速報とうわさ(Infiniverse Newsletter Vol.1 No.4より) <<速報>> 1.メビウスには明らかにカイロの秩序を回復する気がないので、ウー・ ハン総督は行動を起こすことにした。市街全域に戒厳令を公布し、デスホー クを見つける必死の行動として、ありとあらゆるコスチュームド・ヒーロー (変身ヒーロー)を拘留するように兵士たちに命じた。また、犯罪結社に は武装解除を命じた。  ギャングたちは当然抵抗したが、ウー・ハンの軍勢は弱体化した犯罪王 たちの手勢を凌駕していた。まもなく、ショックトルーパーたちが「疑わ しい、あるいは望ましくない者」を大量に捕らえたことで、ウー・ハンは 市街全域を掌握した。この指示は、レルム外からやって来たものにも適用 された。もちろんストームナイトにもであるが、彼らはなんとか捕まらず にすんでいる。ウー・ハンは市街を「政治的隔離」すると公布し、カイロ に出入りする全ての道は、兵士によってふさがれている。市内外の人脈を フル活用し、ストームナイトはなんとか、情報を受け渡し、亡命者を脱出 させる「パイプライン」を作る。  この混乱のさなか、デスホークが再び現れた。彼はコスチュームド・ヒー ローのグループを組織し、ウー・ハンの武器庫を襲って市民に武器を与え るという恐るべき行動をはじめたのである。  彼らが、街のすぐ外にある大規模なショックトルーパーの宿営地へ行く という情報を、ストームナイトは手に入れる。現地では、デスホークとそ の部隊を目撃した。彼らは、メビウスに対する捨て身の反抗の最初の一手 として、宿営地を攻撃する計画である。もう一度、謎めいた自警団員が、 ストームナイトに選択を迫った。カイロの人々の側に立って戦うか、その 敵すなわちハイロードに協力するか。  奇襲は成功し、反乱は市街のほかの地区にも飛び火していく。まもなく、 ウー・ハンの兵士はカイロから追い払われてしまう。 危険なイベント:ストームナイトは、デスホークが罪もない市民を宿営地   に送り、死地に追いやるのを妨げなければならない。戦闘に参加しな   いよう市民に納得させるか、代わりに敵の大部分と戦うことによって。   デスホークは、防備が最も固い地域に市民を送り込もうとしており、   自分の軍勢をほとんど無駄遣いするつもりのように思える。人々がデ   スホークのために自らを犠牲にささないよう説得できれば、良い成果   である(ポシビリティ6点以上)。市民の命を救うためにストームナ   イトが戦場に赴かなければならないなら、それなりの成果である(3〜   5点)。罪もない人々が死ぬのを止められなければ失敗である(2点   未満)。 2.シンガポールを恐怖に陥れた謎の殺人者が、(もしNo.2の速報で生き 延びていれば、キボスとベイルザーとともに)ボルネオへと脱出する。ス トームナイトもそれを追い、島の中心についた時、恐ろしい発見をする。 原住民の村全体で儀式的殺人が行われ、集落の真ん中で多くの死体が輪を 描いて横たわっている。  さらに調査を行う過程で、シンガポールから来た殺人者と、元コアアー ス人、そしてゴスポグたちが小さな村を攻撃しているのに出くわす。ストー ムナイトの到着で、攻撃は問題なく妨げられる。負傷した村人が、殺人集 団が「黒い瞳」として知られる神秘的なお守りを探していた、と告げるが、 それ以上の情報を言う前に事切れる。  ストームナイトは、殺人集団を追跡してジャングル深く進み、ついに 「黒い瞳」を運ぶ部族と出会う。この瞳は、オーロシュの魔法の物品であ り、部族の族長が生来の左目と置き換えている。この瞳には、ポシビリティ・ シャドウの呪文が照射されており、使用者に近い未来を見る能力を与える。 不幸なことに、現在から未来、そしてまた現在と絶え間なく映像が移ろう ので、使用者はたいていあっという間に発狂してしまう。  瞳をはめた族長はすでに狂っており、他の部族と最終的にはオーロシュ そのものを征服するために瞳の力を使うことを誓っている。ストームナイ トが見る限り、スラッチェンの部下の略奪者は村を襲い、様々な遺物を奪 おうとしている。 サムバト(原住民の族長) 敏捷度:10  騎乗11、回避11、白兵戦12、投擲武器13、格闘11 筋力:9 耐久力:9 知覚:10  トリック11 知力:10  威圧11、意志力11 魅力:9  魅了15/10、説得16/10 精神力:9  威嚇11、リアリティ10 注:サムバトの《魅力》ベース技能は、瞳によってもたらされた狂気によ   るものである。瞳をはめている限り、スラッシュの前の値を使う。瞳   を外されると、後ろの値を使う。 ポシビリティ:10 装備:短剣 (+3/12) 3-5/10/15    槍 (+4/13) 3-5/25/40 目的:自分の部族を究極の力に導く。 危険なイベント:ストームナイトはいずれかを選ぶ。部族を攻撃して瞳を   手に入れようとするか、何もせずにスラッチェンの配下たちを連れて   くるか。前者を選び、瞳を手に入れる事ができれば族長は正気に戻り、   シナリオの報酬としてポシビリティ6点以上を得る。部族を攻撃して、   戦いの中で瞳が壊れてしまったら、ポシビリティは3〜5点である。   部族を攻撃しないか、スラッチェンの配下たちが瞳を手に入れるのを   防げなければ、ポシビリティは2点以下である。 3.風の民の神社での一件によって、金輪産業がドーラン不動産に興味を 持つ事になる。まもなく、ドーランの所有する古く伝統あるビルが、現代 風の近代的なガラスと鋼の超高層ビルに建て替えられた。市街地全体が、 悪夢のようなネオンで彩られている。  金輪の影響下で、ドーランは香港市内とその周辺の莫大な数の不動産を 買い取りはじめた。これに気づいた他の地方有力者たちは、ドーランが全 エリアを所有しようとするのを防ぐため、彼らの復合企業体を作って土地 取引をすることにした。  さらに、金輪は香港銀行に金融的介入を行った。銀行の中央支社がニッ ポンのハードポイントになり、無慈悲なビジネスが横行した。抵当を流し、 低収入の家庭には貸し付けを拒む、などというのがあたりまえとなり、ニッ ポンの「利潤の法則」そのままである。  ドーランがタイハチという復合企業体を敵とみなしているというニュー スが、ストームナイトに届く。タイハチは、ヤクザを使って取り引きをせ まろうとしている。情報提供者が言うには、ニッポンの契約忍者であるホ トが、ヤクザの五大幹部と深夜の会合を持ち、香港銀行の主な支店を掌握 してタイハチを破産させる事だけが目的である。 ホト 敏捷度:13  軽業14、回避14、銃器戦闘14、間合い14、武道16、投擲武器  14、隠れ身17 筋力:8 耐久力:10 知覚:9  追跡10、トリック10 知力:10  威圧11、意志力11 魅力:9 精神力:10  威嚇11、リアリティ11 ポシビリティ:8 装備:手裏剣 (+3/11) 3-5/10-15    13mm春陽海 (18) 3-10/40/50、装弾数9 目的:任務を成功させ、捕まっても生き恥をさらさない。 標準的なヤクザの構成員 敏捷度:9  銃器戦闘11、間合い、10、白兵戦10、格闘11 筋力:9 耐久力:8 知覚:8  発見10 知力:7  威圧9 魅力:8  魅了9、説得9、挑発9 精神力:7  威嚇10 装備:13mm春陽海 (18) 3-10/40/50、装弾数9    ブラックジャック (+4/13) 目的:儲けをひねり出す。 危険なイベント:ヤクザとニッポンからの代表者との会合を台無しにして、   金輪が銀行に関与して香港を混乱させようとした十分な証拠を集める   事になる。ストームナイトが、銀行がニッポンのハードポイントであ   ること、あるいはメールシュトロームブリッジを受け入れる準備であ   る事の、どちらか一方でも証拠を明らかにできれば、シナリオの報酬   としてポシビリティ6点以上を得る。契約忍者を邪魔して、ヤクザの   戦力を十分に減らす事ができれば、ポシビリティは3〜5点である。   ストームナイトが戦闘に負け、証拠を集められず、ヤクザの大部分が   生き残り、忍者を逃がしたのであれば、ポシビリティは2点以下であ   る。 4.国立公園管理局のレンジャーから、アリゾナ州のグランドキャニオン 国立公園で奇妙な出来事が報告される。奇妙で髪の毛のない、赤みがかっ た青白い肌の人型の生き物が、コロラド川の沿岸で目撃され、公園を訪れ た人やレンジャーがそいつらに襲われるという事件が起きている。奴らは 追いかけられると、川で一番流れの激しい場所に飛び込んでしまい、浮か んでこない。デルファイ評議会は、それらの生き物はリビングランドの新 しい種族だろうと述べ、ストームナイトに調査を依頼する。  実は、それらの生き物はリビングランド出身ではなく、メイニーズとし て知られるアイルの種族である。アイルコズムの地下トンネルに住み、メ イルシュトロームブリッジを降りてきて移住し、ランドビロウに住処を見 つけた。トンネルを通り抜けると、コロラド川の底に口を開く休火山の頂 上に出たのである。この頂上をランドビロウへの出入り口として使い、メ イニーズはこの新しい地域を探検しているのだ。  メイニーズは誰かを傷つけるつもりはなかったが、実は意思疎通ができ ず、攻撃されれば一団となって反応するのである。もしストームナイトが メイニーズを見かけても、彼らには害意はなく、親切な対応をするだろう。 そして、一行がランドビロウへ入る事を許してくれるかもしれない。  不幸にも、体長約10メートルの恐ろしい長虫のようなアイルの生き物 であるワイバーンが、メイニーズを追ってコアアースについてきているこ とを、メイニーズは知らない。全て飲み込む前に、途方もない巨体で獲物 を押しつぶしてしまう。 メイニーズ 敏捷度:11  回避13、白兵戦12、隠れ身14、格闘12 筋力:6  登はん13 耐久力:7 知覚:8  トリック(9) 知力:7  サバイバル10、威圧(9) 魅力:8  魅了(11)、説得(11)、挑発(11) 精神力:5  威嚇(7) 目的:ドワーフやトロールなどと共有しないですむ住処をみつけ、平和に   暮らす。 ワイバーン 敏捷度:8  格闘11 筋力:20 耐久力:14 知覚:8  追跡10、トリック(13) 知力:4  威圧(13) 魅力:4  挑発(14) 精神力:4  威嚇(25) 危険なイベント:メイニーズに危害を加えるつもりがない事を確信し、公   園内で罪もない人がこれ以上襲われないようにする。これを成功させ、   ワイバーンを倒したなら、シナリオの報酬としてポシビリティ6点以   上を得る。メイニーズと友達になったが、ワイバーンを倒せず、ラン   ドビロウへの入り口が閉じてしまったら、ポシビリティは3〜5点で   ある。メイニーズを敵とみなし、ランドビロウへの入り口を得る事が   できず、メイニーズがワイバーンに滅ぼされてしまったら、冒険は失   敗でありポシビリティは2点以下である。 <<うわさ>> 1.金輪産業の貨物船が、エジプトのポート・サイドにあるドックに入っ ており、原油を積んで日本に持って帰るための準備をしている。しかし、 メビウスが気づいていないことが、ドックでは起きているのだ、とニッポ ンのナイル帝国大使の補佐(?)である水舟慎が漏らす。積み荷は原油で 一杯になどなっておらず、もっと非常に価値のあるもの、すなわちリアリ ティ爆弾だろう。  伝えるところによると、ニッポンはエルマンスーラのマッドサイエンス 研究所の守衛を買収する事に成功し、エージェントが主研究室に忍び込む 準備をし、強力な武器を奪って持ち出したのである。そしてトラックでポー ト・サイドへと運ばれ、真夜中に船に積み込まれたのである。予定では、 明朝船は出港し、水舟はメビウスの原油価格が高すぎる(ので買わずに出 港した)と説明するだろう。ニッポンの科学者たちはこの爆弾を解析し、 その構造の秘密を知ろうとするだろう。 2.マグナ・ヴェリタ出身者が宗教裁判官に捕まり、現在モンマルトル (訳注:パリ北部の地域)で拘束され、仲間の居場所を聞き出そうとゴッ ドネット内で拷問されている、と自由パリ地区に住む人々が、地下組織に 知らせてきた。  コズム陰謀者としての彼の独房がどれだけ大きいかわからないが、彼は レジスタンスの活動について多くの価値ある情報を持っていると思われ、 その情報はマルローの助けになるだろう。これが真実なら、ヴィリエとい う名のその男が、宗教裁判官に口を割る前に助け出さねばならない。 3.1955年の10月、サモアからの海外便ホイータ号の乗客25人と乗員が行 方不明になった。船そのものは1ヶ月後に見つかった。酷い損傷を受けて いるが、まだ航海は可能だった。遊覧船の最後の航海で乗船していた人々 は、約40年間謎のままだった。  南シナ海からカーペンタリア湾(訳注:オーストラリア北部の湾)に向 かう水夫が、恐ろしい連中に船を襲われ、乗員を殺して船を沈めようとし た、と報告してきた。水夫たちが「ダトス」と名づけた生き物は、ほとん ど人間に見えるが、不格好な爪が手に生えていて、忌まわしい牙を生やし、 皮製のような翼が背中から生えている。奇妙な事に、彼らの人間的な特徴 は、不幸な運命を辿ったホイータ号の最終航海の乗員乗客と一致している。  この生き物たちは実は船から消えた人たちであるという地方の迷信は、 多くの人に信じられている。地球のコズムと悪魔のレルムの間の障壁が、 1950年代に太平洋頻発した核実験で弱まり、生き物が通り抜けられるよう になってホイータ号で航海中に捕まったのだ、という伝説もある。オーロ シュからのアクシオムウオッシュで、今や人と悪魔の雑種なった人々が、 こちらの世界に帰ってきたのだ。  もしこの話が真実なら、問題が湧き起こる。なぜ悪魔と化した人たちは 帰ってきたのか? 航海中の船を攻撃する事で、自分たちの運命に対して 何らかのよじ曲がった復讐を見出したのか。苦しみから逃げ出す道を探そ うとしているのか? いつどうやってかはわからないが、いつかは答えを 知る事になるだろう。 ダトス 敏捷度:10  回避11、飛翔12、間合い11、隠れ身13、格闘14 筋力:12  重量挙げ13 耐久力:12 知覚:9  追跡10、トリック11 知力:9  威圧10 魅力:10  魅了(20)、説得(20)、挑発(11) 精神力:9  威嚇14、リアリティ10 ポシビリティ:2 生得装備:翼(スピード基本値14)、爪 (+3/15)、牙(+4/16) 4.バイエルンアルプスに点在する村々は、ポシビリティ戦争の戦禍をほ とんど受けておらず、地方で作戦行動をするコアアースの兵士たちの助け となっている。そういう手段を残しておくのに満足していたが、ハイロー ドはついにその静かな場所に侵入する計画を立てた。  ポラート川を眼下に見下ろす岩肌に建てられた立てられた素晴らしい19 世紀の城、ノイシュヴァンシュタイン城のホールに、誰かあるいは何かが 住みついた。ババリアの王ルードヴィヒII世によって建築されたが、その 建設時に超自然の力が作用したと多くの者が信じている。この城は、聖杯 を収納した伝説の城と類似していると指摘する者もいるし、一方で英雄ロー エングリン(訳注:聖杯を護る騎士)が生活したといわれる場所に建って いるという事実もある。そういう古い物語は置いておいて、(集められる 限り最高の)事実としては、奇妙な光が夜遅くに廊下で目撃され、銃眼付 きの胸壁では、特殊な生き物の巨大な一部分が目撃されている。  普通ならヒステリーで片づけてしまうところだが、ここ数ヶ月の奇妙な 出来事のせいでそういうわけにもいかない。  アメリカの歩兵小隊が城の周辺を割り当てられたが、ドイツ−オースト リア国境に到着したとき周りに奇妙な霧が立ち込め、城への道を見つけら れなかった。  オーストリアを目的地とした侵略のために、1つを除いて全てのレルム のエージェントが地球に現われ、いつもノイシュヴァンシュタイン城への 遠征の途についた。ニッポンとナイルのチームは城に辿り着いたが、何も 得ずに戻ってきた。オーロシュの生き物が、五体を引き裂かれポラート川 で発見された。アイルとサイバー教皇領の部隊は城から帰ってこなかった。  城の中に何があるのか、本当にあるのか、それは正確には分からない。 しかし、そこには何か価値のあるものがあると、証拠が示している。何し ろハイロードが興味を示しているのだ。また、オーロシュのエージェント の末路から判断すると、非常に危険なようだ。この噂を調べるストームナ イトに対しては、最大限の注意を働かせるよう、助言しておく。 5.リビングランドは、様々な巨大生物で悪名高い。しかし今、奇妙な事 にそれらの生物が姿を消し始めている。ニュージャージー州のローレル山 のレジスタンス集落が、レルムランナー経由で伝言を送ってきた。制服を 着た部隊が、メクソバトのコロニーでガスを撒いて捕獲し、毒虫をトラッ クに載せて走り去ったそうだ。同様の話が、ランガトク、クォーテック、 パコトン、ボンスクラアベンタロスについても聞こえてきている。  どの話でも、同じ集団による行為だが、彼らはスパルタンではないと皆 が強調している。そういう連中はもちろん、捕まえられた生物やトラック がコアアース内では今まで目撃されていないが、レジスタンス集落からの 最新の報告では、トラックは南に向かったとのことである。  デルファイ評議会は、この件への関与を否定し、境界線を超えて危険な 生物を運ぶ事は、デルファイ決議4527で禁じられていると指摘した。しか し、評議会のメンバーには、誰が原因かを知って個人的に恐怖を表してい るものもいる。合衆国政府をヒューストンに移してすぐに、デルファイは アトランタの遺伝学者ジョージ・R・バーソロミュー博士に接近した。彼 は、リビングランドの野獣を交配し、コアアース軍のために働く新しい生 物を作れることを信じていた。  あまりにも危険なので彼のアイデアは却下されたが、彼が個人的に資金 源を見つけ、実験に乗り出したのかもしれない。デルファイの科学者たち は、もし今回の件がバーソロミューの仕業なら、最後には新しくより強力 な破壊力を持つ怪物を生み出すだろうと信じている。それは、コアアース 人に操れるような代物ではない。 6.テーベのイカロスクラブは、外から見る限りはナイル帝国の金持ちが 集まる場所である。富裕な交易人、貴族院議員、そして総督でさえも、金 の扉をくぐることがある。  しかし、実際にはもっと後ろ暗い場所である。イカロスクラブは洗練さ れた犯罪組織の受付であり、ロンドンや東京の株式交換所を模倣している、 とカイロの地下社会ではささやかれている。ギャングのリーダーやコスチュー ムド・ヴィライン(変身する悪漢)がイカロスクラブに接触し、何が必要 かを説明するのだ。アレキサンドリアで仕事をするための金庫破りとか、 帝国批判の論文を照らし出すためのたいまつ、という風に。1人か2人の 腹心の身柄を他のギャングに引き渡して、個人的に用立てをしてもらうこ ともあるだろう。  その上、犯罪行為をうまく行うために、大掛かりな犯罪が計画された場 合にはメビウスが追跡・監視できるようなシステムになっているのだ。い ずれかのギャングがストームナイトを援助しようとしたら、ハイロードは 次のターゲットに罠を仕掛けて捕らえ、脅威として排除することができる のだ。  イカロスクラブは、かつてアスプ(訳注:エジプトの毒蛇)として知ら れた悪漢だったポール・ベニントンによって運営されている。テラでシル バー・スカラベと激しい取っ組み合いになった後、ベニントンはおおっぴ らに悪事を働くのはあまりにも厳しいと決心した。そして、「犯罪交換所」 のアイデアを心に抱き、メビウスの出身コズムでの偉大な成功に合わせて 実行し始めたのである。  メビウスが地球を侵略した時、ベニントンはそれに従って地球に降り、 組織の中核に自分を据えた。過去のアクシオムウォッシュにさらされたテー ベで設立するには時間がかかったが、ビジネスは順調にいっている。アイ ス・マスターとスコーピオンのような道化師が人々の関心を引きつけなが ら走り回るように、イカロスクラブは高貴な方々のイメージを養うのだ。 犯罪行為は、静かに巧妙に、ミステリーメンのような空想的社会改良家た ちの妨害を出し抜いて行われるのだ。  しかしベニントンは、可能ならストームナイトにもこのサービスを利用 させたいと思っている。もし価格が妥当だったなら、だが。