健康診断

最低山極悪寺 珍宝院釈法伝

 健康診断を受けた。正確には、受けさせられた。まず、準備と称して、自分の糞を2日にわたって、麻雀の点棒のようなスティックでなでたりつついたりして採らされた。当日は朝から飲まず食わずで検診。紙コップに尿を採らされ、血を抜かれ、あげくはバリウムとかいう白いどろりとした液体を飲まされ、胃をガスで膨らまされた。こうしておいてから、エロ写真のモデルよろしく、変な姿勢でX線写真を撮られる。仕上げは下剤で、久しぶりに下痢までさせて貰った。

 健康診断とは言うが、これで判るのは、せいぜい五病か十病。死に至る病は星の数ほどあるから、五病十病を免れたとて、健康とは言えまい。それに、病気と判ったからといって必ず治るわけでもないし、事故、災害で死なぬという保証もない。阪神大震災で亡くなった人の中にも、健康診断を受けていた人は大勢いたはずである。あの人達にとって、健康診断とは何だったのか。

 帰り際に、健康管理のパンフレットをたくさん渡された。健康管理と言えば聞こえは良いが、要するに肉体管理である。河川管理に通貨管理、そして肉体管理。現代は、本来、管理不能なものを管理しようとムキになる時代なのかも知れない。