翻訳 井上雅夫 2002.09.01; 04     ↑UP   

  BTインターネット事件サマリ判決

ニューヨーク南地区合衆国地方裁判所
00 Civ. 9451 (CM)

決定及び命令

原告 BRITISH TELECOMMUNICATIONS PLC
被告 PRODIGY COMMUNICATIONS CORPORATION

サマリ判決を認容するメモランダム及び命令
2002年8月22日

McMahon裁判官
 原告British Telecommunications (「BT」)は、被告Prodigy Communications Corp. (「Prodigy」)がインターネットサービスプロバイダ(「ISP」)としてのビジネス活動を通じて、特許4,873,662号(「Sargent特許」又は「'662特許」[USPTO]のクレーム3、5、6、及び7(「主張クレーム」)を直接侵害したと主張する。また、BTは、Prodigyのサービスを通してインターネットをアクセスすることによってSargent 特許を侵害するProdigyユーザーによる侵害を誘導し、侵害に寄与していると主張する。

 本裁判所は既にMarkman意見<Markman Opinion>の中でこの特許のクレームを解釈した。British Telecommunications PLC v. Prodigy Communications Corp., 189 F. Supp. 2d 101 (S.D.N.Y. 2002) (「Markman Op.」)。現在Prodigyは連邦民事訴訟規則56に基づき、非侵害のサマリ判決の申し立てを行っている。

 以下に述べる理由により、私は法律問題として、陪審が、ProdigyがSargent 特許を侵害したとも、ProdigyがSargent 特許の侵害に寄与したとも、その他の者によるその特許の侵害を積極的に誘導したとも認定することはあり得ないと、認定する。それゆえ、私はProdigyのサマリ判決の申し立てを認容する。

サマリ判決の基準
 「本物の重要な事実問題」がなく、争いのない事実が法律問題として申し立てた当事者に有利な判断を保証する場合に、当事者はサマリ判決[訳1]を得る資格を有する。Fed. R. Civ. P. 56 (c); Anderson v. Liberty Lobby, Inc., 477 U.S. 242 (1986). 加えて、サマリ判決の申し立てを扱う場合に、「裁判所は、サマリ判決を求める者の反対当事者に最も有利な見方で証拠を見なければならなず、その当事者に有利に全ての合理的な推論を行わなければならない。」Matsushita Elec. Indus. Co. Ltd. v. Zenith Radio Corp., 475 U.S. 574, 587 (1986). 争いのある事実問題が存在するかどうかは裁判所が決定することである。 Balderman v. United States Veterans Admin., 870 F. 2d 57, 60 (2d Cir. 1989). 申し立てた当事者は争いのある重要な事実問題がないことを最初に証明する責任を負う。Celotex v. Catrett, 477 U.S. 317, 323 (1986). そのような証明がなされると、反対当事者は「トライアルを行う必要がある本物の問題が存在することを証明する特定の事実を提出しなければならない。Fed. R. Civ. P. 56(e). サマリ判決に反対する当事者は「断固たる主張又は実証されていない推論に頼ることはできない。」Scotto v. Almenas, 143 F. 3d 105, 114 (2d Cir. 1998). さらに、争いのある事実の全てが、事件を左右する本質的な法に照らして重要というわけではない。「支配する法のもとでその訴訟の結果に影響を与えるであろう事実についての争いだけがサマリ判決を正当に排除するだろう。」Anderson, 477 U.S. at 248.

 一般則として、侵害は事実問題である。SRI Int’l v. Matsushita Elec. Corp. of Am., 775 F.2d 1107, 1116 (Fed. Cir. 1985). しかし、裁判所が、特許権者に有利な全ての合理的推論を行い、合理的な陪審であれば侵害を認定することはあり得ないと結論したときは、サマリ判決が適切である。Warner-Jenkinson Co., Inc. v. Hilton Davis Chem. Co., 520 U.S. 17, 39 n. 8 (1997).

関連する法的原理

侵害
 ある装置が他者の特許を侵害するかどうかの決定は、ツーステップのプロセスで行う。第一は、裁判所がクレームを解釈しその範囲と意味を決定する。本裁判所は2002年3月13日のMarkman意見[訳2]でこれを行った。British Telecommunications PLC, 189 F. Supp. 2d 101. 次のステップは侵害と訴えられた装置を解釈されたクレームと対比し、その装置がクレームの全ての限定を有しているかどうかを決定することである。Cybor Corp. v. FAS Techs., Inc., 138 F.3d 1448, 1454 (Fed. Cir. 1998) (en banc).

 装置が「主張クレームの全ての限定を有している」場合は、その装置は文言上特許を侵害する。IMS Tech, Inc. v. Haas Automation, Inc., 206 F.3d 1422, 1429 (Fed. Cir. 2000); Laitram Corp. v. Rexnord, Inc., 939 F.2d 1533, 1535 (Fed. Cir. 1991). 「そのクレームの各限定が訴えられた装置に「リードオン<reads on>するとき、あるいは、他の言葉では、その装置に見いだされるとき、クレームの文言侵害が存在する。」Allen Engineering Corp. v. Bartell Indus., Inc., No. 01-1238, 2002 WL 1765989 (Fed. Cir. Aug. 1, 2002) (citing Baxter Healthcare Corp. v. Spectramed, Inc., 49 F.3d 1575, 1583 (Fed. Cir. 1995); Amhil Enters. Ltd. v. Wawa, Inc., 81 F.3d 1554, 1562 (Fed. Cir. 1996)).

 装置が文言上特許を侵害しないとしても、均等論に基づいて侵害であり得る。均等論に基づく侵害はクレームされた発明と訴えられた製品との間に実質的な相違がない場合に適用される。侵害と訴えられた装置が実質的に同じ方法で特許発明と同様な機能を実質的に果たし実質的に同じ結果を生じる場合は、その装置は均等論に基づき侵害となり得る。Warner-Jenkinson Co., 520 U.S. at 21; see also Graver Tank & Mfg. Co., v. Linde Air Prods., Co., 339 U.S. 605, 608 (1950); Atlas Powder Co. v. E.I. duPont de Nemours & Co., 750 F.2d 1569, 1579 (Fed. Cir. 1984). 均等論は「特定の特許クレームの文脈の中の各要素によってなされる役割」に焦点を合わせる。Warner-Jenkinson Co., 520 U.S. at 40.

 侵害が文言上又は均等論に基づき成り立つかどうかは、クレーム中に表された全ての要素、又は、その実質的な均等物が、問題の製品の中に見つけられなければならない。See Penwalt Corp. v. Durand-Wayland, Inc., 833 F.2d 931, 935 (Fed. Cir. 1987). クレーム中のどの構造的又は機能的限定も無視することはできない。Warner-Jenkinson Co., 520 U.S. at 25.

 最近、最高裁は、Festo Corp. v. Shoketsu Kinzoku Kogyo Kabushiki Co., Ltd., 122 S. Ct. 1831 (2002)事件において、均等論に関して法を明確化した。Festo事件において、特許権者は機械類において使用される磁気的に結合されたロッドレスシリンダに関する特許を有していた。Id. at 1835. よくあるように、特許権者は出願経過中にその特許のクレームを補正した。Id. 補正されたクレームは、その発明が一対のシーリングリングを含み、それぞれの側にリップを有し、ピストンアセンブリ上に不純物がつくことを防ぐことを述べている。また、その補正はその装置のアウターシェルは磁化された物質で製造されているであろうことを加えた。Id.


 SMCはFestoの特許と二つの方法で異なった類似した装置の製造を始めた:その装置はワンウェイリップを有する二つのシーリングリングの代わりにツーウェイリップを有する一つのシーリングリングを有しており、SMCの装置のアウターシェルは非磁性材料で製造されたものである。Festoは、SMCは均等論に基づきFestoの特許を侵害したと主張した。

 SMCは、Festoが均等物がその特許を侵害すると主張することは、出願経過禁反言により禁じられる、なぜなら、補正による追加の記載によって、これらの要素を含む装置だけが含まれるようにクレームが限定されるからである、と主張した。出願経過禁反言は特許の発行を行う特許商標庁における手続きに照らして特許のクレームが解釈されることを要求し、特許出願手続中に「削除又は拒絶された」特許について、いかなる解釈をも特許権者が主張することを排除する。Id. at 1838. 特許審査官の拒絶を検討して特許権者がクレームの補正を選ぶとすれば、その特許されたクレームは審査官によって拒絶された元のクレームは含まない。Id. (citing Goodyear Dental Vulcanite Co. v. Davis, 120 U.S. 222, 228 (1880); Wang Labs., Inc. v. Mitsubishi Elec. Am., Inc., 103 F.3d 1571, 1577-78 (Fed. Cir. 1997)).


 Festoは、出願経過禁反言は特許性に関する実質的な理由(たとえば、出願人が先行技術を避けるためになされた場合)に対してなされた限縮補正の時だけ適用され、形式のためになされた補正の時は適用されない、と主張した。Id. at 1839. 議論の的となった判決において、CAFC[訳注:特許事件について専属管轄を有する控訴裁判所]はこれに同意せず、補正が特許性に関する理由のためになされたものでない場合でさえも、特許出願手続中になされたいかなる限縮補正も、特許権者が均等物が彼らの特許の要素を侵害したと主張することを排除すると認定した。Id. at 1835.


 最高裁はCAFCに同意せず、出願経過中になされた限縮補正は特許権者が均等物を主張することを自動的に排除するものではないと判示した。しかし、最高裁は、限縮補正はそれが特許を得るためになされたという反駁可能な推定を引き起こすと裁定した。特許権者はこの推定を覆すことができるが、補正が何かの理由のためになされたことを証明することだけでは覆せない。もし、特許権者が推定を反駁することに成功すれば、均等論を呼び出すことは禁止されない;もし、失敗すれば、均等論はそのクレームに適用することはできない。


 最高裁のFesto判決はWarner-Jenkinson事件においてなされたルール、クレームが先行技術を避ける又は自明性のような特定の事項を処理するためのような「特許性に実質的に関連した理由」を避けた時にのみに出願経過禁反言は適用されるというルール、を再確認した。Festo, 122 S. Ct. at 1839 (quoting Warner-Jenkinson, 520 U.S. at 30-32). 最高裁の判示に基づき、出願経過が特許権者が均等物を主張するのを妨げるかどうかは、ケースバイケース・ベースで審理されるべきである:

出願を補正することによって、発明者は、その特許が最初のクレームほど広くないことを認めたものとみなされる。しかし、その結果、補正されたクレームがその記載において誰も均等物を工夫することができないほど完全であるようになるわけではない。補正後、その前と同様に、言語は発明に不完全にフィットし続ける。減縮補正はそのクレームではないものを証明するかもしれないが;そのクレームであるものをまだ正確に捕らえていないかもしれない。減縮補正により、補正の時に予期できず、かつ放棄されたものについての公正な解釈を超えた均等物を放棄した、とみなされるべきであるとする理由はない。補正が提出された理由と末梢的な関連だけを有する発明の側面についてクレームの均等が排除される理由もない。補正は、補正を提出せずに出願が許された発明者よりも、補正した発明者が急にクレームの起案に、より先見性を有することを示すものではない。補正は、発明者がより広いテキストに精通し、二つの間の相違に精通していることを示すだけである。その結果として、均等論を完全に廃止し、全ての特許権者を特許の文字通りの用語に縛ることよりも、発明者を補正されたクレームの文字通りの用語に縛ることに、より大きな理由はない。
Id. at 1840-4l.

 裁判所は、Warner-Jenkinson事件は、補正が特許性の目的のためになされなかったことを証明する責任を特許権者に負わせて、柔軟性と確実性の間の適切なバランスを取ったことを特筆した。特許権者がこの説明を提出できないとすると、裁判所はその補正が特許性に関連した実質的な理由によりなされたと推定し、出願経過が補正された要素に対してはいかなる均等物に頼ることも排除するだろう。Id. at 1841-42. 「裁判所が限縮補正の基礎となる目的−そしてそれゆえ特定の均等物の放棄に禁反言を限定する根拠−を決定できない場合は、裁判所は特許権者が広い文言と狭い文言の間の全てのものを放棄したと推定すべきである」(Id. at 1842)というほどこの推定は強い。

寄与侵害
  特許法271条(c)に基づき、特許発明の構成要素又は特許方法において使用される構成要素を販売する者は、(1)その構成要素が特許発明の重要な部分であり、(2)販売者がその構成要素が特許発明の侵害に使用されるために特に製造又は改造されたことを知っており、かつ(3)その構成要素が実質的な非侵害の使用に適した重要商品ではない場合に、寄与侵害者として侵害の責任を負う。

 その者の活動が侵害の原因であることを知っていることが寄与侵害を構成するために必要である。Hewlett-Packard Co. v. Bausch & Lomb Inc., 909 F.2d 1464, 1469-70 (Fed. Cir. 1990). 直接侵害が証明されなければ、寄与侵害又は侵害の誘導はあり得ない。Met-Coil Sys. Corp. v. Korners Unltd., Inc., 803 F.2d 684, 687 (Fed. Cir. 1986).


積極的誘導
 特許法271条(b)に基づく積極的誘導の主張は、侵害と主張される者が故意に他者の特許権侵害を助成し教唆したことを原告が証明することを必要とする。Rodime PLC v. Seagate Tech., Inc., 174 F.3d 1294, 1306 (Fed. Cir. 1999). 「この侵害を構成する活動の原因となる実際の意図の証拠」が積極的な誘導の認定に必要な条件である。」Hewlett-Packard Co., 909 F.2d at 1469. 「被告が誘導を構成すると主張される行為を単に知っているだけではなく、被告が他者の侵害を奨励する特定の意図を有していることを証明しなければならない。」Manville Sales Corp. v. Paramount Sys., Inc., 917 F.2d 544, 553 (Fed. Cir. 1990). 原告は、侵害とされる者が侵害行為を誘導したこと、及び「彼が彼の行為が実際の侵害を誘導するであろうことを知っていること又は知っているべきであること証明しなければならない。」Id.

Sargent特許
 Sargent特許は、リモート端末に位置する多数のユーザが一つの中央コンピュータ<a central computer>に蓄積されたデータをアクセスすることができるシステムを記述している。(Markman Op. at 2.) データはリモート端末によって電話線経由で受信される。

 リモート端末によってアクセスされる情報は中央コンピュータに複数のブロックの形で<in the form of blocks>蓄積され、各ブロックは一つの完全なアドレス<a complete address>によって特定される。中央コンピュータはユーザが要求したときにアドレスによって特定されたブロックを記憶装置から検索するために完全なアドレスを使用する。中央コンピュータに蓄積された各ブロックは二つの部分、表示のためのテキスト及びグラフィックデータを含む第一の部分(表示ページ)、及び現在の表示ページに関連する他の情報ブロックの完全なアドレスを含む表示を意図しない第二の部分、からなる。(Id.) 情報の二つの部分は、お互いに分離されることができるが、一緒に(実際、お互いの次に)蓄積される。(Id. at 14-15.) ある与えられた情報ブロック<a given block>にとって、表示された(第一の)部分は他の情報ブロックを参照するが、その情報ブロックの第二の部分のブロックは完全なアドレスを含む。(Id. at 14.)

 主張クレームにおいて、全体のブロックがリモート端末へ伝送され、リモート端末で第一の部分が表示され第二の部分がローカルメモリに蓄積される。表示ページは特定の情報ブロックのための短縮アドレスを含み、その特定の情報ブロックは中央コンピュータからアクセスできる。ユーザがそのブロックの第一の(表示)部分から表示された短縮アドレスの一つを選択するとき、その端末はメモリからそのブロックの第二の部分をアクセスし、対応する完全なアドレスを決定する。完全なアドレスはその後、次に望む情報ブロックを得るために中央コンピュータにモデムを介して送られる。(Id.)

BTのマクロな主張
 BTは、Prodigyはインターネットサービスプロバイダとしてのビジネス活動をとおしてSargent特許を侵害していると主張する。BTは、ProdigyのウェブサーバはSargent特許を文言侵害する方法で情報のアクセスを提供していると主張する。

 また、BTは、インターネットはSargent特許を侵害する、そしてProdigyはインターネットへのアクセスを利用者に提供することによって利用者による侵害を助長していると主張する。BTは、Prodigyは必要なソフトを提供しサードパーティによって維持されているウェブサーバの情報ページに利用者がアクセスすることを奨励することによって、Sargent特許の寄与侵害を行っているか、侵害を積極的に誘導していると主張する。それゆえ、BTは、Prodigyのサーバが法律問題においてSargent特許を侵害しないとしても、Prodigyは侵害するリモート端末を作り使用することによって'662特許を侵害しているから、サマリ判決は却下されるべきである、と論ずる。

争いのない事実

インターネット
 インターネットはコンピュータネットワークのネットワークであり、数百万の公的及び私的コンピュータに結合し世界中でもっとも巨大なネットワークを構成している。(Prodigy’s Local Rule 56.1 Statement ¶ 1 (“Prodigy’s Undisputed Facts”); BT’s Local Rule 56.1 Statement ¶ 1 (“BT’s Undisputed Facts”); Wah Report ¶¶ 22, 23; Clarke Decl. ¶ 6.) インターネットは数百万の人々が電子的に情報を得ることを可能とし、シェアすることを可能とする。World Wide Webはインターネット上で互いにリンクされたウェブページの集合体である。(Wah Report at ¶ 22.)

 インターネットはいくつかのメカニズムに依存して、膨大な読者にウェブページを利用可能とする。(Wah Report ¶ 25; Clark Decl. ¶ 6.) これらのメカニズムは次のものを含む:(1)ユニフォームリソースロケータ標準(「URL」)のようなWorld Wide Web上のリソースの位置を決めるネーミングスキーム;(2)ハイパーテキスト・トランスファプロトコル(「HTTP」)のようなWorld Wide Web上の名前がついたリソースにアクセスするためのプロトコル;及び(3)ハイパーテキスト言語(「HTML」)。(Wah Report ¶ 25; Clark Decl. ¶ 6.)

 HTMLはウェブページがフォーマットされる言語である。(Wah Report ¶ 24 (citing A Beginner’s Guide to HTML, NCSA).) この言語は「全てのコンピュータが潜在的に理解できる出版の母語の一種である。」(Id. ¶ 22). HTMLはコンテンツに隣接し構造的で表象的で意味を持った情報を表現することによって作者がドキュメントをマークアップすることを可能とする。(Id. ¶ 23.) HTMLにおいて、マークアップ要素はタグと呼ばれる。これらのタグは、例えば、パラグラフセパレータ、テキスト処理(例、太字、イタリック、他)、及びハイパーリンクを含む。(Id.) HTMLファイルは、JavaScriptと呼ばれるプログラミング言語を含むインストラクションを含むことができ、含まないこともできる。(BT’s Undisputed Facts ¶ 15; Wah Report ¶ 169.)


 HTMLファイルはウェブサーバと呼ばれるコンピュータに蓄積される。(Wah Report ¶ 24.) 一つのウェブサーバは要求によりウェブページをウェブブラウザに「サービス」する。(Id.) ウェブサーバに蓄積されたHTMLファイルをアクセスしたいユーザはウェブブラウザと呼ばれるソフトと共にパーソナルコンピュータ(「PC」)を必要とする。(Id.)


 ハイパーリンクはウェブページのためのURLを指す。(Id. ¶ 27.) ハイパーリンクは時々、画面上に表示される(URL記述のような)色の付いたテキスト、ロゴ、又はイメージの形を取る。強調された言葉又はアイコンの上を
ユーザがクリックすると、要求されたURLに送られ、又は、クリックしたものについてより多くの情報を受ける。

 URLはウェブサーバ上に蓄積されたHTMLファイルのようなインターネット上のリソースの位置を決めるために使用される識別子である。(BT’s Undisputed Facts ¶ 3; Wah Report ¶ 26; Clarke Decl. ¶ 7.) URLは位置の簡潔な表現であり、インターネットをとおして利用可能なリソースへのアクセス方法であり、一般に、情報の三つの部分、(1)アクセスメソッド、(2)ウェブページが蓄積されたサーバ名、及び(3)サーバ内のページ自体の名前からなり、パスと表現することができる。(Wah Report ¶¶ 26, 28.)

 例えば、URL http://www.prodigy.net/a/b/c.htmlにおいて、

 * 「http」はアクセスメソッドである。 これはコミュニケーションサービスを特定する。ハイパーテキスト・トランスファプロトコル(「http」)、ファイル・トランスファプロトコル(「ftp」)、gopher、メール、等が含まれる。

 *  www.prodigy.net はウェブサーバを特定する。この形式の名前はDNSネームと呼ばれる。ウェブシステムはネットワーク上の装置の名前をインターネットアドレスに翻訳するインターネット・ドメインネームサービスの使用を可能とする。

 * a/b/c.html はサーバ内の望みのページを特定する。

(Wah Report ¶ 29; Clarke Decl. ¶ 7.)

 ユーザがHTMLファイルを要求すると、ブラウザは電話線を経由してウェブサーバへ要求を送信する。(Wah Report ¶ 32.) そのウェブサーバはそのファイルを検索し、それをユーザのブラウザへ送信する。(Id.)その後、ブラウザはHTMLファイルを読み解釈し、ユーザのPCの画面にそのウェブページを表示する。(Id. ¶ 96.)

 ウェブブラウザ及びウェブサーバはTCP/IPプロトコルを使って通信する。(Id. ¶ 32.) これは要求/応答プロトコルであり、あるウェブページが要求されると、ウェブブラウザがウェブサーバに要求を送信する。(Id.) この要求は要求されたウェブページのURL及び使用されているHTTPプロトコルのバージョンの一部が含まれている。ウェブサーバは要求されたウェブページのコンテンツをウェブブラウザがあるコンピュータに送信することによってその要求に応答する。 (Id.)


 ウェブブラウザは、ウェブサーバからファイルを得られるようになる前に、最初にネットワークをとおしてウェブサーバとコネクションを確立しなければならない。(Id. ¶ 33.) 典型的には、このコネクションはインターネット上でTCP/IPコネクションによって確立される。(Id.) TCP/IPコネクションを確立するために、トランスポート層プロトコルソフトウエアがウェブサーバの特別のプロトコルポートに接続するための要求を始める。(Id. ¶ 34.) もし、ウェブサーバのアドレスが、要求されたページのためのURLの中にIPアドレス[訳注:ドメインネームのことと考えます]として記述されていれば、ウェブブラウザを走らせているコンピュータはドメインネームをIPマシンアドレス[訳注:通常はこれをIPアドレスといいます]へ変換するための要求を始める。(Id.) 一度、TCPコネクションがなされると、ウェブブラウザは同じサーバへ新しいコネクションをつくることなしにウェブページ要求を繰り返し送ることができる。(Id.)


 現在のインターネットプロトコル・システムでは、インターネットプロトコル(「IP」)ネットワークへ接続された各装置は32ビットの数、すなわちIPアドレス[訳注:少し前にIPマシンアドレスと述べていたもの]を使ってアドレスされている。これらのアドレスは通常は「dotted quad」表記、つなわちピリオドで分離された10進数で書かれた4つの8ビットの数の組の表記で記述される。例えば、あるIPアドレスは151.126.95.10として表記されるであろう。(BT's Counter to Undisputed Facts ¶ 19.) 多くの装置は一つより多くのIPアドレスを持っている。例えば、10のマシンホスティング・マルチプル・ウェブサイトはそれがホストとする各ウェブサイトのために一つのIPアドレスを持っている。他の場合は、IPアドレスのプールが多数の装置の間でシェアされる、例えば、ProdigyインターネットサービスのようなダイナミックIPダイアルアップ・コネクションにおいては、利用者の装置は利用者が接続するたびに異なったIPアドレスが割り当てられる。(Clark Decl. ¶ 12.)


Prodigyサービス
 Prodigyは1996年10月以来、顧客にインターネットへのアクセスを供給するインターネットサービスプロバイダ(「ISP」)である。(Prodigy Form 10-K for the period ended Dec. 31, 2000, Exh. B to Decl. of Benjamin Hershkowitz (“Form 10-K”)) Prodigyのサービスはダイアルアップサービス、ブロードバンドDSLアクセスサービスを含む。(Id.) Prodigyのネットワークは合衆国内の世帯の約90%に地域電話を使ってダイアルアップ・アクセスを提供することができる。(Id.)

 Prodigyのform 10-Kによれば、「Prodigyは、選ばれた主要なPC製造業者との契約獲得プログラム;主なPC製造業者によって出荷されるPCに[コネクション及びブラウザソフト]をバンドル;・・・小売りチャネルで販売されるWindows 98及びWindows 2000の全てのコピーにProdigyソフトを含ませる;ダイレクトメール及びテレマーケティング・・・を含む、顧客を獲得するために様々な手はずを整えている。」(Id. at 3.) Prodigyは「無料サポート、様々なオンラインサポート・オプション及びオンラインでメンバがメンバを助けるプログラムを含む」メンバを助ける広範なカスタマサポート・サービスを有している。(Id.) テクニカルサポートが利用でき、中でも「顧客はProdigyソフト一式で援助される。」(Id. at 4.) Prodigyは顧客にウェブをアクセスするために必要なあらゆるものを含む一連の製品及びサービスを提供している。

 新しい利用者がProdigyインターネットサービスを使おうとすると、Prodigyは利用者のPCにインストールするクライアント・キットソフトパッケージを含むCDを利用者に提供する。[1](Wah Report ¶ 48 (citing Bhakta Dep. at 138; Exh. F, Prodigy Internet).) このキットはメンバがProdigyのウェブサーバにモデムをとおしてダイアルできるソフトを含み、また、Microsoft Internet Explorerバージョン5.5ウェブブラウザのコピーを含む。(Id. (citing Bhakta Dep. at 138-39).)

 Prodigyの利用者は地域無料電話又は長距離電話サービスを使って彼らのPCでProdigyに接続する。(Wah Report ¶ 51 (citing Form 10-K, Exh. 51.) その後、利用者はインターネット及びProdigyのホスティングサービスにアクセスする。(Id.) ホスティングサービスは利用者のセッションの間にアクセスされたデータのいくらかを蓄積する。(Id.) ネットワークコネクションは電話線、ルータ、スイッチ、及びモデムのような通信ハードウェアをとおしてなされる。(Id.)

 ユーザがProdigyシステムにダイアルすると、ProdigyによってユーザのコンピュータにIPアドレスがダイナミックに割り当てられる。(Wah Report ¶ 53 (citing Bhakta Dep. at 34-41.) IPアドレスはコンピュータのインターネットへのインターフェースコネクションに割り当てられる唯一のバイナリ数であり、このコンピュータに他のコンピュータがIPプロトコルを使ってパケットを送信するために使われる。その後、メンバはウェブブラウザを使って、Prodigyウェブサイト又はインターネットに接続された他のウェブサーバからウェブページを検索することができる。(Wah Report ¶ 53.)

 Prodigyの利用者はインターネットへのアクセス及びProdigyブランドのコンテンツ及び「Prodigyパーソナルウェブページ」と呼ばれる個人のウェブページのようなサービスを受ける。(Form 10-K.) Prodigyの顧客はこのサービスをつうじて自分自身のウェブページをつくることができる。(Bhakta Dep. at 14-15.)

 Prodigyによって使用されるネットワークインフラは主に、地域電話アクセスサイト、地域電話アクセスサイトを地域ハブへ接続する中間層、地域ハブをインターネット又はProdigyのホスティングセンタに接続するバックボーン層の三層からなる。(Wah Report ¶ 41 (citing Form 10-K, Exh. 51).) ニューヨークにあるProdigyのデータホスティング・センタはコンテンツや他のデータを蓄積する約400の高容量サービスを提供する。(Id.) Prodigyのデータセンタは、www.prodigy.net、www.prodigy.biz(Prodigyのビジネス顧客向け)、及びprodigy.net(メンバの個人のウェブサイト用)を含むProdigyのウェブサイトのためのウェブページを処理し蓄積するウェブサーバ及びデータバンクを保有する。(Bhakta Dep. at 33.)

 Prodigyは多数の利用者のアクセスのロードを分散するために9台のサーバを使用している。(Prodigy’s Statement of Undisputed Facts ¶ 24.) これらのサーバの各々は同じコンテンツを有している。コンテンツはProdigyのウェブページ(例えば、www.prodigy.net、www.prodigy.biz)に関連した情報である (Bhakta Dep. at 37.)。また、Prodigyは利用者のパーソナルウェブページをサービスする3台の追加のサーバを使用している。(Id. at 38.) これらのサーバはwww.prodigy.netのための個人のウェブページの全てのコピーをシェアしている。(Id.)

 Prodigyのメンバが、Prodigyのメインポータルページあるいは「ホームページ」のURLであるwww.prodigy.netようなProdigyのポータルのURLに要求を行うと、メンバのブラウザは最初にDNSサーバへ要求を行い、ローカル情報又はインターネット上のクエリサーバからそのURLに対応するIPアドレスを得る。見つかったら、DNSサーバがブラウザに返したIPアドレスがロードバランスサーバを指す。このロードバランスサーバはIBM Network Dispatcher(R)ソフトが走る一つの別の物理的なコンピュータである。それがProdigyユーザの要求をサーバのトラフィックに基づいてコンテンツサーバの一つに分配する。ロードバランスコンピュータはProdigyユーザによってアクセスされるデータ蓄積は持っていない。(Bhakta Decl. at ¶¶ 5, 6.)

 Prodigyはメンバのpages.prodigy.netにある個人のウェブページをサービスする追加の三台一組のウェブサーバコンピュータを使っている。(Wah Report ¶ 45 (citing Bhakta Dep. at 38.) これらのウェブページはネットワークファイルシステム上に蓄積される。(Id. (citing Bhakta Dep. at 38-39).) 各ウェブサーバは要求された個人のウェブページを検索するために同じネットワークファイルにアクセスする。(Id.)


 Prodigyは各個人のウェブページ・アドレスをハッシュアルゴリズムを使うディスクファイルネーム・アドレスに直接的に変換又はマップするためにNetscapeサーバプラグインを使用しいる。(Wah Report ¶ 46 (citing Bhakta Dep. at 39-41).) ハッシュアルゴリズムはメンバのログイン名のようなメンバ特有の英数字情報から、数学的アルゴリズムを使って一つの数を生成する。(Id. (citing Bhakta Dep. at 42).) その後、この数はウェブページ・アドレスと組み合わされ、ネットワークファイルシステムからウェブページを得る。(Id.)

BTのミクロの主張
 BTは次のように主張する:

1.インターネット上の各ウェブサーバは、各ウェブサーバがそれ自体の集中化されたデータ蓄積を持っているから、Sargent特許で定義された一つの「中央コンピュータ」<a “central computer”>である。

2.HTMLファイルは、文言上又は均等論により「情報ブロック」として適格である。

3.各URLアドレスは、文言上又は均等論により裁判所のこの用語の解釈の意味の範囲内の「完全なアドレス」である。

 BTは他の主張[2]をするが、そこまで行く必要はない、なぜなら、これらの点に関して争いのある事実問題を提起できなかったから、法律問題としてProdigyはサマリ判決を受ける資格がある。


検      討

I.インターネットはSargent特許を侵害していない
A.インターネットは「中央コンピュータ」を持っていない

 1.文言侵害
 Sargent特許における「中央コンピュータ<central computer>」は:

一つの場所の一つの装置である。「リモート端末」と呼ばれる多数の物理的に分離したステーションに電話網の電話線によって接続されているから「中央」と言及されるのである。そうであるから、多数のリモート端末に接続された一つのコンピュータ<one computer>がある。したがって、本特許における中央コンピュータはデジタル情報蓄積のハブとしての役割を果たしており、リモート端末の全てが接続していることを意味している。

中央コンピュータは情報を蓄積する。中央コンピュータは「主蓄積<main store>」を意味している。本特許の文脈では、主蓄積は大量情報記憶装置又はメモリ装置である。主蓄積の例は磁気ディスクであり、情報が磁化された点のパターンとして同心円の記録トラック上に蓄積される磁気的な表面を持つ回転する円盤である。


中央コンピュータは情報データベースを含み、全てのリモートユーザがその中央コンピュータにアクセスすることによってそれをアクセスできるという意味で「中央化」されたものである。

(Markman Op. at 9.)

 BTは、インターネットは莫大な数のコンピュータでつくられているが、それぞれの個別のウェブサーバは一つの場所の一つの中央コンピュータ(すなわち本特許の意味のリモート端末に相対的に中央)(Wah Decl. at ¶ 31.)であると主張する。


 この議論の基本は、一つの中央コンピュータ<a central computer>は法律問題として、ただ一つのコンピュータ<a single computer>に限定されないというBTの主張である。この立場を支持するために、BTは私が、TM Patents, L.P. v. Int’l Business Machines Corp., 72 F. Supp. 2d 370, 380 (S.D.N.Y. 1999)事件で、クレームの用語「一つのマルチユニットメモリシステム<a multi-unit memory system>」を次のように解釈していることを引用している:

もちろん、特許クレームが「一つの<a>」システムをクレームした事実は、IBM又は何かの他の者が2又は3又は更に多くのそのようなマルチユニットメモリシステムを構築し、何とかしてそれらを一緒に接続する又はそれらを一緒に動作させることによって侵害する責任から逃れるであろうことを意味しない。
Id. at 380. BTの基本的議論の欠陥は明らかである。私はTM事件においてSargent特許を解釈していないばかりでなく、私がこれらの言葉を書いたときに、私は用語「中央コンピュータ」を解釈してさえいない。私は用語「システム」を解釈したのである。[3] 一つのシステムは一つのコンピュータと同じ物ではない、そして、私は同じだと言ったことはない。辞書によれば、一つのコンピュータは「データを検索し処理し提供する一つの装置」である、Dictionary of Scientific and Technical Terms 342 (Sybil P. Parker ed., McGraw Hill 3d ed. 1984)、一つのシステムは「特定の機能を実行するために集積されたいくつかの機器の一つの結合」又は「関連した構造物の一つのグループ」である。Id. at 1600. したがって、用語「システム」は一緒に結合した多数の装置を含むことは明白である。Sargent特許は実際に一つのシステムをカバーしている、そのシステムがその複数の要素の一つとして中央コンピュータを含んでいるのである。BTはシステムとコンピュータを一緒にしている。しかし、 私はMarkman意見の中で(Sargent特許のクレームを明確にするとして)、そのコンピュータ<the computer>はそのシステム<the system>のただ一つの構成要素であることを明確にした。

 特許クレームは、明確に解釈されたように、中央コンピュータは一つの場所の一つの装置であると定めている。(Markman Op. at 10-11.)  円がだた一つの中心を持つのとちょうど同じように、ハブとスポークのネットワークはただ一つだけのハブを持つ。他の中心を持つ他の円があるかもしれない、ちょうど同じように、他の中央コンピュータ又はハブを持つ他のハブとスポークのネットワークがあるかもしれない。しかし、Sargent特許でクレームされたタイプの各システム(ネットワーク)はただ一つの中央コンピュータだけを持つことができるのである。それゆえ、(BTが私に求めたように)インターネットを一つのシステムと見ても、インターネットはSargent特許を文言上侵害しない、なぜならそのような中央コンピュータを全く含んでいないからである。

 また、Sargent特許の中央コンピュータは情報データベースを含み、それは全てのリモートユーザが中央コンピュータをアクセスすることによって情報データベースをアクセスすることができるという意味で「中央化」されている。(Id.) Prodigyは、インターネットはそのような「中央化データ蓄積<centralized data store>」は全く含んでおらず、一つの極めて分散したデータ蓄積アーキテクチャを含むものであると論ずる。Prodigyの専門家によれば、この分散はインターネットの本質である、なぜなら、インターネットは、インターネットコミュニティによって採用されたプロトコル及び基準のオープンなグループに基づいてゆるやかにリンクされた、コンピュータ及び記憶装置のネットワークのグローバルネットワークの至る所に蓄積された情報に、ユーザがアクセスすることを可能とするものであるからである。(Clark Decl. at ¶ 6.)


 BTはこれが事実であることを争っていない。しかし、BTは次のように反論する、BTが論じているのは、インターネットが一つの中央化されたデータ蓄積を持っているということではなく、それぞれのウェブサーバ(又はBTはこれを中央コンピュータと呼ぶであろう)がそれ自身の中央化されたデータ蓄積を持っているということである、なぜなら、ウェブサーバはHTMLファイルを蓄積している一つの主な記憶装置<a main storage device>を持っているからである。(Wah Decl. at ¶¶ 31-33; Wah Report ¶ 176.)


 しかしながら、'662特許のクレームは、中央化されたデータ蓄積は複数のリモート端末によってアクセスできる複数の情報ブロックの全てを含んでいると記述している。(Markman Op. at 14.) BTは、インターネットにはリモートユーザがアクセスを望むであろうデータの全てを含んでいる中央化されたデータ蓄積がないことを争っていない。


 インターネットは、世界中のユーザが情報を交換することができるように、互いに絡み合った複数のコンピュータからなる一つのネットワークである。インターネットの全体の目的は、中央化することではなく、情報のソースを多くの場所に置くことである。どこかの物理的な位置にあるウェブサーバに蓄積された情報は、そのサーバがウェブに接続されている限り、あらゆるユーザが検索することができるのである。たとえば、Prodigyのユーザは多数のソースから情報を集めるためにProdigyに依存する必要はない、そしてProdigyの顧客がその情報をアクセスするためにProdigy自身のサーバを用いる必要はない。むしろ、ProdigyのユーザがProdigyのシステムをとおしてインターネットに接続すると、そのユーザは、リモートシステム(例えば、ニューヨークのProdigy自身の複数のコンピュータではなくアラスカにある一つのコンピュータ)上に置かれた複数の情報ブロックにアクセスすることができるのである。この「ネットワークのネットワーク」又は「システムのシステム」が、あらゆる場所にある様々なソースの情報へユーザがアクセスできるようにしているのである。


 BTは、被告の装置がクレームよりも1又はそれ以上の特徴を付加的に有していることは侵害の認定を排除するものではないという一般的なルールを引用する。しかし、BTが「付加」とみなすものはクレーム要素の本質における基本的な相違である。Markmanヒアリングにおいて、BTは、私に「中央コンピュータ」の解釈から「中央」の言葉を排除させようとしたかったのであろう。本裁判所は、Sargent 特許は一つの中央化されたデータベースを有するただ一つのコンピュータである一つの中央コンピュータをクレームしていると判示することによって、BTの解釈を明確に拒絶する。インターネットは、リモート端末によってアクセスできるデータの全てを蓄積する一つの中央化されたコンピュータから構成されたコンピュータネットワークではないから、インターネット上のウェブサーバが'662特許を文言上侵害することはありえない。


     2.均等論
 BTはProdigyのサマリ判決の申し立てに抵抗するために均等論に依存することはできない。均等論は要素−要素ベースで特許された発明と被告の製品との間の相違が実質的でないことを必要とする。Warner-Jenkinson, 520 U.S. at 29-30. 相違が実質的でないかどうかは機能−方法−結果テストによって決定することができ、クレームされた要素及び被告の要素が「実質的に同じ方法で実質的に同じ機能を果たし、同じ結果を得る」ことが要求される。Id. at 40; Johnson & Johnston Assocs. Inc. v. R.E. Serv. Co., Inc., 285 F.3d 1046, 1053 (Fed. Cir. 2002) (quoting Graver Tank & Mfg. Co. v. Linde Air Prods. Co., 339 U.S. 605, 609 (1950)). 本件においては、インターネットは機能−方法−結果テストに合格しない、なぜなら、リモート端末ユーザによってアクセスできる全てのデータを含む一つの中央コンピュータは、インターネットとは実質的に異なった方法で動作しているからである。

 Sargent 特許でクレームされた中央コンピュータはリモート端末と呼ばれる多数の物理的に離れたステーションと一対一のハブとスポークの関係を有している。リモート端末は電話網の電話線によって中央コンピュータと接続されている。全てのリモート端末は、情報を蓄積するために一つの中央化された主蓄積を持っている中央コンピュータに接続されている。(Markman Op. at 9.) 結果として、Sargent 特許における一つのリモート端末は通信したい一つのコンピュータをその通信プロトコルにおいて識別することはしない、そのリモート端末はただ一つだけの中央コンピュータと通信するからである。対照的に、インターネット上で動作する一つのコンピュータは常に、通信しようとする一つの特定のコンピュータを識別しなければならない、なぜなら、全てのリモートユーザがただ一つの中央の情報のソースに接続しているわけではないからである。全てのインターネットユーザがProdigyのウェブサーバだけに接続するのであれば、BTの議論は何らかの力を持つかもしれない;しかし全てのインターネットユーザがProdigyに接続しているわけではない。

 実際、インターネットユーザはインターネット上の様々な場所で情報を蓄積している多数のウェブサーバにアクセスするのである。実際、インターネットは一つの中央コンピュータを有する一つのデジタル情報記憶システムとは、まさに正反対のものである。クレームの限定の反対のものは均等物とみなすことはできない。Moore U.S.A. Inc. v. Standard Register Co., 229 F.3d 1091, 1106 (Fed. Cir. 2000). Moore事件において、CAFCは、接着剤が「前記長手方向の端の部分の多数<the majority>の長さに広がっている」ことを記載しているクレームの限定は、文言上も均等論に基づいても、ほとんど多数(すなわち47.8%)であっても、少数<a minority>の端の部分だけ(すなわち50%以下)に広がる接着剤を有する製品によって侵害されることはあり得ないであろう、と判示した。Id. CAFCによれば、「少数(多数のまさに正反対)が多数を必要とするクレームの限定から実質的でない相違であり得るという結論は論理を無視しているであろう。」Id.


 BTは、世界中のあらゆるユーザがインターネットに接続された数百万のコンピュータのどれかに蓄積されている情報にアクセスできることを争うことができない。対照的に、Sargent 特許のクレームは、一つの主データ蓄積を有する一つの場所にある一つの装置である一つの中央コンピュータに焦点を絞っている。要するに、インターネットはSargent特許において記述されたシステムとは全く異なったものなのである。結論として、文言上も均等論に基づいてもインターネットはSargent 特許を侵害しない。それゆえ、Prodigyは法的問題としてサマリ判決を受ける資格を有する。

    B.フレーズ「中央コンピュータ」はクレーム5、6、及び7を限定する
 BTは反論書において、「中央コンピュータ」はクレーム5、6、及び7を限定していないと主張する。BTは、Catalina Marketing Int’l, Inc. v. Coolsavings.com, Inc., 289 F.3d 801, 808 (Fed. Cir. 2002)事件及びRowe v. Dror, 112 F.3d 473, 478 (Fed. Cir. 1997)事件に依存して、「『特許権者がクレームの本文<body>に構造的に完全な発明を定義し、前文<a preamble>を発明の目的又は意図される用途を述べるためだけに使用する場合は』、前文は限定ではない」という提議を行っている。

 しかしながら、Catalina事件及びRowe事件はBTの助けには少しもならない、なぜなら、「特許権者がクレームの前文をクレームされた発明の構造的な限定を記載するために使用した」とすれば、前文における限定は実際にそのクレームの用語を限定することができるからである。Rowe v. Dror, 112 F.3d at 478. 本件の特許において、フレーズ「中央コンピュータ」はその特許の目的を記述するためにSargent 特許の前文に現れた単なる用語ではない。この用語はSargent クレームの本文にも同様に現れ、特許の構造的限定を記述している。
Catalina事件において、CAFCは次のように判示した:

フレーズ「消費者向けの店のような予め指定されたサイトを開く」はクレーム1の前文だけに現れるが、この言語はクレーム25の前文及び本文の両方に現れる。それゆえ、出願人はクレーム中に1回ではなく2回この言語を明確に含ませた。クレーム25の本文に含まれているため、このフレーズはクレーム25を限定する。
289 F.3d at 810-11; see also Karsten Mfg. Corp. v. Cleveland Golf Co., 242 F.3d 1376, 1380 (Fed. Cir. 2001)(前文のその用語は、その用語が明細書中だけでなく全てのクレームで使用されているから、クレームを限定すると認定している).

 用語「中央コンピュータ」はSargent 特許のクレーム5の前文及び本文の両方に現れる。実際、「中央コンピュータ」はクレーム5の本文に3回現れる。クレーム6及び7はクレーム5に従属しているから、これらのクレームもクレーム5が限定するものによって限定される。実際、本裁判所のMarkman意見が、クレーム5、6、及び7にクレームされた端末は、クレーム3で定義された一つの「中央コンピュータ」を含む一つのシステムのなかで使用されなければならないことを明らかにしている。(Markman Op. at 30.)


 更に、Sargent 出願人はクレーム5−7に関する出願手続中に、2パート情報ブロックのクレームされた新規性、及び、そのようなブロックが蓄積され、中央コンピュータの主蓄積からアクセスされる方法を、指摘することによって、繰り返し先行技術と区別した。(Applicant’s Appeal Br. dated Jan. 5, 1987.) したがって、ProdigyのユーザのPCが一つの中央コンピュータが存在する一つのシステムの中で使用されなければ、又は、少なくともそのような一つのシステムの中で使用するために特に適合されたものでなければ、Sargent 特許を侵害することはあり得ない。

 それゆえ、「中央コンピュータ」はクレーム5、6,及び7を限定していないというBTの議論は価値がない。


    C.インターネットはSargent 特許によって必要とされるような情報ブロックを含んでいない
     1.文言侵害
 '662特許とProdigyインターネットサービスとを区別するためにキーとなるのは、情報が複数の情報ブロックとして<as blocks of information>蓄積されるという'662特許の要件である。これらの複数のブロックは特別な特徴を有している:
各ブロックは第一の部分及び第二の部分を持つ。これらの複数の部分は分離可能で、隣接し、かつ共に蓄積された複数のサブユニットである。これは、その複数の部分が一緒に蓄積され、かつ、互いに隣同士に蓄積されるが、お互いに分離されることが可能であることを意味している。一つの情報ブロックは極めて限定されたプログラミング情報を含むかもしれない、その目的はその中央コンピュータと通信するために必要とされる入力の複雑さを減少させるためである。

一つの情報ブロックの二つの部分は第一の部分と第二の部分である。一つの情報ブロックの第一の部分はリモート端末上に映像表示することを意図されたものである。第二の部分は表示を意図されたものではない。第二の部分は、第一の部分で参照される他の情報ブロックのそれぞれのための完全なアドレスを含んでいる。そうであるから、一つの情報ブロックが第一の部分の中で参照されるとすると、その情報ブロックのための完全なアドレスが第二の部分の中にあることになるだろう。また、第二の部分は表示に影響を与える情報又はその中央コンピュータと通信するために必要とされる入力の複雑さを減少させるための情報のような他の情報も含む。しかし、それは表示を意図した情報は決して含まない。
(Markman Op. at 14.)

 '662特許によって要求された複数の情報ブロックとは違い、World Wide Web及びProdigyインターネットサービスの主要な言語であるHTMLコードは複数のブロックを使用しない。HTMLコードは、第一のサブユニットの中の表示情報と、一つの隣接し分離可能な第二のサブユニットの中の非表示情報に切り離されていない。むしろ、HTMLコードでは、URL及びアンカーのようなフォーマット及びリンクに関係した他の情報と混じり合って、表示される情報が含まれる。

 HTMLにおいては、ハイパーテキスト参照は表示のための各フレーズ又はイメージに隣接して各URLリンクを含んでいる。例えば、次のコードにおいて、

<script>document.write(HTMLCacheArray[34];</script><A
href="http://www.msnbc.com/modules/exports/ct_prodigy.asp?/news/736921.asp"
target="_top">Yahoo! profits meet forecasts</A><TD>
表示される情報は太字で示されており、URLはイタリック体で示されている。第一のリンキングタグ(HTMLでは「アンカータグ」と呼ばれ、「<A」で特定される)は、各URLと関連した表示のための情報である。この情報は画面に現れる。ユーザはこのリンクをマウスでクリックしてそれを働かせる。表示された情報のそのような構成要素各々のためのURLはHTMLコードにおいては表示のための情報の直前に記述される。結局、表示のための情報と関連するURLは、表示のためではない情報の一つのサブユニットと隣接して分離可能に置かれていない。

 BTは、本裁判所の「複数の情報ブロック<blocks of information>」の解釈は、表示及び非表示情報が分離されかつ別々の隣接する複数のサブユニット<sub-units>として共に蓄積されることを要求していない、と論ずる。(BT Opp. Br. at 20.) この議論は、本裁判所が用語「複数の情報ブロック」の解釈から言葉「分離した<segregated>」を省略したことに基礎をおいている。しかし、第一及び第二の部分が「混合」されていないという要件は本裁判所のクレーム解釈の極めて大きな一部なのである:
Prodigyは、1986 Amendment and the 1987 Appeal Brief, (Jan. 24, 1986 Appeal Br. at 3; Jan. 5, 1987 Appeal Br. at 3; File Wrapper Tab 22)[訳注:Sargent 特許の出願経過において原告が特許商標庁に提出した書面]からの同じ一節に基づき、その複数の部分が混合され得ないことを明確化させるために、私に、言葉「分離した<segregated>」を解釈に加えることを求めた。用語「分離した」は明細書及び出願経過の中において現れるが、一つの特許クレームのクレーム解釈に関連してかつて使用されたあらゆるそれぞれの言葉を合体することを私に要求する特許解釈のいかなるルールも私は知らない。両当事者は、用語「情報のブロック」の定義に不可欠である「分離した」のいかなる意味も提案しなかった。そのブロックの二つの別々の<discrete>サブパート(第一及び第二の部分)の考えがまさに、分離又は分離可能<segregarion or separability>という理解と一体となる、そして、既に私は定義に分離可能<separability>を含ませる決定をした。ほぼ同じものを意味する第二の言葉を組み入れることは陪審員を無意味に混乱させるだろう。
(Markman Op. at 20.)

 Markman段階において、本裁判所は、Sargent 特許における用語「共に蓄積される<co-stored>及び「隣接する<contiguous>」は同義語であるというBTの主張を明確に拒絶した。(Markman Op. at 15-16.) 私は、(私が陪審員に与えるであろう)「複数の情報ブロック」の説明のなかに「分離した」を含ませなかったが、私は既に用語「分離可能」を定義に含ませており、私にとって同じものを意味する第二の言葉を含ませて陪審員を混乱させたくなかったから、このようにしたのである。用語「分離した」を「複数の情報ブロック」の定義から省略したのは、私には用語「分離可能」の複製であるようにみえたからであり、複数のサブポーションが混合されないという事実をクレームから排除するようにみえたからではない。

 代わりに、BTの専門家Dr. Wahは、「上の部分に表示のための情報だけを含み、下の部分に表示のためではないが同じサーバ上に蓄積された他のHTMLファイルのための完全な割り当てられたアドレスを含む情報だけを含む」ようにHTMLファイルを作成することは可能であると述べている。(Decl. of Benjamin Wah at ¶ 22.) 彼は二つの方法で彼の議論を例証した。どちらも説得力がない。


 第一に、Wah博士は侵害すると彼が主張するウェブサイトを作成し、それらをProdigyのシステム上に置いた。[4] BTは、ProdigyがBTの特許を侵害した、又は、BTの特許を侵害するように他者を誘導したと主張することはできない、もし、BTが侵害する装置自体を発明しなければならないのであれば。「装置が特許クレームの全ての限定を満たすであろう方法で変更することが可能であるからという理由だけでは、装置が侵害しているということはできない」High Tech Medical Instrumentation v. New Images Indus., Inc., 49 F.3d 1551, 1555 (Fed. Cir. 1995)(「ハウジングに堅く連結された」カメラは回転するカメラをクレームした装置を侵害しない、なぜなら、特許された装置のように回転させるためには、侵害と主張されているカメラ上のネジがゆるめられなければならないからであると認定している)。


 この定着した特許法のルールの例は、Bionx Implants, Inc. v. Linvatec Corp., 99 F. Supp. 2d 396, 396-99 (S.D.N.Y. 2000)事件にみられる。この事件において、原告は、膝の半月板の裂け目を直すために使用される小さなプラスチックの縫合糸に関する特許を保有していた。侵害したと主張される者は、特許されたものと同様であるが、フレキシブルな材料でつくられ、縫合糸の内部を穴が通っている縫合糸を販売していた。裁判所は特許クレームは堅いものを記述していると認定した。出願人は彼の縫合糸を先行技術から区別するための理由として、他の縫合糸はフレキシブルな材料でつくられており、「針を使うことなくそれ自体で体の組織に押し込むことができない」と主張した。Id.


 侵害と主張される縫合糸は、針を使うことなく体に押し込むことができるから特許されたものと似ているという立場を支持するために、原告はビデオテープを裁判所に提出した。そのビデオの中で、彼らは事前に組織を切ることなく侵害品が髄膜に押し込まれたことを見せた。しかしながら、裁判所は挿入はビデオ立証のために特に設計した特別な挿入ロッドを使うことによってしか可能でないと特に言及した。装置は侵害するようにつくられ得るからという理由で侵害することはないというHigh Tech Medical事件において確立された原理に、この戦術は違反していると裁判所は認定した。「問題なのは、装置が侵害するようにつくられ得るであろうものではなく、侵害するように意図されたものであり侵害しているものである。」Bionx Implants, 99 F. Supp. 2d at 398 (citing High Tech Medical, 49 F.3d at 1555).

 第二に、Dr. Wahは、Prodigyシステム上の「女系図<sheilagenealogy>」ページをSargent 特許で定義された「情報ブロック」<a “block of information”>を含むものと特定した。(Wah Dep. at 41-42.) BTにとって不幸にも、このHTMLは'662特許でクレームされた「複数の情報ブロック<blocks of information>」のようには、まったくみえない。Sargent 特許は、第二の部分がその第一の部分で参照された他の複数の情報ブロックのそれぞれのための完全なアドレスを含んでいることを要求する。そうであるから、もし、一つの情報ブロック<a block>がその第一の部分で参照されたとすれば、その情報ブロックのための完全なアドレスがその第二の部分にあるだろう。Dr. Wahは証言録取書<deposition>のなかで、彼が「複数の第二の部分<second portions>」と特定した複数の部分<the parts>が多数の完全なアドレス<multiple complete addresses>を含んでいないことを認めている。(Id. at 50-51.)

 さらに、Dr. Wahは、HTMLから少なくとも二つの完全なアドレスを含む「情報ブロック」を作成するためには、観念的に二つの別個のひとまとめにされた「複数のサブブロック<sub-blocks>」を接続しなければならないだろう、と証言している。HTMLファイルのこの観念的な変更を行った後でさえ、Sargent 特許で記述されているように構成されるためには、HTMLのパラグラフの全てがどうにかして接続されなければならないだろう。これは、出願人がSargent 特許の出願経過で議論した「きちんと分離したブロック<neatly segregated block>」から、はなはだ隔たっている。(Applicant's Appeal Br. dated Jan. 5, 1987 at 12-13.) 結局、私は、法律問題として、Dr. WahがSargent 特許を侵害している「情報のブロック」の証拠として提出したHTMLファイルはSargent 特許のクレームを文言上侵害していないと認定する。

 BT側の専門家が情報ブロックとして資格を有すると主張する利用可能なウェブページをことごとく分析する必要はないという点でBTは正しい。しかしながら、争いのある重要な事実の問題を提起するためには、BTは本訴訟のために発明したもの以外に少なくとも一つのウェブページを特定しなければならない。Sargent 特許で定義された複数の情報ブロックがインターネットに存在するというBTの一般的な主張以外に、BTはProdigyのシステム又はそれ以外のインターネット上のどこかのウェブページが侵害していることを示す他の証拠を提出しなかった。Dr. Wahが侵害ウェブページとして特定した(彼が作成したもの以外の)一つの例はSargent 特許を文言上侵害しないから、インターネット上に侵害HTMLファイルがあるというBTの専門家の最終的な陳述はサマリ判決を排除する本物の重要な事実問題を提起していない。Phillips Petroleum Co. v. Huntsman Polymers Corp., 157 F.3d 866, 876 (Fed. Cir. 1998).

     2.均等論
 BTはProdigyのサマリ判決の申し立てに抵抗するために均等論に頼ることはできない
a.均等論の適用は「複数の情報ブロック」に関して禁じられる、なぜなら、出願人は先行技術を回避するために明白な主張を行ったからである
 出願経過禁反言は特許出願人がその特許の出願経過において補正又は主張によって主題<subject matter>の範囲を放棄した時には特許権者が均等論に頼ることを妨げる。Pharmacia & Upjohn Co. v. Maylan Pharms., Inc., 170 F.3d 1373, 1376-77 (Fed. Cir. 1999); Southwall Techs. Inc. v. Cardinal IG Co., 54 F.3d 1570, 1583 (Fed. Cir. 1995). 特許権者は「クレームから特に排除した構造を含ませる」ために均等論を呼び出すことはできない。Dolly, Inc. v. Spalding & Evenflo Cos., Inc., 16 F.3d 394, 400 (Fed. Cir. 1994).

 Sargent 特許の出願経過中に、Quinn[5]、Fedida[6]、及びCramer[7]の引用文献と、Sargent 特許を区別するために、新しい限定がフレーズ「複数の情報ブロック」に付け加えられた。[8] 例えば、Quinn引用文献と区別するために、出願人はより狭いクレーム限定のいくつかを挙げた:
例えば、蓄積されたデータブロックが表示のための情報を含む第一の部分と、表示のためではなく、複数の他の情報ブロックの各々<each of plural other blocks of information>のための完全なアドレスを含む第二の部分を含むべきであることは、Quinnのどこにも全く示唆がありません。また、Quinn  は、・・・一つの完全なアドレスより少ない程度のデジタルデータの手動キー入力であり、それにもかかわらず(その時表示された第一の部分を含む)情報ブロックの第二の部分に含まれる複数の完全なアドレスの一つを独自に指示するデジタルデータの手動キー入力を教示していません。(Jan. 26, 1983 Amendment at 9-10.)
 BTは先行技術に打ち勝つために減縮補正に依存したから、均等論はこれらのクレーム限定に関して利用することができない。Warner Jenkinson, 520 U.S. at 33. したがって、BTはProdigyのインターネットサービスが均等論に基づき前記クレーム要素を満たすと主張することは禁じられる。

 加えると、特許法103条に基づく自明性の拒絶に打ち勝つために、Sargent 出願人は一つの情報ブロックの第一及び第二の部分は隣接し、共に蓄積され、かつ共にアドレスされなければならないと主張した:
そしてどの引用文献にも、次に表示される画面のアドレス選択を助けるために、表示されたデータの各「画面」がそれ自身分離しているが隣接し共に蓄積されかつ共にアドレスされたインデックスに明確に関連づけられていることを明確に教示も示唆もしていないことを忘れるべきではありません。
(Applicant’s Appeal Brief dated Jan. 5, 1987 at 12-13 (emphasis in original).) それゆえ、BTは今になってクレームの侵害を維持するために「複数の情報ブロック」のために均等論にたよることはできない。また、これは特許を得るための元のクレームの減縮である。[9]
b.仮に、BTが均等物がSargent 特許を侵害すると主張することが出願経過禁反言によって妨げられないとしても、Prodigyは法律問題としてサマリ判決を受ける資格がある。
 均等論に基づく侵害は、被告の装置が特許装置と実質的に類似した方法で実質的に同じ機能を果たし、実質的に同じ結果を得る必要がある。Dolly, 16 F.3d at 398. 「均等論はクレームの限定を無視するためのライセンスではない。」Id. (citing Pennwalt Corp., 833 F.2d at 935). 「被告の装置は・・・全ての限定又はその均等物を含まなければならない。」Id. (citing Intel, 946 F.2d at 832).

 HTMLは、表示及び非表示情報がSargent 特許でクレームされた分離した複数のサブユニットとは完全に異なった形で散在することを要求する。この表示及び非表示情報の混合はSargent 特許でクレームされた複数の情報ブロックと実質的に異なるだけでなく、「きちんとした」Sargent 特許の方法の正反対である。それゆえ、BTは均等論に基づいてSargent 特許の侵害を主張することはできない。Moore U.S.A. Inc., 229 F.3d at 1106.

    D.フレーズ「複数の情報ブロック」はクレーム5、6、及び7を限定する
 BTは反論書において、フレーズ「複数の情報ブロック」はクレーム5、6、及び7を限定しないと論ずる。「複数の情報ブロック」は「中央コンピュータ」と同じ理由のために本特許に適用されている。「複数の情報ブロック」はSargent 特許の前文に特許の目的を記述するために現れる単なる用語ではない。このフレーズは、Sargent 特許の本文にも現れ、特許の構造的限定を列挙している。「複数の情報ブロック」はクレームの前文に5回現れ、本文に5回現れる。クレーム6及び7はクレーム5に従属しているから、これらのクレームもクレーム5を限定するどんなものによっても限定される。

 さらに、Sargent 出願人は、2パート情報ブロック及びそのような複数のブロックが中央コンピュータの主蓄積に蓄積されアクセスされる方法のクレームされた新しさを指摘することによって、クレーム5−7の出願経過において繰り返し先行技術と区別した。(Applicant’s Appeal Br. dated Jan. 5, 1987.) それゆえ、ProdigyユーザのPCが、複数の情報ブロックがダウンロードされる(又は、少なくともそのような一つのシステムを使うために特に適合されている)一つのシステムで使用されない限り、Sargent 特許の侵害はあり得ない。

 フレーズ「複数の情報ブロック」はクレーム5、6、及び7を限定しないというBTの議論はそれゆえ価値がない。

    E.URLもURLのパス構成要素も完全なアドレスではない
     1.文言侵害
 '662特許の主張クレームの全ては、表示された部分で参照された各々の関連した情報ブロックのための完全なアドレスが第二の部分に蓄積されることを必要とする:
完全なアドレスは、他の情報を参照することなくデータブロックが見つけられるだろう中央コンピュータの主蓄積上の位置を独自に識別する全部そろった数又はネームである。
(Markman Op. at 14.)

 Markman意見において説明したように、一つの完全なアドレスはバーチャルアドレスではない。(Id. at 19-20.) バーチャルアドレスは他の情報を参照する必要があるから完全なアドレスではない。「完全なアドレスは・・・それによって中央コンピュータが情報ブロックを検索することができる単なるアドレス以上のものである。完全なアドレスはもう一つのアドレスを参照することなく情報ブロックを直接呼び出す。」(Id. at 20.)

 Prodigyは、URLは特定のコンピュータ上の情報の位置を伝えないから、Sargent 特許の意味の完全なアドレスではないと論ずる。その代わり、URLはサーバからウェブページを引き出すために追加的な情報を必要とする。ブラウザがWorld Wide Web上のどれかのコンテンツページにアクセスするときに、そのブラウザは、その情報にアクセスする前に、最初にそのコンテンツが置かれたサーバのIPアドレスを得る。ブラウザは望むコンテンツを保有するウェブサーバのIPアドレスを得るためにDNSに要求する。ユーザのPCは外部のDNSサーバ、又は、もし可能ならキャッシュ内のDNS情報にアクセスするだろう。

 この複数ステップの方法は二つの理由で用いられている。第一に、数字で表したIPアドレスはアルファベットの名前を持ったURLのように覚えるのが易しくない。(Clark Decl. at ¶ 13.) 第二に、このシステムはウェブページの物理的位置が変わるたびにURLを変えなければならないことを避ける。(Clark Decl. at ¶ 14.) 例えば、Prodigyウェブページにアクセスしようとするユーザは、ProdigyのサーバがニューヨークにあってもアラスカにあってもProdigyに達するためにwww.prodigy.netとタイプするだろう。

 なぜコンピュータが追加的な情報にアクセスしなければならないのかの例は、インターネットユーザが共通に経験する極めて失望させる経験によって証明される。もし、DNSシステムが利用できないと、ユーザは望みの情報をアクセスできない。これは、URLが完全なアドレスではないからである。むしろ、それは要求されたウェブページを引き出すためにアクセスされなければならない他の情報を指している。

 '662特許の唯一の発明者Sargent、及びViewdataの全体のシステム設計を監督していたBTの課長Clarkeの両方が、'662特許によって要求される完全なアドレスは、中央コンピュータ上の主蓄積上の望まれたブロックのトラック及びセクタナンバを含む一つの物理的なアドレスであることに同意している。(Sargent Dep. at 198(「トラック及びセクタナンバはそのページがある場所の完全なアドレスである」); Clarke Dep. at 11(「それ[完全なアドレス]は、もしセクタナンバがなければ完全なアドレスのようなものを持つことができないから、確かにセクタナンバを含むでしょう。」)

 URLは名前又はバーチャルアドレスを含む。それゆえ、完全なアドレスを決定するために得なければならないいくつかの他の情報のソースを指す:

1.ユーザのコンピュータは最初に、外部のDNSサーバ又はローカルにキャッシュされたDNS情報のどちらかの形の他の情報を参照することによって、URLサーバネームをIPアドレスに翻訳することを試みなければならない。[10]

2.コンテンツサーバとの通信が達成された時に、URLに含まれる相対パスは、実際のパスを識別するためにコンテンツサーバのコンフィグレーションファイルの形の他の情報を使用して、翻訳されなければならない;そして

3.要求された情報のための物理アドレスを決定するために、実際のパスはオペレーティングシステムのファイルシステム上のルックアップテーブルの形の他の情報が参照されなければならない。
 BTはProdigyの議論に対して、完全なアドレスはURLのパス構成部分でありURL全体ではないと論じて、反論する。(Wah Report ¶¶ 202, 205.) それゆえ、BTは、ドメインネーム解決プロセスがなされた後、URLのパス構成部分だけが行われるから、DNS解決は的はずれであると論ずる。BTは、ウェブサーバネームのDNS解決の間、パス構成部分は修正されないと、特記する。このゆえに、BTは、Prodigyが行っているは、特許発明が必要としない追加的要素をインターネットが持っていることを論じることによって、侵害を免れようとするものである、と主張する。

 しかしながら、BTが主張する「完全なアドレス」−パスネーム−は定義により、インターネットのようなネットワークのネットワーク上においては不完全である。BT自身の専門家はそのように認めている。(Wah Report ¶32; BTO at 25.) サーバ情報なしに、ユーザのPCはインターネット上の数百万のコンピュータのどの一つが望む情報を与えることができるのかを知ることができない。この問題はもちろんSargent 特許の状況では起こらない、なぜなら、Sargent特許は一つの中央コンピュータを要求するからである。しかし、インターネットの場合、パスネームは完全なアドレスではあり得ない。

 BTは、本裁判所が解釈したフレーズ「他の情報を参照することなく」は、「完全なアドレス」は、バーチャルアドレスというよりはむしろ、メモリロケーションに対する独自な参照であることだけを要求している、と主張する。BTは、使用されるアドレスの種類にかかわらず、コンピュータがアドレスによって参照されるメモリロケーションをアクセスする前に、コンピュータはそのアドレスを様々な形に翻訳及び再フォーマットすると主張する。それゆえ、原告の主張は、ネームはコンピュータによって処理される前にコンピュータによってデジタル又はバイナリ形式に翻訳さなければならないから、本裁判所によって定められた解釈−完全なアドレスは「ネーム又は数」−は必ず何かの翻訳を要求するということである。(Markman Op. at 14.) BTは、ファイルネームのための完全なアドレスを等価なバイナリ数表現(コンピュータが参照されたメモリロケーションにアクセスするために使用する)に翻訳するようなルーチンなタスクを、コンピュータは実行するだろうということを、Sargent 特許は意図している、と争う。

 しかし、BTの議論は、用語「完全なアドレス」を無意味にするであろう。BT自身の専門家Dr. Wahの証言がこの点を描き出している。Dr. Wahは、バーチャルアドレッシングは「完全アドレス」の範囲から排除されるから、あらゆる識別子はバーチャルアドレスでない限り完全なアドレスであるという立場を取った:
Q.えー、もし、私がアドレスをタイプして、それが画面上に表示され、使い走りの者<a runner>が画面を見て、電話帳を引き、そして物理アドレスを決定したとすると;これは他の情報<other information>でしょうか?

A.裁判官の決定によりますと、バーチャルアドレッシングでないあらゆるものは違います−それは関連するような情報ではありません。意味は−

Q.あなたの意見では、バーチャルアドレッシングでない限り、あらゆる他の情報は(訳者挿入:完全アドレスであることが)可能であるとおっしゃるのですか?

A.そのとおりです。
(Wah Dep. at 108.) Dr. Wahはその後、(訳者挿入:「完全なアドレス」は)「他の情報」を禁止するという本裁判所の解釈はいかなる他の情報も禁止するが、「バーチャルアドレス」だけはそうではない、と仮定するように求められた。この解釈を適用するとURLは完全なアドレスですかと質問されたとき、Dr. Wahはそうではないことを認めた。(Id.)

  Dr. Wahはこれに関して正しい、そして、BTにとって不幸なことに、Sargent 特許で使用されている用語「完全なアドレス」はアドレスが実際に完全であり、要求された情報を検索するために付加的な情報を参照する必要がないことを意味している。BTの解釈は特許されたクレーム文言から用語「完全な」を除去するであろうが、本裁判所はこれを許すことができない。したがって、法律問題として、URL又はURLのサブセットでさえ、Sargent 特許で定義された「完全なアドレス」ではない。

     2.均等論
a.出願人が先行技術に対して明確な主張を行ったから完全なアドレス要素に関して均等論の適用は禁止される。
 Sargent の出願経過中に、出願人は元のクレームをクレーム10−22、11で置き換え、クレームの文言上の範囲を減縮した。[11] 出願人は先行技術に打ち勝つために減縮補正に頼ったから、均等物はこれらのクレーム限定に関して利用できない。Warner Jenkinson, 520 U.S. at 33. それゆえ、Prodigyのインターネットサービスが均等論に基づいて完全なアドレス要素を満たすとBTが主張することは禁じられる。

 Cramer引用文献に関する自明性の拒絶に応答して、出願人は、'662特許は完全なアドレスへのポインタに依存していないと論じた。(Applicant’s Amendment dated August 29, 1983 at 7; Applicant’s Amendment dated March 28, 1985 at 6; Applicant’s Amendment dated Dec. 4, 1985 at 9; Applicant’s Appeal Brief dated Jan. 24, 1986 at 9; Applicant’s Appeal Brief dated Jan. 5, 1987 at 15.) Markman意見において本裁判所が特に言及したように、特許出願手続きの過程で、出願人は、出願人の単純なアドレッシングシステムは「主蓄積からフェッチされた次のブロックの完全なアドレスを直接読む出すために短縮キーインデータ」を可能とする、と述べてNTZ論文と区別した。(Dec. 4, 1985 Amend., File Wrapper Tab 16 at 9-10.)
TsudaからSargent 特許を区別するときに、出願人は次のように述べた:

実際、「「ジャッジオーダー」 (col. 6, line 40 et seq.)を[Tsudaに記載されているように]実行するには次に表示されるものを決定するためにかなり複雑なアルゴリズムを必要とします。対照的に、出願人の新しいやり方なら、短縮インプットキーデータによってアドレスされるように、『遠い』メモリから次の完全なアドレスを単に直接読み出すことを可能とします。
(Id. at 7.)
これらの議論は特許商標庁審判合議体によって信頼された:

しかしながら、我々は[Tsudaによって教示された]「リクエストオーダー」が、クレームされているように表示目的のために検索され利用されるものである次の情報ブロックの完全なアドレスを含んでいるという兆候を我々は見いださない。最大でも、[Tsudaによって教示された]リクエストオーダーに含まれているデータがそのようなアドレスを決定するためにコンピュータ(1)によって使用されるということは[先行技術]のレビューから明らかである。
(Appeals Decision dated May 9, 1983 at 4.)

 出願人は先行技術で使われたバーチャルアドレス及びブランチングプログラムから完全なアドレスを区別するためにこれらの議論を行った。その結果、バーチャルアドレスが均等論に基づいて侵害であるとBTが主張することは禁じられる、なぜなら、ここでも、用語「完全なアドレス」の範囲を限定する減縮補正を出願経過中に行ったからである。
b.仮に、BTが均等物がSargent 特許を侵害すると主張することが出願経過禁反言によって妨げられないとしても、Prodigyは法律問題としてサマリ判決を受ける資格がある。
 URLは完全なアドレスとは実質的に異なった方法で機能する。URLはアドレスではなく名前でコンピュータとページを識別する。実際、URLは完全なアドレスとは正反対のものである、なぜなら、それは追加情報にアクセスせずにウェブページを呼び出すことはできないからである。他の言葉で言えば、URLは不完全である。不完全なアドレスは完全なアドレスの正反対のものであり、均等論に基づいて侵害となることはあり得ない。

II.寄与侵害及び積極的誘導
 インターネット自体がSargent 特許を侵害しないから、Prodigyがユーザにインターネットアクセスを提供することに関して寄与侵害又は積極的誘導の責任を負うことはあり得ない。それゆえ、BTの寄与侵害及び積極的誘導の議論に対して詳細な言及を行う必要はない。

III.Prodigyのシステムは'662特許を直接侵害しない
 ProdigyのウェブサーバはSargent特許を直接侵害するというBTの主張も成り立たない、なぜなら、Prodigyのウェブサーバ上のウェブページはSargent特許がクレームする「複数の情報ブロック」又は「完全なアドレス」を含まないからである。それゆえ、Prodigyのシステムは'662特許を法律問題として侵害しない、そして、Prodigyの他の非侵害の議論については言及する必要はない。

結      論

 BTが我々に信じさせようとしたこととは反対に、本件において争いのある重要な事実問題は存在しない。むしろ、両当事者が同じ事実に基づいて途方もなく異なった結論に到達している。私は、法律問題として、直接であるか寄与であるかにかかわりなく、インターネットの一部としてであってもインターネットから分離された離れたものとしてみたウェブサーバ上であっても、どのような陪審もProdigyがSargent特許を侵害したと認定することはあり得ないと認定する。それゆえ、Prodigyのサマリ判決の申し立ては認容される。書記官は本件の記録を閉じるよう命令される。

 これは本裁判所の決定及び命令を構成する。

日付:2002年8月22日

                      
合衆国地裁裁判官         



脚注
1.最小限のシステムの必要条件は、Microsoft Internet Explorer version 5.5 SP2、Microsoft Windows 95、66メガヘルツ(MHz) Intel 486プロセッサ、16 MBのRAM、Microsoft又は互換マウス、及び、モデム又はインターネット接続。(Wah report ¶ 50 (citing Internet Explorer 5.5 Service Pack 2 and Internet Tools. Microsoft Windows: URL:http//www.microsoft.com/windows/ie/downloads/recommended/ie55sp2/default. asp.).)

2.また、BTは次のように論じる。PCにおいて、複数の情報ブロックの第一及び第二の部分は分離されており、分離したメモリに蓄積される(又はHTMLファイルの分離及び記憶は実質的に複数の情報ブロックの分離及び記憶と類似している);コンピュータマウスはキーパッド手段であり、キー入力されたデジタルデータの手動入力のために備えられる;そして、URLは表示を意図されていない(又はHTMLファイルの第二の部分におけるURLは情報ブロックの第二の部分に実質的に類似している)。

3.さらに、私はSargent特許とはおよそ似ていない特許の状況においてもそうしている。引用文は本裁判所の'342特許の解釈から取ったものである。この特許はコンピュータに蓄積されたデータの中のエラーを検出し訂正することができるコンピュータシステムに関するものである。そのシステムはデータの中にエラーを検出するだけでなくそれを訂正する能力を有するエラー訂正コード使用し、訂正されたデータをバックアップするために予備のディスクドライブを使用し、その結果、システム中に常に二つのコピーが存在した。

4.これらのファイルを作成した者について多少の論争がある。しかしながら、Dr. Wahは、BTの弁護士の援助によりProdigyシステムにそれらをロードしたと証言した。(See Prodigy's Supp. Mem. in Supp. of Summ. J. at 1-2.)

5.Quinn引用文献、米国特許No.3,688,276はコンピュータ制御販売予約システムである。Quinnにおいて、中央コンピュータはリモート販売装置端末を制御し、そのコンピュータは目録及び収支を付けるためのメモリ記憶装置として働く。

6.Fedida 'Viewdata'ペーパーにはBTのViewdataシステムが記載されている。

7.Cramer引用文献、米国特許No.4,065,810には、メモリ蓄積の中に蓄積されたデータをアクセスするために端末がモデムを使うことができるデータ転送システムを記載している。

8.一連の補正後に発行されたクレーム1になったクレーム19は、複数の情報ブロックがそのブロックの第二のブロックの中の複数の他の情報ブロックの各々のための完全なアドレスを含むという限定を取り入れている。また、このクレームは「さらなるメモリ手段」及び次の完全なアドレスを選択するキー入力されたデジタルデータの使用を取り入れている。

9.本裁判所はこの問題についてBTからの追加の書面は必要としなかった、なぜなら、最高裁がFesto事件でその原理を再確認するまえでも、Warner-Jenkinson事件が判例法として存在していたからである。See Festo, 122 S. Ct. 1831.

10.これは多くのDNSサーバへの参照を必要とするかもしれない。

11.これらのクレームは発行された特許のクレーム1−4となった。

 訳注
(訳1)サマリ判決は、トライアル(事実審理)を行わずに、裁判官が争いのない事実に法律判断を適用して行う判決である。アメリカでは、どちらかの当事者が希望すれば陪審裁判が行われる。しかし、陪審員が行うことは事実認定だけであり、法律判断は裁判官が行う。サマリ判決の申立があり、それが認容されれば、トライアル(事実審理)を行わないため、陪審員による事実認定も行われない。

(訳2)Markman v. Westview Instruments事件において、クレームの解釈は陪審ではなく裁判官が行うべできあるという合衆国最高裁判決がなされた後、Markmanヒアリングが行われるようになった。Markman意見は裁判官がMarkmanヒアリングを行って判断したクレームの解釈である。なお、Markman v. Westview Instruments事件の概要とコメントが1997年度法学部英米法演習(東北大学法学部芹澤英明教授、担当小川史木氏)に掲載されています。


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