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がばっと、飛び起きた。ドキドキと鳴る心臓。
けれど、そこは俺の部屋、で。誰もいなくて。ドイツも。いなくて。…ベッドの上。ちゅんちゅんと鳴く鳥の声。
朝だ。気持ちのいい、朝。

「……ゆめ?」
さっきまで見ていた内容が、けれど夢と思えないくらい、リアルで。
長い夢、だった。がんばった。悲しかった。うれしかった。…楽しかった。ほんとに。楽しかった!
だって、ドイツと一緒だったから!
「…ドイツ、」
会いたい。その顔を見たい。これが夢なのか向こうが夢なのかどっちが現実なのか、とかもうどうでもよくって、とにかく会いたかった。
体裁も身なりもどうでもよくて、とりあえずそのまま、ドイツの家目指して、走り出していた。

ねえ、会いたい。会いたいよドイツ。会ってはぐして、キスして、それから。
ねえ、あんなじゃ足りない。俺の気持ちもっともっと大きいんだ。一言だけなんかじゃ全然足りないくらい。だからねドイツ、聞いて。たくさん聞いて。
俺が思ってるだけ、好きって、大好きって、愛してるって、伝えたいんだ!

勝手知ったる家の中を通り抜けて、ドイツの寝室へ一直線!
ドアの前でぴた、ととまって、静かにそろそろとドアを開けてみる。…あれ、ドイツまだ寝てる…。
足音立てないように近づいて、ベッドのわきにしゃがみこんで、その寝顔を堪能してから、そうっと布団の中にもぐりこむ。
ぎゅう、と抱きつけば、条件反射のように抱きしめ返してくれる腕!わはー!
むきむきな胸にすり寄って、深く息をついてから、ささやく。

「ドイツ、好き。」
「…俺もだ、イタリア。」
「!」
声に驚いて顔を上げると、眠そうな、青がこっちを見てて。
「おはようイタリア。」
「おは、よ…。」
「おまえはまたそんな格好で…。」
「えへへ…ごめんなさい。」
謝って、だって早く会いたかったんだ、とささやく。服ちゃんと着る時間も、惜しくて。

「…次から気をつけろ。」
「はあい。」
返して、ねえドイツ、と名前を呼んだ。
「どうした?」
「すきって言って、キス、して。俺もするから。ね?」
「…一回でいいのか?」
「たくさん!」
笑うと、仕方ないな、とドイツは苦笑して。

「好きだ、イタリア。」

額に口づけてそう言った声色は、夢の中と同じく、甘くてとろけそうだった。



『何千回の愛の言葉を』End!


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