翻訳 井上雅夫 2007.06.16-06.27; 0630   ↑UP   KSR判決を考慮した自明性の審査基準 <New

KSR特許自明事件合衆国最高裁判決
2007.04.30
 目 次
判決要旨
判     決

 裁判所の意見
  
   
   
   C
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  ***

 訳注



合衆国最高裁判所


判決要旨

上告人(被告、被控訴人)KSR INTERNATIONAL CO.
被上告人(原告、控訴人)TELEFLEX INC. ET AL.

連邦巡回区合衆国控訴裁判所(CAFC)に対する上告受理申立

No.04−1350、2006年11月28日口頭弁論、2007年4月30日判決

 通常の自動車のスピードをコントロールするために、ドライバーはアクセルペダルを踏むまたは離す、これがケーブルまたは他の機械的なリンクを介してスロットルに影響を与える。フートウェル(座席の前の足を置くくぼみ)におけるペダルの位置は通常は調整することができないので、ペダルに近づきたいまたは遠ざかりたいドライバーはシートの中で自分自身の位置を移動するかシートを動かさなければならず、どちらも深いフートウェルの車では小さなドライバーにとって不完全な解決策でしかない。これが発明者らに位置を調整できるペダルを設計し特許することを促した。Asano特許は、ペダルの位置が調整されたとき、ペダルのピボットポイントの一つが動かないままである支持構造を開示している。Asanoではペダルを踏むのに必要な力が位置調整にかかわらず同じであるようにも設計されている。Redding特許は、ペダルおよびピボットポイントの両方が調整される異なったスライド機構を開示している。

 より新しい車では、機械的リンクによりペダルから伝えられた力を通して動作するのではなく、コンピュータ制御のスロットルが電気信号に応動してバルブを開け閉めする。コンピュータがペダルで起きていることを知るために、電子センサーが機械的動作をデジタルデータに変換しなければならない。発明者らはそのようなセンサーのための多数の特許を取得している。いわゆる936特許は、エンジンではなくペダル機構においてペダルの位置を検出する方が望ましいことを教示しており、それゆえ、この特許はペダル組立体におけるピボットポイントに電子センサーを有するペダルを開示している。Smith特許は、センサーをコンピュータに繋ぐワイヤが擦れて摩滅しないように、ペダルのフートパッドの中または上に配置するよりも、ペダル組立体の固定部分にセンサーを配置すべきであることを教示している。また、発明者らは自己充足型モジュラーセンサーを特許にしているが、それはシェルフから外すことができ、あらゆる機械的ペダルに取り付けることができ、コンピュータ制御のスロットルと共に機能するものである。068特許は、そのようなセンサーの一つを開示している。また、Chevroletは、ペダルに隣接し、ペダルが回転するピボットシャフトと連動するペダル支持ブラケットに取り付けられたモジュラーセンサーを使用したトラックを製造した。他の特許は調整可能なペダル組立体に取り付ける電子センサーを開示している。例えば、Rixon特許は、ペダルパッド中にセンサーを配置しているが、ワイヤが摩耗することが知られている。

 上告人KSRが、ケーブル駆動スロットルを有する車のための調整可能ペダルシステムを開発し、976デザイン特許を受けた後、General Motors Corporation(GMC)がコンピュータ制御のスロットルを使用したトラック用の調整可能なペダルシステムの供給のためにKSRを選んだ。976特許をそのトラックに適合させるために、KSRはその設計にモジュラーセンサーを追加した。被上告人(Teleflex)は、Engelgau特許の排他的的ライセンスを有しており、その特許のクレーム4は、固定されたピボットポイントに取り付けられた電子ペダル位置センサーを有する位置調整可能なペダル組立体を開示している。類似したより広いクレームを拒絶したにもかかわらず、合衆国特許商標庁(PTO)は、Redding特許からデザインを区別する固定されたピボット位置の限定を含んでいるという理由で、クレーム4を特許した。Asanoは、Engelgau特許の従来技術文献の中にも含まれずその特許の出願経過においても述べられず、PTOはその件において固定されたピボットポイントを有する調整可能なペダル[の引用文献]を持っていなかった。GMCのためのKSRの設計を知った後、TeleflexはKSRのペダルシステムはEngelgau特許のクレーム4を侵害すると主張して、侵害訴訟を提起した。KSRはクレーム4は、「発明特定事項<subject matter sought to be patented>[訳1]と従来技術の相違点が、その発明特定事項が全体として発明がなされた時にその技術における通常の技術者にとって自明であったであろうものである」場合は特許の付与を禁じる特許法103条に基づき無効であるとして対抗した[訳2]

 Graham v. John Deere Co. of Kansas City, 383 U. S. 1, 17.18事件は、次に示す103条適用のための客観的な分析を提示した:「従来技術の範囲と内容が…決定される;従来技術と争点となっているクレームの間の相違点が…確認される;そして、関連する技術における通常の技術者のレベルが決定される。これをバックグラウンドにして、発明特定事項の自明性または非自明性が決定される。商業的成功、長期間感じされていたが解決されなかったニーズ、他者の失敗等のような二次的考慮が発明特定事項の起源を取り囲む環境に光を与えるために利用され得るであろう。」これらの一連の問題は特定の事件においては整理し直し得るかもしれないが、これらのファクターは確認する審理事項を定める。しかしながら、より均一で一貫性があるように自明性の問題を解決しようとして、CAFC(連邦巡回区控訴裁判所)は、「教示、示唆、または動機付け<teaching, suggestion, or motivation>」(TSM)テストを用いており、そのテストは、従来技術、課題の性質、またはその技術における通常の技術者の知識が、従来技術の教示を組み合わせるための動機付けまたは示唆を明らかにする場合にだけ、特許クレームの自明性が証明されたとするものである。

 地裁は、KSRにサマリ判決を認めた。ペダル設計の歴史、Engelgau特許の範囲および関連する従来技術を概説した後、地裁は、サマリ判決の基準に基づき、KSRがクレーム4の自明性を証明したかどうかを決定するために、Grahamの枠組みを適用して、クレーム4の有効性を検討した。地裁は従来技術の教示とクレーム4の間に「わずかな相違点」を認定した:Asanoは、ペダルの位置を検出するセンサーを使用しコンピュータ制御のスロットルに伝えることを除き、クレームに含まれる全てのものを教示している。追加点は例えば068特許およびChevroletのセンサーで開示されていた。その後、地裁は、KSRは次の理由によりTSMテストを満たしたと判示した、(1)産業の状態が当然に電子的センサーと調整可能ペダルの組み合わせを導いたであろう、(2)Rixonはこれらの発達のための基礎を提供した、および(3)Smithはペダルの固定された構造にセンサーを位置させることによりRixonの摩耗問題に対する解決策を教示しており、Asanoのようなペダルとペダル位置センサーの組み合わせを導き得ただろう。

 CAFCは、これを取り消し、地裁は本発明を知らない技術者にAsano組立体の支持ブラケットに電子制御を取り付けることを動機付ける技術者の知識の範囲内の具体的な知識または原理に関する認定を行っていないから、TSMテストを十分厳密に適用しなかったと判示した。CAFCは、引用文献が本件特許権者が解決しようとした課題を正確に述べていない限り、その課題が発明者にこれらの引用文献を見る動機付けを与えることはないから、地裁が解決すべき課題の性質に頼ったのは不十分であると判示した。CAFCは、Engelgauがより単純でより小さくより安い調整可能電子ペダルを提供しようとしたのに対して、Asanoペダルはどのようにペダルが調整されたとしてもペダルを踏むために必要な力が同じであることを保証するために設計されたものであると認定した。Rixonペダルは、CAFCによれば、摩耗の難点があるが、本件課題を解決するために設計されておらず、Engelgauの目的に役立つものは何も教示していない。次に、Smithは調整可能ペダルに関連しておらず、必然的に、ペダル組立体の支持ブラケットに電子制御を取り付けるという動機付けの問題には行き着かない
。CAFCは、そのように解釈して、これらの特許は通常の技術者をAsanoのようなペダルにセンサーを配置するようには導かなかったであろうと判示した。その組み合わせを試みることが自明であったであろうということも同様に的外れである。最後に、CAFCは事実問題の真正な争点がサマリ判決を排除すると判示した。

 判示事項:CAFCは、自明性の問題を103条及び本最高裁の先例と一致しない狭く硬直した方法で述べた。KSRは、Asanoペダルの固定されたピボットポイントに利用可能なセンサーを取り付けることは関連する技術における通常の技術者が把握するものの中に十分にある一つの設計ステップであり、そうすることの利点は自明であることを示す説得力のある証拠を提出した。KSRの主張および記録がEngelgau特許のクレーム4は自明であることを証明している。Pp. 11-24.

 1.Graham事件は自明性の問題に対して拡張的で柔軟性のあるアプローチを提供しており、本件においてCAFCが適用したTSMテストの方法と一致しない。103条の規定もGrahamの分析も、従来技術において見つかった要素の組み合わせに基づいて特許を付与する場合に慎重さが必要であることに関連する本最高裁のより以前の説示を妨げてはいない。Great Atlantic & Pacific Tea Co. v. Supermarket Equipment Corp., 340 U. S. 147, 152参照。知られた方法によるよく知られている要素の組み合わせは、予想できる結果をもたらすにすぎない場合、自明となりやすい。例えば、United States v. Adams, 383 U. S. 39, 50.52参照。ある製品が一つの分野で利用可能であるとき、設計インセンティブおよびその他のマーケットの力が、同じ分野または他の分野において、そのバリエーションを促すことができる。その技術における通常の技術者が予測可能なバリエーションを実施することができ、そうすることの利点がわかるであろう場合は、103条はその特許性を妨げやすい。さらに、ある技術が一つの装置を改良するために使用され、その技術の通常の技術者がその技術を用いて同様に類似した装置を改良できるであろうと認識するであろう場合は、その実際の応用がそのような者の技術を超えていない限り、自明である。裁判所は、その改良が、確立された機能による従来技術の要素の予想可能な使用以上かどうかを問わなければならない。クレームされた発明特定事項が一つの知られた要素を他のものに単に置換する以上のものを含む場合、または、改良の準備ができている一つの従来技術への単なる応用以上のものを含む場合は、これらの原則に従うのは難しいかもしれない。知られた要素を特許クレームのやり方で組み合わせるはっきりした理由があるかどうかを決定するために、多数の特許の相互に関係づけれた教示;設計コミュニティに知られたまたはマーケットにおいて存在する需要の影響;およびその分野における通常の技術者が有するバックグラウンドの知識を見ることがしばしば必要となるだろう。再審理を容易にするために、この分析は明示的であるべきである。しかし、異議を唱えられたクレームの発明特定事項を導く正確な教示を求め尽くす必要はない、裁判所はその技術における通常の技術者が行うであろう推論およびクリエイティブステップを考慮することができるからである。Pp. 11-14.

 (b)TSMテストは役に立つ洞察をとらえる:いくつかの要素から構成される特許は、それぞれの要素が、独立して、従来技術において知られていることを単に証明することによっては自明が証明されることはない。確立された機能による二つの知られた装置の組み合わせをイノベーションとしてクレームする特許出願に関して常識が慎重さを命じるとはいえ、要素をその新しい発明がするように組み合わせることをその技術における通常の技術者に促したであろう理由を確認することは重要であり得る。通常、発明は、長い間明かされてこなかった積み木を組み立てることに頼っており、クレームされた発見はほとんど必ず、何らかの意味で、既に知られたものの組み合わせだろう。しかしながら、役に立つ洞察が、硬直した選択を許さない公式である必要はない。もし、そのように適用されるのなら、そのTSMテストは本最高裁の先例と一致しない。発明追求と現代技術の多様性は、教示、示唆、および動機付けという用語の形式主義的概念による、または刊行された論文の重要性と付与された特許の明示的な内容を過度に強調することによる自明性の分析をしないように勧めている。多くの分野において、自明な技術または組み合わせについての論文はほとんど存在しないかもしれず、科学的文献よりも、マーケットの需要がしばしば設計トレンドを決めるかもしれない。真のイノベーションではなく通常の成り行きで生じるであろう前進に対して特許権の保護を付与することは進歩を遅らせるであろうし、以前に知られていた要素を組み合わせた特許のために従来の発明の価値や効用が剥奪されるかもしれない。TSMテストが考案されて以来、CAFCは疑いもなく多くの事件においてこれらの原則に一致してこれを適用してきた。このテストとGrahamの分析の間に必要な不一致は存在しない。しかし、裁判所は、本件におけるように、一般的な原則を自明性の審理を限定する硬直したルールに変質させるとき、間違いを犯す。Pp. 14-15.

 (c)CAFCの分析における欠陥は、TSMテストの適用により生じる自明性の審理の狭い考えに大部分関連している。第一に、CAFCは、裁判所および特許審査官は特許権者が解決しようとした課題だけを見なければならないと判示したことにおいて誤っている[訳4]。正しい分析においては、その分野において知られたおよびその特許が述べたあらゆるニーズまたは課題がクレームされたやり方で要素を結合するための動機を提供することができる。第二に、CAFCは、ある課題を解決しようとするその技術における通常の技術者が同じ課題を解決するために設計された従来技術の要素のみに導かれるだろうと仮定したことにおいて誤っている。CAFCはAsanoの主な目的は一定比率の課題を解決することであるから、調整可能なペダルにセンサーをどのように配置するのかを考えている発明者はAsanoのペダルにセンサーを配置することを考える動機がなかったであろうと誤って結論した。ありふれた物がその最初の目的を超えて自明な用途を有し得ることは常識であり、通常の技術者はパズルの小片と同じように複数の特許の教示を合わせてはめ込むことがしばしばできるだろう。Asanoの最初の目的にかかわらず、Asanoは固定されたピボットポイントを有する調整可能なペダルの自明な例を提供し、従来技術はそのようなポイントがセンサーのための理想的な台であることを示す特許で満ちあふれている。第三に、CAFCは、要素の組み合わせを試すことが自明であることを示すことだけによっては、特許のクレームが自明であることは証明されないと結論したことにおいて誤った。課題を解決するために設計上のニーズまたはマーケットの圧力が存在し、確認され予想可能な解決策が有限の数である場合、その技術における通常の技術者はその技術的な理解の範囲内の知られた選択肢を追い求める十分な動機を有している。もし、これが予期された成功に導くのであれば、イノベーションではなく、通常の技術と常識の産物となりそうである。最後に、CAFCは、裁判所と特許審査官が後知恵の先入観に陥るリスクから間違った結論を引き出した。常識に頼ることを否定する硬直した予防的なルールは本最高裁の判例法に基づいおらず、一致してもいない。Pp. 15-18.

 2.前述の基準の適用によりクレーム4が自明であることを証明する。Pp. 18-23.
  (a)本裁判所は、Asanoのピボット機構の設計がクレーム4が記述するやり方でセンサーと組み合わせることを妨げているというTeleflexの主張を拒絶する。この主張は、地裁ではなされておらず、CAFCにおいてなされたかどうか明らかではない。Asanoをピボットマウンテッドペダル位置センサーと組み合わせればクレーム4の範囲内のものになるという地裁の認定の重要性を考えれば、Teleflexがこのクレームを維持することを意図するならより明確な攻撃を[地裁、控訴裁で]なしていたであろうことは明らかである。それをTeleflexが明確に主張できなかったこと、およびこの問題に関する控訴裁の沈黙が、地裁の結論を受け入れるように本最高裁を導く。Pp. 18-20.

  (b)地裁は、Engelgauがクレーム4の発明特定事項を設計した時に、その技術における通常の技術者にとって、Asanoをピボットマウンテッドペダル位置センサーと組み合わせることは自明であったと正しく結論づけた。その時に、機械式ペダルを電子ペダルに変える強いインセンティブを作り出すマーケットが存在し、従来技術がそうすることのためのいくつかの方法を教示していた。CAFCはこの問題を、要するに、白紙に[設計図を]書いているペダル設計者が、Asanoと、Chevroletのトラックにおいて使用され068特許において開示されたものに類似したモジュラーセンサーの両方を選択したであろうかどうかを問うことによって、余りにも狭く考えた。正しい問題は、この分野の発展によって生み出された幅広いニーズに直面している、その技術における通常の技術を有するペダルの設計者がAsanoをセンサーでアップグレードすることによる自明な利点に気づいたであろうかどうかである。Asanoからスタートした設計者にとって、問題はセンサーを取り付けるべきはどこかである。936特許はペダル装置にセンサーを配置することの有用性を教示している。同様にSmithはペダルのフートパッドではなくその代わりにその構造にセンサーを配置することを説明している。そして、Rixonの知られたワイヤ摩耗問題およびペダル組立体は接続ワイヤのどんな動きも引き起こしてはならないというSmithの教示から、設計者はペダルの構造の動かない部分にセンサーを配置することを知るであろう。最も明白なそのようなポイントはピボットポイントである。したがって、設計者はSmithにしたがってそこにセンサーを取り付けるであろう。Asanoをコンピュータ制御のスロットルにアップグレードするという目的から始めることが可能であったのとちょうど同じように、Rixonのような調整可能な電子ペダルを採用し、ワイヤ摩耗問題を避ける改良を捜し求めることも可能であった。TeleflexはAsanoの使用から遠ざかることを教示するいかなる従来技術も証明しておらず[訳5]、クレーム4が自明であるという決定を押しのける二次的ファクターも証明していない。Pp. 20-23.

 3.本最高裁は、事実問題の真正な争点がサマリ判決を排除するというCAFCの判示には同意できない。自明性の最終的は判断は法的決定である。Graham, 383 U. S., at 17. 本件のように、従来技術の内容、特許クレームの範囲、およびその技術における通常の技術のレベルが重要な争点ではなく、クレームの自明性が明らかな場合は、サマリ判決が適切である。P. 23.
[訳3]

 119 Fed. Appx. 282[CAFC判決]は破棄され、差し戻される。

 KENNEDY裁判官が全員一致の裁判所の意見を言い渡す。



判     決

裁判所の意見


合衆国最高裁判所

No.04−1350

上告人(被告、被控訴人)KSR INTERNATIONAL CO.
被上告人(原告、控訴人)TELEFLEX INC. ET AL.

連邦巡回区合衆国控訴裁判所(CAFC)に対する上告受理申立

[2007年4月30日判決]

 KENNEDY裁判官が裁判所の意見を言い渡す。

 Teleflex Incorporatedとその子会社Technology Holding Company(本判決において両方をTeleflexという。)は、KSR International Companyを特許権侵害で訴えた。本件特許(米国特許第6,237,565B1号)の名称は「電子スロットル制御を備えた調整可能ペダル組立体」である。Supplemental App. 1. 特許権者はSteven J. Engelgauであり、その特許を「Engelgau特許」という。Teleflexはその特許について排他的ライセンスを有する。

 Engelgau特許のクレーム4は、ペダルの位置を車のエンジンのスロットルを制御するコンピュータへ伝えることができるように、電子センサーを自動車の調整可能ペダルに組み合わせるためのメカニズムを記述している。TeleflexはKSRに対してKSRが以前に設計したペダルの一つに電子センサーを付け加えたことによりEngelgau特許を侵害したとして訴えを提起し、KSRはクレーム4は米国特許法103条に基づき自明であるから無効であると対抗した。

 103条は、「発明特定事項[訳1]と従来技術の相違点が、その発明特定事項が全体として発明がなされた時に前記発明特定事項に属する技術における通常の技術者にとって自明であったであろうものである」場合は、特許の付与を禁じる[訳2]

 Graham v. John Deere Co. of Kansas City, 383 U. S. 1 (1966)事件において、本最高裁は、103条の規定の文言(文言自体、より以前のHotchkiss v. Greenwood, 11 How. 248 (1851)事件とその後継事件における判決の論理に基礎を置く)を適用するための枠組みを提示した。See 383 U. S., at 15.17. この分析は客観的なものである:
「103条に基づき、従来技術の範囲と内容が決定される;従来技術と争点となっているクレームの間の相違点が確認される;そして、関連する技術における通常の技術者のレベルが決定される。これをバックグラウンドにして、発明特定事項の自明性または非自明性が決定される。商業的成功、長期間感じされていたが解決されなかったニーズ、他者の失敗等のような二次的考慮が発明特定事項の起源を取り囲む環境に光を与えるために利用され得るであろう。」Id., at 17.18.
これらの一連の問題は特定の事件においては整理し直し得るかもしれないが、これらのファクターは確認する審理事項を定め続ける。裁判所または特許審査官はこの分析を行い、クレームされた発明特定事項が自明であると結論した場合は、そのクレームは103条に基づき無効である。

 より均一で一貫性があるように自明性の問題を解決しようとして、CAFCは、「教示、示唆、または動機付け」テスト(TSMテスト)と当事者らが呼ぶアプローチを用いており、そのテストに基づくと、「従来技術の教示を組み合わせるための動機付けまたは示唆」が従来技術、課題の性質、またはその技術における通常の技術者の知識の中に認めることができる場合にだけ、特許クレームの自明性が証明される。See, e.g., Al-Site Corp. v. VSI Int’l, Inc., 174 F. 3d 1308, 1323.1324 (CA Fed. 1999). KSRはそのテスト、少なくとも本件におけるそのテストの適用に異議を申し立てる。See 119 Fed. Appx. 282, 286.290 (CA Fed. 2005). CAFCは103条に反するやり方で自明性の問題について述べているから、我々は上告を受理した。547 U. S ___(2006). 我々は[CAFC判決を]破棄する。




 コンピュータ制御スロットルを有しない車のエンジンにおいては、アクセルペダルはケーブルまたは他の機械的なリンクを介してスロットルと相互に影響を及ぼし合う。ペダルのアームがピボットポイントの回りを回転するテコの役割を果たす。ケーブル駆動スロットル制御において、ペダルを踏むことによる回転がケーブルを引っ張り、それが今度はキャブレータまたは燃料噴射ユニットの中のバルブを引いて開く。バルブがより広く開くと、より多くの燃料と空気が放たれ、それにより燃焼が増加し車が加速する。ドライバーが足をペダルから離すと、逆のことが起こり、ケーブルは解放され、バルブが閉じる。

 1990年代には、エンジンの作動を制御するために車にコンピュータを取り付けることが一般化した。コンピュータ制御スロットルは、機械的リンクによってペダルから伝えられる力を介してではなく、電子信号に応動してバルブを開閉する。一定で正確な空気と燃料の混合が可能である。ペダルの位置以降の要素のコンピュータの迅速な処理が燃料効率とエンジンの性能を向上させている。

 コンピュータ制御スロットルがドライバーの車の操作に応動するためには、コンピュータはペダルで何が起こっているのかを知らなければならない。この目的のためにはケーブルまたは機械的リンクでは十分ではない;いくつかの点において、機械的操作をコンピュータが理解できるデジタルデータに変換するために電子センサーが必要となる。

 これ以上センサーについて検討する前に、我々はペダル自身の機械的設計に話を変える。伝統的な設計においては、ペダルを踏むまたは離すことができるが、フートウェル(座席の前の足を置くくぼみ)におけるペダルの位置はペダルを前後にスライドさせて調整することはできない。その結果、ペダルに近づきたいまたは遠ざかりたいドライバーはシートの中で自分自身の位置を移動するか何らかの方法でシートを動かすかのどちらかをしなければならない。深いフートウェルの車では小さなドライバーにとって不完全な解決策でしかない。この課題を解決するために、発明者らは、1970年代から、フートウェルの中で位置を変えて調整できるペダルを設計し始めた。本件に重要なのは米国特許第5,010,782号(1989年7月28日出願)(Asano特許)と米国特許第5,460,061号(1993年9月17日出願)(Redding特許)である。Asano特許は、ドライバーに対してペダルの位置が調整されたときでさえ、ペダルのピボットポイントの一つが動かないままであるようにペダルを収容する支持構造を開示している。このペダルはペダルを踏むのに必要な力が位置調整にかかわらず同じであるようにも設計されている。Redding特許は、ペダルおよびピボットポイントの両方が調整される異なったスライド機構を開示している。

 話をセンサーに戻す。Engelgauが彼の特許出願を行ったのより相当前に、幾人かの発明者らがコンピュータ制御スロットルのための電子ペダルセンサーに関連する特許を取得していた。米国特許第5,241,936(1991年9月9日出願)(936特許)のような、これらの発明は、エンジンではなくペダル組立体においてペダルの位置を検出する方が望ましいことを教示している。936特許はペダル組立体におけるピボットポイントに電子センサーを有するペダルを開示している。米国特許第5,063,811号(1990年7月9日出願)(Smith特許)は、センサーをコンピュータに繋ぐワイヤが擦れて摩滅しないように、また、ドライバーの足からの汚れや損傷を避けるために、センサーは、ペダルのフートパッドの中または上に配置するよりも、ペダル組立体の固定部分にセンサーを配置すべきであることを教示している。

 センサーが統合されたペダルに加えて、発明者らは自己充足型モジュラーセンサーの特許を取得した。モジュラーセンサーは、シェルフから外すことができ、様々な機械的ペダルに取り付けることができ、与えられたペダルをコンピュータ制御のスロットルを有する自動車において使用可能とするために、ペダルとは独立して設計されたものである。そのようなセンサーの一つが米国特許第5,385,068号(1992年12月18日出願)(068特許)において開示されている。1994年に、Chevroletは、「ペダルに隣接し、ペダルが動作中に回転するピボットシャフトと連動するペダル支持ブラケットに取り付けられた」モジュラーセンサーを使用したトラックの一系列を製造した。298 F. Supp. 2d 581, 589 (ED Mich. 2003).

 そのうえ従来技術は調整可能ペダルにセンサーを配置することに関する特許を含んでいる。例えば、米国特許第5,819,593号(1995年8月17日出願)(Rixon特許)は、ペダルの位置を検出するために電子センサーを備えた調整可能なペダル組立体を開示している。Rixonペダルにおいてはセンサーはペダルのフートパッドの中に位置している。Rixonペダルは、ペダルが踏まれる時と解放される時にワイヤが摩耗することが知られている。

 このペダルとセンサー技術の短い説明が本件を導く。



 KSRはカナダの会社であり、ペダルシステムを含む自動車部品を製造し供給している。Ford Motor Companyは1998年にケーブル駆動スロットル制御の自動車の様々な系列のための調整可能ペダルシステムをKSRに供給させた。KSRは、Fordのために調整可能な機械式ペダルを開発し、デザイン特許として米国特許第6,151,976号(1999年7月16日出願)(976特許)を取得した。2000年に、KSRは、General Motors Corporation(GMCまたはGM)によってコンピュータ制御のスロットルを備えたChevroletとGMC軽トラック用の調整可能なペダルシステムの供給のために選ばれた。KSRは、976ペダルをそのトラックに適合させるために、単にその設計を行いモジュラーセンサーを追加しただけである。

 Teleflexは調整可能ペダルの設計および製造においてKSRのライバルである。既に述べたように、TeleflexはEngelgau特許の排他的ライセンシーである。Engelgauは、1999年1月26日に出願された米国特許第6,109,241号の継続出願として2000年8月22日に特許出願を行った。彼はその特許の発明特定事項を1998年2月14日に発明したと宣誓した。Engelgau特許は、明細書中に、「より安価で、より少ない部品を使用し、車両の中に組み込むのがより簡単な簡易化車両制御ペダル組立体として記載された調整可能な電子ペダルを開示している。Engel-gau, col. 2, lines 2-3, Supplemental App. 6. その特許の本件の争点のクレーム4には次のように記載されている:
「車両の構造に取り付けるようにつくられた支持体、
 前記支持体に関して前後方向に移動可能なペダルアームを有する調整可能ペダル組立体、
 前記調整可能ペダル組立体を前記支持体に関して回転可能に支持すると共にピボット軸を規定するピボット、および
 車両システムを制御するために前記支持体に取り付けられた電子制御装置を備え、
 前記電子制御装置が、停止位置と動作位置の間で前記ピボット軸の回りを回転するペダルアームの位置に対応した信号を与えるように前記ピボットに応答し、前記ピボットの位置は前記ペダルアームが前記ピボットに対して前後方向に動いても変わらないことを特徴とする車両制御ペダル装置。」Id., col. 6, lines 17.36, Supplemental App. 8(図番号は削除)。
我々は、このクレームが「ペダル組立体の支持部材に取り付けられた電子ペダル位置センサーを備える位置調整可能ペダル組立体」を開示しており、「支持部材にセンサーを取り付けたことによりドライバーがペダルを調整してもそのセンサーが固定された位置に留まることが可能となっている。」点で地裁に同意する。298 F. Supp. 2d, at 586.587.

 Engelgau特許を付与する前に、合衆国特許商標庁(PTO)は現在のクレーム4に類似しているが、より広い特許クレームの一つを拒絶した。そのクレームは、固定されたピボットポイントにセンサーが配置されるという要件を含んでいなかった。PTOはそのクレームはReddingとSmithに開示された従来技術の自明な組み合わせであると結論し、次のように説明している:
「『従来技術文献は努力している分野<the field of endeavor>[訳6]のものであるから、開示された目的は…Reddingに関連する技術において認識されていたであろう。したがって、Reddingの装置にSmithによって教示されたように支持部材に取り付けられたその…手段を設けることは自明であったであろう。』」Id., at 595.
他の言葉を使えば、Reddingが調整可能なペダルの例を提供し、Smithがペダルの支持構造にセンサーを取り付ける方法を説明しており、拒絶された特許クレームは二つの教示を単に一緒にしただけのものであった。

 この広いクレームは拒絶されたが、クレーム4は固定されたピボットポイントの限定(これがクレーム4の設計をReddingのものから区別している)を含むから後に[特許が]許された。EngelgauはAsanoを従来技術文献の中に含んでおらず、Asanoは本特許の出願経過において触れられていない。したがって、PTOは本件出願の審査において固定されたピボットポイントを有する調整可能ペダル[の引用文献]を持っていなかった。本件特許は2001年5月29日に付与され、Teleflexに譲渡された。

 Teleflexは、KSRのGMCのための設計を知り、その提案はEngelgau特許を侵害するであろうとKSRに通知する警告書を送った。「『Teleflexは、調整可能ペダルと電子スロットル制御を組み合わせる製品のいかなる供給も』」Teleflexの特許の「『一つまたはそれ以上でカバーされた技術を使用すると信じる』」。Id., at 585. KSRはTeleflexとロイヤリティ協定に入ることを拒否した;そこで、TeleflexはKSRのペダルはEngelgau特許と他の二つの特許を侵害すると主張して、侵害訴訟を提起した。Ibid. Teleflexは後に他の特許に関してクレームを放棄しその特許を公衆に献呈した。残った主張は、GM向けのKSRのペダルシステムがEngelgau特許のクレーム4を侵害する、である。Teleflexは本件特許の他の3つのクレームがKSRのペダルによって侵害されたとは主張しておらず、またFord向けにKSRが設計した機械式調整可能ペダルが特許を侵害するとも主張していない。



 地裁はKSR勝訴のサマリ判決を行った。ペダル設計の歴史、Engelgau特許の範囲および関連する従来技術を概説した後、争点のクレームの有効性を検討した。特許法282条の規定により、付与された特許は有効と推定される。地裁は、KSRがサマリ判決の基準に基づきこの推定に打ち勝ち、クレーム4がクレームされた発明特定事項が発明された時に存在する従来技術に照らして自明であることを証明したかどうか、を決定するためにGrahamの枠組みを適用した。See §102(a).

 地裁は、専門家の証言と両当事者の合意に照らして、ペダルの設計における通常の技術のレベルは「『大学の機械工学の学位(または産業界における同等の経験)[および]車両のペダル制御システムへの精通』」であると決定した。298 F. Supp. 2d, at 590. その後、地裁は前述の特許およびペダルの設計を含む関連する従来技術を明らかにした。

 Grahamの説示に従い、地裁は従来技術の教示をEngelgauのクレームと比較した。地裁は「わずかな相違点」を認定した。298 F. Supp. 2d, at 590. Asanoは、ペダルの位置を検出しスロットルを制御するコンピュータにそれを伝えるためにセンサーを使用していることを除き、クレーム4に含まれる全てのものを教示していた。追加点はChevroletによって使用されたセンサーおよび068特許のような情報源の中に開示されていた。

 しかしながら、CAFCによる拘束力のある判例により、地裁はそこで止めることは許されなかった。地裁はTSMテストの適用も要求された。地裁は、KSRはTSMテストを満たしたと判示した。地裁は、(1)産業の状態が当然に電子的センサーと調整可能ペダルの組み合わせを導いたであろう、(2)Rixonはこれらの発達のための基礎を提供した、および(3)SmithはRixonの摩耗問題に対する解決策、すなわちペダルの固定された構造にセンサーを位置させることを開示したと論じた。これが、Asanoまたはそれに似たペダルとペダル位置センサーの組み合わせを導き得ただろう。

 Engelgauの設計が自明であるという結論は、地裁によれば、クレーム4のより広いバージョンに対するPTOによる拒絶によって支持されている。PTOは、より広いバージョンをReddingとSmithの自明な組み合わせであると認定したのであるから、Engelgauが彼の特許出願[の従来技術文献]の中にAsanoを含ませていたとすれば、クレーム4はAsanoとSmithの自明な組み合わせであると認定したであろう、と地裁は論じた。最後の問題として、地裁は、Engelgauの設計に基づくペダルにともなうTeleflexの商業的成功の二次的ファクターがこの結論を変更しないと判示した。地裁はKSRのためにサマリ判決を認めた。

 CAFCは、主にTSMテストに頼って、これを取り消した。CAFCは、地裁はTSMテストの適用において十分に厳密ではなく、「Asano組立体の支持ブラケットに電子制御装置を取り付けることを… 『本発明を知らない者に動機付けたであろう技術者の知識の範囲内の具体的な知識または原理に関する認定を行っていない』」と判示した。119 Fed. Appx., at 288 (brackets in original) (quoting In re Kotzab, 217 F. 3d 1365, 1371 (CA Fed. 2000)). CAFCは、「従来技術文献が本件特許権者が解決しようとした正確な課題を述べていない限り」、その課題が発明者にこれらの引用文献を見る動機付けを与えなかっただろうから、課題の性質がこの要件を満たしているとした点で地裁は正確ではないと判示した。119 Fed. Appx., at 288.

 本件において、CAFCは、Engelgauがより単純でより小さくより安い調整可能電子ペダルを提供しようとしたのに対して、Asanoペダルは「『一定比率問題』」すなわちどのようにペダルが調整されたとしてもペダルを踏むために必要な力が同じであることを保証するために設計されたものであると認定した。Ibid. Rixonペダルに関しては、CAFCは、そのペダルは摩耗の難点があるが、それを解決するために設計されたものではないと説明した。CAFCによれば、RixonはEngelgauの目的に役立つものは何も教示していない。次に、Smithは調整可能ペダルに関連しておらず、「必然的に、ペダル組立体の支持ブラケットに電子制御を取り付けるという動機付けの問題には行き着かない。」Ibid. CAFCは、[従来技術の]特許がこのように解釈されたとすれば、これらが通常の技術者をAsanoに記載された種類のペダルにセンサーを配置するように導くことはなかったであろうと判示した。

 CAFCによれば、「『「試みることが自明」は自明性を構成しないと長い間判示されてきた』」から、Asanoとセンサーの組み合わせを試みることが自明であったであろうということも同様に的外れである。Id., at 289 (quoting In re Deuel, 51 F. 3d 1552, 1559 (CA Fed. 1995)).

 また、CAFCは、クレーム4より広いバージョンのPTOによる拒絶についての地裁の考慮も非難した。地裁の役割は、Engelgau特許に[従来技術として]Asanoが記載されていたとしたらPTOが何を行ったのかに関して推測することではないと、CAFCは説明した。むしろ、地裁はまず争点の特許が有効であると推定し、その後、従来技術の審理に基づいて地裁自身の独自の自明性の判断を行わなければならない、とCAFCは判示した。PTOがクレーム4より広いバージョンを拒絶したという事実は地裁の分析の中に入る余地はない、とCAFCは述べた。

 さらに、CAFCは事実問題の真正な争点がサマリ判決を排除すると判示した。Teleflexは、クレーム4はRixonと比較して「『特徴の簡素で洗練された新規な組み合わせ』」(119 Fed. Appx., at 290)であるという専門家の陳述、およびRixonとは違いセンサーがペダル自体ではなく支持ブラケットに取り付けられているからクレーム4は非自明であるという他の専門家の陳述書を提出していた。この証拠はトライアルを要求するに十分であるとCAFCは結論した。

I I


 我々は、CAFCの硬直したアプローチを拒絶することから始める。本最高裁の自明性の問題とのかかわりをとおして、我々の判例はCAFCが本件において適用したTSMテストの方法とは一致しない拡張的で柔軟性のあるアプローチを明らかにしてきた。確かに、Grahamにおいて「均一性と明確性」が必要であることを認めた。383 U. S., at 18. それにもかかわらず、その原則はHotchkiss(11 How. 248)の「機能的アプローチ」を再び支持したGrahamにおいて定められたのである。See 383 U. S., at 12. この目的で、Grahamは幅広い審理を明らかにし、適切な場合は、有益であることを証明するであろう二次的考慮を行うことを裁判所に勧めた。Id., at 17.

 103条の規定もGrahamの分析も、従来技術において見つかった要素の組み合わせに基づいて特許を付与する場合に慎重さが必要であることに関連する本最高裁のより以前の説示を妨げてはいない。半世紀を超える間に、最高裁は、「従来の要素を単に一体にするだけでそれぞれの機能を何も変更しない組み合わせに対する特許は…既に知られているものを独占の範囲に引き込み、技術者が利用可能なリソースを縮小させることは明らかである」と判示してきた。Great At-lantic & Pacific Tea Co. v. Supermarket Equipment Corp., 340 U. S. 147, 152 (1950). これが自明であるものに対して特許を許すことを断る主な理由である。知られた方法によるよく知られている要素の組み合わせは、予想できる結果をもたらすにすぎない場合、自明となりやすい。Graham後に判決された3つの事件が、この方針の適用を例証している。

 United States v. Adams, 383 U. S. 39, 40 (1966)(Grahamに関係した事件)において、本最高裁は、次の2点で従来の設計から異なる「湿式電池」の自明性を検討した:蓄電池において慣習的に使用された酸ではなく水を含んでいる;およびその電極は亜鉛と塩化銀ではなくマグネシウムと塩化第一銅である。本最高裁は、特許が、一つの要素をその分野において知られた他のものに単に置き換えることにより変更された従来技術において既に知られた構造をクレームするときは、その組み合わせは予想できる結果以上のものをもたらすものでなければならないことを認めた。383 U. S., at 50.51. それにもかわらず、Adamsの電池は自明であるという政府[PTO]の主張を拒絶した。本裁判所は、従来技術がいくつかの知られた要素を組み合わせることから遠ざかることを教示する場合は、それらの組み合わせの成功する方法の発見は非自明になりやすいという推論の原則を信頼した[訳5]。Id., at 51.52. Adamsが彼の電池を設計したとき、彼が使用したタイプの種類を使用することについてリスクを伴うと従来技術が警告していた。複数の要素が予期しないよい結果を生む方法で連携して働くという事実がAdamsの設計がその技術の技術者にとって自明ではないという結論を支持した。

 Anderson's-Black Rock, Inc. v. Pavement Salvage Co., 396 U. S. 57 (1969)において、本最高裁はこのアプローチに磨きをかけた。この事件における特許の発明特定事項は既に存在する二つの要素を組み合わせた装置であった:放射加熱バーナーと舗装装置。その装置は、新しいシナジーを作り出していないと本最高裁は結論した:この放射加熱バーナーはバーナーが機能するように期待されるのとちょうど同じように機能した:そしてこの舗装装置は同じことをした。組み合わされた二つは、分離して引き続いて実施した場合において行われるであろうこと以上のことは何も行わなかった。Id., at 60.62. これらの事情において、「従来の要素の組み合わせが有用な機能を果たすとしても、既に特許されている放射加熱バーナーの性質および品質に何も付け加えていなかった」、そして、その特許は103条に基づく要件を満たすことができなかった。Id., at 62 (footnote omitted).

 最後に、Sakraida v. AG Pro, Inc., 425 U. S. 273 (1976)において、本最高裁は、特許が「知られていた機能と同じ機能をそれぞれ果たす従来の要素を単に配置し」、そのような配置から期待されるであろう以上のものを生み出さない場合は、その組み合わせは自明であるという結論を先例から導いた。Id., at 282.

 これらの事件の基礎をなす原則は、問題が従来技術の複数の要素の組み合わせをクレームする特許が自明であるかどうかの場合に、有益である。ある製品が一つの努力している分野で利用可能である場合、設計インセンティブおよびその他のマーケットの力が、同じ分野または他の分野において、そのバリエーションを促すことができる。通常の技術者が予測可能なバリエーションを実施することができる場合は、103条はその特許性を妨げやすい。同じ理由で、ある技術が一つの装置を改良するために使用され、通常の技術者がその技術を用いて同様に類似した装置を改良できるであろうと認識するであろう場合は、その実際の応用が通常の技術者の技術を超えていない限り、自明である。Sakraida and Anderson's-Black Rockが実例である−裁判所は、その改良が確立された機能による従来技術の要素の予想できる使用以上かどうかを問わなければならない。

 他の事件においては、本件におけるよりも、これらの原則に従うのが難しいかもしれない、なぜなら、クレームされた発明特定事項が一つの知られた要素を他のものに単に置換する以上のものを含む、または、改良の準備ができている一つの従来技術への単なる応用以上のものを含むからである。しばしば、裁判所は、多数の特許の相互に関係づけれた教示;設計コミュニティに知られたまたはマーケットにおいて存在する需要の影響;およびその分野における通常の技術者が有するバックグラウンドの知識を見ることが必要となるだろう、すべては、知られた要素を争点の特許によってクレームされたやり方で組み合わせるはっきりした理由があるかどうかを決定するためである。再審理を容易にするために、この分析は明示的であるべきである。See In re Kahn, 441 F. 3d 977, 988 (CA Fed. 2006)(「自明性を理由とする拒絶は単なる結論の表明だけによっては維持されない;その代わりに、自明性の法的結論を支持するいくらかの合理的な基礎を有するいくらかの明瞭に表現された推論がなければならない」)。 しかし、我々の先例が明らかにするように、分析は、異議を唱えられたクレームの発明特定事項を導く正確な教示を求め尽くす必要はない、裁判所はその技術における通常の技術者が行うであろう推論およびクリエイティブステップを考慮することができるからである。



 関税特許控訴裁判所[CAFCの前身]が、組み合わせが自明であることを示すために、知られた要素を組み合わせるための教示、示唆、または動機付けを証明する要件を最初に確立したとき、関税特許控訴裁判所は役に立つ洞察をとらえた。See Application of Bergel, 292 F. 2d 955, 956.957 (1961). Adamsのような事件から明らかなように、いくつかの要素から構成される特許は、それぞれの要素が、独立して、従来技術において知られていることを単に証明することによっては自明が証明されることはない。確立された機能による二つの知られた装置の組み合わせをイノベーションとしてクレームする特許出願に関して常識が慎重さを命じるとはいえ、クレームされた新しい発明がするように要素を組み合わせることをその技術における通常の技術者に促したであろう理由を確認することは重要であり得る。これは、発明は、全てではないとしてもほとんどの場合、長い間明かされてこなかった積み木を組み立てることに頼っており、クレームされた発見はほとんど必ず、何らかの意味で、既に知られたものの組み合わせだからである。

 しかしながら、役に立つ洞察が、硬直した選択を許さない公式である必要はない;そして、そのように適用される場合、そのTSMテストは我々の先例とは一致しない。自明性の分析は、教示、示唆、および動機付けの用語の形式主義的概念によって、あるいは出版された論文の重要性および付与された特許の明示的な内容の対する過度の強調によって、制限されることはできない。発明追求と現代技術の多様性はこの方法で分析を制限しないように勧めている。多くの分野において、自明な技術または組み合わせについての論文はほとんど存在しないかもしれず、科学的文献よりも、マーケットの需要がしばしば設計トレンドを決めるのが事実かもしれない。真のイノベーションではなく通常の成り行きで生じるであろう前進に対して特許権の保護を付与することは、進歩を遅らせるであろうし、以前に知られていた要素を組み合わせた特許の場合、従来の発明の価値や効用を剥奪するかもしれない。

 関税特許控訴裁判所がTSMテストの基本的要素を明らかにてから長い間、CAFCは疑いもなく多くの事件においてこれらの原則に一致してこれを適用してきた。TSMテストとGrahamの分析の間に必要な不一致は存在しない。しかし、裁判所は、CAFCが本件において行ったように、この一般的な原則を自明性の審理を限定する硬直したルールに変質させるとき、間違いを犯す。



 CAFCの分析における欠陥は、TSMテストの適用により生じる自明性の審理の狭い考えに大部分関連している。特許クレームの発明特定事項が自明であるかどうかの決定は、特定の動機付けによっても支配されず、特許権者が公言する目的によっても支配されない。重要なのはクレームの客観的な範囲である。クレームが自明であるものに広がる場合、103条に基づき無効である。ある特許の発明特定事項が自明であると証明する方法の一つは、発明のときに、ある知られた課題が存在し、特許のクレームを含むある自明な解決策が存在することを書き留めることによる。

 本件におけるCAFCの第一の誤りは、裁判所および特許審査官は特許権者が解決しようとした課題だけを見なければならないと判示することによって、この推論を排除したことである[訳4]。119 Fed. Appx., at 288. CAFCは、特許権者を動機付けた課題がその特許の発明特定事項が述べる多くのものの一つだけかもしれないことを認識できなかった。問題は、その組み合わせが特許権者にとって自明であるかどうかではなく、その組み合わせがその技術における通常の技術者にとって自明であるかどうかである。正しい分析においては、発明の時に努力している分野[訳6]において知られたおよびその特許が述べたあらゆるニーズまたは課題がクレームされたやり方で要素を結合するための動機を提供することができる。

 CAFCの第二の誤りは、ある課題を解決しようとする通常の技術者が同じ課題を解決するために設計された従来技術の要素のみに導かれるだろうと仮定したことにある。Ibid. Asanoの最初の目的は一定比率の課題を解決することである;そうであるから、調整可能なペダルにセンサーをどのように配置するのかを考えている発明者はAsanoのペダルにセンサーを配置することを考える動機がなかったであろうとCAFCは結論した。Ibid. しかしながら、ありふれた物がその最初の目的を超えて自明な用途を有し得ることは常識であり、多くの場合、通常の技術者はパズルの小片と同じように複数の特許の教示を合わせてはめ込むことができるだろう。Asanoの最初の目的にかかわらず、Asanoの設計は固定されたピボットポイントを有する調整可能なペダルの自明な例を提供している;そして、従来技術は固定されたポイントがセンサーのための理想的な台であることを示す特許で満ちあふれている。Asanoは一定比率の課題を解決するために設計されたものであるから、調整可能な電子ペダルの製作を希望する設計者はAsanoを無視するであろうという考えは、ほとんど意味をなさない。通常の技術者は通常の創作力を有する者であり、自動機械ではない。

 同様な制限された分析が、要素の組み合わせを「試みることが自明」であったことを単に示すだけによっては特許クレームの自明性を証明することはできないという結論にCAFCを誤ってを導いた。Id., at 289 (internal quotation marks omitted). 課題を解決するために設計上のニーズまたはマーケットの圧力が存在し、確認され予想可能な解決策が有限の数である場合、通常の技術者はその技術的な理解の範囲内の知られた選択肢を追い求める十分な動機を有している。もし、これが予期された成功に導くのであれば、イノベーションではなく、通常の技術と常識の産物となりそうである。この場合は、ある組み合わせが試みることが自明であったという事実は103条に基づき自明であったことを証明するかもしれない。

 最後に、CAFCは、裁判所と特許審査官が後知恵の先入観に陥るリスクから間違った結論を引き出した。事実認定者は、もちろん、後知恵の先入観による歪曲に気づくべきであり、事後の推論に頼る主張に用心深くなければならない[訳7]。See Graham, 383 U. S., at 36(「従来技術の中に争点の発明の教示を読み込む誘惑」に対して警告しており、「『後知恵の使用に滑り込むことに対して警戒する』よう裁判所に教えている』」(Monroe Auto Equip-ment Co. v. Heckethorn Mfg. & Supply Co., 332 F. 2d 406, 412 (CA6 1964)を引用している))。しかしながら、事実認定者が常識に頼ることを否定する硬直した予防的なルールは、我々の判例法に基づいて必要なことでもなく、一致もしてもいない。

 CAFCが、本事件で適用されたのよりも、より広い考えのTSMテストを苦心して作り上げてきたことを我々は書き留める。See, e.g., DyStar Textilfarben GmbH & Co. Deutschland KG v. C. H. Patrick Co., 464 F. 3d 1356, 1367 (2006)(「我々の示唆テストは実際には完全に柔軟性があり、一般的な知識や常識の考慮を認めるだけでなく必要としている」);Alza Corp. v. Mylan Labs., Inc., 464 F. 3d 1286, 1291 (2006)(我々の自明性の法律学には柔軟性がある、なぜなら動機付けは従来技術の中に暗黙のうちに見出されるかもしれないからである。我々は、…を組み合わせる実際の教示を必要とする硬直したテストは行わない」)。もちろん、これらの判決は本最高裁の現在の事件ではなく、本件におけるCAFCによってなされた法律上の誤りを正すことはない。我々の以前の先例および我々の本件判決に、より一致する分析をCAFCが記述し得る範囲は、CAFCが将来の事件において考えることである。我々が判示することは、以上に特定された基本的な誤解が、本件においてCAFCを我々の特許法判決と一致しないあるテストを適用するように導いたことである。

I I I

 我々が説明した基準を本件の事実に適用すれば、クレーム4は自明であると認定されなければならない。我々は、地裁による関連する従来技術の列挙およびその分野における通常の技術者のレベルの決定に同意し、採用する。地裁が行ったように、我々は、AsanoとSmithの教示とEngelgau特許のクレーム4に開示された調整可能電子ペダルの間にわずかな相違を認める。この技術における通常の技術者は、Asanoとクレーム4が含むやり方でペダル位置センサーを組み合わせることができたであろうし、そうすることの利益を知ることができたであろう。



 ちなみに、Teleflexは、Asanoペダルは、Asanoのピボット機構の設計により、クレーム4で記述されたやり方でセンサーと組み合わせることはできないと主張する。See Brief for Respondents 48.49, and n. 17. それゆえ、Teleflexは、仮にAsanoにセンサーを追加することが自明であったとしても、それによってはクレーム4が自明な発明特定事項を含むことは証明されないと論じる。しかしながら、この主張は地裁においては提起されていなかった。Teleflexは、地裁においては、Engelgau特許がクレームする発明を動機付ける課題はAsanoとセンサーの組み合わせの解決策を導き出さないであろうということだけを力説することに甘んじていた。See Tele-flex’s Response to KSR’s Motion for Summary Judgment ofInvalidity in No. 02.74586 (ED Mich.), pp. 18.20, App. 144a.146a. 現在の主張がCAFCでなされたかどうかも明確ではなく、CAFCにおいては、TeleflexはAsanoとセンサーを組み合わせてもクレーム4の限定を満たさないという明確でない断固たる主張を推し進めた。See Brief for Plaintiffs-Appellantsin No. 04.1152 (CA Fed.), pp. 42.44. さらにTeleflex自身の専門家らの陳述書がTeleflexが現在提起する点を支持していない。See Declaration of Clark J. Radcliffe, Ph.D., Supplemental App. 204.207; Declaration of Timo-thy L. Andresen, id., at 208.210. 両方の陳述書の中でこの主張に関係するかもしれないただ一つの陳述がRadcliffeの陳述書の中に見られる:
「Asano…およびRixon…は、製造組立に費用がかかり、パッケージに入れるのが困難な複合した機械結合ベースの装置である。従来技術の設計におけるこれらの困難性が正に[Engelgau]が解決することである。一つのピボットを有し、そのピボットの位置で支持体と調整組立体の間に取り付けられた電子制御装置が組み合わせられた、ペダル位置を反映する調整可能ペダルの使用は、Engelgauの565特許における特徴の単純で洗練された新規な組み合わせである。Id., at 206, ¶16.
この陳述書全体の文脈でよむと、これが「Engelgauの565で述べられた課題:高価でなく、より早く組み立てられ、より小さいパッケージの電子制御調整可能ペダル組立体を提供すること」を解決するためにAsanoが使用できなかったことを意味するように最もよく解釈される。Id., at 205, ¶10.

 地裁は、Asanoをピボット取り付けペダル位置センサーに組み合わせるとクレーム4の範囲内になると認定した。298 F. Supp. 2d, at 592.593. 地裁のその認定の重要性を考えれば、Teleflexがこのクレームを維持することを意図するならより明確な攻撃を[地裁、控訴裁で]なしていたであろうことは明らかである。Teleflexが明確に主張できないこと、およびこの問題に関する控訴裁の沈黙に照らして、我々はこの点に関する地裁の結論を正しいものとして採用する。



 地裁は、Engelgauがクレーム4の発明特定事項を設計した時点で、その技術における通常の技術者にとって、Asanoをピボット取り付けペダル位置センサーと組み合わせることは自明であると正しく結論づけた。機械式ペダルを電子ペダルに変える強いインセンティブを作り出すマーケットがその時存在し、従来技術がこの前進を成し遂げるためのかなりの方法を教示していた。CAFCはこの問題を、要するに、白紙に[設計図を]書いているペダル設計者が、Asanoと、Chevroletのトラックにおいて使用され068特許において開示されたものに類似したモジュラーセンサーの両方を選択したであろうかどうかを問うことによって、余りにも狭く考えた。地裁もこの狭い審理を行ったが、それにもかかわらず正しい結果に到達した。問われるべき正しい問題は、努力している分野における発展によって生み出された幅広いニーズに直面している、通常の技術を有するペダルの設計者がAsanoをセンサーでアップグレードすることによる利点に気づいたであろうかどうかである。

 自動車設計においては、他の多くの分野と同様に、複数の部品の相互作用により、一つの部品の変更がしばしば他の部品にも修正を要求する。技術の発展は、コンピュータ制御のスロットルを使用するエンジンが標準になるであろうことを明らかにしていた。その結果として、設計者らは新しいペダルをゼロから設計すると決めたかもしれなかったであろうが;彼らは既に存在するペダルを新しいエンジンと共に動作するようにする動機も持っていたであろう。実際、既に存在する自分のモデルのアップグレードがKSRをEngelgau特許の侵害で現在訴えられているペダルを設計するように導いたのである。

 Asanoからスタートした設計者にとって、問題はセンサーを取り付けるべきはどこかである。その結果生じる法的問題は、Asanoからスタートする通常のペダル設計者がそのセンサーを固定されたピボットポイントに配置することが自明であると知ったであろうかどうかである。前述の従来技術が、KSRとEngelgauの両方が配置した所にセンサーを取り付けることが通常の技術者にとって自明であったであろうという結論に我々を導く。

 936特許は、エンジンの中ではなく、ペダル装置にセンサーを配置することの有用性を教示している。同様にSmithはペダルのフートパッドではなくその代わりにその支持構造にセンサーを配置することを説明している。そして、Rixonの知られたワイヤ摩耗問題および「ペダル組立体は接続ワイヤにどんな動きも引き起こしてはならない」というSmithの教示から(Smith, col. 1, lines 35.37, Supple-mental App. 274)、設計者はペダルの構造の動かない部分にセンサーを配置することを知ったであろう。センサーがペダルの位置を簡単に検知できる最も明白な動かないポイントはピボットポイントである。したがって、設計者は、Smithに従って、ピボットにセンサーを取り付け、それによって、クレーム4でカバーされる調整可能電子ペダルを設計したであろう。

 Asanoをコンピュータ制御のスロットルと共に動作するようにアップグレードするという目的から始めることが可能であったのとちょうど同じように、Rixonのような調整可能な電子ペダルを採用し、ワイヤ摩耗問題を避ける改良を捜し求めることも可能であった。ついさっき説明したのと同じステップに従い、設計者はSmithからセンサーの動きを避けることを学び、それにより、Asanoの方に来るであろう、なぜならAsanoは固定されたピボットを有する調整可能ペダルを開示しているからである。

 AsanoはTeleflexの観点では大きく複雑で高価であるから、従来技術はAsanoにセンサーを取り付けることから遠ざかることを教示しているとTeleflexは遠回しに主張している。しかしながら、Teleflexが取りまとめるこの主張を支持する唯一の証拠はRadcliffeの陳述書であり、これは、小さく単純で安価なペダルをつくるというEngelgauの目的をAsanoは解決しなかったであろうことを単に示すだけのものである。その陳述書が指摘していないことは、Asanoがどうゆわけかあまりに欠点を有していたので、Asanoあるいはそれに似たペダルを最新のエンジンに適合するようにアップグレードする理由がなかったことである。実に、Teleflex自身の複数の陳述書がこの結論の誤りを明らかにしている。Radcliffe博士は、RixonはAsanoと同じ大きさと複雑さの欠点を有していたと述べている。See id., at 206. しかしながら、Teleflexの他の専門家は、Rixon自体が既に存在している機械式ペダルにセンサーを取り付けることにより設計されたと説明した。See id., at 209. もし、Rixsonベースのペダルがアップグレードするにはあまりに欠点を有しているわけではないとすれば、Radcliffe博士の陳述書はAsanoがどちらかであったことを証明していないことになる。Teleflexは、AsanoはEngelgauの望ましい実施形態と比較して効率的でないというまことしやかな主張を行うことができたかもしれないが、Engelgauに対してAsanoを判断することはTeleflexが正しく促す正に後知恵にかかわることになるであろう。したがって、TeleflexはAsanoの使用から遠ざかることを教示するいかなる従来技術も証明していない[訳5]

 最後に、我々は、地裁と同様に、Teleflexはクレーム4が自明であるという決定を押しのける二次的ファクターも証明しなかったと結論する。それゆえ、これらの事実へのGrahamおよび我々の他の先例の正しい適用により、クレーム4は自明な発明特定事項を含んでいるという結論が導かれる。その結果として、このクレームは103条の要件を満たしていない。

 Engelgauの出願経過においてAsanoが開示されなかったことが特許の付与に与えられた有効性の推定を無効にするかどうかという問題には、その推定にかかわりなくクレーム4は自明であるから、手を伸ばす必要はない。それにもかかわらず、PTOがその専門知識においてクレームを認めたという推定の基礎となっている論理的根拠は本件においては重要性が大幅に減少しているようにみえるということを書き留めることが適当であると考える。

I V

 CAFCがサマリ判決の命令を覆すために与えた別の根拠は、事実問題の争点に関する争いの存在であった。我々は、この点についても同様にCAFCと一致しない。専門家が自明性の問題を述べる断固たる宣誓供述書を提供する場合、裁判所がサマリ判決の可能性を排除するようにGrahamアプローチを理解した限りにおいて、裁判所はその分析において専門家の証言が果たす役割を誤解した。その問題に関するサマリ判決の検討において、地裁は、ある事実問題を解決するまたは解決しないかもしれない専門家の証言を考慮することができるし考慮すべきである。しかしながら、これがこの問題の最後ではない。自明性の最終的な判断は法的決定である。Graham, 383 U. S., at 17. 本件のように、従来技術の内容、特許クレームの範囲、およびその技術における通常の技術者のレベルが重要な争点ではなく、クレームの自明性がこれらのファクターに照らして明らかであれば、サマリ判決は適切である。Teleflexが差し出した陳述書の中に、地裁が本件においてサマリ判決の命令の基礎となる注意深い結論に到達することを妨げるものは、何もない。[訳3]

*   *   *

 我々の周りの実在し触れることができる現実に、直感、簡単な論理、通常の推論、並外れたアイディア、および時には非凡な才能に基づく新しい製品をもたらすことによって、我々は創造し創作する。これらの前進は、一度我々の共有知識の一部になると、イノベーションがもう一度スタートする新しい発端を規定する。そして、より高いレベルの達成から始まる進歩が通常の成り行きで期待されるから、通常のイノベーションの結果は特許法に基づく特許権の対象ではない。そうでないとすれば、特許は有用な技術の発展を、促進するよりも、むしろ抑制するかもしれないだろう。See U. S. Const., Art. I, §8, cl. 8. これらの前提が、自明な発明特定事項をクレームする特許に対して、Hotchkissにおいて確立され103条によって成文化された障壁をもたらす。その障壁の適用は、目的をかなえようと束縛され過ぎたあるテストまたは公式[訳8]の中に制限されてはならない。

 KSRは、Asanoペダルの固定されたピボットポイントに利用可能なセンサーを取り付けることは関連する技術における通常の技術者が把握するものの中に十分にある一つの設計ステップであったことを示す説得力のある証拠を提出した。KSRの主張および記録がEngelgau特許のクレーム4は自明であることを証明している。CAFCは、地裁の判示を拒絶するなかで、103条及び本最高裁の先例と一致しない狭く硬直した方法でこの争点を分析した。CAFCの判決は取り消され、本件は本意見と一致する更なる手続きのために差し戻される。

そのように命令される。




訳注
(訳1)「
subject matter sought to be patented」を「発明特定事項」と訳した。日本の特許法36条5項に「特許請求の範囲には、…特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない。」と規定されているため、日本の特許庁の審査基準(第II部第2章新規性・進歩性でも「発明特定事項」の用語が用いられている。「発明特定事項」は、かつてはその当時の特許法の規定に基づいて「発明の構成」といわれていたものである。

(訳2)米国特許法103条は日本国特許法29条2項に対応する条文であり、米国の「自明性/非自明性」は日本の「容易性/進歩性」に対応する。したがって、この判決の「その技術における通常の技術者にとって自明であったであろうものである」を「その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が…容易に発明をすることができた」と読み替えれば、日本の特許法の条文に対応する。米国特許法103条の「自明であったであろう」の原文は「would have been obvious」であり、仮定法過去完了である。日本語には仮定法過去完了はないから、日本国特許法29条2項では「容易に発明をすることができた」と一見過去形のように記載されているが、内容的には仮定法過去完了であり、内閣官房の法令翻訳データによる英訳でも「would have been able to easily make the invention」となっている。仮定法過去完了であるから、過去の事実に反対の仮定・想像を行い、それにより判断するというのが米国特許法103条、日本国特許法29条2項なのである。本件特許の出願前に誰か(その技術における通常の技術者に限らない)が本件発明と同じ発明を発明していたことを示す証拠があれば、米国特許法102条、日本国特許法29条1項(新規性)によって拒絶される。米国特許法103条、日本国特許法29条2項が問題になるのは、そのような証拠がない場合であり、本件特許の出願前に同じ発明があったという過去の事実を証拠に基づいて立証できない場合でも、その技術における通常の技術者にとって「自明であったであろう」、あるいは、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が「容易に発明をすることができた」と仮定・想像できるときは拒絶されるのである(既に特許になっている場合は無効とされるのである)。そして、「自明であったであろう」あるいは「容易に発明をすることができた」ことを、立証責任を負担する側(特許庁、無効審判請求人、侵害訴訟における被告)が本件特許の出願前の証拠に基づいて立証しなければならないのである。したがって、本判決で扱っている自明性(容易性)の問題は、特許の分野において最も重要な問題であると共に最も判断が難しい問題でもあるのである。

(訳3)本件は、地裁において被告側がサマリ判決の申立を行い、地裁裁判官がそれを認め、被告勝訴(原告の特許は無効)のサマリ判決を行い、CAFCがこれを覆したが、最高裁がCAFCの判決を破棄し、地裁のサマリ判決を支持した事件である。サマリ判決とは、事実問題の真正な争点がない場合に地裁によって行われる判決である。逆に、事実問題の真正な争点がある場合には、トライアル(正式事実審理)において証人尋問を行い、争点になっている事実問題について事実認定を行い、その上で判決する。どちらかの当事者が陪審裁判を希望すれば事実認定を行うのは陪審員であり、どちらの当事者も陪審裁判を希望しなければ事実認定を行うのは地裁裁判官である(米国では地裁のみが事実審)。したがって、サマリ判決は、トライアルを行い証人尋問を行って事実認定を行う必要がない場合に、訴答、その他の記録、宣誓供述書等に基づいてなされる判決である。ちなみに、日本においては、特許裁判のほとんどは証人尋問を行わずに判決される。なぜなら、通常の特許裁判においては、証拠は特許公報、公知文献、被告製品のパンフレット等であり、これらが偽造文書でないことは明らかであり、そこに記載された文章や図面も記載されたとおりであることに争いがないからである。

(訳4)「裁判所および特許審査官は特許権者が解決しようとした課題だけを見なければならない」というCAFCの第一の誤りは、特許事件の専属管轄を有するCAFCとしては、信じられないようなひどい誤りである。CAFCによれば、例えば、本件発明が高性能化という課題を解決するためになされた「ある部品を小型化した…装置」という発明である場合、同じ課題を有する引用文献に基づいてしか自明(容易)ということができないということである。これに対して合衆国最高裁によれば、例えば、コストダウンの課題を解決するためや、軽量化の課題を解決するために「ある部品を小型化した…装置」が自明(容易)であったであろうといえる証拠があれば、無効(拒絶)であるというものである。登山にたとえると、CAFCの立場は、通常の技術者が本件発明者と同じルートで登頂に成功した場合だけ自明(容易)であり、別ルートで登頂に成功しても自明(容易)ではないというものである。合衆国最高裁の立場は、通常の技術者がどのルートで登頂に成功しても、自明(容易)であるというものである。もちろん、合衆国最高裁が正しく、CAFCは完全に誤っている。米国特許法103条には(日本国特許法29条2項でも)、課題が同じでなければならないという限定はない。しかも、この条文をCAFCのように解釈すると不合理な結果がもたらされるのである。なぜなら、本件発明者が高性能化という課題を解決するために「ある部品を小型化した…装置」の発明をして、これが特許になった場合、コストダウンの課題を解決するためや、軽量化の課題を解決するために「ある部品を小型化した…装置」を開発し、これを製造販売した者も特許権侵害とされるからである。被告が製造販売する装置がクレームに言葉で記載された装置であれば特許権侵害とされるのであり、特許権侵害かどうかの認定に本件発明者が考えた解決しようとした課題は関係しないのである。したがって、仮にCAFCのように米国特許法103条(日本国特許法29条2項)を解釈するとすれば、特許制度は極めて不合理で理不尽な制度となってしまうのである。CAFCの裁判官は特許法の専門家であるから、特許法に関する様々な判例等を熟知しているだろうが、本件によって、特許制度全体を見渡して合理的な判示を行う能力は欠如していることが明らかになってしまったのである。本判決において特許法の非専門家の合衆国最高裁が正しい判示をしてくれたおかげで、米国の特許制度は救われたことになる。特許事件は裁判所にとって極めて難しい事件であり、認定判断の統一、審理の迅速化、審理の質の向上のためには、米国でも日本でも裁判所の専門化は避けられない。しかし、裁判所の専門化によって認定判断の統一と審理の迅速化が達成されることは確実ではあるが、審理の質の向上は必ずしも達成できるとは限らないのである。本判決は、審理の質に関しては、専門化された裁判所よりも、専門化されていない裁判所がきちんとした認定判断を行った方が、よりよい結果が得られることを示す例であるといえるだろう

(訳5)「遠ざかること」は日本の進歩性の審査基準で「阻害要因」と呼ばれるものである。阻害要因が認められる場合は、自明(容易)とはいえず、特許は有効である。「遠ざかること」「阻害要因」はこれが認められれば、立証責任がある側(特許庁、無効審判請求人、侵害訴訟の被告)の自明(容易)であるとの立証を妨げることができる。すなわち、「遠ざかること」「阻害要因」は特許が有効であるとする者にとって有利な要因である。したがって、逆に、「遠ざかること」「阻害要因」がなければ自明(容易)であるというのは誤りである。ところが、日本の進歩性の審査基準の「第II部第2章新規性・進歩性」「2.5 論理づけの具体例」「(1) 最適材料の選択・設計変更、単なる寄せ集め」(14頁)の例1に「阻害要因がなければ適用容易とした例」が記載されている。この記載は日本の審査官に「阻害要因がなければ容易である」と誤解させる可能性があるから、削除すべきであると考える。「阻害要因があれば容易とはいえない」というのは、容易性の立証責任が審査官にあるという前提で、阻害要因があれば審査官の容易であるとの立証を妨げることができ、すなわち容易か容易でないかはっきりしない状態とすることができ、特許されるということで、これは正しい。これに対して、「阻害要因がなければ容易である」というのは、進歩性の立証責任が出願人にあるという前提で、出願人が阻害要因を立証できない場合に、すなわち、進歩性があるかないのかがはっきりしない状態の場合に拒絶されるということになり、これは誤りである。全体を「容易が立証された|どちらか不明|進歩性があることが立証された」とすれば、正しい立証責任では、「容易が立証された」場合に拒絶され、「どちらか不明|進歩性があることが立証された」場合は特許される。これに対して、誤った立証責任によれば、「容易が立証された|どちらか不明」の場合に拒絶され、「進歩性があることが立証された」場合のみ特許されることになり、これは誤りである。「逆もまた真なり。」とはいえないのである。

(訳6)「the field of endeavor」は翻訳しにくい用語であるが、「努力している分野」と訳した。発明に努力している分野という意味ではないかと思う。

(訳7)合衆国最高裁は「事実認定者は、もちろん、後知恵の先入観による歪曲に気づくべきであり、事後の動機付けに頼る主張に用心深くなければならない。」と述べている。もちろん、これは正しく、米国特許法103条、日本国特許法29条2項の規定から当然に必要とされることである。日本の特許庁の進歩性の審査基準(「
第II部第2章新規性・進歩性」の13頁以降)は、本判決の判示とかなりの程度一致しており、かなりよい審査基準であると思う。しかし、「審査官は、後知恵の先入観による歪曲に気づくべきであり、事後の動機付けに頼る拒絶に用心深くなければならない。」という注意書きが明記されていないのは極めて重大な欠陥である。[訳9]

(訳8)原文では「a test or formulation」であり、「the TSM test」とは違う「あるテストまたは公式」を意味する。すなわち、合衆国最高裁は、CAFCが本件においてTSMテストとは違う「あるテストまたは公式」を採用したことを否定したのであって、合衆国最高裁はTSMテストを否定しているわけではない。

(訳9)(07.06.30追記)今日開催された日本知財学会第5回学術研究発表会の日本弁理士会協賛セッション「進歩性の歴史と現状と展望」を聞いてきた。2時間という短い時間に進歩性に関するあらゆることがうまくまとめられた優れた発表会であった。そこでいただいた資料の中に、日本国特許庁が平成5年6月に初めて公表した進歩性の審査基準と、それを改正した平成12年の審査基準(最新版は平成18年)の対照表があった。これをみると、平成5年審査基準には、次に示す「その他の注意事項」が記載されていたのである。
(1)…審査においては、本願発明の知識を得た上で引用発明を理解することから、引用発明が請求項に係る発明の構成に近いものと錯覚し、相違点を見逃すことがある。…
(2)本願の明細書から得た知識を前提にして事後的に分析すると、当業者が容易に想到できたように見える傾向があるので、注意を要する。…
「後知恵」という表現はないものの、本判決で合衆国最高裁が述べていることと実質的に同じ内容である。私は、かつて特許庁で審査官をしていたが、平成5年審査基準が作成されたときに優れた審査基準であると思った。それまでは、進歩性の審査基準はなく、「発明の進歩性のための手法」というものはあったが、これはほとんど内容のないものであった。平成5年審査基準以前は、先輩の審査官から代々教えられた方法で審査を行っていたのである。私としては、29条2項を自分で読み、その文言から本判決で合衆国最高裁が判示していることと同様なことを考えていた。もっとも、本判決のように、それを言葉で明確に表現することはできなかったけれども。そのような私にとって、平成5年審査基準は、29条2項の文言を正しく理解して作成された優れた審査基準であると思えたのである。ところが、審査官の中には、平成5年審査基準を本件におけるCAFCのように狭く硬直した(出願人に甘すぎる)ルールと誤解した審査官も少なくなかったようで、平成12年に出願人に厳しくなるように(容易といいやすいように)改正が行われたのである。その時、上記注意事項も削除されてしまったのであるが、この注意事項は29条2項の根幹にかかわるものであるから、この削除は完全な誤りである。合衆国最高裁は本判決で次のように述べている。
CAFCは、裁判所と特許審査官が後知恵の先入観に陥るリスクから間違った結論を引き出した。事実認定者は、もちろん、後知恵の先入観による歪曲に気づくべきであり、事後の動機付けに頼る主張に用心深くなければならない。…しかしながら、事実認定者が常識に頼ることを否定する硬直した予防的なルールは、我々の判例法に基づいて必要なことでもなく、一致もしてもいない。
これが正しい解釈である。すなわち、審査官は、もちろん、後知恵に用心深くなければならないが、とはいっても引用文献の記載のみだけを頼りにするような狭く硬直したルールで何でもかんでも特許してはならないのである。ところが、日本国特許庁は、審査官が後知恵の先入観に陥るリスクを避けるために狭く硬直したルールを採用して何でもかんでも特許することを止めさせるために、後知恵に関する注意事項を全部削除してしまったのである。しかし、これでは、逆に、広く硬直した(出願人に厳しすぎる)解釈に審査官を誘導してしまうことになる。合衆国最高裁が述べる「硬直したルール」は日本語では「杓子定規」と言った方がわかりやすいかもしれない。杓子定規は日本の役所の伝統である。杓子定規で処理すれば、均一で一貫性がありしかも高速に処理することが可能である。本判決で合衆国最高裁も述べているように、「均一性と明確性」が必要なのは当然である。しかし、米国特許法103条、日本国特許法29条2項は杓子定規で判断すべき条文ではないのである。狭い杓子定規と広い杓子定規の間にある柔軟性のあるルールで判断しなければならないのである。その柔軟性のあるルールが本判決の I I に記述されているものである。日本国特許庁は、(出願人に厳しすぎる)広い杓子定規に審査官を誘導しないように、進歩性の審査基準に上記の注意事項を復活させるべきであり、また、(訳5)で指摘したように、「阻害要因がなければ適用容易とした例」を削除すべきだろう。






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