ガメラIII雑感あるいは京都について考えたこと。(ちと固い^_^;)

この春、3部作の完結編となる「邪神(イリス)覚醒」が公開された平成ガメラ。その決戦の場は京都だった...。

怪獣映画で京都が舞台となるのはそう多いことではない。また、登場はしても徹底的な破壊となるとほとんど例がない。
内なる崩壊を描いた「怪奇大作戦〜京都買います」('67)がもっともその破壊を描いたものではないだろうか。あとはTV版日本沈没くらいか。

と言っても「怪奇」のそれは見た目のカタルシスある破壊はいっさい描写されていない。描かれるのは内部からの京都の変質、形骸化とその流れに逆らおうとする者の姿といったものだ。淡々とした描写だが私には十分衝撃的なものだった。京都が好きな方には是非見てちょっと考えていただきたい一作。

初めて京都が徹底的な破壊を描写されるのか。そう言う期待が私にはあった。二匹の怪獣に完膚無きまでに破壊され、焼き尽くされる京都。なんという魅惑的なシチュエーションだろう。

結論から言うとそう言ったものは見られなかった。破壊されたのは新しい秩序の象徴、京都駅とその周辺のみ。東寺の五重塔は焼け落ちたかも知れないが、御所を中心とした旧市街地は全くの無傷と言っていい。今までの怪獣映画と同じ遠慮がそこには見て取れた。やはり京都は怪獣映画にとっては禁忌の地なのだろうか。

京都駅は怪獣映画のクライマックスシーンの舞台としては申し分ない場所だった。というか、それしか存在価値がない場所かもしれない。無意味な空間、駅としての機能はほとんど無く、商業空間を駅という名目で無理矢理でっち上げた代物。現代京都の象徴。これが京都の南のはずれでなく東大路通の真ん中にでも建てられたならそれは怪獣に壊されるまでもなく京都の完全な破壊だといえる。その京都駅を壊す...。

京都駅「だけ」を壊して去った怪獣達は本来の京都に戻そうと言う自然の力がもたらしたものなのかも知れない。しかしすべてをやり直すためには一度京都は灰燼に帰すべきだったのかも知れないのだが。


前振り終わり。ちょっと堅苦しいですかですか^_^;)。まあ京都に関してはちと複雑な思いがあるんで。私にとっては路面電車が走れなくなった京都は京都ではないです。無秩序で人に優しくなくて殺伐な薄っぺらい街。裏に伝統文化を内包していると言っても日々暮らす人にはただのありきたりな生活の場にすぎません。

引っ張りましたが今回の映画は京都そのものについて考えると言ったものではないようですのでこの辺にします^_^;)。


ガメラの話にしましょう。

この映画の映像は現時点で見れる最良の日本特撮だと思います。
シナリオの事とか色々言う人が居ますが破綻はしていないと思います。と言うより良くまとめ上げたなと思う。役者も良い演技してますし。掘り下げ云々という人は一度3部作をまとめて見て下さい。きっとキャラクターが生き生きとしてくるはずです。

キャラクター。そうですね、特撮もさることながらキャラクターの描き方も魅力のひとつだと思います。平成ゴジラにも同じようにキーとなるキャラがいたと思いますがこちらは最終作を未見なので比較はしません。あっちはやらなくてもいいタイムパラドックスものとか見ていて非常に辛かった。同じように無理矢理こじつけたタイムパラドックスでもスタトレだと許せてしまうのはこっちがフィルターかかった目で見てるからかなあ^_^;)。

あ、キャラの話ですね^_^;)。

草薙浅黄。演技力でまずほとんどの人からふるい落とされてしまうんでしょうけど設定や描き方は魅力あるものでした。描写的には綾奈のそれに一歩譲りますが怪獣と心が通うのはやはり少女に限りますね^_^)。登場も危ぶまれた今作でもガメラとの絡みや綾奈に対する眼差しに心打たれました。初代主役の貫禄ってとこかな^_^)。

長峰真弓。狂言廻しだと思うんですけど結構好き。状況に流されるんじゃなくて自分で切り開いていくとこなんか。

比良坂綾奈。萌え〜〜〜じゃないって^_^;)。ガメラの最大の功績は彼女を癒したことかも知れません。
復讐心というのはやはり悲しい結果しか生み出しません。イリスの誕生はやはり生まれたことそのものが悲劇でした。彼女は今回のことを一生引きずっていくことになりますが龍成の存在が支えになってくれるものと信じたいものです。

守部龍成。ジュブナイルな雰囲気〜^_^)。おじさんは頑張れって言いたくなるぞ^_^)。「比良坂」から「綾奈」って呼び方が変わるとこなんか自然な感じで良かったですね。まあこれから大変だと思うけど幸せにしてやれよなっ。

大迫力(おおさこさんと読むのです^_^)。ギャオスと共に生きたこの数年^_^;)。あのお酒のおいしさ、判る気がするなあ^_^)。

と言うことで次はロケ地である京都駅を見てきましたのでその報告など。

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