「JIN 」村上もとか著 集英社 スーパージャンプコミックス 2002年6月現在、2巻刊行済み。
主人公は優秀な脳外科医。
ある日かつぎ込まれてきた患者の頭を開けると、そこには不思議なできものが。
その夜、安静にしているはずの患者が、手術用のセットや薬品を持ち出し逃げ出した。
それを追った主人公は、階段を踏み外し転落したが・・・。
気が付くとそこは江戸時代だった。
最新の医療知識を駆使して、消毒薬さえない江戸時代、はしかと戦う主人公の苦難と努力の物語。
2巻はコレラ編。


「おせん」きくち正太 モーニングKC 2002年4月現在3巻まで刊行
チャンピオン系の雑誌で活躍していた、きくち正太がお送りする、陶器、料理、骨董という自分の趣味に思い切り走ったコメディ調のとっても楽しい物語。
笠置の宿場で料亭「一升庵」をとりしきる「おせん」が主人公。
ぼおっつとした彼女がなぜ町じゅうの人に慕われるのか!
「おいしんぼ」の海原雄山とは対極をなす主人公がとってもナイスな料亭漫画です。


「サトラレ」佐藤マコト モーニングKC 2002年4月現在2巻まで刊行
映画にもなった、心の中がまわりに知れ渡ってしまうという通称「サトラレ」と呼ばれる主人公たち。
例外なく天才である彼らは政府の手によって、自分がサトラレだということに気づかず生活をしています。
映画で取り上げられた、「サトラレに向かない職業」は泣きました。
彼は医者なのです。相手が不治の病だということが筒抜けになるため、大事な患者をまかせてもらえません。
その彼に、数年後たくさんの患者が信頼を寄せるようになったわけは?
とにかくすばらしい内容です。
別の話の主人公の父親が、娘を育てるときに言った言葉
「思ったことを素直に言葉に出せば、それはサトラレではなく声の大きな正直者だろう」


「新・旭日の艦隊」原作・荒巻義雄 作画・飯島裕輔 コミック・スーリ・スペシャル(中央公論新社) 2002年4月現在11巻まで刊行。
最近おおはやりの、「もしも太平洋戦争に日本が勝っていたら」のひとつ。
ただ私はこの手の話が大嫌い。やたらと多い状況説明。一方的な展開(日本がめちゃ強い)。下手な絵。政治的なシーンばかり。
ではなぜ、ここで紹介するほどはまったのか。
作画の飯島裕輔!これにつきます。
他のまんがが、原作をただ紙芝居のようになぞっているのに対し、この人はもうやりたい放題。
せりふは最小。とにかく登場人物の表情が豊か。状況説明はあくまでも絵で!
戦艦を描かせたら超一級。うなる51センチ砲弾、飛び交う魚雷!
なかでも想像もしなかった潜水艦同士の空中戦はすごいの一言。
登場人物の絵(特に女性)ははっきり言ってロリコンです。ですからどなたにでも薦められるものではありません。(私は大好きですが)
だけどそれを補ってあまるほどのメカ描写!迫力ある戦闘シーンは手抜き一切無し。
(知っている人は知っている、「ドリフトガール」の車の描写には、むかしはまりました。)


「JYAJYA」 えのあきら サンデーGXコミックス 2002年4月現在第1巻刊行 4月末に2刊発行予定
前にもちょっと紹介しました、美女とオートバイの物語。
主人公は20うん才の旧車ショップの女性オーナー。
物語はこの店の上にあるアパートを借りたバイク便ライダーを中心に進みます。
毎回登場する旧車たちがまたすごい。
ドカティFOUR、NCR950TT1、MVアグスタ750、RC147、FBモンディアル、パトン、等、彼女が愛するのはGPレーサー達なのです。
作者は知る人ぞ知るエッチ漫画の大御所です。ですから当然出てくる女の子のかわいいこと。
それ以上にバイクたちのかわいいこと!
さあ、だまされたと思って一度ごらんあれ。
それにしてもかわいい女の子を描く人は、大抵メカを描くのもうまいのはなぜ?


「フールオンザホイール」田中むねよし 集英社スーパープレイボーイコミック 全1巻
フィアット500に魅入られたさえない営業社員に、どんどん取り込まれていく、周囲の正常な人々たち。
旧車という魔物に取り付かれた彼らに救いの道はあるのだろうか。
ほんと、身につまされています。


「ぴーちくぱーちく」千葉治郎 ヤングキングコミックス 全2巻
声優の専門学校に通う我妻ちるるが目を覚ますと、そこはホテルの1室で素っ裸!
しかもパンツがない!
声優になるため、昼夜を問わずがんばる若者たち(死語?)をちょっとエッチに描いた、業界裏話的な物語。
この人の絵は大好きです。
巻末にある予告「プロ声優編」はいつでるのっ!千葉せんせー?すでに4年たったのにー。


「おてんと様と行こう!」森佐智 ヤングキングコミックス 多分5巻ぐらい
東京都荒川区日暮里にあるおてんと食堂。
数年前に流れてきた板前、真壁虹太にほれてほれて一緒になった、おてんと食堂の孫娘、ヤンママ紫保を中心に繰り広げられる、下町人情物語。結構じーんと来るものがあります。


「いばら姫のおやつ」 石田敦子 ヤングキングコミックス 全1巻
なぜか大島弓子を思い出してしまう、かなり心にぐさぐさささってくる短編集。
女の子の心は、けっして男にはわからないということを思い知らされます。
後で気づいたのですが、この人の絵どっかで見たと思ったら、アニメの原画かいてます。
この世界では有名な人だったんですねー。


「生存」 かわぐちかいじx福本伸行 アッパーズKC 全3巻
2月11日からNHKドラマとして放送されたのでご存知のかたも多いでしょう。
15年前に行方不明になっていた娘が白骨死体で発見された。
時効まであとわずかとなった事件を、自らも病魔に蝕まれた父が追ってゆく。
残された時間で娘の無念は晴らせるのか。
このかわぐち氏、緻密な絵を描くうえ、いったい寝る暇あるのかというぐらいたくさんの連載本数を抱えてます。
がんばれかわぐち氏!


「ウェイクアップ」 松浦聡彦 サンデーGXコミックス 2002年4月現在 1巻刊行
「私にとっての人生は10年前に突然始まった。」
主人公新道かすみ。たぶん16才。(彼女には10年前より以前の記憶がない。)
成績優秀、スポーツ万能、容姿端麗。
そんな彼女の独り言から始まる長編SF。
隣に住む幼なじみを慕い、守られる立場から守る立場へ。
実は彼女は・・・・。
ええい、ストーリーは自分で読んで!
少年サンデーで連載していた「ライジングサン」はちっとも面白くなかったけど、こいつは実力発揮、萌えます。


「Mr.ボーイ」 山本貴嗣(あつじ) アクションコミックス 2002年4月現在 2巻刊行
鬼才(といってもいいと思う。この人の本は20年以上前に「エルフ17」を買って以来、ほぼ全巻持っているが面白いと思ったのは最近の数作だけである。)
がお送りする、すちゃらか警察アクション。
この人、基本的にギャグ作家だったが、最近シリアスなアクション物も多い。
特に筋肉を語らせたら右にでるものなしだろう。とにかく、動きをかかせたら抜群なのである。
おっと、話がそれた。
この漫画は女装警官(つまり男ね。美少年である。)が、潜入捜査したさきで起こすどたばたを、アクションにこだわって描いた物語。
本屋に行って漫画の書き方が並んでいるコーナーに行き、この人の書いた漫画の書き方の本をのぞけば2重に楽しめます。


「アモウ」 山本貴嗣(あつじ) プラザコミックス 2002年4月現在 2巻刊行
これまた、上と以下同文。主人公は拳銃の達人。女性警官だ。
ただしこっちはエッチ系の出版社からの刊行である。(ほとんどエッチは無いけど)


「並木橋通りアオバ自転車店」 宮尾 岳 ヤングキングコミックス 2002年4月現在 5巻刊行
99年1月25日発売のヤングキングという雑誌に載って以来、この漫画を読むためだけにヤングキングを買い続けている。
自転車のコーナーでも紹介しているが、自転車屋さんの物語である。
でも主人公は自転車屋さんではなく、お客さんのほうというのが私をひきつける最大の理由だろう。
お客の数だけ違う物語があるわけだ。
わたしはこの自転車屋のおかみさんにぞっこんである。(ただしこの人、ワカバさんは自転車屋にはいない。でも結婚までのエピソードは最高だ。)
佐々木倫子の「動物のお医者さん」が獣医を志す人を増やしたように、全国に新たな自転車乗りを増やせばいいなー。


「ファイナル・セーラー・クエスト完全版」 火浦 功 角川スニーカー文庫 (小説)
1995年に初版が出て以来幻となっていた(この人の作品の続刊は、読者が老人になったころ出るといううわさがある)FSC。
ついについに2002年ふっかーつ!
ロードオブザリング?ハリーポッター?
そんなもんこれに比べたら!
世田谷区神宮寺にある、魔物が徘徊するダンジョンの地下十階。
そこにある神宮寺高校に一人の転校生が来たところからこの壮大な物語が始まる。
今日もその転校生、永井のりこは学校へたどり着けるのか!
幻の成田山のアミュレットに助けられた強運だけが取り得の方向音痴がダンジョンを通学する。
ってそれだけのお話なんですが、これがほんとに面白い。
今40歳ぐらいの人ならほんとに笑えます。(なぜなら、コッカトリスという怪鳥を5羽倒して、その銀のくちばしを5個集めるとかいうギャグがわからないと)


「スペシャル BOYS」 そうま竜也 全1巻 少年画報社とワニマガジン社 
もともとH漫画系の作者が描いた、高校生の男女が主人公のさわやかバイク漫画。
登場人物はどこか変な人達ばっか。
YZ250(モトクロッサー)でレーサーレプリカをコケにする女の子、V−MAXを操るプレイメイトな外人女、AR80で峠の伝説を作った自転車屋。
ブックオフで今回3冊目(同じ本)を買ってきたのだけど、実はずっと昔に読んだ(1990年刊)この漫画が私の今の生活を作ってしまったのです。

主人公の男女は当然お隣さん、幼なじみ!
しかしこの2件は特殊な環境にある住宅地に立ってます。
玄関を一歩出ればそこは山岳ワインディングの真っ只中。
ガレージにあるのはランチアストラトスと、デルタのインテグラーレ!
親父の運転するストラトスは今日もウェーバーの吸気音を響かせ、エンジン全開!。
私の理想はこの2件の家庭環境だ!。


「AB.フリャー」家田荘子原作 清水洋三画 全2巻 ビッグコミックス
名古屋の新聞社にアメリカから派遣されてきた「ぎゃーじんさん」A.B.フラーが、名古屋人に引っ掻き回される物語。
名古屋人のパワーに最初はたじたじだった彼が立派な名古屋人に成長するまでが描かれている。
もうおかしくっておかしくって。コーヒーを噴出いてしもうたがやー。
すでに絶版してもーたで、漫画喫茶か古本屋で探しゃー。
もち、だゃーめー(題名)はエビフリャーのことだなも。


「食と薔薇の日々」松苗あけみ 全2巻 ジェッツコミックス 新刊です。
「家が貧乏で、しかも5人兄弟の末っ子に生まれたら、毎日戦うしかないもんね」
社会人となった今も、貧乏ゆえに恥も外聞もなく食べることに命を懸ける女の子、主人公、小畑米(こばたけまい)。
若くしてレストランをはじめとして食を扱うミクニ美食フーズコーポレーションの会長となったもう一人のヒロイン美国和菓子(みくにわかこ)
そして、米へのとどかない思いにやきもきしながら菓子職人を目指す幼なじみの佐分礼恵生(さぶれけいき)。
まあ、ここまでは少女漫画の王道でしょう。でもそこはそれ、松苗あけみの漫画だあ。
和菓子は、食品を扱う会社のオーナーなのに実は味音痴だし、米は食べることがすべてで、恋は二の次三の次。
でも食材の持っているすべてを引き出すことができる天性の料理人、米は、料理で周りの人間を幸せにしていきます。
おいしそうな表紙も一見の価値あり。
ビッグコミックスピリッツではじめてであった、「原色恋愛図鑑」から強烈なファンとなったわたしは、今日も彼女の漫画を探し続けております。


「Pの悲劇・・高橋留美子傑作集」その他短編集 高橋留美子 ビッグコミック スペシャル 1994年初版
「高橋留美子傑作短編集 るーみっくわーるど」その他短編集 高橋留美子 ビッグコミック スペシャル 1995年初版
ご存知高橋せんせーの短編集。
うるせいやつらを少年サンデーで読んでいたのは、なんと、わたしがまだ学生のころ。
すげー、もう25年以上も前だ。
この人のすごさは、「うるせい」に代表されるギャグじゃなく、それ以外のところにあるのは周知の事実でありましょう。
なかでも「高橋留美子傑作短編集」の中にある「炎トリッパー」には、今まで読んだ漫画の中で最高の評価をつけます。
ぜひ一度ごらんあれ。


「公家侍秘録」 高瀬 理恵 ビッグコミックス 2002年6月現在 2巻刊行(初版2000年4月)
いやあ、まいりました。
こんな面白い本があったなんて。
6月発売のビッグコミックを何気なく読んだら、わたしの好きな時代劇、しかも8時台のドラマのようにさわやかな物語があるじゃありませんか。
ふーん、単発かあ、もっと読みたいなあと思ったら、なんとすでに2巻出ているという広告付き。
探しましたよ、豊田市中の本屋さん。
5件目でやっと見つけました。
江戸時代、内裏のお役もなく、扶持米だけで暮らしを立てている京の貧乏公家、日野西家。
おっとりした主の晴季、貧乏ゆえお金にうるさい娘の薫子、そして、本編の主人公で日野西家に先祖伝来仕える青侍、天野守武。
この3人の織り成す、公家の日常が時代劇フリークにはたまりません。
時代背景等、きちんと調べてあり、破たんのないドラマに仕上がっております。
ぜひドラマ化して欲しい物語です。


「軽井沢シンドローム スプラウト」 たがみよしひさ ヤングチャンピオンコミックス 2巻まで刊行
もう20年ぐらい前になるんですねー。
創刊したてのビッグコミックスピリッツの看板、「メゾン一刻」「おいしんぼ」そして「軽井沢シンドローム」
避暑地のイメージしかなかった軽井沢にも生活があるって事を教えてくれた大傑作でした。
これはそのはるか後の続編。
主人公は前作の主人公相沢耕平と薫の息子、薫平ってのがうれしいねー。ほんとに実時間がすぎてるってのがいい。
この人はこのヒット作のあといろいろ試行錯誤していたけど、やっぱりこれだよこれ。生き生きしてるもの。
傑作になりそうな予感のする物語です。
前作も愛蔵本として今も売ってますので、こちらから入ってください。


「箱入り娘」 佐藤マコト 週間モーニング 2月27日号(今週号)掲載 
単行本になってないのですが、あまりにも面白いのでご紹介します。
いまやほとんどの人が知っている「サトラレ」。
作者の佐藤マコト氏が「サトラレ」の前に描いた64ページの秀作です。
当然単行本にもなっていないし、1作だけだと単行本になるのはずっと先になると思いここにご紹介します。
史上最年少のノーベル賞受賞者「ヤヨイ」は、生まれたときから植物人間だった。
科学者である父親に脳と体を別々に管理され、意識はコンピューターが作り出す小さな四角い仮想空間で18年成長してきた。
自分の姿以外は何もいない空間で、ひたすら計算を続ける彼女にプレゼントされた仮想のバラの花が彼女に小さな変化をもたらす。
って、私の文章力では紹介できましぇん。
ラストで、彼女を救った健一に「こういうときは泣くもんじゃないよ」といわれて彼女が彼にする返事がかわいいの何の。
2月19日までの今週限定です。見逃したら損しまっせ。


「げんしけん」 木尾士目(きおしもく) アフタヌーンKC 2003年3月現在1巻
大学へうかって、なにかクラブに所属しようとしている笹原は、「げんしけん」と呼ばれる現代視覚文化研究会に勧誘され、悩んだ末、入会してしまう。
ところがこのクラブはアニメやゲームの「おたく」たちの巣窟だった。
この漫画の前に「5年生」というおなじく大学生の生活をまじめに描いた作者が贈る、前作と正反対の、まさに本領発揮といえる作品。
現視研に出入りする超美形の彼氏を持つ、唯一のまともな、おたくじゃない「咲ちゃん」がどんどんドつぼにはまっていくのが楽しい物語です。


「宇宙課々付エヴァ・レディ」 御米椎(みよねしい) バンブーコミックス 1995年8月発行 全2巻
いまや中古でしか手に入りませんが、先日読み返し、今見ても心躍る物語だったのでご紹介します。
NASAなどに機材を納入するメーカーに評価係として勤務する数明由雁(かずあきゆかり)は、いつか宇宙に出ることを夢見ていたが、所詮はかなわぬ夢。
しかし、NASAが火星探査機の乗組員1名を一般公募しているのを発見。
だめもとで応募するが・・・・。
神様の気まぐれか、英語すらしゃべれなかった由雁が、数々の試練を持ち前の度胸と機転を武器に乗り越えて、はるか火星の大地に立つまでを科学的、現実的な描写で描く、宇宙開拓記。読み応えばっちりです。
この年になってもこういう宇宙ものはわくわくしますねー。
実は2巻しかもってなくて、たまたま5年ぶりぐらいに読み、ネット上の中古本屋さんをすべて検索。やっと、1巻をゲットしたんです。
最近こういう中古本屋さんへの風当たりが強いですが、実際、短期間で廃盤になってしまい、手に入らないという現実を無視するのはどうかと。
新刊の販売だけ禁止すればいいのに。
この作者は最近「みよね椎」と名前を変えて「宇宙戦艦ヤマモトヨーコ」や「テクスチャーヒロイン」というのを書いてます。

「ムーンライトマイル」 太田垣 康男 ビッグコミックス 2001年発行 2003年8月現在6巻刊行 スペリオールに連載中
これは私の大好きな宇宙開拓ものです。ただ1巻がいまだ手に入らないので2巻の内容でご紹介いたします。
2012年7月、ロシアの民間ロケットが打ち上げ失敗した。
乗務員救出のため、そしてロケット自体がシドニーに落下するのを回避するため2人の宇宙飛行士が出動するが・・・。
2012年8月。
NASDAは世界初の2足歩行型のムーンウォーカー(月面移動用)を開発する。
しかし海中で行った実験中の転倒事故で、民間のダイバーが犠牲となった。
はたして2足歩行型は実用化できるのだろうか。
と、以上2話が入っているのですが、2足歩行型のローダー(エイリアン2にでてきたようなやつ)のお話がつぼにはまりました。
世界中で2本の足でロボットを歩かせようとするのは日本人だけだそうです。
なぜかというと・・・鉄腕アトムで育った世代が技術者になっちゃったんですねー。
このお話の中でも「ガンダム世代が開発の一線にきちまったってわけだ。笑えねー」というせりふがあります。
がんばれ!ニッポンの技術者!


「宇宙へのパスポート・ロケット打ち上げ取材日記1999−2001」 笹本祐一 朝日ソノラマ
エリアルからこっち宇宙ものや飛行機物ばっかり書いていると思ったら、なんと、小説をほっぽりだし、ロケットに魅せられての種子島がよい。
はてはNASAまで出張しての取材を重ねたドキュメント。(実はただの趣味にすぎないらしい)
おかげで小説の中のロケットや飛行機が飛ぶシーンは微にいり細にいりで、何10ページも使ってしまうんだよなあ。
ロケットに興味がある人は絶対にはまること請合います。
特にアメリカへ見学に行ったとき、向こうで同行したアメリカ人と、帰国するときにした会話は大笑いです。
アメリカ人(泣きながら)「あんたらはいいよなあああ、明日から日本食が食えるんだからっ!」
アメリカ人にとってもアメリカの飯はまずいらしいです。
2003年8月第2巻刊行予定。


「プラテネス」 幸村誠 モーニングKC 2003年8月現在3巻刊行 モーニング誌に連載中
先に紹介したムーンライトマイルとは、同じ宇宙ものながら、ちょっと雰囲気が違う衛星軌道の物語。
舞台は2068年の大気圏外を飛ぶ高高度旅客機から始まります。
衛星軌道で増え続け、宇宙開発の脅威となり始めた「デブリ」と呼ばれる宇宙塵。
それが秒速何十kmという速度で、旅客機を貫き多くの人命を奪います。
それから数年。
高度210qを超える宇宙空間で、デブリを回収する作業船を舞台とし、宇宙で生きていくことを決めた日本人「はちまき」と個性豊かな宇宙船の同僚たち、それにも増してさらに個性的なその家族たちが織り成すもうひとつの宇宙開拓史。
ところどころにちりばめられたギャグもGOOD!でも読み終わったあと涙がポロリと出るのはなぜでしょう。
生きる理由が見つからない人!読んで損はありません。


「タイム・リープ・・あしたはきのう・・」 高畑京一郎 電撃文庫 1997年刊 全2巻 
久々の小説の紹介です。
最初は時をかける少女の焼き直しだと思っていました。読んでみたらこれが面白い。
いわゆるタイムスリップ物なのですが、最初のページからぐんぐん引き込まれます。
高校生の女の子、鹿島翔香が気が付くと、唇を誰かの唇がふさいでます。
クラスメイトだけど、恋人でもなんでもない男の部屋。
なぜここに?どうしてこの人とキスを?
彼女にはまったく記憶がありません。
その瞬間から始まる、彼女の意思と無関係にジグゾーパズルのように彼女の記憶を埋めていく、場所を移動しない時間跳躍。
なぜ彼女は1週間の中をランダムに、しかも小刻みに時間跳躍を?
舞台は彼女の家とクラスメイトの部屋、学校と、ごく近所のみ。
しかも1週間だけの物語です。
事件解決のため、数学の一夜漬けをし、ありったけのクッションを集め、初歩の護身術を練習し、彼女は跳躍の時を待ちます。
よくもまあ、こんな限定された設定でこんな面白い物語ができるんでしょう。
上下2巻を4時間で読みきったあと、残ったさわやかな読後感。衣谷遊氏のイラストもすばらしいっす。
タイムスリップ物としてハインラインの「夏への扉」、高橋留美子の「ファイヤートリッパー」、に続く私のお気に入りとなりました。
本屋にない場合、下記のアマゾンで手に入ります。ぜひ読んでみてください。

「エースをねらえ」 マーガレットコミックス 全18巻(当然廃刊。ただし文庫版があります)
何を思ったか、まずアニメのLD、そして、発刊当時のコミックスを全巻購入し・・・・・。
はまりました。泣きました。感動しました。
初版は1973年。なんと、30年も前の漫画です。(当時私ですら16歳)
しかし今回読んでみて、ぜんぜん古さを感じないどころか、心が震えました。
超高校級テニスプレーヤー、お蝶夫人にあこがれるごく普通の少女、岡ひろみが主人公なんですが、主人公そっちのけで、彼女を取り巻く、かっこいい、素晴らしい男たち、女たちを愛情豊かに細やかに描いています。
自分の死期を知りながら、ぶっきらぼうに、でも狂おしいほどの愛情を注ぎ、素人だった岡を世界レベルまで育てる宗像コーチ。
その宗像に、1年生ながら選手に抜擢されたことで上級生にいびられ、あこがれのお蝶夫人からは見放され、それでもテニスが好きで、宗像の教えに時に反発しながらも最後には素直に受け入れ、みるみる上達していく岡ひろみ。
ひろみと相思相愛なのに、彼女を世界に押し上げるため一線を引いた距離を保つ藤堂。
かわいがっていた岡が自分のライバルとなっていくことに戸惑いを覚えとまどう、天才ゆえ孤独で、孤高を貫く、お蝶夫人こと竜崎麗香。
お蝶夫人に恋焦がれて影で慕い続ける尾崎(何せ相手はショーファードリブン:運転手付きの車で登校してくる超お嬢様ですから。でも彼の愛は少しだけ報われます。海で手をつないだだけだけど。でもこのことがあとで孤独なお蝶夫人を救います)。
宗像の遺志を継ぎ、断酒までして岡を鍛える大酒のみの桂コーチ。

アニメはちょっと変にいじくりまわしてしまい、真ん中以降は魔球なんて出てきてしらけてしまい、中途半端に終わってしまいますが、原作ではただひたすらテニスに打ち込む岡と彼女に夢を託し献身的に尽くす人々を描きます。(アニメの展開は作者からも嫌われたらしく、アニメと同時進行していた本編で「ありもしない魔球などにあこがれるな」と宗像コーチに言わせてます。その反省か、エースをねらえ2や劇場版は原作の言わんとすることにより忠実になっています。)

この漫画が書かれたころは日本人がセンターコートにたつなんてことは夢物語でした。ですから、宗像コーチの死後、岡ひろみをウインブルトンに到達させることでテニスを普及させ、世界的なプレーヤーを育てようと努力する面々には感動を覚えます。特に、岡ひろみに1敗もしていないのに「自分では世界では通用しない」ことをみとめ、自分の持てる技術すべてを彼女に託すお蝶夫人には心底ほれました。
作者の山本鈴美香さんは、なぜか漫画をやめて新興宗教の教祖様になってしまったので新作はもう見ることができません。
でも続きが見たい。そう思わせる傑作です。
実はこの漫画、少女漫画なのにキスシーンさえ出てきません。
あなたが男でも多分大丈夫。1巻目最初の絵のへたささえ乗り切ればきっと最後まで読めるはず。文庫版が出ていますので、男女を問わず人生に疲れた方、迷っている方、読んでみてください。
思春期のお子さんに読ませるのもいいかも。
きっと勇気をもらえます。
そういやお蝶夫人って俺と同じ年ぐらいだよなあ。・・・。
「天然コケッコー」くらもちふさこ 集英社文庫コミックス(11月18日現在で9巻中7巻刊行)ほか(コーラスに掲載されていた)

「わしゃ、赤いミニスカート持っとるんじゃが、たったいっぺん、たったいっぺんはあた(はいた)だけで、半年間村中の人に不良あつかいされたことがある・・・。」
右田そよは山陰の海岸にある過疎の村に住む中学2年生の女の子。
小学、中学あわせても生徒数10人ぐらい。
夢は自分が卒業する、この学校の先生になること・・だったのじゃが。
そこに、家庭の事情から東京育ちのイケメン大沢広海が母のふるさとであるここへ転校してきた。彼の容貌はそよのストライクゾーンど真ん中。
過疎の村が抱える問題などを真剣に・・・・とか言う物語ではなく、田舎の普通の中学生そよが大沢君に一目ぼれし、相思相愛になったために巻き起こる小さな事件を方言ばりばり、面白おかしく描きあげた、くらもちふさこの傑作です。
冒頭のせりふは、大沢に自分と同じ(大沢の実力以上にレベルが高い)高校に通って欲しかったそよが、彼の合格祝いに学校でキスをさせたところを友達に見られた時に発するせりふです。田舎の子供の立場を端的に表現してるよなあ。田舎の子は、大人とのお付き合いが多く、都会の子以上に速く大人になり、悩みもいっぱい抱えていますからねー
私のように田舎に住む身としては笑い事じゃない事件もあるんですが、
ほとんど大笑いしながら読めます。特に島根出身の人なら通訳なしで読める分有利です。
丁寧な絵、微妙な間、個性豊かな村人達の描き分け。
まるで石坂洋二郎の小説を読んでいるよう。
くらもちふさこさんは本当にうまいですねー。
ぜひ読んでみてください。

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