翻訳 井上雅夫  1998.06.03; 21   ↑UP 

マイクロソフト独禁法事件
97.12.11

原告 アメリカ合衆国
被告 MICROSOFT CORPORATION

1997年12月11日(記録に)ファイル
DISTRICT OF COLUMBIA合衆国地方裁判所書記官

民事訴訟94-1564 (TPJ)

        
メモランダム及び命令
      
 この民事独占禁止法違反事件の現在の手続きは、1997年10月20日に提出された合衆国の申立によって開始されたものであり、被告Microsoft Corporation(「Microsoft」)に対して、事件に一時的な結論をもたらした1995年8月21日の同意判決<consent decree>すなわち本裁判所によってなされた終局判決(以後、「ファイナルジャッジメント」又は「同意判決」という)に関し民事的(裁判所)侮辱罪訳6<civil contempt>が判定されないことを証明せよという命令訳7を求めるものである。Microsoftは争点を追加したが、その問題は本案訴訟の判決において本裁判所が審理する問題である。
  
I.
  
 1994年7月15日、合衆国はMicrosoftに対して、パーソナルコンピュータ(「パソコン」)オペレーティングシステム市場における違法な独占及び商業上の拘束を告発し、シャーマン法(合衆国独禁法)第1条、第2条、合衆国法律集15第1条、第2条(LII)訳1に基づいて提訴した。原告は、他の争点とともに、小売用パソコンにオペレーティングシステム・ソフトウエア訳2をプレインストールするパソコン製造業者に向けた多くの反競争的マーケティング慣行に、Microsoftが携わっていると主張した。両当事者は、広範な交渉の後、最終的に、ほとんどの問題を解決する同意判決の条件に合意した。[1]

 政府は、判決後はじめてのこの執行手続きは、Microsoftによるファイナルジャッジメントの条項の拡大かつ進行中の違反を最近発見したことによって、必要となったものであると提議する。その条項、IV(E)(i)条は、関連部分で、Microsoftのパソコン・オペレーティングシステム製品をインストールするライセンスを得るために、他のMicrosoft製品のライセンスの約束をパソコンのオリジナル機器製造業者(「OEM」)訳3に要求することをMicrosoftに禁じている。[2]

 政府によれば、Microsoftは、ある期間、パソコン・オペレーティングシステム・ソフトウエアの販売において事実上の独占を享受し、現在、80%近いシェアを有している。なぜなら、パソコンの小売店でのほとんどの購入者は購入するパソコンにオペレーティングシステムがプレインストールされていることを期待しており、OEMは製造するほとんどすべてのパソコンのハードディスクドライブ・メモリにオペレーティングシステム・ソフトウエアを日常的にプレインストールしているからである。消費者がMicrosoftのもっとも最近のもっとも成功したパソコン・オペレーティングシステム、Windows 95を好むことにより、OEMは製造する大多数の事実上すべてのパソコンに、オペレーティングシステム・ソフトウエアとしてWindows 95をプレインストールすることが商業上必要となっている。[3]

 現在の論争は、OEMとのライセンス契約においてWindows 95の権利を得る条件としてパソコンユーザーをインターネットにアクセスできるようにするあるウェブ「ブラウザ」、インターネット・エクスプローラ(「IE」)として知られる製品もまた受け入れることを必要条件としていることを含むMicrosoftの慣行から生じている。[4]ライセンス契約は、また、OEMにパッケージされたものを取り外すことを禁じている;小売業に発送する時に、OEM又は消費者がインターネットブラウザのもう一つの又はそれ以外のブランドを好もうと好むまいと、IEはパソコンのオペレーティングシステム・ソフトウエアの一つのコンポーネントとして残されていなければならない。

 他の言葉を使うと、政府は、MicrosoftはOEMが望もうと望むまいとインターネットエクスプローラをライセンスし配布することを強要していると攻撃し、政府は、Microsoftのブラウザのインストールを拒否しても、その基礎となすWindows 95オペレーティングシステムの機能に他の重要な面で影響を与えないと主張する(Microsoftは激しく否定している)。政府の主張によれば、その(ライセンス契約の)効力はMicrosoftがファイナルジャッジメントの明文の条項に違反してオペレーティングシステム独占を作り出す古典的な「抱き合わせ<tying>」契約である。[5]

   
II.
   
 ファイナルジャッジメントの IV(E)(i)条は、Microsofに対して、「明文又は暗黙に、・・・・他の製品を・・・条件として」(アンダーライン付加)、オペレーティングシステム・ライセンス契約を結ぶことを禁じている。同じ条文は、しかしながら、「この条文はそれ自体及びその中においてMicrosoftに統合された製品<integrated products>の開発を禁じるものと解釈されない」(アンダーライン付加)という規定が続いている。それゆえ、現在の論争の決定的な要素は、インターネットエクスプローラがWindows 95の「統合された<integrated>」コンポーネントとみなせるか、あるいは、反対に、システムのオペレーションの完全性をその他の点で損なうことなしにオペレーティングシステムとは別個の切り離せる「他の製品」とみなせるかどうかである。

 政府の主張は、インターネットエクスプローラは物理的にも商業的にもそれ自体、Microsoftオペレーティングシステムから分離した、別々な存在であり、Microsoftの目的にかなうときには、Microsoft自身によって、そのようにみなされているというものである。それゆえ、それ(インターネットエクスプローラ)はIV(E)(i)の意味の範囲内の「他の製品」である。すべてのインターネットブラウザは、IEを含めて、独立して消費者の需要を享受し、オペレーティングシステムとは別個に正式にライセンスされ、配布されている。

 Microsoftのリアクションは驚くべきもので、IV(E)(i)条のただし書きがWindows 95とインターネットエクスプローラの関係を包含することをかつて意味したという立場を政府がとってきたというものである。同意判決の条件が合意された時点で、IEとWindows 95との「統合」はサイバネティック・エンジニアリングの問題として、ほとんど完成しており、政府に十分に開示されており、かつ、少なくともMicrosoftの考え方では、「統合」製品の原型を意味していた。

 Microsoftは、政府との交渉の間に、政府ではなく市場がオペレーティングシステムの発展及び合体する特徴を命じるべきであるというMicrosoftの立場を明らかにしたと主張する。Microsoftは、政府の最初の申立には抱き合わせ< tying>についての言及はなく、[6]Microsoftのライセンス慣行に関する申立への答弁の中の多くのことを政府は公に認めたことを指摘する。その返答において、司法省<Department of Justice>(「DOJ」)は、最初の申立は「Microsoftがそのオペレーティングシステム製品の中に新しいソフトウエアの特徴を含めることを独禁法違反として追求することはない」と述べていた。提案されたファイナルジャッジメント及びヒアリングの通知に関する公的なコメントへの合衆国の応答, 59 Fed. Reg. 59,426, 59,428 (1994)参照。司法省は、また、「Microsoftがそのオペレーティングシステムに魅力的な特徴を加えたときはいつも、サードパーティによって販売されているMicrosoft製品を補完する同様な機能を果たすソフトウエア製品に対する需要が減少することを認めていた。同書。

 Microsoftは、司法省は少なくとも1994年7月までにWindows 95にインターネット関連テクノロジーを含めるMicrosoftの意図を知っていたと争う。Microsoftは、1994年7月以前に、ウェブブラウジング機能を含めて、インターネット関連テクノロジーをWindows 95の統合された部分にする意図を開示する多数の文書を司法省に提示した。1994年4月、Microsoft会長でありCEOであるBill GatesはWindows 95にインターネットソフトウエアを含ませるMicrosoftの意図を公に発表した。そして、1995年8月にファイナルジャッジメントが締結されたときに、MicrosoftはすでにIEの初期のバーションをバンドルしたWindows 95のあるバージョンをコンピュータ製造業者に供給していた。

 Microsoftは、「そのオペレーティングシステムに新しい特徴を合体させる自由な権利」の留保が、同意判決を快く受け入れるための必要かつ決定的な前提条件であったと主張する。IV(E)(i)条の「統合された製品」の但し書きは、Microsoftがそのオペレーティングシステムに含ませる特徴は何であるのかを決定する完全な自由、一般的に独禁法によってのみ制限を受ける完全な自由を保持するであろうというMicrosoftの主張の成果−−政府の不本意な同意−−であった。

 最後に、Microsoftは、IEが何かの目的で「分離した製品」であると考えられるかもしれないとしてさえ、IV (E)(i)条に基づく「統合された製品」の部分でもあることができない理由はないと論じる。Microsoftは、この16年間以上の間、オペレーティングシステムに合体されたほとんどすべての新しい特徴は、かつては、別々に利用可能であったものであると指摘する。Windows 95自体、二つの製品−−それぞれ別々に利用可能であったDOS 6及びWindows 3.1−−の機能をその単一の新しいオペレーティングシステムの中に統合した。Microsoftによれば、「統合された<integrated>」は「結合された<combined>」、「一体にされた<united>」又は「合体された<incorporated into>」以上のものを意味しない。Webster's Third New International Dictionary 1174 (1965)参照。Microsoftの争うところによれば、一つの「統合された製品」は、共に「結合された<combined>」又は「一体にされた<united>」−−別々にも利用可能でもあるかもしれないが−−広範な特徴と機能から成るWindows 95のようなものである。

 
 III.
  
 最初に、ファイナルジャッジメントの民事的(裁判所)侮辱罪<civil contempt>をMicrosoftに宣告しなければならないかどうかという制限された問題のみが裁判所に提出されている。現在の記録では、裁判所は「明白で説得力のある証拠<clear and convincing evidence>」訳8によって、Microsoftが同意判決に基づく「明白で不明瞭でない」禁止事項に違反したとの結論を下すことはできない。Armstrong v. Executive Office of the President, 1 F.3d 1274, 1289 (D.C. Cir. 1993) (内部のクォテーションマークを削除)。

 裁判所は、侮辱罪を告発された当事者、Microsofの利益となるように、ファイナルジャッジメントの条件におけるあらゆる不明瞭さを解決しなければならない。Common Cause v. Nuclear Regulatory Common, 674 F.2d 921, 927-28 (D.C. Cir. 1982)参照。Microsoftは、IV(E)(i)条に使われた用語としての「統合された製品<integrated product>」であるとMicrosoftが考えるもっともらしい解釈:独立して機能を果たすことができるが、疑いもなく相互に補完する機能を「結合し<combines>」、「一体にする<unites>」製品であるという解釈を申し出ている。Windows 95及びIEはそのような共同作用<synergy>を有しているとMicrosoftは主張する。

 Microsoftが正しく認識するように、裁判所の命令に服する当事者がその条件に違反するかどうかを確認するために、不明瞭な解釈に信頼を置き、多くの要因のバランスが必要とされるのでは、裁判所の命令は「正確に何の行為が違法であるのかの明示的な告知」を与えるという必要条件と矛盾する。Schmidt v. Lessard, 414 U.S. 473, 476 (1974) (FindLaw)参照;Gates v. Shinn, 98 F.3d 463, 472 (9th Cir. 1996) (同意判決の曖昧な基準は民事的(裁判所)侮辱罪申立を立証するには十分ではない),上告不許可, 117 S.Ct. 2454 (1997)も参照。

 要するに、Microsoftは、「統合された製品<integrated product>」の不明確さを、最小限、証明した。Microsoftはその用語のもっともらしい解釈を進展させ、OEMがWindows 95の部分としてIEを受け入れたというMicrosoftの主張を、同意判決が排除しないことを理解するための合理的な説明を提出した。政府は、Microsoftが同意判決の「明白で不明瞭でない」条項に違反したことを明白に確信させてはいない、Armstrong, 1 F.3d 1289頁。したがって、Microsoftにファイナルジャッジメントの民事的(裁判所)侮辱罪が適用されることはない。

    
IV.
   
 政府は侮辱罪の認定に耐える立証責任を満たしてはいないが、Microsoftのライセンス慣行が、実際に、ファイナルジャッジメントの条件に従っているとは必ずしもいえない。MicrosoftのIV(E)(i)条の解釈は同意判決の交渉を取り巻く環境に照らしてもっともらしいという裁判所の結論にも関わらず、その解釈が正しいものであると裁判所を確信させるものでもない。「他の製品」から「統合された製品」を区別するために政府によって提出された多数要因テストは、他の裁判所で一般的に抱き合わせの請求を解析するために適用される基準を用いる。開始、交渉及び同意判決の履行を取り巻く事情の全体を考慮して、裁判所はその客観的な目的に照らしてIV(E)(i)条を解釈する政府の理由に仮に合意したいと思う。

 まず、第一に、IV(E)(i)条はMicrosoftが合法的な「抱き合わせ」−−一つの製品のライセンスの条件として、コンピュータ製造業者が別個のスタンドアローンな製品をもライセンスすること−−に携わる可能性を熟考するなかで起草されたことをMicrosoftは認めている。Microsoft Mem. 12-14頁参照。独禁法の同意判決の中にそのような条項を含める目的を考慮すると、その文言を同様な文脈中で一般的に理解されるものとして解釈するのが合理的であるようにみえる。Carey Canada, Inc. v. Columbia Cas. Co., 940 F.2d 1548, 1556 (D.C Cir. 1991)(ある特定の取引の中で用語の特別の意味に依存して不明瞭な用語を解釈することは合理的である)参照。

 違法な抱き合わせであると考えられる契約であるためには、最初の問題として、二つの「個々の製品」が関係していなければならない。Fortner Enters., Inc. v. United States Steel Corp., 394 U.S. 495, 507 (1969) (FindLaw)参照。[ 7 ] Microsoftは、IEとWindows 95の機能面での共同作用<synergy>及び相互依存を引用して、前述のように、製品が、結合されたとき、サイバネティック・エンジニアリング技術の意味で、一つの単一の「統合された」製品を構成すると主張する。しかしながら、最高裁判所はJefferson Parish Hospital District No. 2 v. Hyde, 466 U.S. 2 (1984) (FindLaw)において、より難解でない論争であるにもかかわらず、同様な議論を否定している。麻酔サービスは被告の病院によって提供される他の設備及びサービスとは別の製品<a product separate from>を構成するという判示事項において、最高裁は、従来型の独占禁止の分析の語彙を使って、「機能的に統合されたサービスのパッケージ」を構成するから一つの製品と考えるべきであるという主張を拒否している。同18-19頁。最高裁は、「関係しているのは一つの製品か二つの製品かという問題への解答はそれらの間の機能的関係によるのではなく、むしろ、二つの品目に対する需要の性質による」と述べている。同19頁(アンダーライン付加)。最高裁は、二つの製品が関係しているかどうかは、その取り合わせ<arrangement>が、「買い手の目によって区別できる<distinguishable>」二つの別の製品のマーケット<two separate product markets>を結びつけるかどうかによると説明している。同19-21頁。最高裁は、麻酔サービスは他病院に基礎をおく設備から別個に<separately>購入できることを患者が理解できるから、これらは二つの別の製品であると判示している。

 8年後、 Eastman Kodak Co. v. Image Technical Services, 504 U.S. 451 (1992) (FindLaw)において、最高裁は、複写機の機器のメンテナンスのためのサービスと部品が「別の製品<separate puroducts>」を構成するかどうかを検討する際に上記 Jefferson Parish 基準を適用している。Eastman Kodak 裁判所は、サービスと部品が別の製品であると考えられるためには、「ある会社<a firm>が部品とは別にサービスを供給することが効率的<efficient>であるような十分な消費者の需要が必要である」と述べている。同462頁。Eastman Kodak 事件においては、サービスと部品は過去において別々に販売され、(複写機の)機器のオーナーに彼らの複写機に別々にサービスできることが継続してオファーされているという証拠によって、(Jefferson Parish 基準の)テストに合格した。同463頁。

 政府は、IEとWindows 95はソフトウエアエンジニアリングの問題として機能的に統合されているというMicrosoftの主張について論じると同時に、政府は二つの製品に存在する別々のマーケティング慣行及び独立した消費者の需要に主として議論を集中している。そのような分析は、Jefferson Parish 事件およびEastman Kodak事件において最高裁によって検討されたものと、まさに同じファクターに頼っている。その公に述べられた目的に照らしてIV(E)(i)条を読むことにより、政府がここに異議を申し立てる行為、すなわち、一つの製品のライセンスのために実質的に独立した消費者の需要を享受している他の製品のライセンス契約を条件とする行為、に対してこの条文の適用を決定する際に、このような独占禁止の先例を使用することを両当事者が予期していたという、論理的な推論をすることができる。

 要するに、そして、オペレーティングシステムの構成を決定する絶対的な自由を要求するMicrosoftの主張とは異なり、契約の問題として、オペレーティングシステムに何が「統合」されるかのアイディアを(消費者に)押しつけるMicrosoftの「足かせのない自由」は少なくとも独禁法に違反するであろう点でストップすることは意外ではないようにみえる<it appears not unlikely, as a matter of contract, that Microsoft's "unfettered liberty" to impose its idea of what has been "integrated" into its operating systems stops at least at the point at which it would violate established antitrust law>。1997年12月5日の口頭弁論において、Microsoftの弁護士は、「Word」、「Excel」ソフトウエアのような他の製品の特定のものがオペレーティングシステムの「統合された」構成部分であると、その会社として表明することはできないことを、しぶしぶ認めた。Tr. at 41-42参照。IV(E)(i) 条の挿入句のMicrosoftの拡張的な読み方に基づいても、それらの特定の製品とインターネットエクスプローラとを区別するものが何であるのかが明らかでない。Microsoftの解釈を採用することは、 IV(E)(i)条を本質的に無意味にすることのようにみえるだろう。

 Microsoftの物議をかもすライセンス慣行に何らかの点でIV(E)(i)条の影響が及ぶことは結論を下したが、裁判所への究極の問題−−Microsoftが実際にIV(E)(i)条に違反したのかどうか−−が決定されないままとなっている。更なる証拠が記録に綴じられないからには、その問題の答えを出すには機が熟さないだろう。技術的事実に関する問題についての議論は、契約の解釈と同様に、現在、記録に多い。

 Microsoftによれば、Windows 95のインターネットエクスプローラの構成部分は、Microsoft及び独立系ソフトウエア開発者の両方に利用される多数の「アプリケーション・プログラミング・インターフェース」を提供している。歴史的に、パソコンのオペレーティングシステムは、内部のハードドライブ、フロッピーディスクドライブ、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)及びCD−ROMドライブを含む、さまざまな情報のソースへのユーザーのアクセスを調整することに、常に、ある程度、尽くしてきた。ウェブブラウザ経由でインターネット−−もう一つの情報のソース−−へのアクセスを提供することは、単に、オペレーティングシステムにおける一つの自然な「次の一歩」である。

 しかし、Microsoftは、インターネットエクスプローラは単なるウェブブラウジング能力以上のものをオペレーティングシステムに実質上提供すると主張する。たとえば、Microsoft及び他のソフトウエア開発者が、ネットワーキングサポート、ユーザーインターフェース<user interface features>を提供するために、ハイパーマークアップ言語テキスト及びグラフィックスを表示するために、又は、America Online やCompuServeのような他のインターネット・アクセス・ソフトウエアを立ち上げる<launch>ために、IEコンポーネントを使用するという。インターネットエクスプローラの開発担当のMicrosoftの副社長によれば、Windows 95からIEを削除することはオペレーティングシステムの他の部分の「破壊<break>」をもたらすだろう。David Cole陳述書 51, 62, 65, 72, 77, 90項参照。

 裁判所は、両当事者に、ディスカバリを行うための適当な期間を与え、それに引き続き、裁判所は政府請求の本案訴訟の手続き及び永久的な差止救済の申請に関して更なる手続きを考慮する。その間に、裁判所は、ファイナルジャッジメントの条件をそのとおり実施する権限と義務を有しており、その目的のために仮差止が現状を維持するためにもっとも適切な道具であり、かつ、もし証拠が許すとすれば被害が最小限の救済を作り上げる裁判所の能力を維持できる<In the interim, the Court has the authority, and the duty, to enforce the terms of its Final Judgment as it reads it, to which end a preliminary injunction is the mos t appropriate instrument to maintain the statusquo and preserve the Court's ability to fashion the least disruptive remedy if the evidence warrants>。

 もちろん、仮差止を課すためには、裁判所は、(1)原告が本案訴訟において勝訴する相当な可能性を有しているかどうか;(2)もし、差止救済が却下されたとしたら、原告が回復不能の損害を被るかどうか;(3)もし、差止救済が認容されたとしたら、被告が不相応な被害を被るかどうか;及び(4)差止が公衆の利益に合致するかどうか、を決定しなければならない。Washington Metro. Area Transit Comm'n v. Holiday Tours Inc., 559 F. 841, 843 (D.C. Cir. 1977); City Fed Fin. Corp. v. OTS, 58 F. 3d 738, 746 (D.C. Cir. 1995)も参照。ここに、これらの要素の審判として仮差止を発布し、更なるディスカバリ及び本案訴訟の最終的な解決を継続審理とする<Here, a reckoning of those factors favors the issuance of a preliminary injunction, pending further discovery and a definitive resolution of the merits>。

 MicrosoftがIV(E)(i)条に違反したことを主張する本案訴訟を継続するためには、OEMが「他の製品」、すなわち、インターネットエクスプローラのライセンスの約束を、MicrosoftがWindows 95ライセンス契約の条件としたことを、政府は示さなければならない。現在の記録に基づき、また、表向きの目的に照らしてIV(E)(i) 条を解釈すれば、政府は本案訴訟で勝訴する相当な可能性を有しているようにみえる。Microsoftは、OEMがIEをライセンスし配布することを合意することを条件として、Windows 95ライセンス契約を行っていることを認めており、政府は、オペレーティングシステム及びインターネット・アクセス・ソフトウエアに、Microsoftが明白に行ったように、これらの製品を「別個に」「ある会社が供給するのが能率的であるに」十分なだけの独立した消費者の需要があることを示した。Eastman Kodak, 504 U.S. 462頁。

 被害の天秤もまた仮差止の発布に傾いている。Microsoftは現在インターネットエクスプローラ、IE 4.0の最新のエディションを、別個のスタンド−アローン製品としてのみ提示し、まだ、Windows 95のライセンスの前提としてそれをライセンス又はプレインストールするようにOEMに要求していない。しかしながらMicrosoftは1988年2月始めに(又はたぶんより早い時期に)、IE 3.0で現在行っているようにWindows 95のライセンスの条件としてそれをライセンス又はプレインストールするようにOEMに要求することを目指している。Microsoftにそのような条件を課すことを禁じても、重大な困難性を引き起こすことはないだろう。OEMにその製品を受け入れるかどうかの選択権が与えられる限り、現在行っているのとちょうど同じように−−あるいは適当とみえる他の方法で−−、IE 4.0を市販し販売促進する自由が、Microsoftには残されている。同様に、現在、Microsoft自身が「インターネットエクスプローラ3.0」[8]として別個に小売りで流通させているソフトウエアコードの受け入れとプレインストールをOEMに強要するのをMicrosoftに、訴訟継続中、禁じても、Microsoftに過度の困難性を課すことにはならない。一方、もし、Microsoftがその「統合」プロセスを継続するとすると、そのライセンス慣行がそうすることを更に有利にさせ続けるだろうと予想され、将来におけるWindows 95とIEの強制的なアンバンドリングのコストは手がでないほど高いものとなるだろう。

 最後に、マーケット、及び公衆一般、は仮差止の発布により利益を得るだろう。Microsoftのライセンス戦略は、あまり遠くない将来におけるそのオペレーティングシステム独占に対してMicrosoftが懸念する恐れによって、動機づけられていると政府は信じている<The government believes that Microsoft's licensing strategy is motivated by a threat Microsoft apprehends in the foreseeable future to its operating system monopoly>。一般に独立系ソフトウエア開発者は、現在もっとも普通に使用されていることから、特定のオペレーティングシステム、Windows 95又はそれ以前の製品の上で走るように新しいアプリケーションを書いている。政府の予言によれば、もし、(それが可能であると裁判所が知らされているように)訳4基礎をなすオペレーティングシステムを直接使う代わりとして、より多くのユーザーがインターネットブラウザ技術を使用すれば、ソフトウエア開発者はWindowsに従うよりも、代わりのインターネット・スペシフィケーションに従いアプリケーションを書くインセンティブを得るだろう<According to the government's prognostication, if more users employ an Internet browser technology as an alternative to using the underlying operating system directly (as the Court is informed it is possible to do), software developers will have an incentive to write their applications to conform to alternative Internet specifications, rather than to Windows requirements>。申立によると、Microsoftのライセンス戦略は、Microsoftのオペレーティングシステム独占を不滅にするため、まだ確立していない(現時点ではMicrosoftが支配していない)ブラウザ・マーケットにおいて開発競争を圧倒するために計画されたものである<Microsoft's licensing strategy is allegedly designed to overwhelm the developing competition in the browser market (which at this moment Microsoft does not dominate) before it becomes established, thereby perpetuating Microsoft's operating system monopoly>。

 政府が正確にMicrosoftの意図を予言していようとなかろうと、Microsoftがそのライセンス慣行によりオペレーティングシステム独占を増強し続けるだけでなく、インターネットブラウザマーケットにおけるもう一つの独占もまた得るかもしれない可能性は、この問題が最終的に解決されるまで、期限なしに大目に見るには、まったくあまりにも大きい。これらの慣行は、それらが良性であることが最終的に立証されるまで、排除されるべきである。

    
VI.
    
 最後の問題として、政府は、OEMを含む他の会社とのMicrosoftの約定及び他の契約のいくつかに含まれるある文言に異議を唱える。Microsoftは彼らに秘密保持契約(「NDA」)のさまざまな書式に署名するか、あるいは、Microsoftとの他の仕事における非開示誓約に合意するよう要求する。これらのNDAは署名した者が情報を開示する自由を制限し、Microsoftだけが「コンフィデンシャル」であることを決定し、宣言する。いくつかのNDAは開示しようとする当事者に政府を含めた誰にでも「コンフィデンシャル」情報を自発的に開示することを禁じると称しており、開示しようとする当事者は、裁判所又は他の政府の強制命令に従って情報を提出するのに先だってMicrosoftに届け出ることさえ要求してしていると政府は申し立てる。

 Microsoftの約定文書におけるそのような条項の存在はファイナルジャッジメントを効果的に履行させる裁判所の能力及びMicrosoftが同意判決に従っている程度を完璧に調査する司法省の能力に深刻な潜在的な障害を作り出していると政府は主張する。したがって、NDA署名者が政府調査機関との約定もしくは話し合い又は開示をMicrosoftに通知する要件をすべて無効とし、かつ、将来のMicrosoftのNDA又は他の約定においてそのような要件を含めることを禁止する命令を、政府は求めている。

 しかしながら、その請求の裏付けに関しては、OEMが司法省を助けるために調査の中で進んで申し出ることを、NDAが思いとどまらせているかもしれないという推測以上の何ものをも、政府は提出していない。実際に、当事者の誰かが司法省に伝達することを妨げられたこと、又は、その目的で発動したことはないが召喚されたとき彼らに知らせるように要求することを妨げられたこと、を証明する証拠が記録には欠けている。

 商業上の競争相手に価値があるかもしれないコンフィデンシャル情報が開示される前に、異議を唱えるための通知や機会をMicrosoftが得る以上の、何かの目的をNDAが意味しているという証拠は記録にはない。したがって、裁判所は、ライセンス契約および他の約定からNDA条項の抹消を求める政府の請求を却下する。

 以上の理由により、1997年12月11日、

 Microsoftに1995年8月21日のファイナルジャッジメントの民事的(裁判所)侮辱罪を宣告する命令を求めた合衆国の請求の却下が命令される、そして、

 更に、ある約定の文の抹消を求める請求は、権利関係に不利益を与えることなく<without prejudice>訳9、却下が命令される、そして、

 更に、この文書により提起された事実及び法律問題は、その目的のための別の命令のとおりに、本日、指名される特別補助裁判官<Special Master>に付託することが命令される、そして、

 更に、職権で、Microsoft、その役員、代理人、使用人、従業員、弁護士、及び、それらの者と実際に関係又は関与したすべての者は、これにより、この日から及び以後、ライセンシーがMicrosoftインターネット・ブラウジング・ソフトウエア(インターネットエクスプローラ 3.0、 4.0 又はその後継バージョンを含む)もまたライセンスし、プレインストールすることを明文又は暗黙の条件として、Microsoftパソコン・オペレーティングシステム・ソフトウエア(Windows 95又はそれの後継バージョンを含む )の使用権をライセンスする慣行が禁止され、そして終了され、そして停止され、更なる裁判所の命令を継続審理とすることが命令される。

Thomas Penfield Jackson
U.S. 地方裁判所
 

脚注
注1 Tunney法、15 U.S.C. Sec. 16(e) (LII) (1988)に基づく事前手続きは159 F.R.D. 318 (D.D.C.)、差し戻し、56 F.3d 1448 (D.C. Cir. 1995)に記載されている。

注2  IV(E)条は次のように規定する: Microsoftは、その契約の条件に、明文又は暗黙に、(i) 他の適用製品<Covered Product>訳5、オペレーティングシステム・ソフトウエア製品、又は他の製品(ただし、この条文はそれ自体及びその中においてMicrosoftに統合された製品<integrated products>の開発を禁じるものと解釈されないことを条件とする)をライセンスすること、を条件とするライセン契約を行わない。

注3 ファイナルジャッジメントで定義されているように、「オペレーティングシステム・ソフトウエア」は、パソコンシステムの作動を制御し、コンピュータのメモリとキーボード、ディスプレイ、ディスクドライブ及びプリンターのような取り付けられたデバイスの間の相互の作動を管理する、命令、コード及び付随する情報のセットである。ファイナルジャッジメント14条。

注4 「ブラウザ」は本質的には個別のパソコンとインターネットとの間のインターフェースである。それは、ユーザーがインターネット上にあるものをアクセスし、検索し、見ることができるソフトウエア・アプリケーションである。競合するブラウザには Netscape Communication Corp.の「Navigator」が含まれている。

注5 抱き合わせ契約は「一当事者が、買い手が異なった(又は抱き合わされる<or tied>)製品も購入する、又は、少なくとも他の供給者からの製品を購入しないことを合意する条件においてのみ一つの製品(抱き合わせる製品<the tying product>)を販売する契約」である。Northern Pac. Ry. v. United States, 356 U.S. 1, 5-6 (1958) (脚注省略)

注6 Microsoftによると、抱き合わせの問題は、1994年にMicrosoftについて独自の調査を行っていたブリュッセルのヨーロッパユニオンの独禁当局であるDirectorate General IV (「DG IV」)によって初めて提起された。

注7 抱き合わせ<A tying arrangement>は一般的にそれ自体として違法であろう、したがって、もし、(1)二つの別の製品又はサービスが関係し、(2)一つの製品又はサービスを販売する売買又は契約が他の購入を条件としており、(3)売り手が抱き合わせる製品<tying product>のマーケットで十分な力を有しており、抱き合わされた製品<tied product>のマーケットにおいて取引の制限が可能であり、及び(4)州間の取引の少なくない量の抱き合わされた製品<tied product>に影響が及ぶときは、不合理な反競争効果の証明なしに禁止される。Fortner Enters. 394 U.S. 498-99頁。

注8 OEMがインストール済みのパソコンからIE 3.0を消去する必要があると裁判所が意図しているわけではない。インストール済みのIEのコードの「はぎ取り」に関するMicrosoftの懸念を不要とするため、裁判所は将来についてのみ適用するよう差止を機能させる。
 


(訳1)合衆国法律集15<15 U.S.C.>は通商関係の法律の集合体であり、合衆国法律集15第1条、第2条とシャーマン法(合衆国独禁法)第1条、第2条は同じ条文である。

(訳2)「オペレーティングシステム」はファイナルジャッジメントのII、14で定義されている。

(訳3)オリジナル機器製造業者(「OEM」)はファイナルジャッジメントのII、9で定義されている。

(訳4)Jackson判事は、「(それが可能であると裁判所が知らされているように)基礎をなすオペレーティングシステムを直接使う代わりとして、より多くのユーザーがインターネットブラウザ技術を使用すれば、・・・」と述べている。民事訴訟は当事者が法廷に提出した主張、立証のみに基づいて事実認定を行わなければならないが、Jackson判事はかっこ書きで、法廷以外のルートで知った情報があることを示唆している。また、本来であれば「・・・政府は主張する」というような書き方になるはずであるのに、このパラグラフでは、「・・・政府は信じている」とか「政府の予言によれば・・・」と記載されており、政府の主張が明確でないことが推測される。次のパラグラフの冒頭では「政府が正確にMicrosoftの意図を予言していようとなかろうと、・・・」と記載しており、これは、Microsoftの意図を正確に知っているJackson判事としては、政府(司法省)の予言は正確ではないということを述べたものと考えられる。政府(司法省)は良く理解できていないと考えられるが、Jackson判事はこの事件の重大さは、Javaにあることを知っていると考えられる。この事件は表面上はWindowsおよびIEの二つのプログラムの抱き合わせが問題となっているが、実際は、Windows、IE、IEに付属したMicrosoft流Javaバーチャルマシンの3つのプログラムが関係しているのである。Java言語で記述されたプログラムは、サンマイクロシステムズ対マイクロソフト事件に記載されているように、OS、CPUに依存しない。だたし、それぞれのOS、CPUにはJavaのプログラムを解釈するJavaバーチャルマシンが必要となる。Javaのアプリケーションプログラムには、OS上のバーチャルマシンで動作する「アプリケーション」とブラウザ上のバーチャルマシンで動作する「アプレット」があり、Jackson判事が述べているように、基礎をなすオペレーティングシステムを直接使う代わりとして、より多くのユーザーがインターネットブラウザ技術を使用することが一般化する可能性がある。そうなると、ブラウザ上で動作するJavaアプレットが多数開発されることになり、JavaアプレットはOS、CPUに依存しないから、UNIX、OS/2、その他の現存するあるいはこれから開発されるOS上でもそのアプレットが使用でき、Windowsの独占状態が崩れるのである。もし、そうなったとしてもMicrosoftはその実力により十分に大きなシェアを確保し、プログラム界の名誉ある有力な企業であり続けるはずである。しかし、Microsoftは、Jackson判事が述べているように、あまり遠くない将来におけるそのオペレーティングシステム独占に対してMicrosoftが懸念する恐れによって動機づけられたライセンス戦略をとったのである。サンマイクロシステムが提唱する「JAVA Compatible」とは非互換のマイクロソフト流Javaバーチャルマシンを開発し、IEに組み込んだのである。そして、Windows にIE を統合して販売し、デファクトスタンダードにしてしまえば、IEに付属するMicrosoft流Javaバーチャルマシン上で動作するMicrosoft流アプレットが多数開発されることになり、これはJAVA Compatibleではないから、他のOS、CPUでは動作せず、Windowsの独占状態が不滅のものとなるのである。Jackson判事は、本当はこのように書きたかったと考えられるが、政府(司法省)が明確に主張してくれないので、示唆にとどめたと考えられる。

(訳5) 適用製品<Covered Product>はファイナルジャッジメントのII、1に定義されている。

(訳6)民事的(裁判所)侮辱罪は、たとえば差止命令を無視するなど、裁判所の命じたことに故意に従わないこと。制裁として、拘禁または違反1日に対していくらという制裁金が科せられる。その期間は、裁判所の命令したところに従うまでとすることができる。これに対して、刑事的裁判所侮辱罪は、たとえば法廷で大声を上げたり裁判官を侮辱したりするように、裁判所の審理を妨害する行為。これを罰することを目的とする制裁が科せられる。以上、「英米法辞典」による。この事件では、原告(合衆国)は被告(Microsoft)に対して1日あたり100万ドルまでの罰金<a fine of up to $1,000,000 for every day>を科すよう求めている(訴状(FindLaw)参照、リンク先でブラウザの検索機能で「$」を検索する)。 日本では刑事と民事は厳密に区別されているが、アメリカではそれほど厳密ではなく、この事件は、検察官が起訴したのではなく、原告(合衆国)が民事訴訟で、被告がファイナルジャッジメントに故意(意図的)に違反したとして、罰金<fine>を請求している。

(訳7)被告Microsoftに対して同意判決に関し民事的(裁判所)侮辱罪が判定されないことを証明せよという命令を求める<for an order to respondent Microsoft to show cause why it should not be found in civil contempt of the consent decree>というのは、わかりにくい命令である。また、本来、立証責任は原告側にあると考えられるが、たぶん、被告Microsoft及びライセンシーが秘密保持契約(「NDA」)を盾にディスカバリ(開示手続き)に応じないので、合衆国としてはこのような命令を請求するしかなかったのではないかと推測する。

(訳8)日本では立証の程度が論じられることはないが、アメリカでは3種類の立証の程度がある。刑事訴訟では「合理的疑いの余地のない証明<proof beyond a reasonable doubt>」がなされたとき有罪となる。一方、通常の民事訴訟では「証拠の優越<preponderance of evidence>」、証拠を秤量し立証責任を負う者の方に傾いていればその者の勝ち、という基準で判断される。しかし、民事訴訟でも判例上、より厳しい立証の程度、「明白で説得力のある証拠<clear and convincing evidence>」が適用される場合があり、民事的(裁判所)侮辱罪では、被告が故意(意図的)に違反したことが「明白で説得力のある証拠」で証明されなければならないようである。なお、アメリカで日本の少年が射殺された服部君事件の時に、刑事事件では無罪、民事の損害賠償請求事件では損害賠償が認められたと記憶している。日本の常識だけで考えるとアメリカの裁判はデタラメのようにみえるが、アメリカでは刑事と民事の立証責任の程度が異なるから、刑事事件と民事事件の結果が異なるのはありえることである。

(訳9)「権利関係に不利益を与えることなく<without prejudice>」は、たとえば、和解のための交渉の経過で仮にある事実を認めることとするが和解不成立の場合にはその点を争う権利を留保するというときに用いられる。手続き法上は、たとえば再訴可能な訴え却下<dismissal without prejudice>というように、その問題についての裁判所の判断が実体的な判断として、既判力を持つものでないときに用いられる。以上、「英米法辞典」による。

  
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