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ぽちくんと朝の散歩から戻って、庭でリードを外していると、ぴんぽん、と音がした。 誰だろう、と思いながらはいはい、と廊下を早歩きで通り、つっかけを履いて玄関の戸をがらがらと開けると。 「はい、どちらさま…」 ばさり、と目の前に、色とりどりの花束。 「…え?」 突然のことにどうしていいやらわからなくてぱちぱちと瞬いていると、て、手土産だ受け取れ!と声。 それでようやっと、来訪者が誰なのかわかった。 「イギリス、さん?」 「ほら!」 花束を押しつけるように渡されて慌てて受け取る。大きな花束だ。その向こうに、顔を赤くしてそっぽを向いたイギリスさんの姿。 …ああ、今日はついてる。まさか朝から彼に会えるなんて。 「おはよう、ございます。」 「おう、」 「どうかされたんですか?」 彼が連絡なしに来るのは、とてもめずらしい。 だから何かあったのかな、と首を傾げていると。 「…日本、に、言いたいことが、あるんだ。」 「はい?」 なんでしょう、と尋ねると、うろうろとさまよっていた視線が、まっすぐと向けられた。強い意志を秘めたエメラルドに射止められて、心臓が高鳴る。 「好きだ、日本」 信じられない言葉に、思わず目を丸くした。 『奇跡は、すぐそこに』End! 戻る |