危険物の運搬について


まずは、危険物取扱者の免許について

免許の種類(消防法:第13条の2、危険物の規制に関する規則:第49条)

甲種と乙種全類所持者の大きな違い
乙種では該当する類の6ヶ月以上の実務経験があれば危険物保安監督者になれるが、甲種では類にとらわれずに6ヶ月以上の実務経験があれば危険物保管監督者になれる。
例)乙4所持者・・・・該当する類(ここでは4類)の6ヶ月以上の実務経験があれば、4類については危険物保安監督者になれる。そのほかの類ではなれない。
例)甲種所持者・・・何らかの危険物を6ヶ月以上の実務経験があれば、1類〜6類までの危険物保安監督者になれる。
取扱い・・・給油、荷降ろし、荷積みなど。(セルスタンドなどは、危険物取扱者が遠隔で監視し給油ポンプの発停を行っている。)
ちなみに受験資格
丙種、乙種・・・特になし
甲種
 次のいずれかに該当する方は、甲種危険物取扱者試験の受験資格があります。
 (「大学等及び資格詳細欄」の赤字部分は法令改正により平成20年4月から追加されたもの

対象者  大学および資格詳細  願書資格欄
記入略称 
証明書類 
〔1〕
大学等において化学に関する学科等を修めて卒業した者
大学、短期大学、高等専門学校、専修学校 高等学校の専攻科、中等教育学校の専攻科
防衛大学校、職業能力開発総合大学校、職業能力開発大学校、職業能力開発短期大学校、外国に所在する大学等
大学等卒 卒業証明書 または、卒業証書(学科等の名称が明記されているもの)
〔2〕
大学等において化学に関する授業科目を15単位以上修得した者
大学、短期大学、高等専門学校(高等専門学校にあっては専門科目に限る)、大学院、専修学校  (以上通算可)
大学、短期大学、高等専門学校の専攻科防衛大学校、防衛医科大学校、水産大学校、海上保安大学校、気象大学校、職業能力開発総合大学校、職業能力開発大学校、職業能力開発短期大学校、外国に所在する大学等
15単位
単位修得証明書 または、成績証明書(修得単位が明記されているもの)
〔3〕
乙種危険物取扱者免状を有する者
乙種危険物取扱者免状の交付を受けた後、危険物製造所等における危険物取扱いの実務経験が2年以上の者 実務2年 乙種危険物取扱者免状 及び
乙種危険物取扱実務経験証明書
次の4種類以上の乙種危険物取扱者免状の交付を受けている者
第一類又は第六類 + 第二類又は第四類 + 第3類 + 第5類
4種類 乙種危険物取扱者免状
〔4〕
その他の者
修士、博士の学位を授与された者で、化学に関する事項を専攻したもの(外国の同学位も含む。) 学位 学位記等(専攻等の名称が明記されているもの)

[備考]
1. 〔1〕の高等学校の専攻科及び中等教育学校の専攻科については修業年限が2年以上のものに限ります。
2. 〔1〕、〔2〕の専修学校については、修業年限2年以上、総授業時数1700時間以上の専門課程に限り認められ、証明書類として表の書類のほか次のいずれかの書面が必要になります。
専門士又は高度専門士の称号が付与されていることを証明する書面又はその写し
専修学校の専門課程の修業年限が2年以上で、かつ、課程の修了に要する総授業時数が1700時間以上であることを証明する書面(書式例1を参照してください。)
3. 〔2〕の大学、短期大学、高等専門学校、大学院等における修得単位は、卒業、在学中、中途退学又は通信教育等にかかわりなく算定することができます。放送大学も同様に算定できます。
4. 〔2〕の「単位修得証明書」は、書式例2を参照してください。
5. 〔3〕の「乙種危険物取扱実務経験証明書」は、事業主等の証明書です。受験願書のB面裏の様式を使用してください。
6. 旧大学、旧専門学校、高等師範学校、実業学校教員養成所等の卒業者及び単位修得者、専門学校卒業程度検定試験合格者も受験資格を有する場合があります。詳細はお問い合わせください。
7. 過去に甲種危険物取扱者試験の受験申請をしたことのある方は、その時の受験票又は試験結果通知書を提出することにより受験資格の証明書に代えることができます。(コピー不可)
8. 「願書資格欄記入略称」は、受験願書の「甲種受験資格」欄に記入するものです。

私の場合は乙4を取得してから、その他の乙種を取得してから甲種を受験しました。普通科高校卒なので。


注意!! 下記の講習は忘れがちな人、知らない会社が多すぎです!!
そこの、あなた!!講習を受けずに作業をしていませんか?
危険物取扱者の保安講習受講義務 (消防法:第13条の23)

 平成24年4月1日より改訂(平成21年4月1日以降に講習等を受けた人)

危険物の取扱作業・管理に従事している危険物取扱者は、原則として3年以内ごとに、都道府県知事が行う危険物の取扱作業の保安に関する講習を受けなくてはならない。
過去3年以内の違反点数を累積して措置点数を算定し、これが20点に達した時に免状を交付した都道府県知事が免状返納命令を行う。(保安講習未受講は4点、免状不携帯は4点、事故の程度により2〜6点、人身事故の程度により6点〜20点)

それでは、運搬について・・・・

注意!!ここに記載されているのは、あくまで法律上の内容です。自主的に少しでも安全に取り扱うようにしてください!!
くわえ煙草で危険物を取り扱う、寒いからと言って火の側で取り扱う事が無いようにお願いします。怪我をするのはあなたです。悲しむのは家族と巻き込まれた人達です!!責任を取れますか?

危険物の運搬(第4類:ガソリン、軽油、灯油,,アルコールなど)
タンクローリーは移動タンク貯蔵所となり、「移送」として規制される。危険物取扱者が必要。 危険物の「運搬」に該当せず。
(消防法:第16条の2第1項、第3項)
貨物自動車による危険物の移動は「運搬」として定義される。「運搬」のみの場合は危険物取扱者は不要。但し、運搬容器、積載方法等の決まりを守る必要があります。当然ですが、車両の最大積載量までしか詰めません。
また、ドラム缶の積み卸しなどの時に指定数量を超える場合には危険物取扱者が必要
(消防法:第13条第3項)


運搬容器

(危険物の規制に関する政令:第28条、第29条、第30条危険物の規制に関する規則:第41条、第42条、第43条、同別表第3、第3の2、第3の3、第3の4)

  1. 運搬容器の材質が危険物の性状に適合しているか?(鋼板、アルミニウム板、ブリキ板、ガラス)ポリタンクにガソリンを入れると溶けて漏洩する、ガソリン自身が帯電し静電気が放電して火花が発生する可能性があるので絶対に入れない事。
  2. 運搬容器の構造、最大容量は基準に適合しているか?(金属製ドラムの最大容量は250L)
  3. 運搬容器の性能は基準に適合しているか?(危険物保安技術協会の基準適合性表示(KHKマーク)付きを推奨)

積載方法
(危険物の規制に関する政令:第29条危険物の規制に関する規則:第43条の3、第44条、第45条、第46条、第46条の2、同別表第4)
  1. 運搬容器の収納率、収納方法は基準に適合しているか?(液体は最大容量の98%以下しか入れられない。200L缶なら196Lまで。)
  2. 危険物が漏れないように運搬容器を密栓しているか?
  3. 運搬容器及び包装の外部に危険物の品名、数量等を表示しているか?
  4. 落下、転倒して破損しないように積載しているか?(ラッシングベルトなどでしっかりと固定している?)
  5. 運搬容器は収納口を上に向けて積載しているか?
  6. 類を異にする危険物、災害を発生さえる恐れのあるものを混載していないか?(第2類、第3類、第5類は混載可)
  7. 運搬容器を積み重ねる場合には高さ3m以下にする。
  8. セルフのスタンドでは携行缶などへの給油は消防庁からの通達でできません。

運搬容器外部の表示
  1. 品名、危険等級、化学名
  2. 数量
  3. 注意事項(ガソリン、軽油、灯油、アルコールの場合には「火気厳禁」

運搬方法 (危険物の規制に関する政令:第29条、危険物の規制に関する規則:第47条)
  1. 危険物、運搬容器は著しく摩擦、動揺しないように運搬しているか?
  2. 指定数量以上(ガソリンは200L以上、軽油・灯油は1000L以上、アルコールは400L以上)の車両の前後には0.3m×0.3m「危」の標識を揚げているか?(移動タンク貯蔵所の「危」の標識と、指定数量以上の危険物を車両で運搬する場合の標識とは大きさが異なる)
  3. 休憩、故障等における一時停止の場所は安全か?一時停止中の保安態勢は十分か?
  4. 指定数量以上の車両には危険物に適応する消火設備(消火器など)を1個以上備えているか?(1本じゃ足りないでしょうから最低2本は必要だと思います
  5. 運搬中に危険物が漏れる災害等が発生するおそれのある場合には、災害防止のための応急処置を講ずるとともに、最寄りの消防機関(119番)その他の関係機関に通報することが周知徹底されているか?
  6. 乗用車の場合、ガソリンは22Lまで、軽油は250Lまでしか運搬できない。(軽油の場合、金属製の缶が推奨。かと言って、20Lの携行缶を12個も購入して積み込まなくても、ドラム缶で1本でOK。乗用車で250Lも積めないと思いますが。)
注意!!
道路法第四十六条第3
道路管理者は、水底トンネル(水底トンネルに類するトンネルで国土交通省令で定めるものを含む。以下同じ。)の構造を保全し、又は水底トンネルにおける 交通の危険を防止するため、政令で定めるところにより、爆発性又は易燃性を有する物件その他の危険物を積載する車両の通行を禁止し、又は制限することがで きる。

とあります。これに基づいて、水底トンネルやこれに類するトンネル(延長5,000m以上の長大トンネル、水際にあって路面の高さが水面の高さ以下のトンネル)について、危険物を積載する車両の通行を禁止したり、制限することができることとなっています。

私が調べた限りでは、下記が該当します。ここを通るときは注意してください。ただし、指定数量1未満であれば問題ないと思われますが、運転(特に車間距離)には注意してください。

トンネル名 場所 トンネル名 場所
関越トンネル 関越自動車道 守山トンネル 東名阪自動車道
羽田トンネル 首都高速道路 1号羽田線 名東トンネル 東名阪自動車道
空港北トンネル 首都高速道路 湾岸線 神戸長田トンネル 阪神高速道路 神戸山手線
川崎航路トンネル 首都高速道路 湾岸線 加久藤トンネル 九州自動車道
多摩川トンネル 首都高速道路 湾岸線 肥後トンネル 九州自動車道
東京港トンネル 首都高速道路 湾岸線 雁坂トンネル 国道140号
桜木町トンネル 首都高速道路 横浜羽田航空線 寒風山トンネル 国道194号
千代田トンネル 首都高速道路 環状・4号新宿線 関門国道トンネル 国道2号
八重洲トンネル 首都高速道路 環状八重洲線 空港北トンネル 国道357号
山手トンネル 首都高速道路 目黒板橋線 衣浦トンネル 県道265号
東京湾アクアトンネル 東京湾横断道路 新神戸トンネル 神戸市道
恵那山トンネル 中央自動車道 川崎港海底トンネル 川崎市道
袴腰トンネル 東海北陸自動車道 阪奈トンネル 大阪府道路公社、奈良県道路公社
飛騨トンネル 東海北陸自動車道 名東トンネル 名古屋第二環状自動車道
守山トンネル 名古屋第二環状自動車道     

当然、積み込む場所、荷下ろしする場所がありますよね。その場所の注意です。
指定数量が1以上の所では、危険物取扱者の免許が必要です。ほとんどの場合、指定数量以上にガソリン、軽油があるところから容器に移しますよね。その場合、
危険物取扱者 甲種、乙種第4類所持者が行うか監視の基に、もしくは丙種所持者が作業を行う必要があります。

貯蔵に関する事項 (危険物の規制に関する政令:第26条)

危険物と危険物以外の物品とをそれぞれ取りまとめて貯蔵し、かつ、相互に1m以上の間隔を置く。 


仮貯蔵・仮取扱いの承認 (消防法:第10条第1項)

危険物施設以外の場所で一時的に危険物を貯蔵し、あるいは取扱いしたい場合に、所轄消防長または消防署長に承認申請し、承認を受けた場合に限り指定数量以上の危険物を 10日以内の期間 、仮に貯蔵し、または取り扱う事が出来る。ただし、期間の反復繰り返しは認められない。
ドラム缶からガソリンを給油する場合、ドラム缶を接地(アース)する事、給油口からガソリンがあふれ出さないように対策を講ずること。


少量危険物の届出 (消防法:第9条の4)

指定数量未満(多くは指定数量の1/5以上)の危険物の貯蔵または取扱いについては、市町村条例により、その技術基準が定められており、その条例には、定められた数量以上の危険物を貯蔵し、または取り扱う場合には、届け出が必要。

貯蔵方法のまとめ

指定数量の倍数が1以上(貯蔵所・取扱所) 消防法による許可(工事前に行う事)
指定数量の倍数が1以上で仮使用 消防法による承認(仮貯蔵・仮取扱)
条例で定められた指定数量の倍数(多くは1/5)以上、指定数量未満 市町村条例による届出(少量危険物)
条例で定められた指定数量の倍数(多くは1/5)未満 市町村条例による遵守


最終的には市町村条例は、市町村によって異なります。現地の消防署の判断が必要です。貯蔵場所の消防署に確認した方が無難です。

法律的なことも大事ですが、くどいですが、自主的に事故を起こさないよう、事故を起こしても被害が拡大しないよう注意してください事故を起こして泣く人は誰ですか?非常時だから事故を起こしても許されますか?

追記
指定数量とは

※この資料は、「平成23年3月17日 消防庁発表 東北地方太平洋沖地震における被災地でのガソリン等の運搬、貯蔵及び取扱い上の留意事項」、「財団法人 全国危険物安全協会 危険物取扱者保安講習テキスト平成22年度版 危険物の保安管理(給油取扱所編)」を参考にしました。


Create:2011/03/19   Last modified:2012/12/22
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