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タイトル:カウンセラーからのアドバイス



■現在の大学院の仕事、学生のスーパーヴィジョンについて

現在、大学院の仕事として、学生のスーパーヴィジョンを行っています。学生は実習先で実際のカウンセリングを行い、その指導を週に一回私が行います。クライエントの中に、鬱により会社へ行けなくなっていた人がいましたが、約20回のセッションで会社復帰しました。学生を指導した立場の人間として、非常に嬉しく思います。

鬱のクライエントに接していると、「鬱」を引き起こす心理学的な原因がある事に気づきます。以前は、生真面目で何事にも一生懸命やるタイプの人が、その生真面目さ故に仕事でバーンアウトして鬱になるというパターンが大勢でした。しかし、最近は少し異なるパターンが見られるようになりました。仕事のやりすぎというより、職場の対人関係のストレスから鬱になり、会社に行けなくなる人が増えているようです。この数年、研究論文でも同様の事が指摘されています。

このように対人関係のストレスから鬱になった人が、はたして、抗うつ剤だけで鬱から回復するのでしょうか。

抗うつ剤を飲めば、確かに気分が変化して、鬱を忘れる、または感じなくなります。そしてその間に休養を取り、心身の自然治癒に任せれば回復を計れます。この意味で、抗うつ剤が役に立つ場面はあります。しかし、職場の対人関係という意味では、状況はそのままですし、もっと重要な事に、本人の対人関係のスキルもそのままで改善されません。このような状態で鬱から回復して職場復帰したらどうなるのでしょう。

病気前と同じ状態になれば、多分、鬱を再発する可能性が高いと思います。鬱の本当の原因は何も改善されていないからです。実際、最近の鬱の研究で、鬱の再発の高さが問題になっています。また、全体の患者の1/3程度は、投薬が効果をもたない難治性鬱であるという研究もあります。その一つの原因に、上記のような問題があるのではないかと私は考えます。

ですから、鬱の予後を考えると、対人関係が原因の鬱には、抗うつ剤にカウンセリングを併用した方が望ましいと考えられます。カウンセリングでは対人関係のスキルを向上できるからです。

このコラムの最初に紹介した、私がスーパーヴィジョンを行った学生のクライエントの場合、このケースに相当しました。会社に行けなくなったクライエントは抗うつ剤を数ヶ月飲んでいたのにもかかわらず、状況は改善していませんでした。こんな中、学生のカウンセリングを受け始めました。カウンセリングの詳しい内容はプライバシーの関係で伏せますが、一般的には次のように経過を辿ります。

まず傾聴を通じて、鬱の原因を正しく理解します。これは鬱になった頃の状況を詳しく聞くと、ほぼ正確に推定できます。例えば学生のクライエントの場合、職場の対人関係のストレスである事が判明しました。特に上司との関係が問題の一つでした。対人関係が鬱の原因と特定されると、その対人関係のパターンを向上させる作業を行います。つまり、クライエントがある対人関係でストレスを受けやすくなった原因が、大抵の場合、生育史にあるので、それを明らかにし、そのトラウマ的なマイナスの影響を軽減します。またそれまでの抑圧それた感情を処理したり、思い込みや信念を修正する作業、自分のいい部分を発見して延ばしていく作業、このような事を統合的に行います。同時平行として、ロールプレイ等で、対人関係を向上させるスキルの練習も行います。

このようなアプローチは効果的で、時には数回のカウンセリングで鬱を脱する場合もあります。更にこの回復プロセスと投薬のみによる回復とは、決定的な違いがあります。それは、対人関係のスキルが向上しているので、仕事に復帰して以前と同じ状況にあっても、もはや受けるストレス少なくなり、しかも、対人スキルが向上しているので、以前より仕事が「デキる」ようになっています。

「鬱」がきっかけとなり、自分を見つめ直すことで、人生・生活・仕事の質が病気前より向上するのです。次のような人は試しに統合的なカウンセリングを併用してみたらいかがでしょう。


1.投薬だけの治療で回復がはかばかしくない人(あなたの時間は貴重です)。

2.投薬だけで一度は回復したが、再度鬱を再発した人(同じプロセスを繰り返す必要はありません)。 数回試しただけでも何かが変わるかもしれません。

働き盛りの一家の大黒柱が鬱になると、その影響は家族全体に及びます。ちょっとしたためらいを乗り越えてカウンセリングを受けてみましょう。

その恩恵は家族の全員に及びます!


(2006年6月)

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