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がばっと飛び起きる。
…周りを見渡すけれど一人、だ。
よく知る自分の家。…自分の、家、だ。なのに、なぜか懐かしい錯覚におちいる。どうして?
記憶を辿ろうとすると、思い出したいそれにするすると逃げられて、曖昧にしか思い出せなくなっていく。この感覚、は。

「……夢、か?」
思わず呟いて瞬く。…ゆめ。にしてはリアルで、…どんなだったか、もう思い出せないけど。
どさ、ともう一度ベッドに体を沈める。

もうぼんやり、とした記憶だけしか残っていなくて、何か大事な夢、だったはず…と考える。
「…ま、いいか。」
思い出せないものは仕方ない。伸びをして、起きあがる。とりあえず顔洗って飯食って、…いや。畑でトマト取って、食べながらスペインとこ行こうか。それで、叩き起こしてメシ、って言って。しゃーないなぁとか言いながら、きっと作ってくれる。
…子供扱い、しながら、だろうけど。ちくしょう。
というかあの馬鹿いい加減気付けよ!俺が何回好きだって伝えても全然わかってない!
…ま。それでも諦められない俺も馬鹿なんだろうけど。

もしいつか、あいつがわかってくれたら、……まったく、そんなのいつになることやら…。


「…行くか。」
起き上がり、あくびを一つ。それから、窓の外に見える太陽を見上げた。



『何度でも、君と』End!


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