Side Story #8

あなたの横顔



 それはある日の放課後のこと。


「シンジ、今日テストでしょ。一緒に行こうよ」


「あ、うん。……綾波も、一緒に行かない?」


「……ええ……」


 あなたとあの人が並んで歩く。


 私は後からついて行く。


 あなたとあの人、楽しいおしゃべり。


 そしてあなたは笑顔を見せる。


 その横顔が私に見える。


 私に見えるあなたの笑顔


 あなたはとても楽しそう。


 だけど私はそれでいいの。


 あなたの横顔、見えるから。


 あなたの笑顔、見えるから。










 それはある日の放課後のこと。


「シンジ、私、今日テストないから。先に帰るね」


「あ、うん。……綾波はテスト? 一緒に行かない?」


「……ええ……」


 あなたと並んで私は歩く。


 真っ直ぐ前を見ていると


 あなたの横顔、私に見えない。


 こんなに近くにあなたがいても


 あなたの横顔、見ようとすると


 私は横を向かなきゃいけない。


「どしたの? 綾波」


「……何でもないの……」


「僕の顔に何かついてる?」


「……いいえ、何も……」


 あの人がここにいないのに


 あなたと二人で歩いてるのに


 何も話ができなくて


 黙って歩いているだけで


 あなたの横顔、見えなくて


 あなたの笑顔、見えなくて。










 それはある日の放課後のこと。


「シンジ、今日テストでしょ。一緒に行こうよ」


「あ、うん。……綾波も、一緒に行かない?」


「……ええ……」


 あなたとあの人が並んで歩く。


 私は後からついて行く。


 だから私にあなたが見える。


 あなたの横顔、見てたくて


 あなたの笑顔、見てたくて


 私は後からついて行く……






























 ……それはある日の放課後のこと。


「シンジ、私、今日テストないから。先に帰るね」


「あ、うん。……綾波はテスト? 一緒に行かない?」


「……ええ……」


 あなたと並んで私は歩く。


 真っ直ぐ前を見ていると……


「あ、綾波……」


「……何?……」


「あ、あの、実は、僕、前から、その……」


「…………」


 あなたと並んで歩いていると


 あなたの笑顔がこんなに近い。


 横顔よりも素敵な笑顔


 ずっと近くで見ていたい……






新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAXの作品です。

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Written by A.S.A.I. in the site Artificial Soul: Ayanamic Illusions