2004.6.4//VS ロレンソ・パーラー
〜有明コロシアム



ついにこの日が来ました。
そして、2ー0の判定を持って、初の世界タイトル挑戦は失敗に終わりました。

ぶっちゃけた話をすると、今回の世界挑戦は、大差で負けてしまうのではないだろうか…と
そんな不安を持っていました。
もちろん、精一杯戦ってもらいたいと思ってたし、世界タイトルだってもちろん獲ってもらいたいけど
それにしては、相手が強すぎるのではないか…と。
相手の情報を全く持っていなかった私は、戦績でそう判断をしていました。

きっと、試合を観ながら「相手の強さ」に驚かされ
「この相手なら仕方ない、よくやったよ、さんちゃん。」
なんて言葉をかける事になるんじゃないだろうか。

…でも。

明らかにチャンピオンは嫌がっていたし、逃げていた。
これは、戦っている選手だけではなく、相手陣営全てに対して言えるのではないでしょうか。
焦っているからこそ、相手をそうさせているんだと、実感していました。
確実に、坂田が攻めていた試合だと思います。

もしかしたら、、勝てるのかもしれない。
漠然とそう感じていました。

今日の「坂田健史」を表現する言葉は、何もみつかりません。
どの言葉で例えてみても、もの足りない。
それ程壮絶で、限界を超えた戦いをしていたから。
あれほど気持ちの強い選手が、他にいるだろうか。

6Rが終わった頃。
「坂田健史」というボクサーの、もの凄い成長を感じて、自然と涙が溢れてきていました。
過去に観た事のない「坂田健史」が目の前で戦っている。

いつからこんなに凄い選手になったんだろう。

顎の骨折を知らされていない状態で、そう感じていました。

私が坂田選手の「骨折」を知ったのは、全てのラウンドが終了した後でした。
後半、急に失速した感を抱いていたところがあったので、ちょうどその頃に折れたのだと思っていました。
それがまさか、2Rだったとは。
顎を砕かれて、あの戦いをしてたのか…と、私は愕然としました。

「顎の骨折」によるダメージは相当のものだったと思います。
その状態でフルラウンド戦いぬいた、勝利への執念がどれだけ凄いものだったのか。
ただ、敢えて辛口に言わせてもらえば、「顎が折れる程のパンチを受けている」というのも事実。
それを受けて、追い詰めようとも、追い詰めきれていなかったと判断された。

いわゆる、これが今回の結果のひとつであると思っています。

だけど、今回ほど得たものが多い試合はないのではないでしょうか。
坂田選手が、ずっと目指していた「世界」というものが、
坂田選手本人や、所属ジムだけではなく、多くの坂田ファンの「確信」になったはずです。

「無敗は無敵じゃない」
坂田選手は、結果として相手に黒星を与える事はできなかったけど
この言葉に嘘はなかったと、証明してくれたと思っています。

今まで「坂田健史」を応援し続けてよかった。
「坂田健史」のファンである事を誇りに思っています。

坂田選手がずっと追い続けている「世界チャンピオン」
今回は獲れなかった。


でも、必ず獲れる。