EVA 〜これも一つの世界〜

第壱話 目覚め

Chuptre02 少年は己の心から逃げ出す





「君は…」

「あなた誰?」






「シンクロ率上昇、止まりません!」

マヤは、振り向くと助けを求める様に報告した。

「コンタクト停止、6番までの回路を開いて」

リツコの指示でマヤがキーボードを叩く。

「信号が届きません!」

マヤの声は、絶望感に満ちていた。






「僕は、シンジ」

「あなたシンジ?」






「始まったようだな」

冬月は、発令所を見おろしながら呟いた。

「ああ...」

「これも、碇、お前が言う、計画通りと言うものか?」

冬月は、少し皮肉を込めて言った。

「いや、冬月、今ここで起きる事は、すでに決められた事だ」

「...死海文書にか?」

2人は、無言のまま、発令所を見つめた。






「君は、誰?」

「あなたは、私を知っているわ」






「目標、最終防衛ライン突破!」

おかしい、使徒の進行が遅い。いえ、迷っているの、何故?

「目標、パターン探知圏内到達、パターンブルー、使徒と確定、

         MAGIの決定により以後呼称を使徒ガブリエルとします」

ミサトは、横目でリツコを見た後、モニターを睨みつけ命令する。

「C1、D1、E1兵装ビル群展開、C2、D2、E2兵装ビル群待機」

そう、彼女を待っているのね、ならチャンスは、まだあるわ。






「何を言ってるの?」

「覚えてないの?」






「ガブリエル、D1ブロック進行中」

「C2、D2、E2兵装ビル群展開」

「日向君、使徒の索敵機能は、どうなっているの?」

ミサトは、ここに来て落ち着いたか笑みを浮かべると、眼鏡を掛けたオペレータに質問した。

「反応は、可視光線のみ、それも8時から4時方向だけです。つまり...」

「つまり、人と大差ないという事ね。移動、攻撃方法は?」

先に言われ表情を暗くした日向を気にせずにミサトは、続けた。

「地上5mぐらいを浮遊して移動、攻撃方法は、背中にある1対の翼状の触手で物体を切断しています。

         もちろん、ATフィールドも展開しています」

「わかったわ」

ミサトは、答えると思案するように腕を組んだ。






「わからないのってどうゆう事だよ!」

「あなたは、知っていると言う事」






「ケンスケ!」

トウジは、自転車を止めると駅のロータリーを指差した。

「何やあいつ?」

ケンスケは、自転車を止めて駅のロータリーを見ると同い年ぐらいの少年が立っていた。

「何してるんだ、避難勧告が出てるのに」

ケンスケのもっとものな意見にトウジは、苦笑しつつも答える。

「わしらも人の事は、言えんけどな、ほっとく事もできへんか」

トウジがいきなり大声で少年に声をかけた。

「おーい、お前、何してるんだ!」






「君は、誰なんだ!何を言っているか、わからないよ!」

「逃げないで」






「シンクロ率低下?、68%に落ち着きました。」

マヤは、呆然と報告した。

「全回路チェック」

マヤは、リツコの命令を聞くと、

         頭を小さく振って気を落ち着かせ、回路チェックプログラムを実行した。

「レイ!」

リツコは、モニターを開きレイを呼び出した。

「はい、赤木博士」

モニター何事もなかったかの様に出たレイを見てリツコは、驚愕するが冷静を装い命令する。

「現状を報告しなさい」

レイは、モニターを確認して報告した。

「・・・状態全て正常値」

そして、回路チェックプログラムが終わったマヤが、信じられないと言う様に報告する。

「全回路異常ありません」

リツコは、指令塔の碇を仰ぎ見て、その口元に笑みが浮かんでいるのに気付く。

「私も全てを知らされている訳では、無いのね・・・」

リツコは、再びモニターをみた。






Chuptre03へ続く

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