翻訳 井上雅夫 1999.05.05   ↑UP 

 原典:Apple Computer, Inc v. Franklin Computer Corp., 219 USPQ 113 (3d Cir. 1983)

Apple OS事件

第3巡回区控訴裁判所

〔控訴人、原告〕  Apple Computer, Inc.
〔被控訴人、被告〕 Franklin Computer Corporation
No. 82-1582
1983.8.30判決

  目    次
I.イントロダクション
II.事実及び手続き経過
III.地裁の意見
IV.検討
  A.オブジェクトコードで表現されたコンピュータプログラムの著作権適格
  B.ROMに記録されたコンピュータプログラムの著作権適格
  C.コンピュータ・オペレーティングシステム・プログラムの著作権適格
    1.「プロセス」、「システム」又は「操作方法」
    2.アイディア/表現二分法
  D.回復不能の被害
  E.付加的問題
V.
脚注

ペンシルバニア東部地方裁判所からの控訴;215 USPQ 935

 Apple Computer, Inc.によるFranklin Computer Corporationに対する著作権侵害、特許権侵害、不正競争及び不正目的使用事件。著作権登録無効及び法的拘束力不存在確認反訴事件。原告による仮差止請求の却下に対する原告の控訴。取り消して差し戻す。

控訴人〔原告〕代理人 Jack E. Brown, Eugene D. Cohen, Joseph W. Mott, Lawrence C. D. Scarborough, and Brown & Bain, P.A., all of Phoenix, Ariz., Edwin H. Taylor, and Blakely, Sokoloff, Taylor Zafman, both of Beverly Hills, Calif., and Ronald L. Panitch, Jay K. Meadway, and Seidel, Gonda, Goldhammer & Panitch, P.C., all of Philadelphia, Pa.

被控訴人〔被告〕代理人 Jerome J. Shestack. Michael J. Niangan, Sherry A. Swirsky, Schnader, Harrison, Segal & Lewis, and Manny D. Pokotilow, Barry A. Stein, and Caesar. Rivise, Bernstein & Cohen, Ltd., all of Philadelphia, Pa.

Hunter, Higginbotham及びSloviter巡回裁判官による審理

Sloviter巡回裁判官執筆


I.イントロダクション

 Apple Computer, Inc.はAppleが保有する14のコンピュータプログラムの著作権のFranklin Computer Corp.の侵害に対して仮差止を請求し、その地裁の却下に対して控訴した。

 仮差止の認容又は却下の判断は地裁の裁量である。A.O. Smith Corp. v. FTC, 530 F.2d 515, 525 (3d Cir. 1976)参照。仮差止請求についての地裁の決定に対する我々の再審理の範囲は狭いが、法の適用において地裁が裁量を誤用した場合又は誤りを犯した場合は、取り消しが認められる。Kennecott Corp. v. Smith, 637 F.2d 181, 187 (3d Cir. 1980)。第2巡回区控訴裁判所が最近判示したように、「仮差止の認容は地裁裁判官の裁量であり、その決定は「誤用」のときだけ取り消されるという度重なる判示にもかかわらず、地裁が適用法について誤った見解に基づいて審理した場合には、控訴裁判所は取り消さなければならない。」Donovan v. Bierwirth, 680 F.2d 263, 269 (2d Cir.), cert. denied, 103 S.Ct. 488 (1982)。

 本件において、地裁はとりわけプログラムの著作権保護適格に関する疑念を理由として、仮差止を却下している。Apple Computer, Inc. v. Franklin Computer Corp., 545 F. Supp. 812, 215 USPQ 935 (E.D. Pa. 1982)。この法的判断は本件訴訟の今後の全ての手続きにおいて基本的なものであり、また、両当事者及び法廷助言者<amici curiae>が同意しているように、コンピュータ産業にとって少なからぬ重要性を有している。[1] 地裁が適用法の誤った見解に基づいて審理したと我々は結論し、我々は仮差止の却下を取り消し、差し戻す。


II.事実及び手続き経過

 Appleはコンピュータ産業のリーダーの一社であり、パーソナルコンピュータ(マイクロコンピュータ)、ディスク装置のような周辺装置、及びコンピュータプログラム(ソフトウエア)を製造販売している。同社は現在Apple IIコンピュータを製造し、150以上のプログラムを頒布している。Appleはこれまでに40万台以上のApple IIコンピュータを販売し、約3000名の従業員を雇用し、1981会計年度の年間売上は3億3500万ドルである。Appleの成功の副産物の一つは、サードパーティがApple IIコンピュータ上で走るように設計された膨大な数のコンピュータプログラムを開発したことである。

 原審の被告であるFranklinはACE 100パーソナルコンピュータを製造販売し、約75人を雇用し、販売したコンピュータは審尋の時点で1000台以下である。ACE 100は「Apple互換」として設計され、Apple IIコンピュータ用の周辺装置及びソフトウエアをACE 100と接続して使用することができる。互換性を得るためのAppleのオペレーティングシステム・コンピュータプログラムのFranklinによるコピーが本件訴訟を引き起こした。

 全てのコンピュータ同様、Apple II及びACE 100はプログラムを実行する集積回路である中央演算装置(CPU)を有している。素人的な言い方をすると、CPUは命令された仕事を実行する。この命令がコンピュータプログラムに含まれている。

 コンピュータプログラムを書くためのコンピュータ言語には3つのレベルがある。[2] よく使用されるBASICあるいはFORTRANのような高水準言語は英語及び記号を使用し、比較的学びやすく理解しやすい(例えば、「GO TO 40」は途中のステップをとばして40行のステップへ行けとコンピュータに命じるものである)。より低水準の言語はアセンブリ言語であり、アルファベットと数字を組み合わせた記号(例えば、「ADC」は「キャリーと共に加算」を意味する)からなる。高水準言語の命令及びアセンブリ言語の命令は「ソースコード」で書かれたものとして言及される。第3の、最も低水準のコンピュータ言語はマシン語であり、スイッチの開又は閉を表す二つのシンボル0及び1を使用した2進数の言語である(例えば、0110100」はAppleでは二つの数を加算し結果を保存することを意味する)。マシン語の命令は「オブジェクトコード」で記載されたものとして言及される。

 CPUはオブジェクトコードで書かれた命令だけに従う。しかし、通常、プログラムは人間によりわかりやすいソースコードで書かれる。ソースコードで書かれたプログラムは「コンパイラ」プログラムによってコンピュータによって使用できるようにオブジェクトコードに変換又は翻訳される。プログラムは一般にオブジェクトコードだけが記憶装置に保存されて配布される。

 コンピュータプログラムは種々の記憶装置に保存又は固定されるが、その中の二つが本件と特に関連している。ROM(リードオンリーメモリ)は半導体「チップ」から成るコンピュータの回路に組み込まれた内部的な永久記憶装置である。プログラムはコンピュータに組み込まれる前にオブジェクトコードでROMに格納される。ROMに記憶された情報は読むことだけができ、消去又は再書き込みはできない。[3] ACE 100は記憶情報を消すことができ、チップに再書き込みができるEPROM(消去可能プログラマブル・リードオンリーメモリ)を有していることは明らかであるが、地裁は本件訴訟のためには、ROMとEPROMの相違は重要ではないと認定した。545 F. Supp. at 813 n.3, 215 USPQ 935, 938 n.3。係争中のプログラムを保存するために使用される他の装置はディスケット又は「フロッピーディスク」であり、コンピュータに挿入し、それからデータや命令を読むことができるレコードに似たフレキシブルな磁気ディスクからなる補助記憶装置である。

 コンピュータプログラムは機能によりアプリケーション・プログラム又はオペレーティングシステム・プログラムのどちらかに分類される。通常、アプリケーション・プログラムはワープロ、小切手残高管理又はゲームのようなコンピュータユーザーのための特定の仕事を実行する。これに対して、オペレーティングシステム・プログラムは一般にコンピュータの内部的な機能を管理したり、アプリケーション・プログラムの使用を可能にする。本件訴訟で係争中の14のプログラムがオペレーティングシステム・プログラムであることに争いはない。[4]

 Appleは1982年5月12日、Franklinは14のプログラムの著作権侵害、特許権侵害、不正競争及び不正目的使用の責を負うべきであるとして、28 U.S.C.〔訴訟法〕1338条に基づきペンシルバニア東部地方裁判所に訴えた。Franklinは著作権の訴因に関して当該プログラムは著作権適格な内容を含んでいないという抗弁を含む答弁している。Franklinは著作権登録の無効及び法的拘束力不存在の確認を求めて反訴し、Appleのミスユースに基づく積極的救済を求めた。また、FranklinはAppleが17 U.S.C.〔著作権法〕410, 411条に基づく訴訟手続要件に従っていないことを根拠に14の著作権侵害訴因の11の却下を申し立てた。

 証拠開示手続の後、AppleはFranklinによるAppleの著作物の使用、コピー、販売又は侵害を排除する仮差止を申し立てた。地裁は著作権侵害請求に限定した3日間の証拠調べ期日を開廷した。AppleはFranklinがACE 100コンピュータに付属して販売したプログラムは14のAppleの著作物と実質的に同一であることを宣誓供述書及び証言の形で立証した。存在する差異はわずかなものであり、Appleの表記又はその著作権表示の削除のようなものにすぎない。[5] AppleのシステムプログラマであるJames HustonはFranklinのプログラムは「疑いもなくAppleからのコピーであり、独立して創作されたはずはあり得ない」と結論づけた。彼は「コードのこれほどたくさんの行を同一に書くのはほとんど不可能である」からというだけでなく、一つのプログラム(Master Create)の中に記された彼の名前、及び他のプログラム(DOS 3.3)の中に記された「Applesoft」の語がFranklinのマスターディスクに記されていることからも、この結論に達した。Appleは以前のバージョン作成の時間若しくは費用又はプログラムの販売費用を含まずに46人月をかけて74万ドル以上の費用で本件著作物を作成したと見積もった。

 FranklinはAppleのプログラムをコピーしたことは争わなかった。被告の証人は本件著作物がAppleのプログラムのコピーであることを認めた。被告の事実に関する防御はFranklinが自らのオペレーティングシステムを作成することは不可能であるという主張に向けられている。現在のFranklinの技術担当副社長であるDavid McWherterは1981年11月にFranklinが自分自身のautostart ROMプログラムを書くことが可能かどうかを決定するために30−40時間にわたり調査し、そのプログラムの命令の数に関係したエントリポイントがあまりに多いから不可能であると結論づけたと証言した。そのプログラムの特定の位置のエントリポイントはプログラマがアプリケーション・プログラムをオペレーティングシステム・プログラムに繋ぐために使用するものである。McWherterはAppleコンピュータ上で走るために作成されたアプリケーション・プログラムと100%の互換性を保証するためには同一の信号の使用が必要であると結論づけている。彼はAutostart ROMのリライト<rewrite>を試みたことはないことを認め、かつ、本件著作物のいくつか(例えばCopy, Copy A, Master Create,及びHello)は多分Franklinによってリライトできただろうことを認めている。McWherterはFranklinはAppleプログラムのいくつかの「再設計の過程」にあり、それがうまくいくというかなりの程度の確信を持っていると証言したが、FranklinはCopyを除き本件訴訟の前にプログラムのリライトを試みなかった。AppleはFranklinがAutostart ROMを含むプログラムをリライトすることができ、Apple IIと互換性を有するサードパーティのオペレーティングシステム・プログラムが存在することを立証した。

 仮差止の審尋及び控訴審におけるFranklinの主要な防御は主に法的なものであり、Apple IIのオペレーティングシステム・プログラムは著作権保護適格がないという主張に向かっている。

 地裁は1982年7月30日の命令及び意見によって仮差止請求を却下した。Appleは地裁の決定の3日後の1982年8月2日になされたWilliams Electronics, Inc. v. Artic International, Inc., 685 F.2d 870, 215 USPQ 405 (3d Cir. 1982)事件に照らして再審理を申し立てた。地裁は再審請求を却下した。我々は28 U.S.C.〔訴訟法〕1292(a)(1)条に基づく控訴の裁判管轄権を有する。


III.地裁の意見

 地裁の意見によれば、地裁は仮差止のために要求されると考えられる4つの要素:本案訴訟における合理的な勝訴の可能性;回復不能の被害;他方利害関係人の被害がありそうもないこと及び公衆の利益、に言及している。545 F. Supp. at 825, 215 USPQ at 947-48; Delaware River Port Authority v. Transamerican Trailer Transport, Inc., 501 F.2d 917, 919-20 (2d Cir. 1974)参照。地裁は申立の却下は最初の二つの要素に基づいていると述べている。地裁は「本件プログラムの著作権適格に関して疑念があると結論した」ことにより、Appleが本案訴訟における勝訴の可能性の証明要件を立証できなかったと判断した。545 F. Supp. at 812, 215 USPQ at 935。また、地裁は「差止はFranklinのビジネスに対して「破壊的な影響」を及ぼすから、Franklinが仮差止の影響を耐えるよりも、Appleが訴訟中に被る被害がどのようなものであったとしてもAppleが耐えるのがより適している」と述べており、Id. at 825, 215 USPQ at 947-48、Appleが回復不能な被害の立証に失敗したことに基づいて結論を下したことは明らかである。.

 我々が焦点を合わせることができる地裁の見解を明らかにした事実認定も、記載も、判示も存在しないから、なぜ、地裁が本件プログラムの著作物性を問題にしたのかは正確にはわからない。地裁は、その意見の隅々で、「本件によって提出された問題の複雑性」に言及している、545 F. Supp. at 824, 215 USPQ at 947, and the "baffling" problem at issue. Id. at 822, 215 USPQ at 945。

 地裁の意見は、最終的な結論に導き両当事者及び法廷助言者が判示とみなす一連の一般化された懸念を表明している。地裁は著作権法に基づく「オリジナルな著作物」(17 U.S.C.〔著作権法〕§102(a))の認定の要件に言及し、「オリジナルな著作物」の制定法上の要件を満足するに十分な「わずかばかりの創作性」があることを認定したようにみえる。545 F. Supp. at 820-21, 215 USPQat 943-944。地裁は、プログラマによるコンピュータプログラムの創作が「著作物」の要件を満足するかどうか、同、また、バイナリコード又はROM内に若しくはマイクロスイッチによって表現されたものとしてのオペレーティングシステム・プログラムが著作権で保護されない「アイディア」から区別できる保護される「表現」であるかどうかに関しては、よりはっきりしなかった。同at 821, 215 USPQ at 944。

 重ねて、我々は明確な判示を指摘することはできないが、地裁意見をとおして、ROM内のオブジェクトコードのプログラムが著作権で保護されないことを示唆している。例えば、地裁は、一連のとりとめのない脚注で、「ROM内のオブジェクトコードが著作権で保護されないと判断している」次の地裁意見が「説得力がある」と認定したと述べている、545 F. Supp. at 818 n. 8, 215 USPQ at 941 n.8、(他の根拠に基づいて控訴棄却(628 F.2d 1038, 208 USPQ 197 (7th Cir. 1980))されたData Cash Systems, Inc. v. JS&A Group, Inc., 480 F. Supp. 1063, 203 USPQ 735 (N.D. Ill. 1979)に言及している);反対の結論に達した次の判決を「ほとんど頼りにならない少々簡単な分析」であると記している、545 F. Supp. at 818 n.8, 215 USPQ at 941 n.8(Tandy Corp. v. Personal Micro Computers, Inc., 524 F. Supp. 171, 214 USPQ 178 (N.D. Cal. 1981)の論拠に従うGCA Corp. v. Chance, 217 USPQ 718 (N.D. Cal. 1982)に言及している);そして、「オブジェクトコード及びROMの著作権適格に関する議会の意図がはっきりしないこと」(545 F. Supp. at 819 n.9, 215 USPQ at 942 n.9)及び産業界の中でさえ著作権法が「ROMベースの本件のような」ものを保護することは明確ではないと述べている、同at 819 n.10, 215 USPQ at 942 n.10。

 我々は地裁の意見は次の法律問題を提示していると解釈する:(1)オブジェクトコードで表現されたコンピュータプログラムに著作権は存在するかどうか、(2)ROMに埋め込まれたコンピュータプログラムに著作権は存在するかどうか、(3)オペレーティングシステム・プログラムに著作権は存在するかどうか、及び(4)他に依存しない回復不能な被害は著作権侵害事件における仮差止において証明されなければならないかどうか。


IV.検討

A.オブジェクトコードで表現されたコンピュータプログラムの著作権適格

 【1】地裁のある記述はオブジェクトコードで表現されたプログラムは、ソースコードとは区別され、著作権の適切な対象とはなり得ないと示唆している。我々は制定法にそのような懸念の根拠を見いだせない。そのうえ、上記Williams Electronics, Inc. v. Artic International, Inc.事件における我々[訳1]の意見は地裁によって表明された数多くの疑念に終息を与える。

 【2】1976年、少なからぬ検討の後、議会は1909年以来支配してきた著作権法を置き換えるために新著作権法を制定した。1976年10月19日法Pub. L. No. 94-553, 90 Stat. 2541 (codified at 17 U.S.C.〔著作権法〕§§101 et seq.)。新法に基づき、作品が著作権適格を構成するために二つの主要な要件が満足されなければならない−「オリジナルな著作物」でなければならず、かつ「有形の表現媒体に固定」されていなければならない。17 U.S.C.〔著作権法〕§102(a)。著作権法は次のように規定する:

(a)著作権の保護は、この法律にしたがい、現在知られ又は後に開発される任意の有形の表現媒体に固定されたオリジナルな著作物に与えられる。表現媒体から著作物は直接的に、又は機械若しくは装置の助けにより、知覚され、再生され又は別の方法で伝達されることができる。
同。著作権法は「著作物」として7つのカテゴリーを列挙し、その中には次に示す「文字の著作物」が含まれる:
「文字の著作物」は、オーディオビジュアルの著作物以外で、言葉、数字又は他の言葉若しくは数字の記号若しくは印によって表現され、本、定期刊行物、原稿、音響レコード、フィルム、テープ、ディスク又はカードのような有形物の性質にかかわらず、その中に表現された作品である。
17 U.S.C.〔著作権法〕 §101。著作物は次の場合に有形の表現媒体に固定されている:
複製物又は音響レコードの中に著作者の権限によって若しくは権限のもとに表現されたものが、一時的期間以上の間、知覚され、再生され又は別の方法で伝達されることができるだけ、十分に永久的又は安定である。伝達されているものである音、映像又は両方から構成される著作物は、その著作物の固定が伝達と同時になされているものであるとき、本法の目的において「固定」されている。
同。

 【3】102(a)条はコンピュータプログラムを著作物として明示的に挙げていないが、立法経過はプログラムは文字の著作物として著作権適格があると考えられていたことを示唆している。H.R. Rep. No. 1476, 94th Cong., 2d Sess. 54, reprinted in 1976 U.S. Code Cong. & Ad. News 5659, 5667 (「文字の著作物は・・・コンピュータプログラムを・・・含む)参照。

 ニューテクノロジー利用委員会(「CONTU」)は特に著作物のコンピュータ利用を検討するために議会によって設置された、Pub. L. No. 93-573, §201, 88 Stat. 1873 (1974)、議会は、CONTUレポート及び勧告[6]の中でコンピュータの利用に関係して1976年法で、現在の117条を制定した。

 CONTUの最終レポートは、特に、「コンピュータプログラムが、著作者のオリジナルな創作を表現している限り、しかるべく著作権の対象であることを明示すべく」修正するよう勧告した。著作物のニューテクノロジー利用に関する国家委員会、最終レポート1(1979)[以下CONTUレポート]。CONTUは次に関連して二つの変更を勧告した:それまでの117条は廃止し、「コンピュータプログラムの複製物の正当な所有者はこれらの著作物を使用又は使用のための改作ができることが確保される」ように排他的権利を制限する条項と置き換える;及びコンピュータプログラムの定義を101条に追加する。同at 12。議会は両方の変更を採択した。Act of Dec. 12, 1980, Pub. L. No. 96-5 17, §10, 94 Stat. 3015, 3028。改正はコンピュータソフトウエアの著作権法を明確化するCONTUの勧告を盛り込んだ。H.R. Rep. No. 1307, 96th Cong., 2d Sess. 23, reprinted in 1980 U.S. Code Cong. & Ad. News 6460, 6482。

 【4】1980年の改正はコンピュータプログラムの定義を追加した:

コンピュータ・プログラム」は、一つの結果をもたらすために、コンピュータにおいて直接的又は間接的に使用される文又は命令を組み合わせたものである。
17 U.S.C.〔著作権法〕 §101。また、この改正によって「コンピュータプログラムの利用に」又は「保管用のみを目的として」必要なときは「コンピュータプログラムの複製物の所有者が、そのコンピュータプログラムのもう一つの複製物又は翻案物を作成することを行うこと、又は委任することは、侵害ではない。 」と規定する新117条に改正された。17 U.S.C. 〔著作権法〕§117。この条文が現在の訴訟には関係ないことに両当事者間に争いはない。しかしながら、複製禁止への例外を作ることによって、この条文の文言はプログラムは著作権適格があり、その他の場合は著作権の保護が与えられることを明瞭に示している。

 我々[訳1]はWilliams Electronics, Inc. v. Artic International, Inc.事件でコンピュータプログラムの著作権保護問題を検討し、「コンピュータプログラムの著作権適格は1980年の著作権法改正によって明確に確立された」と結論づけた。685 F.2d at 875, 215 USPQ at 409。Williams事件で問題となったのはビデオゲームの「アトラクトモード」と「プレイモード」に関する二つのオーディオビジュアルの著作物ばかりでなく、ROM内にオブジェクトコードで表現され、ゲームの映像と音を制御するコンピュータプログラムでもあった。その事件の被告は「コンピュータプログラムが問題となるときは、著作権保護が与えられる『ソースコード』バージョンと保護されない『オブジェクト』段階の間に区別をしなければならない」と主張したが、我々はその主張を拒絶した。同at 876, 215 USPQ at 409-10。

 本件において地裁は、著作権は「顕微鏡と忍耐力を有する専門家によって読まれるものとは区別して、人間の読者によって『読まれる』ように企てられた」作品に限定されるべきであるかどうかを問題としている、545 F. Supp. at 821, 215 USPQ at 944。著作権適格が個人への伝達機能に依存しているという示唆はWhite-Smith Music Publishing Co. v. Apollo Co., 209 U.S. 1 (1908)に由来し、この判決は、極めてわずかな専門家を除き、他人が知覚することができる形をとっていないから、ピアノロールは音楽の作曲のコピーではないと判示した。1 Nimmer on Copyright §2.03[B][1] (1983)参照。しかしながら、1976年法の文言及び立法過程から、White-Smith. H.R. Rep. No. 1476, supra, at 52, reprinted in 1976 U.S. Code Cong. & Ad. News at 5665から生じた区別を抹消することが意図されていることは明らかである。

 【5】制定法に基づき、著作権は、「著作物が直接的に、又は機械若しくは装置の助けにより、知覚され、再生され又は別の方法で伝達されることができる」有形の表現媒体中の作品に及ぶ。17 U.S.C.〔著作権法〕§102(a)(強調付加)。更に、1980年改正において議会で採択された「コンピュータプログラム」の定義は、「一つの結果をもたらすために、コンピュータにおいて直接的又は間接的に使用される文又は命令を組み合わせたもの」である。17 U.S.C. 〔著作権法〕§101(強調付加)。ソースコードの命令は、コンピュータで作動可能となるためには、オブジェクトコードに翻訳されなければならないから、オブジェクトコードで表現された命令だけがコンピュータによって「直接的に」使用可能である。Midway Manufacturing Co. v. Strohon, No. 82 C 1305, slip op. at 25-26, 219 USPQ 42, 50 (N.D. Ill. June 1, 1983)参照。この定義はオブジェクトコードは適正な著作権の対象であるという立場を多数派が明確にとるCONTUレポートに従って採択されたものである。CONTU Report at 21。プログラムの「マシン制御フェーズ」は人間の聴衆に向けられていないという説に基礎を置く異義に直面したにもかかわらず、多数派の結論はなされたのである。CONTU Report at 28-30(Hersey委員の異義)。

 Williams事件における被告も著作物は「人間に理解できるものでなければならず、人間に対するコミュニケーション手段として意図されていなければならない」と主張した。同at 876-77, 215 USPQ at 409-10。我々がWilliams事件においてその主張を拒絶したときに述べたことをもう一度繰り返す:「被告の主張に対する解答は制定法自体の文言の中にある。」685 F.2d at 877, 215 USPQ at 410。

 【6】また、地裁はオブジェクトコードのコンピュータプログラムは「文字の著作物」に分類することができるかどうかに関して不安を述べている。[7] しかし、7つの著作権適格カテゴリーの一つである「文字の著作物」のカテゴリーはヘミングウェイの「誰がために鐘が鳴る」のような文学に限定されていない。101条の「文字の著作物」の定義は文字ばかりでなく「数字、又は他の数字の記号若しくは印」で表現されたものを含んでおり、それにより「文字の著作物」の普通の使用法を拡張している。Harcourt, Brace & World, Inc. v. Graphic Controls Corp., 329 F. Supp. 517, 523-24, 171 USPQ 219, 223-224 (S.D.N.Y. 1971)(解答用紙の問又は解答スペースを示す記号は1909年法に基づく著作権適格の「作品」であると判示した);Reiss v. National Quotation Bureau, Inc., 276 F. 717 (S.D.N.Y. 1921) (電信用造語のコードブックは著作権適格である)参照。したがって、オブジェクトコードであろうとソースコードであろうとコンピュータプログラムは「文字の著作物」であり、オブジェクト又はソースコード・バージョンかどうかにかかわらず、許諾されないコピーから保護される。Accord Midway Mfg. Co. v. Strohon, slip op. at 25-27, 219 USPQ at 50- I; OCA Corp. v. Chance, 217 USPQ at 7 19-20も参照。


B.ROMに記録されたコンピュータプログラムの著作権適格

 【7】地裁によるソースコードとオブジェクトコードの間の区別の示唆が地裁の意見の3日後になされたWilliams事件における我々の意見によって否定されたのとちょうど同じように、ROM内に記録されたコンピュータプログラムのは伝統的な著述と区別して著作権適格を損ねているという地裁の示唆も否定された。Williams事件において、「プログラムが電子的記憶装置(ROM)にロードされ、マシンの活動を制御するために使用された場合、コンピュータプログラムは侵害されていない」という主張を我々は拒絶した。685 F.2d at 876, 215 USPQ at 409-10。その事件の被告は、ROMは実用的なものあるいはマシンの一部であるから、著作権の保護を受けることはできないと主張した。我々は、その問題に関して制定法の「固定」の要件はROM装置の中に表現されたものが完全に満たしていると判示した。同at 874, 876, 215 USPQ at 408, 410;Midway Mfg. Co. v. Strohon, slip op. at 27-30, 219 USPQ 51; Tandy Corp. v. Personal Micro Computers, Inc., 524 F. Supp at 173 "14 USPQ at 179; cf. Stern Electronics, Inc. v. Kaufman, 669 F.2d 852, 855-56, 213 USPQ 443, 445-446 (2d Cir. I 982) (ROM内に「固定」されたビデオゲームのオーディオビジュアル表示)も参照。それゆえ、ROMチップに格納されたオブジェクトコードのコンピュータプログラムは適切な著作権の対象であると我々は再度確認する。Note, Copyright Protection of Computer Program Object Code, 96 Harv. L. Rev. 1723 (1983); Note, Copyright Protection for Computer Programs in Read Only Memory Chips, 11 Hofstra L. Rev. 329 (1982)も参照。


C.コンピュータ・オペレーティングシステム・プログラムの著作権適格

 オペレーティングシステム・プログラムはアプリケーション・プログラムと区別され、「それらが固定された言語又は媒体にかかわらず」著作権の適切な対象ではないというFranklinの控訴審における立場の核心について検討する。控訴状at 15(強調削除)。Appleは、William事件のプログラムのいくつかの部分は事実上オペレーティングシステム・プログラムであるから、この問題も我々のWilliam判決によって解決されていると示唆している。これはWilliams事件で両当事者によって争われた問題ではなく、裁判所が検討していない点ではFranklinが正しい。したがって、我々は最初の問題としてこの問題を検討する。

 Franklinは、オペレーティングシステム・プログラムはそれ自体著作権法102(b)条の文言及びBaker v. Selden, 101 U.S. 99 (1879)事件の先例及び基礎となる原理に基づいて、著作権の保護から排除されていると主張する。これらの別個の根拠は本質的な分析ではオーバーラップしている。

 Baker v. Selden事件において、原告の継承人は、そのシステムで使用するために設計された罫線及び見出しを有する書式を含む簿記システムを説明して、帳簿について著作権を主張した。原告は、結果に関する限り類似したやり方が使用されているが、被告の異なった列の配置と異なった見出しを含む帳簿の出版に対して著作権侵害訴訟を提起した。最高裁は、原告勝訴の判決を破棄し、何も書いていない会計帳簿は著作権の対象ではなく、「Selden〔原告〕の帳簿の単なる著作権が彼がデザインした罫線が引かれ配列され当該帳簿に記述又は描画された会計帳簿を作成及び使用する排他的権利を彼に与えることはない」と結論している。同at 107。最高裁は、帳簿の著作権はその帳簿の中で明らかにされているシステムを使用する排他的な権利を原告に与えないと判示し、例えば、「数理科学の著作物が著者が提議した演算方法について排他的権利を著者に与えることはあり得ない」と特に言及している。同at 103。FranklinはBaker v. Selden事件を「Appleのオペレーティングシステムの著作権適格に対する回避不能の障害物となる基本的な原理を示すもの」としている。Franklinは次のように述べる:

 第1に、Baker事件は、システムの使用自体はシステムが記述されたものの著作権を侵害しないことを教示している。第2に、Baker事件は、著作権は純粋に実用的な作品には及ばないという法則を宣言している。最後に、Baker事件は、著作権法はアイディアについての独占を得るために使用することはできないことを強調している。そうすることによって、Baker事件は、著作権法と特許法の主要な相違−本件に極めて関連する相違−を浮き彫りにしている。
被控訴人書面at 22.

 【8】Franklinが頼る他の根拠である著作権法102(b)条はBaker v. Selden判決の遙かに後の1976年版において最初に出現した。その条文は次のように規定する:

 オリジナルな著作物の著作権の保護は、その著作物の中で、記載され、説明され、図解され、又は具体化された形式に関わらず、アイディア、手順、プロセス、システム、操作方法、概念、原理、発見には、決して及ばない。

 102(b)条Baker v. Seldenの判示及び傍論を成文法化していることは明らかである。I Nimmer on Copyright §2.18[D], at 2-207参照。

 次に我々はFranklinの主張の二つの主要な論点を検討する。

1.「プロセス」、「システム」又は「操作方法」

 【9、10】Franklinは、オペレーティングシステム・プログラムは「プロセス」、「システム」又は「操作方法」のいずれかであると主張する。[8] Franklinは102(b)条及びBaker v. Seldenを引用した著述の多くの基礎となっているものは発明を保護する特許法に基づく所有権とそのような発明を記述する著作を保護する著作権法との間になければならない区別であると正しく言及している。しかしながら、Franklinの主張は本件における区別への誤った適用である。Appleはコンピュータにオペレーティング機能の実行を命令する方法<method>を著作権で保護することを求めてはいるのではなく、命令それ自体だけの保護を求めている。方法は、もし、まだまったく解決されていなかった問題ならば、特許法によって、保護されるであろう。Diamond v. Diehr, 450 U.S. 175 (1981)参照。

 【11】Franklinのオペレーティングシステム・プログラムは「方法」又は「プロセス」であるという攻撃は、アプリケーション・プログラムは適切な著作権の対象であるという譲歩と矛盾しているようにみえる。両方のタイプのプログラムはコンピュータに何かをするように命令する。したがって、102(b)条の目的にとって、これらの命令がコンピュータに所得税申告の準備を助けること(アプリケーション・プログラムの仕事)を命じているのか、あるいはソースコードの高水準言語プログラムをバイナリ言語のオブジェクトコードの形に翻訳すること(「Applesoft」([4]参照)のようなオペレーティングシステム・プログラムの仕事)を命じているのかどうかに区別はない。保護されるのは命令だけであり、難解で複雑なマシンを作動させるために必要なステップを記述したマニュアル中で命令が通常の英語で書かれている場合と同様に、オペレーティングシステム・プログラム中の命令はコンピュータを作動させるために使われているから、「プロセス」は関係しない。それゆえ、アプリケーション・プログラム中の命令よりも、オペレーティングシステム・プログラム中の命令の著作権保護を弱めるいかなる理由もない。

 【12】オペレーティングシステム・プログラムはマシンの一部であるという地裁に受け入れられたFranklinの主張は命令の物理的特徴に誤って焦点を合わせている。しかし、媒体はメッセージではない[訳2]。我々はオブジェクトコード及びROMの議論でこの論点を既に検討し拒絶した。オペレーティングシステムがROMに刻み込まれてもよいという事実はプログラムをマシン、マシンの一部又はその均等物のどれかにするわけではない。

 更に、Franklinの証人の一人が証言したように、オペレーティングシステムはマシンのROM内に永久になければならないことはなく、フロッピーディスク、磁気テープのような何か他の媒体上にあり、コンピュータの一時的なメモリ空間に容易に転送できるのでもよい。実際、問題となっているオペレーティングシステムのいくつかはフロッピーディスク上にある。CONTUの多数派は次のように述べている。

ビデオテープやレコードが再生装置の一部と考えられるべきないのと同様に、プログラムはマシンの一部であると考えられるべきではない。・・・プログラムの用語が結局のところプロセスの実装〔インプリメンテーション〕において使用されることは著作権適格に全く影響しない。
CONTU Report at 21。
 また、Franklinは、オペレーティングシステムは「純粋な実用的な作品」であるから著作権で保護することはできず、Appleはオペレーティングシステムの中に具体化された技術の使用を妨害することを求めていると主張している。この主張はBaker v. Selden事件の次の傍論から生じている:
科学又は実用技術に関する著書を出版する真の目的はそれに含まれる有用な知識を世界に伝えることである。しかし、もし著書の海賊行為の罪を引き起こすことなしに知識が使用できないとしたら、この目的は挫折するだろう。そして、それが教示する技術がその著書で使用された方法及び図表又はそれらと同様なものを用いることなしに使用できないときは、そのような方法及び図表はその技術に必須な付随物と考えられるべきであり、直ちに公衆に与えられるべきである;その技術を説明する他の著書の出版のために与えられるのではなく、実際の応用のために与えられるのである。
101 U.S. at 103。我々はいくつかの裁判所(例えばTaylor Instrument Companies v. Fawley-Brost Co., 139 F.2d 989, 59 IJSPQ 384 (7th Cir. 1943)、上告不受理、321 U.S. 785, 60 USPQ 579 (1944)参照)でなされたこの文言に与えられた拡張的な解釈を受け入れることはできない。この点で、我々はNimmer教授が論文で発表された見解に同意する。1 Nimmer on Copyright §2.18[C]参照。

 【13】この文言の字義どおりの解釈が著作物が実用的な利用に置かれるならば著作権適格を排除するというFranklinの解釈を支持するとしても、その解釈は後の最高裁判決によって拒絶されている。Mazer v. Stein, 347 U.S. 201. 218, 100 USPQ 325 (1954)(FindLaw)事件において、最高裁は次のように判示する:「我々は著作権適格物の産業上の使用又はそれを意図する使用が〔著作権〕登録を禁じる又は無効とするという議論を支持するものを著作権法の中に全く見いださない。」同at 218, 100 USPQ at 333。また、CONTUの多数派はいくつかの裁判所がBaker v. Selden事件に見いだした拡張的な見方を拒絶し、「プログラムの用語がプロセスの実装〔インプリメンテーション〕において使用されることは著作権適格に全く影響しない」と述べている。同at 21。また、「利用にかかわらず著作物の著作権保護を認める現在及び過去の著作権」について言及している。同。委員会は続ける:「ゲーム又はマシンの操作システムのための記述された規則の著作権の地位は、その規則がそのゲームをプレイする又はそのプロセスを実行する者の行動を指示するという事実によって影響を受けない。」 同(強調付加)。前述のように、議会が多数派の勧告をほとんど逐語的に法律の中に規定していることから、我々はCONTUレポートは議会によって受け入れられたものと考えている。18 Cong. Rec. H 10767 (daily ed. Nov. 17, 1980) (Rep. Kastenmeier: 法案は「コンピュータソフトウエアの法的な状況に関する混乱をコンピュータソフトウエアの著作権法を明確化する[CONTU]の勧告を法律に規定することによって除去するものである」); 18 Cong. Rec. S14766 (daily ed. Nov. 20, 1980) (Sen. Bayh: 「この文言は[CONTU]によって提案されたものを反映している」)参照。

 【14】たぶん、Franklinの主張を拒絶するように我々を導くのに最も説得力のあるのは、一つの結果をもたらすためにコンピュータにおいて使用される命令を組み合わせたものであるという著作権法におけるコンピュータプログラムの定義(17 U.S.C.〔著作権法〕§101がアプリケーション・プログラムとオペレーティング・プログラムの間に区別を設けていないことである。Franklinは区別を採用した判決を指し示すことができない。それを検討した一つの他の事例(Apple Computer, Inc. v. Formula International, Inc., 562 F. Supp. 775, 218 USPQ 47 (C.D. Cal. 1983))では、その裁判所は我々と同じ結論、つまり、オペレーティングシステム・プログラムはそれ自体著作権から排除されるものではないという結論に達した。その裁判所は、「マシンの中で果たす機能に基づくコンピュータプログラムの異なったタイプによる異なった結果を示唆する著作権法の文言は存在しない。」同at 780, 218 at 51。また、他の裁判所はこの問題の議論なしにオペレーティング・プログラムの著作権適格を支持している。Tandy Corp. v. Personal Micro Computers, INc., 524 F. Supp. at 173, 214 USPQ at 179(Applesoft及びApple Integer Basicと同様に入力されたものをマシン語に翻訳するROMに格納された入出力ルーチンは著作権の適正な対象);GCA Corp. v. Chance, 217 USPQ at 719-20(登録されたオペレーティング・プログラムのソースコード・バージョンのオブジェクトコード・バージョンは同じ作品であり保護される)。

2.アイディア/表現二分法

 オペレーティングシステム・プログラムの著作権に対するFranklinの他の主張はアイディアと表現の間に引かれた線に基づくものである。Baker v. Selden事件は上記Mazer v. Stein事件で解釈された著作権法の基準を残存させた。そのMazer v. Stein事件で、最高裁は「特許と異なり、著作権は発表された技術に排他的権利を与えることはない;保護はアイディア自体ではなくアイディアの表現だけに与えられる。」と判示している。347 U.S. at 217 USPQ 324(脚注削除)。

 【15】表現/アイディア二分法は現在では「いかなるアイディア」も著作権から排除するとしている102(b)条に明確に規定されている。この規定は著作権保護の範囲の拡張又は減縮を意図するものではなく、「表現とアイディアの間の基本的な二分法は不変である」ことをリステイト<restate>することを意図している。H.R. Rep. No. 1476, supra, at 57, reprinted in 1976 U.S. Code Cong. & Ad. News at 5670。立法経過は102(b)条が「プログラマによって採用された表現がコンピュータプログラムの著作権で保護される要素であり、プログラムに具体化された現実のプロセス又は方法は著作権法の範囲外であることの明確化」を意図していることを示している。同。

 【16】アイディアと表現の間に線を引こうとする多くの裁判所は明瞭に述べることが困難であることを見いだしている。例えば、Nichols v. Universal Pictures Corp., 45 F.2d 119, 121, 7 USPQ 84, 86 (2d Cir. 1930) (L. Hand, J.)参照;3 Nimmer on Copyright §13.03[A]における論議参照。本件における状況、つまりオペレーティングシステム用のプログラムにおいて、その線は実際的なものでなければならず、また、「特許及び著作権法の保護と競争の間のバランスの維持を考慮に入れ続けなければならない」。Herbert Rosenthal Jewelry Corp. v. Kalpakian, 446 F.2d 738, 742, 170 USPQ 557, 559 (9th Cir. 1971)。我々がFranklin Mint Corp. v. National Wildlife Art Exchange, Inc., 575 F.2d 62, 64, 197 USPQ 721, 723 (3d Cir.)、上告不受理、439 U.S. 880, 199 USPQ 57 (1978)で述べたように、「特許とは異なり、著作権は新規性や発明ではなく、オリジナリティを保護している」。この判決の意見において、我々は次の一節をDymow v. Bolton, 11 F.2d 690, 691 (2d Cir. 1926)から賛成して引用した。

 特許が発明のアイディアを実施する手段<means>だけに保護を与えるとちょうど同じように、著作権法はアイディアを表現する手段<means>を保護する;もし、同じアイディアが多数の全く異なった仕方<manners>で表現できるならば、多数の著作権が結果として生じ得、いかなる侵害も存在しないことは、ほとんど完全な真実である。(強調付加)。

 【17】我々は上記の文言における示唆を取り入れ、アイディアがさまざまな表現形態<modes of expression>が可能であるかどうかに焦点を合わせる。もし、Appleのオペレーティングシステム・プログラムと同じ機能を実行する他のプログラムを書く又は創作することができるとすれば、そのプログラムはアイディアの一つの表現であり、それゆえ著作権適格がある。本質において、この調査は、表現とアイディアがマージ<merge>されているかどうかを決定することと違いはない。マージはある特定のアイディアを表現する他の方法がない又はほとんどないところで生じるとされてきた。例えば、Morrissey v. Procter & Gamble Co., 379 F.2d 675, 678-79, 154 USPQ 193, 194-95 (1st Cir. 1967)参照;Freedman v. Grolier Enterprises, Inc., 179 USPQ 476, 478 (S.D.N.Y. 1973) (「著作権の保護は基礎となる主題<subject matter>が必然的に要求する表現形状<a form of expression>に与えられることはない」);CONTU Report at 20。

 地裁はAppleのオペレーティング・プログラムのいくつか又は全てが、基礎をなすアイディアの唯一の表現方法であるかどうかに関して何も認定していない。少なくともプログラムのいくつかは書き直すことができることはFranklinが容認しているようにみえるが、この争点に関する記録が控訴審レベルで決定できるほど明確であるとは我々は信じない。したがって、もし、この争点が差戻審において主張されれば、必要な認定がそこでなされる。[訳3]

 Franklinはプログラムが書き直すことができようとできまいと、「コンピュータが膨大なApple互換ソフトウエアを走らせることができるオペレーティングシステムを用意するやり方<ways>の数」は限られていると主張する。控訴答弁書at 20。この主張はアイディア/表現二分法又はマージャー<merger>のどちらに関しても不適当である。表現とマージし著作権適格がないアイディアは、表現の主題<the subject of the expression>であるアイディアである。オペレーティングシステム・プログラムの一つのアイディアは、例えば、ソースコードをいかにオブジェクトコードに翻訳するか<how to>である。もし、そのアイディアを表現する他の方法<methods>が実際問題として排除されていなければ、マージャーはない。FranklinはApple II用に書かれた独立して開発されたアプリケーションプログラムによって完全な互換性を達成することを望んでもよいが、それは特定のアイディア及び表現がマージするかどうかという難解な問題に立ち入らない、商業的かつ競争上の目的である。

 要約すると、オペレーティングシステム・プログラムはそれ自体著作権適格でないというFranklinの主張は説得力がない。この問題が争われた他の裁判所はその区別を拒絶している。CONTUの多数派も議会もオペレーティングシステムとアプリケーションシステムの間に区別を設けていない。1980年の改正は議会の新技術の受容と著作権法を通じたコンピュータプログラミングにおける引き続く構想力と創作力の奨励についての議会の期待を反映していると我々は信じている。仮差止に関する地裁の決定は、多くの点で、オペレーティングシステム・プログラムの著作権の利用可能性に関する誤った見解によって影響されていると我々は信じるので、仮差止の却下を取り消し、差し戻す。


D.回復不能の被害

 【18】地裁は、「訴訟中に受けるかもしれない被害がどのようなものであったとしてもAppleが耐えたほうが、Franklinが仮差止に耐えるよりも、より適切である」と述べて、十分な検討なしに、Appleは回復不能の被害を立証できなかったと認定した。545 F. Supp. at 812, 825, 215 USPQ at 937, 948。地裁は、その判断において、著作権侵害の一応の証明<a prima facie case>又は本案訴訟における合理的な勝訴の可能性の立証は回復不能な被害の推定をもたらすという通説(例えば、Atari, Inc. v. North American Philips Consumer Electronics Corp., 672 F.2d 607, 620 (7th Cir.), cert. denied, 103 S.Ct. 176 (1982); Wainwright Securities Inc. v. Wall Street Transcript Corp., 558 F.2d 91, 94, 194 LSPQ 401, 402 (2d Cir. 1977), cert. denied, 434 U.S.. 1014, 196 USPQ 864 (1978); Klitzner Industries, Inc. v. H.K. James & Co., 535 F. Supp. 1249, 1259, 216 USPQ 73, 80 (ED. Pa. 1982); Custom Decor, Inc. v. Nautical Crafts Inc., 502 F. Supp. 154, 157, 213 USPQ 565, 567 (E.D. Pa. 1980)参照)を考慮していない。侵害の一応の証明をなした著作権侵害訴訟の原告は詳細な回復不能の被害の立証をなすことなしに仮差止を得る権利がある。3 Nimmer on Copyright §14.06[A], at 14-50, 14-51 & n.16 (出典を訂正)参照。

 CONTU最終レポートは「コンピュータプログラムを開発するコストはその複製のコストよりも遙かに大きい」ことを認めた。CONTUレポート11頁。Appleは相当の期間及び金額を本件コンピュータプログラムの開発に投資したことについて実質的な証拠を提出した。したがって、著作権侵害事件において通常適用される回復不能の被害の推定がないとしても、Franklinの基本的なオペレーティングシステムの多くについての大規模なコピーによって生じたAppleの投資及び競争上の地位への危険性は仮差止に必要な回復不能の被害の要件を満足するであろう。Atari, Inc. v. North American Philips Consumer Electronics Corp., 672 F.2d at 620; Custom Decor, Inc. v. Nautical Crafts Inc., 502 F. Supp. 154, 157, 213 USPQ 565, 567 (ED. Pa. 1980); Herbert Rosenthal Jewelry Corp. v. Zale Corp., 323 F. Supp. 1234, 1238, 169 USPQ 393, 395 (S.D. N.Y. 1971)参照。

 【19】 Kontes Glass Co. v. Lab Glass, Inc., 373 F.2d 319, 320-21, 152 USPQ 654, 655 (3d Cir. 1967)事件において、本裁判所は回復不能の被害の立証の程度は本案訴訟の勝訴の可能性の原告の立証の強さとは逆に変動することを示唆しており、回復不能の被害の問題について逆の関係のアプローチを採用しているようにみえる。Midway Mfg. Co. v. Bandai-America, Inc., 546 F.Supp. 125, 141-42, 216 USPQ 812, 829 (D.N.J. 1982)参照。Kontes事件は本件のように原告の営業に極めて重要な著作物が明らかにコピーされた事件ではなかった。Kontesのアプローチはコピーによる被害が相当程度小さいか、限定されているか、又は確定的でない場合に最も適していると我々は信じる。このような状況では、回復不能の被害の要因の評価において仮差止の衡平法上の救済の適用に柔軟性が与えられる。しかしながら、通常は、本件のようにかなりの期間、努力及び金銭が著作物を作成するために注がれる限り、著作権法の基礎をなす公衆の利益は回復不能の被害の推定を要求する。さもなければ、創造性を奨励する著作権の保護のための理論的根拠が傷つけられてしまうだろう。Klitzner Industries, Inc. v. H.K. James & Co., 535 F.Supp. at 1259-60, 216 USPQ 73, 80, 81事件において、Broderick判事が述べたように:

著作権者に保護される作品について排他的な権利を承認するよう議会が決めたのであるから、公衆の利益は著作権の保護を支持し、それに相応して、技術、創造的活動及び保護された著作物に投資された財源の不正目的使用を防ぐことによってのみかなえられることは、ほとんど自明である。
 【20】我々は仮差止のFranklinのビジネスに対する「破壊的な効果」を強調する地裁の説示を受けいれることもできない。もし、それが正しい基準であるとすれば、物事を心得た侵害者が侵害によってビジネスを構築することが許されてしまい、そのような結果は我々は大目に見ることはできない。Atari, Inc. v. North American Philips Consumer Electronics Corp., 672 F.2d at 620; cf. Helene Curtis Industries, Inc. v. Church & Dwight Co., 560 F.2d 1325, 1333, 195 USPQ 218, 223 (7th Cir. 1977)(商標権侵害)、上告不受理、434 U.S. 1070, 197 USPQ 592 (1978)参照。侵害者の規模は著作権者の迅速な司法の救済を得る能力を限定するものであるべきではない。

E.付加的問題

 FranklinはAppleの登録、告知及び寄託のような様々な制定法上の手続きの順守に関する多くの問題を提起した。Franklinは、却下されることになる申立において、オブジェクトコード形式で寄託され、著作権局の「疑わしい規則[9]」に基づいて登録された本件の11のプログラムの著作権に異議を唱えている。Franklinは三つのプログラム、すなわちApple Integer Basic、Autostart ROM及びDOS 3.3に対して、必要な告知なしに発行されたことに基づいて、異議を唱えている。これらは控訴審の及ぶ問題ではなく、Appleの著作権のミスユースが著作権の執行を禁止するというFranklinの主張を考慮することもしない。地裁は仮差止の申立を却下する際に、これらの主張を検討していない。それらに関する〔地裁の〕いかなる事実認定も存在しない。差戻審において、それらは地裁によって最初に検討され、また、地裁はそれらが仮差止に関連することがもしあればその範囲を決定する。


V.

 この意見で明らかにされた理由により、仮差止の却下を取り消し、これに従い更なる手続きを地裁に差し戻す。

 


脚注

1.4通の法廷助言者の書面が提出された;Appleの立場を支持するDigital Research Inc., Microsoft Corp., and Association of Data Processing Service Organizations, Inc.(コンピュータ・サービス産業のための商業協会)の書面、及びFranklinの立場の少なくとも一部を支持するPro-Log Corp.の書面。

2.コンピュータの作動に関する有用な非専門家のための記述が次の文書にみられる、Copyright Protection for Computer Programs In Read Only Memory Chips, 11 Hofstra L. Rev. 329 (1982), 及びCopyright Protection of Computers Program Object Code, 96 Harv. L. Rev. 1723 (1983)。

3.不揮発性記憶装置と対照的に、RAM(ランダムアクセスメモリ)はコンピュータの電源がOFFされたときに消去される揮発性の記憶が蓄えられるチップである。

4.本件の14のプログラムを簡単に記述すると次のようになる:
(1)Autostart ROMはAppleのコンピュータの一部として販売され、ROMチップに格納されている。また、このプログラムは著作権で保護された書籍、Apple IIマニュアルの一部としてソースコードの形で出版されていた。コンピュータの電源がONされたとき、Autostart ROMはコンピュータ内の回路をONし、その物理的部分(つまり、入出力装置、ディスプレイ、及びメモリ)を使用できる状態にする内部的なルーチンを実行する。
(2)ApplesoftはBeginner's All-purpose Symbolic Instruction Code (BASIC)言語のAppleのバージョンである。このプログラムはROMに格納されコンピュータの一部として販売された。Applesoftは高水準言語のBASIC言語で書かれた命令をコンピュータが理解する低水準言語のマシン・コードに翻訳する。
(3)Floating-Point BASICはApplesoftと同様なプログラムであるが、ROMではなくディスクに格納されている。ROM中にApplesoftを有していない初期のバージョンのApple IIコンピュータで使用された。
(4)Apple Integer BASIC、もう一つの翻訳プログラム、はDOS 3.3マスターディスクに格納されている。このプログラムはApple IIコンピュータのためのAppleの最初のBASICバージョンを使用した。これはApplesoftプログラムの簡略バージョンを実装している。
(5)DOS 3.3、ディスク・オペレーティングシステム・プログラム、はディスクシステム(ディスクドライブ)とコンピュータ自体の間の作動を制御するために必要な命令を提供する。ディスクの読み書き機能を制御し、シークエンス中のすべてのデータ転送を行う他のルーチンを含み、この注で言及される他のオペレーティング・プログラムのいくつかを含む。
(6)Master Createはディスクに格納されている。ディスクが使用の準備がなされたときには、DOS 3.3プログラムは利用可能なランダムアクセス・メモリ(RAM)に依存した形でそのディスクに格納されているる。Master Createプログラムはディスク上のDOS 3.3を利用可能なRAMに独立したバージョンに置き換える。
(7)Copy、ディスクに格納されており、ユーザーがApple Integer BASIC形式で書かれたプログラムを他のディスクにコピーすることができるようにする。
(8)Copy A、これもディスクに格納されており、ユーザーがApplesoft形式で書かれたプログラムを他のディスクにコピーすることができるようにする。
(9)Copy OBJOはCopy及びCopy Aプログラムによって使用されるサブルーチンのファイルを含んでいる。
(10)Chain、もう一つのディスク格納プログラム、プログラムの一つの部分だけがRAM内にあるときに、異なったプログラム間でデータを渡すことを可能とする。したがって、Chainはプログラムの他の部分がRAMにロード中、RAM内にすでに格納されているデータを保持する。
(11)Hello、これもディスク格納で、電源がONされ、ディスクが使用可能となった後、最初に実行されるプログラム。コンピュータ内にどれだけのRAMがあるか、及びコンピュータにロードするBASICのバージョンを決定する。
(12)Boot 13はディスクに格納され、マスターディスクに格納されて販売されている。Apple 16-Sector Boot ROMを含むディスクコントローラー・カードを持っているユーザーが古いバージョンのAppleディスクオペレーティング・システムを使用できるようにする。
(13)Apple l3-Sector Boot ROMはマザーボードに差し込むディスクコントローラー・カード上のROMに格納されている。このプログラムは、カード上及びApple IIコンピュータ内の様々な回路をONし、13セクタ・フォーマット・ディスクのために使用されるディスクオペレーティン・システムのほかの部分をロードする。
(14)Apple 16-Sector Boot ROMは、ディスクコントローラー・カード上のROMに格納され、そのカード上及びApple IIコンピュータ内の様々な回路をONとし、16セクタ・フォーマット・ディスクのために使用されるディスクオペレーティン・システムの他の部分をロードする。そのため、ユーザーが他のプログラムを走らせ、又は、コンピュータにプログラムを読み込む準備をさせることができる。
上記の記述はコンピュータの専門家によって使用される用語を理性を持った素人が理解できる用語に変換した努力の成果である。それらは原告からの引用である地裁の意見における記述からいくつかの点で異なっている、545 F. Supp. at 815-16, 215 USPQ at 939-94。

5.例えば、Autostart ROMプログラムは、コンピュータがONされたとき、画面に「Apple II」ではなく「ACE 100」が表示されるように、8プログラムバイトのメモリが変更されていた。また、FranklinのDOS 3.3プログラムは大文字小文字が使えるようにするための(9000バイト中の)16バイトを有していた。

6. 117条はコンピュータとともに使用するときに与えられる著作物の保護の範囲にのみ適用され、プログラムの著作権適格については適用されない。HR. Rep. No. 1476, at 116, reprinted in 1976 U.S. Code Cong. & Ad. News at 5731。

7.地裁は、直接オブジェクトコードで作業しているプログラマは数学者又は技術者として考えているようにみえる、チップを作成するプロセスは著作物というより工学的知識による製品である、書き込まれたROMは文字の著作物というより、図で表す3次元の物体として記述するのが適切であるかもしれない、と説示している。545 F. Supp. at 821 - 22, 215 USPQ at 944 - 45。地裁は「マイクロコード」についての引用に一部依存した言及をしている、同at 821 in 14、215 USPQ at 944 - 45 n.14参照;Appleは本件の著作物のどれも「マイクロコード」を含んでいないという証言を提出している。更に、AppleはROMのアーキテクチャーの保護を求めておらず、それに書き込まれたプログラムだけの保護を求めている。

8.仮差止の審尋においてAppleの証人が本件著作物を記述する用語として使用したから、Appleはこの立場に拘束されるというFranklinの最初の主張は説得力がない。CONTUレポート自身が認識しているように、著作権適格を有するコンピュータプログラムと著作権適格を有しないプロセス又は操作法の区別が必ずしも「明晰に対して揺らめいている<shimmer with clarity>」ようにはみえない。CONTU Report at 18。この分野における正確な正しい用語を証人が見いだすのが困難であることがまれではないことは疑いない。制定法の用語の使用の経験がない法律家でない証人の陳述をAppleに対する拘束力のある自白の用語として考えることは合理的でなく、独断的であろう。

9.著作権局長はコンピュータプログラムの寄託がオブジェクトコード形式でなされたときに審査官が著作権適格な著作であるかどうかの決定のためにそのコードを解釈できないから疑わしい規則を使用していることは明らかである。


 
(訳1)第3巡回区裁判所のこと。Williams Electronics事件の執筆者は本件を執筆したSloviter巡回裁判官。

(訳2)媒体〔ROM〕はメッセージ〔プログラム〕ではない<But the medium is not the message>」の意味と考えられる。

(訳3)「地裁はAppleのオペレーティング・プログラムのいくつか又は全てが、基礎をなすアイディアの唯一の表現方法であるかどうかに関して何も認定していない。少なくともプログラムのいくつかは書き直すことができることはFranklinが容認しているようにみえるが、この争点に関する記録が控訴審レベルで決定できるほど明確であるとは我々は信じない。したがって、もし、この争点が差戻審において主張されれば、必要な認定がそこでになされる。」と、この控訴裁判所が判断したのは、アメリカでは事実認定に関しては地裁だけが行うことができるからである。「事実及び手続きの経緯」の欄における「AppleはFranklinがAutostart ROMを含むプログラムをリライトすることができ、Apple IIと互換性を有するサードパーティのオペレーティングシステム・プログラムが存在することを立証した」という記載からも、オペレーティング・プログラムがアイディアの唯一の表現方法を表したものではないことは明らかである
 


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