前号からのつづき
ふくろう裁判長は、両方のはねをぱっとひろげました。
なにも、出てきません。
みんな、びっくりして口をぽかんとあけています。
「みなさんがごらんになったとおり、犯人は春風でした。春風が、じゅくしすぎたさくらんぼを、ゆりおとしたのです…」
「うーん」
みんなうなっている。
「のん太、さくらんぼのなっていた下を見てごらん」
「裁判長、かわいいみどりの芽が出ています」
「そうだ。それが、あのなくなったさくらんぼだよ。大きな、赤いさくらんぼなんだ。このみどりの芽が、やがて、りっぱなさくらの木になる。うつくしい花をさかせ、さくらんぼをみのらせるのだ。春が、このみどりの芽を、めばえさせた。おかげで、わたしには、なにもかもがわかった。この若い芽を、のん太とまり子のものにしてやりたいと思う。みんな、さんせいしてくれますね。のん太もまり子も、これから先、おたがいに助けあっていくんだよ」
「すごいや!」
「すてき!」
のん太とまり子は、手をとりあってさけびました。
「うれしくて、ほんとうになきたいくらい」
「ばんざい!」
もん吉じいさんが、両手をあげました。
「ふくろう裁判長、ばんざい!」
「森の動物たち、みんなばんざい!」
ブルドッグ検事も、りべる弁護士も、森の動物たちも、みんな、声をあわせてさけびました。
これでぜんぶおしまい。