翻訳 井上雅夫 2003.05.14; 04.09.02     ↑UP   最高裁判決<New

MGM v. Grokster P2Pソフト配布事件 地裁判決

2003.04.25
   目       次
判   決
 I.イントロダクション
 II.事実/手続きのバックグラウンド
  A.一般的なバックグラウンド
  B.StreamCast(Morpheus)及びGroksterソフトウェアの動作
  C.この命令の限界
 III.サマリ判決の基準
 IV.検討
  A.直接侵害
  B.寄与侵害
   1.侵害行為を知っていること
   2.他者の侵害行為への重要な寄与
    a.Grokster
    b.StreamCast
    c.分析
   C.代位侵害
    1.金銭上の利益
    2.侵害行為を監督する権利及び能力
 V.結論
 
 訳注


カリフォルニア中央地区合衆国地方裁判所


CV 01-08541-SVW (PJWx)
原告 METRO-GOLDWYN-MAYER STUDIOS, INC., et al.
被告 GROKSTER, LTD., et al.,

CV 01-09923-SVW (PJWx)
原告 JERRY LIEBER, et al.
被告 CONSUMER EMPOWERMENT BV a/k/a FASTTRACK, et al.

及び関連する反訴事件

被告らGROKSTER, LTD.及びSTREAMCAST NETWORKS, INC.のサマリ判決の申立を認め、被告らGROKSTER, LTD.及びSTREAMCAST NETWORKS, INC.に関する原告らのサマリ判決の申立を却下する命令

I.イントロダクション

 原告らは著作権法501条以降に基づく著作権侵害訴訟を提起している。本裁判所は28 U.S.C.1331条に基づき管轄権を有する。原告ら[1]及び被告らStreamCast Networks, Inc.及びGrokster, Ltd.(「被告ら」)双方は寄与及び代位侵害に関するサマリ判決を申し立てた。原告らは、被告らのソフトウェアのユーザによってなされている著作権侵害は被告らの責任であると主張する。しかし、被告らは、ユーザにソフトウェアを提供しているだけであり、ユーザを管理することはできず、それゆえ、著作権法に基づくいかなる責任も生じ得ないと主張する。

 双方の当事者らは、被告らの責任に関して争いのある重要な事実問題は存在せず、トライアルを必要とする事実問題の争点はないと信じている。そのかわり、両方の当事者らは、(責任に関する)本裁判所における唯一の問題は法律問題:争いのない被告らの行為が著作権に基づく責任を引き起こすかどうかであると主張する。

 以下に述べる理由により、本裁判所は被告らのサマリ判決の申立を認容し、被告らGrokster及びStreamCastに関する原告らのサマリ判決の申立を却下する。

II.事実/手続きのバックグラウンド

A.一般的なバックグラウンド
 本件は著作権で保護された音楽、映画及びその他のデジタルメディアのインターネット上の無料交換から生じている。事件が最初に提起された時は、被告らGrokster, Ltd. (「Grokster」)、StreamCast Networks, Inc.(以前はMusicCity Networks, Inc.として知られていた)(「StreamCast」)、及びKazaa BV(以前はConsumer Empowerment BVとして知られていた)(「Kazaa BV」)は、P2P転送ネットワーク経由でのデジタルメディアの交換をユーザに可能とさせるソフトウェアを配布していた。Metro-Goldwyn-Mayer v. Grokster case, CV-01-8541事件において、原告らは映画及び音楽レコード産業おける団体であり、著作権法501条以降に従い著作権侵害に基づき被告らに対して訴えを起こした。Lieber v. Consumer Empowerment, CV-01-9923事件においては、原告らはプロの作曲家及び音楽出版社であり、訴状には寄与侵害及び代位侵害に関する別の訴因が記載されているが、著作権侵害に基づき同じ被告らに対するクラスアクションを提起している。これらの事件はディスカバリ及びトライアル前手続きの目的で併合されている。

 各被告はユーザが無料でダウンロードできるフリーソフトを配布している。Grokster、StreamCast及びKazaa BVは、独自にそれぞれのソフトウェアにブランドを付け、市場に出し、配布しており、3つのプラットフォームの全てが最初は同じFastTrackネットワーク技術に基づいていた。FastTrack技術は被告らNiklas Zennström及びJanus Friis(彼らはKazaa BVも送り出した)によって開発された[2]。FastTrackはその後それぞれの会社のファイルシェア・ソフトウェアに使用するためにKazaa BV、Grokster及びStreamCastにライセンスされた。結局、これらのソフトウェアのユーザは本質的には同じP2Pネットワークに接続され、シームレスにファイルを交換することができる。

 しかし、StreamCastはもはやStreamCast技術を使用していない。StreamCastは現在は「オープン」(すなわち、財産権を主張しない)Gnutella技術を使用し、Kazaa Media Desktopのブランド・バージョンの代わりに、独自のソフトウェア−Morpheus−を配布している。一方、Groksterは、Sharman/Kazaaソフトウェアと同じFastTrack技術で動作するKazaa Media Desktopのブランド・バージョンの配布を続けている。

B.StreamCast(Morpheus)及びGroksterソフトウェアの動作
 重要な新しい点はあるが、Grokster及びMorpheusプラットフォームは両方とも、A & M Records, Inc. v. Napster, Inc., 114 F. Supp. 2d 896 (N.D. Cal. 2000)事件において、地裁によって詳細に記述されたNapsterシステムと概念的に類似した方法で動作する。両事件において、ソフトウェアは被告らによって運営されているサーバからユーザのコンピュータに転送又は「ダウンロード」される。一度インストールされると、ユーザはユーザのコンピュータ上のファイル(たとえば、音楽ファイル、ビデオファイル、ソフトウェアアプリケーション、電子ブック、テキストファイル)を「シェア」することを選択することができる。そのソフトウェアは、ユーザのコンピュータ上で立ち上げられると、自動的にP2Pネットワーク(Groksterの場合はFastTrack;Morpheusの場合はGnutella)に接続し、シェアされたファイルを同じP2Pネットワークに現在接続されている他のユーザに転送することを可能とする。

 Morpheus及びGroksterソフトウェアは両方とも、ユーザがシェアされたファイルのそれぞれのプールをサーチできる手段を提供する。たとえば、ユーザはオーディオファイルの中からだけサーチすることを選択でき、その後、キーワード、タイトル、又はアーティストのサーチを行う。サーチが始まると、ソフトウェアはサーチの基準にマッチした現時点でファイルをシェアしているユーザのリスト(又は部分的なリスト)を、各ファイルの転送に必要な推定時間のようなデータと共に、表示する。

 その後、そのユーザは、送信者のコンピュータから受信者のコンピュータに直接転送を始めるために、特定のリスト項目の上をクリックする。転送が完了した時は、受信者と送信者はそのファイルの同じコピーを持ち、受信者はそのファイルを他の者とシェアを始めることもできる。他のユーザへ(「アップロード」)又は他のユーザから(「ダウンロード」)のマルチ転送が一人のユーザのコンピュータへ及び一人のユーザのコンピュータから同時に生じることもある。

 両方のプラットフォームはその他の付随的な特徴、たとえばメディアファイルをまとめる機能、見る機能、プレイする機能、及び他のユーザと通信する機能を含んでいる。

C.この命令の限界
 原告らは主に将来の差止救済を求めているから、本裁判所はこの時点でGroksterとStreamCastの製品及びサービスの現在のバージョンに関して両方の当事者に責任があるかどうかだけについて検討する。本命令は、どちらかの被告が彼らのソフトウェアの過去のバージョン又はその他の過去の行動から生じる損害賠償責任があるかどうかの問題には及ばない。

 加えて、現在の申立は被告らStreamCast(Morpheusソフトウェア)及びGrokster (Groksterソフトウェア)によって運営されているソフトウェアだけに関係していることは重要であるから繰り返して述べる。Kazaa.comウェブサイトとKazaa Media Desktopの所有者である被告Sharman Networksはこれらの申立の当事者ではない。したがって、本裁判所は、Sharmanの潜在的な責任に関しては、本命令においていかなる意見も提示しない。

III.サマリ判決の基準

 規則56(c)は、相手方に最も好意的に見て、いかなる事実に関する本物の問題も存在せず、申立人が法律問題として判決を受ける資格があることを証拠が示している場合に、申立人のためのサマリ判決を義務づける。Fed. R. Civ. P. 56(c); Tarin v. County of Los Angeles, 123 F.3d 1259, 1263 (9th Cir. 1997)参照。申立人は重要な事実に関する本物の問題が存在しないことの最初の証明責任を負担する。Celotex Corp. v. Catrett, 477 U.S. 317, 323-24, 106 S. Ct. 2548, 2553, 91 L.Ed.2d 265 (1986)参照。

 その証明責任は、相手方の論拠を支持する証拠が存在しないことを「証明する」(すなわち、地裁の裁判官にに指摘する)ことによって満たすことができる。Id. at 325, 106 S.Ct. at 2554. 申立人が最初の証明責任を満たすと、規則56(e)は、
相手方が、訴答を越えて行くために、トライアルのための本物の問題を証明する事実を特定することを要求する。See id. at 324, 106 S.Ct. at 2553; Anderson v. Liberty Lobby, Inc., 477 U.S. 242, 248, 106 S. Ct. 2505, 2510, 91 L.Ed.2d 202 (1986).

 両方からの
サマリ判決の申立を判断する場合は、当事者らのその結果の確信にもかかわらず、地裁は争いのある事実問題が存在しないことを保証するために記録を調査する責任を有する。Fair Housing Council of Riverside County, Inc. v. Riverside Two, 249 F.3d 1132, 1136-37 (9th Cir. 2001); see Chevron USA, Inc. v. Cayetano, 224 F.3d 1030, 1038 n.6 (9th Cir. 2000).

 しかし、本裁判所には、「公判に付すことができる本物の事実問題を見つけるために記録を探し回る」義務はない。「[裁判所は]サマリ判決を排除する証拠を合理的な詳細さで特定するために相手方を信頼する。」Kennan v. Allan, 91 F.3d 1275, 1279 (9th Cir. 1996)(citations and internal quotation marks omitted)。さらに、「支配する法に基づく訴訟の結果に影響するかもしれない事実に関する」本物の争点−証拠が合理的な陪審が相手側のために評決を下すことができるようなものである争点−「だけがサマリ判決の登録を正当に排除するだろう。」See Anderson v. Liberty Lobby, Inc., 477 U.S. at 248, 106 S. Ct. at 2510; see also Arpin v. Santa Clara Valley Transp. Agency, 261 F.3d 912, 919 (9th Cir. 2001)(相手方は合理的な陪審が好意的な評決を下すであろう具体的な証拠を提出しなければならない)。

IV.検討

 原告らは、被告らが寄与及び代位著作権侵害の両方に責任があると主張する。入り口の問題として、寄与又は代位侵害責任のどちらかを認定するためには、原告らは被告らのエンドユーザ自身が直接著作権侵害を行っていることを証明しなければならない。A & M Records, Inc. v. Napster, Inc., 239 F.3d 1004, 1013 n.2 (9th Cir. 2001)(「Napster」)(citation omitted)(「著作権侵害の二次的責任は第三者による直接侵害がなければ存在しない。」)

A.直接侵害
 著作権侵害の一応の証明を立証するためには、原告らは:(1)侵害と主張する作品の著作権の保有、及び(2)オリジナルである作品の権限のないコピー、を証明しなければならない。Id. at 1013 (citations omitted). 後者に関しては、「[原告ら]は侵害者とされる者が著作権者に認められた著作権法106条に基づく少なくとも一つの権利に違反していることを証明しなければならない。」Id.

 著作権の保有に関しては、被告らは、レコード会社及びMotion Picture Studio原告らに同調して、最初の修正された訴状の中で参照した録音物に各原告が著作権を有することを、これらの申立の目的のために、合意した。(See Lapple Decl., Ex. 10; MGM Plaintiffs' First Amended Complaint (“FAC”), Exs. A and B (list of sound recordings)).

 音楽出版原告らはその合意に加わることを拒否したが、本裁判所は、原告らは第二補足規則26ディスクロージャにおいてリストされた著作権の少なくともいくつかについて著作権の保有又は支配を立証し得るであろうと推定する[3]。(See Breen Decl. ¶ 7 & Ex. A; Dozier Decl. ¶¶ 8, 10 & Exs. A-B; Stoller Decl. ¶¶ 17-21 & Exs. B-F; Lieber Decl. ¶ 3; Jaegerman Decl. ¶¶ 5-7 & Exs. A-E; Goldsen Decl. ¶ 4 & Exs. A-E; I. Robinson Decl. ¶¶ 6-8 & Exs. A-E.)

 さらに、被告らのソフトウェアを使用する個人の少なくともいくらか
が原告の著作物の直接著作権侵害を行っていることには争いがない<it is undisputed that at least some of the individuals who use Defendants' software are engaged in direct copyright infringement of Plaintiffs' copyrighted works>。Napster事件において、第9控訴裁は:「証拠が、Napsterユーザの多数が著作権で保護された音楽をダウンロード及びアップロードするためにそのサービスを使用していることを証明している・・・・そして、そうすることが、直接侵害を構成する−その使用が原告の音楽の曲及び録音物の直接侵害を構成する」と説示している。Napster, 239 F.3d at 1013-14(地裁手続きから反訳記録を引用している)(internal quotation marks omitted)。

 Napster事件と同じように、被告らのソフトウェアを使用する者の多くは原告らによって所有されているものを含む著作権で保護されたメディアファイルをダウンロードするためにそうしており、(see, e.g., Pls.' Statement of Uncontroverted Facts (“Pls.' SUF”) 3(j), 3(t); Griffin Depo. 278:5-10 and Ex. 291)、そして、それゆえ、原告らの複製及び配布の権利を侵害している。See Napster, 239 F.3d at 1014 (citations omitted). したがって、これらの申立の目的で、原告らは被告らのソフトウェアの
いくらかのエンドユーザ<some end-users>による著作物の直接侵害を証明した[4]

B.寄与侵害
 寄与著作権侵害論に基づき、「侵害行為を知った上で、他者の侵害行為を、誘発し、引き起こし、又は重要な寄与を行った場合は」、寄与侵害責任がある。Napster, 239 F.3d at 1019 (citations and internal quotation marks omitted). 寄与侵害責任を決定する場合に作用する二つの要素がある:(1)知っていること、及び(2)重要な寄与、である。二次的侵害は「直接侵害を知っているか、知っているはずでなければならない。」Adobe Systems Inc. v. Canus Prods., Inc., 173 F. Supp. 2d 1044, 1048 (C.D. Cal. 2001)(citations and internal quotation marks omitted). さらに、第二の要素に関して、「[寄与侵害]責任は、被告が侵害を励ます又は助ける行為に従事している場合に存在する。」Napster, 239 F.3d at 1019 (citation and internal quotation marks omitted).

 1.侵害行為を知っていること
 寄与侵害責任が認められるためには、第二の侵害者は直接侵害を知っているか知っているはずでなければならない。See Napster, 239 F.3d at 1020. 寄与侵害には具体的な侵害行為を実際に知っている証拠が必要である。

 Sony Corp. of America v. Universal City Studios, Inc., 464 U.S. 417, 104 S. Ct. 774 (1984)事件において、ビデオカセットレコーダの販売(「VCR」)は、Sonyが一般論としてその機械が原告らの著作物を侵害するために使用され、使用されていることを知っていたとしても、Sonyに寄与著作権責任を課すことはない。なぜなら、ビデオテープレコーダは侵害及び「かなりの非侵害の使用」の両方の能力があるから、侵害行為を一般的又は「推論的に」知っていてもSonyの製品の単なる小売りに基づいて責任を是認するには十分ではない。See id. at 442. 「複製装置の販売は、他の商品の販売と同様に、」その製品が「かなりの非侵害使用の能力がある場合は」、「寄与侵害を構成しない。」Id.

 本件においては、被告のソフトウェアのかなりの非侵害使用(たとえば、映画の予告編、無料の歌又はその他の著作権で保護されない作品の配布;合法的である国でのそのソフトウェアの使用;Shakespeareの作品のシェア)があることは争いがない。(See Ian Decl. ¶¶ 11-13; Newby Decl. ¶ 12; Prelinger Decl. ¶¶ 11-18;Kahle Decl. ¶¶ 14-20; Mayers Decl. ¶¶ 5-8, 11, 14-17; Sinnreich Decl. ¶¶ 1-6; Busher Decl. ¶¶ 8-34; Hoekman Decl. ¶¶ 3-9.) たとえば、StreamCastは、Morpheusプログラムはパブリックドメインの作品、政府資料、権利者が配布に反対しないメディアコンテンツ、及び配布が許可されているコンピュータソフトを促進しサーチするために定期的に使用されているという証拠と提示した。(See Newby Decl. ¶ 12; Prelinger Decl. ¶¶ 11-18; Kahle Decl. ¶¶ 14-20; Hoekman Decl. ¶¶ 3-4, 5-7, 8, 9; Ian Decl. ¶¶ 11-13; Sinnreich Decl. ¶¶ 8-24, 33, 34; Mayers Decl. ¶¶ 5-7, 14-17; Busher Decl. ¶¶ 1-12.) Groksterのソフトウェアでもこれは事実である。(See, e.g., Mayers Decl. ¶¶ 6-7; Pls.' Ex. 34 (D. Rung Depo. Ex. 7) at 3562-64 (2002年5月現在、6,000の独立系バンド及びミュージシャンをホスティングしていると主張しているGigAmericaとのGroksterの提携会社が記載されている)。)

 さらに、最高裁が説示したように、かなりの非侵害使用の存在は製品の現在の使用だけでなく、潜在的な将来の非侵害使用にも向けられる。See Sony, 464 U.S. at 442; see also Napster, 239 F.3d at 1020-21. 原告らは、被告らのソフトウェアがかなりの非侵害目的のために使用されている、又は、使用され得ることを争っていない。

 Napster事件における第9控訴裁は、Sony事件に照らして、「P2Pファイルシェア技術が原告らの著作権を侵害するために使用され得るというだけの理由で、Napsterに知っていることの必要なレベルの責任を負わせる」ことを拒絶した。239 F.3d at 1020-21. 非合法的に使用され得るビデオテープレコーダをSonyが販売しているというだけの理由でSonyが寄与侵害の責任があるとはいえないのとちょうど同じように、Napsterは、著作権を侵害するために使用し得るソフトウェアを配布したというだけ理由で、責任があるとはいえないであろう。「侵害行為を特定する具体的な情報なしに、コンピュータシステム運営者は、そのシステム構成が著作物の交換を許すというだけの理由で、寄与侵害の責任あるとすることはできない。」Napster, 239 F.3d at 1021 (citing Sony, 464 U.S. at 436, 442-43).

 むしろ、寄与侵害責任は、被告が実際に−単なる推論ではなく−その侵害に重要な寄与をしている時に侵害を知っている場合に、生じる。See Napster, 239 F.3d at 1020-22.

 換言すれば、第9控訴裁が説示するように、被告らが(1)侵害に寄与している時に侵害を具体的に知っており、かつ(2)その情報に基づいて行動することに失敗した時にだけ、被告らは寄与侵害の責任がある。 See Napster, 239 F.3d at 1021 (citation omitted)(「我々は、コンピュータシステム運営者がそのシステム上で利用可能な具体的な侵害物を知り、その侵害物をシステムから排除しそこなう場合に、その運営者が直接侵害を知っており、かつ直接侵害に寄与している、ということに同意する。)。

 Napsterが侵害を「実際に知っていること」に関して、裁判所は:(1)Napsterの創始者の一人が書いた「『ユーザは海賊音楽を交換しているから』ユーザの実際の名前とIPアドレスを知らないでいることの必要性」が記載されている文書;及び(2)米国レコード産業協会がNapsterに12,000以上の侵害ファイルがNapsterのシステム上にあることを通知し、そのいくらかはまだ利用可能であった事実、を引用している。Id. at 1020, n.5 (citation and internal quotation marks omitted).

 本件において、原告らは、大量の同様な証拠を指摘しており、それには、両方の被告が「次のNapster」であるとして自身を市場に出していること、被告らの役員が著作権で保護された曲のタイトル又はアーティストで様々なサーチを行ったこと、様々な内部文書がユーザの著作権侵害を被告らが知っていたことを暴いていること、及び原告らが侵害と主張することに関して多数の通知を被告らに送ったこと、を示す文書が含まれている。(See, e.g., Hardison Depo. 173:8-20 & Ex. 129; Creighton Decl. ¶¶ 19-20 & Exs. 10-17; Charlesworth Decl. ¶¶ 4-19 & Exs. A-P; Breen Decl. ¶¶ 5-10 & Ex. A; Weiss Depo. 126:19-127:22; Kleinrock Decl. ¶¶ 23-28; D. Rung Depo. 221:5-222:8; M. Rung Depo. 31:10-17, 73:3-74:17; Weiss Depo. 89:23-91:6; Kallman Depo. 78:19-79:1; Weiss Depo. 85:12-18, 217:7-221:12; 227:8-233:1,234:18-235:19, 329:13-331:23, 595:12-596:3 & Ex. 24; Hardison Depo. 87:1-15; 122:8-21; 170:17-171:3 & Exs. 110, 115 & 129; Borkowski Decl. Ex. 31; Griffin Depo. 157:7-12; 159:2-17; 161:5-162:10 & Ex. 260; J. Tung Depo. 75:13-77:25; Bodenstein Decl. ¶ 3 & Exs. 1-7.) 換言すれば、被告らのソフトウェアをダウンロードした個人のほとんどではないにしても多くが、その後、著作権を侵害するためにそれを使用していることを、被告らは明らかに知っている。

 しかし、寄与侵害論に基づき責任を負うためには、被告らが侵害を実際に知った時に、被告らがその個別の侵害を停止させるために、知っていることを使用することができなければならないことを、被告らは正しく指摘している。他の言葉で言えば、原告らの侵害行為の通知は、それが、被告らが侵害とされることを助長するために何もしておらず、停止するするために何もできない時に届いた場合は、争点とは関係がない。

 この区別は、Religious Tech. Center v. Netcom On-Line Communication Servs., Inc., 907 F. Supp. 1361 (N.D. Cal. 1995)(「Netcom)事件(Napster事件における第9控訴裁の判決を特徴づける事件の一つ)で例証されている。Netcom事件の裁判所は地主−テナントの関係における地主の寄与侵害責任に関連した原告らが引用した一連の事件を区別した。これらの事件は、「リースにサインするとき時に、意図された使用を賃貸人が知らなければ、建物の賃貸人による寄与侵害はない」と判示している。Id. at 1373 (citation and footnote omitted).

 別の言葉で言えば、一度リースがサインされたら、地主はそのテナントの建物の侵害行為の使用について管理する立場にない。したがって、テナントが管理する立場になった後に地主が侵害を知っても寄与侵害責任の成立には十分ではない、なぜなら、地主がその侵害を助長するためにすること、又はそれを停止するためにできることは何もないからである。対照的に、Netcom事件の裁判所は次のように説示している、「Netcomは場所をリースしているだけでなく、[インターネットニュースグループ]への[エンドユーザの]ポスティングを容易にするために必要な情報の蓄積及び送信を含むアクセスプロバイダとして便宜を与えている。地主とは異なり、Netcomはそのシステムの使用[ ]に関して何らかの管理する立場を残している。」Id. at 1373-74.

 侵害とされるメッセージが、Netcomに送信され、Netcomが管理するサーバ上に一時的に存在し、その後Netcomによって他のインターネットシステムへ配布されたことは裁判所にとって決定的である。See id. 「簡単なソフトウェアの修正で、Netcomは、特定の言葉を含む又は特定の個人から来たポスティングを見分けること[、]」そしてこれらのポスティングをそのシステムから削除すること(それゆえ、その伝播を防ぐこと)ができたであろう。Id. at 1376. さらに、Netcomはユーザのアカウントを一時停止することができた(Netcomは一時停止を少なくとも1,000回行っている)、そしてNetcomサーバを介して特定のユーザによるアクセス及び配布を排除することができた。Id.

 したがって、寄与侵害を評価する目的のために関連性のある時間枠はNetcomとそのユーザの全体の「関係」をカバーしている。したがって、寄与侵害請求は、Netcomが関連性のあるユーザと契約を結ぶときにNetcomが知っていることに基づいて決定されるべきではなく、侵害とされるものにNetcomが寄与している時に、すなわち、「Netcomが[エンドユーザ]に原告らの著作権を侵害することを許すサービスを提供しているときに」、得られまたは有している知っていることに基づいて決定されるべきである。
Id. at 1374 (citation omitted). Netcom事件の裁判所は、「Netcomが、侵害について何かをすることが遅すぎる前に、[ ]侵害を知っていたかどうかに関する本物の争点が存在するとして、サマリ判決を却下した。Id.

 本件において、被告らのユーザの多くが被告らのソフトウェアを著作物を侵害するために使用していることを、被告らが一般的に知っていることは争いがない。(See, e.g., Grokster’s Mot. at 15(「[Grokster]はもちろん一般論として利用者のいくらかが著作権を侵害していることを知っている。」)。)しかし、問題は、被告らのどちらかが侵害とされるものに重要な寄与を行い、それゆえそれについて何かを行うことができた時に、具体的な侵害を実際に知っていたかどうかである。

 2.他者の侵害行為への重要な寄与
 前述のように、「[寄与侵害]責任は、被告が侵害を励ます又は助ける行為に従事している場合に存在する。」Napster, 239 F.3d at 1019 (citation and internal quotation marks omitted). 寄与侵害の責任を負うためには、被告らは、「侵害行為に重要な寄与[ ]」を行っていなければならない。(citations and internal quotation marks omitted).

 この説の最初の定式化は、「他者の侵害に直接寄与する者は責任が課せられなければならないという意見から生じている。」Fonovisa, Inc. v. Cherry Auction, Inc., 76 F.3d 259, 264 (9th Cir. 1996) (emphasis added) (citations omitted). 伝統的に、「侵害行為を知った上で、他者の侵害行為を、誘発し、引き起こし又は重要な寄与を行った」場合は、寄与侵害の責任がある。Gershwin Publ’g Corp. v. Columbia Artists Mgmt., Inc., 443 F.2d 1159, 1162 (2d Cir. 1971) (cited by Fonovisa, 76 F.3d at 264). 第9控訴裁はNapster事件において、「被告が侵害を励ます又は助ける行為に従事している場合に責任が存在する。」と結論を下した。239 F.3d at 1019 (citation and internal quotation marks omitted).

 Napsterが侵害に重要な寄与を行っていると結論を下すために、第9控訴裁は「
被告が自慢するように、被告が提供するサービスなしにはNapsterユーザーは容易に欲する音楽を見いだしダウンロードすることができない」という地裁の認定を信頼した。Napster, 239 F.3d at 1022 (quoting A & M Records, Inc. v. Napster , 114 F. Supp. 2d at 919-20) (internal quotation marks omitted).

 地裁は、「NapsterはユーザーがMP3音楽ファイルを見つけダウンロードすることができるように設計された統合されたサービスである」と説示した。A & M Records v. Napster, 114 F. Supp. 2d at 920. さらに、第9控訴裁は、Napster が直接侵害のために「敷地と設備」を提供しているから、Napsterは侵害に重要な寄与を行っているという点で地裁に同意した。Napster, 239 F.3d at 1022.

 この結論に達するために、Napster事件の裁判所は、より前の第9控訴裁の事件であるFonovisa, Inc. v. Cherry Auction, Inc., 76 F.3d 259事件の理由付けに従った。Fonovisa事件においては、被告は多くのベンダーが偽造商品を販売する交換会を運営した。Id. at 260. 原告らの申立は被告交換会運営者に対する寄与侵害請求権を支持していると結論するために、裁判所は、被告がベンダーに商品を販売するスペースを提供する以上のことをしたことが重要であると認定した。被告は、その他のサービス(役に立つもの、駐車、宣伝、ガス・水道の配管、顧客)を提供し、それが大量の侵害を可能とした。Id. at 264.

 裁判所はさらに、被告が責任を課されるためには侵害品を直接販売促進する必要はなく、被告が「侵害であると知っている行為のために敷地と設備」を提供することで十分であると説示している。Id. 被告はレンタルスペースだけを提供したと裁判所を説得しようとしたが、裁判所は被告交換会運営者は「偽造商品のための環境とマーケットを提供するために積極的に努力している。販売への関与は、[被告が]好むであろう『消極的』と呼ぶことはできない。」と説示した。Id.

 Napsterは無料のソフトウェアを提供したが、地裁は次のように説示し、第9控訴裁が同意した。NapsterはFonovisa事件の交換会運営者と異なるところはない−「交換会は駐車、ブーススペース、広告、及び顧客たちのようなサービスを提供した。[引用]Napster社は専有のソフトウェア、サーチエンジン、サーバ、及びユーザのコンピュータ間の接続を確立する手段を供給している。」A & M Records v. Napster, 114 F. Supp. 2d at 920; see also Napster, 239 F.3d at 1022(「地裁はFonovisa事件の理由付けを正しくて適用し、Napsterは直接侵害に重要な寄与を行ったと認定した。」)。

 さらに、ソフトウェアに加えて、Napsterはネットワーク(侵害が行われる「敷地と設備」)を提供した。Napsterは各ユーザのコンピュータ上で利用可能なファイルの中央リストをホストし、それによりファイルシェア・ネットワークの車輪の軸として役割を果たした。Napsterが終了すると、Napsterファイルシェアネットワークはそれと共に消滅した。

 前述のように、Netcom事件の裁判所は同様な結論に達した。Netcomは、「アクセスプロバイダ」でもあり、その事件の争点である侵害とされるニュースグループのポストを蓄積し送信したから、地主とは区別される。Netcom, 907 F. Supp. at 1373-74. Netcomのサービスは、Netcomが通知を受けているとされる侵害ポストを「促進するために必要」であった。Id. もし、原告らがこれらのポストをNetcomが知っていることを証明したとすれば、Netcomは「[エンドユーザの]侵害メッセージを単に削除し、それにより世界中に侵害コピーを配布させないようにすることに失敗したことは[エンドユーザの]公衆へのメッセージの配布に対する実質的な関与を構成するから、寄与侵害」の責任がある」であろう。d. at 1374 (citation omitted) (quoted in Napster, 239 F.3d at 1022).

 したがって、本件において、決定的な問題は、GroksterとStreamCastが、ソフトウェアの配布以外の何かをして、ユーザの侵害行為を積極的に促進したかどうか、又はそれを停止することができたかどうかである。

 原告らは、Napsterのように、被告らは著作権で保護されたファイルの実際の交換を促進する多くのことを行っており、それゆえ、侵害に重要な寄与を行っていると主張する。最初の申立において、原告らは(Kazaa BVと共にGrokster とStreamCastの行為をひとまとめにして)被告らは著作物を「ユーザが見つけ、配布し、コピーすることができる・・・手段、環境、及びサポート」を提供したと断言した。

 しかし、原告ら自身の「争いのない事実の陳述案」に反映されているように、事実は各被告に関して、重要な争いはないが、やや異なっている。

  a.Grokster
 Groksterは現在、Consumer Empowerment BV(現在Sharmanによって運営されている)からライセンスされたKazaa Media Desktopのブランド・バージョンを配布している。(See D. Rung Decl. ¶ 3.) Groksterはそのアプリケーションのソースコードにアクセスできず、いかなる方法でもそれを改造することはできない。(D. Rung Decl. ¶ 3.) Groksterのユーザの体験に影響を及ぼす主要な能力は「スタートページ」のコンフィギュレーションを行うこととGroksterクライアントソフトウェアによって自動的に検索される広告を提供する能力によるものである。(D. Rung Decl. ¶ 3.)

 GroksterはNapsterにおいて見られるような中央化されたファイルシェア・ネットワークを運営していない。むしろ、GroksterがライセンスするKazaa Media Desktopソフトウェアは、SharmanによってライセンスされGroksterが所有していないFastTrackネットワーク技術を使用している。

 他のP2P技術とFastTrackをベースとするソフトウェアを区別する主要な特徴の一つは「スーパーノード」の動的又は変動する使用にある。「ノード」はインターネット上のエンドポイントであり、典型的には、ユーザのコンピュータである。「スーパーノード」は多数の他のノードからの情報を蓄積する機能を持つノードである。(Smith Opp. Decl. ¶¶ 70-71.) FastTrackをベースとするソフトウェアを使用する個々のノードは自動的に自分自身のスーパーノード・ステイタスを自己選択する;あるユーザのノードは、リソースニーズとネットワークのアベイラビリティに依存して、ある日はスーパーノードであるかもしれず、次の日はそうでないかもしれない[5]。(Smith Opp. Decl. ¶ 72.)

 これは一つのスーパーノードのまわりにクラスター化されたノードのグループを有する二層の組織構造を作り出す。あるユーザがソフトウェアをスタートさせると、そのユーザのコンピュータはスーパーノードを探し出し、ネットワークにアクセスする。スーパーノードを見つけるプロセスは時により変化する。争いのない証拠によれば、Groksterのソフトウェアには「ルートスーパーノード」のリストがプリセットされており、それらの各々はユーザにアクティブなスーパーノードを教えてユーザをネットワークに接続させる機能を果たす。Groksterは簡単に言えば一つのルートスーパーノードに対して何らかの管理権を有していたかもしれないが、Groksterがもはやそのようなスーパーノードを運営していないことは原告らは争っていない[6]。したがって、スーパーノード(及びFastTrackネットワーク)を探し出し接続する技術的プロセスは現在は被告Groksterとは本質的に独立して起こっている[7]

 一度、ユーザがネットワークに接続すると、そのユーザのサーチのクエリと結果は、サーチプールの大きさを最大化させサーチトラフィックの過剰を最小化させるように、スーパーノード間でリレーされる。これもまたNapsterから決定的に異なる点である。Napsterは、事実上、Napsterによって所有され運営された唯一の「スーパーノード」を利用可能としていた。その会社の中央サーバは、全てのNapsterユーザのファイルのインデックスを作り、ユーザ間のサーチのクエリとその結果を通していた。全てのNapsterのサーチトラフィックは、Napsterを通過し、Napsterに依存していた。

 ユーザがGroksterクライアントを使用してファイルのサーチを行い、ファイルの転送を始めるときに、Groksterによって所有又は運営されたコンピュータへ送信するいかなる情報もなく、通過するいかなる情報もない。(Id. at ¶ 6.)

  b.StreamCast
 2002年3月以前のStreamCastのMorpheus製品のあるバージョンは、現在のGroksterのように、FastTrack技術をベースとしていた。しかし、StreamCastのMorpheusの現在のものはGroksterのソフトウェアとは重要な面で異なっている。第一に、Morpheusは現在、StreamCastによって独占的に所有され運営されている所有権のあるプログラムである。換言すれば、StreamCastは、Groksterとは違い、そのソフトウェアのソースコードにアクセスでき、意のままにそのソフトウェアを修正することができる。第二に、MorpheusはオープンソースGnutellaP2Pプラットフォームをベースにしており、FastTrackにような専有されたプロトコルを使用していない。

 GnutellaはFastTrackよりさらに分散された特徴を持つ「真の」P2Pネットワークであり、ユーザは既に接続されている他のユーザにコンタクトを取ることによってGnutellaネットワーク(Morpheusばかりでなく「LimeWire」、「BearShare」、「Gnucleus」他のような会社によって配布されているGnutellaベースのソフトウェアの全てのユーザから構成されるネットワーク)に接続する。この最初の接続は通常、そのユーザのコンピュータがGnutellaネットワークに現在接続されている多くの公に利用可能なディレクトリの一つにコンタクトを取った後に自動的に実行される[8]。(Smith Opp. Decl. ¶¶ 32-33.) StreamCast自身はこれらのディレクトリのいずれも運営しておらず、Morpheusユーザが使用するためのディレクトリを運営する者に報酬を与えていないことは、原告らは争っていない。(See Smith Depo. T. 509:15-509:22; 510:18-511:2.)

 スーパーノードを使用する代わりに、Gnutellaネットワーク上のサーチ要求は、マッチするまで、又はサーチ要求が失効するまで、ユーザからユーザへ次々と回される。(Gribble Opp. Decl. ¶¶ 27-31.) あるユーザがあるファイルを選択する時、そのトラフィックは二人のユーザ間で直接的に始められる。(Gribble Opp. Decl. ¶¶ 32-33.)

  c.分析
 原告らは、Grokster/StreamCastとNapsterとの重要な区別、すなわちGroksterもStreamCastも直接侵害のための「敷地と設備」を提供していないことを認めることをいやがっているようにみえる。Napster, 239 F.3d at 1022. StreamCastもGroksterもNapsterが行った方法でユーザ間のファイル交換を助長しているのではない。ユーザは、被告らの重要な関与なしに、それぞれのネットワークに接続し、どのファイルをシェアするか選択し、サーチを送受信し、ファイルをダウンロードする。もし、被告らのどちらかがドアを閉め、管理する全てのコンピュータの使用をやめたとしても、被告らの製品のユーザは少しもあるいは全く妨害されることなくシェアを続けることができる。(See, e.g., Gribble Decl. ¶¶ 7, 13, 18, 21, 23, 27, 32, and 34; D. Rung Decl. ¶ 6.)

 対照的に、Napsterは各ユーザのコンピュータ上に含まれるファイルのインデックスを作り、全てのサーチ要求がNapsterのサーバを通過する。Napster, 239 F.3d at 1012. Napsterは主張された侵害に対して「敷地と設備」を提供していたのであり、id. at 1022、それによりユーザの侵害行為を完璧に知っており、ユーザの侵害行為を完全に管理していたのである。もし、Napsterがそのコンピュータの使用をやめれば、ユーザはもはやNapsterネットワークを介してファイルをシェアすることはできない。

 これらの被告らに関する原告らによって引用された寄与侵害の証拠は決め手になるものではない。たとえば、原告らの「争いのない事実の陳述」において、原告らは、「被告らのシステムが著作権者の許可なしに著作権で保護された音楽レコード、映画及び他の種類の作品のユーザによるサーチ、複製及び頒布のためのインフラを利用可能とし、提供している」という事実を提案する。(Pls.' SUF 4(b)). もし、記録によって立証されるとすれば、ファイルシェアのための「インフラ」を被告らが提供しているという事実はNapster事件に照らして明らかな重要性を有するであろう。

 しかし、原告らはこの事実に関する本物の争点を作り出す適格な証拠を提出していない。むしろ、引用された証拠の特徴は、(1)著作権で保護されたメディアファイルをプレイできないユーザに応答して送信されたGroksterとStreamCastの従業員からの一掴みの別々の技術サポートeメール[9]、及び(2)いくらかのGroksterユーザがその中で著作権のあるファイルをサーチし、交換の礼儀を議論するための以前は議長のいかなかったディスカッション・フォーラムの証拠、である。(See Pls.' SUF 4(b); see also Pls.' SUF 4(p).)

 最初の問題として、記録は、不適当な目的のために被告らのソフトウェアを使用しようとするユーザを援助することを避けるための努力を被告らが引き受けていることを示している。より決定的には、技術的な援助及び他の付随的なサービスは主張された侵害の「決め手」になるものではない。寄与侵害の責任を負うためには、「侵害における関与がかなりのものでなければならない。授権又は援助は侵害行為に直接的な関係を持たなければならなず、寄与侵害者は直接侵害者と提携して行動しなければならない。」Marvullo v. Gruner & Jahr, 105 F. Supp. 2d 225, 230 (S.D.N.Y. 2000) (citation omitted); accord Arista Records, Inc. v. MP3Board, Inc., 2002 U.S. Dist. LEXIS 16165, at *16 (S.D.N.Y. Aug. 28, 2002). 本件において、技術的援助は侵害とされることがなされた後になされたものであり、本質において日常的で特別なものではなく、ほとんどの場合、他の会社のソフトウェア(たとえば、サードパーティのメディアプレーヤソフト)の使用に関係するものである。

 本分析に耐える「技術的援助」は、被告らがファイルの実際の交換をともかく促進又は寄与していることを示すものだけであろう。原告らはそのような証拠を全く引用していない。実際、原告らは、被告Groksterへの二つのeメールを引用しており、そのeメールの中でユーザがダウンロードしようとした著作権で保護されたファイルがコンピュータウイルスを含んでいたことについて不平を述べている。(D. Rung Depo. Ex. 64, 66.) どちらの場合も、Groksterは「システムを使用する者又はそれを通してシェアされるものを管理」しておらず、そのファイルをブロックすることはできないことを説明する「ストックされていた」説明で回答している。(Id.) 問題のファイルがウイルスである事実にもかかわらず、おそらくGroksterのユーザのリスクであるとしていたのであろう。

 加えて、原告らは、被告らがユーザと(直接及びウェブの「スタートページ」に表示される情報を通じて)連絡を取っており、ユーザに修正を始めること又はクライアントソフトウェアのアップグレードを行うことを促すことができると強く主張する。(See Pls.' SUF 4(c),(e),(f),(k).) これが事実だとしても[10]、無関係である。被告らは彼らのソフトウェアのユーザと連絡を取り、アップデートを提供することができるかどうかは、被告らが本件において問題となっている著作権で保護されたファイルの交換を促す又は可能にするかどうかについては何も言っていない。

 重要な寄与を立証する原告らの努力の最後に、原告らはコンピュータサイエンスの教授でありインターネット技術のパイオニアであるLeonard Kleinrockによる陳述書の多くの部分に頼っている。(See SUF 4(a-p); Kleinrock Decl.) しかし、Kleinrock教授の陳述書の引用部分は本質的に原告らの争いのない申立を言い換えているものである(たとえば、被告らは、かつて、中央化されたファイルシェア・ネットワークを運営していた若しくは以前にFastTrackスーパーノードを維持していた、又は被告らは「スタートページ」及びチャットルームのような中央化された付随的なサービスをまだ提供している、というものである)。(See, e.g., id. ¶ 37.) さらに、侵害とされることに対して「重要な促進」を被告らが行っているというKleinrock教授の結論 (see id. ¶ 3(b))は本質的に法的結論であり、裁判所が判断すべきものである。

 被告らはソフトウェアを配布しサポートを行っている、そのユーザは適法又は不適法の目的の両方のためにそれを使用することを選ぶことができ、かつ選んでいる
。Grokster及びStreamCastはホームビデオレコーダやコピーマシンを販売する会社とそれほど違わない、両方とも著作権を侵害して使用することができ、かつ使用されている。SonyやXeroxのように、被告らは彼らの製品がいくらかの(あるいは多くの)ユーザによって不適法に使用されているだろうことを知っているかもしれず、そのような使用を間接的にサポートするサービス及び改良を提供しているかもしれないが、「P2Pファイルシェア技術が原告の著作権を侵害するために使用され得るという理由だけで」、寄与侵害の責任を負うことはない。Napster, 239 F.3d at 1020-21 (citation omitted). 侵害自体に対する積極的かつかなりの寄与を示す証拠がないから、被告らに責任があるとすることはできない。

 本分析に影響を与える事実問題が争われていないから、サマリ判決が被告らのために認容される。

C.代位侵害
 伝統的な使用者責任の拡張である代位侵害論は、「被告が『侵害行為を監督する権利及び能力を持ち、かつこのような行為に対して直接の金銭的利害関係も持つ』場合に」著作権侵害責任を拡張する。Napster, 239 F.3d at 1022 (quoting Fonovisa, 76 F.3d at 262 (citation omitted)).

 代位侵害には二つの要素(1)金銭上の利益及び(2)侵害行為を監督する被告の権利及び能力が必要とされる。寄与侵害とは反対に、侵害を知ることなく、代位侵害の責任があり得る。Adobe Systems, 173 F. Supp. 2d at 1049 (citation omitted)(「侵害を知っていることの欠如は無関係である。」)。

 1.金銭上の利益
 代位侵害の責任があるためには、被告は「侵害行為に対して直接的に金銭的利益を持たなければならない。」Napster, 239 F.3d at 1023 (citing A & M Records, Inc. v. Napster, Inc., 114 F. Supp. 2d 896, 921-22). 第9控訴裁はFonovisa事件において、金銭的利益は「侵害の実行が潜在的顧客に対する開催場所の魅力を高める場合に」証明され得ると判示した。76 F.3d at 263. さらに、「金銭的利益は侵害物が利用可能であることが『顧客への「目玉商品」の役割を果たしている』ところに存在する。」Napster, 239 F.3d at 1023 (quoting Fonovisa, 76 F.3d at 263-64).

 本件において、被告らが侵害行為から金銭的利益を引き出していることは明らかである。著作権で保護された曲や他の著作物を交換する能力は、確かに被告のソフトウェアの多くのユーザにとって「目玉商品」である。結果として、被告らは1,000万のユーザベースを持っている。(Pls.' SUF 5(a).)

 Fonovisa事件において、裁判所は、「被告らは入場料、許可されたスタンドによる販売、及び駐車料から実質的な金銭的利益を得ており、その全ては地下特売場価格で偽造レコードを購入したい顧客から直接的に得たものである。76 F.3d at 263. 顧客がFonovisa事件における交換会に引きつけられたのとちょうど同じように、無料で著作物を得る能力のために個人が被告らのソフトウェアに引きつけられている。

 被告らのソフトウェアを使用する者はその製品に対して支払わないが、被告らは広告から実質的な収入を得ている。たとえば、StreamCastは2001年に180万ドルの収入を得ている。(SUF 5(b); Griffin Depo. 446:1-14.) そして、2002年7月現在、StreamCastは200万ドルの収入を得ており、その年の終わりまでに570万ドルを予想している(Griffin Depo. 455:7, 456:2-3.) Groksterも広告から実質的な収入を得ている。(D. Rung. Depo. 140:21-141:1.) そのソフトウェアをダウンロードする個人がより多くなれば、被告らが集める広告収入はより多くなる。そして、かなりの数のユーザが著作物を得るためにそのソフトウェアをダウンロードするから、被告らの広告収入のかなりの部分はその侵害に依存している。したがって、被告らは侵害から金銭的利益を得ている[11]

 2.侵害行為を監督する権利及び能力
 前述のように、代位責任は使用者の代理論から生じたものである。See Gershwin, 443 F.2d at 1162. 結局、代位責任論は、被告が他者の「侵害行為を監督する権利及び能力」を持つ場合に、もう一人の立場を含めるために拡張されたものである。Fonovisa, 76 F.3d at 262 (citing Gershwin, 443 F.2d at 1162).

 Fonovisa事件において、第9控訴裁は、原告の訴状は十分な管理を申し立ていると判示した。76 F.3d at 263. 裁判所は、被告交換会運営者は次の理由で侵害行為を監督する(又は「取り締まる」)権利を持っていると結論した:被告はいかなる理由でも売り手に対して終わらせる権利を持っていた;被告は交換会を促進していた;被告はブースエリアへの顧客のアクセスを管理していた;被告らは小さなブースエリアをパトロールしていた;被告は規則と規制で直接侵害を管理することができた;そして被告はショーをプロモートした。Id. at 262-63.

 第9控訴裁は、Napster事件において同様な影響力及び管理を認定した。とりわけ、Napsterはシェアされ交換されるファイルの中央インデックスを含む「ユーザの行為を監督する権利及び能力」を持っていた。Napster, 239 F.3d at 1023 (citing district court opinion). さらに、Napsterユーザは、Napsterに登録し、ユーザの有効な登録に依存したファイルシェア・システムにアクセスすることを要求された。Id. at 1011-12, 23-24. 結論として、Napsterは会社のポリシー又は適用法に違反するユーザのアクセスを終了する権限を有しており、頻繁に行使した。Id. at 1023. 「どんな理由のためにでも特定の環境への侵害者のアクセスをブロックする能力は」侵害行為を「監督する権利及び能力の証拠である。」Id. ひっくるめて、中央化されたサーチインデックス及び強制的な登録システムがNapsterに交換されているものを「知っていること」とこれらの交換を取り締まる能力の両方を与えた。

 同様に、Illinoisの地裁は、P2Pファイルシェア・ネットワークの運営に対する代位責任に関連する事件において、被告はユーザを終了させ、システムへのアクセスを管理する能力を持っているから、被告は侵害行為を「監督する権利及び能力」を持っていると説示している。In re: Aimster Copyright Litig., 2002 U.S. Dist. LEXIS 17054, at *50-*51 (N.D. Ill. Sep. 4, 2002).

 被告らは主として、彼らがこれらの他の被告らのように侵害を管理する能力は持っていないと主張する。被告らはファイルシェア・ネットワークを監督又は管理する能力を持っておらず、ネットワークへのアクセスを制限する能力を持っていないから、被告らはNapsterができたように交換されているものを取り締まることはできないと主張する。しかし、原告らは、著作権で保護されたファイルをユーザがシェアするのを防ぐようにソフトウェア自体を変更することが可能であると争う。実際、Napsterは、新しいクライアントソフトウェアにフィルタリング機構をインプリメントすることを含む最大限の程度まで、「取り締まる権利」を行使することが義務づけられた。See Napster, 239 F.3d at 1023-24.

 原告らは、被告らのソフトウェアは既にポルノ的/猥褻的なファイル名を遮断するオプションを含んでおり、著作権で保護された曲のタイトルを同様に簡単に遮断することができると特に言及する。同様に、原告らは、被告らのソフトウェアは「メタデータ」(ファイル自体に含まれるファイル名以上のアーティスト、タイトル、アルバム等を含む情報)をサーチしており、効果的な「メタデータ」の遮断は同様に極めて簡単にインプリメントすることができると特に言及する。最後に、原告らは、被告らは比較的簡単に出現しつつある「デジタル指紋」技術(著作権で保護された曲の相当なパーセントをブロックすることができる)を使うことができると主張する。被告らはこれらの救済の実行可能性及び効果を争う。

 しかし、「取り締まる」義務は被告が侵害行為を監督する「権利及び能力」を持っている場合にのみ生じるから、これらのセーフガードが実行できるかどうかは、本分析には重要ではない。See Napster, 239 F.3d at 1023; Fonovisa, 76 F.3d at 262. 被告らは著作物に関して彼らのソフトウェアの機能をもっと制限することができるという原告らの主張は、Napster「システム」と被告らによって配布されているソフトウェアの間の、前述した、決定的な区別を忘れたものである。

 Napster事件における侵害は、Napsterによって設計され運営される「統合されたサービス」を横切って行われた。See Napster, 239 F.3d at 1022 (quoting district court).  Napsterはそのネットワークをモニタし管理する能力を有しており、ネットワークから特定のユーザを排除するためにその能力を日常的に行使していた。See id. 実質的な意味で、侵害の「敷地」はNapsterシステム自体であり、Napsterは可能な最大限の程度までNapsterが保有するその敷地を取り締まる権利及び能力を行使する義務を有していた。クライアント・ソフトウェアは統合化されたNapsterシステムの必須のコンポーネントであり、Napsterの取り締まる義務は必然的にクライアント・ソフトウェア自体に及ぶ。

 本件はこのような場合ではない。被告らは、被告らの管理の完全に外にあるネットワークを横切って通信するソフトウェアを提供している。Groksterの場合は、ネットワークはFastTrackネットワーク<the propriety FastTrack network>であり、明らかに被告Groksterによって管理されていない。StreamCastの場合は、ネットワークはGnutellaであり、そのオープンソースの性質は明らかに一つの会社の管理の外に位置するのものである。

 被告らが彼らのソフトウェアを変更するために行うことができることについて当事者間の争いはあるが、本件においては、Napster事件とは違い、(製品がエンドユーザに渡された後に生じる)侵害行為を被告らが監督し管理する能力を持っていることを示す本裁判所が認容できる証拠は存在しない。代位侵害論は、製品のユーザへの管理が存在しないところでの製品の不適法な使用をより少なくするように作られ得るであろうという事実に基づく責任は意図していない。
 したがって、本主張に必須の本物の事実問題は存在せず、サマリ判決が適切である。

V.結論

 本裁判所は、被告らが著作権侵害の二次的責任を避けながら、被告らのソフトウェアの不法な目玉商品から金銭的に利益を得るように意図して被告らのビジネスが作られているかもしれない可能性に気がつかないわけではない。本裁判所はそのようなソフトウェアの不法な使用への影響力を減少させるためにどのようなステップを取ることができるかどうかを、仮にそのようなステップを取ることができたとしても、判断する必要はないが、追加的な立法による指導が十分に勧められるかもしれない。しかし、司法による救済を理由づけるために、原告らは注意深く線引きされた境界を越えて現存する著作権法を拡張することを本裁判所に勧めている。最高裁が認めるように、裁判所はこのような状況において冷淡に歩まなければならない:
明示的な立法の指導なしに、著作権によって与えられる保護を拡張することに、司法が気が進まないのは、繰り返されるテーマである。[引用]大きな技術的イノベーションが著作物のマーケットを変更する場合に、議会に対する我々の一貫した敬意を、健全な政策が、歴史と同様に、支持している。議会は、憲法上の権限を有しており、このような新しい技術に必然的に影響を受ける競い合う利益の並べ替えを完全に順応させる能力を有している。
 本件のように、議会が我々の進路を明確に示さない事件において、そのような利益の計算をしていない立法によって作り出された権利の範囲を解釈する点で我々は慎重でなければならない。
Sony, 464 U.S. at 431 (citations omitted); accord Teleprompter Corp. v. Columbia Broadcasting System, Inc., 415 U.S. 394, 414, 94 S. Ct. 1129 (1974).

 したがって、既に述べられた理由により、本裁判所はここに以下の申立を認容する:
  1)被告Grokster,Ltdのサマリ判決の申立[132-1];
  2)被告StreamCast Networks, Inc.の寄与侵害に関する部分サマリ判決の申立[140-1];及び
  3)被告StreamCast Networks, Inc.の代位侵害に関する部分サマリ判決の申立[142-1]。

 本裁判所はここに被告Grokster, Ltd.及びStreamCast Networks, Inc. だけに関する原告らのサマリ判決の申立[146-1]を却下する。加えて、本裁判所はここに被告StreamCast Networks, Inc.の規則56(f)の申立 [322-1]を争訟性を喪失したものとして却下する。

   そのように命令される。
[訳1]

日付: 2003年 4月25日 
                 
STEPHEN V. WILSON  
合衆国地方裁判所裁判官


(1)Metro-Goldwyn-Mayer Studios, Inc. v. Grokster, Ltd. 事件(CV 01-8541)における原告らは、次の二つのグループ:1)「映画スタジオ原告団」:Metro-Goldwyn-Mayer Studios, Inc.、Columbia Pictures Industries, Inc.、Disney Enterprises, Inc.、New Line Cinema Corp.、Paramount Pictures Corp.、Time Warner Entertainment、Twentieth Century Fox Film Corp.;及びUniversal City Studios, Inc.、並びに、2)「レコード会社原告団」:Arista Records, Inc.、Atlantic Recording Corp.、Rhino Entertainment、Bad Boy Records、Capitol Records、Elektra Entertainment、Hollywood Records, Inc.、Interscope Records、LaFace Records、London-Sire Records、Motown Record Co., LP、BMG Entertainment、Sony Music Entertainment, Inc.、UMG Recordings, Inc.、Virgin Records America, Inc.、Walt Disney Records、Warner Brothers Records, Inc.、WEA International, Inc.、WEA Latina, Inc.、及びZomba Recording Corpから成る。
 Lieber v. Consumer Empowerment BV事件( CV 01-9923)における原告ら、「音楽出版原告団」はプロの作曲家及び音楽出版者の集団代表訴訟の原告団である。

(2)本件が最初に提出された後に、Kazaa systemはKazaa BVから被告Sharman Networksへ譲渡されている。加えて、Kazaa BVは本訴訟で明らかに防御を止めている。Kazaa BVは本訴訟で防御していないから、本裁判所は被告Kazaa BVに対して欠席判決を登録する(欠席判決の登録に関する命令が別に発せられる)。本命令の残りの部分は被告らGrokster及びStreamCastに対する原告らの請求についてのみ関係する。

(3)本裁判所は、本争点は裁判所規則に照らして争訟性を喪失したものであると書き留める。
 加えて、音楽出版原告団は問題となっている著作権の保有に合意していないから、被告StreamCastは問題となっている音楽出版原告らの保有に関して更なるディスカバリを求める規則56(f)の申立を提出した。See Fed. R. Civ. P. 56(f). StreamCastは更なるディスカバリを主張するが、音楽出版原告らは問題となっている著作権のいくつかを実際に所有又は管理しておらず、少なくともいくつかの著作権の保有は争われていないことを証拠が示すだろう。したがって、この争われているとされる事実はサマリ判決の双方の申立に影響を与えないが、本訴訟の後の段階において関連することになるであろう。しかし、本申立も裁判所規則にてらして争訟性を喪失したものである。したがって、本裁判所は被告StreamCastの規則56(f)の申立を却下する。

(4)原告らが合衆国独禁法に違反して著作権のミスユースを行っているから、原告らは著作権侵害訴訟を起こすことができない、と被告らは主張する。本裁判所は原告らのサマリ判決の申立を却下するから、本裁判所は著作権ミスユースの争点は審理しない。

(5)Grokster以外の会社がFastTrackネットワークの本プロセス又は他の面を管理できるかどうか、あるいは、管理できるとすればどの程度かは明らかではないが、被告らがそのような役割を有しているという証拠は存在せず、原告らは争っていない。

(6)FastTrackネットワーク上の主要なルートスーパーノードがKazaa BV/Sharmanによって保有され、運営されていたが、Groksterがこれらのスーパーノードを運営していることは申し立てられていない。

(7)GroksterにライセンスされたFastTrackの最初のバージョンではGroksterが登録サーバを運営する義務があった。(Id. at ¶ 7.) 新しいユーザはユーザー名とeメールアドレスの登録を要求され、Groksterソフトウェアのその後の使用において、Grokster登録サーバに対してこの情報が確認される。(Id.) もし、その後の使用で、ユーザ名がブロック又は取り除かれると、そのユーザはある機能(インスタントメッセージのような)を使用することができないが、ファイル交換機能は利用可能であり続けるであろう。(Id.; see also Kleinrock Dep. 211:2-12, Page Decl. Ex. M.) したがって、登録サーバの運営はネットワークとファイル交換のどちらについても管理するための手段を提供しない。さらに、FastTrackソフトウェアは、登録データベースをもはや要求しないように修正され、それゆえGroksterはFastTrackネットワークへのアクセスを管理するこの役割を否定している。(Id. at ¶ 8.) Groksterはボランタリーで登録サーバを運営しているが、このサーバはユーザのネットワークアクセスに不可欠のものではなく、新しいユーザ名及びパスワードを単に登録することによって、本質的にバイパスすることができる。

(8)これらの「ディレクトリ」は、他のクライアントのIPアドレスを送信するGnutellaクライアント(「ホストキャッシュ」)と、現在接続されているコンピュータのためにIPアドレスのリストをホスティングするウェブサイト(「Gウェブキャッシュ」)の両方を含む。Gnutellaネットワークに接続する他の方法は、接続できることが知られている個人のIPアドレスを手動で(たとえば口頭で)入手してインプットすること、又はアクティブなアドレスのリストがポストされているインターネット・リレー・チャットルームで質問することを含む方法である。Morpheusの現在のバージョンは特定のホストキャッシュとGウェブキャッシュに問いただすように事前にコンフィギュレーションが行われている。

(9)eメールのどれにも原告らが本申立を限定することを試みる著作物に関連するものは何も見られない。

(10)たとえば、被告Groksterが配布するソフトウェアのファイル交換機能を管理していることを証明する許容可能な証拠は存在しない。

(11)この結論は被告らは本質的に争っていない。 (See StreamCast’s Memo of P&A in Supp. of Partial Summ. Judgment re: Vic. Infringement; StreamCast’s Reply; StreamCast’s Opp. to Pl.’s Mot.; Grokster’s Memo of P&A in Supp. of MSJ at 16.)


訳注
(訳1)このアメリカの判決を読み、日本でもP2Pファイル交換ソフトウェアを配布するだけなら適法と考えるのは早計である。日本の最高裁はビデオメイツ事件(平成12年(受)第222号)で、
カラオケ装置のリース業者は、カラオケ装置のリース契約を締結した場合において、当該装置が専ら音楽著作物を上映し又は演奏して公衆に直接見せ又は聞かせるために使用されるものであるときは、リース契約の相手方に対し、当該音楽著作物の著作権者との間で著作物使用許諾契約を締結すべきことを告知するだけでなく、上記相手方が当該著作権者との間で著作物使用許諾契約を締結し又は申込みをしたことを確認した上でカラオケ装置を引き渡すべき条理上の注意義務を負うものと解するのが相当である。けだし、(1)カラオケ装置により上映又は演奏される音楽著作物の大部分が著作権の対象であることに鑑みれば、カラオケ装置は、当該音楽著作物の著作権者の許諾がない限り一般的にカラオケ装置利用店の経営者による前記1の著作権侵害を生じさせる蓋然性の高い装置ということができること、(2)著作権侵害は刑罰法規にも触れる犯罪行為であること(著作権法119条以下)、(3)カラオケ装置のリース業者は、このように著作権侵害の蓋然性の高いカラオケ装置を賃貸に供することによって営業上の利益を得ているものであること、(4)一般にカラオケ装置利用店の経営者が著作物使用許諾契約を締結する率が必ずしも高くないことは公知の事実であって、カラオケ装置のリース業者としては、リース契約の相手方が著作物使用許諾契約を締結し又は申込みをしたことが確認できない限り、著作権侵害が行われる蓋然性を予見すべきものであること、(5)カラオケ装置のリース業者は、著作物使用許諾契約を締結し又は申込みをしたか否かを容易に確認することができ、これによって著作権侵害回避のための措置を講ずることが可能であることを併せ考えれば、上記注意義務を肯定すべきだからである。
と判示しているからである。この事件で、著作権の直接侵害を行ったのは、被告のカラオケリース業者からカラオケをリースされている飲食店である(より直接的には、飲食店のお客が店内の他のお客や従業員の前でつまり公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として歌を歌ったことが元々の直接侵害である)。

 本Morpheus事件のSTEPHEN V. WILSON裁判官なら、「一度リースがサインされたら、カラオケリース業者はその飲食店のカラオケ装置の侵害行為の使用について管理する立場にない。したがって、飲食店が管理する立場になった後にカラオケリース業者が侵害を知っても寄与侵害責任の成立には十分ではない、なぜなら、カラオケリース業者がその侵害を助長するためにすること、又はそれを停止するためにできることは何もないからである。」として、非侵害と判断するだろうが、日本の最高裁は、「当該音楽著作物の著作権者との間で著作物使用許諾契約を締結すべきことを告知するだけでなく、上記相手方が当該著作権者との間で著作物使用許諾契約を締結し又は申込みをしたことを確認した上でカラオケ装置を引き渡すべき条理上の注意義務を負う。」として、カラオケリース業者に損害賠償を言い渡しているのである。

 この日本の最高裁判例を参考にすると、一般にP2Pファイル交換ソフトウェアのユーザがそのソフトを著作権侵害のために利用することが多いことは公知の事実であるから、ユーザによる著作権侵害の蓋然性が高いP2Pファイル交換ソフトウェアを形式的な著作権遵守の告知をしただけで配布した場合に、条理上の注意義務違反であるとされるかもしれないのである。


   

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