親鸞聖人 ご消息(手紙)

最低山極悪寺 珍宝院釈法伝 謹写


三十八

 他力のなかには自力と申すことは候ふときき候ひき。他力のなかにまた他力と申すことはきき候はず。他力のなかに自力と申すことは、雑行雑修・定心念仏・散心念仏をこころがけられて候ふひとびとは、他力のなかの自力のひとびとなり。他力のなかにまた他力と申すことはうけたまはり候はず。なにごとも専信房のしばらくも居たらんと候へば、そのとき申し候ふべし。あなかしこ、あなかしこ。

銭二十貫文、たしかにたしかに給はり候ふ。あなかしこ、あなかしこ。
  十一月二十五日    親鸞

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