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ゆっくり、と目を開けると。

視界が赤かった。

「…?……!?」
寝起きの回らない頭で何これ、と思った瞬間に、驚いたか?と楽しそうな声!
「フランスさん!」
体を起こすと、その赤が鮮やかな色の薔薇の花束だとわかった。
「だってカナダ全然起きないからさ。」
いたずら。と言いながら、彼は花束をどけて。
「びっくりさせないでくださいよ…」
「カナダは小さい頃から反応が楽しいんだよなあ。」
僕は楽しくないですよもう…と呟いて、あれ、と思った。

彼を見上げる。どうした?ときょとんとした表情。…ここは、ベッド、で、僕はさっきまで寝てたみたい、で…
「…じゃあさっきまでの、夢…?」
…どこから?アメリカっぽい人にあったところから!?な……長い…

「長い夢だったなあ。」
「そりゃあ…一年半くらい、過ごした気分ですよ…」
なんだかどっと疲れた。深くため息。
「嫌な夢だったか?」
「…いいえ。」

フランスさんと過ごすのは、あんなに長く過ごすのは子供時代以来で。…楽しかった。純粋に。大変だったけど、でも。
「フランスさんとずっと一緒で楽しかったです。…一年ほっとかれたのはちょっと不安でしたけど。」
「ごめんって。でもあの間俺だって悩んだんだから…」
会話を交わして、…あれ?と首を傾げた。どうしたー?と言いながら、フランスさんも同じ方向に首を傾げてくる。
「…フランスさん、まるで僕の夢知ってる、みたい…」

でも、そんなわけないか。すみません変なこと言いました、と誤魔化そうとしたら、また目の前に差し出される花束。
「?フランスさん?」
彼の顔を見る。穏やかな笑顔。

「愛してるんだ、おまえを。比較なんてできないくらい、とびきりに。」

…それは、夢の中の彼と、同じ言葉!
「どうやら同じ夢みてたみたいだな?」
くすくす。笑って抱き寄せられた。暖かい体温。見上げていた青い瞳からも、嘘は感じられなくて。
丸くなっていた目を細めて、頬が緩んでいくのにまかせる。ほわほわと暖かい気持ちだ。
「…うれしいです。」
「何が?」
「夢の中でも大好きな人と一緒だったなんて。」
笑って言うと、その大好きな人っていうのは、もしかしなくてもお兄さんのことかな?とちょっとおどけた声!
「Oui!」
元気よく答えて、大好きな人にキスをした!


『lovesong for you』End!




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