サウンドレスノベルツクール
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作:柴三郎 (POKEMON MASTER!)
「・・・何を言っているんだ?」
僕にはその言葉を発するのが精一杯だった。まったく理解できない。
「お前も解っているはずだ。私とお前は戦う定め。この戦いでどちらかが生き 、どちらかが死ぬだろう」
死ぬ!? そんな非日常的な言葉に僕は耳を疑った。
「ちょ、ちょっと待ってくれよ。なんで君と戦わなきゃならないんだ?僕は君の名前だって知らないのに!」
そう言うと彼は以外だと言わんばかりの表情で
「お前は・・・何も憶えていないのか?」
と言った。僕は必死に思い出す。こいつは隣のクラスで、僕とはあまり親しい関係じゃない。思い出すことすら何も無い。廊下でぶつかったりしたのか? それとも僕をだれかと勘違いしているのか?・・・・・・
「俺とお前は・・・」
彼が何か言おうとしたとき、はたと思い出した。
「あーあー、思い出しましたよ。僕とお前は親友で、旅行中交通事故に遭って気がついたら謎の組織に改造されてて僕はお前を置いて逃げ出して・・・っつー 粗筋だ。だろ?」
「う・・・うむ」
「ほんでもって二人は次期首領候補でどっちか一人しか首領になれない、だからその座を賭けて殺し合おう、とそういうことだったよな、たしか」
「う、うむ、解っているなら話は速い、では首領の座を賭け、いざ・・・」
「悪いんだけど帰ってくんない? お前に勝つのは簡単なんだけどさぁ、勝って 貰える肩書きが『首領』だよ? そんなの恥ずかしくて男子トイレにも行けなくなっちゃうよ。名刺交換するときだって僕の名刺受け取った相手が笑うんだぜ。『 ププッ』って。N君かっつーの」
「で、でもそれなりに、」
「それにイイ年こいて改造人間もないだろ。いつもあんな恥ずかしいベルトしてなきゃなんないなんてとても耐えられないよ。変身するとき風車がギュルルーンて回るんだぜ、ギュルルーンて。そんなのオシャレさんの僕には屈辱だね」
「く、屈辱って」
「だから改造されたことって消したい過去なんだよね、僕にとって。そもそもさぁ、ぶっちゃけて言うとこんなことマジにやってるお前と親友だった、てこと が一番ヒトに知られたくないのよ。僕は。だからさぁ、もう僕の前には現れないでくれる? 首領なんていう恥ずかしいポストはお前にやるから。OK? アンダスタン?」
「う、うん・・・」
「わかったらさっさと帰んな。人に見られちまったら僕のイメージ、メルトダウンだよ。そんで登校拒否しちゃうね。昔のお前みたいにな!」
「うっ、うぅっ・・・」
半ベソをかきながら校門の方に歩いていく彼の背中に僕は言う。
「学校で逢っても他人だからな! 話しかけんなよ!!」
彼は泣きながら走り去っていった。
僕は胸を撫で下ろした。やれやれ、どうやら普段の生活を送れるようだ。早く帰って、ようこそようこ録画(標準、CMカット)しよ〜っと。よっきゅ〜ん!
「宿命の二人」編
完