翻訳 井上雅夫 2001.02.14-03.24, 05.07.12 控訴裁 地裁 ナップスター事件とファイルローグ事件の比較   ↑UP 


Napster ピア・ツー・ピア事件判決

   目    次
控訴審判決(2001.02.12)
 I 〔バックグラウンド〕
 II 〔判断基準〕
 III 〔ユーザーの直接侵害〕
 IV 〔寄与侵害〕
 V 〔代位責任〕
 VI 〔抗弁〕
 VII 〔積極的抗弁〕
 VIII 〔差止の範囲〕
 IX 〔補償金・ロイヤリティ〕
 X 〔結論〕
 弁護士目録
 脚注
 訳注
 
地裁差戻審仮差止命令(2001.03.05)
 
 

Napster ピア・ツー・ピア事件 控訴審判決

第9巡回区合衆国控訴裁判所

No. 00-16401
地裁 No. CV-99-05183-MHP

 原告−被控訴人 A&M RECORDS, INC., a corporation; GEFFEN RECORDS, INC., a corporation; INTERSCOPE RECORDS; SONY MUSIC ENTERTAINMENT, INC.; MCA RECORDS, INC.; ATLANTIC RECORDING CORP.; ISLAND RECORDS, INC.; MOTOWN RECORD CO.; CAPITOL RECORDS, INC.
 被告−控訴人 NAPSTER, INC.

No. 00-16403
地裁 No. CV-00-00074-MHP

 原告−被控訴人 JERRY LEIBER、個人として及びJERRY LEIBER MUSICのビジネスとして; MIKE STOLLER 及び FRANK MUSIC CORP.、彼ら自身のために及び同様な立場にある他の者のために
 被告−控訴人 NAPSTER, INC.

意       見

カリフォルニア北部地区合衆国地裁(Marilyn Hall Patel首席地裁裁判官)からの控訴
2000.10.02口頭弁論及び提出
San Francisco, California
2001.02.12判決登録
SCHROEDER首席裁判官、BEEZER及びPAEZ巡回裁判官
BEEZER巡回裁判官〔執筆〕:

 原告らは商業的録音、著作権で保護された楽曲及び録音物の頒布及び販売に従事している。原告らの主張は Napster,Inc.(「Napster」)が寄与及び代位著作権侵害者であるというものである。2000年7月26日に、地裁は原告らの仮差止の申立を認容した。差止は2000年8月10日に書面の意見によりわずかに修正された。A&M Records, Inc. v. Napster, Inc., 114 F. Supp. 2d 896 (N.D. Cal. 2000)。地裁は、Napsterが、「権利者の明示の許可なく、連邦法又は州法のいずれかにより著作権で保護された原告らの楽曲及び録音物の複製、ダウンロード、アップロード、送信、又は頒布を行うこと、又は他の者に容易に行わせること」を禁じた。Id. at 927。連邦民事規則65(c)条は、差止が誤ってなされた場合に禁止を言い渡された当事者に生じる損害のために補償金を積むことを勝った当事者に要求する。地裁は5百万ドルの補償金を設定した。我々は本控訴の結論が出るまで仮差止の一時的な執行停止を命令した。我々は28U.S.C.1292(a)(1)条に基づき管轄権を有する。我々は、原判決を、一部維持し、一部取消し、差戻す。


I 〔バックグラウンド〕

 我々は、差止の適用を支持して提出された書面、及び差止の適用に反応して提出された書面を検討したが、Napsterは録音物の送信及び保持を許容するシステムを設計し経営しているようにみえる。

 1987年、Moving Picture Experts GroupがMPEG-3、短縮して「MP3」と呼ばれるデジタルフォーマットのオーディオ録音の保存のための標準的ファイルフォーマットを定めた。デジタルMP3ファイルは「リッピング」と口語的に呼ばれるプロセスをとおして作成される。リッピングソフトを用いることにより、コンピュータの所有者はCD上のオーディオ情報をMP3フォーマットに圧縮することにより、オーディオディスク(「オーディオCD」)を直接コンピュータのハードドライブ上に複製することが可能となる。MP3の圧縮フォーマットは、電子メール又はその他のファイル送信プロトコルによって一つのコンピュータから他のコンピュータへデジタルオーディオファイルを高速に送信することを可能とする。

 Napsterはユーザー間のMP3ファイルの送信を容易にする。一般に「ピア・ツー・ピア」ファイル共有と呼ばれる方法を通して、Napsterはユーザーが次のことを行えるようにする:(1)個人のコンピュータのハードドライブ上に記憶されたMP3音楽ファイルを他のNapsterユーザーに複製可能にすること;(2)他のユーザーのコンピュータ上に記憶した音楽ファイルをサーチすること;及び(3)他のユーザーのMP3ファイルのコンテンツの正確な複製物をインターネットによって1つのコンピュータから他のコンピュータへ送信すること。これらの機能はNapsterのインターネットサイトから無料で利用可能なNapsterのMusicShareソフトウェアと、Napsterのネットワークサーバーとサーバー側のソフトウェアよって可能にされる。NapsterはMP3ファイルにインデックスを付け、サーチするための技術的サポートを提供すると共に、ユーザーが音楽について議論する「チャットルーム」や参加しているアーティストが彼らの音楽について情報を提供することができるディレクトリを含むその他の機能のための技術的サポートを提供する。

A.システムにアクセスする
 Napster システムを通して MP3 ファイルを複製するためには、ユーザーは最初にNapsterのインターネットサイトにアクセスして、MusicShareソフトウェアを個人のコンピュータにダウンロードしなくてはならない[1]http://www.Napster.com参照。ソフトウェアがインストールされると、ユーザーはNapsterシステムにアクセスすることができる。初回のユーザーは「ユーザ名」とパスワードをNapsterシステムへ登録することを要求される。

B.利用可能なファイルをリストする
 もし登録されたユーザーがNapster上に彼のコンピュータのハードドライブに記憶された利用可能なファイルを他の人たちのアクセスのためにリストすることを望むなら、彼は最初にコンピュータのハードドライブ上に「ユーザーライブラリー」ディレクトリを作らなくてはならない。それからユーザーは自分で指定したファイル名を使って、ライブラリディレクトリ内に自分のMP3ファイルをセーブする。次に彼は自分のユーザー名とパスワードを使ってNapsterシステムにログインしなくてはならない。彼のMusicShareソフトウェアは彼のユーザーライブラリを検索し、利用可能なファイルが適切にフォーマットされていることを確かめる。もし正しいMP3フォーマットであれば、MP3ファイルのファイル名がユーザーのコンピュータからNapsterサーバーへアップロードされるだろう。MP3ファイルの内容はユーザーのコンピュータに記憶されたままである。

 一度Napsterサーバーへアップロードされると、ユーザーのMP3ファイル名はユーザーの名前に基づいてサーバー側の「ライブラリー」に記憶される、そしてそのユーザーがNapsterシステムにログオンしている間、転送のために利用可能なファイルの「共有ディレクトリ」の一部になる。共有ディレクトリは流動的である;それは、リアルタイムで接続されているユーザーを追跡し、すぐアクセス可能なファイル名だけを表示する。

C.利用可能なファイルをサーチする
 Napsterはユーザーが2つの方法で他のユーザーのMP3ファイルを見つけることができるようにする:Napsterのサーチ機能を通してと、その「ホットリスト」機能を通してである。

 Napsterサーバー上に置かれているソフトウェアがNapsterの共有ディレクトリの「サーチインデックス」をメンテナンスする。ネットワークサーバーに現在接続されているNapsterユーザーから利用可能なファイルをサーチするために、個々のユーザーは彼のコンピュータに記憶されたMusicShareソフトウェアのある書式にアクセスし、サーチの対象として曲又はアーティストの名前のいずれかを入力する。その書式はそれからNapsterサーバーに送られ、自動的にサーバーのサーチインデックスにリストされたMP3ファイル名と比較される。Napsterのサーバーは、サーチ書式に入力されたのと同じサーチタームを含むサーチインデックスから引き出された全てのMP3ファイル名のリストを編集し、サーチしているユーザーにそのリストを送る。NapsterサーバーはMP3ファイルのコンテンツはサーチしない;むしろ、そのサーチは「特定のクラスタでインデックスを付けたファイル名のテキストサーチに限られている。それらのファイル名は、他のユーザーによって指定されるので、ファイルの内容のタイプミスあるいは不正確な記述を含んでいるかもしれない。」 Napster, 114 F. Supp. 2d at 906。

 「ホットリスト」機能を使用するためには、Napsterユーザーは彼が過去にMP3ファイルを得た他のユーザーの名前のリストを作る。Napsterのサーバーにログオンしているとき、もし彼のリスト上のユーザー(「ホットリストされたユーザー」)もシステムにログオンしているなら、システムはユーザーに注意を喚起する。もしそうなら、そのユーザーは特定のホットリストされたユーザーのライブラリー中のすべてのMP3ファイル名のインデックスにアクセスし、ファイル名を選ぶことによって、そのライブラリーの中でファイルを求めることができる。ホットリストされたユーザーのMP3ファイルのコンテンツはNapsterシステムの上には記憶されない。

D.MP3ファイルの複製物を転送する
 求められたMP3のコンテンツの複製物を転送するために、Napsterサーバーソフトウェアは求めるユーザーのインターネットアドレスと「ホストユーザー」(利用可能なファイルを持っているユーザー)のインターネットアドレスを得る。一般的にBrookfield Communications, Inc. v. West Coast Entm't Corp., 174 F.3d 1036, 1044 (9th Cir. 1999) (インターネットの構成について詳細に記述している)参照。それからNapsterサーバーは求めるユーザーへホストユーザーのインターネットアドレスを伝達する。求めるユーザーのコンピュータがこの情報を使って、ホストユーザーとの接続を確立し、インターネット、「ピア・ツー・ピア」により、一つのコンピュータから他へMP3ファイルのコンテンツの複製物をダウンロードする。ダウンロードされたMP3ファイルはNapsterのMusicShareプログラム又は他のソフトウェアを使ってユーザーのハードドライブから直接プレーすることができる。もしユーザーがその目的のために設計された機器へアクセスするなら、そのファイルはオーディオCD上に転送させることもできる。どちらの場合も、オリジナルの録音の品質はMP3フォーマットへの転換によって僅かに減少する。

 このアーキテクチャは伝送の内容とは対照的に伝送メカニクスの理解を促進するために若干詳細に記述されている。その内容が我々の著作権侵害分析の主題である。


II 〔判断基準〕

 我々は仮差止の認容又は却下を裁量権の乱用に関して再審理する。Gorbach v. Reno, 219 F.3d 1087, 1091 (9th Cir. 2000) (en banc)。誤った法律上の原理の適用は地裁による裁量権の乱用に相当する。Rucker v. Davis, __ F.3d __, 2001 WL 55724, at *4 (9th Cir. Jan. 24, 2001) (en banc)。地裁が仮差止を認容又は却下する判断において誤った法的根拠に基づいたと主張された場合は、我々は初めから基礎をなす法律問題を再審理するだろう。同上at *4 (citing Does 1-5 v. Chandler, 83 F.3d 1150, 1152 (9th Cir. 1996))。

 再審理において、我々は「裁判所が仮差止の決定に適切な法的基準を用いたかどうか、及び地裁が本件において基礎をなす問題に関して正しく法を解釈したかどうか」を決定するように要求される。同上。「地裁が法を正しく理解している限り、『上訴裁判所がその事件の事実に法を適用するなら異なった結論に至ったであろうという理由だけでは、地裁の判断は取り消されないだろう。』」Gregorio T. v. Wilson, 59 F.3d 1002, 1004 (9th Cir. 1995) (quoting Sports Form, Inc. v. United Press, Int'l, 686 F.2d 750, 752 (9th Cir. 1982))。

 仮差止救済は以下のどちらかを証明する当事者に利用可能である:(1)本案訴訟における勝訴の可能性及び回復不能の被害の可能性の組み合わせ;又は(2)重大な疑問が提起されること及び困難性の天秤がはっきりと有利に傾くこと。Prudential Real Estate Affiliates, Inc. v. PPR Realty, Inc., 204 F.3d 867, 874 (9th Cir. 2000)。「これらの2つの定式化は勝訴の可能性が減少するにつれて必要とされる回復不能の被害の程度が増大するスライディングスケール上の2つのポイントを表している。」同上。


III 〔ユーザーの直接侵害〕

 原告らはNapsterユーザーが著作物の大量の複製及び頒布を行っており、全てが直接侵害を構成すると主張する[2]。地裁は同意した。我々は、原告がNapsterユーザーによる直接侵害の一応の証明を提出したという地裁の結論については現在Napsterによって控訴されていないことを指摘する。我々は手短かに境界要件<threshold requirements>に言及する必要があるだけである。

A.侵害
 原告らが直接侵害の一応の証明を提出するためには次の2つの要件を満たさなくてはならない:(1)原告らは侵害されたと主張するものの所有権を証明しなくてはならない、かつ(2)原告らは違反と申し立てられた者が著作権法106条に基づく著作権者に与えられた少なくとも1つの排他的権利に違反していることを証明しなくてはならない。著作権法501(a)条(侵害と申し立てられた者が106条に列挙された活動に従事しているとき、侵害を構成する)参照;Baxter v. MCA, Inc., 812 F.2d 421, 423 (9th Cir. 1987); see, e.g., S.O.S., Inc. v. Payday, Inc., 886 F.2d 1081, 1085 n.3 (9th Cir. 1989)(「用語『複製<copying>』は著作権者の5つの排他的権利のどれかの侵害の略記である・・・」)も参照。原告らは十分に著作権を証明した。記録は「Napster上で利用可能なファイルのおよそ87パーセントは 著作権で保護されているかもしれず、70パーセント以上が原告によって所有又は管理されているかもしれない」という地裁の決定を支持している。Napster, 114 F. Supp. 2d at 911。

 地裁はさらに106条に基づく原告の排他権が侵害されたと決定した:「ここに証拠は大多数のNapsterユーザーが著作権で保護された音楽をダウンロード及びアップロードするサービスを使用していることを証明している・・・。そしてそれを行うことによって、その〔ユーザーの〕使用が原告らの「楽曲、録音物」の直接侵害を構成する。A&M Records, Inc. v. Napster, Inc., Nos. 99-5183, 00-0074, 2000 WL 1009483, at *1 (N.D. Cal. July 26, 2000) (transcript of proceedings)。また、地裁は「これが侵害であることはNapsterによって・・・かなりよく認識されている」ことを指摘した。同上。我々はNapsterユーザーが著作権者の排他権の少なくとも2つ(複製権(106条(1)号);及び頒布権(106条(3)号))を侵害していることを原告らが証明したということに同意する。他の者が複製するためにサーチインデックスへファイル名をアップロードするNapsterユーザーは原告の頒布権を侵害する。著作権で保護された音楽を含むファイルをダウンロードするNapsterユーザーは原告の複製権を侵害する。

 Napsterはユーザーが原告らの著作権で保護された楽曲及び録音物を直接侵害したという攻撃に対して積極的抗弁を主張する。

B.フェアユース
 Napsterは、ユーザーは著作物のフェアユースを行っていのであるからユーザーが原告らの著作権の直接侵害をしてはいないと強く主張する。著作権法107条(・・・著作物のフェアユース<fair use>は著作権の侵害ではない。)参照。Napsterは次の3つの具体的なフェアユースを主張している:ユーザーが購入する前に著作物の一時的な複製を行う試聴<sampling>;ユーザーがオーディオCD形式ですでに所有している録音物にNapsterシステムを通してアクセスする空間シフト;及び新人及び定評のあるアーティストの両方によって黙認された頒布。

 地裁はフェアユースの判断を導く著作権法107条にリストされた要素を検討した。これらの要素は以下のとおりである:(1)使用の目的及び性質;(2)著作物の性質;(3)著作物全体に関して「使用された部分の量及び実質性」;及び(4)その著作物の潜在的マーケット又は価値に対するその使用の影響。著作権法107条参照。地裁は107条に基づいて最初にNapsterシステムの使用の一般的な分析を行い、次にその推論をNapsterによって同定されたフェアユースと主張するものに適用した。地裁はNapsterユーザーはフェアユーザーではないと結論した[3]。我々は同意する。我々は最初に地裁の全体的なフェアユース分析について述べる。

1.使用の目的及び性質
 この要素は新しい作品が単にオリジナルな創作物を置き換えるだけか、又はそれ以上の目的若しくは異なった特徴を加えるかどうかに焦点を合わせる。他の言葉で言えば、この要素は、「新しい作品が変容されている<transformative>のかどうか及びどの程度か」を問う。Campbell v. Acuff-Rose Music, Inc., 510 U.S. 569, 579 (1994)参照。

 地裁は最初にMP3ファイルのダウンロードは著作権で保護された作品を変容させていないと結論した。Napster, 114 F. Supp. 2d at 912。この結論は支持できるものである。オリジナル作品が異なったメディアに単に再び送られるとき、裁判所はフェアユースの認定を行う気にはならない。例えば、Infinity Broadcast Corp. v. Kirkwood, 150 F.3d 104, 108 (2d Cir. 1994)(電話線を介したラジオ放送の再送信は変容されていないと結論している);UMG Recordings, Inc. v. MP3.com, Inc., 92 F. Supp. 2d 349, 351 (S.D.N.Y.)(オーディオCDのMP3フォーマットへの複製は作品の「変容」ではないと認定している)、上告不受理、2000 WL 710056 (S.D.N.Y. June 1, 2000)(「被告の著作権侵害は明白である、そして、新種のインターネットウエブの衣をまとったという単なる事実によってその違法性を隠すことはできない。」)

 この「目的及び性質」の要素は侵害と申し立てられた使用が商業的であるか、又は非商業的であるかどうかを決定することも地裁に要求する。Campbell, 510 U.S. at 584-85参照。商業的使用はフェアユースの認定に不利に働くが、その争点において決定的なものではない。同上。地裁は、主に、(1)「ファイルを送信するホストユーザーは膨大な依頼者にそのファイルを頒布するとき個人的使用を行っているということはできないこと」及び(2)「Napsterユーザーは通常は買わなければならないものをタダで得ていること」を根拠として、Napsterユーザーが著作物の商業的使用を行ったと決定した。Napster, 114 F. Supp. 2d at 912。

 地裁の認定が誤っていないことは明らかである。商業的使用を証明するためには直接の経済的な利益は必要ではない。むしろ、著作物(たとえその複製物が販売されていないとしても)の反復された搾取的な複製は商業的使用を構成し得る。Worldwide Church of God v. Philadelphia Church of God, 227 F.3d 1110, 1118 (9th Cir. 2000)(会員に宗教的な文を複製した教会は著作権者に説明することなく無許可の「その文」の頒布及び使用により「疑いもなく利益を得た」と説示している);American Geophysical Union v. Texaco, Inc., 60 F.3d 913, 922 (2d Cir. 1994)(利益を得るための研究所の研究者が著作権で保護された学術論文をフォトコピーすることによって直接的な経済的利益を得たと認定している)。本件記録において、反復された搾取的な無許可の著作物の複製によって権限のある複製物を購入する費用が節約できたことが証明されており、商業的使用が証明されている。Worldwide Church, 227 F.3d at 1117-18; Sega Enters. Ltd. v. MAPHIA, 857 F. Supp. 679, 687 (N.D. Cal. 1994)(個人が「ビデオゲーム・カートリッジの購入を避けるために」ビデオゲームの複製物をダウンロードする場合に商業的使用を認定している)参照;American Geophysical, 60 F.3d at 922も参照。原告らはそのような証明を地裁において行った[4]

 また、我々は、刑事著作権事件の目的のための金銭に動機づけられた取引の定義は、「他の著作物の受領を含み」、他品目の作品の侵害複製物を取引することを含むことを指摘する。No Electronic Theft Act ("NET Act"), Pub. L. No. 105-147, 18 U.S.C.101条(「金銭的利益」を定義している)参照。

2.著作物の性質
 本質的に創造的な作品は事実ベースの作品より「意図された著作権保護の中心により近い」。Campbell, 510 U.S. at 586参照。地裁は、原告らの「著作権で保護された楽曲及び録音物は本質的に創造的であり、それが第2の要素に基づくフェアユースの認定を妨げる」と決定した。Napster, 114 F. Supp. 2d at 913。我々は地裁の結論に誤りを発見しない。

3.使用された部分
 「『大規模な複製はフェアユースを当然に排除するものではない』が、作品全体の複製は『フェアユースの認定に対して不利に作用する。』」Worldwide Church, 227 F.3d at 1118 (quoting Hustler Magazine, Inc. v. Moral Majority, Inc., 796 F.2d 1148, 1155 (9th Cir. 1986))。地裁は、ファイル転送は必然的に「著作物全体の複製を含む」からNapsterユーザーは著作物の「大規模な複製」を行っていると決定した。Napster, 114 F. Supp. 2d at 913。我々は同意する。しかし、我々は、ある状況のもとでは裁判所は保護された著作物の全体が複製された場合でさえもフェアユースであると結論するだろうと指摘する。例えば、 Sony Corp. v. Universal City Studios, Inc., 464 U.S. 417, 449-50 (1984)(LII) (時間シフトのフェアユースは必然的に保護された作品の完全な複製物の作成を含むことを認めている)参照。

4.マーケットに対する使用の影響
 「フェアユースは、正しく適用された場合は、複製された作品の市場性を著しく傷つけない他者による複製に制限されている。」Harper & Row Publishers, Inc. v. Nation Enters., 471 U.S. 539, 566-67 (1985)。「この[第4の]要素の重要性は、被害の総額だけでなく、他の要素の証明の相対的強さによっても、変わるだろう。」Campbell, 510 U.S. at 591 n.21。現在又は将来のマーケットの被害を証明するために必要な証拠は使用の目的及び性質と共に変わる:

著作物の非商業的使用に対する異議には、特定の使用が被害を及ぼすこと、又はそれが一般にはびこったとするとその著作物の潜在的マーケットに不利な影響をおよぼすであろうこと、のどちらかを証明する必要がある。・・・もし意図された使用が商業的利益のためであるならば、[マーケットの被害の]可能性を推定することができる。しかし、もし非商業的目的のためであるならば、その可能性は証明されなければならない。
Sony, 464 U.S. at 451(強調付加)。

 地裁は、この要素について、Napsterは「少なくとも」二つの方法でマーケットに被害を及ぼしたと結論した:大学生のオーディオCDセールスを減少させた、及び音楽のデジタルダウンロードのマーケットへの原告らの参入に障壁を築いた」と結論した。Napster, 114 F. Supp. 2d at 913。地裁は、Napsterの使用が原告らの著作権で保護された楽曲及び録音物のマーケットに被害を与えたことを証明するために、原告らが提出した証拠を信頼した。専門家の報告書に対する当事者らの異議に関する別のメモランダム及び命令において、地裁はそれぞれの報告書を審理し、いくつかの証拠が他のものよりも適切であり証明力があると認定した。A&M Records, Inc. v. Napster, Inc., Nos. 99-5183 & 00-0074, 2000 WL 1170106 (N.D. Cal. August 10, 2000)。特に、原告らの専門家E. Deborah Jay博士は大学生のランダムサンプルを使用した調査(「Jay報告書」)を行い、彼らがNapsterを使用する理由及びNapsterが彼らの音楽購入に与えた衝撃を追跡調査した。同上at *2。裁判所は、Jay報告書はNapsterのユーザー人口のまさに1つのセグメントに焦点を合わせていると認識し、「大学の使用に帰する販売の減少の証拠」は仮差止申立の目的のために回復不能の被害の証拠力があると認定した。同上at *3。

 また、原告らは回復不能の被害を証明するためにMP3ファイルのオンライン共有の効果を決定するためにSoundscanのCEOであるMichael Fineによって行われた研究(「Fine報告書」)を提出した。Fineはオンラインファイル共有が大学マーケットの中で「アルバム」セールスの損失をもたらしたと判定した。Fine報告書に対する被告の反論を審理し、方法及び調査結果に若干の懸念を述べた後、地裁は原告が回復不能の被害の証明のために提出した限りにおいてFine報告書の除外を拒否した。同上at *6。

 原告らの専門家のDavid J. Teece博士 は、Napsterユーザーに帰因して、原告らは現在及び計画中のビジネスに被害を受けているか、又は、被害を受ける可能性が高いか、を含むいくつかの問題を研究した(「Teece報告書」)。同上。Napsterはその報告書がまだ同等の者の評価を経ていないという理由で反対した。地裁はこれらの報告書が一般にそのような精査を受ける義務はないことを指摘して、被告の異議を却下した。同上。

 被告の専門家については、MP3音楽ファイル共有はそれが追い出すよりも多くオーディオCDセールスを促進するから、Napsterは音楽業界に有益であると結論したPeter S .Fader博士の報告書に、原告は異議を申し立てた。同上at *7。地裁は彼の報告書の中で調査の管理及び客観的データの欠如を監督することにおいてFader博士は最小の役割しか果たしていないことに問題を見いだした。裁判所はその報告書の一般論は「信頼性と価値が疑わしい」と判断した。裁判所は報告書を排除はしなかったが、「フェアユース及び回復不能の被害の争点を決定することにおいて、Faderの調査結果に頼らない」ことを選択した。

 地裁は、Napsterの使用が大学生のCDセールスを減らすことによって原告らの著作権で保護された楽曲と録音物のマーケットに被害を及ぼしているという認定を支持するために、Jay及びFine報告書の両方を引用した。音楽のデジタルダウンロードのマーケットへの原告らの参入に対する障壁を築くことにおけるNapsterの使用に帰因する被害を証明するために、地裁はTeece報告書を引用した。Napster, 114 F. Supp. 2d at 910。これらの報告書に対する被告の異議についての地裁の注意深い検討及び特定の争点に対してこれらの報告書を信用する判断はフェアユースの正しい適用に加えて裁量権の適正な行使をはっきりと示している。被告は地裁の認定を妨げるためにいかなる根拠を示すことにも失敗した。

 したがって、我々は、地裁が現在及び将来のデジタルダウンロード・マーケットに対するNapsterの有害な効果に関して信頼できる認定を行ったと結論する。さらに、定着したマーケットへの被害がないからといって、作品のための代替マーケットを開発する著作権者の権利を奪うことはできない。L.A. Times v. Free Republic, 54 U.S.P.Q.2d 1453, 1469-71 (C.D. Cal. 2000)(「[被告]がオンラインで彼らの記事を見るマーケットの搾取を試みている」ことを原告が証明したから、原告の新聞記事のためのオンラインマーケットが被害を受けたと説示している)参照;UMG Recordings, 92 F. Supp. 2d at 352(「原告の以前のマーケットにおいて被告の行動の影響が肯定的であったとしても、決して被告は原告の著作物の複製から直接派生した更なるマーケットを自由に奪うことはできない。」)も参照。本件において、L.A. Times及びUMG Recordingsと同様に、地裁が「レコード会社原告らはデジタルダウンロードのためにインターネット・セールス及びライセンスを開始するためにかなりの資金と努力を費やした」と認定したことは記録が支持している。114 F. Supp. 2d at 915。Napsterシステム上で無料で利用可能なデジタルダウンロードがあることは必然的に同じダウンロードに課金する著作権者の試みに被害を与える。

 上記のフェアユースの結論に達する点でPatel判事は裁量権を乱用しなかった、同様にフェアユースの考慮に関する事実認定にも明らかな誤りはない。我々は次に 試聴及び空間シフトというNapsterによって同定されたフェアユースを扱う。

5.同定されたフェアユース
 Napsterは試聴及び空間シフトというNapsterによって同定されたユース<identified uses>が不当に地裁によってフェアユースから除外されたと主張する。

a.試聴
 Napsterは、ユーザーは録音物を購入するかどうかを決定するためにその音楽を「試聴vするためにMP3ファイルをダウンロードしていると強く主張する。Napsterは地裁が次の誤りを犯したと主張する:(1)個人的使用と非商業的使用を合体させたことにより試聴<sampling>が商業的使用であると結論した点で誤った;(2)試聴が原告の著作権で保護された音楽のマーケットに不利な影響を与えること、その使用が非商業的であるかどうかの要件、について決定したことにおいて誤った;及び(3)試聴者がその他の侵害行為も行なうかもしれないと決定したことを根拠に、試聴はフェアユースではないと誤って結論した。

 地裁は、たとえ若干のユーザーが結局は音楽を購入するとしても、試聴は依然として商業的使用であると決定した。我々は地裁の決定に誤りを見いださない。原告らは、試聴目的で個人の曲の権限のある一時的なダウンロードでさえ本質的に商業的であることを証明することに成功する可能性が高いことを立証した。Napster, 114 F. Supp. 2d at 913参照。無料の販売促進のダウンロードはレコード会社原告らによって管理されており、会社は小売りインターネットサイト上で利用可能な曲の試聴のためにロイヤリティを徴収しているという認定を記録が支持している。同上。地裁が信頼した証拠は、レコード会社によって提供された無料のダウンロードは30〜60秒のサンプル、又は「タイムアウト」をプログラムされた完全な曲、すなわちダウンロードした者のコンピュータ上に短期間だけの間存在する曲、であること証明している。同at 913-14。対照的に、 Napsterユーザーは録音物の無料で永久的な完全な複製物をダウンロードしている。同at 914-15。商業的目的及び試聴の性質に関する地裁の決定に明白は誤りはない。

 地裁はさらにオーディオCDのマーケット及びオンライン頒布のマーケットの両方がNapsterのサービスによって不利な影響を被っていると認定した。地裁の一般的なフェアユース分析についての我々の検討の中で述べたように:地裁は、全体的に、NapsterがオーディオCDとデジタルダウンロード・マーケットに不利な影響を与えると認定したことにおいて、裁量権を乱用しなかった。地裁が試聴の市場への影響を特に言及し損ねたというNapsterの主張とは反対に、地裁は「Napster上でなされているとみなされる試聴の種類が非商業的利用であるとしても、それが一般にはびこるとすれば原告らの著作物の潜在的マーケットに不利な影響を及ぼすであろうことの実質的な可能性」を原告らは証明したと決定した。Napster, 114 F. Supp. 2d at 914。次に示す地裁の仮の決定は記録に支持されている:(1)試聴ユーザーがいっそう多くの音楽をダウンロードすると、それだけ彼らはオーディオCDの録音物は購入しなくなる;及び(2)たとえオーディオCDマーケットに被害がないとしても、Napsterは発展途上のデジタルダウンロード・マーケットに対する不利な効果を持つ。

 Napsterはさらに、ユーザーの「サンプル」のダウンロードがオーディオCDセールスを増加させる、又は増加させる傾向にあるというNapsterの証拠を拒絶することにおいて、地裁が誤ったと論ずる。しかし、地裁は、「原告のセールスのどんな潜在的な増加も・・・フェアユース分析を最終的に被告に有利に傾けることはないであろう」ことを正しく指摘した。同上at 914。我々は無許可の使用に帰因する著作権で保護された作品のセールスの増大によって著作権者がその作品をライセンスする権利を奪われるべきではないことに同意する。Campbell, 510 U.S. at 591 n.21(「好ましい証拠でさえフェアユースの保証にはならない。Leval判事は、ある作曲家のそれ以前に知られていない曲を商業的成功に変える映画プロデューサのその曲の無断使用の例を与える;曲への恩恵は映画での単なる複製をフェアユースにしない。」)参照;L.A. Times, 54 U.S.P.Q.2d at 1471-72も参照。1つのマーケット(本件のオーディオCDマーケット)において好ましい影響があったとしても、著作権者の確認された<identified>代替マーケット(本件のデジタルダウンロード・マーケット)を開発する権利は奪われない。同上at 1469-71参照。

 我々は、原告らが試聴はフェアユースを構成しないことを立証することに成功するだろうという地裁の結論に関して、地裁の事実認定の誤り又は裁量権の乱用を見いださない。

b.空間シフト
 また、Napsterは空間シフトはフェアユースであると主張する。空間シフトは、Napsterユーザー自身が既にオーディオCDを持っている音楽を聞くためにMP3音楽ファイルをダウンロードするときに起こる。同上at 915-16参照。Napsterは我々がすでに楽曲及び録音物の空間シフトがフェアユースであると判示していると断言する。Recording Indus. Ass'n of Am. v. Diamond Multimedia Sys., Inc., 180 F.3d 1072, 1079 (9th Cir. 1999) (「Rio[ポータブルMP3プレーヤー]は既にユーザーのハードドライブ上に存在するファイルをポータブル、又は「空間シフト」にするために複製を作るにすぎない・・・。このような複製はパラダイム的に非商業的な個人的使用である。」)参照。一般的に、Sony, 464 U.S. at 423 (ビデオテープレコーダの所有者が後で見るためにテレビ番組を記録する「時間シフト」はフェアユースであると判示している)も参照。

 我々は、地裁がSony事件及びDiamond事件の「シフト」分析の適用を拒否した点で、地裁は誤っていないと結論する。これらの事件のシフトの方法においては著作物の公衆への複製が同時に行われることはなく;著作物の時間又は空間シフトはオリジナルユーザーだけにさらされるのであるから、Diamond事件及びSony事件は両方とも無関係である。Diamond事件においては、例えば、著作権で保護された音楽はユーザーのコンピュータハードドライブからユーザーのポータブルMP3プレーヤーへ転送された。Sony事件でも、「VTRの購入者の大多数は・・・録音したテレビ放送を頒布せず、単に家で楽しむだけである。」Napster, 114 F. Supp. 2d at 913。逆に、ユーザーが自分が既に持っている音楽の複製物を他の場所でその音楽にアクセスするためにNapsterシステム上にリストすると、その曲は、オリジナルのCD所有者だけではなく、「何百万という他の個人にとって入手可能である」ことは明らかである。UMG Recordings, 92 F. Supp. 2d at 351-52(ダウンロードが許される前に事前に所有権が立証されるときさえ、MP3ファイル の空間シフトはフェアユースではないと認定している)参照;Religious Tech. Ctr. v. Lerma, No. 95-1107A, 1996 WL 633131, at *6 (E.D. Va. Oct. 4, 1996)(後で利用するためにコンピュータディスク上に著作権で保護されたものを記憶することはフェアユースではないことを提言している)と比較せよ。

c.その他の使用
 独立系又は定評のあるアーティストのいずれによっても黙認された複製が、Napsterの最後のフェアユースの主張である。原告はこれ及びその他のNapsterシステムの非侵害使用(チャットルーム、メッセージボード及びNapsterのニューアーチスト・プログラム)の禁止を求めていないと地裁は指摘した。Napster, 114 F. Supp. 2d at 917。原告は控訴審においてこれらの使用に異議を申し立てていない。

 Napsterユーザーがフェアユースの抗弁を有していないことを原告が立証する可能性が高いだろうという地裁の決定に我々は誤りを見いださない。したがって、次に我々はNapsterが、著作権法の2つの法理(寄与著作権侵害及び代位著作権侵害)に基づいて、〔Napsterユーザーの〕直接侵害に関して二次的責任があるかどうかについて述べる。


IV 〔寄与侵害〕

 我々は最初にNapsterに寄与著作権侵害の責任があるという原告の主張について述べる。伝統的に、「侵害行為を認識して、他の者の侵害行為を誘発し、起こし、又は実質的に寄与している者は、『寄与』侵害者として責任があると考えることができる」。Gershwin Publ'g Corp. v. Columbia Artists Mgmt., Inc., 443 F.2d 1159, 1162 (2d Cir. 1971);Fonovisa, Inc. v. Cherry Auction, Inc., 76 F.3d 259, 264 (9th Cir. 1996)も参照。他の言葉で言えば、もし被告が「侵害を奨励する又は支援する個人的な行為」に携わるなら、責任が存在する。Matthew Bender & Co. v. West Publ'g Co., 158 F.3d 693, 706 (2d Cir. 1998)。

 地裁は原告が全てにおいて寄与侵害者としてのNapsterの責任を立証するであろう可能性が高いと決定した。地裁は、Napsterは、その行為によって、原告の著作権の侵害を認識した上で奨励し支援しているという点で誤らなかった。

A.認識
 寄与責任は直接侵害について第2の侵害者が「知っているか、又は知っているはずである」ことを要する。Cable/Home Communication Corp. Network Prods., Inc., 902 F.2d 829, 845 & 846 n.29 (11th Cir. 1990); Religious Tech. Ctr. v. Netcom On-Line Communication Servs., Inc., 907 F. Supp. 1361, 1373-74 (N.D. Cal. 1995)(Internet Law) (「Netcomは侵害行為を知っていた又は知っているべきであった」として争点を組み立てた)。Napsterはユーザーが著作権で保護された音楽を交換しているということを実際に及び推論して認識していたと地裁は認定した。また、地裁は法は「侵害の具体的な行為」を認識していることを要求していないと結論し、会社は侵害と非侵害を区別できないから、直接侵害について「知らない」というNapsterの主張を拒絶した。114 F. Supp. 2d at 917。

 Napsterが直接侵害について実際に及び推論して認識していたことは記録から明白である[5]。NapsterはそれにもかかわらずSony Corp. v. Universal City Studios, Inc., 464 U.S. 417 (1984)の教示によって寄与責任から守られていると主張する。我々は同意しない。我々は直接侵害についてのNapsterの実際の、具体的な認識はSony事件の限定的支援の判示をNapsterに与えないと見る。我々はNapsterシステムのアーキテクチャとそのシステムの運営能力に関連したNapsterの行為の間に明確な区別をしなければならない。

 Sony事件の裁判所は、ビデオテープレコーダが原告らの著作権で保護されたテレビ番組を侵害し得る及び侵害していたであろうという証拠にもかかわらず、製造業者及び小売業者が寄与侵害に責任があると判示することを拒絶した。もし責任が「本件において申立者に課されるとすれば、顧客が著作物の無許可複製を行うためにその装置を使用するかもしれないという事実を推論して認識してその装置を販売しているという事実に基づかなくてはならない」とSony事件は述べている。同上at 439(強調付加)。ソニー事件の裁判所は、被告らが侵害の使用及び「かなりの非侵害の使用」の両方が可能である装置を製造し販売した場合に、認識の必要レベルを負わせるのを断った。同上at 442(特許法からの修正された「主要商品<staple article of commerce>」論を採用している)。Universal City Studios, Inc. v. Sony Corp., 480 F. Supp. 429, 459 (C.D. Cal. 1979) (「本裁判所は被告らは寄与侵害者にするには十分な認識はないことについて被告らに同意する。」), rev'd, 659 F.2d 963 (9th Cir. 1981), rev'd, 464 U.S. 417 (1984)も参照; Alfred C. Yen, Internet Service Provider Liability for Subscriber Copyright Infringement, Enterprise Liability, and the First Amendment, 88 Geo. L.J. 1833, 1874 & 1893 n.210 (2000) (Sony事件後、ほとんどのインターネット・サービスプロバイダは寄与責任を課すための「認識の必要レベル」を欠いていると提言している)。

 我々はSony事件に従わなければならない、そしてピア・ツー・ピア・ファイル共有技術が原告の著作権を侵害するために使用されるかもしれないからという理由だけでは、認識の必要なレベルがNapsterに負わされることはないだろう。464 U.S. at 436(「侵害行為を達成する『手段』」を供給するだけで責任の賦課に導くという議論を拒絶している)参照。Napsterがそのシステムが商業的に相当な非侵害の使用の能力があることを証明し損ねたという地裁の推論については、我々は異なった意見を持っている。Napster, 114 F. Supp. 2d at 916, 917-18参照。地裁は、システムの能力を無視して、使用の分析を現在の使用に不適切に限定した。一般的に、Sony, 464 U.S. at 442-43(ビデオテープレコーダが「商業的に相当な非侵害の使用の能力」があるかどうかを探究している)(強調付加)参照。したがって、現在及び将来の非侵害使用と比較して、地裁は現在の侵害使用の割合に過度の重要性を置いた。一般的に、Vault Corp. v. Quaid Software Ltd., 847 F.2d 255, 264-67 (5th Cir. 1997)(Sonyに関連した1つの非侵害使用)参照。それにもかかわらず、我々が異なった結果に到達し得るかどうかは本件の争点ではない。Sports Form, Inc. v. United Press Int'l, Inc., 686 F.2d 750, 752 (9th Cir. 1982)参照。現在の控訴は訴訟手続きの早い時期に起こっており、「完全に熟した事実の記録は最初に地裁の前にあったものとは本質的に異なっているかもしれない・・・。」同上at 753。Napsterの侵害使用対非侵害使用の数にかかわらず、本件記録の証拠は、原告らがNapsterのユーザーが原告らの著作権を侵害しているのをNapsterが知っていた又は知っていたはずであることを立証することに成功するであろうという地裁の認定を支持している。

 この分析は、オンラインの状況では、侵害の特定の侵害行為の実際の認識の証拠がコンピュータシステムオペレータに寄与著作権侵害の責任を取らせるために必要であることを提言しているReligious Technology Center v. Netcom On-Line Communication Services, Inc.事件と類似している。907 F. Supp. at 1371。Netcom事件はそのシステムが侵害物を掲示しているコンピュータ掲示板のオペレータの潜在的な寄与著作権侵害の責任を熟考した。同上at 1374。その裁判所は、Netcomの非侵害のサマリー判決申立及び原告の訴答手続における判決申立を拒絶して、事実問題の争点はオペレータが侵害行為を十分に認識していたかどうかにあると認定した。同上at 1374-75。

 その裁判所はオペレータが十分な認識を持っているとするためには、著作権者が「侵害の可能性が高いことを証明するために必要な証拠書類を提供」しなければならないと決定した。907 F. Supp. at 1374; cf. Cubby, Inc. v. Compuserve, Inc., 776 F. Supp. 135, 141 (S.D.N.Y. 1991)(オンライン・サービスプロバイダが潜在的に中傷的なものへの全てのハイパーリンクを調べることがことができるわけではないことを認めている)。その裁判所は、もしそのような証拠書類が提供されたなら、その著作物の削除の不履行「及びそれによる侵害複製物の世界的頒布の停止の不履行が、著作物の頒布の実質的な関与を構成する」から、Netcomは寄与侵害の責任があるであろうと論じた。同上。

 我々は、もしコンピュータシステムオペレータが彼のシステム上で利用可能な特定の侵害物を知り、かつシステムからそのような侵害物を取り除くことを履行しないなら、そのオペレータは直接侵害を知っており、かつ関与しているということに同意する。Netcom, 907 F. Supp. at 1374参照。逆に、侵害行為を識別する具体的な情報を欠いていれば、システムが著作物の交換を許しているという理由だけで、コンピュータシステムオペレータは寄与侵害の責任を問われることはない。Sony, 464 U.S. at 436, 442-43参照。コンピュータ・ネットワークが侵害使用を許すという理由だけで禁止するとすればSony事件に違反し、侵害使用と無関係な活動を潜在的に限定することになるであろう。我々は、それにもかかわらず、Napsterシステムが証明された侵害使用に関連づけられる場合は、寄与責任を課すのに十分な認識が存在すると結論する。 Napster, 114 F. Supp. 2d at 919(「Religious Technology Center事件がNapster, Inc.は寄与侵害に必要な認識を欠いているという決定を強いるとはないであろう。」)参照。Napsterは具体的な侵害物がそのシステム上で使用可能であることを実際に認識しており、Napsterはその侵害物の提供者のシステムへのアクセスをブロックすることができ、Napsterはその侵害物を取り除くことを履行していない、という地裁の認定を記録が支持している。Napster, 114 F. Supp. 2d at 918, 920-21参照[6]

B.重要な寄与
 地裁によって認定された事実に基づくと、Napsterは侵害行為に重要な寄与を行っている。Fonovisa事件に基づいて、地裁は「被告が提供するサービスなしには、Napsterユーザーは被告が自慢するように容易に彼らが欲する音楽を見いだしダウンロードすることができない」と結論した。Napster, 114 F. Supp. 2d at 919-20(「NapsterはユーザーがMP3音楽ファイルを捜し出しダウンロードすることが可能になるように設計された統合サービスである。」)。我々はNapster が直接侵害のために「敷地と設備」を提供していることに同意する。Fonovisa, 76 F.3d at 264; cf. Netcom, 907 F. Supp. at 1372(「Netcomは、[ユーザーの]侵害メッセージを削除しそれによって侵害複製物の世界的な頒布を停止することを履行しないから、寄与侵害の責任があるだろう。」)参照。地裁はFonovisa事件の論理を正しく適用して、Napsterは直接侵害に重要な寄与を行っていると適切に認定した。

 原告らが寄与著作権侵害請求において本案訴訟で勝つ可能性を証明したという地裁の結論を我々は支持する。差止の範囲については本意見のVIIIで述べる。


V 〔代位責任〕

 我々は Napster が代位著作権侵害<vicarious copyright infringement>を行っているかどうかの問題に向かう。代位著作権責任<Vicarious copyright liability>は使用者責任<respondeat superior>の「派生物」である。Fonovisa, 76 F.3d at 262。著作権法においては、代位責任は事業主/従業員関係を超えて、被告が「侵害行為を監督する権利及び能力を持ち、かつこのような行為に対して直接の金銭的利害関係も持つ」場合に及ぶ。同上(quoting Gershwin, 443 F.2d at 1162);Polygram Int'l Publ'g, Inc. v. Nevada/TIG, Inc., 855 F. Supp. 1314, 1325-26 (D. Mass. 1994)(代位責任はリスク配分の1つの形であると述べている)も参照。

 この議論に移る前に、我々はSony事件の「主要商品」分析は代位著作権侵害に対するNapsterの潜在的な責任には適用されないことを指摘する。Sony, 464 U.S. at 434-435; see generally Anne Hiaring, Copyright Infringement Issues on the Internet, 617 PLI/Pat 455, 528 (Sept. 2, 2000)(「主要商品」論は「代位侵害にではなく、寄与侵害にだけ防御を提供する」ことを示している)参照。最高裁は「直接侵害、寄与侵害及び代位責任の間には明確な線が引けない」と認識したけれども、「『直接侵害』及び『代位責任』論」に基づくSony の責任の争点は最高裁では審理されなかった。同上at 435 n.17。したがって、 Sony事件において最高裁が用語「代位責任」を使ったとき、最高裁は大まかに、代位著作権侵害論の専門的な分析の外で使った。同上at 435(「責任はほとんどすべての法律の分野において課せられている、そして寄与侵害の概念はある者が他の者の行為について責任がある状況に関係するより広い問題の一種である。」)も参照;Black's Law Dictionary 927 (7th ed. 1999)(Sony事件で使われた定義に類似した方法で「代位責任」を定義している)も参照。

A.金銭的利益
 地裁は原告がNapsterが侵害行為に関して直接の金銭的利害を有していることの立証に成功するであろうことを証明したと決定した。Napster, 114 F. Supp. 2d at 921-22。我々は同意する。金銭的利益は侵害物が利用可能であることが「顧客への「目玉商品」の役割を果たしている」ところに存在する。Fonovisa, 76 F.3d at 263-64 (「侵害公演が開催場所の魅力を高めるところに」金銭的利益が現われ得ると述べている)。Napsterの未来の収益が「ユーザー基盤の増加」に直接依存しているという地裁の認定を十分な証拠が支持している。より多くのユーザーがNapsterシステムに登録すればするほど、「利用可能な音楽の質と数が増大する」。114 F. Supp. 2d at 902。Napsterがそのシステム上で、保護された作品が利用可能であることから金銭的に利益を得ていると決定したことにおいて、地裁は誤らなかったと我々は結論する。

B.監督
 地裁はNapsterがユーザーの行為を監督する権利及び能力を有していると決定した。Napster, 114 F. Supp. 2d at 920-21(権利者が苦情を言うユーザーをブロックする改良された方法に関するNapsterの裁判所への意見陳述は被告がそのサービスを取り締まることができ、時々行っているという自白に等しいと認定している)。我々は一部同意する。

 どんな理由のためにでも特定の環境への侵害者のアクセスをブロックする能力は監督する権利及び能力の証拠である。Fonovisa, 76 F.3d at 262(「Cherry Auctionはどんな理由のためにでも売り手にやめさせる権利を有しており、その権利をとおして敷地内の売り手の行動をコントロールする能力を有している。」)参照;Netcom, 907 F. Supp. at 1375-76(電子掲示板サービスが利用者のアカウントを一時中止することができるという証拠を提出することによって監督する能力に関する事実の本物の争点を原告が提起したことを示している)と比較せよ。本件において、原告らはNapsterがそのシステムへのアクセスをコントロールする権利を有していることを証明している。Napsterはウエブサイト上で、「ユーザーの行為が適用法に違反するとNapster信じる場合に・・・又は理由があるなしにかかわらず、Napsterの単独の自由裁量による何かの理由のために、それらを含みそれらに限定されず、自由裁量でサービスを拒絶しアカウントを終了する権利」を明確に留保すると述べて、権利ポリシーの留保を表現している。

 代位責任を免れるためには、保有する取り締まりの権利は最大限に行使しなければならない。利益のために探知可能な侵害行為へ目をつぶることは責任を引き起こす。例えば、Fonovisa, 76 F.3d at 261(「Cherry Auction及びそのオペレータがその交換会で売り手が偽造録音物を売っていたことを知っていたことに争いはない。」)参照;Gershwin, 443 F.2d at 1161-62(主な侵害者の行為の取り締まりの不履行が著作権侵害の代位責任を導き出すことを提言するために、Shapiro, Bernstein & Co. v. H.L. Greene Co., 316 F.2d 304 (2d Cir. 1963)を引用している)も参照。

 地裁は、Napsterがそのシステムを取り締まる権利及び能力を有しており、著作物の交換を防ぐためにその権利を行使していないと正しく決定した。しかし、地裁は、Napsterが「コントロール及びパトロールする」敷地の範囲は限られていることを認識し損なった。例えば、Fonovisa, 76 F.2d at 262-63(売り手を排除する権利を有しているのに加えて、被告はその敷地を「コントロールしパトロールした」)参照;Polygram, 855 F. Supp. at 1328-29(展示品を撤去する契約上の権利を有しているのに加えて、トレードショー管理者は取り締まる権利をショーの間保有しており、「『規則順守』を確実にするために従業員に通路を歩かせた」。)も参照。別の言葉で言うと、Napsterが保有する取り締まる権利及び能力はシステムの現在のアーキテクチャに閉じこめられている。記録によって証明されているように、Napsterシステムは、正しいMP3フォーマットであることをチェックする以外、インデックスされたコンテンツを「読まない」。

 しかし、Napsterはサーチインデックス上にリストされた侵害物を捜し出す能力は有している。したがって、ファイル名インデックスはNapsterが取り締まる能力を有している「敷地」内である。我々は、ファイルはユーザーが名付けており、著作物に正確に照合しないかもしれない(例えば、アーティスト又は曲は誤ってスペルされることがあり得る)ことを認識している。しかし、Napsterが有効に機能を果たすために、ファイル名はそのファイル内に入っている著作物に適度に又は大雑把に対応しているに違いない、そうでなければユーザーが望みの音楽を決して見つけだすことができないであろう。実際問題として、Napster、ユーザー、及びレコード会社原告らは、Napsterの「サーチ機能」を使うことによって侵害物に対して等しくアクセスできる。

 我々の記録の再審理によれば、原告らが代位著作権侵害請求の本案訴訟において勝つ可能性を証明したという地裁の結論を我々は受け入れなければならない。Napsterシステム上で侵害ファイルを継続的に利用可能であるからNapsterが金銭的に利益を得ている、という証明と結びついて、Napsterによるそのシステムの「敷地」の取り締まりの不履行が、代位責任を導き出す。差止の範囲については本意見のVIIIで述べる。


VI 〔抗弁〕

 我々は次にNapsterが仮差止を不可能とするだろう抗弁を断言できたかどうかについて述べる。

 Napsterは二つの法律が責任を遮断していると主張する。第1は、Napsterは、ユーザーは1992年オーディオ家庭録音法1008条(著作権法1008条)によって保護された行為を行っていると主張する。第2に、Napsterは寄与及び代位侵害責任はデジタルミレニアム著作権法(著作権法512条)によって制限されていると主張する。我々はそれぞれの法律の適用について順に述べる。

A.オーディオ家庭録音法
 法律は次のように規定している:

デジタルオーディオ装置、デジタルオーディオ録音媒体、アナログ録音装置、若しくはアナログ録音媒体の製造、輸入、若しくは頒布に基づいて、又は、デジタル音楽録音物若しくはアナログ音楽録音物を作成するためのそのような装置又は媒体の消費者による非商業的使用に基づいて、本法のもとに、著作権侵害を主張して訴訟を起こすことはできない。
著作権法1008条(強調付加)。NapsterはMP3ファイル交換はその法律によって侵害行為から保護される「非商業的使用」の典型であると争う。Napsterは著作権で保護された録音物のユーザーの交換は訴えることができないから、二次的責任はあり得ないと力説する。

 地裁は、(1)原告らはオーディオ家庭録音法に基づいた請求をしていない;そして(2)オーディオ家庭録音法はMP3ファイルのダウンロードをカバーしていないから、オーディオ家庭録音法は本件訴訟には「無関係」であると述べてNapsterの主張を拒絶した。Napster, 114 F. Supp. 2d at 916 n.19。

 我々はオーディオ家庭録音法はMP3ファイルのコンピュータのハードドライブへのダウンロードをカバーしない点で地裁に同意する。第1に、本法の「デジタルオーディオ録音装置の定義のわかりやすい意味に基づいて、コンピュータ(及びそのハードドライブ)は、その『主要な目的』はデジタルオーディオ複製録音物を作成することではないから、デジタル録音装置ではない。」Recording Indus. Ass'n of Am. v. Diamond Multimedia Sys., Inc., 180 F.3d 1072, 1078 (9th Cir. 1999)。第2に、コンピュータは「デジタルオーディオ録音装置」であるというNapsterの主張にもかかわらず、コンピュータはオーディオ家庭録音法によって定義されたようには「デジタル音楽録音物」を作成しない。同上at 1077 (citing S. Rep. 102-294)(「その定義のわかりやすい文言においても、立法経緯においても、用語『デジタル音楽録音物』をコンピュータハードドライブ上に固定された曲を含むように解釈する根拠は全くない。」)。

B.デジタルミレニアム著作権法
 また、Napsterはデジタルミレニアム著作権法(著作権法512条(CRIC))に含まれる「インターネット・サービスプロバイダ」のための著作権侵害訴訟からの「セーフハーバー」による保護を主張することによって責任に法的制限を介在させる。Napster, 114 F. Supp. 2d at 919 n.24参照。地裁は仮差止救済の否定のためにこの法的制限にいかなる重要性も与えなかった。地裁は、Napsterは「512条(d)項が寄与侵害者を保護することを本裁判所に説得するのに失敗した」と結論した。同上。

 我々はデジタルミレニアム著作権法512条は二次的侵害者を保護することはないだろうという包括的な結論を受け入れる必要はない。S. Rep. 105-190, at 40 (1998)(「(a)項ないし(d)項における制限は直接、代位、及び寄与侵害に対する全ての金銭救済の責任から資格を与えられたサービスプロバイダを保護している。」), reprinted in Melville B. Nimmer & David Nimmer, Nimmer on Copyright: Congressional Committee Reports on the Digital Millennium Copyright Act and Concurrent Amendments (2000)参照;Charles S. Wright, Actual Versus Legal Control: Reading Vicarious Liability for Copyright Infringement Into the Digital Millennium Copyright Act of 1998, 75 Wash. L. Rev. 1005, 1028-31 (July 2000)(「議会が代位責任から何かの除去を提供するために意図していたことは委員会報告書から疑いがない。」)も参照。

 我々はNapsterの潜在的寄与及び代位責任にデジタルミレニアム著作権法を適用しないこと自体には同意しない。その代わり、我々はこの争点はトライアルでより十分に熟すだろうと認識する。本件訴訟のこの段階では、原告らは、Napsterの512条に基づく保護を受ける能力に関して重大な疑問を提起しており、原告らは困難性の天秤が彼らに傾いていることも証明している。Prudential Real Estate, 204 F.3d at 874; see also Micro Star v. Formgen, Inc. 154 F.3d 1107, 1109 (9th Cir. 1998)(「仮差止を求める当事者は・・・本案訴訟に進む重大な疑問が提起されかつ困難性の天秤がはっきりと有利に傾くことを証明しなければならない。」)。

 原告らはこの法律において、(1)Napsterは著作権法512条(d)項によって定義されたインターネット・サービスプロバイダであるかどうか;(2)著作権者がサービスプロバイダにそのシステム上の侵害行為を知らせるために侵害行為の「公式な」通知をしなければならないかどうか;及び(3)詳細な著作権応諾ポリシーを適時に打ち立てることをサービスプロバイダに要求している512条にNapsterが従っているかどうか:を含む重大な問題を提起し、提起しつづけている。A&M Records, Inc. v. Napster, Inc., No. 99-05183, 2000 WL 573136 (N.D. Cal. May 12, 2000)(デジタルミレニアム著作権法512条の他の項に基づくNapsterへのサマリー判決を否定している)。

 地裁は、困難性の天秤が原告らに有利に傾いているという決定を支持する十分な証拠を考慮した:

仮差止によるNapster, Inc.のいかなる破壊も、原告らの著作物の(被告の自認によると1秒間に1万ファイルもの)膨大な、無許可のダウンロード及びアップロードの統計的証拠と比較すれば、推測に過ぎない。Kessler Dec. P. 29。裁判所は、仮差止なしには、これらの数は、Napsterユーザー(及び世間の注目によって引きつけられた新来者)がトライアル前に可能なだけタダの音楽を先を争って得るにつれて、急激に増えるだろうことを信じるあらゆる根拠を持っている。
114 F. Supp. 2d at 926。

VII 〔積極的抗弁〕

 Napsterは、たとえ著作権侵害を容易にすることに対して責任があるという地裁の仮の決定が正しいとしても、地裁は権利放棄、暗黙のライセンス及び著作権ミスユースに関する正当な積極的抗弁を不適当に拒絶したと強く主張する。我々は順にその抗弁について述べる。

A.権利放棄
 「権利放棄はその存在を知ってそれを放棄する意志を持って、知られている権利を意図的に放棄することである。」United States v. King Features Entm't, Inc., 843 F.2d 394, 399 (9th Cir. 1988)。著作権においては、著作権の権利放棄は「著作権者によって作品の権利を放棄する意志がある場合に限り、起こる」。4 Melville B. Nimmer & David Nimmer, Nimmer On Copyright カ 13.06 (2000); see also Micro Star v. Formgen, Inc., 154 F.3d 1107, 1114 (9th Cir. 1998)(放棄を議論している)。

 Napsterは、原告らがインターネットを介してMP3ファイルを複製又は頒布するために設計された技術を消費者に承知の上で提供し、これによりMP3ファイルの作成及び頒布の排他的な管理を行う法的権限を放棄したことを認定することにおいて、地裁は誤ったと論ずる、しかし、地裁は、「レコード会社が今彼らの知的所有権をむさぼり食っているモンスターを作り出した」ということを説得されなかった。 Napster, 114 F. Supp. 2d at 924。我々は、「MP3ファイルの急増を促進することに関して、原告らは彼らの商業的ダウンロード企業のためのパートナーを探すこと、及び、彼らがインターネットを介して販売する計画のファイルのための音楽プレーヤーを開発すること以上は[何もしていない]」という地裁の認定に誤りを発見しない。同上[7]

B.暗黙のライセンス
 また、Napsterは、原告らはインターネットを介したMP3ファイル交換を助長することによって暗黙のライセンスを許諾したと論じる。地裁は、一当事者が「[他の者の要求で]作品を作成しそれを与え、[その他の者]が複製し頒布する」という「限られた」状況においてだけ暗黙のライセンスを認定した。SmithKline Beecham Consumer Healthcare, L.P. v. Watson Pharms., Inc., 211 F.3d 21, 25 (2d Cir. 2000) (quoting Effects Assocs., Inc. v. Cohen, 908 F.2d 555, 558 (9th Cir. 1990)), cert. denied, 121 S. Ct. 173 (2000)。地裁は、この抗弁を支持する証拠は全くないと説示した、「実際、RIAAは被告に、Napster上で会員が著作権で保護された音楽を利用することに反対する速達の通知を行った」。Napster, 114 F. Supp. 2d at 924-25。記録はこの結論を支持している。

C.ミスユース
 著作権のミスユースの抗弁は著作権者が「著作権庁によって許可されていない排他的権利又は限定された独占を獲得すること」を禁じる。Lasercomb Am., Inc. v. Reynolds, 911 F.2d 970, 977-79 (4th Cir. 1990), quoted in Practice Mgmt. Info. Corp. v. American Med. Ass'n, 121 F.3d 516, 520 (9th Cir.), amended by 133 F.3d 1140 (9th Cir. 1997)。Napsterはオンライン頒布は著作権独占の中に入らないと主張する。Napsterによれば、原告らは「オンライン配布に支配に広げるために彼らの著作権を使用すること」を共謀した。

 我々はこの積極的抗弁に対する地裁の仮の拒絶に誤りを認めない。ミスユースの抗弁は著作権者が彼らの限定的独占をその独占の外側の領域を支配するためにテコとして使用するのを防ぐものである。Lasercomb, 911 F.2d 970 at 976-77; see also Religious Tech. Ctr. v. Lerma, No. 95-1107A, 1996 WL 633131, at *11 (E.D. Va. Oct. 4, 1996)(不適切なテコを示す状況をリストしている)参照[8]。本件においては原告らが彼らの独占の許可の外側の領域を支配することを求めているという証拠はない。むしろ、原告らは彼らの著作物の複製及び頒布、すなわち著作権者の排他的権利を支配することを求めている。著作権法106条;例えば、UMG Recordings, 92 F. Supp. 2d at 351(憲法及び著作権法に由来する「[著作権者の]『排他的』権利は、著作物のライセンスを拒否することによって、又は著作権者が受け入れられる条件だけでそうすることによって、広い範囲で、そのような派生的マーケットの発展を制限する権利を含んでいる。」)も参照。著作物が他のメディア(オーディオCDよりもむしろMP3フォーマット)に転換されることは我々の分析においては意味がない。同上at 351 (オーディオCDのMP3ファイルへの再製は作品を「変容」させないと認定している)参照。


VIII 〔差止の範囲〕

 地裁はNapsterの著作権侵害の関与に対する仮差止は是認されるだけでなく必要であると正しく認識した。しかし、我々は差止の範囲は我々の意見に照らして修正が必要であると信じる。特に、我々は、寄与侵害はNapsterが(1)著作権で保護された特定の楽曲及び録音物と共に侵害ファイルの合理的な知識を受け、(2)そのようなファイルがNapsterシステム上で利用可能であることを知り又は知るべきであり、かつ(3)その作品のウイルス性の頒布を防ぐために行動しなかった範囲においてのみ潜在的に負わせることができると反復して述べる。Netcom, 907 F. Supp. at 1374-75参照。実際の通知及びNapsterの侵害物の削除の不履行の証明がなければ、Napsterシステムの存在だけでは、寄与侵害を負わせるには不十分である。Sony, 464 U.S. at 442-43参照。

 逆に言えば、Napsterはそのシステムをパトロールするための能力を積極的に使用せず、そのサーチインデックスにリストされた潜在的な侵害ファイルへのアクセスを排除しないときに、代位的に責任があるということができる。Napsterは侵害音楽録音物を識別するサーチ機能を使用する能力及び侵害ファイルの伝送を行うユーザーの参加を禁止する権利の両方を有している。

 我々が停止した仮差止は、原告らの作品の「複製、ダウンロード、アップロード、伝送、又は頒布」がシステム上で起こらないことを確実にする全ての義務をNapsterに負わせるものであるから、適用範囲が広すぎる。前述のように、我々は、Napsterが侵害コンテンツへのアクセスをできなくする義務を持つ前に、Napsterシステム上で利用可能な著作物及びそのような作品が入っているファイルの通知をNapsterに提供する義務を原告らに置く。しかし、Napsterもシステムの制限内でシステムを取り締まる<policing>義務を負う。本件において、我々は、ファイルはユーザーが名付けたものであり、これは厳密に表現可能なものではないことを認識している。差戻審で仮差止を作り上げる際に、地裁は現在のNapsterシステムにおいてはNapsterがユーザーのMP3ファイルへアクセスできるようにはみえないことを認識すべきである。

 我々の差し戻しの意見により、仮差止の範囲についてのNapsterの控訴審における追加的な主張については述べる必要がない。しかし、我々は差戻審において再び主張しないようにNapsterの〔合衆国憲法〕修正1条に関する主張について簡単に述べる。Napsterは現在の差止は必要以上に広すぎるから修正1条に違反すると争う。Napsterは次の二つの言論の自由の権利を主張する:(1)「ディレクトリ」(本件におけるサーチインデックス)を出版する権利及び(2)情報を交換するユーザーの権利。我々は修正1条は著作権においてはフェアユース論の存在によって和らげられていることを指摘する。著作権法107条参照;一般的に、Nihon Keizai Shimbun v. Comline Business Data, Inc., 166 F.3d 65, 74 (2d Cir. 1999); Netcom, 923 F. Supp. at 1258(著作権法は著作権者の権利で修正1条とバランスを取っていると説示している)参照。本件においてNapsterユーザーはフェアユーザーではないと仮に決定された。フェアユースでない著作物の使用は当然に禁じられる。Dr. Seuss Enters. v. Penguin Books USA, Inc., 109 F.3d 1394, 1403 (9th Cir. 1997)(差止は修正1条違反の事前抑制〔出版物等の公表前に検査し公表を禁止すること〕を構成するであろうという被告らの主張を拒絶している)参照。


IX 〔補償金・ロイヤリティ〕

 Napsterの残りの主張、(1)地裁は5百万ドルの補償金を設定したことで誤った、及び(2)地裁は差止の代わりに建設的なロイヤリティ支払い方式を課すべきであった、という主張について述べる。

A.補償金
 Napsterは会社の価値は15億から20億ドルの間であるから5百万ドルの補償金は不十分であると論じる。補償金の総額に対する異議を裁量権の乱用に関して再審理する。Walczak v. EPL Prolong, Inc., 198 F.3d 725 (9th Cir. 1999)。

 我々は控訴審において補償金の総額を劇的に上げるのは乗り気ではない。GoTo.com, Inc. v. The Walt Disney Co., 202 F.3d 1199, 1211 (9th Cir. 2000)参照;Fed. R. Civ. P. 65(c)も参照。地裁はNapsterの価値の証拠及び差止がNapsterシステムに与えるであろう有害な効果の証拠を考慮した。Patel判事が補償金として必要な額を決定する際に裁量権を乱用したということはできない。

B.ロイヤリティ
 Napsterは地裁は差止に代えて強制ロイヤリティ方式で金銭的ペナルティーを課すべきであったと主張する。我々は地裁が拒否したものを行うことを求められている。Napsterは「大きな公衆の被害が差止によってもたらされるであろう、裁判所は・・・このような特別な状況においては差止の代わりに損害賠償又は継続的なロイヤリティを認めるであろう」と我々に言う。Abend v. MCA, Inc., 863 F.2d 1465, 1479 (9th Cir. 1988) (quoting 3 Melville B. Nimmer & David Nimmer, Nimmer On Copyright §14.06[B] (1988)), aff'd, 495 U.S. 207 (1990)。本件が著作権法の定着した論理を新技術に適用することを我々に求めているという理由だけで「特別な状況」を認定するというのは我々には全くわけがわからない。差止が「大きな公衆の被害」をもたらすであろうという点でもNapsterに同意できない。さらに、我々は強制ロイヤリティが本件の状況に適切であるといういかなる提案も狭く解釈する、なぜなら、間違いなく議会は強制ロイヤリティの適用を特別な状況に制限しており、本件はそのような状況ではないからである。著作権法115条(CRIC)参照。

 著作権法は侵害者に様々な制裁を提供する。例えば、著作権法502条(差止;504条(損害賠償);及び506条(刑事罰)参照;18 U.S.C. 2319A(録音物及びライブ音楽公演の音楽ビデオの固定及び取引のための刑事罰)も参照。これらの制定法の制裁は著作権侵害によって引き起こされた問題に対するまずまず以上の立法的解決を示している。

 強制ロイヤリティ支払い計画を課すとすれば、Napsterに本件の「安易な逃げ道」を与えることになるだろう。もし、そのようなロイヤリティが課せられたとすると、Napsterは将来の違反に対する差止のペナルティー、継続する侵害に対する制定法上の著作権損害賠償及び考えられる刑事罰を回避することになろう。また、ロイヤリティ方式はNapsterに継続及びロイヤリティの支払い、又は閉鎖のどちらかを選ぶという身勝手を与えるであろう。他方、不公平な扱いをされた当事者は知的所有権の不法使用から利益を得る会社とビジネスをすることを強いられるであろう。原告らは知的所有権を支配する力を失うであろう、原告らはNapsterに権利をライセンスしないというビジネス上の決定を行うことができないであろう、そして、Napsterとビジネスを行うことを計画する場合、強制ロイヤリティは契約上の取り決めの条件を交渉する著作権者の能力を奪い去るであろう。


X 〔結論〕

 我々は一部維持し、一部取消し、差戻す。

 我々は本件控訴の前に地裁によってなされた仮差止は本意見の要件に従うように地裁によって修正されるまで停止が続くものと指示する。我々は、地裁が修正された仮差止の決定及び登録を進めるという制限された目的のために、本意見の登録の日に、本件の一部差戻を命じる。

 仮差止の修正が必要ではあるが、被控訴人ら〔原告ら〕は控訴審において実質的に及び主に勝っている。被控訴人ら〔原告ら〕は控訴審における制定法上の費用を取り戻すものとする。Fed. R. App. P. 39(a)(4)(「判決が一部維持され、一部取消され、修正され若しくは破棄されたときは、費用は裁判所の命令としてだけ負担させることができる。」)参照。

一部維持し、一部取消し、差戻す。

  

弁護士目録[訳1]

 被告−控訴人代理人 David Boies, Jonathan Schiller and Robert Silver, Boies, Schiller & Flexner, Armonk, New York, Laurence F. Pulgram, David L. Hayes, Daniel Johnson, Jr. and Darryl M. Woo, Fenwick & West, Palo Alto, California.
 原告−被控訴人代理人 Russell J. Frackman, George M. Borkowski, Jeffrey D. Goldman, Roy L. Shults and Peter B. Gelblum, Mitchell, Silberberg & Knupp, Los Angeles, California; Carey R. Ramos, Paul, Weiss, Rifkind, Wharton & Garrison, New York, New York.
 法廷助言者 Casanova Records 代理人 Hannah Bentley, San Anselmo, California.
 法廷助言者 Digital Media AssociationAndrew 代理人 P. Bridges, Wilson, Sonsini, Goodrich & Rosati, Palo Alto, California.
 法廷助言者 Ad Hoc Copyright Coalition; Commercial Internet Exchange; Computer & Communications Industry Association; Information Technology Association of America; Netcoalition.com; United States Internet Industry Association, 及び United States Telecommunications Association 代理人 Scott E. Bain, Wiley, Rein & Fielding, Washington, D.C..
 法廷助言者 合衆国 代理人 Scott R. McIntosh, Civil Division, Department of Justice, Washington, D.C..
 法廷助言者 American Civil Liberties Union 及び the American Civil Liberties Union of Northern California 代理人 Ann Brick, San Francisco, California.
 法廷助言者 Scour, Inc 代理人 Judith B. Jennison, Perkins Coie, San Francisco, California.
 法廷助言者として Ralph Oman, Dechert, Price & Rhoads, Washington, D.C..
 法廷助言者 National Academy of Recording Arts & Sciences 代理人 Christopher Tayback, Quinn, Emanuel, Urquhart, Oliver & Hedges, Los Angeles, California.
 法廷助言者 Business Software Alliance 代理人 E. Edward Bruce, Covington & Burling, Washington, D.C..
 法廷助言者 Motion Picture Association of America, Inc., Software & Information Industry Association, American Film Marketing Association, Association of American Publishers, American Society of Media Photographers, Professional Photographers Association, Graphic Artists Guild, Interactive Digital Software Association, American Society of Composers, Authors and Publishers, Broadcast Music, Inc., Producers Guild of America, Directors Guild of America, Inc., Writers Guild of America, West, Inc., American Federation of Musicians of the United States and Canada, Reed Elsevier, Inc., American Federation of Television and Radio Artists, Office of the Commissioner of Baseball, Songwriters Guild of America, 及び AmSong, Inc 代理人 Kevin T. Baine, Williams & Connolly, Washington, D.C..; 法廷助言者 National Basketball Association 代理人 Joel M. Litvin, New York, New York.
 法廷助言者 National Association of Recording Merchandisers, Inc. 及び Video Software Dealers Association 代理人 Salvatore A. Romano, Seyfarth, Shaw, Washington, D.C..
 法廷助言者 法学教授 Erwin Chemerinsky, Kenneth L. Karst, Steven Shiffrin, Rodney A. Smolla 及び Marcy Strauss 代理人 Erwin Chemerinsky, University of Southern California School of Law, Los Angeles, California.
 法廷助言者 Association for Independent Music 代理人 Barry I. Slotnick, Richards & O'Neil, New York, New York.
 法廷助言者 Alliance Entertainment Corp., Audible Inc., Blue Spike, Inc., The Clandestine Group, Inc., Digimarc Corporation, Digital Media on Demand, Inc., FullAudio Corporation, InterTrust Technologies Corporation, Oak Technology, Inc., Reciprocal, Inc., RioPort, Inc., RPK SecureMedia Inc., Verance Corporation, 及び VNU USA, Inc 代理人 Morton David Goldberg, Cowan, Liebowitz & Latman, New York, New York.
 法廷助言者 Consumer Electronics Association, Digital Future Coalition, 及び Computer & Communications Industry Association 代理人 Richie T. Thomas, Squire, Sanders & Dempsey, Washington, D.C..
 法廷助言者 Association of American Physicians & Surgeons, Inc. 及び Eagle Forum Education and Legal Defense Fund 代理人 Karen B. Tripp, Houston, Texas.
 法廷助言者 著作権法教授 Professor Jessica Litman, Wayne State University Law School, Detroit, Michigan; Professor Keith Aoki, University of Oregon School of Law; Professor Ann Bartow, University of South Carolina School of Law; Professor Dan Burk, University of Minnesota; Professor Julie Cohen, Georgetown University School of Law; Professors Christine Haight Farley and Peter Jaszi, Washington College of Law, American University; Professor Lydia Pallas Loren, Lewis and Clark College Northwestern School of Law; Professor Pamela Samuelson, Boalt Hall School of Law, University of California Berkeley; Professor Shubha Ghosh, University at Buffalo, SUNY; Professors Paul J. Heald, Allen Post Professor of Law, L. Ray Patterson, Pope Brock Professor of Law, and Laura N. Gasaway, University of Georgia School of Law; Professor Michael Madison, University of Pittsburgh School of Law; Professor Ruth Okediji, University of Oklahoma Law School; Alfred C. Yen, Associate Dean for Academic Affairs and Professor of Law, Boston College Law School; Professor Diame Zimmerman, New York University School of Law, 及び Professor Dennis Karjala, Arizona State University College of Law.




脚注
(1)「ダウンロードは情報(典型的にはファイル)を他のコンピュータからあなたのモデムを介してあなたのコンピュータに受信することを意味し・・・・。その反対語アップロードは他のコンピュータへファイルを送信することを意味する。」United States v. Mohrbacher, 182 F.3d 1041, 1048 (9th Cir. 1999) (quoting Robin Williams, Jargon, An Informal Dictionary of Computer Terms 170-71 (1993))。

(2)著作権侵害の二次的責任は第三者による直接侵害の存在がなければ存在しない。Religious Tech. Ctr. v. Netcom On-Line Communication Servs., Inc., 907 F. Supp. 1361, 1371 (N.D. Cal. 1995)(「被告による寄与侵害は、他の者の直接侵害なしには、あり得ない)。したがってNapsterはそのユーザーによる直接侵害がなければ著作権法の侵害を手助けすることにはならない。

(3)Napsterは、原告らは差止救済を求めているから、原告らはNapsterによって提起された著作権法107条に基づくフェアユースを含む積極的抗弁に打ち勝つであろう可能性を証明する責任を有すると力説する。Atari Games Corp. v. Nintendo, 975 F.2d 832, 837 (Fed. Cir. 1992)(第9巡回区判例法に従い、原告は著作権侵害の一応の証明に成功する可能性及び著作権ミスユース抗弁に打ち勝つであろう可能性を証明しなければならないと説示している)参照;Dr. Seuss Enters. v. Penguin Books USA, 924 F. Supp. 1559, 1562 (S.D. Cal. 1996)(「原告の本案訴訟で勝訴する可能性の証明責任には被告によって提起された積極的抗弁に打ち勝つであろう可能性の証明責任が含まれる。」), aff'd, 109 F.3d 1394 (9th Cir. 1997); Religious Tech. Ctr. v. Netcom On-Line Communication Servs., 923 F. Supp. 1231, 1242 n.12 (1995) (same); 2 William W. Schwarzer et al., California Practice Guide, Federal Civil Procedure Before Trial ¶ 13:47 (2000)(仮差止を求めるときは、「原告は原告の訴訟事実に勝つだけでなく積極的抗弁に打ち勝つ可能性も証明しなければならない」と忠告している)も参照。しかし、Fair Use of Copyrighted Works, H.R. Rep. 102-836 n.3(「著作権者が仮差止を求める場合、著作権者が[フェアユース]抗弁を論駁する立証責任を負うと地裁が誤って判示した」としてニューヨーク北部地区〔地裁〕の事件を批判している)を参照;1 William F. Patry, Copyright Law & Practice, 725, 725 n.27 (1994)(仮差止段階において被告に立証責任を負わせた複数の事件を引用している)も参照。
 地裁は「被告は積極的抗弁を・・・証明する責任を負う」と述べている。Napster, 114 F. Supp. 2d at 912。原告らは地裁はNapsterに立証責任を負わせた点で誤りを犯していないと力説する。もし、原告らが仮差止段階でNapsterの積極的抗弁に打ち勝つであろうことを証明する責任を負ったとしても、記録はNapsterユーザーが著作物のフェアユースを行っていないという地裁の結論を支持していると、我々は結論する。

(4)Napsterは、一定のユーザーが音楽を購入する代わりにダウンロードすることによって商業的使用を行っているとしても、それにもかかわらず空間シフト及び試聴は本質的に非商業的であると反論する。我々は後にこれらの特定の使用の我々の議論に中でこの論点について述べる。

(5)地裁は実際に知っていることを次のことから認定した:(1)Napsterの共同創業者Sean Parkerによって書かれた文書が、「ユーザーが海賊音楽を交換しているからユーザーの『本当の名前及びIPアドレス』を知らないでおくことが必要」であると述べていること;及び(2)米国レコード産業協会(「RIAA」)が12,000以上の侵害ファイルを知らせ、そのいくつかはまだ利用可能であること。114 F. Supp. 2d at 918。地裁は推論的認識を次のことから認定した:(a)Napsterの役員がレコード産業の経験を有している;(b)彼らは他の場合では知的所有権を行使している;(c)Napsterの役員はそのシステムから著作権で保護された曲をダウンロードした;(d)彼らは「侵害ファイルをリストした画面」でサイトを奨励した。同上at 919。

(6)地裁によって説示されたように:

原告らは・・・RIAAが12,000以上の侵害ファイルを知らせたから、被告が直接侵害を実際に知っていたことを証明した。Creighton 12/3/99 Dec., Exh. D参照。Napster, Inc.はこれらのファイルを提供するユーザーをやめさせたと称しているが、レコード会社被告らが訴状の目録A及びBで識別した著作物のように、それらの曲はまだNapsterサービスを使って利用可能である。Creighton Supp. Dec. PP 3-4参照。
114 F. Supp. 2d at 918。

(7)さらにNapsterは、地裁は積極的抗弁に関する追加的なディスカバリを認めることを不適切に拒否し、また、証人の審尋を誤って行わなかったと力説する。更なるディスカバリを裁判所が拒否しているから、証人の審尋の拒絶は裁量権の乱用として再審理される、Kenneally v. Lungren, 967 F.2d 329, 335 (9th Cir. 1992), as is the court's decision to deny further discovery. See Sablan v. Dep't of Finance, 856 F.2d 1317, 1321 (9th Cir. 1988)(「ディスカバリの拒否が実際及び実質的不利益をもたらすこと」を明確に証明した場合を除き、ディスカバリを拒否する判断は妨げられないだろうと説示している)参照。我々は地裁が更なるディスカバリを拒否し証人の審尋を行うことを拒絶した点で裁量権の乱用を行っていないと結論する。

(8)地裁は著作権ミスユースの積極的抗弁を認めた「ほとんどの事件」は不当に制限的なライセンス計画に関連していると正しく説示した。Napster, 114 F. Supp. 2d at 923参照;Lasercomb, 911 F.2d at 973(「著作権ミスユース抗弁は著作権法に固有のものである」と説示している)も参照。しかし、我々は、著作権ライセンスの一方的な拒絶はミスユースの主張を起こす不当な排他的行為を構成し得ると提言したが、「他者を排除する欲求は・・・消費者の直接の被害に対するビジネス上の正当な理由と推定される」と考える。Image Tech. Servs. v. Eastman Kodak Co., 125 F.3d 1195, 1218 (9th Cir. 1997)参照。しかし、Intergraph Corp. v. Intel Corp., 195 F.3d 1346, 1362 (Fed. Cir. 1999)(「マーケット力が『知的所有権者にその権利を他者にライセンスする義務を課す』ことはない。」(quoting United States Dep't of Justice & Fed. Trade Comm'n, Antitrust Guidelines for the Licensing of Intellectual Property 4 (1995))を参照。




訳注
(訳1)弁護士目録には、原告−被控訴人の代理人、及び被告−控訴人の代理人の他に、極めて多数の法廷助言者<amicus>の代理人が列挙されており、この裁判が様々な分野から注目されていることがわかる。日本ではブロードバンド技術が普及していないために、この事件は対岸の火事でしかないが、ブロードバンド技術が普及しているアメリカでは著作権ビジネスを行っている全ての者にとって死活的に重要な事件であり、一方、今後、ピア・ツー・ピア技術を発展させようとしている者にとっても重要な事件である。そのため、このように多数の法廷助言者が意見を提出したのである。法廷助言者の制度は日本にはないが、事件の当事者以外の第三者が裁判所に意見を提出できる制度である。この控訴事件の審理対象となった地裁の仮差止命令は、Napsterを事実上崩壊させるだけでなく、ピア・ツー・ピア技術の発展に対しても制約を加える恐れがあるものであった。控訴裁は当事者の主張及び多数の法廷助言者の意見を聞き、著作権法及び従来の判例法を適用して、Napsterの著作権侵害を差し止め、一方でピア・ツー・ピア技術の発展も阻害しない判断をしたのである。しかし、下記の差戻審仮差止命令で地裁のPATEL判事が「原告らが識別する各特定の侵害ファイルに依存する救済は幻想であろう」と述べていることからもわかるように、これで根本的な解決になるかどうは不明である。この事件も今後、本案訴訟で正式な差止及び損害賠償が審理されることになる。このように現在のアメリカでは、ブロードバンド技術が拓いた新しいフロンティアで、Napsterが瞬く間に巨大な勢力を築き上げ無法状態となったが、これに対してレコード会社が著作権を主張して対抗し、巡回裁判所が当事者の主張及び多数の法廷助言者の意見を聞き、著作権を保護しながらピア・ツー・ピア技術の発展も阻害しないような法律判断を示して、新しいフロンティアに法秩序が形成されようとしているのである。
 
 
 


  
Napster ピア・ツー・ピア事件 地裁差戻審 仮差止命令
カリフォルニア北部地区合衆国地方裁判所

No. C 99-05183 MHP
MDL No. C 00-1369 MHP

 原告 A&M RECORDS, INC., a corporation; GEFFEN RECORDS, INC., a corporation; INTERSCOPE RECORDS, a general partnership; SONY MUSIC ENTERTENT INC., a corporation; MCA RECORDS, INC., a corporation; ATLANTIC RECORDING CORP., a corporation; ISLAND RECORDS, INC., a corporation; MOTOWN RECORD COMPANY L.P., a limited partnership; CAPITOL RECORDS, INC., a corporation; LA FACE RECORDS, a joint venture; BMG MUSIC d/b/a THE RCA RECORDS LABEL, a general partnership; UNIVERSAL RE CORDS INC., a corporation; ELEKTRA ENTERTAINMENT GROUP INC., a corporation; ARISTA RECORDS, INC., a corporation; SIRE RECORDS GROUP INC., a corporation; POLYGRAM RECORDS, INC., a corporation; VIRGIN RECORDS AMERICA, INC., a corporation; and WARNER BROS. RE CORDS INC., a corporation,
 被告 NAPSTER, INC.

命     令

 2001年2月12日に登録された第9巡回区合衆国控訴裁判所の意見に従い、この2001年3月5日に、ここに、本件訴訟継続中及び終局判決がなされるまで、被告Napster.inc及びその代理人、使用人、従業員、代表者、子会社、譲受人及び彼らと提携し若しくは彼らの指示に従い活動する者は以下のように禁止される:

 1.Napsterは、本命令に従い著作権で保護された録音物を複製、ダウンロード、アップロード、伝送、又は頒布することを、以下に明らかにされる手続に従い、仮に差し止められる。

 2.原告らは各作品について以下のものを提供して著作権で保護された録音物をNapsterに知らせるものとする:

(A)作品のタイトル;
(B)作品の演奏を特徴づける録音されているアーティスト(「アーティスト名」);
(C)各作品が入っているNapsterシステム上で利用できる1又はそれ以上のファイル名[1]
(D)原告らが侵害と申し立てる権利を所有又は管理していることの証明書。
原告らは著作権で保護された録音物のアーティスト名及びタイトルばかりでなく侵害しているファイルを特定する実質的な努力を行うこととする。

 3.全ての当事者は、原告らによって識別された作品の、ファイル名、又はアーティスト名若しくはタイトルのスペルのバリエーションを識別するために、合理的な手段を使うものとする。Napsterシステム上で利用可能なファイルが原告らによって識別された特定の作品又はファイルのバリエーションであると信じることが合理的であれば、全ての当事者はその作品の実際の識別(タイトル及びアーティスト名)を確認する義務及び本命令の文脈内で適切な行動を取る義務を有する。

 4.第9巡回区〔控訴裁〕は、原告らの著作物の複製、ダウンロード、アップロード、伝送、又は頒布がそのシステム上で起こらないことを確実にするための義務を当事者間で分配することを判示した。裁判所は「通知をNapsterに提供する義務を原告らに置き」、「システムの制限内でシステムを取り締まる<policing>」義務をNapsterに課した。A&M et al. v. Napster, No.00-16v4001,slip op. at 2206 (9th Cir. Feb. 12, 2001)。2001年3月2日の審尋における当事者による事実に関する意見陳述に基づいて、原告らがNapsterシステム上の全ての侵害ファイルを識別するのは、システムの稼働の一時的な性質を考えると、困難であろうように裁判所にはみえる[2]。しかし、この困難性はNapsterからその義務を解放しない。裁判所は、原告らによって提供された著作権で保護された録音物のリストに対して特定の時にそのシステム上で利用可能なファイルをNapsterがサーチするのはより簡単かもしれないと、裁判所は予想する。そのようなサーチの結果が第9巡回区〔控訴裁〕によって要求された特定の侵害ファイルについての合理的な知識をNapsterにもたらすと、裁判所は考える。同上at 2205。

 5.著作権で保護された録音物が入っている特定の侵害ファイルの前記パラグラフ2、3又は4で識別されたソースからNapsterが「合理的な知識を受けると」、Napsterは、3ビジネス日以内に、そのようなファイルをNapsterインデックスに含まれることを防ぐ(それによってNapsterシステムを介してそのような名前に対応するファイルにアクセスすることを防ぐ)ものとする。

 6.侵害ファイルの合理的な通知の受領の3ビジネス日以内に、Napsterは全てのユーザーがログオンするとき(すなわち、そのファイル名がNapsterインデックスに含まれる前に)そのユーザーによって利用可能とされる全てのファイル名を積極的にサーチし、通知された著作権で保護された録音物の複製、ダウンロード、アップロード、伝送、又は頒布を防ぐものとする。

 7.原告らは、アーティストの以前の作品についての調査に基づき、人気及びNapsterシステム上に現れる頻度を含むがそれに限定されず、Napsterシステム上で侵害の実質的可能性のある録音物の発売前に、アーティスト名、録音物のタイトル、及び録音物の発売日をNapsterに提供することができる。Napsterは最初の侵害ファイルからその識別された録音物への又はシステムを介したアクセスをブロックするものとする。Napsterは現在(技術を高めることがなくてさえ)情報を蓄積しその後に特定の録音物を遮断する能力を有しているから、負担ははるかに少なく、それらの発売の前にそれらの作品の伝送をNapsterがブロックするよう要求するのがより公平である。別のやり方で命令するとすれば、原告らが特定の侵害ファイルを識別しNapsterがその作品を遮断するのにかかる時間の間、Napsterユーザーのフリーライドを許すことになるであろう。

 8.本命令の日から5ビジネス日以内かつ本命令の2又は6パラグラフで規定されたように原告らによる通知の送達から5ビジネス日以内に、Napsterは本命令に応諾するために行った処置を確認する応諾報告書を原告らに送達し裁判所に登録するものとする。

 9.本仮差止の履行に当たって、当事者らが本命令に基づく義務を遂行するNapster又はNapsterシステムの能力を争う場合は、当事者らはその問題について裁判所における審尋期日をセットすることができる。しかし、そのような争いが本差止を中止又は軽減させることはない。裁判所はその争いと関連して裁判所を助ける技術的な専門家として独立した第三者を指名することができる。

 10.本命令に基づく原告らによる通知はそのような場合のビジネスの通常のフォーマットでNapsterに提供される。

 11.総額500万ドルの補償金が既に裁判所に積まれており、本命令は直ちに効力を発する。

2001年3月5日
MARILYN HALL PATEL
首席裁判官
カリフォルニア北部地区合衆国裁判所



 

1.第9巡回区〔控訴裁〕は原告らがNapsterに著作物が入っている「特定の侵害ファイル」名を提供することを命じた。A&M Records,et al. v. Napster, Inc., No. 00-164001, slip op. at 225 (9th Cir. Feb. 12, 2001)。この文言はいかなる与えられた時間においてもNapsterのシステム上に現れる著作物が入っている特定のファイルのタイトルに言及しているようにみえる。裁判所は各ファイルはそのファイルを提供するユーザーがNapsterシステムにログオンしている時だけ利用可能であるとみている。そのユーザーがシステムをログオフすると、特定の侵害ファイルはもはやNapster上では利用できない。他のユーザーがログオンして同じ著作物が入っているファイルを提供することができるが、そのユーザーは異なったファイル名を付与しているかもしれない。

2.侵害ファイルがシステム上に現れるかもしれない制限された時間及び個々のユーザーがファイル名をつける能力を考えれば、原告らが識別する各「特定の侵害ファイル」に依存する救済は幻想であろう。
 


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