各レルムの最新情報(Infiniverse Newsletter Vol.1 No.4より)  ポシビリティ戦争は拡大している。ハイロードたちは、まだかなり優位 に立っている。毎週ストームナイトの起こす騒動は多くなっているので、 現在活動中のストームナイト1人当たり8人のストーマー(訳注:ポシビ リティ能力者の悪漢)になっている。ポシビリティ略奪者たちにとって、 ストーマー側の比率はいつもより非常に少ない。超越の人数が不透明なの が最も大きな違いである。例えばリビングランドでは、普通は侵略の現時 点では12人のストームナイトと160人のストーマーが生まれると期待 するが、実際には約250人のストームナイトと2000人のストーマー が生まれている。ストーマーはしばしばハイロードの利益のために働いて くれるが、ポシビリティ略奪者が直接支配できないストーマーには、侵略 者を支配者として従順に仕えようとしない者が多いので、ストームナイト と同程度に脅威である。ユーソリオン以外のハイロードは、多かれ少なか れまだ万事を計画に沿っているので、徐々にほつれが生じ始めている。 アイル  ユーソリオンがペラ・アーディネィから追い出されてから生じた混乱は おさまり始めている。ロンドンとオックスフォードを含むスティリーエリ アは、ペラ・アーディネィの軍勢がほぼ完全に掌握した。このエリアでの 襲撃は、以前より徐々に頻度が少なくなっている。商業は再開され、変身 した英国人は実に気持ちよくまとまり、アーディネィのアイルとコアアー スの英国との繋ぎ役となっている。  ペラ・アーディネィは光の軍勢を組織した。すでに、アイル出身者だけ でなく、変身した者からも徴兵されている。アーディネィは、積極的にユー ソリオンへの戦争を仕掛けたいが、女王の軍勢がもっと訓練されないと直 接的な軍事行動は無意味である。代わりに、女王の相談役たちは、レルム 内全域から集められた情報を吟味している。そして、目的地を選び出し、 邪悪を破る女王の正しき軍として行動してくれるように、ストームナイト に命令、依頼、あるいは奨励するのである。女王は、ストームナイトの人 数が予想を越えて多いことで恩恵を受けている、唯一のハイロードである。  アイルの他の公家は、その成り行きに深い疑問を感じながら、支配の公 家(タンクレッド公家)の正式な代表としてトルウィン・タンクレッドと の会談をし始めている。  ユーソリオンとそのエージェントは、激しい抵抗を続けている。ノルウェー では、アーディネイがハイロードになった時の最初の混乱で失った領地を 実際に回復した。最大の問題は、協調性の不足である。他の悪漢たちは、 ユーソリオンの軍費を掠め取るチャンスと思い始めているので、アーディ ネィに対抗する努力は徐々に弱まっている。この問題は、アイルのダーク ネスデバイスであるドラカヌスによって悪化させられている。ドラカヌス は、アーディネィを誘惑しつつ、ユーソリオンなり他の闇のエージェント がハイロードになるかどうかでほくそえんでいる。この争いの結果は、間 違いなく血生臭いものであり、それはドラカヌスにとっては気持ちの良い 結果である。  この期間は、アイルに新たなスティリーは設置されていない。 サイバー教皇領  ジャン・マルローは、身辺整理に忙しいが、5つの要因から邪魔されて いる。つまり、ストームナイト、ジャン・マルローの法規に腹を立ててい る変身していないフランス人、コアアースの軍隊と情報機関(特にドイツ とイタリア)、サイバー技術を涜神的とみなすマグナ・ヴェリタからのエー ジェント、ニッポンテックである。ジャン・マルローは、ニッポンテック が積極的に邪魔をしているという証拠はほとんど持っておらず、今は他の 敵対勢力の処置に全力を傾けている。現在、以下のような努力をしている。 1.着実に布教活動を進め、事実上フランス内のあらゆる情報メディアを、   支配するか重大な影響の下に置いた。サイバー教皇は、フランス人の   愛国心と盲目的な愛国主義をもてあそんでいる。メディアはたびたび、   フランスの運命と、フランスの人々がジャン・マルローの信仰の庇護   下にいることを布告している。世界の他の地域は、フランスを脅かし   ていると表現している。これによって、フランス人はマルローの世界   をますます理解していくのである。    メディアの支配の例外は、自由パリである。自由パリの放送局は型   通りに電波妨害され、パリの新聞は市街の外では配布が許可されてい   ない。サイバー教会の放送にメディアジャックをかけている者も数人   いるが、犯人の狩り出しは教会警察の最優先事項である。 2.サイバー教皇領周辺の激しく頻繁なリアリティストームによって、コ   アアース軍の大規模な軍事行動は防がれている。大規模なサイバー教   皇領軍を再編成するまで、緩衝材は必要なのである。フランス軍の多   くの部隊が、自由パリが直接サイバー教皇に反抗するのを防いでいる。    コアアースの情報部は多くのエージェントをサイバー教皇領に潜り   込ませている。彼らのおかげで、パリ以外のレジスタンスグループが   力をつけている。諜報活動しているエリアでは、わずかにコアアース   が有利である。つまり、組織、徴兵、情報に従う事ができる面におい   て、今までマグナ・ヴェリタで抑圧されてきた官僚的な教会に対して、   社会的な優位がある。 3.マルローと枢機卿、司教たちは、マグナ・ヴェリタのエージェントを   すべて、悩みの種とみなしている。積極的に、マグナ・ヴェリタの教   会エージェントが記録されているビデオや音声などを注意深く編集・   抹消している。教会はエージェントたちについて、狡猾に人を惑わす   者であり、フランスを混乱させ人民がサイバー教皇を拒絶するようよ   うにしむけるために送り込まれた悪魔の使徒である、とみなしている。   そのため、エージェントたちは身を隠している。彼らは、魔女や他の   超自然的な脅威として分類される。 4.ジャン・マルローははじめ、ダークネスデバイスの勧めに従い、ストー   ムナイトはいかなる犠牲を払っても排除すべきもの、とみなしていた。   しかし、この問題についてじっくり考え、ストームナイトが神からの   試練であるとみなしはじめた。ゴッドネットの奇跡を通して神を見る   新しい手段ではないのか? 確かにこのようにストームナイトを利用   する神聖な理由がある。彼らが危険である事は認めており、教会の教   義を変えた。ストームナイトは不信心者であり、未だ真の光を知らな   いのだ、とみなすように。彼は司教や枢機卿に一言告げた。サイバー   教皇の好意は、どれだけ多くのストームナイトを改宗させるか、サイ   バー教皇領に変身させるかによって決まる。    サイバー教皇のエージェントは、さらに2つのスティリーを、ドイ   ツとスペインに設置した。ドイツのは設置から数時間でストームナイ   トに見つかり、撤去された。スペインのはまだ見つかっておらず、新   しいサイバー教皇領の優勢エリアが生まれ、マドリードでは今、数時   間リアリティストームが吹き荒れている。 リビングランド  バラク・カーは北米で何度か敗北している。個人的な敗北は、決定的な 6週間の間に生じた重大な問題による。その問題とは、偉業の伝播から3〜 4週間後にストームナイトが東の地のスティリーを2つ抜き取ってしまっ た(一つはカナダで、もう一方は米国である)ことである。もしあなたの PCたちがまだリビングランドのスティリーを抜いていないなら、ヴァー ジニア州の南端の1個だけを取り除く事。  ハイロードは、失ったエリアを取り戻す準備をしている。一個抜き取ら れることでこんなに大きなエリアを失う事が今後ないよう、ラヴァゴンの 助言者は予備のスティリーの必要性をバラク・カーになんとか納得させた。 レルム内部で鍵となるスティリー(訳注:多くのスティリーに接続してい るような、重要な位置にあるスティリー)は現在、たいていは炎の戦士と 第3、第4世代のゴスポグ、それに指揮官としてゴタックかラヴァゴンに よって護衛されている。  スティリーを抜かれた地域は再びコアアースになり、何百ものエディー ノスが変身した。多くのものが、リビングランドの動静についての情報を CGAとデルファイ評議会にもたらした。この2つの組織にとっては恩恵であ る。一方、変身したエディーノスのかなりの数が、まだバラク・カーに忠 誠を誓っており、新たに理解できるようになったコアアースについて、情 報を集めている。リビングランドに戻る事は、更なる変身によって実際に は死を意味するにもかかわらず、彼らは決定的な情報をバラク・カーに届 けようとしている。  バラク・カーは2つの行動を起こしている。一つは語り部の狩り出しで あり、バラク・カーの戦略では重要な要素になっている。物語を語る事と 口伝えの伝承は、エディーノスの中でも盛んであるので、バラク・カーは、 ポシビリティ戦争におけるそれらの重要性を強く認識している。コアアー スでは語り部が軽んじられるので、バラク・カーはこの戦争において戦略 上の優位を得るだろう。現在、50〜60個のエディーノスの部隊を、しばし ばオーロシュの「助言者」(訳注:ラヴァゴンの事)を同行させて、もっ ぱら語りべを狩る事に専念している。狩りの対象には、作家、漫画家など、 物語を伝えるものが含まれる。  ゴスポグ畑から数千の兵士が収穫されたので、今バラク・カーは贅沢に も、侵略軍として第2世代ゴスポグを投入している。各部隊は10〜100体の ゴスポグで構成される。ゴスポグたちは、リビングランドが占拠した米軍 の武器庫から持ち出した武器で武装している。米国およびカナダ国の陸軍 を撃退するほど大規模ではないので、それが目的ではない。攻撃すること で米軍を市街地防衛のために釘付けにし、リビングランドへの侵攻作戦へ の戦力をそらし、バラク・カーが次に一大攻勢を仕掛けるまでの時間を稼 ぎたいのだ。  他にも、エディーノスの確保した地域で日本人が組織的に根絶やしにさ れているという興味深い展開がある。これはおそらく、スラッチェンとバ ラク・カーの間のあやふやな同盟による成果であるによるものである。以 下のオーロシュの項を参照。  英語版リビングランドソースブックには、バラク・カーのデータを載せ ていなかったので、ここで紹介する。(訳注:本文のデータは、日本語版 リビングランドソースブックに載っているデータとほぼ同じである。リア リティ技能基本値が、英語版で24、日本語版で35なのですが..) ナイル帝国  メビウスの領土拡張計画は、周囲のコアアース諸国に激しく抵抗されて いる。ヒーローたちがテラからやってきて戦いに加わり、いたるところで 何百というコアアース人がナイル帝国のヒーローへと変身している。メビ ウスのもとで起こった重大な出来事は、以下のようなものである。 1.ラムセス暗殺計画がほぼ成功した。エジプト神官たちは素早く総督を   治療したが、それより早く死亡の噂が流れてしまったので、アブリー   卿、ナタティリ、ネテル、レッドハンドたちが、ラムセスの土地、富、   軍事物資を得ようと、早まった権力闘争を繰り広げている。セセテク、   アル=ヘプサ、パテルクシは、過ぎた野望を抑えるために仲裁した。   ラムセスは現在、他の総督が裏切ったと信じている。おそらく、奴ら   のうちの誰かが自分の命を狙ったのだ、と。    この暗殺は多分、サウジアラビアかニッポンの後援を受けたストー   ムナイトの仕業であろう。 2.ストームナイトによって、少なくとも1個のリアリティ爆弾がナイル   のマッドサイエンス研究所から盗み出された。この爆弾は製造が困難   であり、ハイロードの計画は爆弾1個につき少なくとも数週間は遅れ   ることになる。さらに、最低でも3個の遺物がメビウスの手に渡るの   が、ストームナイトによって妨げられた。その中で最も重要なのが、   エジプトの魔道書「イシスの書」である。この本がメビウスによって   使われれば、メビウスの後援者であるセベク神を見つけ出し、ナイル   帝国へと連れてくることができるのだ。  しかしメビウスは、いらいらするような敗北に肩を竦めながら、一方で は完璧な計画をたてる、という個性を持っている。メビウスは、2つの点 で進展を見せている。 1.メビウスは、最初に建てた研究所の完全稼動より、些細な業務を優先   しているので、彼のマッドサイエンス研究所は多数になった。それに   よって、多くのストーマーにギズモを持たせることができるようになっ   たので、ストームナイトとの戦いの備えはより充実した。ナイル帝国   の世界法則の下ではストーマーは自動的に悪なので、ハイロードに協   力するストーマーの数は、他のどのハイロードよりも多い。メビウス   に心酔していないストーマーには、やっかいなストームナイトを殺す   チャンスを邪魔しなければならないと思い込んでいるものもいる。 2.サハラ砂漠で見つかった鉱物の採掘を奨励し、金やメビウスの戦闘機   械の材料を得ている。さらに重要なのは、何千という日和見主義者が、   いくつかの新興都市を築き、サハラ砂漠のナイル帝国リアリティはま   すます優勢になっているのである。優勢エリアは、混合エリアに比べ   て攻防の両方が容易である。    さらに行動が活発になっているストームナイトを壊滅あるいは分裂   させる代わりに、ナイル帝国は新たなスティリーを設置するのに余念   がない。 ニッポンテック  裏切りと虚言がニッポンの作戦の鍵であるので、ニッポンがどんな計画 をたて、どんな計画に従っているのかどうなのかは、誰にもわからない。 しかし少数のストームナイトは、ニッポンのエージェントを死にもの狂い で注目している。これは、金輪の組織構成が知られていない事を色濃く反 映しているのだろう。  ニッポンテックは、韓国と黄海・東シナ海を横切り、中国本土まで所有 地を広げている。北は南通から南は湖州まで、上海を含む沿岸都市は、ニッ ポンリアリティに支配されていない。日本が牛耳っている場合の犯罪と企 業支配の傾向が、中国でも繰り返されており、最近だけで、それはますま す激しくなっている。  ニッポンテックは今、製造許可を受けて、あるいは自社製品で、北米軍 に供給される兵器のおよそ30パーセントを製造している。この割合は、 増えていくと思われる。ソ連はニッポンの助力を拒み、ヨーロッパでは用 心深く受け入れられている。メビウスに敵対するアフリカ・アラブ諸国で は、ニッポンからの大量の物資が求められ、受け入れられている。多くの 取引は現金で行われている一方で、多くの場合で不動産による支払いが行 われ、すぐにニッポンのビルが建つことになる。他にも噂として、自暴自 棄になった買い手との間に、もっとあいまいな形態での支払いを手配する こともあるらしい。 オーロシュ  オーロシュは、インドネシアまで北方向にレルムを広げようと2回試み、 金輪産業のエージェントによって2回スティリーを発見され破壊されてい る。スラッチェンは、危険な状況だと認識している。彼は、忠実なる副官 としてオーロシュの支配と拡張を行う地盤を固めなくてはならず、ゴーン トマンが身動きを取れないという事を、信頼できる者に理解させようとし ている。同時に、ゴーントマンの不在によって金輪のオーロシュへの敵対 が増加するのは明らかである。他のハイロードは自分たちのことで手一杯 であり、それが片付かないとオーロシュを攻撃するのは無駄な努力になる と考えている。あるいは、(姿を現さないのも)全てゴーントマンの陰謀 と考えている。  スラッチェンは、金輪の嘘から身を守る努力をしている他のハイロード と協力して、まずニッポンを相手にして行動している。最も注目すべき成 功としては、オーロシュの助言者がリビングランドで、ニッポンのいくつ かの会社の経営を赤字にして閉鎖に追い込んだことがある。  オーロシュでは、スラッチェンはエージェントにウェルズ博士の「門」 の功績を複製させ、ヴィクトリア人の移民を奨励している。こうした「門」 は、今やたくさん存在し、ヴィクトリア軍に守られ、鉄道駅に設置されて いる。ガイアの貴族と報道関係者は、大いなる聖戦であり、どうか地球で の邪悪との戦いにも勝利せんことを、と吹聴している。宣伝と見込みのあ る経済的チャンスによって、ヴィクトリアからの移民気運が高まっている。 毎日、4500人以上のヴィクトリア人がガイアを離れ、インドネシアの地獄 へとやって来ている。この数字は、遠征する軍隊を含んでいない。インド ネシアにやってきて植民地を作り、文明に貧困をもたらし、現地人を荒廃 させ、かたぐるしい義務として邪悪と戦っているのである。  ヴィクトリア人があふれかえることで、コアアースの技術はヴィクトリ ア人のものによって取って代わったので、街は彼らの故郷であるヴィクト リアに似てきている。ヴィクトリア人の、政治的、人種的、宗教的な姿勢 は、インドネシアの人々の暴力的な反抗を引き起こしているが、変身、リ ンク切断、そしてホラーによって、オーロシュでは大きな損害が生じてい る。