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名前を、呼ばれた気が、した。 ゆっくり目を開ける。ふかふかの布団の感触に、あ、ここ、私の家じゃあない、と思う。ぼやけた視界。瞬くと、視界がだんだんはっきりしてきて。 あ。人だ。誰かいる。目の前に。 「あ、悪い。起こしたか？」 甘い声を聞きながら、目をこする。眠い。何かぼそぼそと言われた気がしたけれど、聞こえなかった。自然に、腰に回される手。 おはよう、と額にキスされて、ぱっちり目が覚めた。何やってんだろうこの人。 ぱちぱち瞬いたら、くつくつと笑い声。 「早く起きないとキスするぞって言ったぞ？」 聞こえてません。…あと、自分でやっといて照れないでください！こっちまで恥ずかしくなるでしょう！ 「…おはようございます、イギリスさん」 「おはよう、日本」 抱きついて、ほう、と息をつく。 何か、疲れた。…何かした？…いや、ああ、そうか。 小さくくすくすと笑うと、どうした？と優しい声。 「…夢を、見ていたようです。」 そう、夢、だ。夢以外にあり得ない。 「私がイギリスさんの属国、らしいですよ？」 笑いながら言うと、あはははは！と笑われた。 「そりゃあまた傑作だなあ！」 「そうですね。」 くすくす。向き合って、笑う。そう、夢、だ。ものすごく疲れる、現実味があったけれど、夢、だ。 それはほっとする事実であり、…少し寂しくもあり。 でも。 考えて、深呼吸を一度。 そうすると、頬を撫でる暖かい手。 「どうした？」 「…いえ。くだらないことを考えただけです。」 「何だよ。」 気になるだろ、日本。 そう囁く声はとても、甘くて、耳触りがいい。 「…夢の中でも、あなたと会えてよかった、と。思っただけです。」 他愛も無い思いつきです。 目を閉じて笑うと、ため息が聞こえた。 「…日本。」 「はい？」 「今日の買い物の予定、キャンセルな。」 は？と上げようとした声は、彼の唇の中。 『あなたと一緒にいられるだけで』End! 戻る