2004年08月07日

思いでの渓へ。

福岡・フライフィッシング

後輩が福岡に帰ってきました。彼とは彼が高校に入学したときからのつきあいです、かれこれ25年くらいになりました。福岡近郊、比叡山、北アルプスへみんなで行っていました。逝ってしまった先輩と彼が、私をそそのかしつりをはじめるきっかけを作ってくれたヤツです。仕事の関係で各地を転々としていましたが今年福岡に転勤になったと言ってきました。

昔みんなで登った渓へ、つりに出かけることにしました。登山口へ到着すると車がいっぱいあります。黄色い頭や、白い頭もいます、浮き輪を持った家族連れもいます。そうです、みんな夏休みです、夏休みの土曜日です。つりになるか不安になりますが、しかたありません。流れに入りつり上がりますが、渓魚が姿を見せてくれません。滝が連続するところへやってくると、先行者がいます。登山者のようです、少し待つことにします。しかし、沢登りになれていないのかなかなか滝を越えることが出来ないようです、ふと見上げると滝の横にユリが咲いています。

あいさつをして先行させてもらいます、沢登りの初心者のようで積極的に流れに入ることはないでしょう。ホッと一安心しましたが、岩の上にはそこら中真新しい足跡があります。きっと、登山口で見かけた黄色い頭や、白い頭でしょう。沢登りは近年流行です、しかたありません。後輩とポイントをこまめに探っていきますがまったく反応がありません。少し落胆していると、後輩が大声を出しました。見上げると渓魚がつれています。先輩の遺品のさおを思いっきり曲げるくらい大きなタカハヤがつれました。

その後も、渓魚はいっこうに姿を見せてくれません。最上流部までやってきます、おなかもすいたのでインスタントラーメンをこさえ気合いを入れ直します。いくら気合いを入れてもだめなときはだめなものです。岩の上には、登山者の足跡が残っています。それも、積極的に流れを登っているようです。この渓には昔からの炭焼きの小径がありましたが、少し前まではそんな小径はみんな忘れ去られていました。しかし、去年ぐらいから赤いテープや黄色いテープがいたるところに目立ち始めました。先行者は、沢登りをしているようですから、この先で頂上直下の大滝へ行くはずです。最後の、数百メートルの流れにかけることにします。

福岡・フライフィッシング

渓に沿った小径を使いながら別々につり上がります。やっと小さな渓魚が姿を見せてくれます。お互いに少し気合いが入ってきました。10センチくらいしかない流れを丹念につり上がります。渓魚はとても神経質になっているようで、やっと見つけた小さな渓魚からもすぐに見つかってしまいます、当然大きな渓魚は姿すら見せません。

小さいけれど、両側に岩がある落ち込みがありました。真ん真ん中に枯れ木が突き刺さっていますが、毛鉤をねじ込みます。後輩も小径からのぞいています。毛鉤が流れきったのでピックアップしようとした時です、大きな渓魚がふらっと姿をだし岩の下へ帰っていきました。それっきりでした。

最終点にある小さなポケットを後輩が真剣に探りを入れます、やっと彼にも小さな渓魚がつれました。枝沢があったので少し登り上がると、小さなプールで渓魚があわてふためいています、ヤツは白泡の下へ入ります、でも悲しいかなあまりにも水がないので丸見えです。素手で捕まえることにし、そっと流れにつかり追い込みます。冷たい水の中でぬっるとした感触があります、そっとつかむと手のひらのなかに小さな渓魚がいます。

汗だくになり、1日がかりで渓を登ってきました。渓魚は思ったようにつれませんでしたが、とてもいい気持ちの1日でした。山を下り街で反省会を行い、もっといい気分になり、暑くて長い1日が終わりました。

夏の尺ヤマメは1里1尾。でも、1里つっても駄目な時はやっぱり駄目なものです。