル音楽録音物の伝送からの複製〕

 デジタル音楽録音物を直接的に複製することができないとしても、もし、「伝送から」デジタル音楽録音物を複製することでできるとすれば、Rioはデジタル音楽録音装置である。著作権法1001(1)条。


【11】法律の中には用語「伝送<transmission>」は定義されていないが、本法におけるその用語の使用から伝送<a transmission>が公衆への伝達<a communication>であることが暗示されている。同1002(e)条(「デジタルフォーマットの音の録音を公衆に伝送<transmit>又は他の方法で伝達<communicate>する者」に制限を課す)参照。(著作権法(この用語は著作権法から取ったようにみえる)の文脈から、「実演又展示を『伝送<transmit>』することは影像と音を送った場所以外で受ける装置又は方法によってそれを伝達<transmission>することである。」著作権法101条。著作権法の「伝送<communicate>」の定義はここにおける我々の目的に十分なものであることが立法経緯から確認できる。本法は、最初(及び堂々巡り的に)、「『伝送』<[a] `transmission'>は、放送局、ケーブルシステム、マルチポイント配布サービス、購読サービス、直接衛星放送、又は他のアナログ又はデジタル伝達<transmission>の、現在知られ又は後に開発されるオーディオ又はオーディオビジュアルの伝送<communication>である」と規定していた。S. Rep. 102-294, at *10。上院のレポートはラジオ放送を伝送の一例として記載している。同at *119(「伝送<a transmission>(例えば商業的に販売されたオーディオカセットのラジオ放送)と言及している。」)参照。両当事者は実のところ伝送の定義については争っておらず、むしろ、デジタル音楽録音物の伝送の間接的複製が本法でカバーされるかどうかを争っている。


 RIAAは、伝送の間接的複製により、Rioは十分に本法の範囲内のデジタル録音装置であると主張する。著作権法1001(1)条(デジタル録音装置は、「その複製が、他のデジタル音楽録音物から直接的に<directly from another digital musical recording>又は伝送から間接的に<indirectly from a transmission>作成されたデジタル音楽録音物のデジタル録音フォーマットの複製物」を作成することができる装置である。)参照。Diamondは副詞「間接的に」は「デジタル音楽録音物」の録音物を修飾しているのであり、「伝送から」の録音物を修飾しているのではないと主張している。Diamondは、制定法は、「その複製が、他のデジタル音楽録音物から[、]直接的に[、]又は伝送から[、]間接的に作成された」デジタル音楽録音物のデジタルフォーマットの複製物を作成することができる装置をカバーしていると解釈されるべきであると効果的に主張している。

【12】Rioがコンピュータのハードドライブから二つの装置をつなぐケーブルを介して直接的にファイルを複製することができるとしても(これは明らかに伝送ではない)、Rioは間接的に伝送を複製する<indirectly reproduce a transmission>ことができる。例えば、もし、デジタル録音物のラジオ放送がデジタルオーディオテープ装置又はCDレコーダーに録音され、コンピュータのハードドライブにアップロードされたとすれば、Rioはハードドライブからコピーをダウンロードすることによって、間接的にその伝送を複製することができる。したがって、もし、伝送の間接的複製<indirect reproduction of a transmission>が制定法の定義の範囲内であるとすれば、Rioはデジタル録音装置であることになるだろう。


【13】RIAAの制定法の文言の解釈は最初はもっともらしかったが、詳細な分析によって、制定法の文言及びコモンセンスと逆であることが明らかになった。制定法の文言の焦点はデジタル音楽録音物を複製することの二つの意味−−その録音物から直接的、又は間接的のどちらかで、伝送からその録音物を複製することによって−−に当てられているようにみえる。RIAAの本法の文言の解釈(「間接的」が、「伝送から<from a transmission>」コピーすることを修飾しており、基礎となるデジタル音楽録音物のコピーすることを修飾していない)は伝送の間接的録音<the indirect recording of transmissions>をカバーしているだけであり、制定法の範囲から伝送の直接的録音(例えば、ラジオから歌を録音すること)の制限を省略するものであろう。この解釈は本法が伝送<transmissions>へ与える保護を大きく減少させ、制定法の文言も構造も本法の保護がそのように制限されるべきである理由を規定してはいない。さらに、本法が伝送の間接的録音を制限し、伝送の直接的録音を無制限に許容しているというのはほとんど意味がない(例えば、ラジオからの歌の二次的録音を規制するが、ラジオからの歌の直接的録音を無制限に許容すること)。したがって、本法の最も論理的な解釈は、デジタル音楽録音物の直接的コピー<direct copying of digital music recordings>を保護し、また、録音物の伝送からデジタル音楽録音物の間接的コピー<indirect copying of digital music recordings from transmissions of those recordings>を保護することである。


 制定法のこの一節の議論の余地のある両義性のために、この点については立法経緯に頼る必要がある。Moyle v. Director, Office of Workers' Compensation Programs, 147 F.3d 1116, 1120 (9th Cir. 1998)(「制定法が両義的な場合は、[裁判所は]価値のある範囲で、解釈の助けとして、立法経緯を考慮する。」)、上告不受理、119 S. Ct. 1454 (1999)参照。上院のレポートには、「商業的に販売されたCD又はオーディオカセットから、又は商業的に販売されたCD又はオーディオカセットのラジオ放送から、作成されたデジタル録音物は『デジタル複製録音物』であろう。」と記述されている。S. Rep. 102-294, at *119。この記述は伝送の録音<the recording of a transmission>が本法の制限の範囲内にあるためには、間接的である必要はないことを示しており、RIAAが提案する関連する文言の解釈を否定している。更に、この記述は、録音物からデジタル音楽録音物の直接的コピー<direct copying of a digital music recording from that recording>の例、及び録音物の伝送からデジタル音楽録音物の間接的コピー<indirect copying of a digital music recording from a transmission of that recording>の例を提供することによって、制定法の定義をたどっている。したがって、立法経緯は最も論理的な制定法の解釈、我々が採用した:「間接的」が動詞「作成された」を修飾する−−他の言葉で言えば、デジタル音楽録音物の複製物を作成することを修飾している−−に確証を与えている。したがって、ある装置がデジタル音楽録音物を伝送からコピーを作成することによって間接的にコピーできるとすれば<if it can indirectly copy a digital music recording by making a copy from a transmission of that recording>、その装置は本法の規定の範囲内である。Rioは伝送からコピーを作成することができず<the Rio cannot make copies from transmissions>、その代わりに、コンピュータのハードドライブからコピーを作成できるだけであるから、デジタル録音装置ではない。[7]

V 〔結論〕

 以上の理由により、Rioは1992年家庭録音法の制限に基づくデジタル録音装置ではない。地裁はRioの製造販売に対する仮差止の申立を正しく却下した。そのように決定されたので、我々は困難性の天秤又は回復不能の被害の可能性が差止救済を支持するかどうかを検討する必要がない。

控訴棄却[訳3]


脚注

 ネバダ地方裁判所の高名なEdward C. Reed, Jr上席地裁裁判官、任命により臨席。

1.海賊行為がそのような金銭的被害を引き起こしているかどうかかは一つの争点である。産業海賊行為損失計算の評論家らは、無料のものを受けいれたがる者はそれが無料では入手できなくなっても同じものを購入しないことが多いという単純な理由により、無料の不法ファイルのダウンロードを喜んで行うことが必ずしも販売の減少には結びつかないと特に言及している。Lewis Kurlantzick & Jacqueline E. Pennino, The Audio Home Recording Act of 1992 and the Formation of Copyright Policy, 45 J. Copyright Soc'y U.S.A. 497, 506 (1998)参照。更に、評論家らは、商業的に利用できる録音物の価格はコピーの存在及びそのようなコピーが引き起こす利益と被害をすでに反映していることを特に言及しており;したがって、評論家らは、家庭での録音及び海賊行為から産業が受ける被害を、少なくとも部分的に、録音物の現在の価格が相殺していると主張している。同at 509-10参照。

2.仮差止が請求され、却下されたときに、RioはSCMSを組み込んでいなかった;今はRio自体ではなくRio Managerソフトウエアの中にそのようなシステムを組み込んだとDiamondは主張している。

3.もちろん、我々は記録によって支持された理由に基づいて控訴棄却することができる、Gemtel Corp. v. Community Redevelopment Agency of City of Los Angeles, 23 F.3d 1542, 1546 (9th Cir. 1994)参照、それゆえ、地裁が正しくない理由又は誤った理由づけに頼ったとしても、我々は控訴棄却することができる。Aronson v. Resolution Trust Corp., 38 F.3d 1110, 1114 (9th Cir. 1994)参照。

4.本法の〔控訴裁判所の〕合議体の解釈を導く先例は(地裁の命令以外)存在しない。他の連邦裁判所による発行された意見の中で、その事件で問題となった著作権法の規定に本法が影響を与える理由を説明するためにだけ、本法が一度検討されただけである。ABKCO Music, Inc. v. Stellar Records, Inc., 96 F.3d 60, 65-66 (2d Cir. 1996) (rejecting the contention that the Act changed or affected the definition of "phonorecord" in the Copyright Act)(本法が著作権法の「フォノレコード」の定義を変更又は影響を与えるという主張を拒絶している)参照。

5.上院のレポートは最初の用語「audiogram」を検討し、その後、用語「デジタル音楽録音物」に置き換えたが、二つの定義はほとんど同じであり、ただ一つの相違は「audiogram」の定義から音が固定されたもの以外の有形物の例を削除しただけである。Compare S. Rep. 102-294, at *4-5(「『audiogram』は(i)その中に、現在知られているか後に開発される方法で音だけ(例えば、音が伴っているとしても映画又は他のオーディオビジュアル作品ではない)、及び、もしあれば、その固定された音に付随するもの、陳述、又は説明が固定され、(ii)それから、直接的又は機械若しくは装置の助けにより、音及び〔付随する〕ものが知覚され、再生され、又は他の方法で伝達されるものである」)、と著作権法1001(5)(A)条(『デジタル音楽録音物』は(i)その中に、現在知られているか後に開発される方法で音だけ、及び、もしあれば、その固定された音に付随するもの、陳述、又は説明が固定され、(ii)それから、直接的又は機械若しくは装置の助けにより、音及び〔付随する〕ものが知覚され、複製され、又は他の方法で伝達されるものである」)とを比較せよ。従って、「audiogram」の定義に関する立法経緯のコメントは「デジタル音楽録音物」の定義の我々の解釈に関係している。

6.実際、Diamondは口頭弁論において、本法の範囲からのコンピュータの排除はさまざまな産業間の利害を賭けた注意深い交渉の結果の妥協であり、それなしでは、コンピュータ産業が本法の通過に激しく反対したであろう部分であると主張した(そして、本法の最終の文言に結実した交渉と妥協の直接参加者の宣誓供述書でその主張を支えた)。

7.間接的に複製された伝送物<any transmission reproduced indirectly>がMP3ファイルとしてRioに達するにはコンピュータを通らなければならないことに特に言及する。上記III.B.2で述べたように、コンピュータはSCMSコードを読み伝送する要件から免除されており、MP3ファイルはそのようなコードは組み込まれていない。したがって、Rioがデジタル音楽録音物の伝送を間接的に複製する<indirectly reproduce a transmission of a digital music recording>ことができるからという理由でRioにSCMSを実装することを要求することは、地裁が結論を下したように、「執行無用<an exercise in futility>」であろう。RIAA I, 29 F. Supp. 2d at 632。SCMSはRioのそのような伝送<transmissions>を複製する能力を変更しないであろう、同様にコンピュータのハードドライブへアップロードされたデジタル音楽録音物を複製するRioの能力も変更しないであろう。

以上
 


訳注

(訳1)1992年家庭録音法(米国著作権法1001条以降)と類似した日本の条文として、次に示す著作権法30条(CRIC)がある。また、30条2項に関連して、第5章私的録音画保証金(104条の2〜104条の11)(CRIC)が規定されている。なお、現在、デジタル方式の録音機器及び記録媒体として保証の対象になっているのは、、DAT(デジタル・オーディオ・テープレコーダー)、DCC(デジタル・コンパクト・カセット)、MD(ミニ・ディスク)の3種であるが、保証金は購入価格に含まれているので、ユーザーが私的録音のたびに保証金を支払う必要はない(Q&A私的録音保証金規定(CRIC)参照)。

第30条(私的使用のための複製)
@ 著作権の目的となっている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とする場合には、公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製するときを除き、その使用する者が複製することができる。
A 私的使用を目的として、デジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器(放送の業務のための特別の性能その他の私的使用に通常供されない特別の性能を有するもの及び録音機能付きの電話機その他の本来の機能に附属する機能として録音又は録画の機能を有するものを除く。)であって政令で定めるものにより、当該機器によるデジタル方式の録音又は録画の用に供される記録媒体であって政令で定めるものに録音又は録画を行う者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。
(訳2)「「オリジナル世代状況」の無制限の更なるコピーを作成することを許容するであろう」という表現は誤解をまねきやすい。SCMS装置によって、世代状況のない複製物に「オリジナル世代」の印が付けられるから、その「オリジナル世代」を次にSCMS装置が複製するときには「第2世代」となるはずである。SCMSがどの世代まで複製を許容するのかは不明であるが、例えば、第2世代まで複製を許容し、第3世代以降の複製は禁止するシステムであるとすれば、「無印」の複製物が、SCMS装置によって複製されることによって、「オリジナル世代」の印が付けられるから、それをSCMS装置で複製できるのは第2世代の一代限りである。第2世代はいくらでも複製できるが(つまり、一つの「親」から「子」はいくらでも複製できるが)、第3世代、第4世代、第5世代、・・・というような複製(つまり、「孫」「曾孫」・・・というような複製)は、SCMSが備えられた装置であれば、行うことができないと考えられる。

(訳3)この判決によれば、1992年家庭録音法が立法化されたときに、コンピュータがデジタル録音機能を有することが検討された上で、デジタル録音装置はデジタルオーディオテープ装置にようなものであり、コンピュータは含まれないとして、立法されたと考えられる。そして、この判決は、極めて厳密な文言解釈と立法経緯の斟酌によって、家庭録音法の条文の意味を明らかにしており、この判決の条文の解釈は正しいものと考えられる。しかし、コンピュータが汎用機であるのに対して、デジタルオーディオテープ装置もRioも音楽をデジタルに録音するための専用機である点では同じである。つまり、デジタルオーディオテープ装置とRioが本質的に異なったものであるとは考えられない。そして、家庭録音法が立法化された時点で、汎用機であるコンピュータは検討されたとしても、デジタル音楽専用機であるRioのような装置、インターネットの普及、及びMP3のような圧縮アルゴリズムが検討されたとは考えられない。したがって、この判決を受けて、Rioのような装置にデジタルオーディオテープ装置と同様な規制を課す立法が今後行われる可能性がある。なお、この判決はあくまで私的使用のためのデジタル録音に関するものであり、市販のCDをMP3で圧縮してインターネット・サーバーにアップロードすることは、私的使用を目的としたコピーではないから著作権侵害であり、日本では送信可能化権侵害でもある。この判決はアメリカの著作権法の一部である家庭録音法の条文の厳密な解釈に基づくものであるから、日本の著作権法の解釈に「直接的に」影響を及ぼすことはないが、何らかの形で、「間接的に」影響を受けることがあるかもしれない。

(訳4)「ケーブル・モデムの使用と結びついて、MP3のような圧縮アルゴリズムは1時間の音楽を数分でインターネットからパソコンにダウンロードすることを可能としている。」と記載されているが、この「ケーブルモデム」は、CATVのケーブルを利用したインターネットアクセスを意味しており、それだからこそ1時間の音楽を数分でダウンロードできるのである。電話回線を用いた場合は、2分間の音楽のMP3ファイルのファイルサイズは1.8メガバイト程度あり、33.3kbpsのモデム(実際には3キロバイト/秒程度)では、ダウンロードに10分程度かかる。なお、初心者にもわかりやすいMP3のサイトとして例えばMP3 TOPがある。

(訳5)日本でも以前は海賊サイトがかなりあったようであるが、JASRACの撲滅運動(Internet Watch)、警察による検挙(ZDNNMainichi)等によって、現在では海賊サイトを発見するのは、困難なようである。
 
 
 


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