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「平気だよ、ほら!」
ええい、と顔を上げて、笑ってみせて(ああでも目真っ赤だよ絶対…!)、そこにいたドイツの姿に、びっくりして瞬いた。

「…ど、どしたのドイツ…!?」
その頬!と言うとあー…。と目を閉じて気まずそうな表情。
白い肌にくっきり赤い手形が残ってる!
「…おまえの兄だ。」
「え。」

話を聞いてみると。
どうやら、何か仕事の話をしに来たスペイン兄ちゃんに兄ちゃんも一緒に来たらしくて。
で、話してたらなんか(理由はわからんがってドイツが言ってた)怒って、ドイツに殴りかかろうとして足滑らせてこけかけて、それを受け止めたら、さわんなじゃがいも!ぱあん!と。

「………ごめんなさい…。」
うちの兄ちゃんが、と思わず謝ると、いや、おまえが謝ることじゃないだろ、と言われた。でも…。
じゃあ、俺が見たのは、たぶんその、平手打ちの一瞬前、だったんだ。止めたらよかった…。
ため息をつくと、お前が気にすることじゃないから、とかがんでくれた。困ったような笑顔。頬に咲く紅葉。
…痛そう。思って、彼の腕をぐい、と引く。
「?どうした?」
彼が体を寄せてくれる。
それと、もう一つ。たぶん。…赤くて、ちょっと美味しそうって、思って。
後のこととか何にも考えずに、ちゅ、と頬にキスをした。

「!!おま、何、っ!?」
「…え、あ、早く治りますように、って…。」
お、おまじない?えへへへ、と笑って誤魔化すと、そ、そうか、と頬、だけじゃなくて顔中赤くしたドイツが離れていった。
「…そ、れでおまえ。体調は。」
「平気だよ〜、元気!あ、そうだ、すぐ夕飯つくるから!」
言ったら、なら、いい。…無理はするなよ、とだけ言って、赤い顔のままドイツは部屋を出て行った。

…何だ。そっか。俺の勘違いだったのか。よかった…
はあ、と深く息を吐いて、ぼす、とベッドにつっぷすと、何かが手に触れた。
「…ん?」
目の前にかざしてみると、それは。


『鍵のかけら』を手にいれた!

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