翻訳 井上雅夫 2005.06.28-07.17; 11.07  ↑UP   地裁判決 控訴裁判決 Napster事件判決  Winny事件判決について

MGM v. Grokster P2Pソフト配布事件 合衆国最高裁判決

2005.06.27
 目 次
判決要旨
判     決

 裁判所の意見
  
   
   
  II
   
   
   
  III
   
   
  脚注
 
GINSBURG裁判官の賛成意見
  脚注
 
BREYER裁判官の賛成意見
  
   
   
  II
   
   
   
訳注


判決要旨

 注釈:本件に関連してなされたように、可能な場合に、判決が下された時に、判決要旨(頭注)が発表される。判決要旨は裁判所の意見の一部を構成しないが、読者の便宜のために判決報告者によって用意されてきた。See United States v. Detroit Timber & Lumber Co., 200 U. S. 321, 337.

合衆国最高裁判所

判決要旨

上告人(原告) METRO-GOLDWYN-MAYER STUDIOS INC. 他
被上告人(被告) GROKSTER, LTD. 他

第9巡回区合衆国控訴裁判所に対する上告受理申立

No. 04-480 2005年3月29日口頭弁論−2005年6月27日判決

 被上告人の会社らは、ピア・ツー・ピア・ネットワークを通して電子ファイルをシェアすることをユーザに可能にさせるフリーソフトウェアを配布している。ピア・ツー・ピア・ネットワークは中央サーバを通さずにコンピュータが互いに直接通信することからこのように呼ばれている。そのようなネットワークはどのようなタイプのデジタルファイルをシェアするためも使用することができるが、被上告人らのソフトウェアの受領者は著作権で保護された音楽およびビデオファイルを許可なくシェアするためにそのソフトウェアを最もよく使用している。損害賠償および差止を求めて、映画会社およびその他の著作権者のグループ(以下「MGM」という。)は、被上告人らが著作物を著作権法に違反して侵害することをユーザに可能とさせることを知りかつ意図的に彼らのソフトウェアを配布したと主張して、ユーザの著作権侵害に基づいて
被上告人らを訴えた。

 ディスカバリ〔
証拠開示手続き〕によれば、各月毎に数十億のファイルがピア・ツー・ピア・ネットワークを介してシェアされている。非中央化されたネットワークはどのファイルがコピーされたか、また、いつコピーされたかを明らかにはしないが、被上告人らはユーザが主として著作権で保護されたファイルをダウンロードするためにそのソフトウェアを使用していることに気づいている。ユーザが著作物に関する質問を電子メールで行い、被上告人らが返信して指導する場合に、被上告人らが直接侵害について知ることが時々ある。被上告人らは侵害に関する情報を単に受動的に受けているだけではない。被上告人らが彼らのフリーソフトウェアの配布を始めたときに、被上告人らが、ソフトウェアの受領者がそのソフトウェアを著作物のダウンロードに使用するという目的を明確に表明し、侵害を奨励するための行動を積極的に行っていることを示す証拠で記録は満ちあふれている。悪名高いファイルシェアサービスであるNapsterが著作権侵害を助長するとして著作権者によって訴えられた後に、両方の被上告人は自分自身をNapsterの代替物として普及を促進し市場に出した。彼らは、ユーザからは収入を得ていないが、その代わりに、広告のスペースを販売し、ユーザに広告を流すことにより収入を得ている。ユーザの数が増加するにつれて、広告の機会はより価値の高いものとなる。被上告人各々がユーザのダウンロードから著作物をフィルタする、あるいは他の方法で著作権で保護されたファイルのシェアを妨げる努力を行った証拠は全くない。

 地裁は、被上告人らのユーザがMGMの著作権を直接侵害することを知っていたにもかかわらず、ソフトウェアの配布から生じる責任に関して被上告人ら勝訴のサマリ判決を与えた。第9巡回区控訴裁判所は地裁判決を維持した。控訴裁は、
Sony Corp. of  America v. Universal City Studios, Inc., 464 U. S. 417事件が、特定の侵害の事例を実際に知り、かつそれを知って行動しないのでなければ、かなりの<substantial>非侵害使用が可能な商品の配布は寄与侵害責任を生じさせることはないと判示している、と解釈した。控訴裁は、被上告人らのソフトウェアはかなりの非侵害使用ができるものであると認定し、そのソフトウェアの非中央化アーキテクチャにより被上告人らは実際の侵害を知らないから、被上告人らに責任はないと判示した。また、控訴裁は、最初にソフトウェアを提供したこと以上に被上告人らによる関与はなく、ユーザ自身が侵害ファイルをサーチし、検索し、蓄積したのであるから、被上告人らがユーザの侵害に実質的に<materially>寄与していないと判示した。最後に、控訴裁は、被上告人らは、ソフトウェアのユーザを監視又は管理しておらず、同意された権利<agreed-upon right>又は使用を監督する慣習的な資格<current ability>を有しておらず、また、侵害を取り締まる自治的な義務<independent duty>を有していないから、代位侵害論に基づく責任を負うことはないと判示した。

 判示事項:著作権を侵害するために製品<a device>の使用を奨励する目的で製品を配布した者は、侵害を促進するためになされた明確な表現又は他の肯定的な行動<affirmative steps>により、単なる第三者の行為を知っての配布を超えていることが証明された場合、その製品の合法的な使用にかかわらず、その製品を使用する第三者による結果的な侵害行為に対して責任を負う。 Pp. 10.24.

 (a)著作権保護を通して創作を支援することと侵害責任を制限することにより技術的イノベーションを促進することの競い合う価値観の間の緊張関係が本件の対象である。被上告人らのソフトウェアを使って毎日なされている侵害ダウンロードの数を考えれば、配慮すべき事項を差し引くとしても、本件において間接責任を課すという議論は説得力がある。広くシェアされている製品が侵害を犯すために使用されている場合、全ての直接侵害者に対して保護された作品の権利を効果的に行使することは不可能だろう、そこで、唯一の実際的な代替策は製品の配布者に対する寄与又は代位侵害論による二次的責任となる。直接侵害を故意に引き起こし又は奨励することによって人は寄与的に侵害し、また、侵害を停止又は制限するために権利を行使せずに直接侵害から利益を得ることによって人は代位的に侵害する。「著作法は[他者の]侵害に関して責任を有する者については明確には規定していない」、Sony, 464 U. S., at 434、しかし、これらの二次的責任論はコモンローの法理により生じ、コモンローにおいて十分に確立されている、例えgば、id., at 486. Pp. 10-13。

 (b)Sony事件は、二次的侵害責任は商品のまさにその配布から生じ得るという主張に取り組んでいる。そこにおいて、著作権者は、ビデオカセットレコーダ(VCR)の所有者が著作権で保護された番組を録画するときに生じる寄与侵害責任を主張して、VCRの製造業者であるSonyを訴えた。証拠は、VCRの主要な使用は「タイムシフト」すなわち番組を録画した後、都合のよい時に見ることであることを示しており、それを最高裁はフェアな非侵害使用であると認定した。464 U. S., at 423-424. さらに、Sonyが著作権侵害の録画を引き起こすことを望んでいた又は非合法な録画から利益を増大させる積極的な行動
を行っていたという証拠は存在しなかった。Id., at 438. これらの事実に基づく責任の唯一の考えられる根拠は製品の配布を通しての寄与侵害論に基づくものであった。Id., at 439. VCRは「商業的に相当な<significant>非侵害使用が可能なものである」から、最高裁はSonyは責任を負わないと判示した。Id., at 442. この法理は、特許品の一つの部品の配布は、それが他の方法で使用するのに適していれば、特許を侵害しないという特許法の伝統的な主要商品論(35 U. S. C §271(c))を反映したものである。その法理は、合法的にも非合法的にも使用できる品目の販売行為を免責し、責任をより深刻な過失の場合に制限する。本件において、第9控訴裁は、Sony事件は、製品がかなりの合法的な使用が可能である場合は、侵害使用を引き起こす事実上の目的が証明されたとしても、配布者が侵害に寄与した時に特定の侵害を知り、その情報に基づいて行動しないのでなければ、その製造者は第三者の侵害使用に対して寄与責任を負わないことを意味していると、誤って解釈した。Sony事件は他の二次的責任論に置き換えたわけではない。Pp. 13-17.

 (c)Sony事件において、侵害を奨励する意図の証拠を、そのような証拠が存在した場合に、無視することを〔
下級〕裁判所に要求したことは全くない。コモンローから導かれる過失責任<fault-based liability>のルールを排除することは全く意味していない。464 U. S., at 439. 侵害使用に使われるかもしれないという製品の特徴又はその知識以上の証拠があり、また、証拠が侵害の奨励を指図する声明又は行動を示している場合に、Sony事件の主要商品ルールが責任を排除することはないだろう。コモンローにおいて、「[侵害使用]を予測するだけでなく広告により引き起こす」著作権又は特許権事件の被告は侵害に責任を負うべきであったのである。Kalem Co. v. Harper Brothers, 222 U. S. 55, 62-63. 初期の事件で発達した侵害の誘因<inducement>のルールは今も何も変わっていない。侵害使用を広告する又は侵害使用の方法を教えるような直接侵害を奨励するためになされた積極的行動の証拠は、その製品が侵害に使用されるものであるという肯定的な意図を示しており、被告がいくらかの<some>合法的な使用に適する商品を単に販売する場合の責任の認定における法の消極性に打ち勝つ。意図を持つ、過失のある表現および行為に関する責任を前提とするルールは、適法な商業を傷つけること又は合法的な前途有望なイノベーションをくじけさせることはない。Pp. 17-20.

 (d)提出された記録によれば、被上告人らの非合法な目的は明白である。誘因の古典的な事例は他者が違反を犯すことを奨励するために立案されたメッセージを宣伝する広告又は勧誘によるものである。MGMはそのようなメッセージが本件において証明されたことを説得力を持って主張する。意図の証拠の三つの特徴は特に注目に値する。第一に、被上告人の各々は、著作権侵害を要求する知られた源、すなわち以前のNapsterユーザが構成するマーケットを満足させることを目的にしていることを自分自身で証明している。以前のNapsterユーザに対するサービスを提供する被上告人の努力は侵害を生じさせる主要な、唯一ではないとしても、意図を指し示している。第二に、どちらの被上告人もフィルタリングツール又は彼らのソフトウェアを使用した侵害行為を減少させる他のメカニズムの開発を試みていない。第9控訴裁は、それをしないことは、被上告人が彼らのユーザの行動を監視する自治的な義務がないから、無関係であると見なしたが、この証拠はユーザの侵害の意図的な促進であることを強調している。第三に、被上告人は広告スペースを販売し、彼らのソフトウェアを使用するコンピュータのスクリーンに広告を行うことによって金銭を得ている。彼らのソフトウェアがより使われるほど、より多い広告が送られ、より高額の広告収入となる。ソフトウェアのユーザの広がりは配布者の利益を決定するから、彼らの企業の商業的判断力により大量の使用が引き起こされ、記録はそれらが侵害であることを示している。この証拠だけで非合法な意図の推論を正当化することはないだろうが、その重要性は全体の記録の前後関係から明白である。Pp. 20-23.

 (e)侵害を引き起こす意図および侵害使用に適した製品の配布に加えて、誘因論はその製品(本件においてはソフトウェア)の受領者による実際の侵害の証拠を要求する。そのような侵害の膨大な規模の証拠が存在する。実質的な証拠が全ての要素においてMGMを支持しているから、被上告人のためのサマリ判決は誤りである。差戻審において、MGMのサマリ判決申立の再審理が命令される。Pp. 23-24.

 380 F. 3d 1154判決を破棄し、差戻す。[訳15]

 SOUTER裁判官が満場一致の裁判所の意見を言い渡した。GINSBURG裁判官はREHNQUIST首席裁判官およびKENNEDY裁判官が加わった賛成意見を登録した。BREYER裁判官はSTEVENS裁判官およびO.CONNOR裁判官が加わった賛成意見を登録した。




判     決

裁判所の意見

 告知:この意見は〔合衆国最高裁判例集〕United States Reportsの予備的印刷の出版前の公式改訂版に従ったものである。読者は、予備的印刷が行われる前に訂正がなされるように、〔英文の〕誤植又は他の形式的エラーをthe Reporter of Decisions, Supreme Court of the United States, Washington, D. C. 20543に知らせることを要請される。
合衆国最高裁判所

No. 04-480

上告人(原告) METRO-GOLDWYN-MAYER STUDIOS INC. 他
被上告人(被告) GROKSTER, LTD. 他

第9巡回区合衆国控訴裁判所に対する上告受理申立状に関して

[2005.6.27]

 SOUTER裁判官が裁判所の意見を言い渡す。

 問題は、合法使用と非合法使用の両方が可能な製品の配布者がその製品を使用する第三者による著作権侵害行為に対して責任を負うのはどのような状況においてかということである。我々は、著作権を侵害するために製品<a device>の使用を奨励する目的で製品を配布した者は、侵害を促進するためになされた明確な表現又は他の肯定的な行動<affirmative steps>により証明された場合、第三者による結果的な侵害行為に対して責任を負うと判示する。


 被上告人らGrokster, Ltd.およびStreamCast Networks, Inc.(地裁における被告ら)は、ピア・ツー・ピア・ネットワークを通して電子ファイルをシェアすることをユーザに可能にさせるフリーソフトウェア製品を配布している。ピア・ツー・ピア・ネットワークは中央サーバを通さずにコンピュータが互いに直接通信することからこのように呼ばれている。ピア・ツー・ピア・ネットワークの他のタイプの情報ネットワークに対する利点はかなりのそして増大する人気にはっきり見ることができる。ユーザ間で情報又はファイルの交換を仲介する中央サーバを必要としないから、高バンド幅の容量のサーバは必要なく、高価なサーバの記憶スペースの必要もない。ファイル(特に人気のあるもの)のコピーが多くのユーザのコンピュータ上で可能であるから、ファイルの要求および検索は他のタイプのネットワークより早く、ファイルの交換がサーバを介さないから、サーバの故障によりネットワーク全体が使えなくなるリスクなしに、ネットワークに接続されているコンピュータ間で通信を行うことができる。セキュリティ、コスト、および効率におけるこれらの利益により、ピア・ツー・ピア・ネットワークは大学、政府機関、会社、および図書館などによって電子ファイルを蓄積し配布するために使用されている
[1][訳1]

 上記以外のピア・ツー・ピア・ネットワークのユーザに、GroksterおよびStreamCastのソフトウェアの個人の受領者が含まれている。そのソフトウェアを使用して使えるネットワークはどのようなタイプのデジタルファイルをシェアするためも使用することができるが、彼らは著作権で保護された音楽およびビデオファイルを許可なくシェアするためにそのソフトウェアを断トツで使用している。著作権者らのグループ(簡単のために以下「MGM」というが、映画会社ら、レコード会社ら、作曲家らおよび音楽出版社らを含んでいる。)は、GroksterおよびStreamCastを、彼らが著作物を著作権法(17 U. S. C. §101 et seq. (2000 ed. and Supp. II))に違反して侵害することをユーザに可能とさせることを知りかつ意図的に彼らのソフトウェアを配布したと主張して、ユーザの著作権侵害に基づいて訴えた。MGMは損害賠償および差止を請求している
[2]

 訴訟中のディスカバリ〔
証拠開示手続き〕が、ソフトウェアの動作方法、各被告会社のビジネス目的、およびユーザの好みを明らかにしている。Groksterのソフトウェアは他の者によって開発され、GroksterにライセンスされたプロトコルであるFastTrackテクノロジーとして知られているものを使用している。StreamCastはGnutellaテクノロジーとして知られているものに依存することを除いて極めて類似した製品であるMorpheusと呼ばれるソフトウェアを配布している[3]。どちらかのソフトウェアをダウンロードしインストールしたユーザはFastTrack又はGnutellaとコンパチブルなソフトウェアを使用する他のコンピュータに直接ファイルの要求を送るプロトコルを所持する。Groksterソフトウェアによって始められたFastTrackネットワーク上で、ユーザの要求は、そのソフトウェアによりインデキシング能力が与えられスーパーノードで指示されたコンピュータ、又は接続されたユーザのコンピュータ上で利用可能なファイルの一時的なインデックスを収集するコンパチブルな何らかの他のコンピュータに送信される。スーパーノード(又はインデキシングコンピュータ)はそれ自身のインデックスをサーチし、また、サーチ要求を他のスーパーノードに伝達することもできる。ファイルが見つかると、スーパーノードは要求しているコンピュータにその位置を開示し、要求しているユーザはその位置のコンピュータから直接ファイルをダウンロードすることができる。コピーされたファイルは要求しているユーザのコンピュータ上の指定されたシェアフォルダの中に置かれ、他のユーザが次々にダウンロードすることができる。

 Morpheusによって利用可能とされたGnutellaネットワークでは、Gnutellaプロトコルのいくつかのバージョンにおいてスーパーノードが存在しないことを除いて、プロセスはほとんど同じである。これらのバージョンにおいて、そのプロトコルを使っているピア・コンピュータは互いに直接的に伝達を行う。ユーザがMorpheusソフトウェアにサーチ要求を入力すると、その要求はそれに接続されたコンピュータに送られ、その要求は次々と他の接続されたピアに沿って流れる。サーチ結果は要求しているコンピュータに伝達され、ユーザはピアのコンピュータから望んだファイルを直接ダウンロードすることができる。この記述が示すように、GroksterとStreamCastは、サーチ要求の内容を途中で捕らえたり、そのソフトウェアのユーザ間で行われるファイル転送を仲介するサーバを使用せず、どちらの方向においても伝達の中身が通過する中央ポイントは存在しない[4]

 それゆえGroksterおよびStreamCastは特定のファイルが何時コピーされたかを知らないけれども、彼らのソフトウェアを使用して、ほんのわずかサーチしてみれば、そのソフトウェアが到達するネットワーク上で何が利用可能であるのかが明らかになるであろう。MGMは系統的なサーチを行うために統計学者に委任した。その統計学者の研究は、FastTrackシステム上でダウンロード可能なファイルの90%近くが著作物であったことを示している[5]。GroksterとStreamCastはこの数字を争い、方法論的な問題を提起し、また著作物の無料コピーでさえ権利者によって許可されているかもしれないと主張する。また、彼らは、彼らのソフトウェアの潜在的な非侵害使用は、実際問題としてまれであったとしても、本質的に相当な
ものである<significantとも主張する。例えば、何人かの音楽演奏者はピア・ツー・ピア・ネットワークを介して無料で彼らの著作物を配布することによって新しい観客を得ており、保護されていないコンテンツの何人かの配布者はファイル(例えば、Shakespeare)を広めるためにピア・ツー・ピア・ネットワークを使用してきた。実際、StreamCastは、その人気は定量化されてはいないものの、正にこの場合の短い文をダウンロードする機会をMorpheusユーザに提供している。

 定量化に関しては、FastTrackおよびGnutellaネットワーク上で利用可能なコンテンツをある程度まで示すために提出された被上告人らの個々の事例に基づく統計的な証拠は、ユーザによってどのファイルが実際にダウンロードされているのかについて多くを述べておらず、保護されていない作品のコピーを得るためにソフトウェアがどれだけ使用されているのかは誰も言うことができない。しかし、MGMの証拠は、極めて大多数のユーザのダウンロードが侵害行為であり、そして、1千万コピーを十分に超える争点となっているソフトウェアがダウンロードされたことが知られており、またFastTracおよびGnutellaネットワークを介して各月毎に数十億のファイルがシェアされているから、著作権侵害のありえる範囲は驚異的であると考える理由を示すものである。

 GroksterおよびStreamCastはほとんどのダウンロードが侵害であることを認めている、Brief for Respondents 10, n. 6、そして、非中央化されたFastTrackおよびGnutellaネットワークがどのファイルがコピーされ、何時コピーされたかを明らかにしないとしても、ユーザが主に著作権で保護されたファイルをダウンロードするのに彼らのソフトウェアを使用していることを彼らが気がついていることに議論の余地はない。さらに、ユーザがダウンロードした著作権で保護された映画の支払に関する質問を両会社に電子メールで行い、両社が返信して指導するときに、被上告人らが直接侵害について知ることが時々ある[6]。App. 559-563, 808-816, 939-954. そして、MGMは、彼らのソフトウェアを使用して得ることができた800万の著作権で保護されたファイルを両社に通知した。

 しかしながら、GroksterおよびStreamCastは侵害使用についての情報を単に受動的に受け取っただけである。GroksterおよびStreamCastは、彼らのソフトウェアを配布し始めた瞬間から、受領者が著作物をダウンロードするために使用するという目的をはっきりと表明しており、侵害を奨励する積極的な行動を行ったという証拠が記録に満ちあふれている。

 悪名高いファイルシェアサービスNapsterが著作権者から著作権侵害を容易にできるようにしているとして訴えられた後、A & M Records, Inc. v. Napster, Inc., 114 F. Supp. 2d 896 (ND Cal. 2000), aff.d in part, rev.d in part, 239 F. 3d 1004 (CA9 2001)、StreamCastは、Napsterとコンパチブルに設計され、Napsterユーザに対して他のNapsterおよびOpenNapユーザのコンピュータからファイルをダウンロードするために公開するOpenNapとして知られるソフトウェアプログラムを無料配布した。「StreamCastのMorpheusインターフェースを奨励できるように、最初に標的にするマーケットの電子メールアドレスを獲得するために[OpenNapネットワーク]を使用することが常に[StreamCastの]意図であった」ことを証拠は示している、App. 861;実際、OpenNapプログラムは「5千万のNapsterユーザの基盤をテコに利用するために」・・・設計されていた、id., at 746。

 StreamCastはOpenNapプログラムをダウンロードするユーザの数と彼らがダウンロードする音楽ファイルの数の両方を監視していた。Id., at 859, 863, 866. StreamCastは、OpenNapネットワークをMorpheusソフトウェアのコピーを配布するためにも、ユーザにMorpheusソフトウェアを採用するように奨励するためにも使用した。Id., at 861, 867, 1039. StreamCastは、Napsterが裁判所の命令又は他の事情により閉鎖された場合に、以前のNapsterユーザの大部分を引きつけることを希望し、StreamCastが次のNapsterになることを計画していたことを会社の内部資料が示している。Id., at 861. 例えば、広告主に伝えられるStreamCastによって作成された販売促進セットは以前のNapsterユーザを獲得するStreamCastの能力に関する新聞記事を含んでいる、id., at 568-572、そして、StreamCastは自分自身をいくつかの広告主に対して「Napsterに似ている」会社として紹介した、id., at 884。StreamCastは他のNapsterコンパチソフトウェアのユーザにバナー広告を行い、そのOpenNapを採用するよう促した。Id., at 586. 会社の役員の内部的な電子メールは、「『・・・Napsterが彼らの無料サービスを突然中止する時に・・・あるいは裁判所がそれ以前に閉鎖を命令するとすれば・・・積極的に代替物を探すであろうNapsterの3千2百万のユーザを獲得する位置に我々はこのネットワークを置いた』と述べている。Id., at 588-89, 861.

 そこで、StreamCastは最良のNapsterの代替物としてそのサービスを市場に出すために普及促進資料を作成した。一つの広告案は「Napster社はまもなく料金を徴収することを表明しています。もし裁判所がNapsterを最初に閉鎖するよう命令しなければです。あなたはどのようにして乗り越えますか?」と読める。Id., at 897. 他の広告案は、StreamCastのソフトウェアを「Napsterの#1代替物」として勧誘し、「Napsterの光が消えた時・・・ユーザはどこへ行く?」と尋ねている。Id., at 836 (ellipsis in original)[7]。StreamCastはそのソフトウェアの違法な使用を誇示することを計画してさえいた;OpenNapの配布を始める時に、会社の主席技術役員は「ゴールは法とトラブルを起こし、訴えられることだ。それがニュースになる最高の方法だ。」と断言した。Id., at 916.

 Groksterが以前のNapsterユーザのマーケットの獲得を求めていた証拠はより希薄ではあるが現れている、GroksterはそのOpenNapシステムであるSwaptorの配布を始めると共に、ウェブサーチエンジンを使用して「Napster」又は「無料ファイルシェアリング」を見つけようとするコンピュータユーザがGroksterのウェブサイトに向けられるように自社のウェブサイトにデジタルコードを挿入したからである。Id., at 992-993. そして、Groksterの名前がNapsterから派生したものであることは明らかである。

 StreamCastの役員らは彼らのネットワークで利用可能な商業的アーティストによる歌の数を監視しており、ある内部的な通信は彼らのネットワーク上で利用可能な著作権で保護された歌の数が他のフィルシェアリングネットワーク上よりも多いことを目ざしていたことが示されている。Id., at 868. もちろん、Morpheusを通して利用可能なファイルの例として著作権で保護された歌を示すように作成された彼らの普及促進資料とちょうど同じように、主眼点は侵害するつもりのユーザを引きつけることであったであろう。Id., at 848. 実際、Morpheusは特にトップ40の歌(必然的に著作権で保護されている。)をユーザがサーチすることができるようになっている、id., at 735。同様に、Groksterは特に人気のある著作権で保護されたものを提供する能力を売り込むニュースレターをユーザに送っている。Brief for Motion Picture Studio and Recording Company Petitioners 7-8.

 普及促進、マーケティング、および販売促進する意図を表明する証拠に更に加えて、GroksterとStreamCastが用いたビジネスモデルから、彼らの主な目的は彼らのソフトウェアを著作物をダウンロードするために使用することであることが確認できる。GroksterとStreamCastはソフトウェアを何もなしに手に入れるユーザから収入を得ていない。その代わりに、両社は、広告スペースを販売し、GroksterとMorpheusのユーザがそのプログラムを使用する間に広告を流すことによって収入を得ている。それぞれのプログラムのユーザの数が増えるにつれて、広告の機会はより価値が高くなる。Cf. App. 539, 804. 無料のShakespeareに対するいくらかの<some
>需要は疑いもなく存在するが、かなり多くの<substantive>需要が著作物に対する無料アクセス機能であることを証拠が示している。トップ40の歌、例えば、Modest Mouseの最新のリリースを探すユーザは、無料のDecameronを探す者よりも遙かに多数であることは確実であり、GroksterとStreamCastはその需要をドルに換えているのである。

 最後に、どちらの会社も著作物をユーザのダウンロードからフィルタする、あるいは著作権で保護されたファイルのシェアを妨げる他の方法を行う努力をしたという証拠は全くない。Groksterは著作権者から警告を受けた時に侵害コンテンツについてユーザに警告する電子メールを送ったことがあるようにみえるが、著作権で保護されたファイルをシェアするためにそのソフトウェアを使用し続けることから誰も妨げたことはない。Id., at 75-76. StreamCastは、侵害を監視するという他の会社の役員の助力を拒否したばかりでなく、そのネットワーク上でそのような監視を試みていると信じられる会社のIPアドレスをブロックした、at 917- 922.



 ディスカバリ後、本件の両方の当事者らはサマリ判決を互いに申し立てた。地裁は、現在のバージョンのソフトウェアの配布についてのGroksterとStreamCastの責任に審理を制限し、「過去のバージョンのソフトウェアあるいはその他の過去の活動から生じる損害に対する」責任があるかどうかは審理せずに残しておいた。259 F. Supp. 2d 1029, 1033 (CD Cal. 2003). 地裁は、GroksterおよびMorpheusソフトウェアを著作権で保護されたメディアファイルをダウンロードするために使用した者はMGMの著作権を侵害したと判示し、この結論は控訴審において争われていない。しかし、それにもかかわらず地裁は、その時期のバージョンのソフトウェアの配布から生じる責任に関してGroksterとStreamCastの勝訴のサマリ判決を与えた。そのソフトウェアの配布は、それを使用しても配布者らに特定の侵害行為を実際に知しらせることはないから、責任を生じさせないというのが地裁の見解である。Case No. CV 01 08541 SVW (PJWx) (CD Cal., June 18, 2003), App. 1213.

 控訴裁はこれを維持した。380 F. 3d 1154 (CA9 2004). 被告は直接侵害を知ってその侵害に実質的に<materially>寄与した場合に、寄与侵害者として責任を負うというのが控訴裁の分析である。しかし、控訴裁は、Sony  Corp.  of  America v. Universal City Studios, Inc., 464 U. S. 417 (1984)事件が、特定の侵害の事例を実際に知り、かつそれを知って行動しないのでなければ、かなりの<substantial>非侵害使用が可能な商品の配布は寄与侵害責任を生じさせることはないと判示している、と解釈した。第9控訴裁の見解によると、ソフトウェアがかなりの非侵害使用が可能なものであるという事実が、GroksterとStreamCastが責任を負わないことを意味することになる。なぜなら、彼らのソフトウェアの非中央化アーキテクチャにより、彼らは直接侵害を実際に知ることはないからである。また、控訴裁は、侵害ファイルをサーチし、検索し、蓄積したのはユーザ自身であり、最初にソフトウェアを提供したこと以外、被告らによる関与はないから、GroksterとStreamCastはユーザの侵害に重要な寄与はしていないとも判示した。

 また、第9控訴裁は、GroksterとStreamCastが代位責任論に基づく責任を負うかどうかについても審理した。控訴裁は、被告らは、ソフトウェアのユーザを監視又は管理しておらず、同意された権利<agreed-upon right>又は使用を監督する慣習的な資格<current ability>を有しておらず、また、侵害を取り締まる自治的な義務<independent duty>を有していないから、責任はないと判示した。我々は上告受理申立を受理した。543 U. S.  (2004).

II


 MGMおよび多くの法廷助言者らは、著作権保護を通じた創造的追求を支持する価値と著作権侵害の責任の発生を制限することによる新しい通信技術におけるイノベーションを奨励する価値の間の健全なバランスを覆したとして、控訴裁の判示を非難した。アーティスティックな保護が寵愛されればされるほど、技術的なイノベーションは勇気を失わされるだろう;著作権法の運営はトレードオフを上手に扱う修練である。See Sony Corp. v. Universal City Studios, supra, at 442; see generally Ginsburg, Copyright and Control Over New Technologies of Dissemination, 101 Colum. L. Rev. 1613 (2001); Lichtman & Landes, Indirect Liability for Copyright Infringement: An Economic Perspective, 16 Harv. J. L. & Tech. 395 (2003).

 二つの価値観の間の緊張関係が本件の対象である。本件における主張は、著作物のデジタル配布は以前には全くなかった形で著作権者を脅かすというものである。なぜなら、コピーはオリジナルと同一であり、コピーは容易であり、多くの人々(特に若者)はファイルシェアソフトウェアを著作物のダウンロードに使用しているからである。このソフトウェアの使用の大きな広がりが著作権政策に関する論争に公衆を直接的に引き入れる、Peters, Brace Memorial Lecture: Copyright Enters the Public Domain, 51 J. Copyright Soc. 701, 705-717 (2004) (address by Register of Copyrights)、そして、GroksterやNapsterのようなソフトウェアを使用して歌や映画を容易にコピーできることにより著作権保護の軽視が助長される兆しがある、Wu, When Code Isn.t Law, 89 Va. L. Rev. 679, 724-726 (2003)。本件で提出されているように、このような恐れは、侵害者ばかりでなく、非合法の使用の可能性に基づいて、ソフトウェアの配布者に対して責任を課すことは、有益な技術のさらなる発展を制限することがあるという別の懸念によって差し引かれると言われている。See, e.g., Lemley & Reese, Reducing Digital Copyright Infringement Without Restricting Innovation, 56 Stan. L. Rev. 1345, 1386-1390 (2004); Brief for Innovation Scholars and Economists as Amici  Curiae 15-20; Brief for Emerging Technology Companies as  Amici  Curiae 19-25; Brief for Intel Corporation as Amicus Curiae 20-22[8]

 しかしながら、StreamCastとGroksterのソフトウェアを使って毎日なされている侵害ダウンロードの数を考えれば、本件において間接責任を課すという議論は説得力がある。広くシェアされているサービス又は製品が侵害を犯すために使用されている場合、全ての直接侵害者に対して保護されている作品の権利を効果的に行使することは不可能であり、唯一の実際的な代替策はコピーのための製品の配布者に対する寄与又は代位侵害論に基づく二次的責任だろう。See In re Aimster Copyright Litigation, 334 F. 3d 643, 645-646 (CA7 2003). 人は、直接侵害を意図的に引き起こし又は奨励することによって寄与的に侵害する、see Gershwin Pub. Corp. v. Columbia  Artists  Management,  Inc., 443 F. 2d 1159, 1162 (CA2 1971)、そして、直接侵害から利益を得て、直接侵害を停止させる又は制限する権利を行使しないことによって代位的に侵害する。Shapiro, Bernstein & Co. v. H. L. Green  Co., 316 F. 2d 304, 307 (CA2 1963)[9]。「著作権法は他者によってなされた侵害に関して責任を有する者は明確には規定していない」が、Sony Corp. v. Universal  City  Studios, 464 U. S., at 434、これらの二次的責任論はコモンローの法理により生じ、コモンローにおいて十分に確立されている、id., at 486 (Blackmun, J., dissenting); Kalem Co. v. Harper Brothers, 222 U. S. 55, 62-63 (1911); Gershwin  Pub.  Corp.  v. Columbia Artists Management, supra, at 1162; 3 M. Nimmer & D. Nimmer, Copyright, §12.04[A] (2005).



  これらの二次的責任論の流行にもかかわらず、本最高裁は二次的著作権侵害を最近の1件の事件でのみで取り扱っており、MGMは本件においてその主要な主張を我々の意見に合わせているので、我々の以前の判示に目を通すのが適切である。前述のSony Corp. v. Universal City Studios事件において、本裁判所は、二次的侵害責任は商品のまさにその配布から生じ得るという主張に取り組んだ。そこにおいて、製品(当時の新しい製品)は我々が現在ビデオカセットレコーダあるいはVCRとして知っているものである。著作権者は、Sonyは侵害するために使用する手段を供給し、侵害が起こるであろうことを推論的に知っているから、VCRの所有者が著作権で保護された番組を録画するときに生じる寄与侵害責任を負うと主張して、VCRの製造業者であるSonyを訴えた。本案訴訟のトライアルにおいて、証拠は、VCRの主要な使用は「タイムシフト」すなわち番組を録画した後、都合のよい時に見ることであることを示しており、それを最高裁はフェアな非侵害使用であると認定した。Id., at 423-424.Sonyが著作権侵害の録画を引き起こすことを望んでいた又は非合法な録画から利益を増大させる積極的な方法を行っていたという証拠は存在しなかった。Id., at 438. Sonyの広告は、「気に入ったショーを録画する」あるいは「録画番組のライブラリを作る」ためにVCRを購入するよう消費者に勧めていたが、id., at 459 (Blackmun, J., dissenting)、これらの使用は必ずしも侵害ではない、id., at 424, 454-455。

 
侵害使用を奨励する意図を明言する証拠も暗示する証拠も存在しない、これらの事実に基づいて、責任を課すために考えられる根拠は、いくらか<some>が侵害に使うであろうことを知りながらVCRを消費者へ販売したことから生じる寄与侵害論だけである。Id., at 439. しかし、VCRは「商業的に相当な<significant>非侵害使用が可能」であるから、その配布だけの根拠に基づいて製造業者に過失があったとすることはできないと我々は判示した。Id., at 442.

 この分析は、特許品の一つの部品の配布は、それが他の方法で使用するのに適していれば、特許を侵害しないという特許法の伝統的な主要商品論(現在は立法化されている。)を反映したものである。35 U. S. C. §271(c); Aro Mfg. Co. v. Convertible Top Replacement Co., 377 U. S. 476, 485 (1964) (noting codification of cases); id., at 486, n. 6 (same). この法理は、配布者が他者の特許を侵害するために使用されることを商品に意図しており、それにより当然にその侵害に責任を負う商品の配布から推定できる事例を見分けるために案出されたものである。「特許された結合体において使用されるためにだけ採用される商品(結合体の部品)を製造販売する者は彼の行為の当然の結果を意図していると推定される;彼はその特許の結合体においてその商品が使用されることを意図していると推定される。」New York Scaffolding Co. v. Whitney, 224 F. 452, 459 (CA8 1915); see also James Heekin Co. v. Baker, 138 F. 63, 66 (CA8 1905); Canda v. Michigan Malleable Iron Co., 124 F. 486, 489 (CA6 1903); Thomson Houston Electric Co. v. Ohio Brass Co., 80 F. 712, 720-721 (CA6 1897); Red Jacket Mfg. Co. v. Davis, 82 F. 432, 439 (CA7 1897); Holly v. Vergennes  Machine Co., 4 F. 74, 82 (CC Vt. 1880); Renwick v. Pond, 20 F. Cas. 536, 541 (No. 11,702) (CC SDNY 1872).

 要するに、ある商品が侵害以外「他に適するものがない」場合に、Canda v. Michigan  Malleable  Iron  Co., supra, at 489、それをライセンスを受けずに利用可能とすることに適法な公衆の利益は存在せず、侵害の意図を推定する又は負わせる<presuming or imputing>ことに不公平はない[訳2]、see Henry v. A. B. Dick Co., 224 U. S. 1, 48 (1912), overruled on other grounds, Motion Picture Patents Co. v. Universal Film Mfg. Co., 243 U. S. 502 (1917)。逆に言えば、その法理は、非合法使用だけでなく、かなりの<substantial>合法使用があり、どちらとも解釈できる品目の販売行為を免責し、製品のいくらか<some>が誤用されるだろうと単に理解される場合ではなく、もっと深刻な過失の場合に制限する。これにより、イノベーションと活気ある商業のために息をつぐ余地が残される。See Sony Corp. v. Universal City Studios, supra, at 442; Dawson Chemical Co. v. Rohm & Haas Co., 448 U. S. 176, 221 (1980); Henry v. A. B. Dick Co., supra, at 48.

 本件における当事者らおよび法廷助言者の多くは解決するためのキーはSony事件のルールであり、特に、製品が「商業的に相当な<significant>非侵害使用が可能」であることが何を意味しているのかであると考えている。Sony  Corp. v. Universal City Studios, supra, at 442. MGMは、GroksterとStreamCastに現在の活動に関してサマリ判決を与えたことは革新的技術の価値をあまりにも重視し、一つのネットワーク上で利用可能な作品の90%が著作権で保護されていることが証明されていることを考えれば、彼らのソフトウェアのユーザによって侵害される著作権の価値をあまりにも軽視しているという主張を提出する。残りの10%が非侵害使用であると仮定して、これは「かなりの<substantial>」として適格であるとすべきではなく、「主に<principally>」侵害のために使用される製品は適格でないという判示の範囲にSony事件を定量化すべきであると主張する
[訳3]。See Brief for Motion Picture Studio and Recording Company Petitioners 31. 既に述べたように、GroksterとStreamCastは、彼らのソフトウェアはパブリックドメインの作品を複製するために使用することができることを示す証拠を引用して答弁し、また、実際に〔自分の著作物の〕コピーを奨励している著作権者を指摘している。彼らは、たとえ侵害が彼らの現在のソフトウェアで主に行われていることだとしても、非侵害使用は相当なものであり<significant>、また増加していると主張する。

 我々は、控訴裁が、Sony事件を、適用される事件の事情をまったく越えて二次的責任を制限すると解釈し、誤って適用した点でMGMに同意する。Sony事件は、配布者が侵害のために製品が使用されることを事実上知っており、かなりの<substantial>合法的使用が可能な製品の設計又は配布だけから侵害の原因となる意図を推定する又は負わせることに基づく二次的責任を禁じている。第9控訴裁は、Sony事件の制限は、製品がかなりの<substantial>合法的な使用が可能であればいつでも、その製造者は第三者の侵害使用による寄与責任を負うことは決してないということであると解釈した;控訴裁は、配布者が「侵害に寄与する時に特定の侵害を知っていて、その情報に基づいて行動しない」ことがない限り、侵害使用を引き起こす現実の目的が証拠によって証明された場合でさえも、このルールはこのように広いものであるとして解釈した。380 F. 3d, at 1162 (internal quotation marks and alterations omitted). 控訴裁はStreamCastとGroksterのソフトウェアがかなりの<substantial>合法的使用が可能なものであると認定したから、Sony事件の上記の解釈に基づいてどちらの会社も責任を負わないと結論した。なぜなら、中央サーバなしの彼らのソフトウェアでは特定の非合法使用を知ることができないからである。

 しかしながら、Sony事件のこの見解は、この事件を、〔
配布された製品の特徴又は使用から〕負わされた<imputed>意図に基づく責任に関するものから何らかの理論における責任に関するものへ変更しており、誤りである。Sony事件は二次的責任論を他のもの変更してはおらず、また、MGMの誘因<inducement>の主張に関して被告らにサマリ判決を与えたことは以下に示すように誤りであるから、我々は、責任が非合法使用が起こるだろうことを知って配布したことだけに基づく場合に保護と商業のバランス点に定量的な記述を加えるというMGMの要求に関しては、これ以降、Sony事件に立ち戻ることはしない。第9控訴裁の裁判官の判断はSony事件の誤った理解に基づいたものであることを書き留め、Sony事件のルールのさらなる審理はそれが必要とされる日まで残しておく。



 Sony事件のルールは法律問題として、配布された製品の特徴又は使用から負わせる<imputing>過失のある意図を制限する。しかし、Sony事件において、意図の証拠を、そのような証拠が存在した場合に、無視することを〔
下級〕裁判所に要求したことは全くなく、この事件はコモンローから導かれる過失責任<fault-based liability>のルールを排除することは全く意味していない[10]。Sony Corp. v. Universal City Studios, 464 U. S., at 439(「仮に、本件において代位責任がSonyに課せられるとすれば、Sonyが」侵害の可能性を「推論的に知っていて装置を販売した事実に基づかなければならない」)。したがって、侵害使用に使われるかもしれないという製品の特徴又はその知識以上の証拠があり、また、証拠が侵害の奨励を指図する声明又は行動を示している場合に、Sony事件の主要商品ルールは責任を排除することはないだろう。

 違法な目的の直接証拠の古典的事例は、人は他者による侵害の実行を引き起こす又は侵害するように他者を「そそのかす若しくは説得する」場合である、Black.s Law Dictionary 790 (8th ed. 2004)、〔
例えば、〕広告を用いて行う場合のように。したがって、コモンローにおいて、「[侵害使用]を予測するだけでなく広告により引き起こす」著作権又は特許権事件の被告は「法のあらゆる部分において認識される原理に基づいて」侵害に責任を負うべきであったのである。Kalem Co. v. Harper Brothers, 222 U. S., at 62-63(著作権侵害). See also Henry v. A. B. Dick Co., 224 U. S., at 48-49(特許権侵害の寄与責任は、商品の「最もはっきり見える使用が」侵害使用の「広告によってそのようなユーザへの販売が引き起こされる時に侵害に協力するものである」場合に、認定される); Thomson-Houston Electric Co. v. Kelsey Electric R. Specialty Co., 75 F. 1005, 1007-1008 (CA2 1896)(広告およびディスプレイにより、「[特許権]侵害に向けて他者を助ける」被告らの「意思」が認定されることによる); Rumford Chemical Works v. Hecker, 20 F. Cas. 1342, 1346 (No. 12,133) (CC N. J. 1876)(「行われた[侵害の]目的および使用の自認」に加えて侵害行為の実演が特許権侵害の責任を支持した)。

 初期の事件で発達した侵害の誘因<inducement>のルールは今も何も変わっていない[11]。直接侵害を奨励するためになされた・・・積極的方法の証拠、Inc. v. Zenith  Electronics  Corp., 697 F. Supp. 988, 992 (ND Ill. 1988)、例えば侵害使用を広告する又は侵害使用の方法を教えるような証拠は、その製品が侵害に使用されるものであるという積極的な意図を示しており、被告がいくらかの<some>合法的な使用に適する商品を単に販売する場合の責任の認定における法の消極性に打ち勝つ、see, e.g., Water  Technologies  Corp. v. Calco, Ltd., 850 F. 2d 660, 668 (CA Fed. 1988)(人が他者の直接侵害を積極的にかつ知った上で助け教唆する場合の誘因の責任); Fromberg, Inc. v. Thornhill, 315 F. 2d 407, 412-413 (CA5 1963)(販売員による侵害使用の実演は誘因の責任を支持する); Haworth  Inc. v. Herman Miller Inc., 37 USPQ 2d 1080, 1090 (WD Mich. 1994)(被告がその製品の「侵害形態を実演し推奨した」証拠は誘因の責任を支持し得る); Sims v. Mack Trucks,  Inc., 459 F. Supp. 1198, 1215 (ED Pa. 1978)(「その特許・・・を侵害する販売促進フィルムおよびパンフレットにおいて被告が」その使用を「表現している」場合に誘因を認定している)、他の理由で覆った、608 F. 2d 87 (CA3 1979). Cf. W. Keeton, D. Dobbs, R. Keeton, & D. Owen, Prosser and Keeton on Law of Torts 37 (5th ed. 1984)(「害を加える又は道徳的に悪いことを意図する行為を行う被告に、より大きな責任を課す明確な傾向がある」)。

 Sony事件が特許法の主要商品論を著作権のセーフハーバー・ルールのためのモデルとして採用したのと同じ理由で、特許法の誘因<inducement>のルールもまた著作権のための道理にかなったルールである。本件において、我々はそれを採用し、著作権を侵害するために製品<a device>の使用を奨励する目的で製品を配布した者は、侵害を促進するためになされた明確な表現又は他の肯定的な方法<affirmative steps>により証明された場合、その製品を使用する第三者による結果的な侵害行為に対して責任を負う、と判示する。
もちろん、我々は通常の商業を侵す又は合法および非合法の使用が可能である技術の発展をくじけさせことを自制する必要があることを忘れてはならない。したがって、Sony事件において、VCRの製造業者がその製品が侵害する使用がなされ得ることを知っているにもかかわらず、意図的な誘因を認定しなかったように、464 U. S., at 439, n. 19、侵害が可能な使用又は実際に侵害している使用を知っているだけでは、配布者に責任を負わせるには十分ではないであろう。また、顧客に技術サポート又は製品のアップデートを提供するような製品の配布に付随した通常の行為それ自体も責任はないであろう。その代わり、誘因のルールは、意図を持つ、過失のある表現および行為に関する責任を前提としており、それゆえ、適法な商業を傷つけること又は合法的な前途の有望なイノベーションをくじけさせることはない。

III


 
MGMの証拠を誘因論に基づくサマリ判決に十分に耐えるものとして扱うことに関する唯一つの明らかな問題は、StreamCastとGroksterが彼らのソフトウェアのユーザに対して誘因するメッセージを伝えたという証拠を提出することがMGM側に必要とされるということである。誘因の古典的な事例は、侵害を犯すように他者を奨励するために計画されたメッセージを宣伝する広告又は勧誘によるものである。MGMはそのようなメッセージが本件において証明されたと主張する。StreamCastはNapsterコンパチプログラムのユーザのコンピュータ画面にOpenNapプログラムの採用を促す広告を送っており、そのOpenNapプログラムは、その名前に暗示されているように、Napsterのひいきの顧客を招き入れるように設計されたもので、その後、裁判所において大量侵害を促進していると攻撃されているものである。StreamCastのOpenNapプログラムを受け入れた者は、著作権で保護されたファイルをダウンロードする能力としてNapsterマーケットにおいて理解されていたのと同じと事実認定者が認定し得るサービスを実行するソフトウェアが提供される。Groksterは、人気のある著作権で保護された音楽にアクセスするソフトウェアの能力を売り込む記事へのリンクを含むニュースレターを配布した。そして、Napster又は無料ファイルシェアリングをサーチしているうちにGroksterへのリンクを偶然見つけた者は、GroksterがNapsterと同じファイルシェア機能を、恐らくNapsterを侵害ダウンロードに使用していたのと同じ人達に、提供していることを理解した;これはGroksterの暗示的な名前が付けられたSwaptorソフトウェア(OpenNapのGroksterバージョン)の提供を受けた者全ての理解でもある。そして、両社は、著作物を配置し送信する場合のヘルプ要求に肯定的に答えることにより明確なメッセージを伝えている。

 もちろん、StreamCastの場合は、いま記述したばかりの証拠は内部的な通信における非合法な目的の他の明白な指示およびNapsterユーザをねらった広告の立案によって補足される(「「Napsterの光が消えた時・・・ユーザはどこへ行く?」App. 836)。そのメッセージが伝えられたかどうかはこの記録においては要領を得ていない。誘因論におけるメッセージの機能は、彼の非合法な目的が、〔
彼が〕主張する保護を剥奪していることを被告自身の陳述によって証明するためのである(そして付随的にそのメッセージを聞き又は読んだ者にみられそうな実際の違反者へ向けるためのものである)。See supra, at 17-19. メッセージが送られたことが証明されることは秀でたことであるが、侵害行為をもたらす目的で積極的行動がなされたこと、および侵害行為が配布された製品を使って行われたこと、を証明する唯一の方法ではない。本件において、サマリ判決の記録には、GroksterとStreamCastが、Sony事件における製造業者および配布者とは異なり、違法な使用に適したソフトウェアの使用により著作権違反を生み出す目的を持って行動したことを示すその他の証拠で満ちあふれている。See supra, at 6-9.

 意図の証拠の三つの特徴は特に注目に値する。第一に、各社は、著作権侵害を要求する知られた源、すなわち以前のNapsterユーザが構成するマーケットを満足させることを目的にしていることを自分自身で証明している。StreamCastの内部資料では絶え間なくNapsterへの参照がなされている、最初はNapsterとコンパチなOpenNapプログラムを通してMorpheusソフトウェアを配布した、NapsterユーザにそのOpenNapプログラムを広告した、Morpheusソフトウェアは、著作権で保護された映画やソフトウェアプログラムを含む、より多くの種類のファイルを配布するのに使用できることを除き、Napsterのように機能した。Groksterの名称は明らかにNapsterに起源を有する、極めて早期にそのOpenNapプログラムを提供した、そのソフトウェアの機能は同様にNapsterとコンパチである、Napsterの検索を自分のウェブサイトへ向けさせるように試みた。圧倒的に侵害ファイルであるものをコピーし配布するメカニズムを奪われた以前のNapsterユーザへのサービスを供給するGroksterとStreamCastの努力は、侵害を生じさせる主要な、唯一ではないとしても、意図を指し示している。

 第二に、この非合法な目的の証拠は、どちらの会社もフィルタリングツール又は彼らのソフトウェアを使用する侵害行為を減少させる他のメカニズムの開発を試みていないというMGMの証明によって重要性が増している。第9控訴裁は、それをしないことは、被上告人が彼らのユーザの行動を監視する自治的な義務がないから、無関係であると見なしたが、我々は、この証拠はユーザの侵害の意図的な促進であることを強調していると考える[12]

 第三に、非合法な目的の直接証拠にさらに補足するものが存在する。StreamCastとGroksterは広告スペースを販売し、彼らのソフトウェアを使用するコンピュータ画面に広告を行うことによって金銭を得ていることを思い出すことは有益である。記録が示すように、彼らのソフトウェアがより使われるほど、より多い広告が送られ、より高額の広告収入となる。ソフトウェアのユーザの広がりは配布者の利益を決定するから、彼らの企業の商業的判断力により大量の使用が引き起こされ、記録はそれらが侵害であることを示している[13]。この証拠だけで非合法な意図の推論を正当化することはないだろうが、その重要性は全体の記録の前後関係から明白である。

 非合法な目的は紛れもないものである。



 侵害を引き起こす意図および侵害使用に適した製品の配布に加えて、誘因論はその製品(本件においてはソフトウェア)の受領者による実際の侵害の証拠を要求する。事実の評価が示すように、そのような侵害の膨大な規模の証拠が存在し、原告らのサマリ判決の申立が生き残る点〔
原告ら勝訴のサマリ判決を下す点〕においてMGMの証明の妥当性に関して深刻な問題は存在しない。損害賠償の請求の基礎となる侵害使用の正確な計算は〔現時点では〕争点ではないが、サマリ判決の証拠は、少なくともMGMは損害賠償の請求および衡平法上の救済〔差止〕を受ける資格があるとするに十分なものであることに疑問はない。

* * *

 要するに、本件はSony事件とは著しく異なっており、StreamCastとGroksterを支持する判決を行うためにSony事件に頼ることは誤りである[訳4]。Sony事件は、合法および非合法の使用を選択可能な製品を、いくらかの<some>ユーザは非合法のコースをたどるであろうということを知って、販売することにだけ基づく責任に対する請求を扱った。その事件は、かなりの<substantial>合法的な使用ができる製品は、他者の非合法行為から過失とその結果として二次的責任を負わせることを禁じるべきであることを判示して、保護とイノベーションの利益の間のバランスを取ったものである。

 本件におけるMGMの証拠は、二つの選択し得る使用に開かれた製品の配布に対する異なった責任の原則を提出している。本件においては、配布者の言葉および行為の証拠は、単なる配布を越えて、第三者の著作権侵害行為を引き起こし、それから利益を得る目的を証明している。誘因侵害の責任が最終的に認定されるとすれば、〔製品自体から〕過失を推定する又は負わせるという原則に基づくのではなく、明らかに違法な目的を、その目的であるものを示す陳述および行為から推論するという原則に基づくだろう[訳5]

 誘因の全ての要素においてMGMを支持するかなりの<substantial>証拠が存在し、GroksterおよびStreamCastを支持するサマリ判決は誤りである。差戻審においては、MGMのサマリ判決の申立の再審理が妥当であろう。


 控訴裁判所の判決を破棄し、本件は本意見と一致するさらなる手続きのために差し戻す。[訳15]

 そのように命令される。



脚注(裁判所の意見)
(1)ピア・ツー・ピア・ネットワークは不便な点もある。ピア・ツー・ピア・ネットワーク上でのサーチは全ての利用可能なファイルに達することができず、利用できないかもしれない、なぜなら、サーチ要求はネットワーク上の全てのコンピュータに送信されるわけではないからである。人気のあるファイルの冗長なコピーがあるかもしれない。ソフトウェアの作成者には記憶装置又はバンド幅の消費を最小化するインセンティブはなく、そのコストはネットワークの全てのユーザによって分担される。最も問題があるのは、検索可能なファイルの中身とユーザの行動をコントロールすることが難しいことである。

(2)映画会社らとレコード会社らと作曲家らと音楽出版社らは被告らに対して別々の訴訟を提起したが、地裁によって併合された。

(3)本件において記録が作成された後リリースされたMorpheusの後続のバージョンは明らかにGnutellaに依存せず、Neonetと呼ばれる技術に依存している。これらの進展については我々の審理の対象ではない。

(4)GroksterとStreamCastが以前に、彼らに接続された全てのノード上で利用可能なファイルのインデックスを収集するスーパーノードを運営していたといういくつかの証拠がある。この証拠は、被告らの以前のバージョンに属しており、本件の審理の対象ではなく、いずれにしても我々の結論に影響を与えないであろう。

(5)対比すると、A & M Records, Inc. v. Napster, Inc., 239 F. 3d 1004 (CA9 2001) 事件において原告らによって提出された証拠は、Napsterファイルシェア・ネットワーク上で利用可能なファイルの87%は著作権で保護されたものであった、id., at 1013.

(6)Groksterの創立者は、電子メールに答える時に、時々、完全には読まないことがあると主張する。App. 77, 769.

(7)StreamCastがこれらの普及促進資料を作成したことは記録が明らかにしているが、それが公衆にリリースされたかどうかは明らかではない。これらの広告が公衆に対してリリースされおらず、仮に、侵害を奨励していないとしても、それらはStreamCastの目的を明らかにしている。

(8)しかし、これらの価値観相互の排他性は誇張されるべきではないだろう。一方において、ファイルシェアリング・コンピュータプログラムを書く者を含む技術的なイノベーターは彼らの作品に対する効果的な著作権保護を望んでいるかもしれない。See, e.g., Wu, When Code Isn.t Law, 89 Va. L. Rev. 679, 750 (2003). (StreamCast自身、「その技術を書き留め、[その知的財産権]が保護されるように」、ある提携者から急き立てられていた。App. 866.)他方で、進歩した技術を通じて創造的作品が広く配布されることは新しい作品の統合を可能とし、新しいアーティストのための聴衆を生み出すことができるかもしれない。See Eldred v. Ashcroft, 537 U. S. 186, 223-226 (2003) (STEVENS, J., dissenting); Van Houweling, Distributive Values in Copyright, 83 Texas L. Rev. 1535, 1539-1540, 1562-1564 (2005); Brief for Sovereign Artists et al. as Amici Curiae 11.

(9)我々は、Sony Corp. of America v. Universal City Studios, Inc., 464 U. S. 417 (1984)事件において、「『直接侵害、寄与侵害、代位責任の間の線は明確には引かれていない』、・・・[Sony事件の原告らの寄与侵害の主張]を熟考した上での分析は必然的に、・・・他のラベルに基づいて進めることもできる議論および判例法の考慮を伴う・・・そして、当事者らは、・・・寄与侵害の争点に関してそれぞれの立場を支持する主張および権威に依存している」、と述べた。id., at 435, n. 17 (quoting Universal City Studios, Inc. v. Sony Corp., 480 F. Supp. 429, 457-458 (CD Cal. 1979)). 本件においては、被告が侵害から直接利益を得ており、かつ、直接侵害者を監督する権利と能力を有している場合に、被告が最初は侵害を知らなくても、責任を負わせることができる代位責任論を
MGMは主張した。See, e.g., Shapiro, Bernstein & Co. v. H. L. Green Co., 316 F. 2d 304, 308 (CA2 1963); Dreamland Ball Room, Inc. v. Shapiro, Bernstein & Co., 36 F. 2d 354, 355 (CA7 1929). 我々は本件を誘因論に基づいて決定したから、MGMの代位責任論を別個に分析する必要がない。

(10)主要商品を配布した者に対する特許法の免責(35 U. S. C. §271(c))は特許権侵害を引き起こした者(§271(b))に広がることもない。

(11)誘因は特許法において立法化されている。Ibid.

(12)もちろん、意図の他の証拠がなければ、もし、製品がかなりの非侵害使用が可能であれば、侵害を防ぐ肯定的な行動を取らないことだけに基づいて、裁判所は寄与侵害責任を認定することはできない。そのような判示はSonyのセーフハーバーに近すぎる場所を踏みつけてしまうであろう。

(13)GroksterとStreamCastは、地裁および控訴裁における判決は彼らのソフトウェアの現在のバージョンだけを扱っており、「侵害を奨励する又は侵害の行為を知って・・・助力していると主張される・・・過去の行為」は扱っていないから、彼らの行為に基づくどのような責任論も本裁判所で審理するのは適切ではないと主張する。Brief for Respondents 14; see also id., at 34. この主張は彼らの可能性のある責任の基礎を誤解している。特定の顧客に著作権を侵害するよう奨励することがその結果である侵害の二次的責任を生じさせるだけでなない。誘因責任はそれを越え、配布者がその製品を侵害に使われるように意図し奨励していることが証拠により証明された場合は、製品の配布自体が責任を生じさせる。そのような事件では、過失のある行為は、侵害を奨励する行為だけでなく、侵害使用が意図されたツールを配布する行為でもある。See Kalem Co. v. Harper Brothers, 222 U. S. 55, 62-63 (1911); Cable/Home Communication Corp. v. Network Productions, Inc., 902 F. 2d 829, 846 (CA11 1990); A & M Records, Inc. v. Abdallah, 948 F. Supp. 1449, 1456 (CD Cal. 1996).



GINSBURG裁判官の賛成意見


合衆国最高裁判所

No. 04-480

上告人(原告) METRO-GOLDWYN-MAYER STUDIOS INC. 他
被上告人(被告) GROKSTER, LTD. 他

第9巡回区合衆国控訴裁判所に対する上告受理申立状に関して

[2005.6.27]

 GINSBURG裁判官は賛成し、これにREHNQUIST, C.裁判官およびKENNEDY裁判官が加わる。

 私は、第9控訴裁判所の判決を完全に破棄する裁判所の意見(上記, at 24)に賛成し、控訴裁がSony Corp. of America v. Universal City Studios, Inc., 464 U. S. 417 (1984)事件における我々の判示を誤解し、それゆえ誤って適用したと私が結論した理由を明確化するために、別に意見を書く。本件において少なくとも、積極的誘因著作権侵害だけでなく、あるいは代替的に、ソフトウェア製品の配布に基づく寄与著作権侵害のGrokster又はStreamCastの責任に関する「重要な事実に関する本物の問題」(Fed. Rule Civ. Proc. 56(c))が存在する。どちらの理由においても、GroksterおよびStreamCastのためのサマリ判決は正当化されない[訳6]

 基本的には、本件におけるこの問題はGroksterとStreamCastが他者の直接侵害行為に責任を負うかどうかである。我々の判例法に基づく責任は、(裁判所の意見が詳しく説明しているように)明確な行為を通して積極的に侵害を奨励する(もしくは引き起こす)こと、又は製品が「かなりの<substantial>」又は「商業的に相当な<commercially significant>」非侵害使用が可能でない場合に、配布を受ける者が著作権侵害に使用する製品を配布すること、に基礎を置いているといえる。Sony, 464 U. S., at 442; see also 3 M. Nimmer & D. Nimmer, Nimmer on Copyright §12.04[A][2] (2005). 二つのカテゴリーはオーバラップするが、それらは異なった過失行為である。長い間共存し、両方が現在では特許法において立法化されている。米国特許法§271(b)(積極的誘因責任)と§271(c)(「かなりの非侵害使用に適」しない製品の配布についての寄与責任)を比較せよ。[訳7]

 Sony, 464 U. S. 417事件において、最高裁はBetamaxビデオカセットレコーダを販売するSonyの責任を審理した。最高裁は完全なトライアルの記録により導かれた。特許法の主要商品論を類推して、Sony事件の最高裁は「特許権侵害使用に適合された・・・物品の販売」は、その物品が「他の合法的使用にも適合している」場合は、その販売者を寄与侵害者とするに十分ではないことを認めた。Id., at 441 (quoting Henry v. A.  B.  Dick  Co., 224 U. S. 1, 48 (1912), overruled on other grounds, Motion Picture Patents Co. v. Universal Film Mfg. Co., 243 U. S. 502, 517 (1917)).

 著作権に適用される「主要商品論」は、「制定法上の独占権の(単なるシンボル的だけものではなく)効果的な保護についての著作権者の適法な要求と、実質上関係のない商業分野において他者が自由に従事する権利との間のバランスをとらなければならない」と最高裁は述べている。Sony, 464 U. S., at 442. 最高裁は次のように判示している。「したがって、コピー装置の販売は、他の商品の販売と同様、その製品が適法な、異議のない目的のために広く使用されていれば、寄与侵害を構成しない。実際、かなりの非侵害使用が可能であることだけが必要である。」Ibid. それゆえ、Sony事件を解決するために、最高裁は、「Betamaxが商業的に相当な非侵害使用が可能なものであるかどうか」を決定しなければならなかった。Ibid.

 この問題に答えるために、最高裁は、相当な数<a significant number>の「可能性のあるBetamaxの使用」が非侵害であるかどうか」を検討した。Ibid. 最高裁は、一つの可能性のある使用−家庭内の私的な、非商業的なテレビ番組のタイムシフト(すなわち、放送されたTV番組を録画し後で個人的に見ること)に本拠を置いた。トライアルにおける証言によって、
いくつかの場合ににおいて著作権者がタイムシフトを許可していることが証明されており、id., at 443-447、また、他の場合においては、適法なフェアユースであるから、タイムシフトは非侵害であると最高裁は結論した。Betamaxを使用するほとんどの購入者は主にタイムシフトに使用しており、id., at 421, 423、その使用は最高裁の基準を「明確に満たしている」、at 442. したがって、Sony事件において、[実際の又は可能性のある]使用がどれだけ商業的に相当な<significant>使用であるのかの問題には明確な内容を与える必要がなかったのである。Ibid.[G1]さらなる詳細な説明は後の事件に残されたのである。

 第9控訴裁は、ソフトウェア製品の配布に基づいて寄与侵害責任を課すことに関してGroksterとStreamCastにサマリ判決を与える時に、道に迷ってしまった、と私は言いたい。A&M  Records,  Inc. v. Napster,  Inc., 239 F. 3d 1004 (CA9 2001)事件の意見に依存して、控訴裁は、「かなりの非侵害使用が証明された場合は、著作権者は被告が特定の侵害ファイルについて合理的に知っていたことを証明することが要求されるであろう」と判示した。380 F. 3d 1154, 1161 (CA9 2004). 「記録の注意深い調査により」、「非侵害使用に関する重要な事実問題は存在しない」と控訴裁は結論した。Ibid. 控訴裁は、アルバムを無料ダウンロードできるようにしたWilcoというバンド、インターネットを介して無料で音楽を配信することを許可した他の音楽アーティスト、およびGroksterとStreamCastのソフトウェアを通して利用可能なパブリックドメインの文学作品を指摘した。Ibid. 控訴裁は「そのソフトウェアの使用の莫大な大部分は著作権侵害のためである」というMGMの主張は認めたが、控訴裁はGroksterとStreamCastが提出した証拠が「製品はかなりの非侵害使用が可能なことだけが必要とされる」というSony事件の要件を満たすと結論した。380 F. 3d, at 1162.[G2]

 本件はSony事件とは著しく異なっている。Cf. Peters, Brace Memorial Lecture: Copyright Enters the Public Domain, 51 J. Copyright Soc. 701, 724 (2004)(「Grokster事件の控訴裁裁判官のSony事件の解釈は裁判所が行った最も広いものである・・・」)。本件においては、いかなるフェアユースの認定もなく、非侵害使用の逸話的な証拠以上のものはほとんどない。GroksterとStreamCastのソフトウェア製品がかなりの非侵害使用が可能なものであるという認定において、地裁および控訴裁は被告らによって提出された陳述書に大きく依存したようにみえる。これらの陳述書は多数の著作権者がインターネット上で彼らの著作物を配布する許可を与えており、いくらかのパブリックドメインのものはピア・ツー・ピア・ネットワーク(GroksterとStreamCastのソフトウェアを通してアクセスされるものを含む)を介して利用可能であるという主張(いくつかは伝聞)を含んでいる。380 F. 3d, at 1161; 259 F. Supp. 2d 1029, 1035-1036 (CD Cal. 2003); App. 125-171.

 地裁は「被告らのソフトウェアにかなりの非侵害使用があることは争いがない」と宣言し、それにより、さらなる手続きの必要を不要にした。259 F. Supp. 2d, at 1035. この結論はGroksterとStreamCastにより提出された多数の陳述書にほとんど完全に根拠を置いているようにみえる。Ibid. これらの陳述書を再審理すると、オンラインで利用可能なおよびピア・ツー・ピア・ネットワークを通してシェアされている許可された著作物又はパブリックドメインの作品の伝聞証言(時には、また聞き)と、ピア・ツー・ピア技術の利益に関する一般的な陳述がほとんどであることが明らかになる。例えば、以下を参照、Janis Ianの陳述書¶13, App. 128(「P2P技術はミュージッシャンに販売促進および配布チャネルを提供する。」);Gregory Newbyの陳述書¶12, id., at 136(「多数の許可されたおよびパブリックドメインのProject Gutenberg電子本がMorpheus、Kazaa、Gnutella、Grokster、および同様なソフトウェア製品上で利用可能とされている。」); Aram Sinnreichの陳述書¶6, id., at 151(「ファイルシェアリングは音楽販売に正味のプラスのインパクトを有しているようにみえる」); John Busherの陳述書¶8, id., at 166(「AcousticaがGnutella とFastTrackネットワークを通してその試用版を配布した結果、月1,000ドルから10,000ドルの間の販売が生成されると私は見積もっている。」); Patricia D. Hoekmanの陳述書¶¶3-4, id., at 169-170(Morpheus上で「ブッシュ大統領の演説」をサーチするといくつかのビデオ録画が見つかり、「独立宣言」と「バイブル」のサーチでは様々な文書が見つかり、陳述者は独立宣言のコピーをダウンロードすることができた); Sean L. Mayersの陳述書¶11, id., at 67(「現存するオープンな非中央化されたピア・ツー・ピア・ファイルシェアリング・ネットワークは・・・代替のオンライン配布技術に対するはっきりしたビジネス上の利点をコンテンツの所有者に提供する。」)。Brewster Kahleの陳述書¶20, id., at 142(Prelinger映画をダウンロードする者は・・・これらの映画を再配布する資格を有し、ArchiveはMorpheus-Grokster-KaZaaのコミュニティによる再配布を歓迎している。」)と、Brewster Kahleの証言録取書, id., at 396-403 (Sept. 18, 2002)(Morpheus、Grokster、あるいはKaZaAを使ってPrelinger映画をダウンロードした人について何も知らないと証言している)を比較せよ。また、Richard Prelingerの陳述書¶17, id., at 147(「我々は、個人がMorpheus、KaZaA、Groksterのようなピア・ツー・ピア・ソフトウェア製品を使ってPrelinger映画を再配布するのを歓迎する。」)と、Richard Prelingerの証言録取書, id., at 410-411 (Oct. 1, 2002)(「Q.Groksterをどのようなものと理解していますか? A.Groksterについて何も知りません・・・・Q.Groksterのソフトウェアのユーザの誰かがPrelinger映画の何かをシェアするために利用可能としたかどうかをご存じですか? A.いいえ。」)を比較せよ。以下も参照、Aram Sinnreichの陳述書, id., at 390 (Sept. 25, 2002)(「新聞、ニュースグループ、うわさ」に基づくバンドWilcoについての証言)。MGMにより提出されたGroksterとStreamCastのソフトウェアの圧倒的な侵害使用の証拠を考えると、
これらの陳述書によってサマリ判決が支持されることはあり得ない。[G3]

 仮に、GroksterとStreamCastのソフトウェアを使ってコピーされた非侵害ファイルの絶対数が大きいとしても、
それゆえその製品がかなりの非侵害使用を有し、それにより免責されることにはならない。非侵害コピーの数はシェアされたファイルの巨大な量の反映であり、それと比較すると小さなものである。さらに、地裁および控訴裁は(本件に関係する)GroksterとStreamCastのソフトウェア製品の使用と(本件に関係しない)一般のピア・ツー・ピア技術の使用との間に明確な区別を付けなかった。

  要するに、本件記録が作られた時に、GroksterとStreamCastの製品が侵害に圧倒的に使用されており、また、しばらくの間そうであった、ante, at 4-6; App. 434-439, 476-481、また、この侵害は製品からの圧倒的な収入源であった、ante, at 8-9; 259 F. Supp. 2d, at 1043-1044、という証拠が存在する。公正に評価すれば、証拠は、〔
トライアルによる〕本物の議論を越えて、かなりの又は商業的に相当な<substantial or commercially significant>非侵害使用が増加していきそうであるという合理的な見通しを証明するに十分ではない。本件記録によれば、地裁は、寄与侵害責任に関して否定的に判断すべきではなかったし、GroksterとStreamCastにサマリ判決を与えるべきではなかった。[G4]

 仮に、差戻審において、GroksterとStreamCastの積極的誘因侵害に基づくMGM勝訴のサマリ判決により本件が決定できないとすれば、控訴裁はSony事件の製品配布の判示事項の解釈を、〔
Sony事件の〕全記録に基づいて、再審理すべきであると私は強調したい。[訳8]


脚注(GINSBURG裁判官の賛成意見
(G1)BREYER裁判官〔
もう一つの賛成意見を書いた裁判官〕は、Sony Corp. of America v. Universal City Studios, Inc., 464 U. S. 417 (1984)事件のなかに、製品が「著作権侵害にほとんど専用に<almost exclusively>使用されるだろう」場合にのみ製品の配布に基づく寄与著作権侵害責任を認める「明確な」ルールを見つけ出している。Post, at 9-10. But cf. Sony, 464 U. S., at 442(「(単なるシンボル的なものではなく)効果的な保護のための著作権者の適法な要求」を認めている)。私が読むところによれば、Sony事件は明確な、ほぼ専用テスト<nearexclusivity test>は含んでいない。控訴裁もBREYER裁判官の明確なルールを満場一致で認めていない。A&M Records, Inc. v. Napster, Inc., 239 F. 3d 1004, 1021 (CA9 2001)(「侵害の特定の行為を実際に知っている証拠が寄与著作権侵害責任をコンピュータシステムの運営者に課すために必要とされる。」)とIn re Aimster Copyright Litigation, 334 F. 3d 643, 649-650 (CA7 2003)(「供給者が侵害使用ばかりでなく非侵害使用もある製品又はサービスを提供する場合は、これらの使用のそれぞれの大きさの評価が寄与侵害の認定に必要であるということである。・・・しかし、損失と利益のバランスを取ることは現在又は将来におけるかなりの非侵害使用が証明される場合においてのみ必要である。」)を比較せよ。以下も参照、Matthew Bender & Co., Inc. v. West Pub. Co., 158 F. 3d 693, 707 (CA2 1998)(「最高裁は、偶然に侵害に使用されるかもしれない製品・・・の配布をコントロールするために著作権者がオリジナルな作品の著作権をテコにすることから防ぐために[Sony]テストを適用した。・・・同じ理由付けが、調査および引用のためのツールとして、かなりの、顕著なそして非侵害の使用を有する本件における[製品]に適用される。」)。さらに、控訴裁が、少なくとも、Sony事件が「二次的責任」を「事件が適用される事情をまったく越えて」これまでほとんどない部類に限定すると解釈した点で「控訴裁はSony事件を誤って適用した」ことに最高裁の全ての裁判官が同意している。Ante, at 16.

(G2)控訴裁の見解によれば、ソフトウェアの会社が侵害の特定の行為を知り、かつそれを知ったことにに基づいて行動しないことをMGMが証明できない限り(控訴裁がMGMが満たすことができないと判示した基準)、GroksterとStreamCastはサマリ判決を受ける資格がある、380 F. 3d, at 1162-1163.

(G3)BREYER裁判官は、陳述書の雑多な集まりとMGMに雇われた専門家によって行われた調査のなかにサマリ判決を支持するものを見いだしている。Post, at 4-8. その調査はGroksterを通して利用できるファイルの75%は原告らによって所有又は管理されている著作物であり、ファイルの15%は著作物らしいと鑑定している。App. 439. ファイルの残りの10%に関しては、「これらのファイルが一体何から構成されているか、および/又は侵害なのか非侵害なのかに関しても合理的な結論を形成するための十分な情報はない。」App. 479. BREYER裁判官が行ったように、Sony事件の最高裁が許可されたタイムシフトのためにBetamaxを使用していることにのみ基づいてSonyの寄与侵害を免責したであろうことを仮定したとしても、at 3-4、サマリ判決は本件において必然的に適切ではない。Sony事件は原告らが著作権で保護されたテレビ番組の「10%より遙かに下」しか所有していないことを強調しており、464 U. S., at 443、4大スポーツリーグの代表とその著作権で保護された放送の録画を許可された個人のトライアルの証言に基づいて、同様のパーセンテージの番組のコピーが許可されていることを認定した、id., at 424。本件において、原告らはGroksterとStreamCastのソフトウェアを通して交換された著作物の70%から75%の著作権を管理していると主張しているが、380 F. 3d, at 1158; App. 439、地裁は著作権者から許可されたコピーについて比較に値する証言に頼ったようには見えない。

(G4)「原告らは被告らのソフトウェアが、かなりの非侵害目的のために使用されている、また使用されていた、ことを争っていない」という地裁の結論は、259 F. Supp. 2d 1029, 1036 (CD Cal. 2003); accord 380 F. 3d, at 1161, いくら控え目に言っても、怪しい。Brief for Motion Picture Studio and Recording Company Petitioners 30-38; Brief for MGM Plaintiffs-Appellants in No. 03. 55894, etc. (CA9), p. 41; App. 356-357, 361-365.



BREYER裁判官の賛成意見


合衆国最高裁判所

No. 04-480

上告人(原告) METRO-GOLDWYN-MAYER STUDIOS INC. 他
被上告人(被告) GROKSTER, LTD. 他

第9巡回区合衆国控訴裁判所に対する上告受理申立状に関して

[2005.6.27]

 BREYER裁判官は賛成し、これにSTEVENS裁判官およびO.CONNOR裁判官が加わる。

 私は、2つの用途を持つ技術の配布者が、積極的に侵害を促進する場合、第三者の侵害行為に責任を負うという裁判所〔の意見〕に同意する。Ante, at 1. 私は、今日の我々の判示に照らして、我々がSony Corp. of America v. Universal City Studios, Inc., 464 U. S. 417 (1984)事件に現時点において「立ち戻る」必要がないことにも同意する。Ante, at 17. しかしながら、裁判所の他のメンバー〔もう一つの賛成意見を書いたGINSBURG裁判官とそれに加わったREHNQUIST, C.裁判官、KENNEDY裁判官〕は、Sony事件の問題:Groksterの製品は「『かなりの』又は『商業的に相当な』非侵害使用が可能である」かどうかという問題を取り上げている。Ante, at 1 (GINSBURG裁判官の賛成意見) (quoting Sony, supra, at 442). そして、彼らは、その問題に対する答えとして、控訴裁はGroksterを支持してサマリ判決を与えた点において誤ったと述べている。Ante, at 4. 私は、この問題で彼らに同意しない理由を説明するために意見を書く[訳9]



 控訴裁の結論は、Sony事件の最高裁の意見および(我々に提出された多くの書面で記載され分析された)記録の証拠から、適切な法的支持を有していると私は確信する。



 Sony事件の基準から始める。Sony事件において最高裁は、保護された作品を自分では違法にコピーせずに、違法コピーに使用できる装置「ビデオカセットレコーダ(VCR)」を販売した会社の著作権侵害の可能性を審理した。購入者はその装置を、著作権で保護されていないテレビ番組や著作権で保護されているが著作権者に許可された番組を後で見るための録画(「タイムシフト」と呼ばれることがある、Sony, 464 U. S., at 421)のような非侵害目的に使用することができる。購入者は、著作権で保護された番組の録画のライブラリを作るような侵害目的にもその装置を使用することができる。あるいは、購入者は、録画行為の法的状態(例えば、コピーが「フェアユース」を構成するか構成しないか)がはっきりしない状況で著作権で保護された番組を録画するためにその装置を使うかもしれない。id., at 425-426). Sonyは多くの<many>顧客がVCRを許可されないコピーおよび「『ライブラリの作成』」を行うために使用するであろうことを知っていた。Id., at 458-459 (Blackmun, J., dissenting). しかし、その事実はSony自身を侵害者にするには不十分であると最高裁は述べている。そして、最高裁は最終的に、Sonyは顧客の侵害行為に責任を負わない、と判示している。

 この結論に達する過程で、最高裁は、「制定法上の独占権の(単なるシンボル的なものではなく)効果的な保護のための著作権者の適法な要求と、実質上関係のない商業分野において他者が自由に従事する権利との間のバランスをとる」ために、二次的著作権責任を負わせる法の必要性を認めた。Id., at 442. 最高裁は、特許法の「主要商品」論を指摘し、ibid., それによれば、製品の配布者は、その製品が「いかなる商業的な非侵害使用<any commercial noninfringing use>にも不適当」でない限り、顧客による特許権侵害に責任を負わない。Dawson Chemical Co. v. Rohm & Haas Co., 448 U. S. 176, 198 (1980). 最高裁は、コピー装置の販売は、「その製品が適法な異議のない目的のために広く<widely>使用されていれば、他の商品の販売と同じように、寄与侵害を構成しない。実際、かなりの<substantial>非侵害使用が可能であることが単に必要であるに過ぎない」と記載している。Sony, 464 U. S., at 442 (emphasis added). 最高裁は最終的にその事件における法的「問題」を、「[SonyのVCR]が商業的に相当な<significant>非侵害使用が可能であるかどうか」として特徴付けた(これらの用語に「正確な内容」を与えてはいないが)。Ibid. (emphasis added).

 最高裁はその後この基準を適用した。最高裁は、全てのVCRの録画のざっと9%が、タイムシフトに異議を申し立てずSonyのために証言した製作者又は〔番組の〕配布者によって所有された番組(すなわち、宗教番組、教育番組、およびスポーツ番組)であることを示す(裁判所に依頼され、被告ら
によって作成され提出された)調査を有していた。See Brief for Respondent Universal Studios et al. O. T. 1983, No. 81.1687, pp. 52-53; see also Sony, supra, at 424(全てのSonyのVCRの使用の7.3%はスポーツリーグの代表者が異議を申し立てないスポーツ番組を録画するためである)。もっと高いパーセンテージのVCRのユーザが、許可されない番組の録画に加えて、許可された番組を一つの点で<at one point>録画していた。そして、〔Sony事件の〕原告ら(本件と同じように<as in this case>コンテンツの提供者の大きな集団<classではない)は全ての利用可能な不許可番組のわずかなパーセンテージ<a small percentage of the total available unauthorized programmin>だけを所有していた[訳10]。See ante, at 6-7, and n. 3 (GINSBURG, J., concurring). しかし、Sonyの顧客によって実際になされた全ての録画の9%程度だけが最高裁が許可されたと言及した種類のものである。

 最高裁は、許可された番組の規模は「相当な<significant>」ものであると認定し、また、「将来の許可されたコピーの相当な見込み<significant potential>」を書きとどめた。464 U. S., at 444. 最高裁はプロスポーツリーグの役員と宗教放送の代表者のトライアルにおける証言に言及してこの結論を支持した。Id., at 444, and n. 24. また、最高裁は、(1)家庭内録画に利用可能な番組の多くを制作するPublic Broadcasting Serviceと提携しているLos Angeles教育放送局、(2)広く視聴されている子供番組Mr. Rogers. Neighborhoodについても検討している。Id., at 445. この証言および他の同様な証拠に基づいて、最高裁は、この種の製作者は彼らの著作権で保護された番組の複製を、VCRの「非侵害使用のかなりのマーケットを作り出すために十分にかなりの数<substantial enough numbers>で」、許可していると決定した。VCR. Id., at 447, n. 28 (emphasis added).

 最高裁は、キーワード「かなりの<substantial>」を使うことにおいて、これらの状況だけで二次的責任を負わせることを拒否するに十分な根拠を構成することを指し示している。See id., at 456(「Sonyは著作権者のかなりの数<substantial numbers>が」タイムシフトに異議を申し立てないであろうことを証明した (emphasis added))。それにもかかわらず、いずれにしても、不許可タイムシフトは侵害ではなく、「フェアユース」を構成すると別に認定することによってその結論を強化した。Id., at 447-456.



 Sonyの基礎となる証拠および分析に対して評価すると、現在の我々の事件の証拠はGroksterがSony事件のテスト(すなわち、会社の製品がかなりの又は商業的に相当な非侵害使用ができるものであるかどうか)をパスすることを示している。Id., at 442. 一つには、上告人ら(以後MGM)自身の専門家証人が現在Groksterで利用可能なファイルの75%は侵害で、「15%は侵害らしい」と言明している。See App. 436-439, ¶¶6-17 (Decl. of Dr. Ingram Olkin); cf. ante, at 4 (opinion of the Court).明らかに非侵害であるのは10%に近いファイルになり、Sony事件におけるVCRの許可されたタイムシフトの9%前後と極めて近い数字である。

 Sony事件のように、本件における証人らは詳細な定量化なしにGroksterのネットワーク上の非侵害ファイルの性質について説明している。これらのファイルは次のものを含む[訳11]

−Wilco、Janis Ian、Pearl Jam、Dave Matthews、John Mayer等のようなアーティストによる音楽の許可されたコピー。See App. at 152-153, ¶¶9-13 (Decl. of Aram Sinnreich)(Wilcoの「教訓はメジャーレーベルとまだ契約しているアーティストによって既に採用されている」); id., at 170, ¶¶5-7 (Decl. of Patricia D. Hoekman) (locating .numerous audio recordings. that were authorized for swapping); id., at 74, ¶10 (Decl. of Daniel B. Rung)(Groksterが数千の独立系アーティストから音楽をホストしている会社と提携していることを記述している)

−Project Gutenbergを含む電子本および様々なオンライン出版社からの他の作品。See id., at 136, ¶12 (Decl. of Gregory B. Newby)(Grokster上で「多数の許可されたパブリックドメインのProject Gutenberg eBooksが利用可能である」。Project Gutenbergは、「これらのソフトウェア製品による助力は我々の目的に合致しているので、これらを使用して・・・広範囲にシェアされることを歓迎している」。); id., at 159-160, ¶32 (Decl. of Sinnreich)

−WinZip 8.1のような、パブリックドメインおよび許可されたソフトウェア。Id., at 170, ¶8 (Decl. of Hoekman); id., at 165, ¶¶4-7 (Decl. of John Busher)

−ライセンスされた音楽ビデオ、および著作権者による許可を伴ってデジタルビデオパッケージで配布されたテレビおよび映画の一部。Id., at 70, ¶24 (Decl. of Sean L. Mayers)

 これらおよびその他の合法的な交換ファイルの特徴は、現在の合法的使用の量はSony事件の争点のものとほぼ近いをと推論するが合理的なものである。少なくとも、MGMは、相当な量の相違<a significant quantitative difference>をもっともらしく証明できる、サマリ判決を生き残させるのに十分な証拠を提出していない。See ante, at 4 (opinion of the Court); see also Brief for Motion Picture Studio and Recording Company Petitioners i(「そのサービスの全体の使用の少なくとも90%」と言及している); but see ante, at 6-7, n. 3 (GINSBURG, J., concurring). 量に関する用語において、これらの使用はGroksterの製品の全体の使用数の少しのパーセンテージだけを占めているのは確かである。しかし、Sony事件においても同じことが真実であり、相対的にわずかな許可されたコピーマーケットを「かなりの」として特徴付けている。(最高裁はSony事件においても「もし実際にコピーされたとすれば」当時合法的コピーができるものは相当な<significant>量であったことを明らかにしている、see 464 U. S., at 444、そして、同じことが本件においても間違いなく真実である。)

 重要なことは、Sony事件は、用語「可能である<capable>」も使用し、その製品がかなりの非侵害使用が「可能である<capable>」かどうかを尋ねている。その言葉と分析は、10%のような数字は、それが全ての時期で固定されているとすれば不十分であることを証明するかもしれないとしても、時を越えて拡大する適法使用の合理的な見通しがあれば、そのような数字は適切な基礎として役割を果たすことを示している。See ibid. (「将来の許可されたコピーの相当な見込み」を書き留めている)。そして、その言葉はその「可能性<capability>」を決定するために将来見込みのある使用を見る妥当性を指し示している。

 本件において、記録はGroksterタイプのピア・ツー・ピア・ソフトウェアの非侵害使用の相当な将来のマーケットを明らかにしている。そのようなソフトウェアはあらゆる種類のデジタルファイル(そのファイルが著作物を含むかどうかにかかわらない)の交換が許される。もっともっと著作権で保護されない情報が交換可能な形で蓄積されるにしたがい、合法的ピア・ツー・ピア・シェアリングがより広く行われるようになると推論できそうである[訳12]。See, e.g., App. 142, ¶20 (Brewster Kahleの陳述書)(「[Internet Archive]は「Morpheus-Grokster-KaZaaユーザコミュニティにより[許可された映画の]再配布を歓迎している」); id., at 166, ¶8 (Busherの陳述書)(「Acousticaの試作版がこれらのネットワークを通して、より広く配布されるにつれて」、ピア・ツー・ピア・ネットワークを通した月1,000ドルから10,000ドルの販売額に、「将来増加するだろう。」); id., at 156-164, ¶¶21-40 (Sinnreichの陳述書).

 そして、これが正に起こっていることである。そのような適法の非侵害使用は、研究情報(多くのピア・ツー・ピア・ネットワークの最初の目的)、パブリックドメインの映画(例えば、Prelinger Archiveによって所有されるもの)、歴史的な録音およびデジタル教育作品(例えば、Internet Archive上に蓄積されているもの)、デジタル写真(例えば、OurPicturesはP2Pフォト交換サービスから始まっている)、「シェアウェア」および「フリーウェア」(例えば、Linux、あるWindowsソフトウェア)、危険のないライセンスされた音楽および映画(例えば、Intent MediaWorksはP2Pネットワークを介して送信されるライセンスされたコンテンツを保護している)、現在および過去のニュース放送(BBC Creative ArchiveはユーザにBBCを「リッピング」、ミキシング、およびシェアさせている。)、ユーザが創作したオーディオおよびビデオファイル(P2Pソフトウェアを通して配布され得る「podcasts」を含む)、Creative Commonsによって収集されたあらゆる種類の無料「オープンコンテンツ」作品(StreamCast上でCreative Commonsの作品をサーチすることができる)の交換を含むようになる。See Brief for Distributed Computing Industry Association as Amicus Curiae 15-26; Merges, A New Dynamism in the Public Domain, 71 U. Chi. L. Rev. 183 (2004). 私は、インターネットとITの予知できる発展と一緒に得られるソフトウェアの性質の結果として、この出来事の経過が自然に行われ続けないであろうということを示す記録は全く見つけることができない。Cf. ante, at 1-2 (opinion of the Court)(ピア・ツー・ピア技術の相当な利益を審理している)。

 (Sony事件では述べられていない)VCRのために発達したホームビデオ・レンタル産業とちょうど同じように、ピア・ツー・ピア・ネットワークにも現在予期できない非侵害使用が発達するかもしれない。そのような使用の予知できる開発は、見積もられた10%の非侵害使用と一緒になって、Sony事件の基準を十分に満たす。Sony事件ではトライアルの記録を審理したが、本件においてMGMがサマリ判決の書面の中で主張した事実で、トライアル後に結果が異なると信じさせる事実はない。二つの下級裁判所〔地裁と控訴裁〕が同じ結論に達しているのである。

 もちろん、Grokster自身はこのような他の非侵害使用を開発したいとは思わないかもしれない。しかし、Sony事件の基準は、この領域のGroksterではなく
(ともかく、Groksterは今日の判決に基づいて十分に責任があるだろう)、より一般的な技術の発展の保護を求めるものである。そして、〔かなりの<substantial>非侵害使用の点ではなく〕この点〔非侵害使用を開発したいとは思わない点〕におけるGroksterの欲求は、〔保護を求める〕状況からはずれている[訳13]

II

 本件における本当の問題は記録上の証拠がSony事件を満たすかどうかではないと考える。私が、この事件で述た〔Sony事件の〕基準の解釈のように、この基準は解釈される。そして、その問題を審理した控訴裁は、製品が何らかの基準に合格しない事件において私が行ったであろうよりも、Sony事件を厳密に解釈することを提案しただけである。In re Aimster Copyright Litigation, 334 F. 3d 643, 653 (CA7 2003)(被告らは「そのサービスが著作権を侵害する以外の目的で使用されている」ことを証明できなかった); see Matthew Bender & Co., Inc. v. West Pub. Co., 158 F. 3d 693, 706-707 (CA2 1998)(裁判所は非侵害使用が「優勢」であることは要求していない、裁判所は単に優勢であったと認定しただけであり、それゆえSony事件の境界の分析は提供しなかったのである。); but see ante, at 3 n. 1 (GINSBURG, J., concurring); see also A&M Records v. Napster, Inc., 239 F. 3d 1004, 1020 (CA9 2001) (discussing Sony); Cable/Home Communication Corp. v. Network Productions, Inc., 902 F. 2d 829, 842-847 (CA11 1990) (same); Vault Corp. v. Quaid Software, Ltd., 847 F. 2d 255, 262 (CA5 1988) (same); cf. Dynacore Holdings Corp. v. U. S. Philips Corp., 363 F. 3d 1263, 1275 (CA Fed. 2004) (same); see also Doe v. GTE Corp., 347 F. 3d 655, 661 (CA7 2003)(「販売する製品又はサービスがいかなる(又はわずかの)合法的使用もない<no (or only slight) legal use>場合に、人は寄与侵害者として責任を負う」)。

 その代わり、本当の問題は、我々はSony事件の基準を修正すべきかどうか(MGMの要求)、あるいは我々はSony事件をより厳密に解釈すべきかどうか(GINSBURG裁判官のアプローチがこれを実際に行っていると私は考える)、である。上記, at 4-8(賛成意見)(現在の合法的使用とかなりの非侵害使用が増加するであろうという合理的な見通しの両方の証拠が不十分)と、Sony, 464 U. S., at 442-447(一般的な陳述書、いくらかの調査データ、および常識に基づいて、許可されたコピーのかなりのマーケットが存在しそうであると結論している)を比較せよ。

 既に述べたように、Sony事件自体は、「制定法上の独占権の(単なるシンボル的なものではなく)効果的な保護のための著作権者の適法な要求と、実質上関係のない商業分野において他者が自由に従事する権利との間のバランスをとる」ことを求めている。Id., at 442. それゆえ、Sony事件の修正又は厳密な解釈が必要かどうかを決定するためには、私は、Sony事件が著作権と新しい技術の利益を不正確にバランスさせたことをMGMが証明したかどうかを尋ねるだろう。特に、(1)(私の解釈の)Sony事件は新しい技術を保護することに役に立ったか?(2)もしそうなら、〔Sony事件の〕修正又は厳密な解釈がその〔新しい技術の〕保護を著しく弱めるだろうか?(3)もしそうなら、新しい又は必要な著作権に関連した利益がそのような〔新しい技術の〕弱体化より重大か?



 最初の問題は答えるのが最も簡単である。私の解釈のSony事件のルールは、起業家に、価値ある新しい技術をマーケットにもたらすために、著作権の責任からシールドされるのに必要とされる保証を提供している。

 Sony事件のルールは明確である。その明確さが、かなりの<substantial>非侵害使用が可能な新しい製品を開発する者に、製品の配布が大きな金銭上の責任を生み出さないことを事前に知ることを可能としている。同時に、それは、著作権侵害(又は特にそれを意図する)以外の本当の機能を有さない製品を配布することの抑止、(著作権者の法的な兵器庫に武器を追加することによって)今日の最高裁判決が強化した抑止、に役に立つ。

 Sony事件のルールは強く技術を保護している。そのルールは、新しい技術が争点となった時に、裁判所が二次的責任を認定するのを故意に<deliberately
>困難にさせるものである。そのルールは、二つの使用を有する技術の配布者(自身では許可されないコピーを行わない)に、問題の製品が著作権侵害にほとんど専用に<almost exclusively>使用されるのでない限り(又は我々が今日述べたように積極的に侵害を引き起こさない限り)、著作権の責任を課さないことを定める。それにより、Sony事件は、より広く又はより効果的に情報やアイディアを配布することを助ける技術を含む新しい技術の出現をくじけさせる又は管理することを、著作権法が意図していないことを認めている。それゆえ、Sony事件のルールはVCR、タイプライタ、テープレコーダ、写真複写機、コンピュータ、カセットプレーヤ、コンパクトディスク書込機、デジタルビデオレコーダ、MP3プレーヤ、インターネット・サーチエンジン、およびピア・ツー・ピア・ソフトウェアを保護している。しかし、Sony事件のルールは、理論的に非侵害の方法で使用できたとしても、解読器は保護しない。464 U. S., at 441-442; Compare Cable/Home Communication Corp., supra, at 837-850(開発者は広告テレビ信号解読器に責任を負う)、with Vault Corp., supra, at 262(かなりの<substantial>非侵害使用ではなく、主な<primary> 使用は侵害である)。

 Sony事件のルールは前を見ている。製品の現在の使用の統計的なスナップショットにその視野を限定することはしない(それゆえ、開発されていない将来のマーケットを有する技術を脅かすことはしない)。むしろ、VCRの例が明確にしているように、製品のマーケットは時を越えて劇的に発展することができる。そして、Sony事件はその事実を、かなりの非侵害使用の可能性<a capacity for substantial noninfringing uses>を言及して、認めている。Sony事件の用語「可能<capable>」は単に理論的ではなく、そのような使用が行われるもっともらしい見込みと解釈され、その事実がSony事件を実際の現実につなぎ止めるのである。Cf. Aimster, supra, at 651.

 Sony事件のルールは、技術問題が関係する場合に裁判官が直面する能力の限界を忘れてはいない。裁判官は、技術専門家、技術者、およびベンチャーキャピタリスト自身が完全に同意しない場合や、製品開発時又は配布時に焦点を当てるかどうかに依存して答えが異なる場合に、現在又は将来の技術的実行可能性又は商業的実行可能性についての問題に答える専門的な能力を有していない。例えば、侵害ファイルをフィルタするものがGroksterのソフトウェアに追加できるかどうかの問題を考えてみよ。MGMは、フィルタリング技術を作成販売しているいくらかの法廷助言者らと同様に、これを行うことは簡単であると述べる。See, e.g., Brief for Motion Picture Studio Petitioners 11; Brief for Audible Magic Corp. et al. as Amicus Curiae 3.10. Groksterは、全く簡単ではなく、とにかく効率的な解決策ではなと主張し、いくらかの明らかに利害関係がないコンピュータサイエンスの教授らが同意している。See Brief for Respondents 31; Brief for Computer Science Professors as Amicus Curiae 6-10, 14-18. 裁判官はどちらの評価を信用すればよいのか?Sony事件は裁判官は必ずしも決定する必要はないと述べているのである。

 Sony事件のルールの特徴を考えれば、過去20年間で、技術提供者に対して訴えた(製品の配布に基づく)寄与侵害事件が比較的少なかったことは驚くべきことではない(この20年で、少数の連邦控訴裁事件および恐らく2ダースの地裁事件)。Sonyが目的を保護しながらイノベーションを達成できなかったこと<Sony has failed to achieve its innovation protecting objective>を示すものは、書面又は証拠の中に、見いだせない。



 第二の、より難しい問題は、修正されたSony事件のルール(又は厳密な解釈)は新しい技術を保護する法の能力を著しく弱めるかどうかである。GINSBURG裁判官のアプローチは被告がSony事件のシェルタを得るために相当多く(本件において提出されたよりも多く)具体的証拠を提示することを被告に要求するだろう。より重い証拠の要求、およびMGMと政府が求める特により劇的な(事件毎にバランスをとる)修正は、Sony事件が現在提供している保護の効力を弱めるであろう。

 例えば、被告らに詳細な証拠(ビジネスプラン、利益見積、計画されている技術修正など)を求めれば、著作権者の原告らにとっては疑いもなく、より簡単であろう。しかし、それは同時に、侵害使用ができる新しい技術の創造又は発展を取り巻く法的な不確実性を増加させるであろう。(ガレージ、寄宿舎の部屋、会社の研究室、又はベッドルームで)イノベータおよび起業家は、著作権侵害のために使用できる情報技術を創作、作成、又は配布するときに、費用がかかり広範囲にわたるトライアルを恐れなければ(そして多くの場合、耐えなければ)ならないであろう[訳14]

 彼らは時々、どのようにして裁判所が、〔製品開発時点より〕遅れた〔裁判が起こされた〕時点で製品とその使用を審理することによって、〔製品開発時点の〕必然的に荒っぽい〔侵害使用/非侵害使用の〕見積が十分な証拠になることを決定するのかについて推測し続けるであろう。どのようにして裁判所が、侵害使用と非侵害使用の値に重み付けをするのだろうか、技術を変化させることの効率性と当否を決定するのだろうか、製品の将来のマーケットの見込みを評価するのだろうか、を予言する方法を彼らは持たないであろう。誤った推測の代償は、技術および商業的実行可能性を評価する誠実さがあった場合〔でも〕、多額の制定法上の損害額(侵害された作品当たり750ドル〜3万ドル)になり得るであろう。17 U. S. C. §504(c)(1). リスクおよび不確実性を追加することは、その結果として、技術的発展に恐怖を追加することになる。



 第三の問題(著作権にプラスの影響は技術関連の損失より重大であるかどうか)、私は三つの中で最も難しいと思う。より出しゃばったSony事件のテストは一般に著作権者により大きい収入の補償を提供するだろうことは疑いない。しかし、著作権の利益の変動が技術的迂回の損失を越えるであろうと結論するのは難しい。

 第1に、法は二つの異なった種類の利益と損失を同等とすることに好意を持たず;むしろ、技術の保護に味方する傾向がある。Sony事件自体が明らかにしているように、違法コピーを許す技術の作成者自身は違法コピーを行っていない−その事実が技術の創作、制作、又は配布に著作権の責任を付加することを例外としている。See 464 U. S., at 431(裁判所は著作権法を新しい技術の配布を排除するように解釈することに「慎重でなければならない」)。さらに、しばらくの期間、Sony事件は法であった。そして、その事実が、Sony事件のテストのより厳密な解釈を含むゲームの現在のルールの変更の必要性を証明する重い責任を、MGMのような著作権者に対して課している。See, e.g., Motion Picture Studio上告人ら書面31(「主な又は主要な<primary or principal>」使用が侵害使用である場合に、Sonyは製品を守ることができない)。

 とにかく、現在利用できる証拠からは、私の考えでは、変更のために十分に説得力がある事件であると結論することはできない。著作物を侵害から保護する基本的な必要性について疑いを述べているわけではない。憲法自体が、「有用な技芸<useful Arts
>」を発展させるという著作権の極めて重要な役割を強調している。Art. I, §8, cl. 8. 「著者やアーティストに対する報酬が創造的才能の成果を公衆へ公開する気にさせることに役立っている」ことは誰も争わない。United States v. Paramount Pictures, Inc., 334 U. S. 131, 158 (1948). そして、故意の違法コピーは財産を違法に取得する点でありふれた窃盗以下ではない。See, e.g., 18 U. S. C. §2319 (刑事上の著作権侵害); §1961(1)(B)(著作権侵害はRacketeer Influenced and Corrupt Organizations法に基づく根拠行為であり得る); §1956(c)(7)(D)(マネーロンダリングは著作権侵害からの収益の受領を含む)。しかし、これらの高度に一般的な原理はそれ自体でSony事件における争点で利害関係をバランスさせる方法あるいはSony事件の基準に修正を加える必要があるかどうかを述べているわけではない。そして、あるキーポイントで情報が欠如している。

 修正されないSony事件は生み出される創造的作品の量又は質に相当な減少をもたらすだろうか?著作権の基本的な目的は創作とその収入の目的であり、その結果への手段ではないから、これは基本的な著作権の問題である。See Twentieth Century Music Corp. v. Aiken, 422 U. S. 151, 156 (1975)(「創作的作品は奨励され報酬を与えられるべきである、しかし、私的な動機は結果的に文学、音楽、およびその他の芸術の広範囲の公衆の利用可能性を促進する原因として役立たなければならない」)。そして、その答えは少しも明確ではない。

 許可されないコピーは、どのくらいかは明確ではないが、産業の収入を減少させそうである。以下を比較せよ、S. Liebowitz, MP3ダウンロードはレコード産業を絶滅させる?The Evidence So Far, p. 2 (June 2003), http://www.utdallas.edu/~liebowit/intprop/records.pdf (all Internet materials as visited June 24, 2005, and available in Clerk of Court's case file)(ファイルシェアリングは音楽セールスの下落の原因になっている), and Press Release, Informa Media Group Report (citing Music on the Internet (5th ed. 2004))(音楽産業への年間20億ドルの範囲のトータルセールスの損失を見積もっている), at http://www.informatm.com, with F. Oberholzer & K. Strumpf, The Effect of File Sharing on Record Sales: An Empirical Analysis, p. 24 (Mar. 2004), www.unc.edu/~cigar/papers/FileSharing_March2004.pdf(「ファイルシェアリングは普通のアルバムの購入に相当な統計的影響は与えていないことを」を含む学術的研究), and McGuire, Study: File-Sharing No Threat to Music Sales (Mar. 29, 2004), http://www.washingtonpost.com/ac2/wp-dyn/A34300-2004 Mar29?language=printer(証拠を混ぜ合わせて検討している)。

 関係する生産が実際に結果として低下した程度は、その低下がかなり<substantial>のものではないことを信じる好適な理由はあるが、はっきりしないままである。See, e.g., M. Madden, Pew Internet & American Life Project, Artists, Musicians, and the Internet, p. 21, http://www.pewinternet.org/pdfs/PIP_Artists.Musicians_ Report.pdf(ミュージッシャンの70%程度がファイルシェアリングは創造的産業にとって小さな脅威又は全く脅威ではないと信じている。); Benkler, Sharing Nicely: On Shareable Goods and the Emergence of Sharing as a Modality of Economic Production, 114 Yale L. J. 273, 351-352 (2004)(「公演などからの「アーティストへの実際の収入源の多く」は、ピア・ツー・ピアによる配布によるCDマーケットの完全な排除を仮定してさえ、安定している。音楽(それなしでは人間社会が存在し得ない文化形態)が[違法ファイル交換により]我々の世界になくなると考えるのは馬鹿げているだろう。)。

 より重要なのは、著作権者は、海賊行為を減少させ、創作的生産に突きつけられる脅威を和らげるのに利用できる他のツールを、少なくとも潜在的に有していることである。今日の意見が明らかにしたように、著作権者は、(最高裁が述べた種類の)証明できる特定の侵害の意図が存在する場合、技術の提供者に対して手続きを進めることができる。Ante, at 24 (opinion of the Court). Groksterのようなサービスは誘因論に基づいて十分に責任があるだろう。

 加えて、著作権者は不法なコピーを行う者に対して伝統的な侵害訴訟を提起する法的な資格を常に有している。実際、2003年9月以来、アメリカレコード産業協会(RIAA)は「著作物のシェアを行う人々に対して数千の訴訟」を提起している。Walker, New Movement Hits Universities: Get Legal Music, Washington Post, Mar. 17, 2005, p. E1. これらの訴訟は、著作権者に損害賠償金を提供し;多くのファイルシェアリングは許可なしで行えば違法であることを明確化し、また、それを教えるツールとしても役立っており;現実のかなりの抑止効果を明らかに有している。See, e.g., L. Rainie, M. Madden, D. Hess, & G. Mudd, Pew Internet Project and comScore Media Metrix Data Memo: The state of music downloading and file-sharing online, pp. 2, 4, 6, 10 (Apr. 2004), www.pewinternet.org/pdfs/PIP_Filesharing_April_04.pdf (人々がダウンロードするファイルの数は、最初の訴訟の次の年に、ピークの約3千5百万から約2千3百万に減少した;現在ダウンロードする者の38%はこの訴訟のためにダウンロードが減ったことを報告している); M. Madden & L. Rainie, Pew Internet Project Data Memo: Music and video downloading moves beyond P2P, p. 7 (March 2005), www.pewinternet.org/pdfs/PIP_Filesharing_March05.pdf (ダウンロードの数は「じりじり上昇している」がピークレベルより十分に低い状態で推移している。); Groennings, Note, Costs and Benefits of the Recording Industry.s Litigation Against Individuals, 20 Berkeley Technology L. J. 571 (2005); but see Evangelista, Downloading Music and Movie Files is as Popular as Ever, San Francisco Chronicle, Mar. 28, 2005, p. E1(RIAAは「訴訟キャンペーンと公衆教育が少なくとも問題を牽制している」と述べていることを書き留めているが、「自由奔放な著作権侵害の風潮」は続いていることを言及している)。

 さらに、著作権者は非合法な侵害の抑制を助ける新しい技術的製品を開発することができる。「デジタル『すかし』」および「デジタルフィルタリング」と呼ばれる新しい技術は、ファイル情報の中に作者および著作権の範囲および日付を暗号化して入れることができ、その「指紋」が侵害者を晒すことを助ける。RIAA Reveals Method to Madness, Wired News, Aug. 28, 2003, http://www.wired.com/news/digiwood/0,1412,60222,00.html; Besek, Anti-Circumvention Laws and Copyright: A Report from the Kernochan Center for Law, Media and the Arts, 27 Colum. J. L. & Arts 385, 391, 451 (2004). 他の技術は、暗号化を通して、ユーザがデジタルコピーを作成する能力を制限することができるかもしれない。See J. Borland, Tripping the Rippers, C/net News.com (Sept. 28, 2001), http://news.com.com/Tripping+the+rippers/2009=1023_3= 273619.html; but see Brief for Bridgemar Services Ltd. as Amicus Curiae 5.8(ピア・ツー・ピア・サービス提供者は非合法な交換をより簡単にブロックすることができると主張している)。

 同時に、技術進歩は適法コピー(例えば、著作権者の許可を得た音楽のダウンロード)をより安価により簡単にすることにより違法コピーを思いとどまらせる。いくつかのサービスが現在1曲当たり1ドル以下で音楽を販売している。(例えば、Walmart.comでは1曲0.88ドル)。その結果、Groksterのようなサービスの便利さと柔軟性に最初に引きつけられた多くの消費者が現在は適法な有料サービス(コピーの許諾を得たサービス)に移りつつあり、そこではユーザは、非合法交換を行うことなしに、わずかな費用でより大きな便利さと柔軟性を楽しんでいる。See Wu, When Code Isn.t Law, 89 Va. L. Rev. 679, 731-735 (2003)(支払いのない交換サイトに技術的問題があることを書き留めている); K. Dean, P2P Tilts Toward Legitimacy, wired.com, Wired News (Nov. 24, 2004), http://www.wired.com/news/digiwood/0,1412,65836,00.html; M. Madden & L. Rainie, March 2005 Data Memo, supra, at 6-7(有料サービスを現在使用している者は1年で24%から43%に上昇し、無料サービスを使用している数は58%から41%に減少している)。

 したがって、合法的音楽ダウンロードサービス(音楽をダウンロードする顧客に課金し、著作権者にロイヤリティを支払うもの)は増加し続け、かなりの収入を生み出し続けている。See Brief for Internet Law Faculty as Amici Curiae 5.20; Bruno, Digital Entertainment: Piracy Fight Shows Encouraging Signs (Mar. 5, 2005), available at LEXIS, News Library, Billboard File(2004年には世界中の顧客が、2003年にデジタルトラックを購入した数の10倍以上を、購入した;2004年の3億3千万ドルの世界デジタル音楽マーケットは2005年には2倍になると予想されている); Press Release, Informa Media Report, supra(世界のデジタル収入は2010年には30億ドルを越えそうである); Ashton, [International Federation of the Phonographic Industry] Predicts Downloads Will Hit the Mainstream, Music Week, Jan. 29, 2005, p. 6(合法音楽サイトとポータブルMP3プレーヤは「デジタル音楽マーケット」を「毎日の消費者の経験」へ移行させるのを促進している)。そして、非音楽を指向したP2Pネットワークのより進化したタイプも、Groksterの教訓を一部に受けて、開発が始まった。

 最後に、Sony事件が認識したように、立法上の選択肢が可能であり続ける。裁判所は、「新しい技術によって必然的に影響を受ける競い合う利害関係の様々な並べ替えを完全に調停する」仕事には、議会よりも向いていない。Sony, 464 U. S., at 431; see, e.g., Audio Home Recording Act of 1992, 106 Stat. 4237 (adding 17 U. S. C., ch. 10); Protecting Innovation and Art While Preventing Piracy: Hearing Before the Senate Comm. on the Judiciary, 108th Cong., 2d Sess. (July 22, 2004).

 これらの成果および同様な代替策が十分かどうかは、私にはわからないが、それらが存在することを考え、Sony事件の修正の(又はSony事件の基準の厳密解釈の)必要性はまだ明確に証明されていないと、私は確信している。そのことが、修正(又は厳密解釈)が技術的イノベーションに課すリスクが加えられることと共に、私が解釈したSony事件の基準を維持すべきであるという結論に導くのである。そのように解釈するから、Sony事件の問題に関連する点についての第9控訴裁の決定の支持が必要なのである。

* * *

 これらの理由により、私はGINSBURG裁判官には同意しないが、私は裁判所に同意しその意見に加わる。




訳注
(訳1)「ピア・ツー・ピア・ネットワークは大学、政府機関、会社、および図書館などによって電子ファイルを蓄積し配布するために使用されている」というのは争いのない事実であると考えられる。しかし、これは大学、政府機関、会社、および図書館などで、少なくとも一例はあるという事実を示しているだけで、大学、政府機関、会社、図書館などで、ピア・ツー・ピア(「P2P」)・ネットワークの合法使用が一般的に行われていることは意味しないことに注意する必要がある。もしかすると大学ではある程度合法使用が行われているかもしれないが、政府機関や会社等でP2Pネットワークの合法使用が行われることは極めて稀であるはずである。なぜなら、例えば、毎日更新される販売データのファイルがP2Pネットワークを介して多数のパソコンにコピーされるとれすれば、わけがわからなくなってしまい、とても業務には使えないからである。したがって、P2Pネットワークは政府機関や会社等できちんとした仕事に使用するのには全く適さないものである。

 また、私としては、今後、政府機関や会社等で使われるシステムは、P2Pネットワークとは正反対の中央化されたストレージサーバに全てのファイルを格納し、端末(パソコン)にはファイルを格納しないものとなっていくと考えている。なぜなら、端末(パソコン)にファイルを格納したのでは、USB端子に携帯型記憶装置をつなぎファイルをコピーすることにより
、紙ファイルであるとすればトラックが必要な大量のファイルを、ポケットに入れて持ち出せるからである。また、ファイルを格納したノートパソコンを紛失してしまうことも少なくない。内部情報や秘密情報や個人情報の流出を防ごうとすれば、端末(パソコン)にはファイルを格納しないようにシステムを設計するしかないのではないかと思う。

 したがって、P2Pネットワークを合法使用するシステムは、今後も開発され、使用されるかもしれないが、それが主流になることはないはずである。地裁、控訴裁は、綱渡りのような危なっかしい論理を使って被告らを勝ちにしているが、地裁、控訴裁の裁判官は、P2Pネットワークが前途洋々とした技術であると錯覚して、そのような極めて優れた技術を完璧に保護するためには、著作権者の権利は無視してよいと考えてしまったのではないだろうか。これに対して本判決では脚注[1]で「P2Pネットワークは不便な点もある。」と述べており、最高裁の裁判官は、地裁、控訴裁の裁判官よりも、P2Pネットワーク技術について、より現実に即した見方をしているように思える。

(訳2)「ある商品が侵害以外「他に適するものがない」場合に、それをライセンスを受けずに利用可能とすることに適法な公衆の利益は存在せず、侵害の意図を推定する又は負わせる<presuming or imputing>ことに不公平はない」と述べている。Sony事件と本件を理解するためには、これを正確に理解しなければならない。すなわち、権利侵害のためだけに使用され、それ以外の使用に適さない製品の配布は、それだけで侵害の意図が推定されて、責任を負うということである。これに対して、Sony事件と本件の場合は、侵害使用も可能であるが、かなりの<substantial>非侵害使用が可能な製品の配布である。この場合は、このような製品の配布だけで責任を負うことはない。この点でSony事件と本件は同じであるが、本判決は、Sony事件と本件を、製品自体から侵害の意図が推論されるかどうかではなく、明確な表現又は他の肯定的な行動<affirmative steps>から被告の侵害の意図が証明されたかどうかで、二つの事件を区別するのである。

(訳3)「一つのネットワーク上で利用可能な作品の90%が著作権で保護されていることが証明されている・・・残りの10%が非侵害使用であると仮定して、これは「かなりの<substantial>」として適格であるとすべきではなく、「主に<principally>」侵害のために使用される製品は適格でないという判示の範囲にSony事件を定量化すべきである」とMGMは主張した。これまで、Napster事件判決、本件の地裁判決控訴裁判決を翻訳してきたが、「substantial」の翻訳には苦労してきた。辞書を引くと、「十分な、たっぷりした、かなりの、相当な、現実の、実在の、実体のある、堅固な、しっかりした・・・」というような訳語が並ぶ。一連の判決を見ていると、英語のsubstantialが、どの程度の量かは不明な用語であるとしか思えないので、私としては、迷いに迷って「かなりの」という、程度のわからない訳語を使用してきた。

 Sony事件は、VTR(VCR)の販売が著作権侵害かどうかが問われた事件であり、この場合、「適法使用>>違法使用」であると考えられる。これに対して、本件の場合は、「適法使用<<違法使用」であるが、Sony事件も本件も、かなりの<substantial>適法使用があるとして、ひとくくりにされている。そのため地裁、控訴裁では、Sony事件の結論と同じように、非侵害とされてしまったのである。最高裁は、別の観点でSony事件と本件を区別し、II.Bの最後の部分で、「かなりの<substantial>」の定量化は、それが必要とされる日まで残しておく旨述べている。

(訳4)「本件はSony事件とは著しく異なっており、StreamCastとGroksterを支持する判決を行うためにSony事件に頼ることは誤りである。」と判示している。最高裁は、この後、「明らかに違法な目的を、その目的であるものを示す陳述および行為から推論するという原則」に基づいて、Sony事件と本件を区別している。これは裁判官らしい区別の仕方であるが、私としては、別の観点からSony事件の判例をそのまま本件に適用するのは違和感がある。

 アメリカでは、例えばNapster事件の控訴裁判決で、「他の者が複製するためにサーチインデックスへファイル名をアップロードするNapsterユーザーは原告の頒布権を侵害する。著作権で保護された音楽を含むファイルをダウンロードするNapsterユーザーは原告の複製権を侵害する。」とされているように、P2Pを使用する場合、送信側も受信側も違法であり、送信受信を区別していない。これに対して、日本の著作権法では、送信側は送信可能化権(23条)侵害で違法であるが、受信側は私的使用のための複製(30条)で適法であるというのが通説である。

 日本の著作権法的に考えると、Sony事件と本件は著しく相違する。Sony事件のVTRは、放送局から自宅まで適法に送られてきた著作物を私的に録音するのが使用の大部分である。VTRは送信する機能をもっていないから、送信可能化権侵害を問われることはない。これに対して、P2Pは、受信だけでなく不特定多数の者に送信できるのであるから、送信可能化権侵害ができるものである。また、受信にしても、VTRの場合は、放送局から送られてきたものだけであるが、P2Pの場合は、不特定多数のユーザから受信できるのであり、この点でもVTRとはかなり違うと思う。

 もっとも、適法使用がある以上、技術自体が侵害であるはいえないのであるから、技術の違いではなく、本判決のように、配布者の陳述および行為から推論する配布者の配布目的で区別を付けるのはよいことかもしれない。しかし、侵害の意図を一切口にすることなく、行動にも示さずに、侵害使用に最適なものを配布する者に対しては、どうするのだろうか。既に、Kazzaの発売元は、「これまでKazaaの利用者に対して著作権法を侵害するような仕方で著作物を共有するように勧めたことも支援したことも決してない」と発表し、本判決に照らして、自分たちは違法ではない旨主張しているのである(INTERNET Watch 05/06/28)。

 恐らく、
Kazzaの発売元の強気の発言は判決要旨だけを読んで発表したのではないかと思う。判決本文を読んでみると、例えば、社内で作成した普及促進資料に侵害を奨励することが記載されていれば、それがボツになり、実際にはユーザに著作権侵害を教唆しなくても、侵害の意図は認定され得るのである(脚注[7]参照)。また、III.Aに記載されたような様々なことからも、侵害の意図を認定される可能性があるのである。もちろん、自分の頭の中だけに侵害の意図がある場合は、侵害の意図が認定されることはない。しかし、その場合でも、著作権者から、ユーザの大部分が侵害使用をしているというデータを突きつけられた場合、すぐ配布を止めれば問題ないとしても、何の回答もせず、そのまま配布を続けた場合、肯定的行動と認定される可能性もあるかもしれないのである。このように考えてみると、この判決はなかなかよくできた判決ではないかと思う。

(訳5)本判決によれば、製品の配布の違法/適法は、以下のように区別される。
(1)違法使用だけで適法使用ができない製品の配布→その製品の配布は違法(例:特許侵害品の専用部品)

(2)違法使用と適法使用の両方ができる製品の配布
(2.1)明確な表現又は他の肯定的な行動により配布者の違法な配布目的が証明されない→その製品の配布は適法(例:Sony事件のVTR)

(2.2)明確な表現又は他の肯定的な行動により配布者の違法な配布目的が証明された→その製品の配布は違法(例:本件P2Pソフトウェア)

 以上の区分けは、本件判決の判示内容をわかりやすく示すために単純化しているが、より正確に記載すると、(1)は「かなりの<substantial>非侵害の使用」がない場合であり、(2)は「かなりの<substantial>非侵害の使用」がある場合である。(1)と(2)の区分けは、製品自体の特徴とか、「かなりの<substantial>非侵害の使用」の客観データによって決まるはずである。ところが、本件は(2.2)で解決できてしまったため、「かなりの<substantial>非侵害の使用」がどの程度の非侵害使用なのかは、その判断が必要な事件まで、棚上げにされてしまったのである。したがって、(1)と(2)の境界がどこにあるのかは明確ではない。一方、(2.1)と(2.2)の区分けは、製品自体の特徴とか、客観データではなく、配布者の言動から違法な配布目的が証明されるかどうかによる。

 (1)は米国特許法§271(c)(特許製品の構成要素がその特許の侵害に使用するために特に製造又は適合されたものであり、かつ、かなりの<substantial>非侵害の使用に適した主要商品ではない製品の配布についての寄与責任)に対応し、(2.2)は米国特許法§271(b)(積極的誘因責任)に対応する([訳7]参照)。

(訳6)
この事件では、原告側も被告側もサマリ判決の申立をして、地裁が被告側勝訴のサマリ判決を行い、それを控訴裁が維持し、それを最高裁はこの判決で破棄している。サマリ判決とは、「重要な事実に関する本物の問題」が存在せず、争いのない事実に法律判断を適用すれば結論がでる場合に、証拠調べ(証人尋問)を行わずに、なされる判決である。GINSBURG裁判官は「GroksterおよびStreamCastのためのサマリ判決は正当化されない。」と述べている。これは、被告ら勝訴のサマリ判決を行おうとすれば、本来ならば「重要な事実に関する本物の問題」があり、被告ら勝訴のサマリ判決を行うことができないはずであるということである。それにもかかわらず、地裁が被告ら勝訴のサマリ判決を行い、控訴裁がそれを維持したのは、この賛成意見のなかに記載されているように、地裁、控訴裁が、証拠調べ(証人尋問)がなされていない被告側の陳述書に記載されている事項を、争いのない事実と誤って認定してしまったからである([訳8]参照)。

(訳7)GINSBURG裁判官は「
米国特許法§271(b)(積極的誘因責任)と§271(c)(「かなりの非侵害使用に適」しない製品の配布についての寄与責任)を比較せよ。」と述べている。ここで「誘因<inducement>」とは、事件を引き起こすinduce原因のことである。米国特許法§271(b)と§271(c)は以下の通りである。

第271条 特許権侵害

(b)特許権侵害を積極的に引き起こした者は侵害者として責任があるものとする。

(c)特許された装置、生産品、組み合わせ<combination>若しくは組成物、又は特許された方法の実施に使用する材料若しくは器具の発明の重要な部分を構成する構成要素を、同構成要素がその特許の侵害に使用するために特に製造又は適合されたものであり、かつ、かなりの<substantial>非侵害の使用に適した主要商品又は日用品ではないことを知って、合衆国内で販売の申出若しくは販売を行い又は合衆国へ輸入した者<は、間接侵害者として責任があるものとする。

 最高裁は、米国特許法§271(b)(積極的誘因責任)と同様なルールを採用して、本件を解決している。一方、米国特許法§271(c)は、特許製品を構成する構成要素を、同構成要素がその特許の侵害に使用するために特に製造又は適合されたものであり、かつ、かなりの<substantial>非侵害の使用に適した主要商品又は日用品ではないことを販売を行った者は、間接侵害者(寄与侵害者)として責任がある、という条文である。Sony事件では、VTRは、かなりの<substancial>非侵害使用が可能であるとしてSonyはVTR購入者の著作権侵害に対して二次的責任を負わないとされた。

(訳8)GINSBURG裁判官は「仮に、差戻審において、GroksterとStreamCastの積極的誘因侵害に基づくMGM勝訴のサマリ判決により本件が決定できないとすれば、控訴裁はSony事件の製品配布の判示事項の解釈を、〔Sony事件の〕全記録に基づいて、再審理すべきであると私は強調したい。」と述べている。GINSBURG裁判官は、Sony事件を正しく理解すれば、本件は原告ら勝訴のサマリ判決がなされるはずであると考え、第9控訴裁の裁判官に対して、差戻審で原告ら勝訴の判決が書けないのなら、Sony事件の全記録を読んで勉強し直せ、と怒っているのである。

 私も控訴裁判決の翻訳文の訳注で、控訴裁裁判官に対して批判的に書いた。私が批判したのは、被告ら勝訴の判決の結論ではなく、P2P技術を前途洋々としたすばらしい技術と錯覚したためと推測するが、被告側の主張が真実で、原告側の主張は虚偽であると予断を持ち、被告側の主張に沿って争いのない事実を認定しているように見えたからである。本件の場合は証拠調べ(証人尋問)を行えば「適法使用<<違法使用」、すなわち原告側の主張が真実であることが確実に証明されるはずなのに、控訴裁は、本件における適法使用/違法使用の関係がSony事件における「適法使用>>違法使用」と同様であることに争いがないと勝手に認定してしまい、被告勝訴のSony事件の結論と同様に、被告ら勝訴の判決を書いてしまったのである。これでは公正な裁判はできるはずがない。最高裁の裁判官が怒るのは当然である。

(訳9)本判決の裁判所の意見は、最高裁の9名全員の裁判官が一致して支持した意見である。そして、本判決にはGINSBURG裁判官の賛成意見とBREYER裁判官の賛成意見が添付されている。本事件の地裁、控訴裁の審理においては、被告らの製品がSony事件の「かなりの<substantial>非侵害使用が可能な商品の配布」に該当するかどうかが一つの大きな争点であった。ところが、最高裁の一致した意見は、地裁、控訴裁で争われたこの争点についての議論は棚上げにして、古くからある誘因論を用いて、原告(著作権者)側勝訴の結論を導いたのである。

 GINSBURG裁判官は、その賛成意見のなかで、地裁が「被告らのソフトウェアにかなりの非侵害使用があることは争いがない」として被告勝訴のサマリ判決を行い、これを控訴裁が維持したことは誤りであると主張する。これに対して、BREYER裁判官は、その賛成意見のなかで、この争点における地裁、控訴裁の判断に誤りはなく、GINSBURG裁判官の賛成意見が誤りであると主張するのである。

 恐らく、合衆国最高裁の合議室において、原告(著作権者)側を擁護するGINSBURG裁判官と、被告(技術的イノベータ)側を擁護するBREYER裁判官との間で激しい議論がなされるなか、SOUTER裁判官が誘因論を持ち出して、これに全裁判官が賛同し、GINSBURG裁判官とBREYER裁判官の議論は棚上げとし、全員一致で原告(著作権者)側勝訴のこの判決がなされたのではないだろうか。

(訳10)BREYER裁判官は、「〔Sony事件の〕原告ら(本件と同じように<as in this case>コンテンツの提供者の大きな集団<class>ではない)は全ての利用可能な不許可番組のわずかなパーセンテージ<a small percentage of the total available unauthorized programmin>だけを所有していた」と述べている。BREYER裁判官のこの記載には問題がある。

 Sony事件は、テレビ番組を録画できるVTRの販売が二次的著作権侵害かどうかが争われた事件である。日本では著作権法30条1項により、テレビ番組の家庭内でのVTRによる録画は適法であるから、VTRの販売が二次的著作権侵害になるはずはない(ただし、30条2項により政令で定めるデジタル機器は補償金の支払いが必要)。これに対して、アメリカの著作権法にはフェアユースは適法であるという一般的な規定しかないので、VTRの購入者のテレビ番組の家庭内の録画が適法か違法かは必ずしも明らかではなく、VTRの販売が二次的著作権侵害かどうかが裁判となったのである。それがSony事件である。

 しかし、Sony事件の「原告ら」は2社の映画会社らだけであり、テレビ番組のなかで映画を放送する番組はそれほど多くはない。テレビ番組の録画に文句をつけたのはテレビ番組全体からすれば、わずかな比率しかない2社の映画会社らだけであったのである。Sonyは宗教番組、教育番組、スポーツ番組の代表者を尋問して録画を許可するという証言を得ており、録画は問題ないと立証できた番組が全体の9%なのである。つまり、Sony事件においては、違法であると主張して裁判を起こした原告ら(2社の映画会社ら)の映画を使ったテレビ番組はテレビ番組全体のわずかな割合で、Sony側が録画は問題ないと立証できた番組が全体の9%で、残りの番組のコンテンツ提供者は訴えていない、すなわち黙認しているのである。

 ところが、BREYER裁判官は、「〔Sony事件〕の原告ら(・・・)は全ての利用可能な不許可番組のわずかなパーセンテージ<a small percentage of the total available unauthorized programming>だけを所有していた」と記載している。BREYER裁判官は、許可が立証された9%以外すなわち91%が不許可番組であるとして、それに対して、原告らのコンテンツが使用された番組はわずかであると述べているようである。91%が不許可であるというのは言葉の上では正しい。しかし、91%が違法であるというわけではない。91%のうち、わずかなパーセンテージが原告らの映画の番組で原告らがその録画が違法コピーと主張するものであり、残りすなわち大部分の番組はその録画を著作権者が黙認しているものなのである。しかし、BREYER裁判官は、この後、Sony事件で録画の許可が立証された9%だけを合法的として、本件とSony事件における合法使用は同程度であるという議論を展開するのである。

 私は控訴裁判決の翻訳文の[訳1]で、控訴裁が、本件における違法/適法の比率はSony-Betamax事件とそれほど違わず、本件においても大多数は適法であると考えてしまったようであると記載した。これに対して、最高裁のBREYER裁判官は、逆に、Sony事件における適法使用は9%であり、本件の適法使用と同程度としてしまったようである。確かに9%はSony事件における立証された適法使用であり、その数字自体は正しいが、BREYER裁判官はSony事件において録画が黙認された大多数の番組に目をつぶってしまったのである。結局、BREYER裁判官は、Sony事件の合法使用は9%であり、これがSony事件における「かなりの<substantial>非侵害使用」であるから、本件の10%程度の非侵害使用は、Sony事件の基準における「かなりの<substantial>非侵害使用」であると言いたいのである。

 また、「〔Sony事件の〕原告ら(本件と同じように<as in this case>コンテンツの提供者の大きな集団<class>ではない)」というのは完全に誤りである。なぜなら、Sony事件では原告ら(2社の映画会社ら)はテレビ番組のコンテンツの提供者の大きな集団ではないというのはそのとおりであるが、本件の場合は被告らのピア・ツー・ピア・ネットワークでシェアされているコンテンツの75%程度が原告らの著作権を侵害しているからである。つまり、本件においては、原告ら(2社の映画会社ら、レコード会社ら、作曲家らおよび音楽出版社ら)は被告らのピア・ツー・ピア・ネットワークでシェアされているコンテンツの提供者の大きな集団なのである。[訳14]でも述べるが、BREYER裁判官は、客観的中立的な裁判官ではなく、被告側(技術的イノベータ側)に肩入れする裁判官なので、真実が見えなくなってしまったのではないだろうか。

(訳11)BREYER裁判官はこれらのファイル(陳述書)を信用するが、GINSBURG裁判官は、「これらの陳述書を再審理すると、オンラインで利用可能なおよびピア・ツー・ピア・ネットワークを通してシェアされている許可された著作物又はパブリックドメインの作品の伝聞証言(時には、また聞き)と、ピア・ツー・ピア技術の利益に関する一般的な陳述がほとんどであることが明らかになる。」と述べ、信用していない。

(訳12)BREYER裁判官は、「もっともっと著作権で保護されない情報が交換可能な形で蓄積されるにつれて、合法的ピア・ツー・ピア・シェアリングがより広く行われるようになると推論できそうである。」と述べている。これは正しい。しかし、もし、客観的中立的に判断する裁判官であれば、「それと共に、もっともっと違法ファイルも蓄積されることになり、非合法的ピア・ツー・ピア・シェアリングも更により広く行われるようになると推論できそうである。」とも記載すると思う。

(訳13)〔・・・〕内の記載は翻訳者である私が説明のために加筆したものである。これに対して、(・・・)は、原文のまま、原文の「−・・・−」の代わりの使用、翻訳上の都合による使用のいずれかであり、いずれも原文に基づくものである。なお、[・・・]はアメリカの判決で他の判決の一部を修正して引用する場合にその修正部分を示すために使用されるカッコであり、これも原文に基づくものである。

(訳14)私は、なぜBREYER裁判官はこれほど被告側に肩をもった考え方をするのだろうかと疑問に思いながら翻訳してきた。しかし、この部分の「(ガレージ、寄宿舎の部屋、会社の研究室、又はベッドルームで)イノベータおよび起業家は、著作権侵害のために使用できる情報技術を創作、作成、又は配布するときに、費用がかかり広範囲にわたるトライアルを恐れなければ(そして多くの場合、耐えなければ)ならないであろう。」を翻訳して、BREYER裁判官の考えがわかったような気がする。

 原告らの主要なメンバーは著作権ビジネスを行う大企業である。これに対して、被告らは若い起業家が起こしたベンチャービジネスである。BREYER裁判官も、本件の被告ら自身に対しては、侵害の意図を有しており、著作権侵害の責任を課すべきであると考えているようである。しかし、この事件に基づいて、Sony事件のルールを修正したり厳密に解釈したりすれば、一般の正当な意図を持った若い起業家が起こすベンチャービジネスにも悪影響を与えかねない。BREYER裁判官はこれを恐れて、本件において、ひたすら被告側の肩をもった考え方で、GINSBURG裁判官を攻撃しているのだろうと思う。

 裁判官が技術的イノベータに悪影響を与えたくないという考えを持つこと自体は良いことかもしれないが、この賛成意見の中で展開されたBREYER裁判官の証拠の認定や判例の解釈はあまりにも偏っていると私は思う。本件では、誘因論で全裁判官が一致したので問題はなかったが、仮に、BREYER裁判官の手法による証拠の認定や判例の解釈によって、結論が決まるとすれば、私としては、公正な裁判ではないと思う。

(訳15)
200.11.07 被告の一社Groksterは、P2Pソフトの配布を中止し、5千万ドルの損害賠償金を支払うことで和解した(HOTWIRED



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