誰かが遠くで呼んでいます。

カウンターに少しばかり伏していたようです、ふと薄目を開けた向こうに壁ができています。

ベルリンの壁は遠の昔に無くなったはずなのに、赤いのや白いのがえらそうに並んでいます。


2015年11月27日

ルバイヤート、グレイス、サドヤ

カウンターの向こうで悪魔の家来がニヤニヤしてます。隣の席では、大金持ちの同僚がニヤニヤしてます。

そういえば近頃葡萄酒なるものが、又流行ってきたようです。

酒は麦から作るものを最上としている悪魔の家来としてはホッとけないそうです。

特に赤いのは「悪魔の天敵の血でできている」、と言い訳してまで西洋の坊主どもが飲んでいます。この世から駆逐すべきです。

悪魔の家来は、商売柄以前から取り扱っていましたが西洋物しか認めていません。

それじゃー、と極東物を飲むこととします。40年近く前から飲んでいた、産地は勝沼、蔵元は昔からの三人以外は考えられません。

悪魔の家来の調査の結果、とんでもないお代になってしまうそうです。

ほかのお客さんに負担をかけるわけにはいきません。しかたないのでみんなで飲んでしまうことにします。

同僚や後輩全員集合で、片っ端栓を抜いていきます。

そういえば、新大陸ではお隣との境に壁を造ると粋がってます。見晴らしが悪くなるのが心配です。