パソコンショップのエピソード


ここには、以前私が某大手パソコン専門店に在籍していた10年間のエピソードがかかれています。特に目立つのは初心者の方の苦労体験ですが、パソコンを知り尽くした人間からは想像もつかない出来事が多くありました。私にとっても、自己を磨き、視野を広げる貴重な体験となりました。ここにあるのはほんの一部です。


デスクトップパソコンを初めて買ったお客からすぐにお店に電話がかかってきました。

お客「今、パソコンを繋いでスイッチを入れたんだけど、これ画面に何も映らないぞ。不良品じゃないのか」
店員 「電源は入っていますか?」
お客 「ああ、入れてるランプもついとる。」
店員 「ディスプレイのディスプレイの信号ケーブルはしっかり繋いでいますか?」
お客 「もちろん、全部きちんと正しく繋いでまちがいない!こんな不良品売りつけやがって、すぐ取り替えに来い!」
店員 「お取り替えはいたしますが、もう一度間違いがないか確認して下さい。」
お客 「いや、なにも間違ってない、俺は今まで間違ったことはない。説明書も読んどる!」
店員 「スイッチはきちんと入れましたか?」
お客 「ここんとこを押したから大丈夫だ」
店員 「上のディスプレイのランプはついていますか、本体と合わせて2個所光っていますか」
お客 「それはどこのことだ?」
店員 「ブラウン管のすぐ下のランプです」
お客 「一個所しか光ってないぞ」
店員 「ブラウン管の下の大きなボタンを押してみてください。」
お客 「ああっ光ったぞ・・・」「あっ・・あっ・・・出た〜・・画面が映った!」
店員 「パソコンの説明書だけでなくディスプレイの説明書も少し読んでくださいね」
お客 「ガチャっ」・・・電話の切れる音

メーカーへ一言
たしかにパソコンのスイッチは入れてありましたけれどディスプレイにも別にスイッチが存在するなんて思わなかったのですね。
いくら初心者向けのパソコンだと宣伝しても説明書が本体とディスプレイがバラバラだから初心者には常識だけでは通用しないものです。



ノートパソコンの一番低価格な機種を買ったお客からの電話

お客 「いま、箱を開けたが説明書がはいっとらんぞ。どーなっとるとか!」
店員 「何マニュアルが不足でしたか?」
お客 「わからんが薄っぺらい説明書が1冊入っとるだけじゃ」
店員 「添付品一覧と照らし合わせてみて何が不足か分かりますか?」
お客 「一覧に載っとるのは全部入っとるが、足りんのは説明書の厚みが足りんと言っとるんじゃ。こんな薄いのでいいんか?」
店員 「???」

あとで調べてみると、元々薄っぺらい取り扱い説明書なるものが、1冊入っているだけした。中を読んでみるとハードウエアの諸元とMS-DOSの基本コマンドが少々記載されているだけでした。でも、これって某一流メーカーの○○Bookですよそれも97年式の新機種なのに。なにも、ここまで中身を削らなくてもいいと思います。Windows95がプレインストールされているパソコンとはとても思えませんでした。


Windows95がプレインストールされてアプリケーションも豊富にインストールされたパソコンを買って帰ったお客さんからの電話です。

お客 「今、パソコンを箱から出して、説明書を見ながらパソコンを操作を始めたが、これはいつになったら終わるんですか?もう何分も待たされている」
店員 「どの説明書の何ページを見ていますか」
お客 「操作説明書の○○ページを見てる。」
急いで店の説明書を見ると、そこには「ハードディスクの初期化」と書いてあった。



最近のパソコンには取り扱い説明ビデオが付いてくるので初心者の方に薦めていました。

ある日パソコンを買って行かれた方が再び店に来られたので「パソコン、その後調子どうですか?」と尋ねたところ
「いやービデオを見ながらやってるんだが、まだ途中までだよ」という返事
「ワープロで文章を打ってみましたか?」 「まだ、ビデオの途中だから、そこまで行っとらんよ。これからインストールの章にすすむよ。」
はて、たしか買った機種は全てインストール済みだから、スイッチポンで立ち上がるはずだと思い、よーく話をしてみると、ありました、落とし穴がありました。
話を要約するとこうでした。ビデオをみるとまず設置の方法が具体的に分かりやすく解説されていました。おかげで簡単に設置が終わり、次はスイッチの入れ方と起動の画面の説明。これも見事にクリア! めでたくWindows95の起動です。起動できたら今度は終了です。ここまではよかったのですが次の説明がハードディスクのフォーマットと各ソフトウエアの復旧方法が説明されていました。つまり初心者の方はビデオがあれば安心と思い込み説明書などなにも読んでいないのです。そのままハードディスクのフォーマット方法の説明に従ってフォーマットしてしまったのです。
しかし調べてみると、そのビデオには肝心の操作説明は収録されていませんでした。設置と障害復旧だけが目的のようです。なんと不適切な操作説明ビデオなんでしょう



ある日お客さんが自分のパソコンを店に持ってきました。

フロッピーがドライブに入らないから見てほしいとのこと。
早速店の奥から3.5インチディスケットを出してきて、恐る恐るドライブにセットしてみました。次の瞬間、「カシャッ」と心地よい音を残してディスケットはドライブの奥に吸い込まれていきました。「・・・」少し間を置いてお客は「あれっ、おかいしな。じゃこれを試してくれないか」と言って自分のディスケットを差し出しました。なんと、差し出したフロッピーには金属のシャッターの上にフロッピーラベルがべたっと張ってありました。


もう一つフロッピーネタを

やはりフロッピーがうまく入らないと言ってパソコンを持ってきた子連れの親子。どれどれ今度は何だろうと思いつつ新しいフロッピーをセットしてみたところ「グァシャ」という鈍い感触。最後のところで止まってしまう。故障かなと思いつつフロッピーを取り出すと何かフロッピーの裏に白っぽい粉状の物がかすかに付着している。懐中電灯でドライブの中を照らしてみると何か物体が見える。ピンセットで取り出してみると・・・「スナック菓子」のかけらだった。それを見たお父さん、自分の息子に視線を向けていた。


パソコンのマニュアルにひとこと

ワープロや表計算などのアプリケーションがあらかじめインストールされたマシンが特に初心者に好評ですが、マニュアルの付属の方法が不親切なものが多くあります。それぞれのアプリケーションメーカーの作成したマニュアルが無造作に付属しているだけである為、2重インストール事故を多く見かけました。つまり、初心者がアプリケーションマニュアルを開いたときに、どうするかというと、マニュアルの手順に沿って操作を進めていくことになります。なんと、はじめにインストールをやってしまうのです。上書きができるアプリケーションならば問題はないのですが、できないソフトの場合インストールの途中でディレクトリの名称変更を要求してきたり、上書き確認メッセージなど、手順がマニュアル順からはずれて、初心者には分かり難い方へ分岐してしまうのです。途中で分からなくなったり、不安になった人がここで電源を突然切る、リセットするなどの行為に及んでしまって(コンピューターの知識が浅い人はとても想像もしない行動をとることがある)再起動すら不能になってしまう例を多く見ました。マニュアルがインストール済みの状態を前提とした物だったらこんなことにはならなかったのではないでしょうか。


パソコンのマニュアルにひとこと その2

どのアプリケーションにもマニュアル(取り扱い説明書)は不可欠ですが、市販ソフトを見ているといろいろなタイプがあるのに気がつきます。きれいな製本仕上げのものから、ワープロ打ちでコピー機を使った簡易タイプまでたくさんあるのですが過去に使っていて腹が立ったものをいくつか思い出してみました。


つづく
HOME