【探し物】









ミツカラナイ・・・・・・・・





探しているモノが見付からない・・・・・・・





閃光とともに、自分の目の前から消えてしまった青い髪の少女。




僕は彼女を守れなかった・・・・


悲しいはずなのに涙が出ない・・・・




なぜなんだろう・・・・・・?



まだ、彼女の死を認識できないからかもしれない、僕は・・・・




それは、儚い希望なのか・・・・・






彼女は理由だった。そう、自分がエヴァに乗った・・・・・・



ダカラマモリタカッタノ?




違う、それだけじゃない。


僕は―――――――



きっと綾波のことを・・・・・・・





だた、むなしく流れていく時間。

うつろな瞳で天井を見つめ続けている少年。






その時―――




「シンジ君っ!!」







生きていたんだっ!


彼女は、生きていたんだっ!





少年は目的の場所に向かって、ただひたすらに走り続ける。

心に満ちている感情、それは歓喜、そして安堵。





「綾波っ!!」




だが――――



病院で再開した少女は、彼の知らない彼女だった。





ミツカラナイ・・・・・・





少女はけして自分と目を合わせない。



「多分私は、三人目だと思うから・・・」





違和感。




「綾波? 何を・・・・」




「じゃ、さよなら」



「っ!!」



それは二人の絆を断ち切る言葉




何故っ!?




そして、その後に知った彼女の秘密。




水槽に浮かぶ無数の・・・・・・





アヤナミ、レイ?!





「人の形をしたモノなのよ」



ヤメテ・・・・・



「だから壊すの。憎いから」



モウ、ヤメテ・・・・・・・



目の前でヒトの形を失っていくアヤナミレイたち・・・・

辺りがうつろな笑いで満たされていく。






「・・・・・・・・・・・・・・・」






この時、僕は唐突に理解した。


自分の知る少女が、この世から消えてしまったのだという事実を。







サガシテイルモノガミツカラナイ・・・・・






求めているモノは、もう・・・・消えた・・・・




僕はそこではじめて涙を流した。


止めどなく溢れる哀しき想い・・・




悲哀、悔恨、寂寥・・・・・・





その涙も・・・・・


やがては涸れてしまったが・・・・・



それでも・・・・・



空っぽになったはずの心の中に・・・・・・・



何かが・・・・・・・残っていた。




僕は・・・・


もう一度君の笑顔が・・・・





見たかったな・・・・・












人の「死」を受け止めることは難しいです。
目の前からいなくなっただけでは、死は実感できません。
いつかきっと帰って来るんじゃないか……そう思いたくなります。
しかし、目の前にいる、生きた人間の「死」を知るとは、どういうことか?
短いこの文章の中に、果てしなく深いテーマが込められていると思います。

Written by ぴぐ thanx!
ぴぐさんへの感想はA.S.A.I. <asai@venus.dti.ne.jp>へ……


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