抄訳 井上雅夫 1999.03.20 ↑UP 

アメリカ合衆国
連邦取引委員会(FTC)
INTEL CORPORATIONに関して
訴訟番号 NO. 9288

同 意 審 決

 ここに、Intel Corporationによって、正規の権限を有する職員によって(時に被審人、及びその代理人、及び連邦取引委員会審査官と呼ばれる)、両当事者間に、同意審決手続を定める委員会規則に基づき同意が締結される。ここに両当事者は以下に従い同意する:

1〜9 〔これまでの経緯、これからの手続き等〕  翻訳省略
 

命            令

I.〔定義〕

本命令において使用されるものとして、以下の定義の適用が命令される:

A.「Intel」又は「被審人」はIntel Corporation、その取締役、役員、従業員、代理人、代表者、前任者、継承者、及び譲渡人;Intelが支配する共同企業体、子会社、部局、グループ及び関係団体、並びに各々の各取締役、役員、従業員、代理人、代表者、前任者、継承者、及び譲渡人を意味する。

B.「委員会」は連邦取引委員会を意味する。

C.「アドバンス・テクニカル・インフォメーション」又は「AT情報」は、公式リリース日までに顧客がマイクロプロセッサを組み込んだシステムを市場へ投入できるように設計開発するために必要な汎用Intelマイクロプロセッサに関する秘密製品情報、すなわち(1)マイクロプロセッサの電気機械的及び熱的特性、(2)マイクロプロセッサのサンプル、(3)マイクロプロセッサの正誤表及びワークアラウンド又はフィックス、(4)IP紛争が生じる直前の期間に提供されたものと等価なレベルの(1)−(3)のテクニカルサポート、及び(5)その他の等価な特別な情報を意味する。本命令の目的のために以下の推定がなされる、あるマイクロプロセッサの公式リリース日の6ヶ月前よりも遅くないAT情報の開示はここに記載された期間内に顧客がシステムを設計開発するために十分であり、AT情報は被審人の顧客に一般的に提供されない詳細なマイクロプロセッサの設計情報及び半導体を設計するためにのみ関連した情報を含まない。

D.「知的所有権紛争」又は「IP紛争」は次の(1)又は(2)の状況を意味する、(1)被審人の顧客が、コンピュータ・テクノロジーに関連する特許権、著作権又はトレードシークレットを、被審人に対して、又は被審人が供給した製品に関連して被審人の他の顧客に対して、直接的又は間接的に主張する又は主張する恐れがある状況;又は(2)被審人による特許権、著作権又はトレードシークレットのライセンス又は他の移転の要求を被審人の顧客が拒絶する状況。

II.〔被審人 Intel の義務〕

更に、以下の命令がなされる、

A.下記パラグラフ II.B.に規定された事項を除き、本命令が最終的なものとなった日から10年間、本パラグラフで明らかにされた条件に従い、被審人は下記の行為又は下記の行為をなすと威嚇することを止めるものとする:(1)知的所有権紛争の時に、顧客が被審人からAT情報を受けている場合、その顧客とのIP紛争に関連した理由に基づいて、マイクロプロセッサの顧客がAT情報へアクセスすることを妨害、変更、中止、取消、保留又は拒否すること、又は(2)IP紛争の存在に基づいて汎用マイクロプロセッサの供給の決定をすること。ただし、その顧客が特許、著作権又はトレードシークレットを侵害すると主張するIntelのマイクロプロセッサに特有なAT情報又は製品供給の決定に関連しては、侵害を主張される対象のIntelのマイクロプロセッサと同一のコア・マイクロアーキテクチャー(例えば、P5,P6)に基礎を置く全てのIntelマイクロプロセッサの製造、使用、販売、販売の申出、又は輸入に対して差止を求めないことをその顧客が書面で合意しない限り、本パラグラフ II.A.の義務は適用できない、ことを条件とする;更に、ただし、ここに規定されているように、顧客が差止以外の、補償、損害賠償又は他の法的若しくは衡平法上の救済を求めていることを理由として、被審人は本パラグラフ II.A.で禁じられた行為を為してはならない、ことを条件とする。[訳1]

B.本命令のパラグラフ II.A.は以下のようには解釈しない:

1.特許権、著作権、トレードシークレット、集積回路配置権、商標権、又は他の知的所有権に関連してあらゆる可能な法的又は衡平法上の救済を求めることを被審人に禁止すること;AT情報を求める救済又は補償に関する紛争が上記パラグラフ II.A.で規定されているようにAT情報を顧客に提供し続ける被審人の義務に影響しないことを条件とする;

2.AT情報の開示又は使用に関する顧客と被審人の間の契約の顧客による契約違反を含む(それに限定はされない)、IP紛争の存在に関係のないビジネス上の考慮に基づき、顧客に対してAT情報を保留すること又は以前に提供したAT情報の返還を要求することを被審人に禁止すること、;

3.不自然な(サンプルを含む)製品供給、顧客の注文率及び支払経歴、又は製品の供給又は使用に関する顧客と被審人の間の契約の顧客による契約違反を含む(それに限定はされない)、IP紛争の存在に関連のないビジネス上の考慮に基づき、(サンプルを含む)製品供給の決定を行う被審人の権利を制限すること;

4.前年内に顧客が設計、開発又は設計、開発計画を説明しない種類のシステム(例えば、サーバー、ワークステーション、デスクトップ、モバイル・ユニット)の設計、開発を顧客が容易にできるように、AT情報の提供又は汎用マイクロプロセッサの供給を被審人に要求すること;

5.AT情報が関係するマイクロプロセッサを組み込むコンピュータ・システムの顧客の設計、開発にAT情報を使用することを制限することを被審人に禁止すること;

6.AT情報又は(サンプルを含む)製品が他の方法で被審人の顧客に対して開示又は供給できない時、AT情報の開示又は汎用マイクロプロセッサの供給を被審人に要求すること;又は

他の方法(権利の処分を含む)で被審人の知的所有権を制限すること。

III.〔この命令の被審人のウエブ・サイト等での公表、その他の通知〕
翻訳省略

 
IV.〔被審人に変更があったときの委員会への通知〕
翻訳省略

V.〔応諾確認のための委員会の被審人へのアクセス等〕
翻訳省略

            日に署名された。

Intel Corporation
a Corporation

By: Craig R. Barrett
社長兼CEO
Intel Corp.

Joseph Kattan
Gibson, Dunn & Crutcher LLP

連邦取引委員会(FTC)

John O'H. Horsley*
競争局副補佐官

Michael E. Antalics
競争局補佐官

Willard K. Tom
次長

Richard G. Parker
競争局上級副補佐官

William J. Baer
競争局局長

* Robert N. Cook, William R. Vigdor, Geoffrey Oliver, Tara L. Koslov, Erica Mintzer, Jeffrey Lin,Randall Conner, James W. Frost, Geoffrey Green, Fred Horne, Brian K. Grubeの代理として


(訳1) II.A.は極めてわかりにくいが、以下のような意味であると考える。Aの前半で、顧客(Intelのマイクロプロセッサを使用してシステムを製造販売している業者)とIntelとの知的所有権紛争があったときに、Intelがその紛争で相手に対抗する手段として、マイクロプロセッサに関する情報へのアクセスの拒否及びマイクロプロセッサの供給の拒否等の対抗策を取ってはならないと規定していると考えられる。そして、1番目のただし書きでは、顧客が「差止」でIntelに対して対抗してきた場合には、IntelはAの前半に規定された義務を適用されることなく、Intelは差止を主張されたマイクロプロセッサと同一コア・マイクロアーキテクチャのマイクロプロセッサに関しては、それに関する情報へのアクセスの拒否及び供給の拒否等の対抗策を取ることができることを規定していると考えられる。2番目のただし書きは、顧客が「損害賠償」等の差止以外の手段でIntelに対抗してきた場合には、IntelはAの前半に規定された義務を課せられると規定していると考えられる。この点についてIntelは3.17のプレスリリースで、「この和解はIntelが(Intelの)知的所有権について公正な代償を得ることを認めています。命令のキーとなる原理は、知的所有権紛争が生じた場合、顧客はIntelの製品の製造販売の差止を求める権利の放棄を選択し、Intelは製品情報及びサンプルを提供し続けるということです。」とコメントしている。なお、この命令は60日間、公衆の意見を聴取した後、委員会が最終的に採否を決定する。

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