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「うわああんごめんなさいー!」

叫ぶとスウェーデンは首を傾げて、それからまた手を伸ばしてきて。
思わず目を閉じると、ぐい、と体が浮いた。
「ヴェっ」
肩に軽々と担いで、そのまま無言で歩いていく。
何、怖い、と不安になっていたら、しばらく歩いて、大きな扉を片手で開けてどさり、と下ろされた。
「ヴェ、」
何?と見上げると、やっぱり怖い顔のまま、会議室、とぼそりと一言。
「……へ?」
会議、室?
ぱちんと瞬いて周りを見渡すと、確かにそうで。

…もしかして、俺が会議室どこって言うの聞いて、送り届けてくれた…?
去っていく後ろ姿にありがとう!と叫ぶと、ん、と手を振り返してくれた。怖いなんて思ってごめんなさい、心の中で思ってため息をつく。
と、突如として視界が暗くなった。

「ヴェ?」
「イタリア……散々探したぞ…?」
低く感情を押し殺したような声に、おそるおそる、そーっと振り返る。
こめかみをひきつらせた、スウェーデンより何十倍も怖いドイツの姿。

「え、と…?」
「さて、言い訳を聞こうか。…仕事ほったらかしで給仕の女性としゃべっていた上に迷子になって他国に迷惑をかけたその行動について。」


最後まで聞き終わる前に、脳が出した結論に従って、手足を動かした。
逃・げ・ろ!
「待たんかイタリア!!」
「ヴェ〜〜〜っ!ごめんなさいーっ!」

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