あとがき




 『機動戦士ガンダム0093〜星降る夜のラヴ・ソング〜』、いかがだったでしょうか?誉めて下さる方もいれば、待たされた割には面白くないぞ!という方もいらっしゃると思います。


 さて、ガンダムって、どういうおはなしなのでしょう?

 戦争もの、ロボットもの……つまり、子供の見るアニメ、そういう見方は一般的です。そして多すぎる固有設定に独自の技術用語などからオタクのための物語、と見るむきもあります。

 ニュータイプなんて、現実にあり得る話ではない……!

 モビルスーツがはたして実際に建造できるかと言われればそれは無理でしょうし、ミノフスキー粒子などというものも存在するはずがありません。


 しかし、それらはガンダム・サーガにおいては単なる舞台装置にすぎない、と私は思うのです。アニメーションのガンダムは、スポンサーの商品を売るために戦闘シーンを多くしたり、モビルスーツの描写に力を入れたりしていますが……そして、それらの「舞台装置」が持つ魅力を否定したりはしませんが……あくまでガンダム・サーガは、『人と人との物語』であると思うのです。


 その推論に基づいて、書いたのが「0092」と「0093」の2本です。できるだけ、ドラマツルギーというものを大切にしたいと思って書きましたが、どうも理念に筆力がついてこない場面も多々あったようです。
 ですが、これは極めて個人的な感慨なのですが……通して読み返し、「悪くないな」と思いました。キャラクターの数を多くして見せ場を増やそう、という試みには失敗している感が否めませんが、それでもアルス・ランスウェルの「今後」に期待ができる、そう感じたのです。


 「ガンダム」は、革新の可能性を手中にしながらも、過去とのしがらみや利権などの雑多な環境によって、その可能性に自ら背を向ける人々の物語だと、私は思っています。しかし、向上したいという気分があるからこそ、人は歩いていける……

 そんな思いを乗せた物語、それが「ガンダム」だと、私は思うのです。












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