多摩・生活者ネットワーク 多摩市議会議員
武内よしえ


2003年3月議会一般質問通告書

☆☆廃棄物会計について☆☆

 生活者ネットワークでは、自治体のゴミ処理及びリサイクルにどれだけの税金が使われているかを明らかにし、市民に公開していくため、廃棄物会計調査を行いました。対象年度は2002年、127自治体、対象人口にして国民の1/5にあたる約2644万人、都内では13区、17市から回答を得ました。もちろん、多摩市も含まれています。
 家庭からの廃棄物について、現行の法律で最終責任を負っている自治体にとっては、ゴミの処理・処分方法や高騰する費用への対策は、極めて大きな政策課題です。市民にとっても、税金の使われ方は最大の関心事だと思います。そして、今や重大な行政課題は行政と市民の協働の枠組みで対応する時代となっています。廃棄物会計は、市民と行政がパートナーとなってゴミ問題への対応策を議論するときの共通の情報基盤となるものです。しかし、自治体の廃棄物やリサイクルにどれだけの費用がかかっているのか、これまで大まかな数字は提示されても、品目ごとの回収費用や処理、保管費用の内訳などの詳細は、殆ど明らかにされていませんでした。むしろ、実際に算定されたことがないといったほうがよいかもしれません。
 今回初めて実施した廃棄物会計から、「費用の算出」「品目別の費用按分」に統一した基準がないこと、「リサイクル費の負担割合の出し方」などは全くの手探り状態なこと、費用把握や情報公開への取組など自治体間の差が大きいことがわかりました。全国的に統一された基準をつくることが、今後の課題であると考えます。
 現在の廃棄物処理法では、一般廃棄物の処理は市町村の固有事務とされています。いらなくなったものは、誰のものでもなく社会のものとして、行政が処理責任を負うことになっています。ごみの処理は公共責任とし、廃棄後の責任を製造者に問わないシステムが、後始末を考えない大量生産、大量消費、大量廃棄の構造を作り上げてきました。不要になった製品の再利用、再生、あるいは適正処理を行う責任を製造者に課す拡大生産者責任(EPR)の確立が欠かせません。
 資源循環型社会とは、リース・リユースの社会であると考えます。その構築へ向けて、環境負荷のある製品をできる限り作らず、また作る段階から再利用を考慮した製品作りをすすめることが必要です。例えば使い捨てカメラは、撮り終わった後、現像時に回収され、100%リサイクルされています。消費者は製品の機能のみを買い、現像された写真を手にすることができます。事務所で使われているコピー機はたいていリースで、コピー機の業者はコピー機能を提供し、一枚当たりのカウント料金を請求しています。家電などでもこの方式が可能であり、デンマークなどは既に実施しています。日本でも2002年9月、環境省と家電メーカーが協力し、省エネ型家電製品を貸し出すモデル事業を始めました。
 リースでは製品の所有権は事業者のままなので、使用済みの製品は生産者に戻ります。製品の再使用・資源の再利用や再生が容易になり、その結果、リース・リユースを前提にした製品設計、技術開発が進み、製品の質も機能も変わってくるはずです。
 使用済み容器包装材の事業者による引き取り責任を初めて課すことで、廃棄物の発生の抑制を目指した容器包装リサイクル法ですが、現状は、容器包装廃棄物の発生抑制には向かっていません。むしろペットボトルなどは、リサイクルができることを免罪符に、生産量が飛躍的に増加しています。
 リユースびんの優等生と言われていた一升瓶も、流通量が激減しました。回収、洗びん業者でつくる全国びん商連合会によると、1980年代のピーク時に約15億本あった一升瓶の使用量は、99年には4億7千本になってしまいました。リサイクル費用の7割を税金でまかなう使い捨て容器に比べ、事業者にとって割高となってしまったリターナブル容器は、衰退の一途をたどっています。
 デポジット制度を活用したリターナブルびんへの積極的な支援策によって、リユースへと誘導することが必要だと考えます。
 多摩市では、小学校3年生でエコプラザへ社会科見学に行っています。3、4年生の社会科の副読本では、ごみの現状を学び家庭でのごみ調べを行い、自分たちに出来ることは何かを考えるようになっています。分別についても、大人よりもしっかりしています。小さい頃から、リース・リユースといった考え方を含めて環境について学ぶことは、とても大事な事だと思います。
 市民と事業者、行政が一体となって議論を重ね、ごみ問題に対処していくために多摩市において、廃棄物会計の整備が必要かつ急務であると考え以下質問致します。


1. 廃棄物会計について

  1. 自治体負担の認識について伺います
        ごみ処理経費
        資源化率
  2. ごみ処理・資源化費用の情報公開についてどう考えますか
  3. 容器包装リサイクル法の費用負担の部分について伺います
2. ごみ減量に向けて
  1. 目標値とその実現に向けての具体策について
  2. プラスチックごみについて
3. スーパーなどに対しての対策
  1. ノーレジ袋デーの実施
  2. 白色トレー回収
  3. リターナブル容器の推進
4. 集合住宅における生ごみ対策
  1. たい肥化について
  2. ディスポーザーシステムについて
 

 



2002年12月議会決算委員会意見討論(冒頭部分)

 日本の社会経済を覆う長引く不況、従来型社会システムの変革を迫られながら、遅々として進まぬ構造改革に、日本全体が重苦しい閉塞感に包まれています。現在の状況を、「不安による不況」と表現する専門家もいます。日本の社会経済の力が、底をついている訳ではなく、それを引き出せない状態になっているのだというのです。市民の将来へ向けた不安を取り除き、明るい希望が確信できた時、この閉塞状況を脱することができるのではないでしょうか。不況脱出、構造改革と社会システム変革に関して、国が果たすべき責任が大きいことは、言うまでもありません。一方で、地方自治体の果たすべき役割も、決して軽いものではなく、重みは年々増しています。国主導による構造改革が、かけ声に比べて実質的には遅々として進んでいない現状と、地方分権の流れの中で、地方発の改革が国の施策を動かす事例が、増えています。多摩市においても、未来への夢、将来の安心を市民に提供できる施策を、先例や他市の例にとらわれることなく、積極果敢に進めていくことが市民に対する責務と考えます。

 2001年度は21世紀の始まりの年であり、多摩市においては、厳しい行財政環境の中これからのまちづくりのスタートである第4次総合計画が動き出した年でした。  2001年度予算は鈴木前市長が編成したものであり、その基本方針は市民との協働のまちづくりの推進、市民が負担する税金は1円たりとも無駄にしない行財政改革、コストの軽減に努め行政の役割分担、行政効果、行政効率を検証するというものでした。「市民自治基本条例」「子ども市議会」など新しい事業がおこなわれ、市民参加の拡がり、市民協働を感じたスタートとなりました。

 臼井市政で始まり、鈴木市政で拡大定着しようとしていた「市民参画・市民協働」の流れは、渡辺市政でどのように継承発展されていくのか、多くの市民が感心を寄せているところです。そして、「市民参画・市民協働」に対して、現市政が必ずしも積極的に発展させて行こうとの姿勢を示さないことに、不安の目を向けています。  地方分権を支える「市民参画・市民協働」は、行政の恣意的な都合で引っ込めたり、促したりするものではないと言うことを、しっかり認識する必要があります。「市民とのパートナーシップをどう作り出していくのか」ということは、市政の基本に据えるべき課題であり、「市民参画・市民協働」は、市職員の活動と共に、市政の活力の源泉であると捉えるべきと考えます。

 政策策定や進行過程への市民参画は他市に比べると現時点では進んでいると評価します。もっと、拡大していくことを期待します。しかし、市が持っている事業のNPOへの依託はまだまだ進んでいません。市民の思いで立ち上げたNPOはその継続のため四苦八苦しています。もっと思いきって事業を市民に委譲すべきです。市民の知恵が生かせる事業はたくさんあります。公募、公開コンペなど依託先の決定の透明化に勤めながら進めてください。市民の信頼なしでは「協働」は進みません。実践の中で示していくことが求められているのです。 

 




2002年12月議会一般質問通告書

☆☆環境との共生をめざして☆☆


 21世紀は環境の世紀と言われています。地球温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨など地球規模の環境問題は今や国際的な重要課題です。エネルギーの大半を国外に依存している日本では、長期的な見通しに立ったエネルギー対策が不可欠です。
 1997年12月気候変動枠組条約第3回締約国会議が京都で開催され、先進国を対象とした温室効果ガスの排出削減目標などを内容とした京都議定書が採択されました。翌年10月には、「地球温暖化対策の推進に関する法律」が成立し、地方公共団体の責務として、自らの事務事業に関する温室効果ガスの抑制、及び抑制に向けた実行計画の策定、区域住民、事業者の活動促進のための情報提供、その他自然的・社会的条件に応じた措置をとることが義務付けられました。
 2002年7月、地球環境保全に関する関係閣僚会議が開催され、2000年度の二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスの排出量が13億3200万トン(二酸化炭素換算)、京都議定書の基準年比で8.0%増加になったこと等が報告されました。
 日本での温室効果ガス排出量の9割を占める二酸化炭素総排出量は、12億3700万トンで1990年比で10.5%、一人あたり排出量も7.6%増加し、過去最高となりました。特に部門別で見ると産業、運輸では減少となったものの、民生部門では過去最高となり、省エネや新エネルギー開発への取り組みを効果的に誘導する自治体の施策の重要性が増しています。

 渡辺市長は6月の所信表明において、環境会計の導入や市民認証制度による新たな環境マネジメントの構築、身近な環境とともに「地球規模の環境を考えて行動できる人づくり」「協働のシステムづくり」を市民参加により進めながら資源循環型社会を確立し、また現在残されたみどりを守り、将来に引き継ぐため、市民協働によるみどりの保全や維持管理を進め、都市における水循環の再構築について検討するなど、環境への負荷の少ない循環社会の創造について述べられています。
 8月26日には、多摩市環境マネジメントシステムのキックオフ宣言がなされました。ISO14001の取得ではなく、市民による認証を目指した独自の環境マネジメントシステムを構築するというものは、他には例がなく、大変良い方向性を打ち出されたと評価します。
 多摩市環境審議会が計画の課題、改善策、事業の進行状況等を評価・確認していくシステムですが、まさしくこれからは、市が行っている環境の取り組みを市民にどう明らかにしていくかが重要となります。「(仮称)多摩市地球温暖化対策実行計画」が実効性のあるものとして、温室効果ガスの排出抑制につながるよう、市民と行政が一体となって取り組んでいく必要があります。

 またニュータウン開発により市域の大部分が宅地化されたことで、自然の水循環は大きく変化し、雨水の地下浸透や河川水量が減少しています。現在では生活用水として利用されることが少なくなった湧水ですが、災害時における貴重な水の供給源です。雨水の涵養を考え、川のコンクリート護岸や、公園や歩道のコンクリート舗装を見直し、雑木林の保護や育成など緑の保全を進めることが必要です。各家庭でも雨水確保を行うとともに雨水を地中へ戻して、地下水の量を増やすことで水循環のあるまちづくりを進めて行かなくてはなりません。

    現在、第一小学校の建て替えに当たり市民ワークショップが開催されています。子どもたちが夏休みの宿題として提出した絵や作文などには、ソーラーエネルギーの利用、風力発電、雨水をためるタンクをつける、屋上に木を植える、など環境を考えるものがたくさんありました。
 環境に配慮した学校の将来像を描いてみてください。校舎の屋根には太陽光発電が設置され、屋上や壁は緑で覆われ、生ごみ処理機で出来たたい肥で花を育て野菜を作り、芝生の校庭で子どもたちが元気に遊ぶ。
 子どもの頃から環境に対する関心や知識を深めることは、豊かな感性を育てる事になります。今年から総合学習が開始されましたが、環境問題は最も身近なもので、取りあげられる事も多いのではないでしょうか。特に地球温暖化は私たちの生活行動が原因となっているという点で、子どものうちから早く知っておくべきテーマだと考えます。

 今回、南野にある恵泉女子大学、世田谷の環境共生住宅などを見学に行ってきました。  恵泉女子大学では、人間環境学科を設立したことから、環境に配慮した学校づくりをめざしています。食堂の屋根には30キロワットの太陽光発電のパネルが180枚設置され、今年の4月から稼働が開始されています。正面玄関近くには、ミニサイズの太陽光発電があり池の噴水用になっています。庭の時計ももちろん太陽光発電です。また、スクールバスも天然ガスを使用し、雨水利用も行っています。

 世田谷の環境共生住宅は、できてから6年が立ちます。昭和27年に建てられた都営住宅が40年たち老朽化したことから、都から世田谷区に移管され、区営住宅として建て替えられる事になりました。
 当時、国では「環境共生住宅」のガイドラインが策定され「環境共生住宅建設推進事業」が、一方世田谷区でも「エコロジカルまちづくり事業」がスタートしました。ここに住んでこられた人々も参加して、敷地の環境を残す方向で3年間検討を重ね、風の通り道を考え建物を配置しました。また風車を2基設置し、屋上緑化、壁面緑化を取り入れ、団地の中央にはせせらぎのあるビオトープが整備され、環境学習の場や住民の憩いの場として利用されています。本来であれば約150戸の住宅が出来るところを半分の75戸のみとし、1F部分には高齢者在宅サービスセンターを設置しました。隣にある中学校から出る給食の残さいをもらい、住宅内植栽の肥料としています。各ベランダには天水尊が設置され、ベランダのお花の水として利用しています。
 多摩市としても、これから団地の建て替えなどにあたり、地球環境を保全するという観点から、エネルギー・資源・廃棄物などの面で十分な配慮をし、周辺の自然と調和がとれた住宅を考えていくのは当然のことであり、そのための仕組みや制度が必要となります。

 そこで以下質問いたします。

A.環境基本計画について
  1. 実施計画をいつまでにたてるのですか
  2. 数値目標の設定根拠について
  3. 地球温暖化防止のための具体的な取り組みについて

B.エネルギーの有効利用
  1. 今後公共施設に自然エネルギー(太陽光発電、風力発電)を利用した設備を導入することについての基本的な考え方を伺います。
  2. 壁面緑化、屋上緑化について 

C.健全な水循環の確保
  1. 雨水利用、地下浸透など現在までの取り組みと今後の取り組みについて
  2. 市民に対しての啓発、PRについて

D.環境教育
  1. 現在までの学校教育における環境教育の成果と課題をどう捉えていますか
  2. 給食の残さいを生ごみ処理し、たい肥化するようにすべきと考えますがいかがですか
  3. 校庭を緑化することについて





2002年9月議会補正予算意見討論

2002年度多摩市一般会計補正予算(第二号)に対して生活者ネットを代表して賛成の立場で意見討論致します。

 今回は、土地区画整理組合に対する助成金が、補正予算の約半分を占めています。 この事業に対する評価が今回の補正予算の評価につながりました。 行政の透明性、公平性を訴えてきた渡辺市長に、私たちは大きく期待をしてきました。 しかし、この助成金が議会に計上されるまでの手続きに、非常に不透明な点が多く見られたことは、大変残念です。 市民に対しきちんと説明責任を果たすことは、これからの行政の 大きくかつ重要な仕事となります。

 平成9年の行政改革委員会の提言で、補助金の透明性を高めるため、改廃に伴う審査 機関として多摩市使用料及び補助金等検討審査委員会の設置が提案されましたが、この委員会の審査を経ず議会に提案されていることと、土地区画整理補助要綱が6月に改正されている内容が現行の土地区画整理事業の補助範囲の拡大を規定していることです。

 原理原則に基づいて、行政運営を行っていくと言うことは、地方分権の中で自治権の拡大に伴い市の裁量権に広がりを持たせることは大切なことです。  現行法に対して大幅に上乗せ、横だししていく内容の場合はきちんと条例化の手続きをし、議会審議にかけるべきです。  また、要綱は条例と異なり、議会で審議される必要はありません。そのため、議員 が、行政の要綱改正を洩れなく把握することが非常に困難です。要綱を改正した場合 は、直近の常任委員会に報告すべきと考えます。

 改正された要綱の内容に関してですが、随所で「市長が特に認めた場合」という文言が数多く使われていること。個別にケースは違い、柔軟な対応が求められるとは言え、要綱の中に市長の裁量権を多発することは、「勝手な解釈」を許すことになり危険です。規定はあくまでも、明確にわかりやすくするべきです。 また過年度の事業を補助対象にしていることについてですが、土地区画事業の補助金の基本は単年度決済です。年度をまたがる場合はその年度にしかるべき手続きをすべきです。 そして補助対象を区画整理地区外の事業も可能にしたなど大きく三点問題点が上げられます。
 このような観点に立ち、今回の土地区画整理事業の進め方には、なぜ当該年度に解決しなかったかなど組合、行政の対応の甘さについては、指摘せざるを得ません。しかし、都道の改修や雨水排水工事には公共性が認められます。

 行政が必ずしも失敗をしないことはありません、けれども失敗を明らかにし、それを共有していくことが、次への大きなステップとなるはずです。民間で多くの会社が倒産し、リストラなどの憂き目にあっている市民も大勢いらっしゃいます。今後、税金投入に関する正当性、妥当性をしっかり説明できるよう厳しい精査が必要です。

 特に今回の政策判断に関しては、非常に重大であり、行政のみならず、私たちにとっても重大な決断となりました。市長にはこれを真摯に受け止めて頂き、行政の透明性、公平性を確実に高めていくことを要望し、賛成の討論と致します。






2002年9月議会一般質問通告書

☆☆育児不安に対応できる子育て支援について☆

 厚生労働省が来年度に要求する少子化対策の全容が明らかになりました。子育てを地域で支援する仕組みの導入や、育児休業の取得に積極的な職場づくりを促す奨励金創設など男女で子育てをする環境を整える施策に重点を置き総額約1兆円となっています。
 各自治体においても、少子化対策は緊急の課題となっており様々な施策が展開されています。多摩市においては、延長保育、緊急一次保育、病後児保育など保育内容は他市に比べ非常に充実しています。しかし、保育園に通わせていない家庭の子育てに関してはどうでしょうか。殆ど全て母親に任されているのが現状です。家の中で子どもと2人で向き合っての孤独な育児に悩み苦しんでいる母親の為のケアーが今まで置き去りにされてきていました。高齢者問題は男女共通のものという意識はあっても、子育てに関しては一過性のため、またみんな子育てしてきたのだからという周囲のまなざしは子育てに苦しんでいる母親に対し冷たいのでないでしょうか。
 生活者ネットワークでは、子育ての実情を把握するため東京全体で実態調査を行いました。6歳以下のこどもを持つ女性を対象に、女性が安心して子どもを産み育て、そしていきいきと暮らせる社会を実現するために何が求められているのかを知るためでした。結果はますます進む少子化が、少し前の子育てとは明らかに違っているという実態でした。母子の孤立化と母親の育児ストレスの増大は私たちの予測を超えていました。
 乳幼児検診一つとっても昔と変わらない行政サービスのままではいけない時期に来ています。一人一人の悩みに対応出来るきめ細かなサービスが求められているのです。
 今年の7月、子育てに関して先進地であるニュージーランドの保育を東京・生活者ネットワークのメンバーと学んできました。もちろんそのまま多摩市に当てはめられるわけではありませんが、見習うべきものは沢山ありました。妊娠中、出産後の場面でミッドワイフと呼ばれる助産婦さんの存在は非常に大きく、その後の保健婦さんとの連携など、新しい家族を迎える家庭にとって、気軽に何でも相談出来る体制が整っていました。
 少子化に伴い幼い頃から子育てを手伝ったり子育てを身近に観察する機会も少なくなっています。我が子を生んで初めて赤ちゃんに接する親も珍しく無くなっています。これでは子育てにとまどいが合って当然です。また、情報化の進展は親にとって救いになるどころか、あふれる育児情報は親を翻弄しかえって育児不安を助長してしまいます。一つ間違えれば誰もが虐待に走る危険性を秘めているのです。冒頭でも述べた今回の厚生労働省の予算項目の中には虐待予防に関して年長の子どもが赤ちゃんと交流することで将来の育児不安や虐待を予防する事業にも乗り出すということがありました。ニュージーランドにおいても、高校生のカリキュラムの中に子育て中の親の協力を得て入浴、食事、遊び、睡眠など基本的な乳幼児のニーズや子育ての責任に学ぶというものがありました。
 2000年に健康センターと南多摩保健所が共同で東京都のモデル事業として行われた子育てアンケートは子育てに悩む親に対してのケアーと障害などの早期発見・早期治療、また虐待予防の視点で子育てを考えるなど非常に有意義なものでした。
 現在多摩市がおかれている現状を分析し、子育て施策を展開していくため以下質問いたします。


1.児童福祉計画の見直しに向けて
  1. 見直しのスケジュールについて
  2. b.当事者参加の必要性について
  3. 子育て推進検討委員会」の立ち上げを検討すべきと考えますがいかがですか。
2.就学時前の子どもの子育て支援について 
  1. 在宅保育での現状と課題をどう捉えていますか?
  2. 「子ども家庭支援センター」について
  3. 「ファミリーサポートセンター」について
  4. 広場事業としての「子育てサロン」が人気ですが、今後の展開について
3.相談機能・場所の提供について
  1. 相談機能の充実をはかるため乳幼児健康診断を休日に行う、完全予約制にするなどゆっくりと相談出来る体制を取る必要があると考えますがいかがですか?
  2. 子育て支援のためにも健康センターが行った「子育てアンケート」を引き続き行う様に提案しますが、いかがですか。
  3. 母親へのメンタルケアーを考える上で保健師さんの存在は大変大きなものです。現在の体制と今後の課題について考えをお聞かせ下さい。
  4. 地域で子育てをしていく上でNPOの活用を図るべきと考えますがいかがですか?
4.学習や体験の場の充実
  1. 小・中学生のカリキュラムあるいはボランティア活動などに保育体験を取り入れる事はいかがですか?
 




2006年6月議会一般質問通告書

☆☆市長の所信表明について☆☆

1.市民との協働をすすめるために
 1999年3月、「市民との協働」が明確に打ち出されました。「豊かで活力のある地域社会を築くには、そこに住む市民の選択と責任でまちづくりがなされることが必要不可欠です。行政がどんなに頑張ってもまちづくりの5割程度しかできず、あとの5割は市民がこのまちを本当に好きになり、大事にして、自らどんな小さな事でもまちづくり運動に参加して頂くことが出来るか否かにかかっています。地方分権をすすめ、市民、民間、NPO、ボランティアの皆さんとのパートナーシップによる真の協働を目指したまちづくりは市民協働社会創出の実践です。」その後、NPO支援センターの開設、市民自治基本条例の市民ワークショップの実施等、市民参画をすすめてきました。市民もこの呼びかけに応じ、または自主的にまちづくりへの提案や実践に取り組んできました。結果、全国的にも先進的な施策を進めた多摩市の評価は高かったのではないかと考えます。広がりつつある市民との協働をさらに進めるために以下質問を致します。
  1. 公約をたてるに当たって「行政の継続性と安定性」についてどういう視点で整理をしてきましたか?
  2. 行政と市民の対等のパートナーシップをどのように作っていこうとしていますか?
  3. NPOとの協働を今後どうすすめていきますか?

2.女性施策について
 前文で「男女共同参画社会の実現を21世紀の我が国社会を決定する最重要課題」と位置づけた「男女共同参画社会基本法」が成立、施行され3年たちました。東京都をはじめ、各自治体で条例制定の動きが広がっています。
 多摩市においても、昨年3月女と男がともに生きる行動計画が策定され、男女が人権を尊重しあい、ともに参画するまち・多摩の実現を目指して施策の展開がはかられ、2003年度を目途に条例を制定する予定になっています。
 女性と男性の固定的な役割分担を前提とした制度や慣行を男女平等の視点に立って見直すことや個人がどの様な生き方を選択してもそれに対し中立的に働くような社会の枠組みを確立していくことが必要です。法律や制度の上では男女平等となっても、事実上の平等が達成されているとは言えません。たとえば、多摩市の職員の管理職にしめる女性の割合もまだまだ少ないのが現状です。
 今回の選挙では、市長をはじめ市議補選でも全て女性が選ばれるという結果となりました。これは、女性ならではの生活感覚と利権にとらわれない市政運営をしていって欲しいという市民の期待の現れであろうと思います。市長はこの市民の期待をどのように考え、答えていくおつもりなのかお聞きします。   
  1. 女性が3人選ばれたことについての意味をどの様に考えますか?
  2. 男女平等推進条例制定に向けての基本的な考え方について伺います。
  3. 女性管理職が増えない理由は何故か、課題は何だと考えますか?

3.契約の透明化をはかるために
 契約事務の透明化は、当然のことであります。 昨年4月国は「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」を施行しました。
また東京都においては、今年の4月から入札・契約事務の改善を行い、一般競争入札の実施範囲の拡大、共同企業体自主結成方式の実施範囲の拡大、予定価格事前公表の範囲拡大、入札監視委員会の設置などを打ち出しました。
 昨年9月に電子入札の施行を開始した横須賀市では、今年4月から本実施をはじめ、国分寺市や町田市などでも新たな取り組みを始めていると聞いています。多摩市においても、公平性・透明性・競争性の向上をはかる上でも契約事務の見直しは必要です。
そこで以下伺います。
  1. 一般競争入札の実施範囲の思い切った拡大をはかるべきと考えますが、ご見解を伺います。
  2. 電子入札を含むITを活用した契約事務システムの導入のスケジュールを示してください。
  3. 指名停止基準はどのように改正されたのですか?  
  4. 昨年8月に監査委員会から2001年度第1回定期監査の報告がありました。契約事務について指摘されていますが、その後どのように改善されましたか?

4.子ども施策について
  子どもは一方的におとなから保護される存在ではなく、発言し参加して地域社会をつくっていくパートナーです。世田谷区では昨年「子ども条例」が策定されました。今までも川崎市の「子どもの権利条例」、川西市の「子どもオンブズパーソン条例」など、今後の子ども支援策を進めていく上で、柱とする自治体の理念や取り組みを示す動きがはじまっています。お隣の日野市もプロジェクトが立ち上がっていると聞いています。国際社会の約束「子どもの権利条約」にもとづく「子どもの権利条例」を多摩市にも制定し、子ども自身の育つ力を応援していく必要があります。
 また子ども施策に関しては保育園や学童クラブ、子どもの健康のことは健康福祉部で、青少年の健全育成などは生涯学習部で、また小学校・中学校にかかわることは学校教育部で現在対応していますが子どもをめぐる社会状況の変化は横の連携を必要としてきています。子どもの生活は保育園や学校などだけではなく家庭や地域にもあり、それらが相互に関連しています。庁内での総合的な取り組みの場所が必要と考え以下質問いたします。
  1. 「子ども市議会」が今年度見送りとなりましたが、来年度以降の予定をお聞きします。
  2. 「子どもの権利条例」制定に向けて基本的な考え方と今後の取り組みについてお聞きします。
  3. 子ども施策を総合的に進める庁内セクションが必要であると考えますが、いかがですか。





 
2002年3月議会「幻の」一般質問通告書

☆☆これからの精神保健のあり方☆☆

 2002年10月、札幌においてDPI(障がい者インターナショナル)世界会議が開催されます。世界158ヶ国から、障がい者をはじめ2000人以上の人が札幌に集まり、さまざまな活動を行います。4年に一度開かれるこの会議は、「全ての障がい者の完全なる社会参画を実現するため、情報や交通などあらゆる面でのアクセスが「権利」として保障されるように、世界中の障がい者が、その障がい種別、地域、宗教、性差などあらゆる違いを超えて英知を出し合い、そのために必要なアプローチの方法・戦略などを討議する」ということをその目的としています。

 この会議が行われることにより、国内の航空会社が障がい者の搭乗人数制限の見直しを始めました。緊急脱出が必要になった場合、歩行や視力に障がいを持つ人の介助は手間がとられるからと、一定の人数以上は乗せない決まりにしていましたが、障がい者から見れば、滅多に起こらないことを理由にした不当な制限と考えられていました。障がいを持つ人たちは、社会の様々な場面で制約を受けています。制約している方は、障がい者のためにと思っている場合もありますが、結果として障がい者の暮らしにくさはなかなか改善されません。障害者差別禁止法という基本的な法律を作るべきだという声も上がっています。

日本においては、1993年障害者基本法が成立し、1994年にはハートビル法が、2000年には交通バリアフリー法が出来ました。
 障がい者に対してのバリアは、昔に比べれば改善されてきているのかもしれませんが、精神病、あるいは精神障がいについてはまだまだ強い偏見があります。  これまでの精神保健福祉行政は、都道府県及び保健所を中心に行われてきました。しかし、入院医療中心の施策から社会復帰や福祉施策にその幅が広がるにつれ、身近な市町村の役割が大きくなってきています。
 99年に見直された精神保健福祉法の改正により、2002年度から在宅福祉に関する施策は市町村が中心に実施することになりました。当該事務を円滑に行えるよう、保健所等の協力を得ながら早急に体制整備をすすめる必要があります。

 昨年の11月、会派で北海道浦河町にある精神障がい者の施設「べてるの家」へ視察に行ってきました。
「べてるの家」は精神障がい者が地域に根をおろし、お互いの弱さを素直に出し合い、認め合いながらともに生きる場となっています。浦河赤十字病院を退院した精神障がい者を中心に知的障がい者、身体障がい者を含め、現在全国各地から集まった10代から80代までの約100名余りがべてるに関わって活動しています。地元特産の日高昆布の加工・販売等を行う「小規模共同作業所」、介護用品の販売等を行う「福祉ショップべてる」、メンバーが支え合って暮らす8ヶ所の「グループホーム」。この3つの活動の場を総称して「べてるの家」と呼んでいます。
 モットーは「安心してさぼれる職場づくり」「頑張らないこと」など幻覚や幻聴を隠さずに「三度の飯よりミーティング」と仲間同士のコミュニケーションを大事にし、地域の中で共に生活している姿には感動を覚えました。
 医療、福祉、教育現場、企業などから注目を集めテレビでも紹介されました。「べてるの家」には全国各地から大勢の人々が訪れ、またメンバーも講演活動へと出かけていく活動をしています。  多摩市には民間の大規模な精神病院が2院、退院後のリハビリを担う都立多摩総合精神保健福祉センター、また3つの共同作業所があります。

  今年の4月、都から各市町村へと事務移管がなされ、また2003年度からは相談業務も市町村に移管されてきます。多摩市として何を準備して行かなくてはならないのかを明確にし、具体的に準備を進めねばなりません。社会復帰の促進や生活支援のための施策や事業の整備のためには地域住民の理解と協力が重要です。市として積極的にその推進を図るとともに、自ら主体的にその整備を図っていく必要があります。精神障がい者への福祉体制の充実に向け以下質問いたします。


T.市の体制について

  1. これまで多摩市において精神障がいに関して保健所、多摩総合精神保健福祉センター、市役所との連携はどうなっていますか?
  2. 都が抱えている現状と課題を市として把握していますか?
  3. 都の保健婦さんと市の保健婦さんとの交流、連携を今後どのように考えていますか?
  4. 市役所においても独立した相談窓口や相談室が必要になると思いますが、その点はどの様に考えていますか?
  5. 窓口対応のノウハウのシステム作りが必要となりますが、その点は?
  6. 緊急の相談対応、夜間対応については?
U.地域との連携について
  1. 市民への啓発事業
       
    1. 市の取り組み  
    2. 学校での取り組み  

  2. ボランティアの養成
       
    1. 医療との連携  
    2. 地域で核となる人の確保  
    3. 民生委員の研修とメンタルケアーの必要性について  
V.支援センターについて
  1. 市の窓口との役割分担をどの様に考えるていますか?
  2. 相談室、専門スタッフの配置などどうなっていますか?

 




2001年12月議会一般質問通告書

☆☆教育推進プラン21について☆☆

 今を生きている子どもたちは、現在と未来の社会を構成する小さな市民です。子どもたちにとって21世紀を生きやすい時代にしていくためには、子どもの立場で社会参加をしながら、自立した人間として巣立っていくことが必要です。

 しかし、進行する少子化の中でますます親は子どもを抱え込み、学校は子どもを保護と管理の対象として捉え、子どもの自立が遅れているのが現状です。子ども自らの育つ力を大切にし、その全面的後押しをするのが大人のつとめではないでしょうか。地域で豊かなコミュニティの形成を支援し、地域が人を育てていく力を取り戻す努力と対策を講じるとともに、支援が子どもの自立のために本当に役立っているのかどうか、常に点検することが必要です。
 また子どもの権利の問題を考えるとき、大人になるプロセスをどのように家庭、学校、地域の中に位置づけていくかがとても重要になります。

 現在、子どもから大人への移行期が始まるのは早くなっています。が、同時に長くもなっています。
 大人への移行期を保障するということは、大人は自分たちが持っている知識・技術に加えて、大人だけに与えられている特権をも、ある部分子どもに分配していくことです。大人だけが利用している施設や制度・文化など、子どもが排除されているものは沢山あります。大人は、子どもが何をどの様に考えているかと言うことを、殆どこれまで聞いてきませんでした。そのため、子どもたちと共有できる言葉や理解する手段をあまりもっていません。このままでは、パートナーシップと言っても子どもの声は聞き取れません。一緒に考えてみる、一緒に作業する、一緒に活動することが大切です。じっくり付き合うことにより子どもたちから学び、その延長線上にパートナーシップ型の子育て支援が実現できると考えます。

 10月に多摩市教育推進プラン21が打ち出されました。学校教育、生涯教育の向こう10年先を展望したものですが、学校選択制、中高、小中、幼小一貫、学校給食など市民にとって大きな問題を含んでいます。毎年ローリングしながら、策定、実施していくこととなっていますが、家庭、地域、学校の連携がますます深められていく中、丁寧に市民の意見を聞いて施策を進めていく必要があります。そこで以下質問いたします。

1−1.部活について
 生徒数の減少で、教員数が減り、学校によっては殆ど活動の種類が選べない、教員が移動してしまったら部が存続できないなど中学校の部活動は様々な課題を抱えています。

  1. 今後の部活動のあり方をどのようにお考えですか。
  2. 現在開かれている部活準備委員会のメンバー構成と何回開催されたのか、今後の予定についてお聞かせ下さい。
1−2.学校の運営について
  1. 学校運営協力者会を2年間試行しての成果と課題をどの様に捉えていますか。
  2. 子どもの参加をどの様に考えますか。
  3. 現場の先生の参加をどの様に考えますか。
1−3.子どもの居場所づくりについて
  1. 基本的な子どもの居場所をどの様に考えていますか?
  2. 生涯学習の総合的な拠点としての「ぶらっとプラザ」「青少年活動支援機能」「中央図書館的機能」「文化財資料の拠点機能」についてお聞かせ下さい。
2−1.教育センターへの期待
  1. 教育センターの役割をどのように考えているのか伺います。
  2. 子どもの相談機能について伺います。
  3. 教員の研修機能について伺います。
2−2.子ども議会について
  1. 子ども議会が開催されました。成果と課題をどの様に捉えていますか。
  2. 今後どの様にしていくお考えですか。
3.子ども総合計画について
  1. 子ども総合計画の策定を提案しますが、いかがお考えですか。