羽生 響のおすすめ少女コミック


白泉社系の少女漫画(花ゆめ、ララ、ララDXだけかな?)を中心に、最近買ったお気に入りコミックについて書きます。

あくまでも羽生 響の独断と偏見なので、鵜呑みにしないように..。
世界でいちばん大嫌い・1巻:日高万里・作(白泉社・花とゆめ掲載)
日高先生の代表作ともいえる「秋吉家シリーズ」の第5作です。今回は、長女の万葉(かずは)のお話です。
忙しい母親の代わりに、弟の零を迎えに保育園へと通う万葉のお目当ては、保父の水嶋先生であった。しかし、水嶋の友人で得体の知れない美形の美容師・杉本に気に入られてしまい、困り果てる万葉だったが、杉本の突拍子もない性格に振り回されるうちに、少しずつ惹かれていくことになる..。
日高先生の作品は、魅力的なキャラクターと巧みな心理描写がすごくステキです。特にシリーズものになっている「秋吉家」のお話は、キャラクターの相関や時間軸のズレ(「世界でいちばん〜」では万葉が高校生だったが、他の兄弟が主人公の話では25歳とかになっていたりする)が、話全体に厚みを付け、感情移入しやすいように思えますね。最近のオススメです。
緋桜白拍子:藤丞めぐる・作(白泉社・花とゆめ掲載)
このお話の舞台は、平安時代の京の都。政権を牛耳る左大臣の悪行に、正体を隠し立ち向かう少女のお話です。
大納言・北大路高遠の養女である梓(あずさ)は、かつて緋桜院という刺客育成組織で育てられた少女である。その事実を知る者はごく僅かであり、育て親への恩返しのため、梓は正体を隠し「白拍子(男性の格好をする女性の踊り手のこと)」として、して左大臣一派の貴族たちに天誅を下している。
ある貴族を誅殺するべく訪れた先で、梓に好意を寄せている兵衛督(ひょうえのかみ)・子安時迅(こやすときはや)に正体を見破られてしまう。結局のところ、時迅は兵衛督の立場を利用しつつ、白拍子のサポートをする事になる。
平安時代の雰囲気を生かしつつ、アクション有りラブロマンス有りの良作に仕上がってます。
少年残像:由貴香織里・作(白泉社・花とゆめSTEP増刊掲載)
ロサンジェルスでは、連続少年殺人事件が発生していた。その犯人であるエイドリアンは、過去の体験へのトラウマから、ストリートボーイたちを殺していた。
そんな狂気と正気の狭間で出会った、ストリートボーイのローレンスとの狂おしいほどの愛情を描いた作品です。
由貴先生独特の作風が、退廃的でインモラルな、しかしおそらくは「真実(ほんとう)の愛」の一つの形を見せてくれます。
他にも短編が2作収録されています。
まるいち的風景・1巻:柳原望・作(白泉社・ルナティックララ&ララDX掲載)
近未来、KAMATAという企業が作り出した「行動トレース式ロボット(使用者の行動を記録し、真似する事が出来るロボット)」のまるいちを主題とした、ハートウォーミングなお話です。
父を嫌って家を出ていた有里幸太は、父の死去とともに帰宅する。葬式の夜に、父がモニターテストの対象になっていた「まるいち」のテストの続行を頼まれ、承諾してしまう。
そんな折り、「まるいち」を使ったと思われる犯罪が発生する。「まるいち」をこよなく愛する(^^;開発者、美月ななこは、「まるいち」にそういう行動を登録した犯人を探すために奮闘する。美月を手伝うために、父の行動をトレースする「まるいち」を見ているうちに、幸太は父の「本当の気持ち」を理解していく。
いかにもロボット的な外観を持つ「まるいち」。しかし、作者は「うまく言えない本当の気持ち」の代弁者として「人間らしく」描いているあたりが、とても暖かくて印象に残る作品です。
無機質で、無感情で、無表情なのに、でも表情豊かに見えてしまう..。こんなロボットなら、響も欲しいですねぇ。
愛は地球を救う・3巻:武藤啓・作(白泉社・花とゆめ連載)
あれ?紹介してなかったっけ、この作品..。じゃ、紹介しちゃいましょう。ジャンルとしては、ちょっとスラップスティックな恋愛グラフティ..って感じかな?
短気でケンカっぱやい「藤原のえる」は、前の学校で問題を起こしたため、条件付きで桜田門高校に編入した。その条件とは「問題を起こしたら即退学」というものであった。
しかし、のえるはひょんなことから、ボランティアという、学校内の何でも屋的な「人助け集団」になし崩しで所属させられてしまう。ボランティアのツートップ、女性観系の噂が絶えない如月海(きさらぎ・かい)と、天使の皮をかぶった悪魔(^^;和泉空(いずみ・そら)に振り回されながらも、海への想いを募らせていく..。
というのが話の大筋です。3巻では海に想いを告白して一段落..する訳はないんですね。のえるの姉・初夏(ういか)が登場し、波乱含みの恋模様です。(初夏姉は男性不信です^^; 響はああいうお姉さん好きだだなぁ..。)
その他、ボランティアのメンバーの過去を紹介する話もあり、お得な感じですね。
愛とか恋とかに不器用な「のえる」と、百戦錬磨(笑)だが本命(のえる)にはなかなか手を出せない「海」。この二人を見ていると、何だか応援したくなっちゃう訳です。やはし、「一生懸命想う」というのが、この作品(というか武藤先生)のテーマであり、魅力でしょうか..。
ミストルティンの魔法・2巻:天原ふおん・作(白泉社・花とゆめ連載)
ストーリーは2巻で完結です。お約束ではあるけれども、なかなか心温まるハッピーエンドでした。
自分なりの「神剣の使い道」を目指す丹(まこと)は、神剣に囚われた3人(と1匹)を解放する方法を模索する。そんなある日、ベランダから落ちそうになる弟を神剣の力で救うことで、神剣に囚われていたヘルを元に戻すことができた。この調子で、残る2人(と1匹)を解放できるのでしょうか?
チビモードのリルと、本来の姿のリルのギャップに苦しみ、そこから一歩踏み出していく丹の元気と勇気と優しさは、見習いたいものです。
紅茶王子・2巻:山田南平・作(白泉社・花とゆめ連載)
さて、いよいよ2巻ですね。コメディータッチではあるけれど、しかしシリアスを主体にした展開です。
下級生の女生徒の発言で、奈子は「紅茶」の入れ方を見失うが、周りの人たちと亡き父の思い出によって「自分流の紅茶」を大事にしていこうと決心する。「型」にはまることも時には大事だけれど、「自分らしさ」も大事にしなきゃならない、という心温まるお話でした。
その外には、奈子とそめこにつきまとう人影が..というちょっぴりシリアスな(?)話とかもあります。
紅茶王子たちの気の効いた魔法も見所ですし、響がひいきにしているアッサムのポジションはなかなか見逃せません。
彼氏彼女の事情・4巻:津田雅美・作(白泉社・ララ連載)
カレカノもついに4巻まできました!今回は、化けの皮(笑)が徐々にはがれていく雪野が、クラスの女子から無視されはじめる。そして、有馬の中学時代の同級生・芝姫つばさが現れ、雪野にケンカを吹っ掛けてくる訳だが..。
友達というものを持たなかった雪野が、初めて手にいれた友人達。彼女達は、かなり個性的で強力です(笑)。本誌の方でも彼女たちの性格や背景を掘り下げる話が多くなってきていますが(これは次巻以降でしょう)、これがまた(^^)。
巻末には短編も収録され、とりあえず「買ってね」という一冊です。
ネットワーク・ポプリ:柳原望・作(白泉社・ララ連載)
地球に変動が起きて50年がたち、再び平穏を取り戻しつつある世界。地方都市「ポプリポット(ごった煮鍋、の意)」にすむ恒平と、中央の都会に住むメアリは、パソコン通信上の友達だった。そして、メアリがポプリポットに引っ越してくることになるのだが、都会の意地っ張りなメアリと、純真素朴な恒平との、ちぐはぐなコミュニケーションを描いている。
柳原先生のほんわかした作風が効いている、良い作品です。(続き描いてほしいなぁ..)
神林&キリカシリーズ(12) もう一人のユダ:杜野亜希・作(白泉社・別冊花とゆめ連載)
天才音楽プロデューサーの周囲で起こった殺人事件、そして人気占星術師の自殺未遂、という2件の事件を収録。今回は、祐貴の本領が神林に発揮されるものの、結局事件の解決においては共同戦線をはり、結果としてますます三角関係を安定にしてしまったようです..。
あとは読み切りを一本収録してます。
聖はいぱあ警備隊・6巻:森生まさみ・作(白泉社・ララDX連載)
今回は、シリアスな本編の合間の、どちらかというと軽いノリのインターミッションという感じ。
つぶらと昴の恋は、つぶらの天の邪鬼モードのせいで相変わらず進展しないが、開き直った(?)昴の発言から、いつものように騒動が巻き起こる。お互いに「恋のイニシアチブ(好きだと思った方が負け)」を取ろうと努力する姿に、呆れる周囲。曰く、「ラクな恋はつまらない」ですか..。
そんな中で、昴に言い寄る他校女生徒の出現や、昴がモーホー生徒会長に怪我を負わせて逃走するハプニングが起こる。そして、ついに昴は「はいぱあ仮面=つぶら」である事を知ることになる..。
本編のシリアスさとは違うテンションで進むサイドストーリー。つぶらの魅力が「これでもか!」的に描かれている1冊です。(女性の泣き顔が弱点な人には、「はいぱあ」は破壊力絶大です..。)
天然素材でいこう。・3巻:麻生みこと・作(白泉社・ララDX連載)
お待たせの第3巻。幼なじみの千津に対する高雄の優しさにちょっと嫉妬してしまう二美、二美が変わってしまう事を恐れてなんとなく避けてしまう高雄。そういう想いを乗り越える努力の中で、高雄&二美は地道に恋を進展させていきます。
一方で、バイプレイヤー間の想いを描いた話も収録されており、嬉しい限りです。美晴と二美の兄の一郎、真との微妙な関係を保つ理々子。二組の男女が交わす想いの描写が良さげです。
天使禁猟区・9巻:由貴香織里・作(白泉社・花とゆめ連載)
相変わらずのパワーと判りづらさ(^^;を秘めた作品ですが、地獄編もいよいよ佳境に近づいてきました。
刹那の身体を復活させるため、魔王の花嫁になる決意をする九雷。一方ジブリール(沙羅)は、ラファエル相手にキレまくる(笑)。
九雷の優しさ、純粋さが浮き彫りにされる地獄編。これからが面白くなるはずです。(本誌連載がちょっとお休みしてるからなぁ)
アトモスフィア−12か月のひまわり−・2巻:野間美由紀・作(白泉社・別冊花とゆめ連載)
いわゆるミステリものですが、作品自体のコンセプトは「気象」。
ハーフの高校生・葵と、民間気象予報士の稲見が主人公で、2人が出会う出来事を「気象」の面から描いている作品です。そのため、ミステリとしては弱い部分もあるかもしれません。
自然の神秘性という一貫したテーマと、年の離れた主人公2人の(ちょっと神秘的でさえある)恋愛像を絡めた、響好みの作品です。
紅茶王子・1巻:山田南平・作(白泉社・花とゆめ連載)
「オトナになる方法」とかのシリーズでお馴染みの、山田先生の新作です。
亡くなった父の影響で紅茶が好きな吉岡奈子(よしおか・たいこ)は、友人とともに「お茶会同好会」を発足し活動していた。
文化祭のミーティングと称して、月夜の晩に屋上でお茶会をしていたその時、奈子と友人の内山美佳(うちやま・はるか)のティーカップの中に、突然小人が現れます。彼らはアールグレイとアッサムの紅茶王子で、それぞれ3つの願い事を叶えるために現れたのだと告げます。
願い事の決まらない奈子と、他人に借りを作って願いを叶えるなら自分で叶える、と断言する美佳。
なんだかんだと結局文化祭に向けての準備の中、弱小部を潰そうとする生徒会の妨害を受けることに..。
作品のカラーとしては、オーソドックスな学園ものに、ファンタジックな要素を加えた感じですね。
個人的には奈子とアッサムがお気に入りですな。
響が紅茶好きであるのもさる事ながら、学園ものも大好きなので、個人的にはお気に入りの作品です。連載の方も好調のようで、毎号楽しみにしてます。
紅茶の好きな方なら、ぜひ一度読んで見て下さいませ。
らせんディスク・2巻:なかむらよしみ・作(白泉社・別冊花とゆめ連載)
待ちに待ってた2巻目です。1巻の紹介の時も書きましたが、連載時に読んでなかったので、楽しませていただきました。
で、今回の構成は、2話目の後半と3話目です。それぞれ別々な主人公を使って、遺伝情報記録再生技術「GACT」とそれに関わる人々の愛情や思いを描いています。
結婚式の当日、妻「さゆり」を失った小説家の月縞健は、彼女の遺伝情報を書き込んだディスクから「さゆり」を再生させるが、10歳の姿で再生してしまう。知らず知らずのうちに、優しかった「さゆり」の姿を10歳の「さゆり」に押し付けてしまい、彼女は家を出てしまう。
人が無意識に「自分の中の相手ののイメージ」を押し付けてしまうという、ありがちなテーマを変則的に取り扱った良さげなストーリーでした。また、「さゆり」がなぜ最先端技術であるディスクを持っていたか、なぜ10歳当時のデータが書き込まれていたか、その辺の背景が明かされます。
そして3話目。GACTの専属アイドル「綾瀬恵利」が主人公。彼女のもとへ届く脅迫状、そして何者かに命を狙われる。いくらGACTディスクで再生できるといっても、死んでたまるか!という感じで行動を開始するが、事件は意外な展開を見せる..。
この文だけ見ると、ただのサスペンスみたいですが、彼女の正体あたりの絡みがなかなか面白かったです。
総評ですが、「死者を再生する技術」というギミックを生かした、いい作品だと思います。(あえて「技術的にどーの」とか考証面には問題があるかもしれませんが、専門家か難癖野郎でなければ問題無いはずです)
彼氏彼女の事情・3巻:津田雅美・作(白泉社・ララ連載)
響お気に入りの作家さん、津田先生の6冊目のコミックスです。
津田先生の作品は、たぶんデビュー頃から読んでいますが、キャラクターの個性を際立たせる落差(いわゆるきめるシーンと崩すシーンのギャップ)、シーンにメリハリを付けるテクニック、そして「ロマンチックには程遠いけどロマンチックな展開」など、とても参考になります(何の?)。もちろん熱い(濃い)セリフ満載です。
で、今回のカレカノ(この作品の略称)ですが、主人公は品行方正、成績優秀と非の付け所の無い2人、宮沢雪野と有馬総一郎。どちらもイヤミの無い性格で、男女問わず頼りにされ、人気もある。
しかし、この2人の「非の付け所の無さ」は、実は作られたものだった。宮沢は「誉められる」ことに喜びを感じる虚栄心から、あらゆる努力をしてきた.ただ誉めてもらいたいから。有馬は実の両親ではない育ての親に迷惑をかけたくないから。2人はそういう姿を演じて来たのだった。
ふとした事から互いの本性(笑)を知り、それでも(いや、だからこそ)互いを理解し、共感した。初めて本心を、本当の自分を認めてくれる相手に出会って、2人は変わっていく、本当の自分に..。
宮沢や有馬が、自分の正直な気持ちや確固たる決意を語る時、いわゆるベタベタの「少女漫画」より、その一瞬の密度はずっと「濃い」ような気がします。
というわけで、これもおすすめの1冊(いや、ぜひ1巻から読んで欲しいので3冊)です。
君の海へ行こう:岡野史佳・作(白泉社・ララDX連載)
岡野先生の十八番、真面目なラブロマンスです。
恋人に振られ、友人とともに小笠原の小島に傷心旅行でやって来た河合広洋(かわいひろみ・男)は、宿泊先のペンションの一人娘の琴里に出会う。元気の無い広洋に、琴里はダイビングを勧める。2人は潜った海の中でイルカ達と出会い、その1頭が作り出すシルバーリング(水中にできる泡の輪)を見ることになる。シルバーリングは「幸せの印」だと笑う少女に、心惹かれ始める広洋だった。
遠距離、年齢差という2つの壁を挟みながらも、お互いの想いを徐々に強くしていく2人の姿は、まさにロマンスそのものですね。
Papa told me・18巻:榛野なな恵・作(集英社・ヤングユー連載)
この作品は、現代を強く生きる親子を描いた、暖かくも優しい物語です。
的場知世(まとば・ちせ)は小学生の女の子。年齢以上に大人びた側面と、純真で神秘的な感性を持ち合わせた彼女は、小説家のパパと2人暮らし。2人っきりの生活は何かと大変だけど、いつだって元気に前向きに生きる親子の姿は、見ていて心が和みます。
無神経な言葉がいかに心を傷つけるか、あるいは世間というのは何と排他的で保守的なのか。そういう世相を反映した出来事に傷つくこともあるけれど、知世は大好きなお父さんとの楽しい毎日を作ろうと頑張っています。
元気が出ない時、辛い世の中に疲れた時、無気力な時、読んだ者が忘れていた何かを取り戻すことができる、と響は断言しても構いません。響が高校の頃に買いはじめて、いまだに愛読している名作です。もう18巻まで来てしまいましたね。「絶対のおすすめです!」
というわけで、強く優しく生きている2人の生き方を、ちょっと覗いて見てくださいね。
未来のうてな・7巻:日渡早紀・作(白泉社・花とゆめ連載)
日渡先生お得意(?)の輪廻ものです。前世の記憶と使命を引きずる登場人物達の、宿命ともいうべき出会い、対立が売りなんでしょうね、たぶん。
主人公の茉雪健と、一応ガールフレンドの苺、友人の野田の3人は、健が無意識に「うてな」に登ってしまった為に、14年前にタイムスリップしてしまう。途方に暮れる3人は、やむにやまれずそれぞれの自宅でお金を調達することにする..。思い出の中の人物との出会い等を経て、ついに元の世界へ戻る手段を知ることになる。
「ぼく地球」に負けないくらい、どろどろした人間関係が真の売りだと思っているのは、響だけかなぁ。
愛っていうのはね:武藤啓・作(白泉社・花とゆめ連載)
表題作と、短編2編の構成です。どれも、愛の形(というか、あり方)を主題に置いた作品ですね。
「愛っていうのはね」は、3人の「かおる」が織り成す「ほぼ三角関係」のお話です。主席入学の元登校拒否児・内田香織(女)は、無口で無愛想な教師・小泉薫ちゃん(男)にラブラブ(笑)。薫ちゃんは、性悪だがハーフで美形の三宅カヲル(男^^;)にときめいている(おいおい)。カヲルは、「愛とかいうくだらねーもの」に固執する香織をからかうつもりで、薫と付き合うのだが..。
客観的に見ると、ちょっとやばそーな恋愛ドラマですが、実はそうでもありません(笑)。
短編の方は、不良に見られがちな川嶋奈緒が、好きな男のために「いい女」になるべく家庭科部に入部する。部長の松岡(男)は、そんな彼女にだんだん引かれて行くのだが..、という「君の想いが伝わるように」ほか1編。
武藤先生の元気なストーリー運びも手伝って、愛というものについて考えさせられる一冊です。
アルペジオ(瞳・元気 番外編):藤崎真緒・作(白泉社・花とゆめステップ増刊掲載)
既に連載も単行本も終了している瞳・元気の、残された番外編等を収録したものです。
義王&響の話は、ぷよぷよ編(笑)、旅行編の2編。前者はコミカルに、後者はシリアスタッチで、二人の絆の強さと愛情の深さを描いています。
そして、響の両親のお話で、表題作の「アルペジオ」。本編では描かれなかった部分にスポットを当て、若くして亡くなった二人の過去と、結ばれるまでの経緯をドラマティックに描いた秀作です。本編を読んでいる方が、より深くストーリーを楽しめると思いますが..。
そして最後が、デビュー作の「時計仕掛けの心臓」。素直じゃない性格の篠原真希は、片山君が好きなのだが、ついはぐらかしてしまう。そんな想いを彼に伝えたい真希は、「心臓の鼓動が相手に聞こえるといいのに」と考えながら眠りに落ちる。そして、目が覚めると、その考えは現実のものとなっていた..。さて、真希の想いはうまく伝わるのでしょうか?
ミストルティンの魔法・1巻:天原ふおん・作(白泉社・花とゆめ連載)
やっとでたぁー、というのが響の個人的な感想です。天原先生の作品は、ゆったりとしたストーリー展開の中にフワッとしたぬくもりがあるので、大好きなんです。
さてこの作品はというと..。赤ん坊の時に両親を亡くし、叔母夫婦の子として育てられた丹(まこと)。高1になってからその事を知らされる。両親の唯一の形見であるという牙の形をしたアクセサリーを、育て親から受け取るが、突如として現れた奇妙な男性に持っていかれてしまう。そして、丹の友人達がその男にさらわれてしまった。いったい、あのアクセサリにはどんな秘密があるのでしょうか?
タイトルを見れば、キーアイテムがわかる方も多いと思いますが、だからといって「戦いを主体とした」話にならないあたりが、天原先生らしいです。
響がお気に入りな理由は、イメージコンセプトとして北欧神話を使っていることもあるんですが..。(大まかなイメージだけのようですけど。)
とりあえず、今月のおすすめということで。
おまけの小林クン:森生まさみ・作(白泉社・ララ連載)
森生まさみ先生お得意の、「学園コメディーもの」が登場です。本当のジャンルは、「ぽっぷんコメディー」(笑)..。
主な登場人物は、「小林」という姓の4人。いずれも血縁関係などはないのだが、同じ学校の同じクラスに会することになる。
隠れショタコン(笑)で委員長の吹雪(女)、色男だがサド気味の千尋(男)、無口な一匹狼の健吾(男)の小林3人が所属する1年A組に転校生がやってきた。容姿、言動共に、とても高校生にはみえない、お子様な小林大和(男)である。同じ小林の姓を持つ者同士、兄弟のように仲良くしたい大和だが、一癖もふた癖もある他の小林達に振り回され、はたまた自分自身の学習能力の無さからアクシデントを招いたり..。それでもめげない彼を原動力に、事勿れ主義のクラスはまとまっていくのだが..。
短編だけに、「はいぱあ」よりキャラクターが「立って」いるような気がするこの一冊。大和クンの元気な笑顔(とお子様な行動パターン)を見ると幸せになれそうな気がするのは、私だけではないはずです。
So What?(1)(2):わかつきめぐみ・作(白泉社・ララ連載)
既に単行本が出版されていますが、最近はやりの文庫愛蔵版で1、2巻が出版されました。
じっちゃん危篤の知らせを受けて、夜行に飛び乗る阿梨。しかしじっちゃんの家に着いてみると、次元の歪みと幽霊になったじっちゃん、そして異世界の少女が待っていた..。
自分の気持ちを素直に伝えられない。そんなもどかしくも不器用な登場人物達の、同居生活と人間関係を巧みに描いた名作です。
星雲賞(日本のSF大賞)受賞という輝かしい経歴もある不朽の名作です。ほわーんとしたわかつきめぐみの世界、ぜひご一読のほどを..。
神林&キリカシリーズ(11) プレゼントが届かない:杜野亜希・作(白泉社・別冊花とゆめ連載)
本編が2作と、番外編1作、それに読み切りの近未来もの1作を収録。
本編の方は、神林−キリカ−晴子の三角関係(?)が、事件の中で泥沼化していく様を、キリカメインと晴子メインの2作で描いていきます。はてさて、どうなっちゃうんでしょう?見所は、主人公(だよね?)の神林の推理!かな。
番外編は、キリカ・晴子の弟、雷太と友人の志信がメインのお子様推理もので、本編と違って明るいノリですね。
お伽話がきこえる・3巻:柳原望・作(白泉社・ララ連載)
ついに大団円です!戦国の世に繰り広げられる、かなりコメディーな(^^;ラブロマンスです。
一清&千沙姫のカップルにもついに子供ができました。しかし、戦局はついに一清の治める加賀と、千沙姫の実家の安住の決戦へと進みます。そして、乱戦のなか、一清は死んだという知らせが..。
ここだけ読むと暗いなぁ..。でも、ご安心を。少女漫画ですから(おい)。長きにわたるこのお話も、無事ハッピーエンドを迎えてくれました。
世ずれしていないだけに、時に豪胆にもみえる千沙姫の発想と行動力も魅力ですし、一清の冷静沈着で義に篤い態度も魅力なのですが、響が一番好きなのは、やはり名バイプレイヤーの大谷さんですね(笑)。
らせんディスク・1巻:なかむらよしみ・作(白泉社・別冊花とゆめ連載)
別花掲載時は読んでなかったのですが、いい作品ですね。人の死と、残された者の感情という古くからある命題に、死ぬ前に記録した遺伝子データから人工的に再生した人間(つまりクローン)についての倫理観というSF的な要素をミックスした、テーマの重い作品です。しかし、比較的コメディータッチで描かれているので、さりげなく魅力的な好作品になっていると思います。
遺伝子データを記したディスクを中心に、様々な人間模様が描かれています。次巻が楽しみですね。
瞳・元気 KINGDOM・10巻:藤崎真緒・作(白泉社・花とゆめ連載終了)
最終巻を迎えたこの作品、綺麗に終わってくれました(主観)。
あ゛。作品紹介ですね。ラブロマンスですね、はい(結構重いテーマですよ,ギャグもあるけど)。ある事件のあとに男性恐怖症になってしまった今井響と、彼女へ一途な香坂義王は、過去やしがらみという苦難の中でお互いを信頼し大事に思う気持ちを育てていく、という少女マンガないい話です(ほめてんのか?)。
一途な想いと、身を捨てるほどの勇気という、強い愛情から生まれる感情を描いた秀作です。
聖はいぱあ警備隊・5巻:森生まさみ・作(白泉社・ララDX連載)
ついに5巻め発売です!ジャンルはスラップスティックラブコメディー(?)かな。ハイパー天の邪鬼娘・梨本つぶらと、風紀委員長(はいぱあ警備隊長)の高屋敷昴は超公認カップル。でもなかなかうまく行かない2人を巻き込み、学園は今日も一悶着有りそうです。
非常にテンションが高く、ギャグあり、ラブラブあり、シリアスありと演出もばっちりなので、1巻から順番に心と身体を暖気しつつ読むことをお勧めします(^^;。
天使禁猟区・8巻:由貴香織里・作(白泉社・花とゆめ連載)
花ゆめのカラーともなりつつある前世もの。主人公の無道刹那の前世は、有機天使アレクシエル。その前世ゆえに天使達の謀略に巻き込まれ、最愛の妹・沙羅は死んでしまう。沙羅を取り戻すため、冥界へ向かうことになるが..。
天使と悪魔というものの既成概念を打ち破るセンスの良さと、絵の美しさが最大の魅力です。
欠点は、話が分かりづらいことかな..。
神林&キリカシリーズ(10) 宵闇のアリア:杜野亜希・作(白泉社・別冊花とゆめ連載)
人気アイドル川本キリカと、推理作家の神林俊彦が多くの事件を解決していく推理もの。
前巻でキリカの出生の秘密が明らかになり、この巻で神林が自分の本心に気づくという感じでクライマックス目前な感じです。
天然素材でいこう。・2巻:麻生みこと・作(白泉社・ララDX連載)
「超マイペース娘」亀岡二美と「パーフェクト小僧」高雄勇のカップルと、2人を取り巻く友人達の、なかなか素直になれない感情(友情・愛情)をテーマとしたお話です。
登場人物たちの過去を描いた話も収録され、魅力あふれる1冊です。

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