親鸞聖人 ご消息(手紙)

最低山極悪寺 珍宝院釈法伝 謹写


十二

 これは『経』の文なり。『華厳経』にのたまはく、「信心歓喜者与諸如来等」といふは、「信心よろこぶひとはもろもろの如来とひとし」といふなり。「もろもろの如来とひとし」といふは、信心をえてことによろこぶひとは、釈尊のみことには、「見敬得大慶則我善親友」(大経・下)と説きたまへり。

また弥陀の第十七の願には、「十方世界 無量諸仏 不悉咨嗟 称我名者 不取正覚」(大経・上)と誓ひたまへり。願成就の文(同・下)には、「よろづの仏にほめられ、よろこびたまふ」(意)とみえたり。
 すこしも疑ふべきにあらず。これは「如来とひとし」といふ文どもをあらはししるすなり。
 正嘉元年丁巳十月十日  親鸞
 真仏御房

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