翻訳 井上雅夫 2003.01.30; 02.15    ↑UP 

RIAA v. Verizon本人情報開示命令事件 地裁判決

2003.01.21
       目          次
メモランダム意見
 バックグラウンド
   1.デジタルミレニアム著作権法
   2.RIAAのVerizonへの本人情報開示命令
 分析
   1.「サービスプロバイダ」の条文の定義
   2.条文の構成
   3.DMCAの目的及び経緯
   4.代案としての「John Doe」訴訟
   5.DMCAと憲法 
 結論
 脚注
 訳注
 参考文献

コロンビア地区合衆国地方裁判所
民事事件02-MS-0323 (JDB)

VERIZON INTERNET SERVICES, INCに関する
本人情報開示命令強制問題


原告 RECORDING INDUSTRY ASSOCIATION OF AMERICA
被告 VERIZON INTERNET SERVICES

メモランダム意見

 米国レコード産業協会(「RIAA」)[1]は1998年デジタルミレニアム著作権法(「DMCA」又は「法」)(17 U.S.C. § 512)[訳1]に基づいてVerizonインターネットサービス(「Verizon」)に送達された本人情報開示命令<a subpoena>の強制<to enforce>を申し立てた。著作権者を代表して、RIAAは、インターネットから1日のうちに600曲以上ダウンロードされた曲に関して著作権を侵害したとされるVerizonのサービスの匿名ユーザの本人情報<identity>を得ようとしている。著作権者(及びRIAA)は侵害とされる者のインターネットプロトコルアドレスを見つけることはできるが、本人情報を見つけることはできない−−サービスプロバイダだけがそのユーザの本人情報を明らかにできる。Verizonは、この本人情報開示命令はVerizonのネットワークを介して送信されたものに関するものであり、Verizonに蓄積されたものに関するものではなく、それゆえ、DMCAで権限を与えられた本人情報開示命令の範囲外であると論ずる。RIAAは、DMCAの512条(h)に基づく本人情報開示命令権は、侵害物がサービスプロバイダのネットワークに蓄積されているか単に送信されているかにかかわらず、Verizonを含む全てのインターネットサービスプロバイダに適用される、と対抗する。

 したがって、本件で中心となる問題はDMCAに基づく本人情報開示命令権<the subpoena authority>の範囲に関する条文解釈<statutory interpretation>である。本件はインターネットへの著作権法の適用に関する極めて重要な先例のない問題であることで当事者ら及び法廷助言者らは一致している。実際、彼らは、本件はDMCA本人情報開示命令権に関するテストケースとして提起されていることを認めている。条文<statute>の文言<language>及び構成<structure>に基づき、立法の目的及び経緯によって確証されるように、裁判所は、著作権法512条(h)(17 U.S.C. § 512(h))における本人情報開示命令権は、ユーザの指示でシステム又はネットワーク上に情報を蓄積しているサービスプロバイダだけではなく、DMCAの範囲内の全てのインターネットサービスプロバイダに適用されると結論する。したがって、裁判所は、RIAAの強制の申し立てを認容し、侵害とされる者の本人情報を求めるRIAAによる正しく交付され確証された本人情報開示命令に従うことをVerizonに対して命令する。

バックグラウンド

 この問題を判断するに当たっては、DMCA、及びRIAAによってVerizonに送達された本人情報開示命令の両方について理解が必要である。本人情報開示命令権は512条(h)に具体的に記載されているが、この文言はDMCAの構成及び目的と分離することはできず、RIAAのVerizonへの本人情報開示命令はその文脈で判断されなければならない。

1.デジタルミレニアム著作権法
 DMCAは著作権法第5章(501条以降)を修正し、「オンライン素材に関する責任の制限」というタイトルの512条を新たに作り出した。そのタイトルが示すように、本来、DMCAはプロバイダのシステム又はネットワークを使用するユーザによる著作権侵害行為に対してインターネットサービスプロバイダの責任を制限するために立案されたものである。512条は、(a)〜(d)で明らかにされる4つの一般的なカテゴリについてサービスプロバイダの責任の制限を含む。それによって、この条文は本法に基づく条件が満たされればユーザによる著作権侵害に対してサービスプロバイダの責任を制限することを可能とする一連の「セーフハーバー」を作り出した。「サブセクション(a)〜(d)の制限は、直接、代位及び寄与[著作権]侵害について全ての金銭的救済に対する責任から適格なサービスプロバイダを保護している。」S. Rep. No. 105-190, at 20 (1998).

 DMCAに基づき、インターネットサービスプロバイダは、侵害とされる素材がサービスプロバイダのシステム又はネットワークとどのように関係するかにより、これら4つのサブセクションの一つに該当する。ある「セーフハーバー」の資格があるためには、サービスプロバイダは、当てはまるサブセクションに基づく条件と、サービスプロバイダがユーザが著作権侵害を繰り返す場合にそのアカウントを終了させるポリシーを実行し、かつその旨をユーザに知らせる要件を含むサブセクション(i)の条件を満たさなければならない。See 17 U.S.C. § 512(i)(1)(A). サブセクション(a)(Verizonは本件に適用できると論ずる)に基づくと、サービスプロバイダは、ある条件を満たせば、そのシステム又はネットワークを介して著作物を送信する時にユーザの著作権侵害について責任を負わない:
(a)通過的なデジタルネットワーク通信。− サービスプロバイダによって若しくはサービスプロバイダのために管理若しくは運営されているシステム又はネットワークを通じて、素材をプロバイダが送信し、転送し、若しくはそのために[インターネット]接続を提供したことを理由として、又は、そのような送信、転送、若しくは接続の提供の経路における著作物の中間的かつ一時的的蓄積を理由として・・・サービスプロバイダは著作権侵害について・・・責任を負わない。
Id. § 512(a). 一方、サブセクション(c)(本件に最も関係する他のサブセクション)はサービスプロバイダのネットワーク又はシステム上に蓄積されている著作物に関係する:
(c)ユーザの指示でシステム又はネットワーク上に存在する情報。− サービスプロバイダによって若しくはサービスプロバイダのために管理若しくは運営されているシステム又はネットワーク上に存在する素材のユーザの指示による蓄積を理由として・・・サービスプロバイダは著作権侵害について・・・責任を負わない。
Id. § 512(c)(1).[2] サブセクション(c)に基づくと、サービスプロバイダは著作権者から侵害と主張された通知を受ける担当者を選定しなければならない。Id. § 512(c)(2).

 本件において特に重要であるが、サブセクション(c)(3)(A)はサブセクション(c)に基づき有効な著作権侵害の通知のために著作権者が満たすべき必要事項を詳細に説明している。主張される侵害の通知は指定された担当者に書面で提供されなければならず、以下を含まなければならない−−「[著作権]者を代表して行動する権限を与えられた者のサイン」;侵害されたと主張する著作物の特定(又は一つの通知によってカバーされる多数の著作物のリスト);「取り除かれる又はアクセス不能にされるべき」と主張する侵害物の特定、及びプロバイダがその侵害物の位置を突き止めることができる情報;苦情を述べている者にプロバイダがコンタクトを取るための情報;苦情を述べている使用が許諾されていないことを誠実に確信する旨の陳述;及び「通知の中の情報は正確であり、かつ違反すれば偽証罪となる条件の下でのものである旨、苦情を述べている者が著作権者を代表して行動する権限が与えられている旨の陳述」。Id. § 512(c)(3)(A)(i)-(vi). この通知の必要事項はサブセクション(c)の中にはあるが、サブセクション(a)又は512条の他のどこにも、同様な通知の必要事項はない。しかし、サブセクション(c)(3)の通知の必要事項はサブセクション(b)及びサブセクション(d)の両方に基づく条件の中で参照されている。See id. §§ 512(b)(2)(E) & (d)(3).

 また、DMCAは(本裁判所における論争の中心に位置している)サブセクション(h)の中に新しい規定を含んでおり、その規定は著作権者が自分の著作権が侵害されていると主張するユーザの本人情報を捜すために本人情報開示命令を得てサービスプロバイダに送達することを許している。著作権者又は著作権者のために行動する権限を有する者による請求により、本人情報開示命令は合衆国地裁の書記官によって交付される(請求は、本人情報開示命令案、「サブセクション(c)(3)(A)に記載された通知のコピー」、及び本人情報開示命令は侵害したとされる者の本人情報を得るためだけのものでありその情報はその著作権を保護するためにのみ使用されることを保証する宣誓供述書を含む)。Id. § 512(h)(2). 本人情報開示命令は侵害とされる者を特定するために十分な情報を「速やかに開示する」権限を受取人のサービスプロバイダに与え、かつ命令する。Id. § 512(h)(3). 書記官は、適正な書式であり、供述書が適正に作成され、かつ「提出された通知がサブセクション(c)(3)(A)の規定を満たしている」ならば、本人情報開示命令を「速やかに交付する」。Id. § 512(h)(4). サービスプロバイダは、本人情報開示命令を受領すると、本人情報開示命令によって要求された情報を著作権者(又は権限ある者)に「速やかに開示する」。Id. § 512(h)(5). 本人情報開示命令の交付、配達及び強制は本人情報開示命令を扱う連邦民事手続規則の規定により(実行性がある限り)律せされる。Id. § 512(h)(6).

2.RIAAのVerizonへの本人情報開示命令
 2002年7月24日、RIAAは、著作権者の許可なしにKaZaAによって提供されるピア・ツー・ピア・ソフトウェアを通して著作権で保護された曲のダウンロードのためにVerizonのネットワークを使っている匿名の著作権侵害とされる者について本人情報を求める本人情報開示命令をVerizonに送達した。See Motion to Enforce, Ex. A. 本人情報開示命令と共に、RIAAは、そのユーザに関して1日でダウンロードされたとする600ファイル以上のリスト(主として個々の曲、ほとんどがよく知られたアーティストによる)をVerizonに提供した。Id., Ex. B. 本人情報開示命令は、侵害が行われているコンピュータの位置をVerizonが見つけることができるように、そのユーザのインターネットプロトコル(IP)アドレスを含んでいた。IPアドレスに加えて、RIAAはその曲がダウンロードされた日時を提出し、違反すれば偽証罪となる条件で、情報を誠実に求める旨及びRIAAメンバの「権利を保護すること」に関してのみ使用される旨の供述書を提供した。Id., Ex. B (letter from Whitehead to Crowder dated July 24, 2002). また、RIAAはVerizonに「侵害音楽ファイルを取り除く又はアクセスできないようにすること」を求めた。Id.

 VerizonはRIAAの本人情報開示命令に従うことを拒否する書簡をもって答えた。Id., Ex. D (letter from Daily to Whitehead dated Aug. 6, 2002). Verizonは、DMCA本人情報開示命令権は侵害物がサービスプロバイダのシステム又はネットワーク上にセクション(c)に基づき蓄積又は管理されている場合にだけ適用されるという見解を力説した。Id. at pp. 2-3.  Verizonは次のように述べる:「[ダウンロードファイル]の侵害とされるコンテンツは[Verizon]によって若しくはそのために管理若しくは運営されたシステム又はネットワーク上には存在せず、・・・ユーザのハードウェア上に蓄積されている。したがって、この理由だけで§ 512(c)(3)(A)も§ 512(h)も適用することはできない」。Id.  Verizonによれば、DMCAに基づく本人情報開示命令は512条(c)(3)(A)に基づく通知に「条件付けられて」おり、「その規定は『サービスプロバイダによって若しくはそのために管理若しくは運営されているシステム又はネットワーク上に存在する著作物』に向けられている」。Id. (emphasis in original).  対照的に、Verizonはインターネット接続サービスを顧客に提供しているだけであると力説する。Id. またVerizonはそのユーザのインターネット接続を終了するようにというRIAAの要求も拒否した。Id. at 3. したがって、Verizonの立場は、侵害とされる者にインターネット接続を提供しているだけであるから、512条のサブセクション(c)ではなく、サブセクション(a)の範囲内であり、それゆえ、サブセクション(h)(Verizonによればサブセクション(c)により侵害物を蓄積しているサービスプロバイダに限られる)の本人情報開示命令権の外である、というものである。
 他方、RIAAは512条(h)に基づくDMCA本人情報開示命令権は、本件におけるVerizon[3]を含むサブセクション(a)〜(d)の規定に入る全てのサービスプロバイダに適用されるという見解である。Verizonが本人情報開示命令に従うことを拒否したことにより、RIAAは著作権法§ 512(h)(6) 及び連邦民事手続規則45(c)(2)(B)に従い本人情報開示命令の強制を申し立てた。続いて、実質的な書面提出(両方の法廷助言者による提出を含む)、及び審問が行われた。

分     析

 本件で問題となるのはDMCAの規定の意味及び範囲である。「全ての条文解釈の事件において、我々はその条文の文言から始める」。Barnhart v. Sigmon Coal Co., 534 U.S. 438, 450 (2002); see also United States v. Braxtonbrown-Smith, 278 F.3d 1348, 1352 (D.C. Cir. 2002).  最初のステップは、「争点の文言が、その事件の特定の争いに関してわかりやすく明白な意味を持っているかどうかを決定することである」。Robinson v. Shell Oil Co., 519 U.S. 337, 340 (1997) (citing United States v. Ron Pair Enters., Inc., 489 U.S. 235, 240 (1989)). もしそうなら、そしてもしその条文の構成が「首尾一貫し矛盾のない」ものであるなら、審理は終了である。Barnhart, 534 U.S. at 450 (quoting Robinson, 519 U.S. at 340).  それにもかかわらず、「条文の解釈は『全体論的な試み』であり、最低でも、句、構成、及び内容ばかりでなく、一つの条文のフルテキストを説明するものでなければならない。Connecticut Nat'l Bank v. Germain, 503 U.S. 249, 254 (1992) (quoting United Savings Ass'n of Texas v. Timbers of Inwood Forest Assocs., Ltd., 484 U.S. 365, 371 (1988)). このゆえに、「裁判所は文言に偏る条文の解釈を退けるべきである」。Connecticut Nat'l Bank, 503 U.S. at 253. しかし、最高裁は次のように説示する:
解釈の基準は裁判所が法律の意味を決定するのを助ける経験法則以外のものではなく、条文の解釈において裁判所は全ての他のものより前に常に最初に一つの主要な原則に頼るべきである。裁判所は、立法府が条文の中にそれが意味するものを述べ、そこで述べたものを条文のなかで意味していると仮定しなければならないと、我々は再三再四述べてきた。
Id. at 254; accord Ron Pair Enters., Inc., 489 U.S. at 241-42; United States v. Goldenberg, 168 U.S. 95, 102-103 (1897). 「条文の言葉が明白な場合は、最初の原則は最後のものでもある:『司法審理は完璧である』」。Connecticut Nat'l Bank, 503 U.S. at 254 (quoting Rubin v. United States, 449 U.S. 424, 430 (1981)); see also Ratzlaf v. United States, 510 U.S. 135, 147-48 (1994)(「条文の立法経緯の中に逆の兆候があるのを我々は認める。しかし、我々は明白な条文のテキストを雲で覆うために立法経緯に頼ることはしない。」);Barnhill v. Johnson, 503 U.S. 393, 401 (1992).

 本件において、条文の文言及び構成は一つの結果を導く − 512条(h)の本人情報開示命令権は、サブセクション(c)ばかりでなく、512条のサブセクション(a)、(b)、及び(d)の範囲内のサービスプロバイダにも適用される。更に、DMCAの目的及び経緯はこの結論と首尾一貫している。

1.「サービスプロバイダ」の条文の定義
 DMCAの条文のテキストは、サブセクション(h)の本人情報開示命令権は本法に基づく全てのサービスプロバイダに適用されると解釈する明確なガイダンスを提供している。用語「サービスプロバイダ」はサブセクション(h)で繰り返し使われている。書記官への請求は「サービスプロバイダに対して侵害とされる者を確認する本人情報開示命令を交付するため」 (§ 512(h)(1))である;この本人情報開示命令は「通知と本人情報開示命令を受けたサービスプロバイダに」サービスプロバイダに可能な範囲で本人情報を開示する「権限を与え、かつ命令する。」 (§ 512(h)(3));適切な本人情報開示命令が書記官によってなされ、書記官は「サービスプロバイダへの配送のために」請求人にそれを渡す;そして「サービスプロバイダは」
受領すると「サービスプロバイダが通知に答えるかどうかにかかわらず」本人情報開示命令によって要求される情報を「速やかに開示する」(§ 512(h)(5))。

 そこで、問題は、サブセクション(h)で繰り返し参照されている「サービスプロバイダ」がサブセクション(c)で記述されているものに限定されるか、あるいは512条の(a)、(b)及び(d)に記載されたものも含むのかどうかである。DMCAはこの問題に明確に答えている。

 本法は「サービスプロバイダ」の二つの別々の定義を規定している−−サブセクション(a)内だけで使用されているその用語の狭い定義、及びサブセクション(a)の「サービスプロバイダ」ばかりでなく全ての他のサブセクションも律する広い定義である:
(k)定義。−
(1)サービスプロバイダ。−
(A)サブセクション(a)において、用語「サービスプロバイダ」は、ユーザによって特定される複数の地点間で、ユーザが選択する素材を、送信又は受信される時に素材の内容を修正することなく、送信し、転送し、又はデジタルオンライン通信への接続を提供する事業者を意味する。

(B)サブセクション(a)を除き、本条において、用語「サービスプロバイダ」はオンラインサービス又はネットワークのプロバイダ又はそれのための設備の運営者を意味し、サブパラグラフ(A)に記載された事業者を含む。
17 U.S.C. § 512(k); see also ALS Scan, Inc. v. RemarQ Communities, Inc., 239 F.3d 619, 623 (4th Cir 2001) (DMCAは「サービスプロバイダを広く定義している」).

 それゆえ、サブセクションセクション(k)におけるサービスプロバイダの明文の定義は、サービスプロバイダがサブセクション(a)〜(d)で規定された4つのカテゴリーに基づいて果たしている機能にかかわらず、サブセクション(h)の本人情報開示命令権は全てのサービスプロバイダに適用されることに疑いを残さない。サブセクション(k)(1)(B)の広い定義(「オンラインサービス又はネットワークアクセスのプロバイダ」)はサブセクション(h)で使われている用語「サービスプロバイダ」に明らかに適用される、なぜならサブセクション(k)(1)(A)にみられる狭い定義はサブセクション(a)で使用される用語にだけ適用可能であるからである。条文のわかりやすいテキストにより、サブセクション(h)で使われている用語「サービスプロバイダ」はサブセクション(k)(1)(A)で定義されている事業者を包含し、Verizon(送信、転送、若しくはデジタルオンライン通信への接続を提供する事業者)のようなサブセクション(a)に基づく「サービスプロバイダ」を明確に含む。要するに、Verizonはインターネット接続を提供するだけであり、したがってDMCAのサブセクション(a)の範囲内であると主張する;しかしサブセクション(h)の本人情報開示命令権に適用可能なサブセクション(k)の「サービスプロバイダ」の定義は、「デジタルオンライン通信への接続を・・・提供」しているVerizonのようなサブセクション(a)の事業者を含む。サブセクション(k)(1)(B)の「サービスプロバイダ」の広い定義、及びサブセクション(h)を通したその定義された用語の使用が与えられ、本裁判所は、定着した条文解釈ツールに基づき、全体として、これらの規定を首尾一貫して解釈しなかればならない。See United States v. Wilson, 290 F.3d 347, 355 (D.C. Cir. 2002) (「『組み合わせて理解すること』は関連する条文の規定の解釈の『古典的な裁判所の仕事』である。」)(quoting United States v. Fausto, 484 U.S. 439, 453 (1988)). それゆえ、「サービスプロバイダ」の条文の定義の適用は、DMCA本人情報開示命令権が本件で争うVerizonのようなサブセクション(a)のサービスプロバイダに及ぶことは疑う余地がない。[4]

 Verizonの応答は、サブセクション(k)を「要点をはずれている」として捨て去り、軽視するものである。しかし、その文言は明確であり、本裁判所は、セクション(h)の本人情報開示命令権の範囲を明確に設定するサブセクション(k)(1)(B)のサービスプロバイダの支配的な定義を見過ごすことはできない。むしろ、裁判所は条文の全ての関連する部分を考慮に入れなければならない。See United States Telecom Ass'n v. FCC, 227 F.3d 450, 463 (D.C. Cir. 2000) (「影響のある全ての条文の規定を要求する確立された条文解釈の原理」に言及している); Qi-Zhuo v. Meissner, 70 F.3d 136, 139 (D.C. Cir. 1995) (多くの裁判所が「条文の全ての言葉は意味を割り当てられており、余分なものと解釈されるものは何もないという・・・条文解釈の原理を果てしなく繰り返している」」)。「条文が定義のセクションにおいて用語を定義している場合は、その定義はその条文に現れる所ではどこでもその用語の意味を支配する。」Lilly v. Internal Revenue Service, 76 F.3d 568, 571 (4th Cir. 1996); see also Colautti v. Franklin, 439 U.S. 379, 392 n.10 (1979)(「用語が『意味している』ものを宣言している定義は・・・述べられていないいかなる意味も排除する。」); Florida Dep't of Banking & Fin. v. Board of Governors of Fed. Reserve Sys., 800 F.2d 1534, 1536 (11th Cir. 1986)(「条文の定義セクションの用語の定義はそれがその条文を通してどこに現れてもその用語の解釈を支配することは条文解釈の基本的な教訓である。」)。
本件において「サービスプロバイダ」の条文の定義を的はずれであるとして捨て去ることは全く意味がないであろう。

 Verizonが、本人情報開示命令に従うのを拒否し、RIAAへの書簡で説明したように、「[Verizonが]ユーザへ提供する唯一のサービスはインターネット接続である。」Motion to Enforce, Ex. D, at p. 2 (letter from Dailey to Whitehead dated Aug. 6, 2002). しかし、サブセクション(k)(1)(B)に基づく「サービスプロバイダ」の広い定義は、サブセクション(h)に適用可能であることは明らかであり、Verizonが侵害とされる者にネットワークアクセスを提供しているという争いのない事実を合わせると、DMCAの本人情報開示命令権はサブセクション(a)に基づくVerizonを含む本法の範囲内の全てのプロバイダに適用されるという結論に導くことは避けがたい。

2.条文の構成
 Verizonの逆の主張はDMCAの構成及び文言によって論駁される。Verizonは、512条(h)に基づく有効な本人情報開示命令のための必須の条件は「サブセクション(c)(3)(A)に従うサービスプロバイダへの通知である」と主張する。Verizon Opp. at pp. 2-3. それゆえ、Verizonは、本人情報開示命令はサブセクション(c)に規定されるサービスプロバイダ(他の言葉を使えば、「それ自身のシステム又はネットワーク上に不法な素材を蓄積しているサービスプロバイダ」Id. at p. 3)に交付され得るだけであることが暗示されていると論じる。Verizonは、対照的に、「サブセクション(a)(本件におけるVerizonのような受動的な送信者としてだけ活動しているサービスプロバイダのための512条の規定)は主張された侵害者のいかなる通知のための規定も全く含んでおらず、まして『(c)(3)(A)の必要事項を満たす』通知の規定は決して含んでいない」と力説する。Id. このように、Verizonはそのシステム又はネットワーク上に侵害物を蓄積しておらず、「インターネット接続」を提供しているだけ、あるいはサブセクション(a)に基づく「受動的な電線」として活動しているだけであるから、RIAAの本人情報開示命令は無効であり、このゆえにサブセクション(c)(3)(A)の通知の必要事項に従う必要はない、とVerizonは論じる。

 本裁判所は、サブセクション(k)の明確な定義の文言を完全に無視するVerizonの本法の不自然な解釈に同意しない。条文解釈の全体論的な性質が関連する全てのテキスト及び文言ばかりでなく構成の審理も要求する。See Connecticut Nat'l Bank, 503 U.S. at 254.  DMCAの文言ばかりでなくその構造もVerizonが進める論点を不要なものとする。

 Verizonは、裁判所はサブセクション(h)に基づく本人情報開示命令権がサブセクション(c)(3)(A)の通知の必要事項へのサブセクション(h)(2)(A)の参照に照らしてサブセクション(c)にだけ適用されることを推論すべきであると争う。しかし、その参照はサブセクション(h)がサブセクション(c)に規定されたサービスプロバイダにだけに適用されることを意味しない。実際、サブセクション(c)の通知規定はサブセクション(b)(2)(E)及び(d)(3)を含むDMCAのそのほかの部分も参照している。後者の参照は、サブセクション(c)(3)に規定されたような通知がサブセクション(b)及び(d)に基づく状況においても必要であり、それゆえサブセクション(c)の状況に限定されないという予想を裏付ける。さらに、サブセクション(h)は制限又は適用の限定なしに記載されている。そのタイトルは「侵害者を特定するための本人情報開示命令」であり、「サービスプロバイダのネットワーク上に著作権で保護された素材を蓄積している侵害者を特定するための本人情報開示命令」あるいは「サブセクション(c)に関係する侵害者を特定するための本人情報開示命令」ではない。議会がサブセクション(h)の本人情報開示命令権を侵害物が存在する場所に基づいて制限又は限定する意図があるとしたら、その制限がサブセクション(h)の中に詳細に記述されていることが期待されるであろう。そして、議会がサブセクション(h)の本人情報開示命令をサブセクション(c)のサービスプロバイダに厳密に制限する意図があるとすれば、明確にそのような制限を行うことができたことは間違いない。

 サブセクション(h)の本人情報開示命令権がサブセクション(c)に記載されたサービスプロバイダにだけ適用されることを記述又は示唆している条文のテキストは全く存在しない。実際、サブセクション(h)は、Verizonが主張するように、著作権者にサブセクション(c)(3)(A)に完全に従うことを要求しているのではない。subsection (c)(3)(A)「に記載された通知」(see §§ 512(h)(2)(A) & (h)(5))又は 「の規定を満たす」(see § 512(h)(4))というサブセクション(h)における参照はその文言だけで本人情報開示命令権を制限しているのではない。むしろ、これらの参照は、サブセクション(h)に基づく文書命令がサブセクション(a)、(b)又は(d)の範囲内のサービスプロバイダに対して求められる場合には、著作権者又は権限を与えられた者は、他の場合には(a)、(b)又は(d)では要求されないが、その場合にはサブセクション(c)で常に要求されるものと同様な通知を提供しなければならないという、構成と首尾一貫している。このように、サブセクション(h)(2)(A)は、本人情報開示命令を得る手続きの一部として、著作権者に「サブセクション(c)(3)(A)に記載された通知」の様式を書記官に提出することを求めるだけである。

 重要なことには、議会がサブセクション(h)の本人情報開示命令をサブセクション(c)のサービスプロバイダだけに適用することを意図していたとしたら、そのような制限をサブセクション(h)の中に記載したであろう、あるいはサブセクション(h)はサブセクション(a)、(b)又は(d)に適用しないと記載したであろう、あるいは本人情報開示命令権をサブセクション(c)自体の中に置いたであろう。しかし、議会はそうはしなかった。実際、DMCAにおける本人情報開示命令権は、サブセクション(a),(b)、及び(d)と同様にサブセクション(c)からも分離されて、独立したサブセクションの中に含まれているのである[5]。条文の言葉はその文脈の中で、全体の条文の構成の中に位置づけるように解釈されなければならないということは「条文解釈の基本原則」である。FDA v. Brown & Williamson Tobacco Corp., 529 U.S. 120, 133 (2000).

 Verizonが提案する解釈は本法の他の面とも適合しない。裁判所は「争点の特定の条文の文言も全体としての条文の文言及び意図も考慮しなければならない。」KMart v. Cartier, Inc., 486 U.S. 281, 291 (1988). 議会がサブセクション(h)に基づく本人情報開示命令権をサブセクション(c)のサービスプロバイダだけに制限したであろう理由は見あたらない。まず第一に、明白な侵害者を特定するサービスプロバイダの負担は512条のどのサブセクションが関係しているかに依存して異なることはない[6]。実際、DMCAに基づく責任の制限の4つの部分の構成を考慮すると、本人情報開示命令権が全ての4つのカテゴリーのサービスプロバイダに及ぶように解釈するときに、サブセクション(h)に基づく本人情報開示命令権と共にサブセクション(a)〜(d)が「組み合わせの意味をもつ」だけである。See Fausto, 484 U.S. at 453; Wilson, 290 F.3d at 355. そうでなければ、この条文は明白な著作権侵害者の本人情報を見つけるために著作権者が本人情報開示命令手続きを利用する必要がある多くの状況を処理するのに著しく失敗するであろう。そして、Verizonは本人情報開示命令権の及ぶ範囲からサブセクション(a)のサービスプロバイダだけを除外することを正当化しようとするが、条文の文言及び構成が本人情報開示命令権の範囲に関してサブセクション(b)及び(d)の範囲内のサービスプロバイダからサブセクション(a)の範囲内のサービスプロバイダを区別するための何らの根拠を間違いなく規定していないことからすれば、Verizonによって提出された立場は論理的にサブセクション(c)のサービスプロバイダだけに本人情報開示命令権を制限することを支持する。さらに、どんな根拠がセーフハーバーの責任の保護の目的のためにサブセクション(a)〜(d)を区別することを正当化するにしても、侵害者を特定することを行うだけの本人情報開示命令権に関してそのような区別に相応するいかなる根拠も存在しない。

 重要なことには、Verizonの解釈は本人情報開示命令手続きを「速やかに」するための議会の明白で反復された指示と一致しない。See, e.g., 17 U.S.C. §§ 512(h)(3), (h)(4) & (h)(5) (本人情報開示命令は侵害者の本人情報を速やかに開示することをサービスプロバイダに要求する;書記官は速やかに本人情報開示命令を公布する;そしてサービスプロバイダは本人情報開示命令を受領すると侵害者の本人情報を速やかに開示する)。この条文は明白な侵害者をすぐに特定できるように立案された迅速な本人情報開示命令手続を意図している。しかし、著作権者は侵害物がサービスプロバイダに蓄積されているのか、あるいは送信されただけなのかどうか、したがってサブセクション(c)であるのか、あるいはサブセクション(a)の状況に直面しているのかどうかを簡単には決定できない。その結果、著作権者がサブセクション(c)のサービスプロバイダのための本人情報開示命令手続きを利用できるだけであるとすれば、著作権者は手元の個別の事件において最初にサービスプロバイダがサブセクション(c)の範囲内であることを証明しなければならないであろう。このゆえに、多くの場合、裁判所において最初に争われる事実問題は素材が蓄積されている場所に関するものになり、侵害者を特定する情報を得るのに大きな遅れを生じる可能性があるであろう。そのような複雑な状態や遅れはサブセクション(h)を通して本人情報開示命令手続きは「速やか」でなければならないという指示を浴びせかけている文言にふさわしくない。実際、議会が更なる侵害を防ぐためにサービスプロバイダが本人情報開示命令の受領と共に急速に行動することを要求している重要な理由がある−−「デジタル作品がほとんど即座にコピーされ世界的に配布され得ることの容易さ」。S. Rep. No. 105-190, at 8.[7]

 それゆえVerizonの解釈は政策的な立場からはほとんど意味をなさない。Verizonは、議会が著作権者に侵害物をシステムに蓄積しているサービスプロバイダから本人情報を得られるようにし、侵害物をシステムを介して送信しているサービスプロバイダから(又は、それどころか、サブセクション(b)に基づきキャッシングしているシステムを使用しているサービスプロバイダ又はサブセクション(d)に基づき情報位置指定手段を提供しているサービスプロバイダから)本人情報を得られないようにする十分な理由を提出していない。とにかく、得られた情報は著作権者が更なる侵害を防ぐために侵害者に直接方策を講じることを可能とするだけである。議会がDMCAの中で言及された状況のいくつかについてだけ著作権者を保護し、他の状況においては保護しないとしたであろうということはありそうもないと本裁判所は結論する。

 要するに、サブセクション(h)の本人情報開示命令権はサブセクション(c)のサービスプロバイダにだけ適用されサブセクション(a)(ついでにサブセクション(b)及び(b))のサービスプロバイダには適用されないというVerizonの立場は、インターネット上の著作権侵害を防ぐための議会の努力に巨大な抜け穴を作り出すであろう。著作権泥棒のための最高の状況が、本件における侵害とされる者によって使用されているように、ピア・ツー・ピア(「P2P」)ソフトウェアによってもたらされたことは、ほとんど疑いがない。一人の法廷助言者はP2Pソフトウェアは「eメール又はワールドワイドウェブの出現以来、インターネット上に起こった最大の革命である(現在数百万の個人がP2Pを使用し、その数は指数関数的に増大している)」と特徴づけている。Br. of Amicus Curiae U.S. Internet Service Provider Assoc. at p. 6.  Verizonでさえ、1億コピー以上の[KaZaAの]ピア・ツー・ピア・ファイル交換ソフトウェアがダウンロードされ、一般にどの時間においても2百万以上のユーザがオンライン状態にある」と述べている。Verizon Opp. at p. 8. ピア・ツー・ピア・ユーザは最も頻繁に(サービスプロバイダのネットワーク上ではなく)彼ら自身のコンピュータ上に蓄積された素材をインターネットを介して交換しているから、そのような行為はサブセクション(c)ではなく、サブセクション(a)の範囲内である。したがって、Verizonの本法の解釈に基づけば、際だった数の潜在的な著作権侵害がDMCAの本人情報開示命令権から遮断されるであろう[8]。それは、事実上、インターネット著作権侵害者にDMCAの本人情報開示命令権のロングアームからのシェルターを与えることになり、侵害が隆盛を極めるのを許すことになるだろう。本裁判所は、DMCAがインターネット上の著作権で保護された素材の極めて制限された部分だけを保護するように議会が意図したことを示唆するものは、条文の文言又は構成の中に、全く見いだすことができない。

3.DMCAの目的及び経緯
 「[条文解釈の]伝統的ツールには、条文のテキスト、立法経緯、及び構造ばかりでなく、その目的も含まれる。」Natural Resources Defense Council, Inc., v. Daley, 209 F.3d 747, 752 (D.C. Cir. 2000). ここで、DMCAのテキスト及び構造は前述のとおり明確である、そして「我々は明確な条文を雲でおおうために立法経過に頼ることはしない。」Ratzlaf v. United States, 510 U.S. at 147-48. それにもかかわらず、立法の目的及び経緯を理解することによりDMCAに基づく本人情報開示命令権の評価に得るところがあるかもしれないことを常識が示唆している。See Wisconsin Public Intervenor v. Mortier, 501 U.S. 597, 611 n.4 (1991).

 議会はDMCAに基づくサービスプロバイダの責任の制限を求めるだけでなく、著作権者がその著作権を守るのを助けることを意図していた。立法経緯は、DMCAを制定することにより、議会はサービスプロバイダのための責任の保護とインターネット上の著作権の幅広い保護の必要性とのバランスを取ることを試みた[9]。DMCAの明確な目的が、その立法経緯から明らかなように、サブセクション(h)本人情報開示命令権の範囲がサブセクション(c)ばかりでなくサブセクション(a)の範囲内のサービスプロバイダに及ぶことを確証している。

 DMCAの二つの目的及びバランスは複数の裁判所によって認められている。第4巡回区控訴裁は、「DMCAは、インターネット上で著作権のエンフォースメントを維持するためと、サービスプロバイダが知らずに他の者によって始められた技術的プロセスを通じてサービスプロバイダのシステムが行う『受動的』、『自動的』活動に関してサービスプロバイダを著作権侵害責任から免除するため、の両方のために制定された」と説示している。ALS Scan, Inc. v. RemarQ Communities, Inc., 239 F.3d 619, 625 (4th Cir. 2001). 他の複数の裁判所も同様にこのバランスに言及している。「議会は、保護された作品のほぼそのままのコピーが実質的にタダでなされ、世界規模で瞬時に配布されるというデジタル時代において、エレクトロニックコマースと同時に著作権者の保護に関心を持っていた。」United States v. Elcom Ltd., 203 F. Supp.2d 1111, 1124 (N.D. Cal. 2002) (citing S. Rep. No. 105-190, at 8 ). 要するに、議会は「違法な海賊行為を防ぎ、エレクトロニックコマースの発展とインターネット上の著作物の利用を促進することを追求した。Id. at 1125.

 したがって議会はDMCAの中にトレードオフを作り出した:サービスプロバイダのシステムを悪用する侵害者を著作権者が特定し対処するのを助けることと交換に、サービスプロバイダは責任の保護を受けることになるであろう。同時に、侵害者を特定し侵害者に対して行動することを助けるのと交換に、著作権者はサービスプロバイダをそのユーザの著作権侵害で追求するのを差し控えることになるであろう。
DMCAのタイトルIIはサービスプロバイダ及び著作権者がデジタルネットワーク環境において行われる著作権侵害を発見し対処するための強いインセンティブを維持する。同時に、その活動の中で起こるかもしれない侵害によって法的摘発を懸念するサービスプロバイダにより大きい確実性を提供する。
S. Rep. No. 105-190, at 20. 「委員会は、エレクトロニックコマースの持続的な発展とインターネットの発達を促進する方法で、コンテンツ所有者、オンライン及び他のサービスプロバイダ、並びに情報のユーザの利益をほぼバランスさせた、と信じる。」H.R. Rep. No. 105-551 (II), at 21; see also H.R. Rep. No. 105-551(I), at 11(「著作権者が進行中の侵害を防ぐ能力と共にこれらの協力を確保できることをこの改善策が確実にすることを強調している。)[10]。このバランスを取ることにおいて、議会は、著作権者がインターネット上で彼らの著作物を保護する能力を持たなければ彼らの作品をオンラインで利用可能としそうにないだろうという意見によって動かされた:
デジタル作品がコピーされ実質的に瞬時に世界規模で容易に配布できるために、著作権者は大規模な海賊行為に対する保護の合理的な保証なしに彼らの作品をインターネット上に快く利用可能とするのをためらっている・・・[この立法は]インターネットを通じてアメリカの創作的な才能の果実である映画、音楽、ソフトウェア、及び文学作品を急速にかつ便利に利用可能とすることを促進するだろう。
S. Rep. No. 105-190, at 8.

 また、議会はインターネットは著作権侵害の前代未聞の機会を作り出していることを認識し、インターネットを巡る技術的発展に照らして著作権者に対して援助を提供することを追求した:
著作権法は、1900年代のプレイヤーピアノロールで演奏される音楽から1980年代のVTRまで、長年に渡り新興の技術に遅れを取らないように努力してきた。この技術の絶え間ない発展と共に、デジタルネットワークを著作権で保護された素材を流布し利用する安全な場所とするために法は適応されなければならない・・・DMCAのタイトルIIは侵害する可能性のある素材をネットワークに送信するサービスプロバイダが直面する責任をはっきりさせる。すなわち、タイトルIIは、インターネットの有効性が向上し続け、インターネット上のサービスの多様性及び質が増大することを確実にする。
S. Rep. No. 105-190, at 1-2.  Leahy上院議員が説明するように、「DMCAは我々の時代は著作権保護に対する前代未聞の挑戦の時代である・・・この法案はデジタル時代の創作者、消費者及び商業のニーズを耳に入れ、次の世紀においても申し分のないよくバランスのとれた一まとめの法案である。」Id. at 68.

 議会は、著作権泥棒が容易に実質的に瞬時にでき、かつ探知できないようにしているインターネット上の急速な技術的イノベーションのなかで、著作権者が創造的な投資対象を保護する能力に関心があった。それゆえ、DMCAのサブセクション(a)〜(d)でサービスプロバイダに与える責任の保護と引き替えに、議会は、サービスプロバイダのシステムを使う侵害者を著作権者が特定するのをサービスプロバイダが助けるように要求することをサブセクション(h)を通して求めたのである。もし、Verizonが論じるように、侵害物がそのシステムに蓄積されている場合にだけサービスプロバイダがそのような義務を負うのであれば、サブセクション(a)の範囲内であるサービスプロバイダ(DMCAによって扱われているものの大きな部分)は、本法の責任の保護を受けのに、それに対応する侵害者を特定する著作権者を助ける義務はないことになる。Verizonが引こうとしている線と議会がDMCAを通して達成しようとした目的との間に論理的なつながりは見いだせない。したがってVerizonの解釈は、議会がDMCAで打ち立てようとしたバランスを傷つけ、本法の目的及び経過に適合しない[11]。DMCAを作り出した妥協、交渉、又は裏取引すらも本裁判所が後知恵で批判することはしない;むしろ、本裁判所の役割は議会によって制定された条文を解釈することであり、DMCAの明確な文言及び構成がそれゆえ支配しなければならない。See Barnhart, 534 U.S. at 460-61.

 この判断を幾分複雑にしているのは本件における争点の裏に潜んだ二つの新しい技術的発展(ピア・ツー・ピア(P2P)ソフトウェア及び「ボット<bots>」(著作権者がインターネットをモニタし著作権で保護された素材の許諾されない配布を検知するためのソフトウェアツール))は1998年に議会によって「DMCAが制定された時には誰の目から見てもかすかな光でさえなかった」という事実である[12]。RIAAは、P2Pソフトウェアはインターネット著作権海賊行為を容易で即座にできるものとしたと論じるが、一方、Verizonは、「ボット」は侵害者の特定を求めるコンピュータによる本人情報開示命令であり、数千のボットがサービスプロバイダに押し寄せるだろうと反論する。議会がDMCAを制定するに当たってこれらの技術を予想することができようとできまいと、裁判所は将来の技術的発展に順応するために条文の中に新しい規定又は例外を読みとることはできない。特に著作権の分野では、連邦裁判所は議会の専門的技術及び憲法上の権限に従わなければならない。

 憲法は「著者及び発明者にそれぞれの著作及び発見に対して排他的権利を限られた期間保証することによって、科学及び有用な技芸の発達を奨励する」権限を議会に割り当てている。U.S. Const., art. I, § 8, cl. 8. 最高裁は著作権法の範囲及びニュアンスについて議会に長い間従ってきた、特に新しい技術について:
主要な技術的イノベーションが著作物のためのマーケットを変更するときに、経緯ばかりでなく、健全な政策も、我々の一貫した議会への尊敬を支えている。議会は憲法上の権限、及びこのような新しい技術によって必然的に複雑化された競い合う利害の様々な並び替えを完全に調整する制度上の能力を持っている。
Sony Corp. v. Universal City Studios, Inc., 464 U.S. 417, 431 (1984); see also Teleprompter Corp. v. CBS, Inc., 415 U.S. 394, 414 (1974)(「これらの関係の詳細な規制、及び[著作権の]分野における多くの敏感で重要の問題の究極の解決策は議会に任されなければならない。」); Fortnightly Corp. v. United States Television, Inc., 392 U.S. 390, 401 (1968)(「著作権、通信、及び独禁政策の様々に競い合う事柄を調整する[ための]・・・妥協的な判断」は裁判所は拒否する。我々はこの招きを辞退する。この仕事は議会のものである。」)。最近、最高裁は、著作権法に関して次のように繰り返し述べている:「我々は議会に実質上従う」、著作権問題に関して「我々は議会の決定及び政策の判断を後知恵で批判する自由を持っていない」、「著作権条項の目的を追求し何がベストかを決定するのは一般的に議会であり、裁判所ではない」。Eldred v. Ashcroft, No. 01-618, slip op. at 14, 17, 22 (S.Ct. Jan 15, 2003) (citing Sony Corp., 464 U.S. at 429, and Stewart v. Abend, 495 U.S. 207, 230 (1990)).

 これらの技術的進歩にもかかわらず、本裁判所はP2Pソフトウェア又は侵害物を探知するためにインターネットを歩き回ることができる「ボット」に取り組みサービスプロバイダと著作権者の間の競い合う利害の再配分を行おうとは思わない。最高裁が述べたように、「その仕事は議会のものである。」392 U.S. at 401. 今までのところ、議会はDMCAのテキスト、構造及び目的を通して述べている、それに基づき、本裁判所は、RIAAのVerizonに対する本人情報開示命令はサブセクション(h)に詳細に説明された要件を満たし、それゆえ有効であると結論する[13]

4.代案としての「John Doe」訴訟
 Verizonは、サブセクション(h)の本人情報開示命令権はサブセクション(c)に基づくサービスプロバイダに限定されるというDMCAの解釈に基づいて、著作権者は彼らの著作権を保護するための適切な手段を既に有していると主張する。Verizonは、DMCAのサブセクション(a)に基づいてサービスプロバイダのネットワークを介して侵害物を送信している著作権侵害者を特定する情報を得るために、RIAAは連邦裁判所において「John Doe」訴訟を起こすことができるという代案を提案する。Verizonに従うと、著作権者は無名の侵害者であるJohn Doeに対して訴状を提出し、その後、サードパーティの本人情報開示命令が交付され、連邦民事手続き規則45に従いサービスプロバイダに送達されるであろう。その時、サービスプロバイダはJohn Doe(ユーザ)に訴訟を伝えるであろう。このプロセスに基づいて、手続的にも実体的にも、ユーザの権利が保護されるであろう、そしてサービスプロバイダは本人情報開示命令を破棄することを求める機会を得るであろうとVerizonは力説する。

 Verizonの提案に対する簡単な答えは、DMCA又はその経緯の中には、明白な侵害者の本人情報を得るために連邦裁判所におけるJohn Doe訴訟を著作権者に利用可能とすることを議会が考慮したことを示すものは全く存在しないということである、それどころかそのニーズを処理するために議会は特にサブセクション(h)手続きを立案したのである。さらに、Verizonが認めるように、間違いなく、サービスプロバイダの負担は規則45のサードパーティ本人情報開示命令と比較してDMCAの本人情報開示命令の方が重いというのわけではないのである。

 しかし、裁判所においてそのようなJohn Doe訴訟を追及するための努力及び費用が必要となる著作権者の追加の負担は相当なものである。議会は、インターネットを介する著作権海賊行為の莫大な規模と、侵害及びその他の問題の立証不足についての争いに関連する増大する数の訴訟は、そのような訴訟を行おうとする著作権者の決断を鈍らせるだろうと強調した。重要なことには、裁判所に訴状を提出しサードパーティ本人情報開示命令を求めるための時間及び遅れは更なる著作権侵害を迅速の防ぐための著作権者の能力を低下させるであろう。それはDMCAを通じて「速やかな」サブセクション(h)に基づく本人情報開示命令の交付及びそれへの応答を命じる議会の意図と合致しない。さらに、Verizonは、そのような多数の訴訟から連邦裁判所が負う負担を全く見過ごしている。連邦裁判所は著作権侵害について専属管轄を有しており、インターネット著作権海賊行為の広がりを考慮すると著作権侵害者の本人情報を捜すJohn Doe訴訟で溢れかえるであろう。See NBC, Inc. v. Copyright Royalty Tribunal, 848 F.2d 1289, 1295 (D.C. Cir. 1988) (連邦裁判所は・・・侵害訴訟のような著作権法『に基づいて起こる』訴訟について専属管轄を有している」)。疑いもなく、時折のDMCA本人情報開示命令の強制と比較して、Verizonが考える(サードパーティ係争を伴う)John Doe訴訟はより複雑であり、より時間を使うであろう。

 John Doe訴訟はより負担となり、より時間がかかるばかりでなく、いくつかの重要な面で、512条(h)手続きよりもサービスプロバイダ及びインターネットユーザの権利の保護が劣っている。DMCAは、著作権者が侵害者を特定するためにサービスプロバイダから情報を得る前に、著作権者にサブセクション(h)に基づくいくつかの必要事項を満たすことを命じる。これらの保護は、著作権侵害の合理的な証明なしには、サービスプロバイダはユーザの本人情報の開示を強制されないことを確実にする。サブセクション(h)の本人情報開示命令を得るために、著作権者は、「苦情を述べている使用が著作権者、その代理人、又は法によって許諾されていないことを誠実に確信」(§ 512(c)(3)(A)(v))しなければならず、そして、「通知の中の情報は正確であり、かつ違反すれば偽証罪となる条件の下でのものである旨、苦情を述べている者が著作権者を代表して行動する権限が与えられている旨の陳述」(§ 512(c)(3)(A)(vi))を提出しなければならない。さらに、議会は著作権者に次のものを提出するよう要求する。
本人情報開示命令は侵害したとされる者の本人情報を得るためだけのものでありその情報は本タイトルに基づく権利を保護するためにのみ使用されることを保証する宣誓供述書。
17 U.S.C. § 512(h)(2)(c). これらの必要事項は過度に攻撃的な著作権者や不当な本人情報開示命令に対してサービスプロバイダとそのユーザに十分な保護を提供している。実際、それらは、不当な本人情報開示命令の交付に対して、John Doe訴訟よりも、より高い閾値の保護を提供している。そして、もちろん、DMCAの中に、サービスプロバイダがサブセクション(h)の本人情報開示命令に従わない又は他の異議申し立てを行うことを排除するものは何もない。See, e.g., ALS Scan, Inc. v. RemarQ Communities, Inc., 239 F.3d 619 (4th Cir. 2001)(DMCAに従わない本人情報開示命令に対するサービスプロバイダの抵抗を扱う事件)[14]

 DMCA本人情報開示命令手続きに組み込まれたこれらの様々な保護を考慮し[15]、本裁判所は、John Doe訴訟が適切な代替救済策であるというVerizonの提案は納得させるものではないと結論する。議会がそのような結果を意図したことを示すものはDMCAの中には全くない。そのような訴訟は実行不能であり、遙かに遅く、著作権者にとって不経済であり、連邦裁判所にとって極めて負担になる。いくつかのサービスプロバイダは速やかなサブセクション(h)の本人情報開示命令の方を向くDMCAに従い、一方、他のサービスプロバイダはJohn Doe訴訟のより遅く、より扱いにくい手続きを通して侵害者を特定する情報を提供しなければならないと、議会が考えるはずはないと本裁判所は見る。実際、Verizonの提案は、サブセクション(h)に基づく本人情報開示命令は(サブセクション(c)のサービスプロバイダに限られるなら)サブセクション(c)の状況が存在するかどうかに関する複雑な事実問題で遅延させられるだろう、一方、全ての他のサービスプロバイダへの本人情報開示命令はより負担となり、より遅いJohn Doe訴訟に従うことになる、ことを意味している。そのような扱いにくい2重構造は「速やかな」サブセクション(h)の本人情報開示命令と明らかに調和せず、明らかな侵害者の本人情報を捜し著作権を保護することを著作権者に思いとどまらせる重大なリスクとなるであろう[16]。そのような結果はDMCAのテキスト、構造及び経緯から証明された議会の意図と正反対であろう。

5.DMCAと憲法
 サブセクション(h)に対してかなりの数の憲法上の異議が法廷助言者らによって特定された。しかし、Verizonは、サブセクション(h)の本人情報開示命令が、サブセクション(a)に基づく(Verizonのような)サービスプロバイダに適用される場合、憲法に違反するとは主張していない;その代わり、Verizonは、それが「かなりの問題を提起する」と述べているだけである[17]。したがって、RIAAはVerizonを支持する法廷助言者らによって提起された憲法上の問題に対して完全な書面を提出していない。ゆえに、これらの問題について当事者らに十分に主張を展開させることに本裁判所の益はない。

 当事者らによって提起されない限り、裁判所は通常は法廷助言者によってのみ主張された制定法又は憲法上の異議を受け入れるべきではない。See, e.g., A.D. Bedell Wholesale Co. v. Phillip Morris Inc., 263 F.3d 239, 266 (3rd Cir. 2001)(「Cato Institute(原告の法廷助言者)が憲法上の主張を論じるが、法廷助言者によって提起された新しい争点は特別な事情が存在しない裁判所には適切でない。」)(quoting General Eng'g Corp. v. Virgin Islands Water and Power Auth., 805 F.2d 88, 92 (3rd Cir. 1986)). 実際、DMCAを解釈する上で、第2巡回区控訴裁は
法廷助言者によって完全に調査された被告は脚注で簡単に述べた憲法上の異議を考慮することを拒絶した。See Universal City Studios, Inc. v. Corley, 273 F.3d 429 (2nd Cir. 2001). 「適切に熟した記録」がなく、被告は事実上憲法上の異議を放棄したと裁判所は認定した:「当事者らによって適切に提出された争点を念入りに仕上げるために法廷助言者の書面が役には立つが、・・・少なくとも当事者らが弁護士によって代理され〔裁判を行う〕能力がある事件においては、・・・それは新しい争点を導入するための方法ではない。Id. at 445. 本件において、VerizonはDMCAに対してはっきりとした憲法上の異議を提起していないから、本裁判所はこのような問題の審理には慎重である[18]

 本裁判所が本件において憲法上の異議を審理したとしても、サービスプロバイダ又はそのユーザが直面する憲法上の問題はDMCAのVerizonの解釈に基づいたものである。裁判所の権限及びユーザの匿名性はサブセクション(c)でもサブセクション(a)でも同様な争点である、そして、修正1条の利益(ユーザの本人情報)はたとえどのサブセクションが関係しても同じである。

 また、修正1条が著作権侵害を保護しないことも明らかである。See Harper & Row, Publs., Inc. v. Nation Enters., 471 U.S. 539, 555-60 (1985); Zacchini v. Scripps-Howard, 433 U.S. 562, 574-78 (1977). さらに、最高裁は最近Eldred v. Ashcroft事件で、著作権条項及び修正1条の近さが、「著作権の制限された独占は言論の自由の原理と両立できる」
という「Framersの見解」と、「著作権は修正1条の理想を「表現の自由のエンジン」として促進するために役に立つことをはっきりと示していることを確認した。Slip op. at 28-29 (quoting Harper & Row, 471 U.S. at 558). 最高裁は、(他の者の言論を使用する主張された権利に関連した修正1条問題を「扱うのに一般に適切である」と最高裁が認定した)「フェアユース」と、アイディアと表現の区別、を含む著作権法の中に「組み込まれた修正1条適応」を強調する。Id. at 29, 31; see Nihon Keizai Shimbun, Inc. v. Comline Bus. Data, Inc., 166 F.3d 65, 74 (2d Cir.1999)(「修正1条問題はフェアユースによって保護され同じ広がりを持っているという理由で、著作権侵害による差し止めに対する修正1条の異議を我々は繰り返し拒絶してきた。)本件においては、もちろん、様々な保護がサブセクション(h)に組み込まれた、そして上で検討された様々な保護が、さらに修正1条問題を引き起こさないように警戒している。

 また、本件はインターネットユーザの匿名性が言論の自由とプライバシーの保護に値する例でもない。確かに、最高裁は、いくつかの状況において、修正1条が発言者の匿名性を守ることを認めてきた。See, e.g., Watchtower Bible & Tract Society of New York, Inc. v. Village of Stratton, 122 S.Ct. 2080, 2090 (2002)(パンフレットの著者に名前を開示すことを要求する地方自治体の条例は修正1条に根ざす「匿名の利益」に関係する); Buckley v. Am. Constitutional Law Foun., Inc., 525 U.S. 182 (1999)(請願者に身分証明書を身に付けさせる州の要求は請願者の匿名性を侵害するから修正1条に違反する); McIntyre v. Ohio Elections Comm., 514 U.S. 334 (1995)(匿名で発言する権利は「権利章典とりわけ修正1条[訳2]の背後にある目的の適例である」)。連邦の複数の下級審は、修正1条はインターネット上の個人の匿名性を保護し得ることを明確に認めた。See, e.g., Doe v. 2TheMart.com, Inc., 140 F. Supp.2d at 1097(「匿名で発言する権利を含むインターネットユーザの憲法上の権利は注意深く保護されなければならない」); ACLU v. Johnson, 4 F. Supp.2d 1029, 1033 (D. N.M. 1998), aff'd, 194 F.3d 1149 (10th Cir. 1999)(インターネットを介して匿名で通信する修正1条の権利を支持している); ACLU of Georgia v. Miller, 977 F. Supp. 1228, 1230 (N.D. Ga. 1997)(インターネット上で匿名でペンネームを用いて通信する憲法上の権利を承認している)。インターネットとワールドワイドウェブは思想の表現のための前代未聞の電子メガホンと全国的いやそれどころか国際的な表現のための町の広場の前例のない機会を提供する。See, e.g., Reno v. ACLU, 521 U.S. 844, 853 (1997)(「チャットルームの使用を通して、電話線で誰でもどんな演台からよりも遠くに響き渡る声を持った町のふれ役になることができる。」)。

 しかし、Verizonも法廷助言者らも、インターネットから無許可の600曲以上の匿名のダウンロードが修正1条に基づき保護された表現であるとは述べていない[19]。もちろん、本件は、レーニン、聖書、教材、又は政府批判の言論を頒布するために、すなわち修正1条の権利の主張をもっともらしく行える状況において、Verizonのユーザが匿名でインターネットを使っているケースではない。最高裁がWatchtower Bible & Tract Society事件で説示したように、匿名の表現を保護する目的は「匿名で主義を支持する」者、及び「経済的又は公的な制裁」、「社会的追放」、又は「プライバシー」への不必要な侵入「を恐れる」者を保護するためである。122 S.Ct. at 2089.  RIAAが主張する素材はよく知られたアーティストによる600曲以上の著作権で保護された録音を含む侵害されたものである。RIAAは、著作権者はそのような使用を許諾していないこと;さらに、これらの著作権で保護された素材がKaZaAのピア・ツー・ピア・ソフトウェアを介してシェアされている事実は著作権が侵害されているという確信を強化するだけであることを証明した。これらの録音をダウンロード又は送信することが保護された表現であることを示す証拠又は示唆さえも記録上に存在しない[20]

 興味深いことには、侵害とされる者について情報を得ることを求める著作権者はJohn Doe 訴訟を使うべきであるというVerizonの主張は、DMCA本人情報開示命令手続きはインターネットユーザの匿名の権利を侵害するという論点を削ぎ落とす。修正1条問題は、もしあるとしても、どちらの訴訟の状況でも同じであり、ユーザはどちらの本人情報開示命令に対してもその権利と異議を主張することができるであろう[21]。このゆえに、もしJohn Doe訴訟代替案が修正1条問題を提起しないなら、サブセクション(h)の本人情報開示命令手続きも同様に修正1条問題を提起しない。

 しかしながら、本裁判所は、Verizon及び何人かの法廷助言者によって特定された憲法上の問題について決定しない。Verizonによる明確な異議と両当事者による完全な書面と熟することなしに、そうすることは適当ではない。しかし、憲法問題がDMCAに基づき利用可能な本人情報開示命令手続きのなかに明確で致命的な憲法上の瑕疵を明らかにしていないことは確実である[22]

結     論

 デジタルミレニアム著作権法のテキスト及び構造に基づき、本法の目的及び経過によって確証されるように、本裁判所は、512条(h)の本人情報開示命令権はVerizon及び他のサブセクション(a)のサービスプロバイダを含む本法の範囲内の全てのサービスプロバイダに適用されると結論する。DMCAのような著作権の立法については、「議会の決定の英知は・・・後知恵で批判する[裁判所の]職権の範囲内ではない。」 Eldred v. Ashcroft, slip op. at 32. したがって、本裁判所は、RIAAによる本人情報開示命令の強制の申し立てを認容し、Verizonが本人情報開示命令に従うことを命令する。別の命令が本日発せられる。
 2003年1月21日署名


/s/   John D. Bates          
 
JOHN D. BATES            
 
合衆国地裁裁判官          

副本送達:
Donald B. Verrilli, Jr.
Thomas Perrelli
12th Floor
Jenner & Block
601 13th Street, NW
Washington, DC 20005
Recording Industry
Association of America

Jonathan Whitehead
Recording Industry
Association of America
Suite 300
1330 Connecticut Avenue, NW
Washington, DC 20036

Eric Holder
Timothy C. Hester
Covington & Burling
1201 Pennsylvania Avenue, NW
Washington, DC 20004
Verizon Internet Services

Paul Benedict Gaffney
Edward Bennett Williams Building
Williams & Connolly
725 12th Street, NW
Washington, DC 20005
Motion Picture Association
of America

Kathryn Schaefer Zecca
Suite 411
Robbins, Russell, Englert,
Orseck & Untereiner
1801 K Street, NW
Washington, DC 20006
U.S. Internet Industry Association

Megan Gray
Gray Matters
Suite 6
1928 Calvert Street, NW
Washington, DC 20009
Eff & Samuelson Law,
Technology & Public Policy
Clinic at Boalt Hall

Joe Caldwell, Jr.
Baker Botts, LLP
The Warner Building
1299 Pennsylvania Avenue, NW
Washington, DC 20004
Electronic Privacy Information Center


脚注
(1)RIAAは音及び音楽レコードの産業商業協会であり、そのメンバは合衆国内で販売される全ての音楽の圧倒的多数を創作し配布している。RIAAはそのメンバの著作権をエンフォースする権限を与えられている。

(2)サブセクション(b)は「システムキャッシング」をカバーしており、プロバイダのシステム又はネットワーク上に侵害とされる素材の一時的な蓄積である、一方、サブセクション(d)は「情報位置特定手段」に関係しており、「ディレクトリ、インデックス、参照、ポインタ、[ ]ハイパーリンク」又はその他の情報位置特定手段を使用して侵害している素材を有するオンラインの位置にユーザを参照させ又はリンクする。Id. §§ 512(b) & (d).

(3)このゆえに、RIAAは、本件においてVerizonがサブセクション(a)に入るのか(c)に入るかは本人情報開示命令の強制の目的のためには問題とならないと提案する;RIAAは
どちらにしても本人情報開示命令は有効であると主張する。

(4)DMCAの立法経緯は、サブセクション(k)の定義文言の解釈と適合する。上院のレポートは、「サブセクション(j)(1)(b)で規定される『サービスプロバイダ』の第2の定義は512条のいかなる他のサブセクションにおいて使用される用語にも適用される」と説明している。S. Rep. No. 105-190, at 54(サブセクション(j)(1)(b)は最終的にサブセクション(k)(1)(B)になった)。「この定義は、例えば、インターネットアクセス、eメール、チャットルーム及びウェブページホスティングサービスのようなサービスを含む、」そして「この定義はまたサービスプロバイダの第1の定義に入るいかなる事業者も明確に含む。」Id. at 54-55. See also H.R. Rep. No. 105-551 (II), at 64 (1998)(『サービスプロバイダ』の定義は、例えば、「インターネットアクセス、eメール、などを提供しているようなサービスプロバイダを含む」。」)。

(5)またVerizonは、サブセクション(c)(3)(A)(iii)に基づき著作権者は、「取り除かれる又はアクセス不能にされるべき」侵害する素材を特定しなければならないことを指摘する。
Verizonは、その素材を取り除く又はアクセス不能にするためには、それがそのシステム上に蓄積されていなければならない−−これは議会がサブセクション(h)をこれらのシステム上に侵害している素材を蓄積するサービスプロバイダだけに適用することを意図したしるしであると論じる。本裁判所はこれに説得されない。第一に、サブセクション(h)に従い交付される本人情報開示命令は侵害者を特定するために利用されるのであり、サービスプロバイダにそれを取り除く又はアクセス不能にすることを強制するために利用されるものではない。通知の要求するものは、取り除かれるべき侵害する素材を特定するだけであり、削除がなされることではない。加えて、もし素材へのアクセスを不能にすることができれば、著作権者はサブセクション(c)(3)(A)(iii)に基づく要件を満たすことができる。ここで、Verizonはアカウントを完全に終了させることによってその素材にアクセスするのを不能とすることができることは確かである。Verizonは、著作権侵害のためのネットワークの使用は厳しく禁止され、終了を含む様々な制裁を招くことがあることを、サービスの条件の中でユーザに対して明らかにすることができる。実際、DMCAは、サービスプロバイダが、様々なセーフハーバー保護を得るためには、「侵害し続けるユーザ及びアカウント保有者に対して終了が適切な状況においては終了する旨規定するポリシー」を実施することを求めている。 17 U.S.C. § 512(i)(1)(A).  Verizonは、サービスの終了は余りに厳しく、他の家族メンバがインターネットサービスを受けるのを妨げてしまうかもしれないと反論する。しかしまた、求めるものは侵害物の特定だけであり、実際の削除又はアクセス拒否ではない。さらに、家族メンバが他のアカウントを開くことを妨げるものはない。とにかく、サービスプロバイダがその素材へのアクセスを不能とすることができるか、あるいはその意図があるかどうかは関係ない。See id. § 512(h)(5)(「サービスプロバイダは、サービスプロバイダがその通知に応答するかどうかにかかわらず、・・・著作権者に・・・本人情報開示命令によって要求される情報を速やかに開示する。)。

(6)おそらく、サブセクション(c)のサービスプロバイダよりもサブセクション(a)のサービスプロバイダの方が侵害の発生が多いかもしれないから、サービスプロバイダの全体の負担はサブセクション(a)に関連する本人情報開示命令からの方が重いかもしれない。しかし、サブセクション(h)に基づく本人情報開示命令に従う代わりに、サービスプロバイダは、ユーザによるあらゆる著作権侵害(直接又は代位)の責任に対して保護を受ける。このゆえに、あらゆる追加的な負担はその保護によって相殺される、もちろん、それがまさにDMCAの構造に反映されたもくろみである。

(7)侵害者を特定する情報を受領するのが遅れることにより生じる問題は法廷助言者アメリカ映画協会によって強調された。もし、Warner Brothersが最新のWarner Brothersの封切り映画をインターネット上でばらまく侵害とされる者を特定する情報を本人情報開示命令で求める場合、その映画がサービスプロバイダのシステム上に蓄積されていることを最初に立証する必要があるとすれば、その映画はその間に世界中に頒布され、劇的に著作権の価値を減少させるであろう。

(8)Verizonは、この結果として起こる抜け穴の存在を認識している。サブセクション(h)がサブセクション(a)に適用される場合のサービスプロバイダの負担を述べる時に、Verizonはサブセクション(a)のサービスプロバイダで遙かに多くの侵害が起こっていることを口頭で認めた:「サブセクション(a)に基づき、遙かに多くの数の使用があります、例えば、eメールはサブセクション(a)の一部です。インターネット全体は潜在的にサブセクション(a)の中に入ります。」Tr. of Hearing (Oct. 4, 2002) at p. 61. 実際、DMCAに関連しない規定を解釈する時に一つの地裁は、「知的財産の海賊行為は蔓延した程度までに達している。」と認識した。United States v. Elcom Ltd., 203 F. Supp.2d 1111, 1132 (N.D. Cal. 2002).

(9)DMCAの条文の文言が明確である限り、「DMCAの立法経過は先例による条文解釈がほとんどない中でその意味の肉付きをよくする上で役に立ち得る。」Costar Group, Inc. v. Loopnet, Inc., 164 F. Supp.2d 688, 700 (D. Md. 2001).

(10)「DMCAは、著作物を保護するためのコンテンツプロバイダの努力を促進するために立案されたものであり、条文の要件に従う限り、[プロバイダを]責任から隔離することによって、[サービスプロバイダ]の責任に影響を与える。」A. Yen, Internet Service Provider Liability for Subscriber Copyright Infringement, Enterprise Liability, and the First Amendment, 99 Geo.L.J. 1833, 1881 (2000).

(11)このバランスを取るためにサービスプロバイダからの相当な意見の提供が取り入れられている。実際、AOL、その他を含む大規模なサービスプロバイダが立法においてこれらのトレードオフの交渉に大きく関与している。「例えばタイトルIIは主要な著作権者及び主要なOSP及び[インターネットサービスプロバイダ]との間でHatch委員長がAshcroft上院議員の助力を受け指揮した3ヶ月の交渉の結果が反映されている。」S. Rep. No. 105-190, at 9.

(12)Br. of Amicus Curiae Alliance for Public Technology, et al., at p. 6.

(13)Verizonは、サブセクション(c)(3)(A)又は(h)(2)に基づく通知の必要事項を満たしていないことを根拠に、
RIAAのVerizonへの本人情報開示命令に異議を申し立てていない。RIAAは(c)(3)(A)に記載された通知を提出した、それには、侵害された著作権を有する作品の特定、その作品の使用は許諾されていないことを誠実に確信する旨の陳述、本人情報開示命令の目的は侵害したとされる者の本人情報を得るためのものでありその情報は著作権を保護するためにのみ使用される旨の宣誓供述書が含まれている。

(14)またDMCAは、本法に基づき虚偽表示の抑止力を提供する、すなわち、意図的な虚偽表示に基づいて本人情報開示命令を求める者に対してそれが高くつくようにし、それにより更に本人情報開示命令が著作権侵害の誠実な主張の状況でのみ使用されることを確実にしている。本法のサブセクション(h)は次のように規定する:
虚偽表示 − 本条に基づき(1)素材若しくは行為が侵害している、又は(2)素材若しくは行為が誤って若しくは誤認して取り除かれ若しくは不能とされたと故意に実質的に偽った者は、・・・主張された侵害者・・・又はそのような虚偽表示に依存してサービスプロバイダが侵害とされる素材若しくは行為を取り除く若しくはアクセス不能にした結果、そのような虚偽表示によって被害を受けたサービスプロバイダ・・・が受けた損害及び弁護士費用を含むあらゆる損害賠償の責任を負う・・・。
17 U.S.C. § 512(f).

(15)実際、512条(h)の本人情報開示命令を得るための要件は、他の裁判所がインターネット上の匿名のメッセージを特定するためにサービスプロバイダに本人情報開示命令を課す手続き上の要件と正確に同じタイプのものである。See Doe v. 2TheMart.com. Inc., 140 F. Supp.2d 1088, 1095 (W.D. Wash. 2001)(匿名の非当事者を特定するためにサービスプロバイダに対して本人情報開示命令を求める当事者は「誠実に」本人情報開示命令を求めること及び求める特定する情報は主張の核心に直接的かつ実質的に関連しており、かついかなる他のソースからも入手できないことを証明しなければならない); see also Columbia Ins. Co. v. Seescandy.com, 185 F.R.D. 573, 578-79 (N.D. Cal. 1999).

(16)本裁判所がVerizonの弁護士に、John Doe訴訟は費用がかかり著作権者を「追い払って」しまうかどうかを聞いたときに、彼は、その保護と「John Doe訴訟の下でなされなければならない遠回り」が与えられるとすれば、「その可能性があります」と答えた<When the Court asked Verizon's counsel whether John Doe actions might be so expensive that they would "scare off" copyright owners, he responded that "[t]here is that possibility" given the protections and "hoops that have to be gone through under the John Doe suits.">。Tr. of Hearing (Oct. 4, 2002) at p. 62.

(17)Verizonは憲法問題に二つのセンテンスと一つの脚注を充てただけであり、サブセクション(h)の本人情報開示命令権は、もし広く解釈されると、実質的に第III編(司法権)及び修正1条(匿名の言論を行う自由)の問題を提起すると主張している。See Verizon Opp. at p. 4.

(18)RIAA及びVerizonは、Verizonはユーザによって主張された修正1条又は他の憲法上の利益に基づき本人情報開示命令に異議を提出する立場にないことを認めた。本裁判所は本件においてこの問題を扱う必要はない。

(19)さらに、RIAAは、侵害とされる者は正しくは匿名ではなく、Verizonは本人情報を知っていると強調する。

(20)第9巡回区控訴裁は、いかなる修正1条違反も認定することなく、被告にファイル送信サービスを不能にしそのサービスを閉鎖するように命令する差し止めを2回支持した。See A&M Records, Inc. v. Napster, Inc., 284 F.3d 1091 (9th Cir. 2001); A&M Records, Inc. v. Napster, Inc., 239 F.3d 1004, 1028 (9th Cir.2001)(「著作権における修正1条問題はフェアユースの存在によって軽減されており」、「フェアユースでない著作物の使用は当然に禁じられる」)。しかし、本裁判所は本件において使用されたピア・ツー・ピア・ソフトウェアを禁じることを求められてはいない;KaZaAに対する訴訟は国を横断して他の複数の裁判所で進行している。本件における問題の全ては、Verizonのシステムを使用している明白な侵害者の本人情報と、DMCAがその限られた情報を
Verizonに提示することを求めているかどうかである。

(21)また法廷助言者らはサブセクション(h)の本人情報開示命令に対して、憲法第III編に基づき本人情報開示命令を公布するための管轄権を与えるためには本裁判所における一つの「事件又は争訟」でなければならないと異議を申し立てる。再び、Verizonは
、DMCAの解釈に関係した「政策的考慮」に言及しただけであり、DMCAに対する第III編の異議を提起していないことを明らかにした、そして、当事者らによるこの問題に関する書面は存在しない。See Tr. of Hearing (Oct. 4, 2002) at p. 61. もちろん、DMCAはサブセクション(h)(6)の中に、本人情報開示命令の公布及び強制は、「文書提出命令の交付、送達、及び強制を律する連邦民事手続規則の規定によって実行可能な最大限の範囲で律せられる」ことを要求する規定を含んでいる。この保護により、本人情報開示命令を送達されたサービスプロバイダは、Fed.R.Civ.P. 45(文書提出命令の強制及び文書提出命令を無効にする規則を具体的に扱っている)を含む連邦規則に頼ることができる。

(22)間違いなく、Verizonによる修正1条の異議は申し立てというよりも表面上のものであろう、それゆえ、匿名ユーザの本人情報の提出を求めることによりDMCAが修正1条を犯していることが
実際上の申し立て毎に証明されなければならないであろう。See United States v. Salerno, 481 U.S. 739, 745 (1987). これはVerizonにとって重い立証責任である。


訳注
(訳1)米国著作権法512条について
 1998年デジタルミレニアム著作権法で米国著作権法が改正され500条以降が追加された。そのうちの512条は「オンラインの素材に関する責任の制限」と題する条文であり、サービスプロバイダがこの条文の規定を満足すれば、ユーザの著作権侵害について責任を負わないことを規定している。この条文ではサービスプロバイダを広義に定義しており、サブセクション(a)〜(d)の4つのカテゴリーに分類し、それぞれについて免責される要件を規定している。
(a)通過的デジタル・ネットワーク通信
 IAP(インターネットアクセスプロバイダ)のことであり、インターネット接続を提供するだけのプロバイダである。被告Verizonはこのカテゴリーのプロバイダである。

(b)システム・キャッシング
 あるユーザがあるurlをアクセスした時に、プロバイダがこのデータを一時的に記憶(キャッシング)しておき、他のユーザが同じurlをアクセスするときにはその記憶されているデータをそのユーザに送信することによって、インターネット全体のトラフィックを減少させることができる。(b)はこのキャッシングを行っているプロバイダである。サブセクション(c)(3)の著作権侵害を主張する通知を受けた場合、速やかに取り除くかアクセス不能にする必要がある。

(c) ユーザの指示でシステム又はネットワークに存在する情報

 ユーザが利用できるサーバ領域を提供しているプロバイダである。ユーザがそのサーバ領域にデータをアップロードすると、そのデータがインターネットに公開される。このカテゴリーのプロバイダの場合は、(c)(3)の著作権侵害を主張する通知の窓口となる担当者を定め、その通知を受けた場合は、速やかに侵害物を取り除くかアクセス不能にする必要がある。その通知の要素がサブセクション(c)(3)(A)に次のように規定されている。
(3) 通知の要素
(A) 本サブセクションに基づき有効であるためには、著作権侵害を主張する通知は、サービスプロバイダの担当者に提供される実質的に以下を含む書面の通知でなければならない:
(i) [著作権]者を代表して行動する権限を与えられた者の物理的又は電子的サイン。

(ii) 侵害されたと主張する著作物の特定、又は、一つのオンラインサイトの多数の著作権で保護された作品が一つの通知によってカバーされるときは、そのサイトのそのような作品を表すリスト。

(iii) 侵害している、又は侵害行為の対象であると主張し、取り除かれる又はアクセス不能にされるべき素材の特定、と主張する侵害物の特定、及びプロバイダがその素材の位置を突き止めることができる合理的で十分な情報。


(iv) プロバイダが苦情を述べている者にコンタクトを取るための合理的で十分な情報、及び、もし可能なら、苦情を述べている者にコンタクトを取ることができる電子メールアドレス。


(v) 苦情を述べている素材の使用が著作権者、その代理人、又は法によって許諾されていないことを苦情を述べている者が誠実に確信する旨の陳述。


(vi) 通知の中の情報は正確であり、かつ違反すれば偽証罪となる条件の下でのものである旨、苦情を述べている者が著作権者を代表して行動する権限が与えられている旨の陳述。
(d)情報位置指定手段
 他のurlに対するリンク等を行っているプロバイダであり、リンク先に著作権侵害物があるときに問題となる。サブセクション(c)(3)の著作権侵害主張の通知を受けた場合は速やかに侵害物を取り除くかアクセス不能にする必要がある。
 なお、Napster事件において、Napsterはサブセクション(d)のサービスプロバイダに該当するからユーザの著作権侵害に対して免責される旨主張したが、控訴裁は、
原告らはこの法律において、(1)Napsterは著作権法512条(d)項によって定義されたインターネット・サービスプロバイダであるかどうか;(2)著作権者がサービスプロバイダにそのシステム上の侵害行為を知らせるために侵害行為の「公式な」通知をしなければならないかどうか;及び(3)詳細な著作権応諾ポリシーを適時に打ち立てることをサービスプロバイダに要求している512条にNapsterが従っているかどうか:を含む重大な問題を提起し、提起しつづけている。」として、Napsterの主張を退けている。

(h)侵害者を特定するための本人情報開示命令

 これが本判決の「本人情報開示命令」<subpoena>である。「subpoena」は辞書を引くと「召喚令状」(証人を呼び出すための令状)と記載されており、ニュースサイトでもこの訳語が使われることが多い。一方、山本隆司氏・増田雅子氏(下記参考文献3参照)の翻訳では「文書提出命令」と訳されている。この判決の翻訳では内容からみて、「本人情報開示命令」と翻訳した。この命令の交付を受けたい者は次に示す(h)(2)に規定された請求内容を連邦地裁の書記官に提出する。
(2) 請求の内容
(A) サブセクション(c)(3)(A)に記載する通知のコピー
(B) 本人情報開示命令案
(C) 本人情報開示命令を求める目的は侵害したとされる者の本人情報を得るためのものでありその情報は本法に基づく権利を保護するためにのみ使用される旨の宣誓供述書。
(k)定義
(1)サービス・プロバイダ
(A) サブセクション(a)において、用語「サービスプロバイダ」は、ユーザによって特定される複数の地点間で、ユーザが選択する素材を、送信又は受信される時に素材の内容を修正することなく、送信し、転送し、又はデジタルオンライン通信への接続を提供する事業者を意味する。

(B) サブセクション(a)を除き、本条において、用語「サービスプロバイダ」はオンラインサービス又はネットワークのプロバイダ又はそれのための設備の運営者を意味し、サブパラグラフ(A)に記載された事業者を含む。
(訳2)権利章典とは、「合衆国憲法の最初の10カ条の修正(1791年)を包括する名称で、合衆国市民の基本的権利たる信教・言論・出版・集会の自由と請願権、不合理な捜索と押収の禁止、自己負罪拒否特権、法の適正過程の保障、迅速な陪審裁判の保障、過大な保釈金および残酷で異常な刑罰の禁止等を保障している」(代表編集田中英夫、「英米法辞典」、(財)東京大学出版会、システムソフト電子辞典シリーズ)。また、合衆国憲法修正1条は、「議会は、国教を定め若しくはその自由な活動を禁じ、又は言論の自由若しくは出版の自由を制限し、又は人々が平和的に集会する権利及び苦痛の救済について政府に請願する権利を制限する法律を制定してはならない。」と規定している。


参考文献
参考文献1 本判決の原文、コロンビア地区合衆国地方裁判所、
 <http://www.dcd.uscourts.gov/02-ms-323.pdf> 

参考文献2 17 U.S.C. § 512(米国著作権法512条原文)、Legal Information Institute, Conell Law School、
 <http://www4.law.cornell.edu/uscode/17/512.html

参考文献3 山本隆司・増田雅子共訳、「外国著作権法令集、アメリカ編」、2000.7、(社)著作権情報センター、
 <http://www.cric.or.jp/gaikoku/america/america.html
 米国著作権法512条訳文
 <http://www.cric.or.jp/gaikoku/america/america_c5.html#512

   

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