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イギリスさんが仕事に行った後は、皿洗いと洗濯が終わったら掃除、だ。今日は昨日できなかった二階。

ぱたぱた、とはたきをかけていく。
掃除は好きだ。特にこの家は本当に深みがあって、綺麗だから。磨けば磨くほど応えてくれるのは、やりがいがある。
廊下をある程度終わらせたら、次は部屋。がちゃ、と一つのドアを開けると、そこは書庫だった。

かなりの量だ。私もたいがい本は好きだけれど、この規模は、なかなか…
…仕事の資料とかもあるんだろう、きっと。
「…あんまり触らないほうがいいでしょうね…」
埃払う程度にしておこうと思いながら、足を踏み入れる。


はたきをかけながら、本棚に並んだ背表紙を読む。
私の家で広まっているのとは原題が違うのもあって、推察するのはなかなか楽しい。
「これは…そのまま、ですね。ふむ…」
本を手に取ってしまうと掃除どころでなくなってしまうのはわかっているので、背表紙をながめるだけ、に留める。
気になる本もたくさんあるけれど、それはイギリスさんが帰ってきたら、ちゃんと許可をもらって、じっくり読むことにしよう。

「英語は…読むのに時間がかかるんですよね…」
苦笑して、ぱた。と忘れそうなはたきをかけて。
ふと、ひとつの本が目に止まった。

…あれ?この本…


「くまのパディントン…」
「…枕草子?」