アウトドア百科

−OUTDOOR BASIC TECHNIC−

 

舵社より5月20日発売!
1200円+税

よろしくお願いいたします
m(__)m

 

はじめに

 1997年9月、ぼくはWorld Wide Web上に、"Outdoor Basic Technic"というホームページを立ち上げて、公開しました。
 ぼくは、高校時代から20年以上、登山やオートバイツーリング、エンデューロレースなどを楽しんできました。そして、いつのまにかそういったアウ トドア関係のことを紹介するライターという職業に就いていました。
 何冊か本を出し、たくさん記事も書きましたが、雑誌や出版社のカラーや思惑などに合わせた企画物は、いつもどこかに制約があって、食い足りなさというか書き足りなさを感じていました。そのうち、自分の思うままに書いたものを出版してみたいという欲求が募ってきました。
 WWWにホームページを立ち上げる数年前、ひょんなきっかけから、SEGAで大きなゲーム制作のプロジェクトに関わることになりました。それまでも、コンピュータ(とくにAIなどのサイエンスの側面)やインターネットには興味はあったのですが、本格的にそれに取り組むというところまでは至ってませんでした。
 SEGAで、最先端のデジタル技術と接するようになって、ぼくは、そこに途方もない可能性を感じました。今までは出版=紙というメディアで仕事をしてきたわけですが、デジタル表現の進歩のすさまじさや、デジタルコンテンツの自在な可変性やインタラクティヴ性は、今まで身を置いてきたメディアとはまったく異なるダイナミズムに溢れた世界でした。
 ゲーム開発は非常にスリリングで楽しい仕事です。ですが、そこは、企画、演出、脚本、ソフトプログラム、デザイン、サウンド、テクニカルリサーチ、デバッグ……といった多くのセクションが絡む高度に分業化された仕事です。
 ぼくは、自分なりにデジタルの世界で完結できる仕事はないかと考えました。そして、思いついたのが、かねてから20年あまりのアウトドアライフから得た経験をストレートにデジタルメディアで表現しようということでした。文章という形は旧態依然としたアナログですが、それを載せるWWW=インターネットというメディアは、生まれたばかりの純然たるデジタルメディアです。
 著者と読者がほとんどリアルタイムでダイレクトに結ばれるというメディアは、今まで存在しませんでした。単行本一冊分の内容をここで公開するという試みも、当時はほとんど成されておらず、どんな反響が返ってくるか、楽しみでした。
 まず反応したのは、インターネット関係の動向を紹介する雑誌やネットニュースでした。それらで、ぼくのサイトが紹介され、一気にアクセスが増えました。そのうち、記事を読んだ方からE-mailが寄せられるようになりました。叱咤激励から内容に関するアドバイス、中にはずっと音信の途絶えいた旧友からの便りまでありました。本や雑誌の記事に対する反響ももちろんありました。しかし、インターネットでの反響は量からいっても、内容からいっても比較にならないくらい濃いものでした。ぼくは、その声に励まされて、コンテンツのブラッシュアップを続けています。また、同じようなコンテンツを提供している個人の方ともホームページを通してたくさん交流ができ、互いにリンクを張ることで、互いのコンテンツにない要素を補い合 う関係を築き、それがまさにWWWの有機的なクモの巣として広がりつづけています。
 そのうち、今年の1月に、出版の打診をE-mailでいただきました。声をかけてくださったのは、出版システムを徹底的にデジタル化して効率を高めている舵社でした。E-mailをベースに話を進めて、すぐに出版の話がまとまり、ぼくは、活字向けにコンテンツをリライトするという作業を進めて、早くも、夏を前にして出版できることとなったわけです。
 今でこそ、ホームページを作るなんてことは誰でも簡単にできることですが、ぼくが"Outdoor Basic Technic"を立ち上げた当時はまだ一般には敷居の高いものでした。ぼくにとって幸いだったのは、SEGAで最先端のデジタル環境を経験していたことで、たいして難しいものに思えなかったことです(実際には立ち上げまで、けっこう苦労しましたが)。そのSEGAでずっと取り組んでいたタイトル「シェンムー」も、この夏、正式に発売となります。ぼくとしては、一度に二つの仕事を世に送り出せて、とても晴れがましい気分です。
 これからも、新しいゲームの制作に取り組みつつ、"Outdoor Basic Technic"ホームページの更新を続けていこうと思っています。そして、折りをみて、改訂版を出版していきたいと思います。
 余談が長くなってしまいましたが、"Outdoor Basic Technic"の序論を以下に記します。
 それでは、本編のほうをお楽しみください。

1999年3月16日
内田一成記

 

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