親鸞聖人 ご消息(手紙)

最低山極悪寺 珍宝院釈法伝 謹写



 善知識をおろかにおもひ、師をそしるものをば謗法のものと申すなり。おやをそしるものをば五逆のものと申すなり、同座せざれと候ふなり。されば北の郡に候ひし善証房は、おやをのり、善信(親鸞)をやうやうにそしり候ひしかば、ちかづきむつまじくおもひ候はで、ちかづけず候ひき。明法御房の往生のことをききながら、あとをおろかにせんひとびとは、その同朋にあらず候ふべし。

無明の酒に酔ひたる人にいよいよ酔ひをすすめ、三毒をひさしく好みくらふひとにいよいよ毒をゆるして好めと申しあうて候ふらん、不便のことに候ふ。無明の酒に酔ひたることをかなしみ、三毒を好みくうて、いまだ毒も失せはてず、無明の酔ひもいまださめやらぬにおはしましあうて候ふぞかし。よくよく御こころえ候ふべし。

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