ぼくが高円寺に引っ越してきた頃、この路地には『ゆめや』という珈琲豆屋さんがあった。
そのお店は全体が朱色をしていて、店の前にはいつもオレンジ色の自転車が止まっていて、少し段を上がったところにいつも猫が寝ていて、晴れた日はその光景がドキドキするくらい素敵な場所だった。
しばらくして、お店は少し離れた場所に移転してしまい、この路地を通ることも少なくなったけど、このお店の前にカフェができてからは、またこの路地を通るようになっていて、豆屋さんの後にも古着屋さんができた。
その時と同じ猫かは分からないけど、今でも猫たちがこの路地を行き来しているので、百音の中から路地を眺めながら、たびたびガラス張りのスクリーンに映る古着屋さんの前の彼らの姿を見ることが最近の楽しみになっている。
ぼくもいつかこんな風に猫たちを眺めながら、珈琲を淹れたりできるといいなあ。
|