RACER-X
Bass : John Alderete
Guitar : Paul Gilbert
Vocal : Jeff Martin
Guitar : Bruce Bouillet
Drum : Scott Travis
 1986年突如LAからとんでもないメタル・バンドが出現した。しかもイYngwie Malmsteenが在籍していたSteeleの本拠地でもあるSHARAPNEL RECORD(シャラプネル・レコード)からです。FMラジオ番組でRACER X WITH PAUL GILBERTの紹介と共に、流れた曲はアルバムタイトル曲の「Street Lethal」。こいつはイングヴェイを超えるギタリストかも・・・ぶ厚いリフで超音速なギタープレイ、更に単なる早弾ではなくメロディ・ラインもしっかりしていて、とんでもないギタリストが登場したものです。

 後にネオ・クラッシック・HMと言われるジャンルになるわけですが、こういう曲を聴きたかった!当時は、まだCDが普及されていなかった為、輸入盤LPを購入し、かなり聞き込んだことを覚えている。その後、Tony Macalpine、Vinnie Moore、Joey Tafolla等のニューギターヒーローが生まれるわけだが。その裏で最も大きな存在は、SHARAPNEL RECORDの社長であるMike Varney。彼が大きな鍵を握っているように思えてならない!

 SHARAPNEL RECORDは輸入盤でしか買う事が出来きず、国内盤でCD化されるまで数ヶ月かかった記憶がある。当時、日本の配給会社がアポロン内のFEMS(Far East Metal Syndicate)というレーベルを経由してリリースするため、国内盤でリリースされるまでに、とても手間隙がかかっていた様で数ヶ月待たなければならなかった。しかし、1996年あたりからロードランナー・ジャパンが設立することで輸入盤を待つことなくリリースされるようになった。

 さて、1986年のことを思い出しながら、このレーベルで聴いていた作品をざ〜っと簡単に紹介していこうと思う。
 但し、これら紹介した国内盤CDやLPは、現在廃盤だそうなので中古CDショップで置いてあったりするから、そのときに購入するしかなさそうだ。輸入盤で妥協するならば購入も容易だろう。

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RACER-X STREET LETHAL

1. Frenzy
2. Street Lethal
3. Into The Night
4. Blowin' Up The Radio
5. Hotter Than Fire
6. On The Loose
7. Loud And Clear
8. Y.R.O.
9. Dangerous Love
10. Getaway
11. Rock It

Line-Up:
Guitar : Paul Gilbert
Vocal : Jeff Martin
Bass : John Alderete
Drum : Harry Gschoesser

 1986年、記念すべき「RACER X WITH PAUL GILBERT」のデビューアルバムです。
 アルバムの内容に関しては、どの曲も良いです。特にオープニングを飾る「Frenzy」を聴いたときは、なんという超カッコイイギターソロを弾くヤツなんだとビックリしました。そしてマシンガンの様なスピードメタルな「Street Lethal」に続きます。ギターのリフもスラッシュと思いきやメロディックなリフで早い早い!そんな感じですが、メロディを重視しているためか、意外と馴染みやすい曲になっているので、気持ち良く聴くことができます。主にポールのギターが目立ちますが、ジェフのボーカルもJudas Priestのロブ・ハルフォードぽく、ず太い声も素晴らしいです。ネオ・クラッシク・メタルの原点というべき必聴の出来栄えです!短い曲になっているから、飽きない曲は殆ど無いに等しい。

 「Y.R.O.」という曲について、インストなのですが、どことなくイングヴェイのフレーズぽく聴けます。この曲についてPaulの談話によるとYngwie Rip Offの語源からきているとのこと。結局、イングヴェイの影響もあったってこと?(笑)

 余談であるが、ボーカルのジェフ・マーティンが、Mr.BIGのボーカリストのエリック・マーティンとは実弟であると言われていたが、これは全くの誤報とのこと。赤の他人だったってことッスね。

RACER-X SECOND HEART
1. Sacrifice
2. Gone Too Far
3. Scarified
4. Sunlit Nights
5. Hammer Away
6. Heart Of A Lion
7. Motor Man
8. Moonage Daydream
9. Living The Hard Way
10. Lady Killer
Line-Up:
Guitar : Paul Gilbert
Vocal : Jeff Martin
Bass : John Alderete
Guitar : Bruce Bouillet
Drum : Scott Travis
 翌年1987年に2ndCDの「SCOND HEART」がリリース。ここで注目すべき点は超音速リード・ギタリストが2人編成。しかも相手はMITでPaul Gilbertがギターの講師をしていた頃、弟師だったBruce Bouilletの加入です。更にドラマーがHarry GschoesserからScott Travisに変わっています。
 1stの延長上でありながらも更にパワーアップした作品に仕上がっています。但し今回はカバー曲が収録されており、Judas Priestの「Heart Of A Lion」とDavid Bowieの「Moonage Daydream[月世界の白昼夢]」の2曲です。実は、「Heart Of A Lion」に関して、少々説明すると、Judas Priestの未発表テイクらしく、その曲をRACER-Xに提供したらしいのです。とにかくこの2ndも素晴らしい出来栄えで、スピード・ネオ・クラッシク・メタル・ハーモニーと言うのかな?(笑)、早いソロのハモリ具合が、なんとも心地よさが最高です。

 Paulの談話によると、どれが自分のギターソロなのかブルースのソロなのか、わからなくなる程だと言っていたそうです。確かにとても似たギターテクなので、このアルバムも聴きどころがたくさんあるので、出来栄えであることは言うまでもありません!!

 しかし、残念なことにこのアルバムがラストアルバムとなり、RACER-Xは解散する

RACER-X解散。その後のメンバーの動向について
・Paul Gilbert はBilly Sheehanとの新プロジェクト(後のMr.BIG)参加するため脱退。
・Jeff MartinはJBADLANDSにドラマーとして加入。
・Scott TravisはJudas Priestに加入。
・Bruce BouilletとJohn AldereteはThe Screamを結成。

 そして、15年越しにRACER-Xのメンバーが復活!この話は正直に言って驚きましたネ。

RACER-X EXTREME VOLUME
1. Loud And Clear
2. Dangerous Love
3. Bruce's Solo
4. Gone Too Far
5. John's Solo
6. She Wants Control
7. Scit Scat Wah
8. Into The Night
9. Paul's Solo
10. Motorman
11. Scott's Solo
12. Set The World On Fire
Line-Up:
Guitar : Paul Gilbert
Vocal : Jeff Martin
Bass : John Alderete
Guitar : Bruce Bouillet
Drum : Scott Travis
 これだけのスタジオ・アルバムを出してきたわけですから、彼らのライブを聴きたいと思うのは必然的ですよね。とうとう念願のライブ盤がリリース。LP盤とCD盤の同時発売され、この頃には、既にCDプレイヤーを持っていたこともあって、早速CD盤を方を購入。果たして、あの難しい演奏をライブで再現すると、どのような展開になるのか、わくわくしながらCDプレイヤーに入れた途端、「すげぇ!!」。マジでやり遂げています。
 ツイン・ギターによる早弾きで、ハモリもあったり、PaulとBruceとのギターバトルもあったり、至れり尽くせりの凄まじいライブです。勿論、Jeffのボーカルもロブ・ハルフォード並みのハイトーン・ボーカルも健全です。カントリー・クラブでのライブ演奏ということで、根強い雰囲気が、臨場感が、ひしひしと伝わってきます。とにかく素晴らしいとしか表現できません。是非、彼らの演奏を聴いて堪能してほしい作品です!

RACER-X EXTREME VOLUME U
1. Hammer Away
2. Poison Eyes
3. Heart Of Lion
4. Moonage Daydream
5. Sunlit Night
6. Give It To Me
7. On The Loose
8. Rock It
9. Detroit Rock City
Line-Up:
Guitar : Paul Gilbert
Vocal : Jeff Martin
Bass : John Alderete
Guitar : Bruce Bouillet
Drum : Scott Travis
 PaulとJeffとScottがRACER-Xを脱退して暫くした頃に、突如ライブ・アルバム第二弾がリリースされました。
 第一弾のライブアルバムで収録漏れた音源を収録したと書かれているが、個人的には違うと思っている。
 このアルバムで曲目を見ると、「STREET LETHAL」及び「SECOND HEAT」にも収録されていない新曲が演奏されています。恐らく3rdアルバム用に書き上げたものだと思いますが、なかなかの素晴らしいプレイです。しかもアンコールにKISSのカバーまで入っています。
 このアルバムの内容について、第一弾のライブで漏れた曲を収録したとのこと。再び、あの熱気のあるライブ演奏が聴けるという嬉しい作品です。メタルファンは第一弾のライブ盤も含めて必聴です!

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Tony MacAlpine EDGE OF INSANITY

【国内盤】

【輸入盤】
1. Wheel Of Fortune
2. The Stranger
3. Quarter To Midnight [Live]
4. Agrionia
5. Empire In The Sky
6. The Witch And The Priest
7. The Taker
8. Chopin Prelude 16, Opus 28
9. Edge Of Insanity
10. The Raven
11. No Place In Time
Line-Up:
Guitar and Keyboard : Tony MacAlpine
Bass : Billy Sheehan
Drums : Steve Smith
 1986年にリリースされたTony MacAlpineのソロ・アルバム第一弾です。国内盤リリースは、リリースから5年後だったと記憶している。内容は全曲インストゥルメンタルで構成されており、ネオ・クラシック・ヘヴィ・メタルをアプローチするには都合の良い楽曲が詰まっている。イングヴェイがバッハやパガニーニを敬愛しているが、Tonyはショパンを敬愛しているようだ。今回のアルバム「EDGE OF INSANITY」はPaul Gilberもt同様に二番煎じでMike Varneyが送り込んだことになる。
 クラッシクを導入した楽曲をヘヴィ・メタルに載せて演奏することは、既にDEEP PURPLE時代にリッチー・ブラックモアの演奏で証明済みでもある。だが、ヘヴィー・メタル分野に於いて、フュージョンの様に全曲インストというは、非常に珍しいパタンだった。でも、ギターフリークにはたまらない!こういったボーカルを起用せずギターで表現させるというギター・テクニックを披露させる。全ての見せ場をギター一本という。僕も含めてこういったアルバムを望んでいたファンには堪らない!!
 このアルバムに参加しているメンバーにBilly Sheehanが参加している。かなり力の入ったプレイをしている。Tonyはギター以外にキーボードも担当しており、マルチ・プレイヤーとしての才能も見出している。
 余談であるが、ジャケットを見ると女性の足首に男性の手が・・・これは国内盤でのみの仕様になっている。輸入盤では、原人の足に鎖がかかっており、その鎖に手を掛けているジャケットになっている。

Tony MacAlpine Maximum Security
1. Autumn Lords
2. Hundreds Of Thousands
3. Tears Of Sahara *
4. Key To The City
5. The Time And The Test
6. The King’s Cup **
7. Sacred Wonder
8. Chopin Etude #4, Opus #10
9. The Vision *
10. Dreamstate
11. Porcelain Doll
Line-Up:
Guitar and Bass and Keyboard : Tony MacAlpine
Deen Castronovo : Drums
Atma Anur : Drums
George Lynch : Guest Guitars *
Jeff Watson : Guest Guitars **
 このアルバムはTonyの第二弾のソロ・アルバムです。実は発売されたのが、第一弾のソロよりも少し前にリリースされています。
 セキュリティということで、ジャケットのデザインには、アンタッチャブルに出てくるような、悪人らしきオジサンのドアには、鍵がびっしりかかっている。なんともアンバランスさを感じる。もっとメタリカルなジャケットにしてほしかったなぁ。笑
 さて、内容について
 素晴らしい楽曲のオンパレードで、前作と同様、全曲インストゥルメンタルで構成されています。しかもDOKKENのジョージ・リンチとのギターバトルが2曲、NIGHT RANGERのジェフ・ワトソンとのギターバトルが1曲が収録されている。更にTonyのピアノ演奏によるショパンの曲まで収録されている。豪華、カラフルな内容。Tonyの活躍は、Guitar&Bass&Keyboardを担当しており、マルチアーティストとしての力量も発揮されている。曲作りも哀愁を漂うメロウな曲も多く、ヘヴィ・メタルに載せた素晴らしい内容に仕上がっている。ギター・フリークには堪らない内容です。
 このアルバムだが、SHARAPNEL RECORDであるが、販売元がマーキュリーのSQUAWKになっており、国内盤で購入できることになった。その後、同レーベルからVinnie Mooreも第二弾作品の「Time Odyssey」をリリースしている。尚、Vinnieのアルバムに関してイングヴェイ本人にこの話をしたところ「俺の真似ばかりしやがって、会ったらぶっ飛ばしてやる!」とコメントしていた。笑

Tony MacAlpine PROJECT: DRIVER
1. Nations On Fire
2. Writings On The Wall
3. Stand Up And Fight
4. Nostradamus
5. Unknown Survivor
6. Fantasy
7. Slave To My Touch
8. I Can See It In Your Eyes
9. You And I
Line-Up:
Guitar and Keyboard : Tony MacAlpine
Drums : Tommy Aldridge
Vocals : Rob Rock
Bass : Rudy Sarzo
 このアルバムは、今までの内容とは別格のプロジェクトによる作品です。リズム・セクションにWhitesnakeからトミー・アルドリッジとルディ・サーゾが加わった。このアルバムの製作の為の特別のプロジェクト作品で終わってしまっている。Tonyのギタープレイもネオ・クラッシクから少々離れ、ヘヴィ・メタル・サウンドを強調した作品になっている。しかも今回はボーカリスト起用した作品で、名前はRob Rockというボーカリストなのだが、Judas Priestのロブ・ハルフォードの様な声力がなかなか素晴らしい。時折、メロウな部分もあるが、典型的なハードコアなヘヴィ・メタル作品に仕上がっており、いつものメロディアスなネオクラッシクさが無い作品になっています。
 この頃Whitesnakeに在籍している二人の参加の経緯は、未だにWhitesnakeがなかなかスタジオでアルバムの製作が進まない状況の中、Mike Varneyの要請があり、あるプロジェクトがあるからレコーディングに是非とも参加してくれないかという話が持ち上がり、レコーディング製作のゲスト兼サポートという前提で参加に至った様である。

Vinnie Moore MIND'S EYE
1. In Control
2. Daydream
3. Saved By A Miracle
4. Hero Without Honor
5. Lifeforce
6. N.N.Y.
7. Mind's Eye
8. Shadows Of Yesterday
9. Journey
Line-Up:
All Guitar : Vinnie Moore
Keyboard : Tony MacAlpine
Bass : Andy West
Drums : Tommy Aldridge
 このアルバムは、Vinnie Mooreの初のソロ・アルバムです。当初は、メタルバンド「VICIOUS RUMORS」に在籍していたのだが、Vinnieの構想には、インストゥルメンタルのソロアルバムの製作があった為、一時的に加入するということで、サポートギタリストとして参加したことになる。
 1986年に念願のソロアルバムが完成した。やはり彼もインスピレーションはネオ・クラッシック・ヘヴィ・メタルだった。しかもVinnieのプレイは、かなりイングヴェイの演奏に非常に似ている。裏ジャケットにIBANEZのギターにフレッドにスキャロップしている。バッハを敬愛している様でクラッシクの要素もふんだんに盛り込んだ楽曲になっている。これじゃイングヴェイも怒っても仕方ないかな笑。
 内容は、前記述でもしたけど、バロック調のヘヴィーメタル・サウンドに仕上がっていて、この作品もギター・フリークにはたまらない作品になると思う。特に、Save By A Miracleでは出だしはアコースティックギターをソロから成り立っており、アルディ・メオラぽく弾いているのが素晴らしい。一息つくと突然ハードドライブに進行する曲構成になっている。次のHero Without Honorでは、静かな曲から始まり、凄まじいドライブ感のある曲から、一変してTommyのドラム・ソロの展開もあり、締めは再びドライブ感のある曲で終わるという、なかなか凝った曲作りをしているようだ。全体的に聴くものを飽きさせない内容になっている・・・かな。
 サポート・アーティストには、キーボードにTony MacAlpine、ドラムにはWhitesnakeのTommy Aldridge、BassにAndy West、この人はDixie Dregsというバンドいたらしく、現DEEP PURPLEのギタリストであるスティーブ・モーズと一緒に活動していたキャリアのあるミュージッシャン・・・の様である。

Joey Tafolla OUT OF THE SUN
1. Eternity’s End
2. Out Of The Sun
3. Zero Hour *
4. The Summon
5. Stalingrad *
6. Truce With Kings *
7. Fire In The Lake
8. Samurai
9. Nine Tomorrows *
Line-Up:
Guitar : Joey Tafolla
Keyboard and Additional Melodies : Tony MacAlpine
Bass : Wally Voss
Drums : Reynold Carlson
Additional Guitar Solos on * : Paul Gilbert
 1987年にリリースされたJoy Tafollaのソロ・アルバムである。かなりしっかりした1音符を確実に弾いている様子がわかる。Paul Gilbertのもとでギターのレッスンを受けたほどの腕前の持ち主で、そのギターテクニックがこのアルバムで反映している。
 TonyとVinnieを二で割った感じのスタイルで演奏しています。
 サポートしているアーティストはTonyはKeyboardとアレンジ面で活躍している。Wally Vossですが、イングヴェイの3作品の「TRILOGY」でBASSを担当した人です。Reynold Carlsonはこのアルバムからの参加の様です。
 この作品で聴き所は、なんといってもPaul Gilbertとのギターバトルとハモリ。先ずは「Zero Hour」、「Starlingrad」、「Truce With Kings」を聴いてほしい!!この作品もギターをふんだんにフューチャーした作品なので、ネオ・クラッシックHM好きの方、ギターフリークには、この作品も抑えておいて損は無い作品。

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