プログラム関連特許権
はじめに
《日本の特許事件》
職務発明事件
職務発明事件と裁判所の認定判断(日本の特許法に35条(職務発明)の規定は必要か?)
特許法35条(職務発明)の改正案について(職務発明規定の改正で知的財産立国は実現するか?)
一太郎事件知財高裁大合議判決について(地裁では差止、高裁では特許は無効)
特許法2条1項(自然法則)を争点とした知財高裁判決(最近の2件は拒絶審決取消)<New
《米国の特許事件》
米国特許法抜粋/インターネットと属地主義(.comを使うと米国のビジネスモデル特許を侵害するか?)
1998.07.23 State Street ハブ・アンド・スポーク事件(CAFC)(ビジネスモデル特許の基本判例)
1999.12.01 Amazon 1クリック特許事件(地裁)(1クリック特許;有効、侵害、仮差止)
2000.03.29 ビジネス方法特許イニシアティブ(USPTO)(ビジネス方法特許審査の品質向上策)
2000.07.19 ビジネス方法特許白書(USPTO)(ビジネス方法特許に関する白書)
2000.07.26 ビジネス方法出願の自明性拒絶の論理づけ(USPTO)(自明性拒絶の論理づけ)
2001.02.14 Amazon 1クリック特許事件(CAFC)(1クリック特許;無効、仮差止取消)
2002.05.28 FESTO均等論・禁反言事件(最高裁)(均等論と禁反言)
米国判例の翻訳と日米判例の対比(米国のFESTO事件と日本のボールスプライン事件の最高裁判決の対比)
2002.08.22 BTインターネット事件(地裁)(インターネットはBTの特許を侵害しない)
2003.09.22 MIDCOミーンズ・クレーム事件(CAFC)(§112¶6のクレーム範囲は明細書中で機能と関連する構造と均等物)
2005.07.12 Philips特許事件(CAFC大法廷)(地裁裁判官用のクレーム文言解釈の教科書)
2006.05.15 eBay差止事件(最高裁)(差止は4要素テストにより地裁裁判官が決定する)
2007.04.30 KSR特許自明事件(最高裁)(CAFCの自明性(容易性)の判断は狭く硬直している)
2007.05.02 Windows事件(最高裁)(米国外で製造されたWindows搭載パソコンは米国特許を侵害しない)
2007.08.06 Microsoft v. Lucent MP3特許事件(地裁)(MicrosoftはLucentのMP3特許を侵害しない)
2007.10.10 KSR判決を考慮した自明性の審査基準(米国特許商標庁)(KSR判決を考慮した基準)
2008.10.30 Bilskiビジネスメソッド事件(CAFC大法廷)(101条のテストは「機械または変換テスト」)<New
はじめに最近、ビジネスモデル特許が注目を集めています。そのきっかけとなったのは、1998年7月のState Street v. Signatureハブ・アンド・スポーク事件CAFC判決であるといわれています。そこで、この判決を翻訳しました。また、今後もビジネスモデル特許に関連する重要な判決等を翻訳したいと思います。
2000.03.10 井 上 雅 夫
職務発明事件
職務発明事件と裁判所の認定判断
アメリカの特許法には職務発明の規定はないのですが、日本の特許法には35条に職務発明が規定されています。最近(2004.01.30)、青色発光ダイオード事件で604億円の支払額の認定がなされ、注目を集めています。そこで、青色発光ダイオード事件地裁判決、オリンパス事件最高裁判決、オリンパス事件東京高裁判決、日立事件東京高裁判決における事実認定、法律判断がどのようなものであるのかについて書いてみました。2005.01.11>青色発光ダイオード事件は東京高裁で6億円で和解。2006.10.29>外国特許の職務発明に関する日立事件最高裁判決について。2009.01.10>職務発明の見直しの記事(2009.1.5)について<New。2009.02.02>特許法35条1項の改正私案<New
特許法35条(職務発明)の改正案について
特許庁が公開している報告書「職務発明制度の在り方について」と特許法35条(職務発明)の改正案を検討し、改正法施行後に職務発明訴訟がどのようになるのかを予想してみました。主要な職務発明事件の判決等
2001.05.22 オリンパス事件東京高裁判決
2003.04.22 オリンパス事件最高裁判決
2004.01.29 日立事件東京高裁判決
2004.01.30 青色発光ダイオード事件(日亜化学事件)東京地裁判決
2004.02.24 味の素事件東京地裁判決
2005.01頃 青色発光ダイオード事件(日亜化学事件)東京高裁和解勧告書(知財高裁)
2006.10.17 日立事件最高裁判決
新聞やテレビで大きく報じられた東京地裁の差止判決(東京地裁判決2005.02.01)は、知財高裁判決(知財高裁判決2005.09.30)によって取り消されました。地裁判決は多くの人を驚かせたと思いますが、知財高裁判決の結論は多くの人を納得させるものだと思います。しかし、この知財高裁判決と東京地裁判決を詳細に検討すると、様々な問題が浮き彫りになってきます。
(2006.04.01追記)この「一太郎事件知財高裁大合議判決について」は一般の人向け(特にソフトウェア産業の人向け)に書いたものですが、これを判例評論向け(法律の専門家向け)に書き直した「一太郎事件知財高裁大合議判決」が、判例評論566号(判例時報1918号(平成18年4月1月号)197頁)に掲載されました。
(注22)で、本判決の特許法101条4号に関する評釈を掲載日順に紹介しました(2006.08.10)。
アメリカのCAFCは、2008年10月31日、Bilskiビジネスメソッド事件CAFC大法廷判決において、米国特許法101条に規定する「プロセス」を構成するかどうかを決定するテストは、「機械または変換テスト」のみであると判示した。米国特許法101条に対応する日本の条文は、特許法2条1項の「自然法則を利用した技術的思想の創作」の要件である。そこで、日本の知財高裁の特許法2条1項(自然法則)に関する最近の判決を検討してみた。最近の知財高裁判決は、「構成中に,人の精神活動,意思決定又は行動態様を含んでいたり,人の精神活動等と密接な関連性があったりする場合において,そのことのみを理由として,特許法2条1項所定の『発明』であることを否定すべきではなく」という画期的な判示をしている。この判決は、特許庁の「コンピュータソフトウェア関連発明」の審査基準を否定していると思う。
米国特許法(1999年法)の特許性と侵害訴訟に関連する条文を翻訳しました。また、ビジネスモデル特許の場合は審査官が先行技術を知らないために、これまで以上に開示義務が問題にされると考えられるので、開示義務についての規則も翻訳しました。
米国特許の効力は合衆国内だけにしかありませんが(属地主義)、インターネットには国境がありません。そこで、日本で行っているeコマースがドメイン名を「.com」としただけで米国のビジネスモデル特許を侵害するかどうかというような問題を、Amazon.comの1クリック特許を例にして考えてみました。
ハブ・アンド・スポーク事件と呼ばれており、最近、話題の多いビジネスモデル特許の基礎となる判例である。
特許権者はSignatureであり、最初は6個の装置クレームと6個の方法クレームであったが、審査過程で方法クレームを削除し、残った6個の装置クレームで特許を受けた。
State StreetはSignatureとライセンス交渉を行ったが決裂し、State
Street(原告、被控訴人)が特許権者のSignature(被告、控訴人)に対して特許無効、行使不能、非侵害の確認訴訟を提起した。
地裁は、クレームは、方法に関するものであり、数学的アルゴリズムの除外又はビジネス方法の除外に該当し、このタイプの会計方法の全てを事実上禁じるほど広いと判示し、クレームは米国特許法101条の法定対象物に関するものではなく無効であるとして、State
Street勝訴のサマリー判決を行った。
これに対して、Signatureが控訴した。
CAFCは、クレームは、ハブ・アンド・スポーク・ソフトウエアがプログラムされた装置に関するものである、特許性のない3つのカテゴリーは「自然法則、自然現象、及び抽象的アイディア」であり、数学的アルゴリズムは単なる抽象的なアイディアである限り特許可能な対象物ではないが、クレームは「有用で、具体的で、かつ現実の結果」を生成しており、たとえ、有用な結果が価格、利益、パーセント、費用、又は損失のような数で表現されていても、クレームは法定対象物である、ビジネス方法の除外はこれを機会に終わりにする、ビジネス方法の除外の適用に常に優先して、特許法のより明確な概念又は数学的アルゴリズムの認定に基づく抽象的アイディアの除外の適用がなされてきた、クレームが広いかどうかは第101条(法定対象物)ではなく、第102条(新規性)、第103条(非自明性)及び第112条(明細書)に基づいて判断すべきである、クレームが第101条の対象物に関するものであるかどうかは、他の何かの代わりに、クレームされたものが「ビジネス」を行っているかどうかによるべきではないと判示し、原判決を破棄、差し戻した。
アマゾンの1クリック特許についての地裁の仮差止判決です。特許は有効であり、侵害であると判示しています。裁判所は、被告は2又はそれ以上のアクションを必要とするようにシステムを修正することができ、仮差止後も修正すれば営業を続けることができる旨指摘しています。この判決をきっかけとして、勝訴したAmazonに対するボイコット運動(GNU)が起こりました。なお、この地裁判決の翻訳は行いませんが、これを取り消したCAFC判決を翻訳しました。
アマゾンのCEOのベゾス氏等が先行技術文献を賞金付きで募集するサイト(BountyQuest)を開設しました(WiredNews)。このようなこともビジネスにしてしまうのですから、アメリカ人の発想はすごい! 1クリック特許に1万ドル、この賞金サイトのビジネスモデルに対して約1万4千ドルの賞金がかけられています。
合衆国特許商標庁(USPTO)は、ビジネス方法特許に関して、産業界への裾野を広げる活動として、産業界との共同事業、ラウンドテーブル・フォーラムの開催、産業界のフィードバック、また、審査の品質向上策として、技術研修の拡充、審査ガイドラインの改訂、サーチの拡充を行う旨の発表を行った。
合衆国特許商標庁(USPTO)がビジネス方法特許について白書を公開しました。ビジネス特許の歴史の中にIBMが登場します。アメリカの最近5年間のビジネス方法特許の譲受人のトップ10内に、富士通、日立、松下電器が入っています。米国特許商標庁は、ビジネス方法特許の発展に伴ってリソースを移行させ、品質も改善しつつあると述べています。
翻訳文 / 原文(USPTO)2001.02.14 Amazon 1クリック特許事件 (CAFC)米国特許商標庁がビジネス方法出願についての103条拒絶について文書を公表しました。米国特許法の103条〔自明性〕は日本の特許法29条第2項〔容易性〕に対応します。この文書は一般的に自明性拒絶の論理づけについて述べた本文と、ビジネス方法に関連した例1〜19から成ります。本文は、ビジネス方法だけでなく、あらゆる技術分野においても同様に適用されるため、米国に特許出願をしているあらゆる人にとって有用な情報であると思います。例1〜4は引用文献中に明示又は暗示された拒絶の論理づけの例です。例5〜16は引用文献以外から論理的に推論する拒絶の論理づけの例です。例17〜19は拒絶の不適切な記載の例です。2001.02.09>訳注で日本の「特許・実用新案審査基準」(2001.12.28改訂)との類似点を指摘しました。
翻訳文 / 原文(Georgetown Univ.)
CAFC(特許事件の専属管轄権を有する控訴裁)は、次のように判示して、地裁の仮差止命令を取り消しました。2002.05.28 FESTO均等論・禁反言事件(最高裁)
アマゾン(Amazon)の特許は品目の「シングルアクション」注文に関する。クレームが適切に理解された時だけ、そのクレームが被告の装置の「上で読める」かどうかを決定することができる。有効性及び侵害の分析の両方の目的のために同じ意味が与えられなくてはならない。
バーンズアンドノーブル(BN)の顧客は「製品ページ」上に用意された「Express Lane」ボタンを「クリックする」ことだけによって、品目を購入することができる。我々は、Amazonは侵害事件のトライアルにおいて勝つ可能性を証明したと結論する。
仮差止を阻止する場合は、無効自体を立証するのに必要な明確かつ説得力のある証明よりも劣った証拠でよい。我々はBNがAmazonの特許の有効性に対する重大な異議を提起したと結論する。しかし、最終的には、トライアルにおいて解決される問題である。
BNが提出したCompuServeトレンド株式チャート注文画面は、買い手が株式銘柄をタイプすると、「その品目を識別する情報」(株式銘柄)と品目を注文するための「シングルアクション」(「Chart($.50)」のボタンをクリックすること)の指示の両方が画面に表示される。この引用例が無効の実質的な疑問を提起している。Web-Basketは「クッキー」をインプリメントしており、クライアントから送信される識別子によって索引を付けられた買い手のデータを次の検索のためにサーバーシステム上に記憶するステップが自明にされていたと合理的な陪審が認定し得る。地裁は、Lockwood博士が個人的に「シングルアクション」発明を考え出すために先行技術を組み合わせることは考えなかったという「自白」に基礎を置いて非自明性の結論を得た。このアプローチは法律問題として誤りである。探究すべきものは仮想の当業者が複数の引用例から見つけたであろうものである。Creating the Virtual Storeと題する本の「即時買いオプション」の記載は、クレームの有効性に対する実質的な疑問を提起すると認定する。「Oliver's Market」注文システムには「写真上でのシングルクリックが品目注文のために行うことの全てである。」と記載されており、「シングルクリック」をインプリメントするようにショッピングカートモデルを修正するための動機づけを提供することを合理的な陪審が認定し得るであろう。
Amazonは侵害に関して勝訴する可能性を立証する証明責任を果たしたようにみえる、一方、BNが本件特許の有効性に関して実質的な疑問を提起したことも事実である。我々は仮差止を取り消し、更なる訴訟手続きのために本件を差し戻す。2002.03.08 両社は和解しました(ZDNet)。
翻訳文 / 原文(SCUS)2002.08.22 BTインターネット事件(地裁)プログラムとは関係ありませんが、均等論に関する米国最高裁の重要な判決ですので、翻訳しました。なお、原文の最初についているSyllaus(判決要旨)は翻訳していません。
参考:日本の均等論・禁反言に関する最高裁判決(ボールスプライン事件)
米国判例の翻訳と日米判例の対比
2002年9月28日に明治大学で行われた第1回判例情報論研究会における講演の講演録です。この講演録は情報ネットワーク・ローレビュー、第1巻、2003年3月、P104-P117に研究会報告として掲載されました。この中で、アメリカのFESTO事件最高裁判決と日本のボールスプライン事件最高裁判決を対比して、日米の最高裁判決がどのように違うのかを説明しています。
翻訳文 / 原文(FindLaw)2003.09.22 MIDCOミーンズ・クレーム事件(CAFC)
BT(BRITISH TELECOMMUNICATIONS)がアメリカのISP(インターネットサービスプロバイダ)の一つであるProdigyに対して、インターネットはBTの特許を侵害するとして訴えた事件。
裁判所は、BTの特許は「中央コンピュータ」を持っているのに対して、インターネットは「中央コンピュータ」を持っていない等の理由により、インターネットはBTの特許を侵害しない、として、原告BTの敗訴としました。
翻訳文 / 原文(GULL)2005.07.12 Phillips特許事件(CAFC大法廷)
裁判所の意見: 米国特許法112条第6パラグラフは次のように規定する:「組み合わせのクレームにおける構成要素は、それらを支持する構造・・・の記載なしに、特定の機能を実行するための手段<a means>又はステップとして記載することができる、そして、そのようなクレームは明細書に記載された対応する構造・・・及びその均等物に及ぶものと解釈される。」 正しい審理は、本特許の開示を見て、単に当業者がそのようなソフトウェアプログラムを書くことができたであろうかどうかではなく、当業者がその開示がデジタル−デジタル変換のためのソフトウェアを含むと理解したであろうかどうかを決定することである。我々は、明細書及び出願経過が変換機能の実行をソフトウェアに明確に関連又は関係づけていないから、地裁は変換手段に対応する構造としてソフトウェアを特定した点で誤ったと結論する。
反対意見: 特許明細書は「ソフトウェアを教示」する必要はなく、記載された方法をいかに実行するのかを教示するためのルーチンプログラムの記載は必要ではない。当業者がデジタル−デジタル変換の標準的なプログラムを「書くことができたであろう」ならば、それで十分である。プログラミング分野の当業者がそのようなプログラムを過度の実験的作業なしに書くことができたとすれば、制定法の要件は満たされる。
翻訳文 / 原文(CAFC)
プログラムには関係しませんが、地裁裁判官用のクレーム文言解釈の教科書といえるような判決ですので、翻訳しました。この判決は、アメリカで特許権を行使する人だけでなく、アメリカへ特許を出願する人にとっても重要な判決です。この判決の判示事項を要約すると次のようになると思います。2006.05.15 eBay差止事件(最高裁)
(1)ミーンズ・プラス・ファンクション・クレーム(米国特許法112条第6パラグラフ)は、機能を実現する構造を規定しない純粋な機能的限定だけに適用される。
(2)この判決によるクレームの用語の解釈のソースの重要度を不等号を使って示すと、「クレーム自体の文脈(争点のクレーム以外のクレームを含む)>明細書の説明部分>出願経過>>技術的辞書、専門書>一般的辞書>専門家証人の証言等」となると考えます。「>>」より左が内部証拠で右が外部証拠です。この判決では内部証拠とりわけ明細書を重視していますが、クレームの意味の解釈に明細書を使用することと、明細書からクレームへ限定を読み込むことの区別は実際に適用するのは難く、魔法の公式やQ&A形式入門書は存在しないと述べています。重要なことは裁判所が特許法に照らしてソースに適切な重みを割り当てることであるとしています。
(3)クレームは有効性を維持するように解釈されるべきという原則の適用は、クレーム解釈の全てのツールを適用した後、クレームが依然として多義的である場合に限る。
なお、日本でも今年の4月に知財高裁が設立され、一太郎事件を大法廷で審理することが決定されています。一太郎事件もクレームの文言解釈が争点ですので、CAFCと同様な判断をするのかどうか注目されるところです。私としては、上記の(3)で異なった判断を行うのではないかと予想してます。
翻訳文 / 原文(SC)
アメリカでは、差止はエクイティ〔衡平法〕上の救済であるので、裁判官の裁量による。これまでは、特許事件においては、侵害が認定されれば大多数の事件で差止が命じられていたようであるが、本最高裁判決により、他の法領域における差止と同じように、特許事件においても伝統的な4要素テストが適用されることになった。これにより、侵害が認定されても、原告が次の4要素を立証しなければ、差止救済は受けられない。(1)原告が回復不能の損害を受けていること;(2)金銭的損害賠償のような法に基づいて得られる救済がその被害を償うには不適切であること;(3)原告と被告間の困難性のバランスを考慮して、エクイティ〔衡平法〕による救済が正当であること;および(4)終局差止によって公衆の利益が損なわれないこと。2007.04.30 KSR特許自明事件(最高裁)
翻訳文 / 原文(SC)
プログラムには関係しませんが、特許の自明性(容易性)についての重要かつ優れた判決ですので翻訳しました。2007.05.02 Windows特許権侵害事件(最高裁)
地裁が、複数の文献の組み合わせにより原告(特許権者)の特許は無効であるとして被告(KSR)勝訴の判決を行い、CAFCがこれを覆した。これに対して、合衆国最高裁は、「CAFCは、自明性の問題を103条及び本最高裁の先例と一致しない狭く硬直した方法で述べた。KSRは、Asanoペダルの固定されたピボットポイントに利用可能なセンサーを取り付けることは関連する技術における通常の技術者が把握するものの中に十分にある一つの設計ステップであり、そうすることの利点は自明であることを示す説得力のある証拠を提出した。KSRの主張および記録がEngelgau特許のクレーム4は自明であることを証明している。」として、CAFCの判決を破棄し、地裁を支持する判決を行った。
原文(SC)(この判決の翻訳の予定はありません)2007.08.06 Microsoft v. Lucent MP3特許事件(地裁)
マイクロソフト対ATT特許権侵害訴訟で、合衆国最高裁がATTは米国外で製造されているWindows搭載パソコンは米国特許法271条(f)(1)(英文/翻訳文)に基づく特許権侵害であると主張したが、合衆国最高裁は「マイクロソフトが合衆国から送ったマスターディスクまたは電子送信は争点の外国製コンピュータにはインストールされていない。その代わりに、外国で作成されたコピーがインストールに使用されている。マイクロソフトは、実際にインストールされたコピーを合衆国から輸出していないから、関係するコンピュータの「構成部分<components>」を「合衆国から供給」しておらず、それゆえ、現在の規定の271条(f)に基づく責任を負わない。」と判示。マスターディスク(合衆国製の構成部分)と、これからWindowsをコピーして作成された実際にインストールに使用するディスク(外国製の構成部分)は別の物と考えたのだと思う。Windows(プログラム)は情報であるから「構成部分<components>」ではなく、「構成部分<components>」は物であるディスクであるということだろう。裁判官は、ディスクをコンピュータに結合することをインストールと理解したのではないかと思う。確かに、271条(f)には「結合<combination>」と規定されており、「インストール」とは規定されていない。しかし、実際には、ディスク(物、外国製)をコンピュータに結合するのではなく、Windows(情報、合衆国製)をコンピュータに結合することがインストールなのだが。なお、本判決では、ディスク(物)を「a copy of Windows」と表現し、Windows(情報)を「Windows in the abstract」と表現しているのではないかと思う。
翻訳文 / 原文(MS)
2007年2月22日、陪審は Lucent勝訴の評決を行った。陪審の評決は、Lucentの2つの特許のどちらについても、有効であり、Microsoftが侵害していると認定し、さらに、世界中のWindows搭載パソコンについてその価格に0.5%を掛けて損害賠償額を算出した。これに対してMicrosoftが様々な根拠から申立を行い、これらの申立に対する法的判断を裁判所が行ったのが、本判決である。本判決において裁判所は、 Lucentの2つの特許のどちらについても、陪審の評決を覆しMicrosoftの勝ちとしている。裁判所は陪審の評決を覆すのに必要最小限の申立だけでなく、KSR最高裁判決の影響や損害額の算出に関する申立も含む全ての申立について判示しているので、米国で特許裁判を行う日本企業にとって極めて参考になる判決だと思います。特に、陪審裁判で負けて高額の損害賠償額を評決された企業が、陪審の評決を覆すためのお手本として最適な判決ではないかと思います。2007.10.10 KSR判決を考慮した自明性の審査基準(米国特許商標庁)
翻訳文 / 原文(pdf/html) Training Materials 審査官研修用スライドTC3600
日本の進歩性、新規性審査基準
米国特許商標庁は、KSR最高裁判決を考慮した米国特許法103条に基づく自明性を決定するための審査基準を公表。この基準はUSPTOの職員が米国特許法103条に基づく自明性の適切な決定を行うのを助け、適切に支持する論理付けを提供する。06.28>Pfizer事件CAFC判決2007.03.22の「試みることは自明」の項を翻訳。07.01>審査官研修用スライドTC3600を翻訳。2008.10.30 Bilskiビジネスメソッド事件(CAFC大法廷)
翻訳文<New / 原文(CAFC)
CAFCは、クレームが101条(特許性のある発明)に基づき適格かどうかを決定するテストは「機械または変換テスト」のみであると判示。12.07>脚注を翻訳。09.01.24>RADER巡回裁判官の反対意見を翻訳。<New
米国特許法101条に対応する日本の特許法2条1項(自然法則)を争点とした日本の知財高裁判決について検討した。