このいまごぜんのははの、たのむかたもなく、そらうをもちて候はばこそ、譲りもし候はめ。せんしに候ひなば、くにの人人いとほしうせさせたまふべく候ふ。この文を書く常陸の人人をたのみまゐらせて候へば、申しおきてあはれみあはせたまふべく候ふ。この文をごらんあるべく候ふ。このそくしやうばうも、すぐべきやうもなきものにて候へば、申しおくべきやうも候はず。身のかなはず、わびしう候ふことは、ただこのこと、おなじことにて候ふ。ときにこのそくしやうばうにも、申しおかず候ふ。
常陸の人人ばかりぞ、このものどもをも、御あはれみ、あはれ候ふべからん。いとほしう、人人あはれみおぼしめすべし。この文にて、人人おなじ御こころに候ふべし。あなかしこ、あなかしこ。
十一月十二日
ぜんしん(花押)
常陸の人人の御中へ
常陸の人人の御中へ(花押)